2011年6月30日木曜日

MLL 2011 vol.08 Long Island Lizards @Denver Outlaws (6/25 @ESPN3)

うおおお....ここまで差があるとは...ここまでDenver Outlawsが圧倒するとは。思わず唸ってしまった。超タイトだ。穴が無い。ATが超強力。DFも固くてGの#19 Jesse Schwartzman (Hopkins 07)も隙無し。

LIもJohn Grant Jr.の加入以降、上り調子に見えたが、Denverが18-11で圧勝。明らかに各の違いを感じさせた。

スコアボード

印象に残ってるのは、

Denver Outlaws (Roster)
  • マジでつええ。連携が素晴らしい。全体が統一された意思の下に、素晴らしい連携を見せている。各人が役割をよーく理解してフィジカルで効率的なラクロスをやっている。
  • ATが明らかにMLL最強。今回はRookie #10 AT Billy Bitterは欠場。怪我かな?が、#2 Brendan Mundorf、#14 Drew WesterveltのUMBC-Philly Wings-US 10代表コンビが強力過ぎる。Mundorfは相変わらずXからのダッジのChange of Paceが鋭く、その後の爆発的スピードに誰も付いて行けていない。脚力、体幹の強さ、体軸のぶれなさ、ボディバランス、アスリートとしての完成度が高い。Westerveltも要所要所で鋭いフィード、ロングシュートで貢献。
  • しかし、今回最も印象的だったのが、2年目#88 AT Connor Martin。前回も紹介した、別名Con Bro Chillというミュージシャンとして新曲がiTunesでも100位以内に入り始めている。が、今回の試合で爆発的に活躍。5得点。身体能力がずば抜けて高く、動きがクリエイティブで野性的。直感力が凄い。現MLLで唯一の非NCAA出身者、つまり、サークル/同好会としてMCLAでプレーしていた選手(Michiganとは10年の準決勝で対決したChapman)。ここまで才能があったとは知らなかった。というか、大学が非NCAAだったので、まだまだ伸びしろだらけだったと言う事か。その潜在能力に気付いて、ポテンシャルに賭けてスカウトしたDenver Outlaws首脳陣の眼力には脱帽。度胸も凄い。現時点では下手したらBitter以上の3枚目ATかも。超右脳系プレーヤー。日本のプロ野球の新庄選手的な。Mikey Powellばりに一瞬の動きで会場の全員を湧かせる事が出来る希有な選手。
  • しかし、ここまでATから確実に得点出来るチームってのはあんまし無い。相当安定的に勝てるはず。
  • 怪我から復帰した#42 MF Max Seibald (Cornell 10)ががっつり屋台骨として活躍。#57 Peet Poillon (UMBC 09)も引き続き危険な存在感。

Long Island Lizards (Roster)
  • 今回は#54 John Grant Jr.は欠場。怪我かな?
  • #40 AT Matt Danowski (Duke 08)が引き続き孤軍奮闘。2-point shot 2本に加え、Rookie AT 2枚(#27 Ryan Young [Maryland 11]、#20 Jay Card [Hofstra 11])を従え、ベテランの風格。しかし、Marylandであれだけ司令塔として活躍していたYoungがMLLに入ると正直全くパッとしない。スピードやフィジカルが一段付いて行けていない。今後長期的に第一線で活躍するのは厳しいかも知れない。そういうのを見ると改めてMLLのレベルの高さを思い知らされる。
  • Rookie #25 LSMF Brian Karalunas (Villanova 11)は相変わらずの存在感。中盤にFOに脚動かしまくり、チェック繰り出しまくり、GB拾いまくり。にしてもこの学年はホント分厚い。更にLSMにはJoel Whiteとかいる訳で。
  • #13 AT Stephen Bergerが引き続きOFMFで出て掻き回しつつ点を取っている。OFMFとしてはこんな感じで思いっきり良く鋭い1 on 1とシュートを出しゃあいいのねといういい教科書。
ともに激しいプレーで知られる2チーム。2Qに早速乱闘が起こり、相当遠い所からもう突進して、LI #20 AT Jay Cardのメットを後ろからグイッと引きはがしたDenver ベテラン#55 DF Eric Martin (Salisbury State 04)の攻撃はガチで怖かった...「舐めんな若造ゴルア!?」と。

Denver強力だなー。これで5勝1敗。Play offは間違い無いだろうし、優勝候補の一角。順当に行くと、Boston Cannonsとの頂上決戦という感じか。

LIは、またちいと苦しい時のLIな感じ。Jrが復帰したらどうなるか?Dinoの負担が多少減ってやり易くなるか?

MLL Highlight (Link)

IL Highlights

2011年6月28日火曜日

MLL 2011 vol.07 Hamilton Nationals @Rochester Rattlers (6/24 @ESPN3)

シーズンのここまでの試合を見た感じ、下位争いに甘んじている北の2チーム。ライバル同士の激突再び。

途中までRattlersがルーキーBig Catこと#1 AT Grant Catalino (Maryland 11)の8得点の活躍などにより大きくリードするが、後半になって一気にNationalsの全員で見せる攻撃的なラクロスがハマり、同じくルーキーAT #2 Jeremy Boltus (Army 11)の7得点の活躍により10連続?得点で一気にグイッと逆転。19-16でNats。Boltusはホント上手い。この人。Armyの時から明らかに一人上の次元でプレーしていたが、デビューしたてにして既にMLLクオリティ。もしかしたら実は去年の4年生ATで一番凄かったのはこの人なんじゃないか?MLLでのフィットっぷり、活躍度で言うと、一巡目指名のBilly Bitter以上な気がする。

地元での試合で活躍したCatalinoは鮮烈な印象を残したが、どうでしょ。ぶっちゃけ結構ラッキーなgarbage goalも多かったし、やっぱり今後sustainableに点を取れる気はしない。ダッジで抜けないし。#20 Jordan McBride (Stony Brook 11)と一緒に出ると、フィニッシャー被りでクリースヘビー過ぎる...

