2012年3月10日土曜日

NCAA 2012 Game Review vol.09 Syracuse @Virginia

NCAAラクロス最高!今シーズンここまでで間違い無く最高のゲーム。アグレッシブに点を取りまくるヘビー級の2チームによる殴り合い。K-1黎明期の、脚を止めて、敢えて被弾やむなしで正面から打ち合うKO必至のあの興奮がここに。

オフェンスの個人技術を学ぶなら、この試合を100回見れば間違い無い。

めまぐるしく攻守が入れ替わり、broken situationで容赦なくリスクを取ってシュートまで狙って行く。所謂Coast-to-coastまたはend-to-endで、エンドラインからエンドラインまで行ったり来たりをかなりの頻度と速度で繰り返した。逆転したと思えばまた逆転し返し。激しい当たりと鋭いスティックワーク、そして目の覚める数多くのシュートに彩られた珠玉の一戦。テレビ見ながら心拍数上がりっ放し。日曜の夕方に叫びまくり。

現役の選手の皆さんには是非映像を見て楽しんで頂きたいという想いが強い。学ぶ点も極めて多い上、純粋にエンターテインメントとしても最高に楽しい。もし、これからNCAAを見ようと思っている下級生やスタッフがいたら、正にこういう試合から入ると一気にハマるはず。

ここ数年で、ポゼッション重視でスローペース、stall warningも頻発、ショットクロック導入が叫ばれて久しく、中堅チーム同士の試合では一桁代半ばの点数同士の、野球スコア、下手したらサッカーに近いスコアの試合も時々見られるほどラクロスのスピードは落ちてしまっている。が、そんなことスッキリ忘れさせられてしまう程、華々しく、見る人を魅了するラクロス。

結果は、14-10でVirginia(1位)がSyracuse(6位)を下す。が、Syracuseも決して格下ではなかった。去年7人のAll Americanを卒業で失いながらも、やっぱりSyracuse。強力な選手が無尽蔵に控えている。全く違うメンツで余裕でこの強さ。前半終了時点ではSyracuseが2点リード。火が付いた時のこのチームは間違い無く全米最強。この2チームでの決勝も正直全く違和感が無い。レベル高し。やはりNCAAラクロスはこの2チームが有ってこそ。「SyracuseとVirginiaがいる限りラクロスというスポーツは大丈夫」と思わされた。

見所は、
  • 双方のトランジッションでのアグレッシブさと上手さ。「弾丸ラクロス」ここに有り。特にVirginiaのは本当に感動的。ボールを拾ってからの走り出し。コートの端から端まで積極的にボールを投げ、コート全体を本当にいっぱいいっぱいに使ってのRun & Gun。最っ高にエキサイティングでカッコイイ。
  • Virginiaは、先日のHC Dom Starsia氏のインタビューでも触れられていたが、去年Lovejoyを怪我で欠いた事により、苦肉の策として20年振りにzoneを導入。それが予想外にハマって以来、zone DFは完全に技の引き出しに正式な戦術として装備されている。今回も細かくman-toとzoneを頻繁に切り替えて使用。Syracuseの機動力と大学ラクロス界最高のパスワークを持ってしても尚攻めあぐねていた。今年は間違い無くUVAはzoneを軸に勝利を量産する予感。中からのシュートがほとんど不可能になってしまっていた。
  • Virginiaの#34 MF Collin Briggs (Sr)が去年に引き続き、地味だが効率的。完全にエースMFの座を確固たる物にしている。見ていて非常に参考になる/見習いたいと感じるのは、その効率の高さと合理性。走る際もとにかく脚の回転を速くして、歩幅を切り替えながら、トコトコトコトコッ!とチョロQばりに細かいスペースを切り裂いてDFを交わして行くダッジ。その際に、スティックを短く持って肩よりも低く保ち、身体の前にしっかりキープする事で隠し、囲まれてのチェックを防いでいる。スティックを長く持って、ダイナミックで大きなダッジでズバッ!と抜く派手で見栄えがするタイプではないが、それよりも遥かに合理的で効果的。
  • Virginia, Syracuse共に、シュートまじゲロうま。吐きそう。感動。Cuse #21 ATTim Desko (Sr, Coach Deskoの息子)の股間からのsignatureショットは勿論、その他にも何度も何度も動画で見直したい教科書のようなシュートが何本も見られた。特に、解説者のPaul Carcaterraも指摘していた、Virginiaで伝統的に教えられる、(1) 身体からスティックをしっかり離してテイクバックする事、それによって、①身体/体幹のトルク(捻り)を生んで速いシュートが打てる事、加えて②スティックがgoalieから隠される事により、球筋が読めなくなる事、そして、(2) over handで打つ事(同じく球筋が読みにくい)、と言う「シュートの鉄則」がVirginiaの選手たちによって徹底されている事が解る。特にBriggsのバウンドショットの、クリースの手前付近でバウンドして、下からアッパーカット気味にゴールの上に突き上げるように突き刺さるシュートなど、goalieが完全に置いて行かれていた。
  • 引き続き、昨年のMVP #6 AT Steele Stanwick (Sr)が感動的に巧い。職人。スライドのDFをこれでもかと言うくらいよーく見て、ステップバックしながら、ボディバランスを保ちながら、常にボールを投げられる肩の上のready positionにスティックをかざしながら、的確なタイミングで「どボックス」に鋭くも優しいパスを。これはATの選手は何度も巻き戻し再生して完コピ目指したい。今年も去年以上にアシスト量産間違い無し。
全体的に、UVAはやはり評判通り。パスミスやターンオーバーが目立ったが、3月ならまあこんなもん。逆に、これが4-5月になって締まって来たら結構無敵なチームになってくる気がする。

Syracuseも、若いメンバー主体で全くUVAにひけを取らなかった。いやむしろ下手したら去年よりもバランス取れててフィジカルじゃねえか?という気ぃすら。伸びしろで言えばSyracuseの方が上の筈。だとすると、playoffでの再戦が有った場合、どうなるか全く解らない。早速面白い筋書きが生まれそうな予感。

ハイライト



2 件のコメント:

  1. 後半だけでしたが、この試合見ました。本当に面白かったです。

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  2. そうだよね。小澤Charlottesville在住のVirginia生だもんな。羨ましい。俺は今日BaltimoreのFace Off ClassicでVirginia見るだすよ。

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