2012年3月23日金曜日

NCAA 2012 Game Review vol.12 Syracuse @Johns Hopkins

この試合を見ての感想は、「Hopkinsこれマジだぜ...優勝相当現実的な着地点として見えて来てるな...」という感じ。

先日のVirginia対Syracuseの時にも、「やっぱりこの2チームが強くなくちゃNCAAは面白くない」と書いたが、それ以上に「この2チームがあってこそ」なのは、やはりSyracuse vs Hopkinsだろう。1950年代以降長くNCAAラクロスを引っ張って来た2チーム。優勝回数も、Final 4出場回数もずば抜けて多い2チーム。

スタイル的にも、南はBaltimoreの手堅い規律のDF/OFとMFの走力に物を言わせた軍隊型ラクロスの典型Hopkins対、北はNY州北部のインドアに根ざした自由奔放でクリエイティブなAT主導のラクロスを繰り広げて来たSyracuseと対極にある。

07年のPaul Rabil + Stephen Peyserの黄金時代/優勝時代に勝って以来、5年間なんとHopkinsが5連敗中。数年の低迷を経て、遂に形になって来たHopkinsは同じく数年に渡っての連続敗戦記録を持っていたPrincetonに数年振りに復讐。今回も同じく汚名返上なるかが注目された。

結果は、思った以上にHopkinsの圧勝。11-7で現時点での力の差を見せつけた。

記憶に残っている点をばーっと吐き出すと、
  • まあ、レベルの高いラクロスの試合だ。11年に多くのエリート選手を卒業で失ったNCAA Division 1。今年はレベル低下が危惧されたが、全くの杞憂だったと先日のVirginia-Syracuse、そして今回の試合を見て確信した。やはりトップチーム同士の戦いは絶対に裏切らない。間違い無く学ぶ事は多い。繰り返し映像を見て真似したい。
  • Hopkinsまじで強い。素晴らしい。感動した。一昨年は1年間苦しみに苦しみ、去年もブレークスルー一歩手前で力尽き、遂に今年、やりたかったことを体現し、大きな大きな花を咲かせつつある。開幕から比べてもグイグイラクロスの完成度が上がっている。選手の皆さんには是非見て欲しいと素直に感じるチーム。OFの完成度、個々人のサイズと磨き抜かれた身体能力、切り替えやクリア/ライドでの統制と効率、DFのプレッシャーと穴の無さ、Gのセーブ力とDF統制力。全てに於いて極めて完成度の高い、強くていいチームだ。ここ数年見て来た全てのNCAA上位校の中で、最も基本に忠実で、ロジカルで、統制の取れた教科書のような、王道中の王道のチームだと感じる。
  • 終止試合を優位に進めたHopkins、特にMF 1st setの3人、#31 Ranagan, #9 Greeley, #27 Guidaの3人が芸術の域に入って来ている。特にRanaganとGreeleyは「どうやって止めろっちゅうねん」という空虚なDFの顔が思い浮かぶ。馬というか牛というか虎というか、獣だよこれ。しかもシュートの精度も明らかに上がってるし、左しかなかったRanaganもPaul Rabil先輩のアドバイスを忠実に実行し、右に鋭く抜いて、左と遜色無いシュートをぶち込んでくるようになっている。繰り返すようだが、極めてシンプル。だが、シンプルであるが故に止められない。是非映像で注目してみて下さい。ホントRabil-Peyser時代の再来。しかも3人ともまだ3年、3年、2年なので、まだ来年がある。そして、Ranaganに関しては、どう考えても次の2014年Team USAに入って来る気がしてならない。彼とPaul RabilとMax Seibaldの1stとか鼻血出して卒倒しそうになんわ。マンガの世界だろ。
  • あとDF。やばい。でかい。強い。手堅い。穴が見あたらん。これも間違い無くDFの皆が見て学べる点が多い。基本に忠実。個人とチームでしっかり守っている。こんなんATとしては絶対やりたくない。抹殺されんわ。と、表面だけ見ても十分に威圧感ありでカッコいいし楽しめるのだが、一つ是非注目したいのが、その異様な程のコミュニケーション取れてるっぷり。常にどういうDFやるのか、誰がHotで、2で3で、ピック後の対応どうして、というのをガンガン会話している。文字通り、会議室でのスピード感溢れる議論の様に、会話し、そして意思疎通出来ている。DF全体が一つの生物として完全に統率されつつある。(寄生獣で言う所の後藤さんみたいな。)これが5月のトーナメントに向けて一体どうなっていくんだ?
  • 最後にやはり触れねばならぬのはG Pierce Bassett (Jr)。ラクロス後進地域アリゾナ州出身。2年前に一年生でケージを守った際にはまだまだ気持ち先行で頼りなかったが、去年一年掛けて立派な守護神、そしてリーダーへと成長し、今年はもう文句無くこのチームの大黒柱。Gが固い限り、このチームは間違い無く安定する。Gの選手の方は是非彼の映像を徹底マークで追い続けたい。
  • Syracuseはやはり、才能は間違い無くあるが、まだ経験不足感がある。あとダッジで確実に抜けるメンツがまだいない。加えてGallawayの後釜のGがやはりまだ弱い。プレーオフまでにどこまで立ち上げて行けるか。
  • ここまでHopkins何試合か、Virginia何試合か見て感じるが、個人的には、ほぼ互角か、Hopkinsの方が上かもしれないな、という気もして来た。いずれにせよ現時点ではこの2チームが明らかに頭一つ抜けている。特にCornellのPannellが怪我で復帰するまでは。決勝をこの2チームで、ってシナリオ相当有り得る。そんな2チームが来週末激突。文字通りGame of the Season。決勝の結果を占う前哨戦という事になるのかもしれない。
  • あと、これだけ手堅いチームに成長し、ゲームも完全に支配してるにも関わらず、JHU HCのCoach Petroのキレっぷりがえげつねえ...またしても選手を怒鳴り散らしている。Obsessiveなまでに妥協を許さず、更に上、完璧を、理想を求めるこの姿勢。もうここまで来るとカッコいいでしょもはや。

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