印象に残ってるのは、

下馬評通り、本当に十年に一度と言われるタレント豊作年であるNCAA Class of 2011のメンバー、ルーキー達が大きな大きなインパクトをMLLに与え始めている。

上記の両チームのATに加え、Rochesterは#11 LSM Joel White (Syracuse 11)がHamiltonでCanada代表の伝説的LSM Brodie Merrillの後継者としての強力なDFとGB、トランジッション力とオフェンス力を見せている。土台にあるサイズと身体能力がやはり素晴らしい。

他にも、Hamiltonは#27 MF David Earl (Notre Dame 11)がユーティリティプレーヤーっぷりで存在感を見せている。ルーキーがここまで大人数で各チームの主力としてインパクトを与えてる年は記憶が無い。この学年は恐らく今後5-6年はMLL、そしてUS/Canada代表の核としてラクロスの最前線を引っ張って行く気がする。

Rochester Rattlersは、負けはしたものの、ここに来てかなり形になりつつある。特に孤軍奮闘だったATの#2 Ned Crotty (Duke 10)の脇に、早速ルーキーAT 2枚、CatalinoとJordan McBride (Stony Brook 11)が入り、かなりCrottyの負担を軽くしている。ただ、やっぱりダッジの負担がNed Crottyに掛かり過ぎてる気がする。シーズンが深まり相手チームも相当Crottyのダッジを警戒し、抜けなくなって来ている。

しかしまあ、あれだけ鉄壁だったSyracuseのGoalie John Gallowayが、Rochesterに入り、MLLでプレーし始めて、ズタボロに15点以上取られる姿が何とも切ない...点を取られる度に明らかにフラストレーションを感じている。もちろんSyracuse程DFシステムが洗練されてないという面もあるが、それ以上に、それだけシューターのレベルが数段高いということだろう。でも彼のことなので、絶対にどこかで研究/努力してアジャストしてくる筈。

Hamiltonは目の怪我から復帰したぶっとびゴーリーの#23 Brett Queenerがいつもの激走っぷりを見せている。ライドに来たATに頭からぶつかり倒すなど、会場を湧かせていた。オフサイドして直後に無人ゴールに決められたのは、まあ、愛嬌ってことで...

あと、やっぱり何と言ってもNatsのベテラン#17 LSM Brodie Merrill (Georgetown 05/Team Canada 06 &10)が地味に本当に凄い。引き続き。DFでのフットワークが凄過ぎるし、GBを拾わせないチェックのプレッシャーも鬼だし、トランジッション時の機動力が凄い。貢献度が頭抜けて高い。

にしても、この試合を見た感じ、両チーム共に明らかに良くなって来ている。特にRochesterはかなり厳しい感じが否めなかったが、ルーキーAT 2枚の加入により、一応それなりに危険なチームになって来た。GallowayがMLLのシュートに慣れて、バシバシセーブ出来るようになってくると、結構後半になって上位陣の足元を掬い得るチームになるかも知れない。(ただまあ、どんなに接戦で惜しくても、結局最後の最後で「W(勝ち)」が付かないと、結局チーム成績としては全く意味が無い訳だけど...まあ、来年再来年以降かな...)

MLL Highlights

IL Highlights

2011年6月26日日曜日

Hopkins-Hamilton Nationals FOGO Matt Dolente

先週のHamilton Nationals-Rochester Rattlersの試合を見ていて非常に印象に残った事の一つに、NatsのRookie FOGO #57 Matt Dolente (Hopkins 11, #4)の存在がある。

会場で見て明らかに小さいのが解る。170cm。190台がゴロゴロしているNCAA上位クラスやMLLの中ではほとんど小学生のように見えた。
今年躍進したHopkinsの原動力として最高%の勝率(67%とかだっけな?)を誇り、無敵の強さを見せていた。反応が異様に早く、かき出しの筋が非常にいい。GBが地を這う様に低く、確実にビシッと拾う。

3年生まではほぼ無名で4年になって化けたため、実はMLLのドラフトでは指名されず。その後4年生1年間の活躍で一気にMLLコーチ陣の目に止まり、Hamiltonに拾われた。

プロとしても苦労しながらも、それなりに活躍していた。

その彼に関するコメントで非常に印象に残ったのが「各審判の『セット』『ピッ!(笛)』を録音し、iPodやPCに落として、移動中のバスや大学の寮の部屋で繰り返し聞き、タイミングを身体に叩き込んでいた」という話。

なるほど...そこまでやらなくちゃだめなんだなと。そこまでやるべきなんだなと。

Syracuseの#4 Jeremy Thompsonが時々FO時にボールも相手も一切見ずに、最初から思いっきり振り返って審判の口だけ見てる時があったし、一年生でAll American FOerになったUNCの#25 RG Keenanも明らかに笛を予測していた。Alex Smithの愛弟子で、Smith主催のFOGO Camp出身のKeenanの事なので、その辺の徹底したdisciplineを叩き込まれているんだろう。

確かに、現行のルールだと、相手との戦い以前に、審判との戦いというか協業と言うか、そっちを確実に抑える事の方が場合によっては相手との勝負以上に大きなインパクトを生み得る。

合理的なアメリカ的な発想だなと感じたエピソードだった。個人的にそういうロジカルで合理的で徹底したアプローチは大好きだ。サイズの無さや前評判の低さを跳ね返して戦う姿とも相まって思わずファンになってしまった。

MLLではほぼ例外無く相手はAnthony Kelly (Rochester Rattlers: 193cm/110kg)など屈強な巨漢たちになる。ゴリゴリの押し合いになると明らかに厳しいが、技と工夫で何とか生き残って欲しい。

2011年6月20日月曜日

MLL 2011 vol.06 Chesapeake Bayhawks @Long Island Lizards (6/16 @ESPN3)

シーズンも3分の1を折り返し、少しずつプレーオフに向けての筋書きが見えて来た。
  • Boston Cannonsが現時点では頭一つ抜けてる感じ。誰もPaul Rabilを止められてない。
  • 次にChesapeakeって感じか。引き続きMF王国。超層が厚い。経験値もある。DFが若干不安ありか?
  • 続いてDenver Outlaws。こちらはMundorf, Westervelt, BitterのAT主導。DFもいい上GのSchwartzmanが強い。
  • Long Island Lizardsはちょっと模索感がある。
  • Hamilton Nationalsは強い新人がたくさん入って、再建中と言う感じ。Canadian Lacrosseが健在
  • Rochester Rattlersは引き続き迷走中。Dがなー...AT/MFも一歩薄い。#2 AT Ned Crottyが一人でけなげにMVP級の活躍で引っ張り続ける。が、まあ、キツいでしょうな...
なので、ここまでをまとめると、恐らく、Boston, Denver, Chesapeakeは手堅くプレーオフ進出。4つ目の椅子を巡っての争いだが、まあ、LIが一歩抜けてるかな、Rochesterは無いかな、と言う感じ。

