Virginiaの新3年生AT #7 Connor English。Virginiaに移籍したい旨既に伝えており、許可が下りたとの事。移籍先はまだ決まっていない。
一昨年の入学時点では全米7位の評価。実は2010年シーズンは#6 Steele Stanwick、#11 Chris Bockletとのトリオでそこそこ活躍しており、一年生なのに結構すごいな、と思っていた。
ダッジ力もシュート力も高く、間違いなく実力のあるAT。若干サイズは落ちるが、十分にNCAAの強豪で活躍できる選手。
が、今年になってMFからのATへコンバートされた選手や1年生の新しいATの選手たちの台頭により、出場機会が減り、あまり画面で見かけなくなってしまった。
印象的だったのは、決勝のMaryland戦で試合終了間際で出てきて、ボールキープ要員になり、それまでベンチで休めていたスタミナを生かしてただひたすらボールを持って走り回るという役回りを請け負っていた。
Virginiaでエースとして活躍することを夢見て入学したエリート選手。恐らくプライドも高かっただろうし、それなりの犠牲や努力を払ってでもスポットライトを浴びることを目指していたはず。シーズン後半からプレーオフに掛けてベンチで燻っていたんじゃないだろうか。優勝にがっつり貢献したかったはずで、最後にボールキープして、監督に「良くやった」と言われても「本当は点を取って貢献したかった」と複雑な気持ちだったんじゃないだろうか。
現時点で上記の新4年生2枚が磐石で、下級生ATが試合に出てしまっている以上、彼の居場所が非常に薄くなってしまった。ATとして優秀だが、必ずしもOFMFとしてバキバキに抜いて点を取れるというタイプでも無いため、チームとして多少宝の持ち腐れ感が出始めていた気もする。
このままVirginiaで脇役のまま大事な3年生のシーズン(特にMLLドラフトが4年のシーズン前に行われることになった今の仕組みでは、選手個人の選手生命としては正にMake-or-break)を過ごすのか、確実に必要としてくれるチームで大黒柱のスターターとして活躍しまくるか。戦略的な判断を強いられたことと想像する。
既にNorth Carolinaは二人の強力ATが移籍を決めており厳しい。あるとしたらエースATが抜けたSyracuse, Duke, Maryland辺り?HopkinsもKyle Whartonが抜けたから一枚席が空いてるか。コメント欄では彼の地元、Long IslandのHofstraを推す声も。
この手の移籍話、去年もフィーチャーしたが、NCAAならではの見所でもある。
- 去年のAT Tom PalasekのHopkins to Syracuseの移籍
- 今年のAT Davey EmalaのGeorgetown to North Carolinaの移籍
- 今年のAT Jack McBrideのPrinceton to North Carolinaの移籍
一歩理由を考えてみる。
- 座席数の多いMF等と違い、がっつり出られるか、ほとんど全く出られないか、のゼロサム/デジタルな結果になりがち。3枚たまたまいい選手がいたらほぼ出られなくなる/怪我待ちになる。
- 特に、これだけ競技として成熟して来て、高校生としてある程度完成した選手が登場し始めると、全米トップクラスのATの新入生が入った時点で確実にスタメンを奪われる、という事が結構な頻度で起こり得る。
- また、同じATでありながら、主にウィングから攻めるdodger、XでOFを組み立てる司令塔、クリースで狡猾に得点を狙うカット専門家など、実はその中でも細かく役割分担が別れてくるため、更に席が空いている/埋まっているの要素が強く出る。
- また、ポジションの特性上、「何が何でも試合に出たい、スポットライトを浴びたい」という、(いい意味で)エゴイスティックで我の強い、自分の可能性に自信があり、プライドの高い選手が多い(いいことじゃないですか。ストライカーはそうあるべきとも思うし)
- 同様の理由で、「何が何でも勝ちたい、優勝したい、強いチームでラクロスをしたい。しょぼいチームでプレーするのは嫌だ」、と強く考える選手が多い。従って、3-4年生でチームが明らかに優勝に絡めない事が見えた場合、移籍を考えるケースがより多い。EmalaやMcBrideのケースはそのケースじゃないだろうか。GeorgetownもPrincetonも沈み行く船感満載で、最後のシーズンで夢だったNCAA制覇を成し遂げないと人生を後悔する、少なくともその可能性を感じられる環境じゃないと、もう自分をこれ以上騙して頑張れない/心から燃えられない、みたいな気持ちになっちゃうのも想像が付く。
- 他のポジションと比べて相対的に、チーム戦術/スタイルと、自分のやりたい事/得意技の相性という要素が出易い。AT中心で攻めるのか、ATにどういう役割を求めるのか、ATがどういう形で点を取るのか、等の考え方にチーム間で結構大きなバラつきがある。従って、あるチームでは活躍できないが、別のチームではエースとして大爆発、という事が他のポジションに比べて相対的に起こり易い
- 他ポジションと比べ、専門性が高く、技術依存度が高いため、代替/育成が容易ではなく、一時的にATが不足しているチームからすると、喉から手が出るほど欲しいという、受け手側の事情も。特にこれだけcompetitiveなNCAA上位校の中にあっては、且つ、OFMFも含めて実質AT 5枚使いなんて事も日常化しつつある今となっては、3枚目のATが弱いということが結構大きな穴になってくる。特に数年間エースを張って来た4年生がゴソッと抜けた場合、トランスファーにより手っ取り早くその穴を生められるのはHead Coachとしては非常に助かる。
フェアで透明なルールの下、柔軟に選手やチームにとって一番最適な仕組みをどんどん取り入れていこうという姿勢が明確なNCAA。ファンや関係者、選手たちの間でもトランスファーに対する免疫/慣れが生まれつつある。特にFootball(アメフト)等を見る限り、才能ある選手が活躍の場を求めて移籍することで皆がハッピーになる、逆に移籍しないと才能が無駄遣いされてFootball全体にとって損だ、みたいな考え方も感じなくもない。Footballはもはや完全にセミプロ化してきており、選手やマスコミが、大学フットボール選手たちに奨学金だけじゃなく、給料も支払うべきか、という議論が公然となされ始めている。
多分今後この傾向は加速することこそあれ、戻る事は無い。今後どういう動きが出てくるか非常に楽しみでもある。
0 件のコメント:
コメントを投稿