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2011年7月10日日曜日

2011 Under Armour All-America (7/3 @ESPNU)

毎年恒例の高校オールスター。数ヶ月後にNCAA各大学に入学する新一年生の全米オールスター。北対南。北はCanadaやUpper state NY(Syracuseの辺り)やLong Island(NY cityの近所)、南はもちろんBaltimoreを中心としたMaryland等。(記事

これ、去年から見始めたが、去年の時点ではその重要性にいまいち気付いていなかった。「まあ、2-3年後にNCAAで活躍する選手たちの見本市ね」ぐらいの。今年一年改めてNCAAを見て解ったのは、いや、違うと。半年後に実際に即席でNCAAにインパクトを与える選手たちが見られる場。去年UA All Americaで活躍したDukeのAT Jordan Wolfは、結局シーズン終了時にはDukeのATの得点源になっていた。スケジュールの都合かな?で出られていなかったものの、同じく1年生のNicky GalassoはNorth Carolinaで完全にATの司令塔になっていた。

当然、長い目で見れば、2-3年後にこのメンバー達の多くがNCAAのトップクラスとして強豪校を引っぱり、All Americanになってくる訳で。

ってくらい重要なイベント。今後のNCAAを理解する上で。

個人的に強く印象に残っているのは二人。

NorthのAT Jimmy Bitter (North Carolina)。先日UNCを卒業、現Denver OutlawsのBilly Bitterの弟。兄の後を追い、今年からUNCのJoe Breschiの下でプレー。身長174と正直小さいが、兄譲りのスピードとダッジ力が売りと聴いていた。が、試合で見せたのはleftyのtime-and-roomでの2得点。シュート上手くて鋭い。これは明らかにBillyと違う。(Billyの外からのシュートはぶっちゃけほとんど見た事無いし、安かった...)これだけのいいシュートを打てると言う事は、間違い無く個人でかなり練習しているし、それだけの規律があると言う事。さすがに1年目からUNCで先発する事は無いとは思うが、再来年以降に期待。多分体もでかくなるだろうし。

同じくNorthでDuke commitのMF Myles Jones。でかい。身体能力高い。シュートも上手い。でもまだ線が細いので、Dukeで徹底したphysical trainingを受け、高いレベルで練習したら、とんでも無い選手になってくる可能性がある。素材という点に関して言えば、間違い無く代表級。

UA All Americaの学校別の分散を見ると、6人のMarylandがトップ(昨年解任になったDave Cottleがリクルートした最後の年かな...)。North CarolinaSyracuseVirginiaが5人ずつ。HarvardHopkinsが4人。Dukeが3人。他は伝統的名門強豪校の中、UNCが最近明らかにリクルーティングで躍進している。HC Joe BreschiとAssistant CoachのPat Myersの手腕か。

逆に、Princetonが入って来ていない。Bill Tierney時代であれば上位に入っていたが、彼がDenverに行って以来リクルーティング力が明らかに落ちてしまった。Cornellもいつも通り入っていない。高校時代に目立っていなくても、努力する才能のある選手だけを集めるという方針が如実に出ている。

IL Highlight

2011年1月11日火曜日

「ラクロス浪人」

クリスマス休暇にガッと吐き出したシリーズのラスト。去年の夏くらいからoutputにしときたかったことほぼ全部カバー出来たのでスッキリ。今後仕事の状況次第で頻度ガクッと落ちると思われるのでDon't hold your breathでお願いしやす...

Inside Lacrosseの記事で興味深い話があったので紹介。NCAAの大学に入学する前の「ラクロス浪人」の存在に関して。

僕自身アメリカのundergraduate(4年制大学)の教育制度や入学制度を自ら体験して深く理解していたわけではなかったためよく知らなかったが、最近NCAAのラクロス選手のリクルーティングの話をいろいろ見聞きする中で、「ラクロス浪人」なる制度が存在していることに気付いた。この辺の、表面的な試合や選手を見るだけでは見えてこないメカニズムやドラマは非常に面白いし学びもあるので、ちょこっと語らせて頂こうと思う。