今週、この試合の直前に電撃移籍が。Hamiltonのベテランで元MVP、皆さんご存知Canadaの大エース、John Grant Jr.が放出トレードで、Long Islandに。何人かの選手と来年のドラフト指名権との交換で。さて、これに関しては結構いろんな意見が出ている。
  • 昔のGrantのイメージが強いHamilton Nationalsファンからすると、「バカか!?あのJr.を手放すんかい!?」と。先週の試合でも結構活躍して相変わらずゴリゴリ1-on-1からトリッキーなシュートやゴール前での技術で点を取っていた。Rochesterにshorty-DFを着ける作戦を取られた直後にバチッと決め「てめ舐めてんじゃねえぞコラ。つか俺誰だかわかってんの?」と言わんばかりに。
  • でも、一歩冷静になると、いやいや、そう簡単でもないよと。既に36。ピークを明らかに越えている。加えて、08年の膝の感染症→再建手術で、機動力が明確に落ち、明らかに全盛期の輝きを失っている。特に、ボールをガッツリ持って余りパスせず、ゴリゴリ1 on 1を掛けて、決めるか、ターンオーバーかというスタイルは、ある意味ハイリスクハイリターン。
  • 現にNLLでも長年主力だったRochester Knighthawksから放出トレードでColoradoに。でもColoradoもあんまし強くならず複雑な心境。
  • Hamiltonも、今年のドラフトで恐らく最もいいメンバーを揃え、そろそろ新しい世代へとバトンを渡すべく、試合に出られるスポットを確保したい。(どうせ今年優勝出来なそうだし。とっとと次の世代への投資に切り替えようと。)
  • 見方によっては、先週のRochester Rattlers戦で活躍したばかりで、高値で売り抜けたような感じだろうか...
  • が、一方のLIとしても、「これって意味あんのかね?」という意見も。DanowskiやらPeyserやらBergerやら、明らかにon-ballで点を取るタイプの選手が堆積している。Jrのボールをがっつり持ってゴリゴリ攻めるスタイルが更に加わる事で、ボール一個じゃ足りねえよという状況になってしまう。フィーダー系/司令塔系がいない。
てな状況での今回の試合。

結果から言うと、予想を裏切り、14-11でLong Islandが勝利。ちょっと意外。(Scoreboard

印象に残ってたのは、

Long Island Lizards (Roster)
  • DFがどんどん良くなって来ている。#91 Brian Spallina (Hofstra 00), #41 Nicky Polanco (Hofstra 02)らのItalianカテナチオDFのファウルも減り、いい感じでアグレッシブさが出て、結構攻めにくくなって来ている。
  • あと、Rookie #25 Brian Karalunas (Villanova 11)が引き続き効果的。サイズもさほど無いし、線が細い、が、機動力が異様にあって、多彩なチェックを繰り出しまくって相手にボールを拾わせず、バシバシGBを拾っている。ただひたすら便利。
  • #40 AT Matt Danowski (Duke 08)、#18 Stephen Peyser (Hopkins 08)が引き続き主力としてバシッと活躍。加えて#13 Stephen Berger (Washington College 04)もファンタスティックなゴールで段々らしさが出て来た。
  • #58 John Grant Jr.は急遽出場で、ユニフォームは番号だけで名前無し。防具の色も緑が無かったので、意味不明な黄色と紫。でも、今回の試合に関しては、手堅く2得点。そんなにOFを機能不全にさせるでも無く、ポイントポイントで1 on 1という感じだったので、悪い感じはしない。
Chesapeake Bayhawks (Roster)
  • うーん、引き続きMFは超強力。特にここ数試合の#18 Ben Hunt (North Carolina 09)がマジでやばい。バッファロー的フィジカル(196cm/86kg)&身体能力でゴール脅かしまくり。
  • ATも#9 Danny Glading (Virginia 09)が渋く手堅く活躍。
  • 膝の靭帯をやっちった守護神Chris Garrityを失った事がボディブローの様に効いてるのか?DFが若干引き続き不安。
IL Highlight

2011年6月19日日曜日

MLL 2011 vol.05 Hamilton Nationals @Rochester Rattlers (6/4 @ESPN3)

元Rochester RattlersがTorontoに移転してToronto Nationalsになり、2連覇を果たした後、今年Hamiltonに移転してHamilton Nationalsになった。つまり、本家本元Rochester Rattlersは実は今のHamilton Nationals。因縁の対決。

一方のRochester Rattlersは去年までの弱小Chicago Machine。移転を機に汚名を雪ぎたいところ。

共にNCAAが終わって参戦したRookie達が結構目立っている。
  • Rochesterは、#16 G John Galloway (Syracuse 11)、#11 LSM Joel White (Syracuse 11)、DFMF Jovan Miller (Syracuse 11)とSyracuseのDF軍団が集結。Gallowayはさすがに初戦でMLLの洗礼を受け、シュートのレベルの高さに苦しんでいた。数試合してアジャストして来れば、持ち前のoutlet passの素晴らしさが武器になって来る筈。Joel Whiteは早速活躍していた。
  • Hamiltonは#74 MF Jeremy Thompson (Syracuse 11)がいきなり存在感出しまくり。オールラウンドでシュートが上手くて勝負強く、何と言うか、ストリートスマート(狡猾で要領がいい)。今週のRookie of the Week賞を獲得。今週のデビューまで、若干サイズが劣るし、オールラウンドに何でもこなせる一方で、見方によっては突き抜けた一芸が無いからきついかな?とも心配していたが、なるほど、こんなにMLLに向いてたのか。
結果は、接戦で熱い試合。最後にRattlersの大ベテラン#9 MF Matt Striebelが2-point shotを含む3得点で一気に追い上げ、最後は一点差の14-13。Hamiltonが辛勝。ここまで勝利無しの2チームだったが、Hamilton Nationalsは結構ポジティブな要素が多く見られた。
印象に残ってるのは、

Hamilton Nationals (Roster)
  • 今シーズンここまで沈黙していた、元世界最強AT #24 John Grant Jr. (Delaware 99/Team Canada 02, 06 & 10)が、ここに来て少しずつ調子を取り戻しつつある。DFを背負っての得意のBTB (Behind the Back)で決めまくり。Rattlersの新人Goalie Gallowayがさすがにビビっていた。
  • LSM Brodie Merrilが引き続き固いDFと鬼のトランジッション&オフェンス力で貢献。
  • あと、今年からLXM Pro TourからMLLに復帰した、#1 Joe Walters (Maryland 06)がこれまた曲者な存在感を発しまくっている。元ATだが、ここのところOFMFとしてDodgeにクリースに、そして職人の域に達しているシュートと、DFからすると嫌ーなキャラになっている。
  • あと、何気に渋ーーーく活躍してるのが#22 AT Cody Jamieson (Syracuse 10)。クリース周りで左一本でサクサク点を取っている。NLLエリート。
Rochester Rattlers (Roster)
  • やはり去年までの柱だったLeveille兄弟(Kevin/Mike)が共に今シーズンは欠場しているのが痛い。兄のKevinは結婚等のpersonalな理由。Mikeは何だっけな。忘れた。
  • その分を、#2 AT Ned Crotty (Duke 10)が埋め合わせて余りある程の活躍を見せている。5得点2アシスト。ムチャクチャ凄え。一人で確実に得点まで持って行ける数少ないAT。DenverのBrendean Mundorfを越え、MLL最強ATに成り上がる日も遠く無いかも知れない。何が凄いって、Xからの1 on 1のCOP (Change of Pace)。ゆーっくり走り始めて、スパッと加速。DFが着いて行けない。そして、GLEを越えてからのシュート。左右両方でかなり高い確率で決めて来る。DFをスクリーンにうまーく使ってGが見えていない。ATの選手は見て学べる技術がちりばめられている。
IL Highlight

