2011年3月7日月曜日

NCAA 2011 Game Review vol.05 Princeton @Hopkins

Quick update

Princeton-Hopkinsの前に、週末にもう一つ行われた大きな試合をアップデート(ILのDiv 1 scoreboard)。Maryland @Duke。ESPN3 (Online)で放映していたので、ジムでとことこ歩きながらまったり観戦。MDは前週のGeorgetown戦で20-8の圧勝、一方のDukeはここまで若手主体で経験不足のため苦戦続きで、先週はU-Penn相手に誰も予想しなかったまさかのupset。試合前はどうせMDの圧勝だろうとタカを括っていた。

が、何と、予想に反しDukeが超善戦。一進一退の攻防の末、試合終了3秒前に同点に追いつき、OTで逆転。大金星を挙げた。結果が大きくバラつきがちな2-3月のearly season lacrosseを象徴する出来事だ。

見ていて非常に考えさせられるところがあり、また選手/コーチ/チーム、そして一個人として、メンタル、戦術等いくつかの点で学べる部分があったのでクイックに紹介。
  • 最初の数試合上手く行かなくても揺らぐ事なく、無駄にセルフイメージを小さくする事無く、自分たちがやるべき事をやり、シーズンを通して変化し、一試合一試合切り替えて全力を尽くす姿勢。これをDukeのチーム全体から強く感じた。コーチJohn Danowskiの指導力による部分も大きいんだろう。
  • 戦術的には、Marylandをよーく理解し、強みを確実に潰す対策を立てられていた。ほうっと思ったのが、
  • ①OF MF達の攻撃力を封じるために、AT #1 Grant CatalinoにはShortyを付け、その代わりOF MF 2枚にpoleを付ける。確かに、Big-Cat (Catalino)はスタンディングでのシュートは神だが、ぶっちゃけダッジ力は無い。純粋なシューター(JHUのWhartonも近い)。ショートを付けても全然守れちゃう。これにより、相当MarylandのMFからの崩しを防げていた。
  • ②ペースをコントロールし、とにかく無駄なリスクを取っての変なターンオーバーをせず、切り替えでは鬼ダッシュで戻り、絶対にMarylandにfastbreakを出させない。先週のGeorgetown戦で大量得点の源泉となった高速breakの絵がほとんど見られなかった
  • ③Face offの強さ。去年の決勝の映像を見た皆さんは記憶に新しいと思うが、OTでFO決勝戦を決めた#9 3年 LSMのCJ Costabileが、自らFOをやり、ロングスティックを生かして拾いまくり、または少なくとも相手に拾わせない。機動力のあるPoleにLong stick face offをやらせる事の効果を体現していた。Marylandが先週の試合でGeorgetownをカモりまくっていたのがこのface offからの直接得点。これを完全に封じたのは大きい。
  • ④終了前3秒での4年生AT #21 Zack Howellの魂の、気合いのねじ込み。
  • ⑤最後に印象的だったのは、この試合で初めてスタートしている大型ルーキーで、Quinzaniの後継者とも言われる#31 Jordan Wolf。Over timeでtime out後にリスタートでボールを持ち、思いっきり1 on 1を掛け2人交わしてcome aroundから完璧なシュートを叩き込んだ。1年生とは思えないハートの強さ。すげえ。
正直MDはちと慢心が生じてしまっていた部分もあると思うので、これを機にJohn Tilmanの下引き締め直して来るだろう。一方のDukeは思ったよりも早く形になって来ている感じがする。今後暫く格下との試合が続くので、少しずつ自信を取り戻しつつ、チームとして成長して行くだろう。上級生がごそっと抜けたチームとして、僕個人としては勝手に今年の東大と部分的に重なる部分があると見ているのだが、ここから1シーズンで一体どこまで成長して行けるのか、純粋に興味がある。


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Princeton @Hopkins

こちらも伝統の一戦。名門対名門。Princeton Tigers対Hopkins Blue Jays。Hopkinsは今回初めて10位以内に入って来るような強豪との対戦。これまで格下クラスに成長を見せて勝って来たが、ある程度強い相手にどう戦えるか。

両チームのプレビュー: PrincetonHopkins

IL Videoでのプレビュー(リンク


ESPN U College Lacrosse PodcastでのCoach Petro Interview
  • QuintがHopkinsのHC Dave Pietramalaにインタビューをしていた。いくつかこれまた面白い&学びのあるコメントがあったので紹介。
  • ここまで3試合を通して、勝ったものの、いくつか課題が見つかって来た。2週間の間かなりタイトな遠征も含めた試合だったため、正直時間を見つけられず、スカウンティングに基づく相手への対策続きで、それら自分たちの課題を十分に修正出来ない状態だった。ここに来て、今回のPrinceton戦前にまるまる一週間間があったので、シーズンが始まって初めて、Strength trainingも含め、自分たちの課題に初めて集中出来る時間が持てた。
  • (→こうやって、そもそも相当相手に合わせたスカウティング/対策をやるものなのね、という話や、やはりシーズンを通してスケジュールをマネジしながら、タイトな試合の合間を縫って何とかやり繰りしてやらざるを得ないのねと言った辺り、NCAAの台所事情が垣間みれて面白かった)
  • John RanaganとJohn Greeleyの2年生MFコンビが調子出てきましたね、というコメントに対し。去年はやはり一年生で試合に出て、#15で4年生のMike Kimmelら上級生に頼りっぱなしという感じだった。今年大きく良くなってるのが、二人がお互い二人の位置や状況を非常によく察知出来るようになって来ている事。去年はKimmelばっかり見ていて、お互いを生かしきれていなかったが、今年はそこが改善されて来ている。
  • 昨年Bill Tierneyの後釜としてDrexelから赴任したPrincetonの新コーチChris Bates。彼の事を指して。BatesのやっているIndoor Lacrosseの戦術を思いっきり生かした、2 on 2主体でピックを多用するスタイルは非常にユニークだと。それを初めてNCAAで使えるレベルにまで昇華している点で尊敬に値すると。十分に対策したい所だが、HopkinsのDFは若手中心なので、余り相手に合わせようとするあまり自分たちの基本を見失っているリスクがあるので、まあ、基本的なピック対応の延長としてやるしかないねと。