今のNCAAを代表するAT二人も実は浪人出身

例えば、UNCのエースATでMVP候補の一人、昨年のOffensive Player of the Yearで4年生のBilly Bitter, CornellのエースATで昨年のBest ATで3年生のRob Pannellの二人も実は高校卒業後に一年「ラクロス浪人生」をして大学に入学している。(二人の落ち着きや活躍を考えると納得出来る。)

Billy BitterのHighlight。難しいこと一切せずに、シンプルなchange of paceと切り返しだけでトップレベルのDFをここまで翻弄出来てしまうという衝撃。切り返し後の加速がチョロQ並み。相手Dが全く付いて行けずにコロンコロン転ばされている。

Prep-schoolという仕組み

浪人生と言っても、日本のように河合塾に行ってガリガリ勉強する日本の大学受験浪人とはちょっと違う。地元の一般的な高校を卒業し、Prep-School (University Preparation School)と呼ばれる、全寮制の予備校兼私立進学校に編入し、最高学年に1年間籍を置いて大学入学に備えるというもの。予備校と高校の中間のようなイメージか。

大学受験浪人自体は日本程一般的ではない

面白いのは、一般の大学受験に於いては日本程浪人生が一般的ではない点。アメリカの大学入試の場合、受験一発勝負の面が強い日本と違い、高校生活全体を通してのGPA(Grade Point Average: 通知表の平均評定)が重く見られ、またエッセイも見られる。従って、いい高校に行ったか、そこで長期間優等生としてパフォームし続けたかで自ずと行ける学校が決まってしまう面があり、一年浪人することによるcandidacyの上乗せがあまり生じないとう事情がある。

(完っ全に余談だが、高校時代に学校の授業からはドロップアウト気味で優等生とは程遠かった僕からすると、受験一発勝負で逆転可能な日本の受験システムに救われた面も大きく、アメリカの受験制度だったらと思うとゾッとする...)

背景となるリクルーティング事情

ラクロスに限らず、NCAAでプレーするstudent athleteの多くが、高校時代の活躍に基づき、各大学のコーチやスカウティングスタッフの目に止まり、リクルーティングされるというプロセスを通って行く。日本の高校/大学での強豪校によるスポーツ推薦と基本的には同じ仕組み。

基本的には本当に突出した選手は高1くらいからコーチの連絡を受け始め、多くの上位選手は高2ぐらいのシーズンの活躍を基に複数の大学から連絡を受け、口頭でコミット、高3で正式に入学をコミット、という感じ。従って、高1、高2での活躍が非常に大事になってくる。高3のブレークだとちょっと遅いという感じ。

超ざっくり仮り置き試算すると、現時点で高校男子チームは全米で3,000校、仮に平均で各チーム学年10人いるとすると、3万人の中から上位校20校程度の上位指名枠100人のプールを目指すイメージだろうか。Survival rateは0.3%。非常にコンペティティブで時間軸もタイトな競争だ。

ギャップが生じるパターン

基本的にはメディアや口コミによりそれなりに情報共有がなされたマチュアな自由競争市場で、名門高校と名門大学同士、コーチ同士のパイプもあり、子供の頃からの積み上げで、フェアに評価されて行くため、それなりに分相応な/正しい評価が下されるケースが過半数だとは思う。一方で、時々個別の事情で本来の実力と評価にギャップが生じるケースがある。

例えば、
  • ①遅くラクロスを始めたためまだまだ発展途上にあり、伸びしろが大きい
  • ②他のスポーツをメインでやっていたため/ラクロスへの興味が低かったため、本気でやっていなかったため伸びしろが大きい
  • ③怪我により大事な高1、2のシーズンでプレー出来なかったため気付かれなかった
  • ④弱小チーム、地方/ラクロスマイナー地域出身のため、知られていない/伸びしろが大きい

ちなみに、名将Jeff TambroniがCornell時代に必ずしも高校卒業時点でトップランクではなかった選手たちを集めて結果を出していたのは、①、②、④を徹底的にレバレッジしていたからだと思われる。

選手にとっての浪人の意味

選手として悩ましいのが、上記の①〜④のケースに当てはまる場合。特に、ラクロスで身を立てて行こう、ラクロス推薦でいい大学に行こうと思っていた選手にとって、top tierの大学に行けるか否かは正に人生を分ける程のインパクトを持ち得、それが不慮の怪我や無名校故の露出の少なさというuncontrollableな原因で潰えるのは泣くに泣けないだろう。

