2016年4月11日月曜日

NCAA 2016 #04 Syracuse @Duke

3月26日(土)のSyracuse (5位) vs Duke (11位)。

1. Background

Dukeは、2006年の現John Danowski HC就任以来、2010, 2013, 2014年と、過去6年間で3度優勝。現時点ではNCAAラクロスの世界でトップを走る学校。(ちなみにDukeはバスケでも大学バスケ最高のヘッドコーチ、コーチKことCoach Mike Krzyzewski=マイク・シャセフスキーがいる)

Coach Danowski氏は例年明確にChampionshipにピークを持ってくるピーキングの考え方を実行しており、シーズン序盤はあくまで学ぶべきことを学ぶ場として使っており、結構序盤に「え?この相手に?」という相手に負ける事が多い(レギュラーシーズン15試合なので、多少負けてもトーナメントに出られるので。この点、一つでも余計に負けるとPlay Offに出られなくなる日本の学生リーグとちょっと仕組みが違う)。今年も例に漏れず、この試合の時点でHarvard, Richmond, Air Forceと、明らかな格下チームに負けている。 トーナメントまでの準備期間も残り少なくなってきた中、どこまでまとめて行けるか。ちなみにAssistant Coachには息子で2008年の準優勝メンバー、MLLのMatt Danowski氏が入っている。

Syracuseは誰もが認める、大学ラクロスを引っ張ってきたチーム。NY州北部のラクロスの盛んなエリアで、NCAA史上最多の10界優勝を誇り、Gait brothersやPowell brothers等、過去のラクロス界を代表する選手を輩出してきた。が、2009年の優勝以来タイトルから遠ざかってしまっている。(Virginia, Hopkins同様、80年代、90年代の強豪校がここ数年苦戦している例の一つ)

2. Recap

またしてもアツすぎる試合展開。最初にSyracuseが先制して逃げ切るかと思いきや、Dukeがぐっと追いつき、逆転。その後Syracuseが気合で追いつきOT (Over Time)に持ち込み、最後はサドンデスの劇的幕切れ。

あれ?今年見た4試合今の所全部OTだ…やはり今年のNCAAラクロスはかなり面白い。

3. 注目ポイント

いくつか、記憶に残った選手を紹介。

実は今回意図的にDukeの試合を見たのは、一人、絶対に見ておきたかった選手がいたから。Duke #15 MF Myles Jones (Sr./4年)。MLL全体1位指名。身長196 cm、体重109 kg。ぶっちぎったサイズと身体能力の持ち主。すごいすごいという話は聞いていたが、実際に試合を見た事がなかったので是非とも見てみたいと思っていた。実際に今回の試合でもOFMFとして無双っぷりを発揮。単純に、でけえ&身体能力が違う。正直言って、小学生の試合の中に一人ぽつんと大人が混ざってる感じ。あれ?一人だけ巨人がいる…っていう。ボールを持ったら、一人でかなり高い確率で決まりそうなシュートにまで持っていける。相手が押してもビクともせずにズドンとシュートを打てる。この素材はえぐい。ザ・規格外。ただ、どうでしょう、例えば、Paul Rabilのような、でかさと身体能力に加えた、えげつない上手さは感じないか?強引なダッジからえぐいシュートを打ってくるが、洗練されたステップワークやパス、シュートの正確さを感じさせる訳ではない。シュートの精度にもちょっと不満が残る。荒削りのまま4年性になってる感じか?ただ素材としては文字どおり何十年に一度のレベル。MLLに行って急成長しないかな?きついかな?ただまあ単純にEntertainmentとして見てるだけで盛り上がるのは間違いない。

あと、Syracuse全体のBreakやUnsettled situationでのオフェンスの「楽しさ」は健在。HCのCoach Desko氏は、敢えてシステムや決め事を作らずに、選手の創造性を尊重して自由にやらせる事に定評がある。崩れた状態でのUpstate NY出身のStick skillに優れた選手たちの華麗なパス回しからの目の覚めるシュートは、やはり見てて最高に盛り上がる。ボックスラクロスのような華やかさがある。ポゼッション超重視、リスクを取らずに、丁寧に丁寧に崩してフリーを作る、決め事の多い現代ラクロスにおいて、個人的にはやはりどうしてもSyracuseを応援したくなる。

Syracuseのオフェンスはやはり皆Stick skillが高く、Agilityもあって相変わらず強力なのだが、今回一人「うおっ」と思わされたのが、#48 MF Seogio Salcido (Jr./3年)のダッジのキレ。一歩の大きさと速さ、鋭さが、明らかに群を抜いている。ダッジ一発で観客を沸かせられる。ダッジを強みにしたい選手は見習いたい。

あとは、全体を通して、Duke #4 AT Chad Kohan (Sr./4年)、#10 MF Deemer Class (Sr./4年)の4年生OFコンビがものすごく効率的に点を取っている。#15 Jonesに対してLSMFがベタ付きする中、空いたスペースでShorty相手に伸び伸びと得点を重ねている。特に7得点の大活躍を見せているClassのLeftyのダッジとシュートは圧巻。背負ってのシュート、かわしてのシュート、Time & Room (スタンディングでのシュート)の正確さ、速さは圧巻。反復して見直して参考にしたい選手。最後の試合を決めるKohanのクリースでの持ち替え二回で狭い空間で相手をかわしてのシュートも芸術的。

Dukeは明らかに一つ一つ課題を克服して、チームとして少しずつ完成度が高まってきている感じ。明らかにチームとして機能し始めている。恐らくこのままACCトーナメントでグッとまとめていって、5月のNCAAトーナメントで一気に優勝候補としての本領を発揮してくるはず。心配な点がいくつかあるとすると、Gがちょっとセーブ力に難ありかな、というのと、結構クリアがShaky(不安定)な感じがする点かな。この辺をトーナメントまでにどこまで修正してこられるか。OFは間違いなく強いし、今後もっと精度を増してくるはず。





0 件のコメント:

コメントを投稿