2011年6月17日金曜日

NCAA 2012 Pre-Pre-Season Ranking by IL

前回ESPNの解説者、Paul Carcaterra氏(元Syracuse All American MF)の見立てと、僕個人の予想順位を書いたが、その後ILの記者、Christian Swezey氏が"Way-Ahead Ranking"を書いていたので紹介。早過ぎるが、正直そんなにずれない気がする。いくつか、うーん、そりゃ同意しかねるな、と感じた所もあったが。実際どうなるんだろうか。秋以降の練習試合でもう少し見えてくる筈。

記事のリンク

1. Virginia
なるほど。やはりそう来ますよね...多くの選手が残留。MVP #6 AT Steele Stanwickが4年生で円熟。精神的支柱の4年生達と4年間ゴールを守って来たGが抜けたのがどう出るか?

2. Cornell
なるほど。2位。"First-team All-Americans are back on attack (#3 Rob Pannell) and midfield; (Roy Lang) two starting defensemen also are back."Cornellを1位にする人も結構いるんじゃないかと。まあ、確かに。

3. Duke
ほうっ...Hopkinsより上の評価ですか...確かに、伸びしろは相当感じる...今年も下級生多かったし、AT 2枚1年生だったし。#31 Jordan Wolfがどこまで凄くなるのか。恐ろしい。スピードはマジで且つて無い。

4. Denver
今年はunderdog/dark horseで準決勝まで。来年はガチの本命で。

5. Johns Hopkins
ん?もっといいんじゃない?とも思ったけど5位の評価。なるほど、今年も凄い強かったように見えたけど、1点差勝利が多かったとの指摘。うーん確かに。でも、強いっすよ?サイズもフィジカルも一流。あと、去年から今年に掛けての伸びを考えると、来年もっとえげつなくなるんじゃないすかね?2-3位には入ってくるんじゃない?ちなみに、仮に来年この辺の順位でも、再来年は確実に1-2位に入ってくるはず。

6. Notre Dame
えーーー?ないないないない。6位は無いっしょ!EarlもBrennemanもRidgwayも皆MLL行っちゃったし。えー、これはないでしょー。無い無い。確かにGのKempは凄い。でも、どうやって点取るの...?過去2年間のover achievement(期待値を上回る躍進)によるバイアスでしょ。

7. Maryland
うーん。まあ、こんなもんかねー。でも、もうちょい下になっちゃってもおかしくないんじゃない?確かに4年生ごっそり抜けるが、まあ、下級生、特に新2年生、新1年生は強い。彼らの頑張り次第では、確かにあるか。超ピンポイントで、Japan backgroundっぽいfamily nameのDFのCasey Ikeda選手に密かに注目。

8. Syracuse
うーん、そうっすねー。このくらいかもですね...ごっそり強力4年生がいなくなるが、まあ、腐ってもSyracuseなので。結構今年出てなかった下級生が実はすげえ上手いじゃんって話かも知れないし。(試合前のwarm upや圧勝試合の後半に出ていた下級生を見た感じ、まあ、結構その香りは感じる...)

9. North Carolina
今週からChapel Hillに引っ越して来た地元ファンの僕としては、来年はがっつりコミットで応援させて頂きます。と、思ったら、9位...えーーー、さすがにもうちょいいいんじゃない?
  • "Freshmen were major contributors in 2011."
  • "Nicky Galasso (24 goals, 32 assists) led the team in scoring and was ACC freshman of the year."
  • "And R.G. Keenan won 59.5 percent of his face-offs and was dominant at times."
  • "Meantime, most of it not all of the eight midfielders who missed the 2011 season are expected back"
  • "junior Davey Emala (35 goals) is transferring from Georgetown."
  • "There is a chance that another talented attackman will transfer for a fifth year as well."
  • "There is a ton of talent."
 だけど...
  • "And more than a few questions. Starting with, why hasn’t UNC made Championship Weekend since 1993?"
いや、そりゃ歴史的にはそうだけど、そりゃ何の意味も無いでしょ。時代は変わってるし、Joe Breschiという新しい時代のコーチが明らかに新しい時代のチームを作って来てるし。今後はもっともっと強くなるはず。(なって欲しい...)

まあ、でも、確かに、来年もほとんど2年生の布陣だろうから、ピークは1-2年先ってのは確かにそうか。

10. Villanova
なるほど。そう来るか。必ずしもLSM Kalarunasだけのチームではなかった。でもそこまでいいっすかね?

11. Princeton
もうちょい、いいんじゃないすかね?ほとんど残るし、Sophomore #22 MF Tom Schreiberはやば過ぎるし。DFとGは相当固いっすよ?でも、なんか、最近この辺の順位というか、上位チームにとって実力を試すためのちょうどいい試金石というか、Gate keeper(門番)キャラみたいなポジションが妙にしっくり来るチームにまで成り下がってしまった。Princeton...

12. Colgate
ほうっ。そんなに強いの?

13. Penn State
徐々に登って来ている。去年CornellからHC Jeff Tambroniが移籍したPenn State。今年もどうやら一年生がかなり牽引してたくさい。

14. Bucknell
15. Harvard
16. Massachusetts
17. Pennsylvania
18. Drexel
19. Navy
20. Georgetown

まあ、この辺はそんなに違和感無いし、かなり入り繰りがあるだろうからさほどインパクト無し。

2011年6月15日水曜日

NCAAオフシーズンのここまでの移籍

去年もかなり動きがあった様に、プレーオフ以降人事系の異動/移籍がいくつか起こり始めている。
  • Stony Brooks Head CoachのRicky Sowellが、前任が不振の責任を取らされて解任(クビに)されて空席になっていたNavyのHCに。これは大出世。Stony Brooksを無名校から、Kevin CrowleyやJordan McBrideを連れて来て強豪校へと導いた手腕が評価され。
  • Georgetown #5 AT Davey Emala(新3年生)がNorth Carolinaに転校。これ何気にGeorgetownにとっては結構痛く、UNCにとっては結構底の方でしっかり効いて来る気がする。Face off classicのSyracuse戦等でも目立っていた。Hoyasはいいチームなのに毎年15-20位くらいでPlay offに出られてない。どうやらHCに問題があるという声もちらほら聴かれる。そんなチームの中で孤軍奮闘していた何人かのいい選手たちのうちの一人。来年以降も芽が出ないと踏んでか、単純に尊敬出来るコーチJoe Breschiがいて、高校時代の友人の多いUNCに魅力を感じたのか。来週Chapel Hillに引っ越してUNCの地元ファンになる自分としては超good news。ATはBilly Bitterが抜けて一人足りないので、上級生が加わるのは即席でインパクトあり。というか、WoodsやHolmanと言った他のATたちがOFMFとして効果を発揮し始めてたので、Virginia的な実質5枚ATオフェンスみたいな事になってくるはず。(ILの記事

