2012年3月28日水曜日

NCAA 2012 Game Review vol.13 Johns Hopkins @Virginia

どこまで期待値を越えれば気が済むんだNCAA Division 1 Lacrosse...また今シーズンベストゲームを更新して来た。やべえよ。コンテンツの充実度が。どんだけ盛り上がらせるんだ?ホント。

レギュラーシーズンに何試合か存在する、「関心する」や「盛り上がる」を越えて、「感動する」ゲーム。今回は正にそれ。Syracuse-Virginia, Hopkins-Syracuse, Hopkins-Princetonを確実に越える試合を届けてくれた。

05-08年のRabil-Peyser時代の隆盛の後、完全に凋落したかに見えたHopkins、10年には負け越してギリギリのプレーオフ進出と文字通り「底」を経験した。そこから一気に当時一年生だったメンバーが成長し、V字回復。今年は完全に開花している。が、Virginia州CharlottesvilleにあるVirginiaのホームKlöckner Stadiumでは実は1998年以来実に13年間勝てていない。何としてでも雪辱を果たしたい所。ここまでVirginiaが無敗の1位、Hopkinsも同じく無敗の2位。この試合に勝った方が1位の座を不動の物にする。決勝の前哨戦、Game of the Seasonとも言われる一戦。会場は前半雨にも関わらずVirginiaの地元ファン、Hopkinsのファンによって埋め尽くされている。

今回の試合のもう一つの注目は、昨年の優勝の立役者でTewaaraton Trophy Winner (MVP)で、MLL 2位指名のUVA #6 AT Steele Stanwickと、その弟Hopkins #42 AT Wells Stanwick (Fr)の兄弟対決。BaltimoreのStanwick家は3人姉妹、3人兄弟全てNCAA Div 1でプレーしていた/いる超エリートラクロス一家。会場には父親と姉の姿も。

プレーのレベルも高い。申し分無し。試合の内容がまたマンガか映画かって言うぐらい面白い。前半Virginiaがバッと突き放すも、その後Hopkinsが追いつき、逆転。その後再びVirginiaが追いつき、逆転。更にHopkinsが最後に同点に持ち込み、OTへ。そこで何度かのドラマの後、最後は大黒柱#31 MF John Ranagan (Jr)が黄金の左を叩き込んで決着。

約2時間、息をつく間もない程白熱した試合。雨で足場が悪いながらも、それに対応した素晴らしいプレーを連発してくれた。

いくつか印象に残った点。つか、多過ぎて書ききれないが、ばーっと思いつく点だけ書き殴り。
  • UVAの#6 AT Steele Stanwick (Sr)と#10 AT Chris Bocklet (Sr)の4年目の揺らぐ事なきコンビ芸がまたしても炸裂。特にSteele。視野やべえ...相手を引きつけて、背負いながら、スティックと腕を体から離して完全に隠しながら、レディポジションにスティックをずーっと構えながらバックステップし、スナッピーなパスを超クイックにクリースのBockletのどボックスへ。相手Gがダブルに飛び出した隙を見逃さずに遠くからスコッと取るなど、相変わらずラクロスIQの高さと落ち着きを発揮しまくり。Steele StanwickのラクロスIQの高さ、効率の高さ、このラクロスというスポーツがどういう構造で動くのかをよーく解った上での本当に賢いプレー。加えて申し分の無い「clutch(クラッチ)」っぷり(勝負所ほど実力を発揮する、ピンチになる程頼りになる)。教科書としては今後のNCAAでも恐らくそんなに出て来ないんじゃないだろうかと言うぐらい参考になる。チームの戦力に対する貢献として、自分個人のパフォーマンスによる「足し算」ではなく、他のメンバー全員の力を何倍にもたかめるという、文字通り「掛け算」の働きをし続けている。VirginiaのHC Dom Starsiaが「彼程の選手をコーチ出来る事は光栄」と言うだけの事はある。
  • Hopkins DF恐るべし。解説者のQuintも何度も「Fundamentally sound(基礎が固い)」との賞賛の言葉を連発。でもその通り。無駄なアグレッシブなチェックはしない、角度を徹底してマネジし、しっかりクリース前をパックして、お互いに叫び合いながらコミュニケーションを取り、常にHot, Two, Threeを確認。Swivel(スウィヴル)=首振りも徹底。「fake slide(ホットがスライドに行くと見せかけて行かない)」を効率的に使っている。
  • 双方Goalieが素晴らしいセーブを連発。Gの選手は是非見る価値あり。特にHopkinsの#33 G Pierce Bassett (Jr)は相変わらず鬼クラッチ(大事な場面で特に力を発揮)。
  • Hopkins MFのシュート力相変わらずえげつねえ。特に今回は#27 MF Rob Guida (So)の、小さい体に似合わぬ、鋭く正確なTime & Room(日本の和製ラクロス英語で言う所のスタンディングシュート)が目立った。
  • 今回の試合の全体の傾向として、やはりシュートはover handかquarterでしっかり上から縦に振り抜く、という教科書のようなshot on the run(ランニングシュート)とtime and room(日本の和製ラクロス英語で言う所のスタンディングシュート)が多い。しっかりスティックを体から話して、体のトルク(捻り)を作って、スティックを体で隠して、高低差のあるコースの読めないシュートでしっかり決めると。「シュートは上から」を比較的徹底して教える事で有名な2校。それが如実に見て取れて面白かった。(逆にunderhandで下狙い、side armで上、など、高低差がなく耳がキーンとならない(byフット後藤さん)/コースの読み易いシュートは比較的簡単にセーブされる事が多く、解説者のQuintも再三それを指摘していた。)
いやー、引くぐらいお腹いっぱいになった...伝わりましたかね?この感動と興奮...

これでHopkinsは遂に何年振りかも解らない、文句無しのレギュラーシーズン1位を奪還。Virginiaは今回の悔しさを胸に残りのシーズンを戦い、プレーオフでの復讐に懸けるはず。一昨年、去年と苦しいシーズンを戦い、Final 4をずっと経験してきたVirginiaの方に経験とメンタルの面で分があるという見方も出来る。うおおお今から5月のプレーオフ、BostonでのFinal Fourが超楽しみになって来た...

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