2012年3月27日火曜日

Mark Millonのスキル講座 vol.02 Split dodge

もういっちょ再掲。

Millon DVDから第2弾。Split dodge講座

これも非常に痒い所に手が届くコメントが多く、学びがあったので紹介。最初に教えられるど基本ではカバーされない、Why?や、より具体的で実戦的なHow?が多く含まれている。この人は本当に右脳による直感や感性だけじゃなく、きちんとそれを左脳を使って理屈で考えて形式知化/フレームワーク化している。よって、名選手でありながら名コーチたり得ているという事なんだろう。

以下、彼のコメントとキャプション。(いくつかは1年生が教わる基礎だが、個人的に特に実戦的で深い所を抉ってると感じたのが太字部分。)
  • Split dodgeは自分の最も好きなダッジであり、多くのトップオフェンス選手の得意技でもある
  • 何故かと言うと、このダッジは相手DFをvulnerableな(脆い)状況に置く事が出来るから。相手が自分の動きにreactせざるを得ないため、こちらが主導権を握れるから
  • ブルダッジと共に、スプリットダッジは、所謂North-south dodge(南北、即ち縦に一直線に抜くダッジ)と言われる。East-west dodge、即ち横の動きで相手を交わそうとするロールダッジ/CODダッジと異なり。
  • North-southは肩のラインがゴールに正対した状態で直線的に抜いてくるため、DFにとっては極めてやりにくい。バックステップで後ろに動きながら対応しなくては行けないので。受け身にならざるを得ない。一方のEast-westはサイドステップで防げるし、肩のラインがゴールに向かっていないため、DFにとってはより止め易い
  • →個人的に、Xでプレーする事が多くなり、Roll-dodgeによるChange of directionが出来るようになり、それに依存し過ぎてついつい直線的にゴールに向かう動きが少なくなり、結果抜けなくなるというジレンマを抱えた時期があった事を思い出した。にょろにょろとロールを捏ねくり回すだけで、抜けないというあの状況。DFとしては全然怖くない。やはり王道は直線的にゴールへ向かう動き。
  • コツは、ゴールからある程度距離があり、走るだけのスペースがある場所でやること
  • 次に、DFとの間合い(「DFとの」スペース)を十分に持つ事。一つのやり方は単純にボールを持った状態で外に動いて間合いを作る事。もう一つのやり方は、ボールを貰う時にV-cut等で外にポップアウトして貰うことでDFとの距離を自分で作ること。
  • ボールを貰ったら即ゴールに正対し、相手に準備の余地を与えずに攻め始めること。
  • スティックのどこを持つかが見落とされがちな重要なポイント。上の手はヘッドの近く、下の手はスティックの真ん中からちょい下を持ち、かなり短くスティックを持つこと(映像を見ると、かなりがっつりエンドを余らせていることが解る)。それにより持ち替えのスピードとコントロールが強化される。ボトムを持って、スティックを長く持ってしまうと、持ち替えが遅く、難しくなり、無駄にボールを落としてしまったり、チェックを受け易くなってしまう
  • →個人的に、本能的に、また実戦からの経験則として自然とこうなったが、下級生時代にこれを「explicitに」「最初から」「正しいやり方」として教えて貰った記憶は無い。この辺の形式知の集積が大事なんだろう。
  • ダッジはトップスピードで、出来るだけ直線的に、直接ゴールへ向かう方向で掛ける。
  • 間合いが超大事。特にLong stick相手の時。近いと持ち替え時にポークチェックが当たるので。イメージ相手から「スティック2本分」の距離でダッジすること。(この間合いは結構長い。Long stick相手だと、1.8m x 2 = 3.6m。特にShorty相手にやってきたMFの選手にとっては感覚的にかなり長い距離に感じるはず。)
  • 持ち替え/ダッジをする前に、一度肩とスティックのヘッドを逆に振る事で小さなフェイクを入れ、相手を逆に一回振る。
  • ダッジの際は出来るだけ手とスティックを身体から離さずに、近い位置にキープする
  • 持ち替えた直後は逆の手でチェックに対してスティックをプロテクト(彼の場合持ち替え後は一瞬片手で持つスタイル。すぐに両手になっている。)
  • ダッジ後はexplosionでトップスピードに乗る。
  • その際に必ず顔を上げ、視野を確保し(スライド、フィールド、ゴーリーを見て)、即座にパスを出せる/シュート出来るようにしておく事

しかし、これを見ると解るが、Millonの場合本当にダッジを掛ける前から結構なスピードでゴールに向かって行き、かなり手前からダッジを開始し、且つほとんど角度の無い鈍角でほぼ直線的にゴールに向かって行き、その後もトップスピードで走りきっている。極めてシンプル。所謂「相手に触らせない」ダッジ。確かに、単純に理屈で考えると、これだとDFは正面を向いて 走るOffenderに対し、バックステップ/クロスステップで競争しなくてはいけなくなる訳で、よっぽどDの方が身体能力とサイズで勝ってない限り、ほぼ間違い無くOFが勝つということになる。

やはりこれも練習方法としては、①まずはスティック無しで身体の使い方、特に下半身/体幹の使い方/マッスルメモリーを刷り込み(カラーコーン20本くらい並べて連続でやっても効果的)、②スティックを持ってボール無し、③別途持ち替えは死ぬ程練習、④組み合わせてボールを持って、⑤DFを付けて、といった具合に段階を踏んで練習して行く感じだろうか。

ちなみに僕がAustraliaのチームに帯同した時に練習方法を教えてくれた現Australia代表のMFの選手は、公園の林で木に向かってランダムにいろんなダッジをしまくれと教えてくれた(記事)。(で、駒場公園の林でそれを2年間延々やりまくって、確かにダッジは相っ当comfortableになった。)

2 件のコメント:

  1. はじめまして、25期の眞田です。いつも楽しくブログを読ませていただいてます。
    公園の木に向かってダッジをしまくれ、という文章で、同期の伊東がすれ違うたびに僕にダッジをかけてくるのを思い出して笑ってしまいました。
    昨年の冬ごろの1on1テーマが「スピードと間合い」だったのですが、まさにそれが大切なんですね。勉強になりました。

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  2. 眞田くん、
    あはは!いいね。俺も当時渋谷駅前の交差点とか井の頭線の改札でランダムにダッジしまくったらすげえ練習になるなとか妄想したな。確実に通報されるけど。

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