結果と感想

うーん...ここまで何試合か見て、去年の弱小っぷりからはかなり成長したように見えたHopkins。結構善戦するんじゃないかと思ったが、やはり厳しかった。オフェンスではPrincetonの鉄壁のDFに対し全く歯が立たず、ほぼ完封。加えて、去年1年間の学習期間を経て、かなりハマりつつあるPrincetonの2 on 2オフェンスに対しても、結構頑張るがやはり得点を許し、8-3で敗北。3得点はちょっと涙目な得点だ...ATがかなり厳しい...Princetonくらいの強力なclose DFに対して抜ける選手がいない。また、そうなった時に若さが出て、明らかにメンタルに揺らぎ、しょうもないターンオーバーを繰り返してしまう。ちょっとその辺は反面教師になるかなと思った。(まあ、もちろん非常に高いラクロスをやっている中での話なので、そういう言い方はちとおこがましいが。)

一方で、PrincetonのDFは非常に参考になると感じた。Notre Dameと並び、恐らくDF陣の皆が見て学ぶべきチーム筆頭じゃないかと。#3 3年John Cunningham、#9 3年 Chad Wiedmeier、#41 4年Long Ellisら個が非常に強い。一人一人のDFもポジショニングもズレず、しっかり脚で着いて行けている。チェックのプレッシャーも凄い。そして圧巻はチームディフェンス。スライドのタイミングや判断も完璧。行くと決めた時は全く迷いが無い。そして、スライドのスライド、そのまたスライドと、全体が繋がった鎖の様に奇麗に連鎖してローテーションする事で、全くフリーが生まれない。クリースもギュッとパックしてプレッシャーを掛け、ほとんど隙を見せていない。

そして、それを統率する3年Goalie Tyler Fiorito。彼のセーブも素晴らしい。Goalieが見てセーブの技術や、DFのコントロール等を学ぶには非常にいい試合だと感じた。無茶苦茶声が出てて、DFを指示する様が相当カッコいい。ああ、守護神ってのはこういうことなのねと思わされる。Gの選手は是非見てみて下さい。

試合での見所

またしても試合そのものとは関係無いが、Princetonの今年のAwayのギアやユニフォームがカッコいい。卒業生のDavid Morrowが創立したWarriorの全面バックアップを受けるPrinceton。ユニフォームからギアから全てがWarriorで統一されている。結構インパクトがあったのが、先日のIL Game Day Gearの記事で紹介されていたBlack Outユニフォーム(リンク)。一番カッコいいと個人的に感じたのが、マット仕様のブラックのTIIヘルメット。つやが無く、つるっとした光を消し込んだ形。深さと重量感が出る。(スーパーどうでもいいが、ぱっと思い出されたのは懐かしのZOIDの初期の帝国軍のアイアンコング。)

Princeton 1点目、右から表側に思いっきり横断する形でsweepして、スライドを引きつけて逆サイドのフリーの選手からシュートの動き。チームオフェンスとして是非持っておきたい教科書通りの攻め。

上手く行かない試合でのHopkinsのCoach Petroのキレ方がまたしても半端ない。審判に対しても激昂しまくり。頭から湯気が出てるかのような錯覚に陥る。選手たちが若干ビビって萎縮し、セルフイメージが小さくなりまくっているのが手に取るように解る。これやってる限り絶対格上に対して伸び伸びとやって番狂わせを演じるのは難しい気がする。しかも、こういうの慣れてない今時の子達はこのテレビで試合の映像を見て、Hopkinsでプレーしたいとは思わないだろうな...親もちょっと不安になっちゃう気がする。「いやいや、鬼軍曹みたいなコーチの下でしばかれた方が息子のため」なんて親も減ってるだろうし。リクルーティングで苦しんでいるのも何となく納得。

2Q残り1分Princeton #8 3年AT Mike Grossmanのインサイドロールからのシュートが非常に参考になる。手前でロールせずに、かなり表の方まで思いっきり抜きに行って角度を作り、鋭くロール。その後スティックを守りながら、そのまま外に流れるのではなく、さらに内側に一歩グイッと入って角度を作ってシュート。

3Q #10 2年 MF Jeff FroccaroによるPrinceton 7点目。HC Chris Batesの提唱するインドアスタイルの2 on 2のピックを多用するスタイルの真骨頂。動きの中でピックを連続で掛け、クリースでがら空きを作り、Canadianショットで簡単に得点。

3Q DFの長いディフェンスのあとのHopkinsのチェイス時の鬼ダイブの気合いが凄い。こういう努力の積み重ねでポゼッションを奪えるという例。

4Q半分くらいからのHopkinsの10 men ride。3点目を生んだライドは上手く行った例として参考になる。

てな感じで8-3でPrinceton勝利。いやいや、ちょいと待てよと。冷静に考えると、3失点って...これ結構恐ろしいことだ...Hopkinsのオフェンスは決してしょぼくない。ここまで10-20点取って勝って来ている。それをサッカースコアに抑えている。ILの記事曰く、Overall, it was the fewest goals the Blue Jays had scored since a loss to Army in 1966.。DFの選手の皆が見て学びたいことは相当多いはず。

Coach Petroがこの後ロッカールームで選手たちに怒鳴る姿を想像すると恐ろしい...

ESPNでのハイライト(リンク

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