2010年8月28日土曜日

LXM PRO

(一瞬、私事で恐縮ですが、一瞬近況報告をさせて頂きます。ちいと仕事の方で動きがあり、今のボスの出世&転勤に引っ張られる形で今月いっぱいで同じく転勤に。同じ事業、同じボスの下で若干守備範囲を変え/広げつつ、西海岸のカリフォルニアから、東海岸のデラウェアにある本社に帰還することに。前回本社勤務だった際は近所のPhiladelphiaの街のど真ん中に住んでいたが、今回は通勤時間をセーブするべく、Delawareに住む予定。気候の素晴らしい南カリフォルニア、しかも「地上の楽園」とも称される風光明媚なSanta Barbaraを離れるのは正直悲しいが、一方で、ラクロスを含めたカレッジスポーツ/プロスポーツとの距離感がぐっと縮まることに加え、NY, DCにもサクッと行ける距離なので、楽しみではある。)

さて、今回は今までとはガラッと違う話題。ラクロス関連の新しい動き/面白い取り組みについての紹介。

LXM PRO

これまでアメリカでは、1987年に始まったインドアのNLL、2001年に始まったフィールドのMLLという二つのプロリーグが存在していた。ここに来て、LXM PROという、全く新しいコンセプトのプロラクロスのmovementが起こりつつある。個人的に、凄く共感する部分があり、その雰囲気やビジュアル、コンテンツとしての美しさが刺さったこともあり、是非もっと盛り上がって欲しいな/応援したいなと思ったこともあり、紹介させて頂こうと思う。

クイックに雰囲気を掴んで頂くためにはウェブサイトや動画を見て貰うと早いかな?と思うのでいくつか紹介。
 ● ウェブサイト
 ● 動画①(この空気。脳幹が痺れさせられる。子供達の笑顔!)
 ● 動画②(熱狂っぷりはこっちのが伝わるかな?)
 ● 動画③(ドラマThe HillsのLo Bosworth)
 ● ギア

所謂通常の「プロスポーツリーグ」とは全く異なるコンセプト。
●特定のホームは無く、各地を廻るツアー形式
●チーム、メンバーも固定ではなく、主要メンバー以外は毎回入れ替え
●シーズンも決まっておらず、年間に何回か行われるイベント形式。各都市での一発勝負
●Lacrosseの試合だけではなく、人気のバンド/ミュージシャンによるライブ、celebrityを呼んでのお披露目パーティー等のイベント盛りだくさん
●毎回ユニフォームやメットやギアのデザインが変わり、色使いやロゴがお洒落でカッコいい
●TwitterやFacebookといったSocial mediaをフルレバレッジして、流行やファッションに敏感なearly adopterたちを取り込み

と言うもの。動画を見てもらうと解ると思うが、毎回テレビで人気の若いCelebrityたちを呼んでプレスをやり、ギラギラした、チャラチャラした(悪い意味じゃなく)、なんかワクワクさせられるような、coolな/sickな/sweetな雰囲気を醸し出している。恐らくラクロスのことを全く知らないオーディエンスが見たとしても、「あれ?何かカッコよくて楽しそうなことしてるぞ?」と気になる/見てみたくなる空間を作り出すことに成功している。(もちろん、ラクロスを知っている僕が見ても、「ああ、このスポーツを知っててよかった…」と思わせられる。)

メンバー

現時点のメンバーを見ると、多くの元NCAAのスタープレーヤー、及び、つい最近までMLLの第一線で戦っていた選手たちの名前も見られる。何人か紹介すると:
 ● Casey Powell (Syracuse 98, MLL, NLL, Team USA)
 ● Kenny Nims (Syracuse 09, MLL)
 ● Kyle Harrison (Hopkins 05, MLL, USA)
 ● Joe Walters (Maryland 06, MLL, NLL, USA)
 ● Steven Brooks (Syracuse 08, MLL)
 ● Matt Ward (Virginia 06, MLL)
などなど。結構錚々たるメンバーが名を連ねつつある。個人的にはMikey Powellなんて凄くハマると思う。

設立の背景とコンセプト

元MarylandでLA在住のXander Ritzが、彼のコンセプトに賛同する仲のいいトッププレーヤー達と楽しみながら立ち上げたイニシアチブ。

立ち上げ時の記事を読む限り、裏には彼なりのいろんな想い、そしてそれに賛同したメンバー達のいろんな想いがあったことが読み取れる。

東海岸をベースにしてきたラクロスもここ10年で爆発的に全米に広がりつつあり、大学レベル、高校レベルでは西海岸にも多くのチームが生まれた。2008年の不況まで、西海岸にはLAとSan Franciscoという二つのMLLチーム、そして2つのNLLチームがあるという状況だった。が、そうは言ってもやはりまだスポーツとしてはマイナー。両リーグ共に安定した集客には苦しみ、結局不況後は解散してしまった。

それらの経験から彼らが感じたのは、
●ニーズは、ある
●見に来る奴も、プレーしてる奴も、いる
●そして、上手くやれば、lacrosseをプレーした事がない、見た事が無い一般のお客さんを取り込む事も出来る。