2011年6月13日月曜日

MLL 2011 vol.04 Chesapeake Bayhawks @Boston Cannons (6/4 @ESPN3)

* MLL自体のサクッと解説の記事

これまたESPN3でのオンライン放送のみでTV放映無し。

17-13でBoston。前半一度Cannonsが突き放し、Bayhawksが食らい付くが、最後に突き放して終了。

スコアボード

Boston Cannons (Roster)
  • 先週はNLL明けで思いの外フィールドラクロスへの切り替えに手間取ったのか、若干ぎくしゃく感のあった現世界最強選手、#99 MF Paul Rabil (Johns Hopkins 08)。今回は完全に本領発揮。怒濤の5得点。Bayhawks #81 LSM Kyle Hartzellとの一騎打ちで完全に粉砕。スライド来ても全く間合いを詰めさせずそのままサクッと超安定した下半身体幹から、コンパクトなフォームで鋭いシュートを突き刺して来る。しかも両手で出来るから止めようが無い...これはやっかいだ...NLL Washington Stealthで3年を経て、技術的にも更に幅が広がっている。徹底したフィジカルトレーニングで更に一人異次元の身体能力を手にしつつある。ラクロスと言うスポーツのパイオニアを切り開き続けている。(NCAAの試合でずーっと放映されていた、Maverik LacrosseのCMでのRabilたちのトレーニング
  • #88 AT Max Quinzani (Duke 10)も頼りになる柱に成長しつつある。NYの投資銀行で働きながら大したもんだ...
  • 最大の誤算は、ドラフト一巡目指名したMF Shamel Bratton (Virginia 11)が弟Rhamelと共に、少なくとも今年の夏はMLLでプレーしない事を表明したこと。余りその後の情報が伝わって来ない...余りブランクが空いてしまうと良く無い。きちんと見てくれるコーチやトレーナーがいない中、個人でちゃんと準備出来るんだろうか?来年以降復帰してくれることを願う。
  • 今回の試合は司令塔#14 AT Ryan Boyle (Princeton 04)は怪我?かな?で欠場。それに伴ってクリースの魔術師#7 Matt Poskay (Virginia 06)の存在が一気にほぼゼロになってしまっていたのが印象的。傑出したフィーダーがいて初めて生きる選手。
Chesapeake Bayhawks (Roster)
  • 前回の記事で紹介した通り、引き続きMFは強くていい。決して悪く無い。ATの#9 Danny Glading (Virginia 09)、#13 Ben Rubeor (Virginia 08)のVirginiaコンビも相変わらず強力。全体的に決して悪く無い。
  • DFが若干苦しんでいるか?単純にPaul Rabilを止められない。また、恐らくClose DF(日本で言う所の「ボトム」)の柱だった、伝説的Defender、Shawn Nadelen (Johns Hopkins 01/US代表)がTowsonのHead Coachに就任した事に伴いMLLから引退してしまい、それが結構チームDFに影響してしまっている気もする。精神的支柱であり、チームDF統制の土台だったので。
ここまで何試合か見た感じ、現時点で頭一つ抜けてるのは、Boston, Denver Outlaws, Chesapeakeの3チーム。次いでLong Island Lizardsが追い掛け、最下位はHamilton NationalsとRochester Rattlersが争う感じか。やはり上位3つが最も穴が少なく、MLLのエリートとしてのプレーを見せている。歴史も長く、チーム運営やPersonnel (人事)もタイト。

今後2ヶ月を通じてどう変化していくか。

IL Highlight

2011年6月11日土曜日

MLL 2011 vol.03 Denver Outlaws @Long Island Lizards (6/3 @ESPN3)

またしてもオンラインなのでTV録画無し。

前回Indoor World Lacrosse Championshipで抜けていたNLLメンバーが戻って来て、ほぼフルメンバーでの対決。

終盤までLIがリードしていたが、最後に#2 Brendan Mundorf (UMBC 06)、#14 Drew Westervelt (UMBC 07)のUMBC-NLL Wings-US代表10コンビと、ルーキー#10 Billy Bitter (North Carolina 11)のMLL最強ATトリオの活躍により終了直前に同点、そして逆転。11-10でDenver。

