2011年2月20日日曜日

NCAA 2011 Season Preview #5 Duke

Quick update

開幕2週目。OnlineでJHUの試合とUNCの試合を観戦。早速、恐れいていたupset(番狂わせ)が。Pre seasonで3位にランクされながらも相次ぐMF/LSMFの怪我で1年生依存度が高くなり、初戦もRobert Morrisに辛勝と、かなり雲行きが怪しくなっていたNorth Carolinaが、中西部の新興校Ohio Stateに13-8でUpsetをくらった。試合を見ていた感じ、①Ohio Stateがそこそこ強い。特に去年のUnder Armour All America(高校オールスター)で目立っていた1年生軍団と、Canadian達が結構やる。②UNCが、かなり、しんどい。ぶっちゃけ。思った以上に厳しい。Billy Bitterに相手のエースDFが付いて早めスライドされると、MFが薄過ぎて一気に攻め手が無くなる。Bitterも頑張っているが、やはり怪我をする前の09年シーズン程の爆発力を感じない(MLLでやっていけるのか?)...Gも弱い上、致命的な事にクリアの成功率が低く、turn overが多過ぎる...結構UNCはきついシーズンになるかも、という気がして来た。やっぱり強い上級生が一握りしかいないと、どうしても苦しくなる。大事です、穴の無い強さと層の厚さ。

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#5 Duke

さて、去年の優勝校。Defending Champion。Duke Blue Devils。僕は個人的にこの5位という順位は間違い無くoverratedだと思う。本来は10位前後じゃないかと。(Quintも同様の指摘をしている)

Rape scandal(冤罪)による出場停止の1年を経験した最後の代、Ned CrottyやMax Quinzaniら率いる5年生と4年生合わせて16人もが卒業。得点源の6割、Close DF 3枚に加え、多くの主力選手をごっそり失う。ほぼ全員が新人/去年までの脇役という布陣で挑む。例え才能ある選手を多く抱え、現NCAA Div 1最高のコーチの一人であるJohn Danowskiと言えども、さすがに大きな後退は避けられないと見ている。但し、身体能力の高い、才能ある下級生が多く、彼らが今年経験を積む。来年、再来年再び優勝争いの舞台に戻って来る可能性は十分にある。

MLLドラフト指名選手(リンク

MLLで指名を受けた4年生は2人。しかも結構下位。やはりCuse, UVA, Marylandに比べると4年生の厚さが圧倒的に落ちる。
  • 26位 Rochester Rattlers: #11 Tom Montelli LSM
  • 46位 Boston Cannons: #21 Zack Howell A
Rosterのリンク

Mark Dixonの解説(リンク

  • 今年のOFを率いるのはAT #21 Zack Howell。去年まではQuinzani/Crottyがガンガンに崩してパスしてくれたので、フィニッシャーとして機能していた。見た感じやろうと思えば自分でもガンガン抜ける力はある。オフェンス全体をクリエイト出来るか。
  • 1年生では、去年DVDを送った高校All Star、Under Armour All Americanでも最も目立っていた#31 Jordan WolfがMax Quinzaniの後を継ぐと言われている。すばしっこさで勝負するスタイルは正に。
  • MFでは去年play offで結構点を取っていた3年#12 Justin Turri。
  • DFは3人入れ替え。LSMでFinalの延長で決勝点を決めた CJ Costabile。
  • Gは1年生で優勝を経験した#4 G Dan Wigrizerが恐らくシーズンを通して先発するはず。
以上。なるほど、ここまで聴きながらメモって、確信したが...明らかに、スター不在。

John Danowskiインタビュー(リンク

先日US Lacrosse MagazineのPodcastでDanowski(父)のインタビューがあったので紹介。これまでいろんなインタビューや記事で彼の言葉に触れる中で、本当に傑出した人物、素晴らしいコーチであることを強く感じさせる。
  • 心の存在と、その心が持つ重要さを心底理解し、それをしっかり強く、しなやかに、ポジティブに育てて行くことを重んじている。
  • 選手一人一人に個別に誠実に接し、一人一人の個性と人格を尊重し、acknowledgeし、respect/appreciateし、支援することで、個々人の才能を最大限に伸ばし、後の人生にもポジティブな影響を与える。
  • 練習でも、選手たちの自主性を重んじ、彼らと相談しながら、一緒になって考えながら作って行く。
  • あくまで大学4年間は教育と人格形成の場。勝てば/優勝すれば終わり・ラクロスだけしてればいいという訳ではない。しっかり学問も、スポーツ以外もしっかりやるのが本道という考え方。
  • 多くの選手や卒業生が彼に心からの感謝と尊敬の言葉を惜しみ無く捧げ、多くの選手の父兄が「彼の下になら息子を送って4年間を送らせたいと心底思う」と言うのにも頷ける。
今回のインタビューを聴く中でいくつか印象に残ったのは以下の点。
  • 06年のレイプスキャンダル(冤罪)を経験した最後の世代が卒業し、やっとそのネガティブな見られ方から解放される年。
  • 明確に、スター不在。突出した個はいない。言うなれば、全員一丸で、Committeeとしてプレーするスタイル。
  • でも、逆にいい点は、皆それを解っている点。1日目から、「去年の優勝チームはもう過去の話。俺たちは完全に別のチームで、これはまたゼロからの挑戦」と、Hang over(二日酔い)ゼロで奢り無く、躊躇無く切り替えられた。(ポジティブだ。)
  • 今年のチームは、athleticism(身体能力)は過去最も高い。また、最も均質。レベルのバラつきが小さい。「そこそこ」の選手が無数にいる。ただ明確に弱みは経験値。
  • また、インタビューの中で、秋の間のウェイトトレーニングの実績やそこでの取り組み、成長を事細かに選手ごとに覚えており、それを名指しで数字を上げて褒めているシーンが非常に印象的だった。一つはそこまでウェイトトレーニング/フィジカルを重視しているという点、もう一つはそこまで個別に選手のことを良く見て、成長を褒めて上げている点。ここで名前を挙げられた選手は間違い無く大きなセルフイメージとセルフコンセプトを手にし、より大きく成長しようと頑張るはず。ちなみに、小柄な(175cm/77kg)Jordan Wolfのベンチプレスは、入学したての1年生で既に250lbs(115kg)と言っていた。なかなかインプレッシブ。
  • DukeはアカデミックのチャレンジがACCの中でも高く、高校時代にいい成績をより長い期間取り続ける必要があり、リクルーティングの難しさが若干ある。
  • 今年もHarvardから一人来ているように、毎年1-2人Ivy Leagueからのトランスファーがいる。Ivy Leagueから来る選手達に共通するのは、当然学問的に賢い事、そして、わざわざIvy Leagueの名門校からラクロスのためにDukeに来るという選択をするだけあって、ラクロスに懸ける熱さが尋常じゃない。(こうやって他校から志願して彼の下でやりたいからと転校してくる選手が多いのもDukeの特徴。これもJohn Danowskiのコーチとしての実力と人徳の為せる業だろう。)
「学年の波」のマネジ