ラクロスはそれだけのポテンシャルを秘めたエンターテインメント/コンテンツだという事。

そして、

●1ヶ月に何回もある試合を毎回見に行くことはないが、仮に年に一度のお祭りイベントだったら?
●純粋なラクロスだけじゃなく、その前後のライブやパーティー、それらを全部ひっくるめた、一つのイベント/エンターテインメントとして売り出したら?
●もっともっとファッショナブルでsensationalな見せ方、作り込み方をしたら?
●そして、celebrityを巻き込んで、彼らから「お洒落でカッコ良くて新しいもの」というポジションを発信して行ったら?
というもの。

恐らく、ラクロスが成長し成熟する中で、競技としてどんどんレベルが上がり、コンペティティブになり、完成度が上がって行く現状への疑問、そして、より真剣に、そしてより敷居が高くなりつつ有るNCAAやMLLへのアンチテーゼもあるんじゃないかと想像する。

もちろんそれら本流の、最高峰の、競技としてのラクロスは絶対に必要だし、そこがベースだし、それはそれでrespectしながらも、「いやいや、待てよ、lacrosseってそれだけじゃないぜ?もっと肩の力抜いて、純粋に楽しめる、お洒落でカッコいい最高の遊びなんだよ!」という考え方。彼自身、記事の中で、「MLLやNLLとは競合するとは考えていない。自分たちはまた別の形でラクロスを広める使命がある。自分たちはNBAやNFLといったハードコアな競技スポーツではなく、(SkateboardやSnowboardのような、ストリートスポーツ、ファッションやストリートカルチャーと強く結びついた)X-Gameのようなコンテンツを目指したい」と語っている。

そこに丁度彼自身のお気楽でノリノリなpersonality、LAという立地やそこで彼が感じたWest coastならではのラクロスやスポーツや人生そのものの楽しみ方をミックスした形で始まったプロジェクト。

毎回各都市でのイベント毎に、LXM 949 Orange CountyやLXM 610 Philadelphiaのように、その都市のエリアコード(日本で言うところの市外局番。東京03や横浜045、名古屋052みたいな)を冠し、ロゴを作っている。んでまたそのロゴがかっけえ(リンク。下の方)。

丁度今週末の明日、Philadelphiaでのイベントが行われる。引っ越しが間に合えば是非見に行きたかったが、引っ越しは来週なので残念ながらニアミス。

気になる今後

まだ立ち上がったばかりで、果たして今後定期的/継続的に集客し続け、movementとして確立して行くのかはまだ未知数。ただ、個人的には、素晴らしいイベント、取り組みだと思うし、ラクロスの持つ競技としての素晴らしさだけでなくそれを取り巻く空気やファッションをも伝え、それをラクロス関係者だけではなく一般のaudienceに露出/浸透させて行くという意味に於いては最高のチャネルだと思う。是非応援したい。

もちろん、これ「だけ」じゃダメで、ハードコアな競技としての土台は必要。でも一方で、基本経験者の中で閉じてしまうNCAA/MLLだけでもだめで、この二つが両輪として機能する/相互にフィードする関係を築く事が必要なんだと思う。(頭の固い東海岸の古いファンの中には、「こんなチャラチャラしたのlacrosseじゃねえ!スポーツの品格を貶める!」なんて批判をしてる人たちもいるみたいだが、個人的な意見としては...、まあ、いいじゃん、もっと純粋にlaid-backで新しいこと楽しみながら試せばいいんじゃない?とも思う。そういう内向きに閉じたところが自らのクビを締めてる部分も多分にあったと思うし。)

Xander Ritzへのインタビューが今週のInside Lacrosse Podcastでフィーチャーされていた(リンク)。西海岸らしく、laid-backで、人生を楽しむ一環としてLXM PROをやっていることがよく解る。こういった形で、個人の利害やお金を越えたところで、純粋な、楽しみたい、いいものを伝えたい、新しい物を創りたい、伝えたい、そういう想いやvisionや情熱を持った一人の人が動きだし、それに共感した周りの人が巻き込まれ、どんどん人々を共振させ、それが大きな大きなmovementになって行くと言う一つのリーダーシップの形。見ていて凄く感動するし、ポジティブなエネルギー/勇気を貰える。

と、いうLXMの紹介でした。アメリカのラクロスを見る中で、ずっと感じていた、「本当の良さ、素晴らしさは、実は選手やプレーのレベルの高さじゃなくて、こういうカルチャーやファッション、そしてこういう『Enjoy Life!!』な空気の中にこそあるんじゃないかな?」という気持ち。そしてそれを現役の皆さんに少しでも伝えられたらいいな、そしたらきっと皆今よりも更にもっと楽しく強くなるだろうな、という想い。それらを解り易くそこだけ切り取って結晶にしてくれたような気がして、一ファンとして何だか嬉しかった。

いたる@13期

0 件のコメント:

コメントを投稿