印象に残ってるのは、

Denver Outlaws(Rosterのリンク
  • Chesapeake Bayhawksからトレードされた#57 MF Peet Poillon (Ohio State-UMBC 09)が、段々良くなって来てる。今回はMax Seibaldが出ておらずlong poleを引いてしまっている。Seibaldが復帰したらShorty相手に縦横無尽に掻き回してくれる筈。
  • 上記のAT 3枚強し。#2 Brendan Mundorf (UMBC 06/Team USA 10)はやはり引き続き現時点でのMLL最高、即ち世界最高ATじゃないだろうか。Xから抜く力、決める力、それを左右で出来、シュート力もあり、フィード力、OF全体の統制力も高い。それを支える高い身体能力も安定。Xからの1 on 1でやっかいなのは、スピードと切り返し力もあるが、ほんのちょっと間合いがある状態でGLE (Goal Line Extended: ゴールライン)を越えられたら、かなり高い確率で決められるという点。50センチくらいの間合いで追走された状態でのシュートの技術が突出して高い。そもそもNCAA程スライド行かず、一人一殺色が強いMLLではマークすることになったDFにとっては頭痛い...弛まぬフィジカル強化の努力の賜物。
  • Mundorf、WesterveltのATコンビに加え、#33 Bill McGlone (Maryland 06)というNLL Philadelphia Wings軍団の一人がNLLのシーズンを終えてトップギアのままMLLに入って来ており、いきなり高い精度のプレーを見せている。同じくWingsの主軸に成長しているMF Max Seibald (Cornell 09)は怪我で残念ながら一時離脱。この辺のNLLやNCAAのコンビネーションをそのまま揃える事が結構重要な鍵になっている。準備期間が短いので。HCのTom SlateがWingsのDF Coordinatorをやっており、WingsでのchemistryをそのままOutlawsに持ち込むという明確なラインが出来ている。
  • RookieのBitterが想像してた以上に効いている。他の2枚のATが強過ぎるため、マークが薄くなり(3枚目のDFが着く)、スライドも遅くなっている。今回もILのDF Parker McKee (Duke 10)とNCAA時代のライバル再燃で、カモりまくっていた。得点するか、最悪でもファウルを貰える、という状況が生まれている。動きが有り得ん。
  • Goalieの#19 Jesse Schwartzman (Johns Hopkins 07)のセーブのレベルがホント高くて引く。鉄壁。近距離も長距離も止めまくっている。現時点で64%。これだけ鬼シューターが揃ってるMLLでこの数字は異様。現時点での世界最高ゴーリーということになる。技術も凄いし、読みや駆け引きの部分に秘密があるように見える。
Long Island Lizards(Rosterのリンク
  • ベテランAT軍団が引き続き鬼。#40 Matt Danowski (Dino)は全てが上手過ぎ、ベテラン#13 Stephen Bergerも有り得ない動きで魅せる。11年目のベテラン#9 Tim "Monster" Goettelmannは引き続き193cm/98kgの巨体に似合わぬ機動力でDFを粉砕
  • G #14 Drew Adams (Penn State 09)もかなりレベルの高いセーブを連発
  • AggressiveなItalian Defenseは健在。9年目のベテラン#41 Nicky Polanco (Hofstra 02)は引き続きハッスル、#91 Brian Spallina (Hofstra 00)も相変わらず柄ワリイ。審判に見えない所でWesterveltの腹にパンチ入れて復讐を誘い、ファウルを誘発。
  • 入ったばかりのルーキー#25 LSMF Brian Karalunas (Villanova 11)が、いきなり強烈な存在感を放っている。つか、ちとマジですげえ。やはり機動力が高く、スタミナがあり、チェックで奪えてGBが鬼。使い勝手が異様にいい。加えて怪我でFOGOを失った後半はFOで貢献。作戦は、Face Offerなのに、一切FOはせずに相手にそのままかき出させ、拾い際/拾った直後にチェックで奪う。成功しまくり。数秒のうちにスパパッと4-5発チェック入れてサクッとボールを奪っちゃってる。Villanova時代は凄い凄いと言われながらもTV放映が無く、ラクロス界最大の未確認生物(Sasquatch=雪男)と言われた。ここに来て一気に注目度が上がっている。ここまでMLLにバチッとハマるとは正直予想していなかった。
  • LIの最大の誤算は、上位指名したBratton弟、Rhamelが(兄のShamelと同様)今年はMLLでプレーしないことを表明したこと...せっかく上位指名権使ったのに涙目。Bratton兄弟は果たしてMLLに来てくれるんだろうか?そもそもラクロスに帰って来てくれるんだろうか?
  • Billy Bitterとは対照的に、同じく一巡目指名で加入したRookie #28 MF Zach Brenneman (Notre Dame 11)はまだちょっとMLLの感じが掴めてないのか、若干空回り気味。まあでも明らかに才能があるので、暫くしたら軌道に乗って、来年辺りには強力な戦力になってくるはず。
Denverは例年と同じく、非常にタイトで鍛えられたいいチームな印象。Gががっつりどっしりしてて、DFが固く、MF/AT共にフィジカルで、何と言ってもチーム全体の意思疎通/chemistryを感じる。UMBCの雑草軍団、NLL Philadelphia Wings軍団と、過去のチームワークを軸にチームを作り込んでおり、コンビネーションを確保するという賢いチーム作り。これで唯一の負け無し3連勝で一気に首位独走体勢に。いつものパターンか。が、毎年レギュラーシーズンでは勝ちながらも、プレーオフで敗れてしまう。今年こそは行っちゃって欲しい。

IL Highlight


2011年6月9日木曜日

MLL 2011 vol.02 Rochester Rattlers @Chesapeake Bayhawks (5/14 @ESPN3)

* MLLの基本をサラッと紹介した去年の記事

5/14のシーズン初戦をESPN3 (ESPNのオンライン放送)でリプレー視聴。オンライン放送なのでDVD録画は無し。

Defending ChampionのBayhawksと、今年からChicago Machineから移転したRochester Rattlers。

14-10でBayhawks。手堅い。

Bayhawksは引き続き分厚い「MF王国」。60分ひたすら走れて、DFもOFもGBもTransitionも出来る、頑丈なMFがどっさりいる。
  • #11 Kyle Dixon (Virginia 06)
  • #3 Matt Abbott (Syracuse 09)
  • #44 Steven Brooks (Syracuse 08)
  • #51 Mike Kimmel (Johns Hopkins 10)
  • #22 Dan Hardy (Syracuse 09: 元ATだがMLLに入って以来完全にOFMF化。シーズン前のPeet Poillonとのトレードで加入)
  • #5 Alex Smith: FO (Delaware 07)
  • #8 Brian Carroll (Virginia 10、でも今回の試合では結構ATで出てる。Dan Hardyの逆パターンのコンバート。BostonのMatt Poskayと同じパターン。シュート力が高く、そこそこ器用なこと、ATの層が薄い事が原因か?NCAA→MLLに於けるこの手のコンバートの力学が非常に面白い。)
MFオールスター軍団。NCAAやWorld Lacrosse Championshipと言ったアマチュアラクロスとの比較で、MLLは兼ねてから「Middie's game」/「Middieを制する者が試合を制す」と言われており、強くて層の厚いMFを揃えているチームが有利になっている。何でそうなってるかをざっくり考えてみると...
  • 人数無制限のNCAAと違い、19人しかベンチ登録出来ない。台所事情は常に逼迫し、過度の専門化/専門家は許されず、MFは一人で全てこなせる事が条件(FOGOもNCAAと比べると圧倒的にOF/DF力が高く、そのままフィールドに残って高いレベルでプレーしている。)
  • 60秒ショットクロックがあるため、いちいちATに落として、「じゃ、行きまっか」と組み立てる余裕が相対的に少ない。完全にトランジッションのゲームになっている。DFからそのまま速攻、フライせずに波状攻撃。セットオフェンスでも、行ける所からバンバン1 on 1。打てる所からガンガンシュート。速攻を出されたらフライせずにDF。それらを滞り無くこなせるタフでversatile(マルチに何でもこなせる)なMFが必要不可欠に。
  • また、高いレベルで限界まで突き詰められたフィジカルと技術のぶつかり合いになった時に、単純にLong stick相手に攻めると分が悪い、Shortyから攻めた方が崩せる、という差が大きく出て来る
  • がっつり戦術練習を積めるNCAAと違い、基本的に全員平日は普通の仕事をしているMLLでは、個人でのトレーニング/練習がベースで、チームの戦術練習をする時間がほとんど無い。結果、込み入った戦術/フォーメーションを使うケースはほとんど無く、レギュラーシーズンを通して試合の中で何とか形作って行くという状況にならざるを得ない。従って、ATが司令塔としてがっつりOF全体をコントロール、という感じになりにくい。
  • また、2-point shotがあるため、ロングレンジのtime-and-room shot(日本のラクロス用語で言う所のスタンディングシュート)で高いレベルのGoalie相手にシュートを決められる、「キャノン砲を背負った」MFの価値が相対的に上がる
  • 従って、結果として、NCAAからのドラフトでも、毎年優秀なMFから順に片っ端に取られるため、相対的にATはNCAAでの活躍や評判に比べると違和感があるくらい下位で指名される/そもそも指名されないという状況が起こっている(今年のMD #27 Ryan Young→23位、#1 Grant Catalino→21位、Duke #21 Zack Howell→46位、Army Jeremy Boltus→43位、Hopkins #42 Kyle Wharton→48人の指名漏れ、などがいい例。)
そんな中、Chesapeakeはこの辺のMLLならではの独特の力学/競争のメカニズムをよーく理解した上で布陣を組んでいる。ATのスターが薄いが、MFが異様に分厚い。やり過ぎなぐらい豊富。非常に賢いチーム作りだと感じる。