さて、タレントが密集した上級生がごそっと抜けた後のリバウンドの年。どうマネジするのか。そこだけを見れば、ある意味今年の東大に状況が似ていると感じる。

学年の波をどうマネジするのかはラクロスに限らず全ての大学スポーツに共通するチャレンジだろう。サステイナブルに毎年勝ち続けるのは簡単ではない。強い塊の世代があれば強いが、その下が経験不足になる。逆にタレント不足で低迷を続ければ、強くて数の多い下級生が入れば経験を積め、数年後にブレークするきっかけにもなる。強くて太い人材のパイプラインを毎年維持し続け、下級生時代に確実にモチベートし、育成し、試合経験を積ませる仕組みを組織として如何に作り込むかの勝負になる。ここを環境や運に預けてしまっては、「たまたま優秀な素材が集まったら勝てるけど、そうじゃない年はパッとしない」という、典型的な中堅校のトラックレコードに陥ってしまう。如何に意思を込めて人為的に「常勝」を作り込むかのゲーム。

(その好循環に乗れているのは、やはりSyracuseだろうか。毎年確実に有能な選手を塊で抑え、加えて上級生でのトランスファー(転校)も集まって来る。築き上げたブランドと立地(CanadaとUpper state NY、Long Islandへのアクセス。若干昔の石油等の天然資源争奪戦のGeopolitics/地政学を連想させる...)も影響している。今年の1年生レベルのパイプラインを維持出来ればNorth Carolinaもそうなって来るかも知れない。TambroniのPenn Stateも近くそうなるだろう。逆にその常勝サイクルが回らなくなっているのがHopkinsとIvy League。)

去年、同じく全米制覇を成し遂げたDukeのバスケ部は、今年何人かの主力が抜けたにも関わらず、残った下級生と強い新人のパイプラインにより、今年も再び優勝を狙えるポジションにいる。現NCAAバスケ最高のコーチ、US代表も率いるCoach KことMike Krzyzewski [マイク=シャシェフスキー]の名コーチたる所以だろう。Coach Danowskiには、この劣勢と、「今年はダメっしょ」と言う世間の見方を跳ね返せるだけの「何か」を感じる。去年だってプレーオフであれだけ無敵だったDukeも、シーズン前半はボロボロだったが、シーズンを通して成長し、ビタッとプレーオフにピークを持って来た(逆にUNCは前半独走、後半消耗して一気に失速)。個人的にシーズンを通して見守りつつ、応援させて頂きたい。今年は4月3日にNYで行われる集客試合イベント、Konica Minolta Big City ClassicでDuke-Syracuse戦を会場で観戦予定。今から楽しみだ。

個人的な見立て

個人的な予想は...まず、大前提として、ぶっちゃけ一番読めない。今年のDukeは。余りにも去年試合に出てたメンバーが少な過ぎて。Ned CrottyもDanowskiコーチも、「素材は物凄い揃ってる」と言う。ある程度本当なんだろう。でも自分のチームだし、当然バイアス掛かってるはず。

シーズン当初は多少ぎくしゃくしながらも何とか乗り切りつつ、後半に能力は高いが経験不足の若いメンバーが経験を積んでグッと強くなる。一方で、やはりCuse, UVA, MDの壁は崩せず、プレーオフは進出するも、2回戦で上記3チーム辺りと当たり、Best 8で消え、今年はMemorial Day Weekend (Final 4)には進出出来ない、というパターンじゃないかと。但し、来年再来年はまたSerious contenderになってくると。

今年の一発目、明日20日に行われる去年の決勝の再戦、Notre Dame戦が大きな試金石になってくる。もし本当に凄い選手達が、たまたま去年偉大な4, 5年生の陰に隠れて見えてなかっただけで、実はまるまるもう一チーム分の優勝候補校の選手が隠れてました、なんて事が判明したら、一気に勢力図が変わって来る。

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