2011年3月16日水曜日

Virginia HC Dom Starsia Interview

Glory days blog podcast

ILのPodcastで、Glory daysというインタビューシリーズがある。ラクロス界のシニアなコーチや元選手、関係者にインタビューをし、昔のラクロスの試合や、往年の名選手、ラクロスの歴史や、彼ら自身のラクロスキャリアや四方山話を聴いて行くと言うもの。

昔のラクロスが今のラクロスへと、どうやって大きく進化して来たのかなどの事情を知ることが出来る。

Virginia Head Coach Dom Starsia

その中で、先週、UVAのヘッドコーチ、Dom Starsiaのインタビューが載せられていた。非常に学びが多く、また感銘を受ける点も多い内容だったため、いくつかかいつまんで紹介。Wikiのリンク

記事とPodcastのリンクはこちら。英語のリスニング力アップも兼ねてiPodに落として聴いてみてもいいかも。今後の世界の構造を考えると、ほとんどの仕事で英語を仕事で使えるかどうかで明確に得られるオポチュニティに差が出てしまうので(それはビジネスに限らず、スポーツでも芸術でも学問でもエンターテインメントでも)。そしてその構造は加速する事こそあれ、巻き戻されることは絶対に無いので。ラクロスという楽しみながら英語に触れられるせっかくの機会を利用しない手は無いので。

以下、印象に残ったコメント

彼自身のラクロスとの出会い、選手としてのキャリア
  • 元々は高校までアメフトの選手で、70年に入学したBrown大学にもアメフトの選手として入学した
  • ところが、そこでラクロスに出会い、文字通り、一発でハマった
  • 特に、アメフトではwide receiverで、余りボールを持って走る事が無かった自分に取って、ボールを持ってフィールドを駆け回れるというのは最高の楽しみだった。
  • その後クラスメートのラクロス選手だったNative Americanの友人と一緒に暫くReservation(Native Americanの保護区)にステイしたりして、そのスポーツの魅力にどっぷりハマった。
  • あの木のスティックの木や皮のの感じ。Native Americanが受け継ぐ魂や歴史、全てが自分に取って最高のスポーツだと思えた。
  • Brown lacrosseでは持ち前のサイズと身体能力を生かし、DefenderとしてAll Americanに。

コーチとして
  • その後74年にBrownでコーチをやるに当たり、当時は大学スポーツとしてのラクロスも今程大きかった訳でもなく、サッカー部のコーチとラクロス部のコーチを兼業していた。
  • 実は今の大物コーチの多くもこのパターンを取った人は多いとのこと。Princeton-DenverのBill Tierneyも同じだったと言う。(ちなみに、サッカーW杯でアメリカを率いたBruce ArenaもVirginiaでサッカーとラクロスのコーチを同時にやっていた。)
  • コーチの仕事は、ある意味、セールスマンの仕事に似ている部分もあるとのこと。選手やスタッフをまとめ、convinceするプロセス。人間の行動を変えるプロセス。正しい戦術や知識を持っているだけではスタートラインにしか立てない。最後は結局人の行動を変えるという、極めて人間の本質に関わる仕事。
  • 当初自分がラクロスのコーチを一生の仕事にするとは思っていなかった。ただ、自分は、ロッカールームが凄く好きだった。そして、若い選手達と関わること。彼らに影響を与えて、彼らを人間として、選手として成長させることが凄く好きで、やりがいを感じ、そして次第にそれが自分の仕事だと感じる様になった。
  • リクルーティングは今の大学ラクロスに於いて非常に大事な位置付けにある。そして、凄く大変。全米を回って選手を見極め、話して勧誘する必要がある。ただ、自分は、(それを全部楽しんでいるとまでは言わないが)少なくとも、凄くそれが好き。選手と話し、親と話し、自分がやチームが彼らに何を出来るのかを話し、納得してもらい、Virginiaを好きになってもらい、来てもらうプロセスが好き。
  • Virginiaに来るような選手は、ほぼ全員例外無く、高校まではスーパースター。神童として持ち上げられ、王様としてプレーして来た選手達。ある意味Virginia大学での練習は、その我の強さ、エゴ/我がままをいなし、チームとしてプレーする事、エゴをコントロールすることを教える場。多くの選手は大学4年間でそれを学び、アジャストし、チームプレーヤー/チームリーダーへと脱皮して旅立って行く。でも何人かは結局変わらないまま卒業して行く。でも、そういうもの。そしてそのエゴはある意味健全なものだとも思う。それが無いと始まらないので。「俺がやってやんよ!」という強い「我」がある事が前提。それを如何に正しい方向に導くか。
  • (ちなみに、インタビュアーのILのJeff Dudleyのコメントが面白かった。後にVirginiaを99年の優勝に導き、MLLでMVPに輝いたATのConor Gillを高校時代にコーチする機会があったらしいのだが、当時から完成されたプレーヤーだったGillを見て、他のコーチと、「うん。彼は凄過ぎる。俺らが下手にいじくって変なことになったら大変だ。大学レベルのちゃんとしたコーチに預けるまで、少なくとも彼をダメにしちゃうことだけは避けよう。彼のやりたいようにやらせよう」と話したとのこと。「Conor、今日もいいね!あのさ、シュートはさ、毎回上に打つんじゃなくて、たまにはちょっとバウンドで打ってみてもいいんじゃないかな?」ぐらいしか教えなかったと...)