Rochester Rattlersは#2 AT Ned Crotty (Duke 10)や#9 Matt Striebel (Princeton 01)らが頑張るが、まだイマイチ本領発揮しきれていない。今後どうなって来るか。

Lax United Highlight

2011年6月7日火曜日

2011 TewaaratonはVirginia AT Steele Stanwickに

先週行われたTewaaraton(テワラトン) Trophy授賞式で、今年の受賞者が選ばれた。(ILの記事Tewaaratonについての解説を書いた記事。下の方にちょこっとだけど。Wikipedia。)

男子はVirginiaを優勝に導いた原動力、3年生AT #6 のSteele  Stanwick。プレーオフ一回戦のBucknell戦では最後の同点、逆転を生み、二回戦Cornell戦でも司令塔/得点源として活躍。準決勝Denver戦でも同じくOFの起点となり、決勝のMaryland戦では若干影が薄かったが、それでもやはりDFのエースを引き付け、スライドを遅らせ、肝となる局面できっちり仕事をした。プレーオフに限った活躍だけを見れば、納得の選出。

本件、かなりの議論を醸している。レギュラーシーズンの活躍、statsを見た限り、StanwickよりもCornell #3 AT 3年 Rob Pannellが明らかに上。レギュラーシーズン中はずーっとPannellが取るだろうと言われていた。シーズン89ポイント、一試合平均5.24ポイント。そしてその半分がアシスト。チーム全員の力を数段上げる力を持っている(Stats)。周りのキャストの強さを考えると、Virginiaの方が明らかに恵まれており、個人としての本当の貢献度で言えばPannellの方が上というのはほとんどの人が認める所じゃないだろうか。

今回までの10年近いTewaaratonの選考(Wiki)、特に今年の結果を見た限り言えるのは...
  • Tewaaratonは、所謂純粋な「ベストプレーヤー賞」ではない、という事。個人として凄いだけでは候補者に選ばれる事こそあれ、最終受賞者に選ばれることは難しい。結局最終的に決勝まで残り、優勝/準優勝したチームを率いた選手が選ばれる(可能性が高い)。(決勝進出校以外から選ばれたのは[恐らく選考基準がいまいち固まっていなかったであろう]第一回のHofstraのDoug Shanahanのみ...)「優秀な選手であればチームを決勝まで導くはず」/「どんなに優れた選手でも、チームを決勝に導けなければ真に成功したとは言えない」という哲学が背後にあるようにも感じるし、単純にシーズンの最後まで全国ネットでTV放映され、高い注目を浴びる事によるバイアスや納得感の得られ易さもあるのかも知れない。
  • ATかMFしか選ばれない(過去11回中4回がMF、7回がAT)。DF、Gは悲しいかな、最終候補者5人にまでは残るが、選ばれた試しが無い...別に選考委員もATかMFしか選ばない、と意思を込めてる訳じゃないだろうが、まあ、チームを引っぱり、優勝/準優勝に導いた、代替不能な選手、という見方をしていくとどうしてもAT/MFになるケースがほとんど、という事なんだろう。
  • 4年生がほとんど、時々3年生。(初期に2年生で取ったMikey Powellだけが例外。)これはどちらかと言うと、活躍した選手、リーダーシップを発揮した選手を選ぶと、結果として上級生にならざるを得ない、という部分も大きいとは思うが。そう考えると2年生でSyracuseを優勝に導いたMikeyが如何に傑出した選手かが解る。
  • いずれにせよ、この辺の、「純粋な数字には現れないリーダーシップやチームを成功に導く力」、「レギュラーシーズンじゃなくプレーオフ、特に決勝で活躍しないと意味が無い」、という考え方がTewaaratonの裏には流れている気がする。個人的には、それはそれでいいと思う。
逆に、USLIA(United States Intercollegiate Lacrosse Association:所謂「学連」)の選ぶ、Outstanding Player of the Year賞、及びOutstanding AT賞は、Pannellが取っている。こちらはレギュラーシーズンの結果を基に選んでおり、純粋な個人としてのMVPの意味合いが強い。コメント欄を読む感じ、多くのファンが納得しており、こっちこそがリアルMVPだろ、という見方をしている。(IL記事)実際こっちが裏でTewaaratonが表みたいになってるが。この賞では恐らく今後も15位でプレーオフに出なかったチームで100ポイント取った奴、みたいな選手がMVPになる事はちょくちょくある気がする。つまり、ガチの、純粋なベストプレーヤー賞。

コメントを見る限り、ファン的には上記のTewaaratonとMVPの定義のズレに気付いている人は納得しており、そうじゃない人は納得行かず不満/キレる、という状況になっている。(そこの定義のズレがあるので議論が噛み合ってない。その定義そのものを議論するか、今の定義を是としてStanwickが取るべきかPannellが取るべきかを議論するなら噛み合うが。)

Stanwickのインタビュー。本人も「え?俺?マジで?(Pannellじゃないの?)」と言っている。

2011年6月5日日曜日

NCAA 2012

Finalの直後にESPNUで行われたSeason Reviewで、解説者で元Syracuse All American MFのPaul Carcaterraが、「ちょっと気が早いけど...」と前置きした上で、来年、2012年の予想について語っていた。

NCAA Lacrosseをフォローするようになって非常に良く解って来たが、実際、前の年のパフォーマンスを見て、卒業する4年生を引き算するだけで、かなりのレベルで次の年の戦力が予想出来る。

まず、優勝候補筆頭に上がってくるのがHopkins。Starting roster 10人中8人が1-2年生。BalanceとVersatility(多様性)が圧倒的に高いと。特にG #33 2年 Pierce Bassettは既に実力を証明している。加えてMFの野獣軍団。#31 John Ranagan、#9 John Greeley、加えて#16 Coppersmithや#27 Guidaなど、エース級のキャストが脇を固める。DFも1年の#43 Jack Reillyら、フィジカルで身体能力の高いメンツが揃う。あと、全体的にバクッと見た時に、フィジカルがえぐ過ぎる。パッと見一回りでかくてゴツい。隙無し。

