先日紹介した2010 Intercollegiate Men’s Lacrosse Coaches Association Convention(全米大学コーチ協会の集会)での、昨年までCornellで今年からPenn StateのHC、Jeff Tambroniによるアタック育成法のプレゼンが記事として紹介されていた。
読んで、あーこれ自分が選手/コーチだったら無茶苦茶読みたかっただろうな!と感じたので転載。
昨年までCornellにて才能や入学時の実力で数段劣る選手たちを育て上げ、Final 4常連チームを作っていた手腕から、彼の事を現在のNCAA Div 1で最高のコーチと呼ぶ人も少なくない。特にRob Pannelを中心としたアタック陣には高い評価が与えられている。その彼のアタック育成哲学。恐らくMichiganのJPも似たようなことを言ってる部分もあると思うが。
読んでて何度も「なるほどー!」と唸るような内容が多く、ちょっと感動してしまった(old schoolで当たり前のことを真っ正面から語ってる部分も含めて)。こういう基本的で細やかな技術体系や練習方法の積み重ねがNCAAやUSのラクロスの土台としてがっつりと存在しており、それが大きな差を生んでいるんだと感じさせる。
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いくつか読んで印象に残った点を紹介。
アタック育成に於いて重要なのは、以下の6点
- Stick-work
- Pick Play (Perimeter Play)
- Shooting
- Dodging below the goal line extended (GLE)(ゴールライン下のダッジ)
- Dodging above the GLE
- Crease Play (Interior Play)
こうやって重要な概念に言葉を与え、ラベルを貼る事で、awarenessが強化され、それに関する思考と技術が強化されるということが起こる。「GLE」という言葉をより多くの選手がより頻繁に使ってる/考えてるチーム程AT/DFが強い、という相関関係があるんじゃないかと想像する。
Stick-work
- スティックプロテクションが最重要。何故なら今日のラクロスに於いてはポゼッションが最重要だから
- Two-handed cradle(両手クレードル)、特に下の手はスティックのボトム/ボトム近くを持つ事が重要。Dからのチェックでボールを落とさないために
- (これはコメント欄での補足だが)両手でクレードルする際のプロテクションの説明としては、ボトムハンドの手は、逆サイドのジーパンのポケットに入れるイメージで、しっかり逆サイドに持ってくる。そうすることでDとの間にがっつり上半身が入り、プロテクションが強化される(ちなみに僕は現役時代、下の手は股間、または逆の足の付け根/鼠蹊部に置く、と習った記憶があるのが、本当はそれじゃ足りなくて、もっと思いっきり逆サイドに持って行く必要があったということか...)
Shooting
- シュートそのものより遥かに大事な技術は、シュート前のボールを受け取り、シュートの体制を作る動き
- ボールをキャッチする際に、必ず①Passer/ballの方向に脚を使って動き、②続いてゴールの方向に動くこと。この動きにより、Dからスティックを守り、シュートを打つためのスペースが生まれる。
- このボールに向かって動きながらキャッチする、という基本中の基本の技術ほど大事な割に見落とされがちな技術は無い。徹底して習慣化するべき
Dodging below GLE (the Goal Line Extended)(GLE下のダッジ技術)
- Cone-dodgeやz-dodgingなどのドリルが絵付きで紹介されている。チームの練習、アタックユニットの練習に取り入れるのに最適
- とにかく、(いつでも空いた選手にパス出来るように)スティックと頭を上げ、視野を取り続ける事が本当に大事
- まずはこのz-dodgeの動きを、D無しでスムーズに出来るように体に叩き込み、完全に慣れたら今度はDを付けてやる
Dodging above GLE (the Goal Line Extended)(GLE上のダッジ技術)
- これまた読んでて「なるほっどー!そういうこと考えてやるんだ!」と思ったくだり。
- "Dodging through a Door”という考え方。相手Dのスティックのヘッド側をドアの蝶番(ちょうつがい)/付け根の金具に見立て、ボトムハンド側をドアノブ(取っ手)だと思って見る癖を付けろ。そして、出来るだけドアの取っ手側からドアを開ける(抜く)。そうすることにより相手のスティックチェックのしにくい方、プッシュしにくい方に抜くことになる。(記事に実際の写真にドアノブを付けた絵が載っている)
- わざわざ相手DFのチェックや、プッシュに対して真っ向から向かって行くことは避け、相手の体重や力を自分のアドバンテージとして利用せよ(柔よく剛を制す的な)。相手が自分を押そうと手を伸ばし、ゴールから反対側に押そうとすればするほど、そしてそれをスルッと避ければ、簡単にDFを交わせるというのが大原則
- 全体を通して個人的に感じたのが、つくづくロジカルで合理的だなということ。表面的な形だけにとらわれず、試合での動きやメカニズムを科学的にロジカルに技術要素に分解し、それを鍛えるために最も合理的で効果的な練習方法や習慣を定義し、反復して学習/internalizeするというやり方。そりゃあ彼に4年間教われば上手くもなるわなと思った。
- また、こういうLacrosse IQの高さが選手人生を通しての成長やパフォーマンスに大きく効くんだな、ということを改めて実感。そして、それは仕事でも学問でも芸術でも、全てに共通する普遍の原則。自分自身ももっともっと研ぎ澄まして行こう、と思わされた。
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