今のNCAAラクロスのルールについて
  • 今のNCAAのルールに関して、自分はよくshot clock導入の支持者だと見られているが、自分は単純にラクロスをより魅力的なものにしたいだけ。shot clockは最もシンプルで、フェアで、試合を面白くものだと信じる。(既にMLLで導入されている)2 point lineも同じ。
  • 自分のVirginiaやSyracuseは、攻撃力があり、スピードと爆発力があるラクロス。VirginiaはRun & gunの代名詞。でも、今のルールをベースにすれば、Notre Dameの様に、ローペースで保守的な戦術を取るのは理解出来る。それが劣っているとも卑怯だとも思わない。去年のDuke-Virginiaの準決勝は点の取り合いで素晴らしいゲームだし、決勝のDuke-Notre Dameはまた別の意味で非常にレベルの高いラクロスの試合だったことは事実
  • 近代ラクロスでは、Defenderがより大きく、よりathleticになり(高い身体能力を身に付け)つつあり、例え攻撃力のあるATであっても攻略するのは容易ではなくなりつつある。それに伴い、Shorty相手のMFから攻める、invertで攻めるという合理的な考え方がどんどん主流になりつつある。昔のようにMFはひたすらGBを拾って前後のコートをひたすら行き来してボールを運ぶ人、オフェンスはATがやるもの、という考え方は薄れつつある。如何にMFで攻められるかが非常に重要になって来ている(Paul RabilやKevin CrowleyやShamel Brattonを見ても解る通り)。

最も凄いと思う選手
  • 今まで見て来た中で最も凄いと思う選手は?という質問に対し...
  • 一人目はやはりSyracuse '90で四度のWLCでCanada代表の主力を勤めた、史上最高のプレーヤー、ラクロスのMichael Jordanとも言われるGary Gait(現Syracuse女子HC。先月NLLのRothester Knighthawksを引退し、約20年のプロ選手生活を終えた。)。間違い無く。最も大きく、身体能力が高く、技術もあり、全てが出来、どこからでも点が取れる。一人だけ別次元。弟のPaul Gaitがその次。
  • それから'09 Cornellの主将、Max Seibaldも非常に印象に残っている。プレーだけではなく、リーダーとしての資質、人格として。彼は正にチーム全体を鼓舞し、チーム全員の力を引き上げる事が出来る、真のリーダーシップを持った稀有な選手だと思う。
  • そして、最近で言うとやはり昨年の準々決勝で対戦し、今年はMLLにドラフト1位指名され、Virginiaと再び闘うことになるStony Brook 4年のMF Kevin Crowley。上手い事は勿論だが、自分が一番評価しているのは、全てをやること、そしてフィールドに残り続けること。チームの勝利の為に、ディフェンスはもちろん、自分の体力が許す限りフライしないでフィールドでプレーし続ける。その姿勢は素晴らしい。

などなど。こういう、普段試合の映像で難しそうな顔をしてベンチで指揮している姿しか見ないコーチ達の裏側や人生、哲学が垣間見えるこの手のインタビューは非常に興味深く、学ぶ事も多い。

2 件のコメント:

  1. こういう裏話はホント面白いですね!エゴの話とかあまり日本では聞かないですしなるほどなるほどと感心しまくってました。

    日本は地震で大変ですがどしどし更新して頂けると最高です!みんないたるさんのブログ読みまくってますのでこれからもがんばってください。

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  2. うえの
    おう。ありがとう!梅ちゃんや守家からいろいろ大変と聴いてるよ。試練は人を育てるのは間違い無しなので、与えられた環境を楽しみながら、引き続きフローなメンタルで頑張ってくれ!こっちも応援してるので!

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