Dukeも同じ。去年ごっそり4-5年生を失い、今年は経験を積む年。(でもBest 4までしっかり行ってる。)ATはスタートの2枚(#31 Jordan Wolf、#19 Chris Walsh)が一年。#12 Justin Turri、#7 Tripucka、#26 RotanzなどなどMFも分厚い。FOのLSM #9 CJ Costabillaも未だに残り、G #4 Dan Wigrizerは去年一年生で既に優勝を経験している。
Denverもかなりメンバーが残る。#22 AT Mark Matthews、#33 DemopoulosのAT Canadian 2枚が残り、#18 MF Flint、#32 Chase CarraroらMFの軸も残る。1年生で既に高い完成度を見せた#16 Jamie Fausは今後3年で守護神の地位を守るはず。
そして、優勝校のVirginiaも確実に優勝候補だろう。Bratton兄弟が最大の離脱だったが、Play off 4試合は兄弟抜き。実際優勝時のメンバーがそのまま来年残るイメージ。精神的支柱だったキャプテン達がいなくなることと、GのGhittlemanが抜ける事が最大の不安要素。そこが埋められれば確実に勝ち残って来るはず。
そして、もう一つ優勝を狙える位置にいるのがCornell。ほぼ全員3年以下。PannellもRoy Langも残る。G & DFもほぼ2-3年生。
UNCはほとんどの主力が1年生だったので、来年はまだ発展途上という感じかも知れない。本当のピークが来るのは2013、2014という感じだろうか。
これは僕個人の予測順位だが、恐らく開幕前の順位としては以下みたいな感じになってくるんじゃないだろうか。

1. Virginia(JHUとUVAはどっちが上か微妙だが、今年優勝という実績を残したUVAの方が上って評価になるかも。)
2. Johns Hopkins
3. Cornell
4. Duke(Cornellとどっちが上か悩ましいが、DFの完成度でCornellが上かなー?)
5. Denver
6-7. North Carolina

8とか10とかその辺. SyracuseとMaryland。今年4年生依存度が異様に高かったこの2チームは数年きついはず。(故に今年優勝出来なかったのは痛かった...)

2011年6月3日金曜日

North Carolinaへ

あまりこのブログでは僕自身の事についてはスコープ外と言う事で意識的に余り書いて来なかった。私事で記事のスペースを割くのは若干恐縮だが、肝心のラクロス観戦に影響が出る形で生活/仕事面で動きがあったのでクイックに状況報告。

数ヶ月前に話を貰った社内の移動で、来週からNorth CarolinaのChapel Hillに転勤に。これでアメリカ国内で4度目の引っ越し、5都市目。(ちなみにガキの頃から転勤の多い人生だったため、日本の家も含めると人生で16個目の家...)①MBA/Business SchoolのあったIllinois州Chicago(中西部)から始まり→②Pennsylvenia州Philadelphia(東海岸)→③California州Santa Barbara(西海岸)→④Delaware州Philadelphia近郊(東海岸)→⑤North Carolina州(南部)と、期せずしてアメリカ国内の主要地方をカバーしつつある...引っ越し自体には完全に慣れてしまっているので、気楽に長めの観光旅行を繰り返しているイメージに近い。

去年の夏にラクロスを生で見る機会に恵まれぬCaliforniaからPhillyに引っ越した際には、ラクロスの神様が微笑んでくれたのか?とも思わされた。お蔭様で今シーズンはNLL、NCAAと会場でトップレベルの試合を見る機会に恵まれ、お腹いっぱいに。(タイミング的にはギリギリセーフで車で行ける距離にあるBaltimoreで行われたFinal Fourを見る事が出来た。有り難い...)

と、そんなシーズンが終わった矢先、North Carolinaへ。今回住む&働くことになるChapel Hillは、奇麗な新興学園都市/ハイテク産業の拠点。そして、言わずと知れたUniversity of North Carolina (UNC) Tar Heelsの本拠地。そして地元のライバル校Duke Blue DevilsのあるDurhamまでは車で10-15分という目と鼻の先。UNC #34 AT Nicky Galasso (Fr.)やDuke #31 AT Jordan Wolf (Fr.)など、今シーズンは下級生中心だった両チームは来シーズンに向けて明るい光が射しつつある。そんな2チームを間近で見られる機会に巡り会う事に。これも何かの縁なんだろうか...新居もUNC Men's Lacrosseのホームコートから車で5分の距離。時間が許す限り会場に脚を運んでみようと思う。(言うまでもなくバスケも。UNCバスケは恐らく今年再び上位争いに復帰してくるはず。)

仕事的には、Philadelphia近郊の本社からは離れ、これまでと同じエレクトロニクス部門の中で、基幹事業/旗艦事業である太陽電池関連ビジネスのグローバルの経営企画部長兼北南米マーケティング部長のオポチュニティを与えて頂いた。エレクトロニクス部門のみ本社機能が全体の本社とは別に切り離された形でNorth Carolinaを本拠地にしており、そこへの異動。

大きく成長しながらも、極めてダイナミックな競争のメカニズムが働いており、舵取りの難しい事業。身が引き締まる思い。Corporate America(アメリカの大企業)の中でグローバル経営に深く関わる機会。世界の土俵で戦える経営リーダーを目指していくという当面の目標設定に照らすと、またと無いチャレンジを与えて頂いた。引き続き、挑戦と変化を楽しみつつ、使命感と夢と情熱を持って、後悔の無いよう、全力でぶつかってみようと思う。

先日日本からNCAA Finalを見に来ていた京都大学のコーチたちに声を掛けて頂き、飯を食いながら(ラクロス談義に加え)いろいろと自分自身の体験を話し、振り返る機会があった。思えばこの5年間、人生/キャリア共に大きな変化を経験した。ボストンコンサルティンググループという所謂戦略系の経営コンサルティングファームでキャリアをスタートさせ、プロフェッショナルとしての道を極めようとただひたすら邁進した20代。そこからのMBA留学、そこで得た刺激や新しい価値軸に基づき、(いろんな葛藤や迷いを経た末に、)フィールドを世界に移してアメリカで武者修行を積む事、そしてキャリアとしては、一プロフェッショナルとして鍛錬を積むモードからは卒業し、事業会社で経営者を目指す道へと踏み出す事、という2つの点で大きく方向転換を図った。ここまで、幸いな事にも非常に素晴らしい体験をさせて頂いており、ただただ感謝の気持ちを感じている。5年前に日本で働いていた当時の自分が、今こうやってNorth Carolinaなんぞに行くことになろうとは想像だにしなかった。人生、本っ当にどうなるか解らんなと改めて思わされる。

…と、珍しくpersonalな記事になってしまったが、もちろんラクロス的にも時間の許す範囲で引き続きちょこちょこネタがあれば紹介して行こうと思ってます。