そこで出てくるのが浪人制度。強豪Prep-Schoolに行き、一年余分にプレーし、より高いレベルのチーム/環境でラクロスもレベルアップし、実力を証明し、ついでに勉強的にもレベルアップし、全寮制の生活とレベルの高い授業で大学生活に備える。

単純に一学年ダブることになるので、周囲のレベルが一学年分繰り下がることになり(伸び盛りの高校時代の1学年は馬鹿に出来ない)相対的に目立て、名門prep-schoolで活躍すれば多くの強豪大学の目に触れ、また勉強的に問題があった場合はキャッチアップの猶予を貰える。

もちろん、リスクとコストを伴う

一方で、Prep-schoolの年間300〜500万円という高い学費に加え、単純に一年余分に時間を使うことになる上、浪人制度が一般的ではないアメリカでは精神的な「同級生に置いて行かれてる感」は日本以上にあるはず。しかも、浪人したからと言って強豪大学に行ける保証が有る訳でもない。それなりのコストとリスクを伴うオプションではある。

Billy Bitterの場合

地元NY州で既にいい選手だったが、高2のタイミングで臀部を疲労骨折してしまい、シーズンを通しほとんどプレー出来なかったため、どの大学からも存在に気付いて貰えず、一切連絡を受けなかった(今の彼の活躍を考えると信じられないが...)。その後父親の勧めにより、無理して現役でしょぼい大学チームに行くよりは、一年我慢して浪人し、再度アピールするチャンスを作った方が絶対にBillyのためになると判断し、浪人を決意。

そこからMassachusettsの名門Prep-school, Deerfield Academyに出願し、合格。高3のシーズンは高2をやり直すつもりでプレー。高2として1学年下の選手たちに混ざってキャンプにも参加し、そこで派手に活躍して徐々に頭角を表し、卒業前に晴れてUNCからオファーを貰う事に成功する。その後Deerfieldでも大活躍し、高校ベストアタック賞を受賞し、鳴り物入りでUNC入りを果たし、一年目から活躍し、2年生のプレーオフで爆発。1年待ったことが大成功に繋がったパターン。曰く「結果として上手く行った。大学に近い環境、厳しい規律の中で生活するいい練習になった。」

Rob Pannellの場合

高1の段階でそこそこの活躍をし、NCAAの中堅チームQuinnipiac大学からオファーを貰い、口頭でコミットしてしまっていた。が、高2のシーズンに急成長を見せ、70ポイントの活躍、さらに高3で化けて130ポイントをたたき出すに至る。この段階で親戚のラクロスコーチからの、「想定外に上手くなっちゃったから、Quinnipiac行くの勿体無いから、一年延期してコミット取り消した方がいいんじゃね?」という勧めに従う。(捨てられたQuinnipiacは涙目...)

Billy Bitterと同じDeerfieldに1年遅れで行き、そこで99ポイントという学校記録を築く活躍。Ivy League複数校からのオファーを受け、TamnroniのいたCoenell入りを決める。その後の活躍は多くのラクロスファンが知る通り。1年目からRookie of the yearを獲得し、準優勝の立役者となる。曰く「Prep schoolは生活、学問、ラクロスに於いて大学へのスムーズな繋ぎになった」とのこと。

思う事

考え様によっては、もし彼らが浪人していなければ、今のUNCの大スターBilly Bitterも存在しなかったかも知れないし、Cornellを準優勝に導いたPannellはQuinnipiacなるマイナー校のエースとして「そこそこ」の注目を集めるに留まっていたかも知れないということ。正に人生どう転ぶか解らないと改めて思わされる。

大好きなラクロスのために、そして夢を叶えるために、若い頃から積極的にリスクを取って主体的に人生をデザインして行く姿が清々しいな、と感じた。また、今のNCAAを代表する選手ですら順風満帆でストレートに選手人生を歩んで来た訳ではない事を知り(本人達は別に「苦労」とは捉えず意外とあっけらかんと楽しんでたかも知れないが)、非常に面白いと感じ、またこの2人のことを応援したい気持ちがより強くなった。大事なのはその時その時で全力を尽くし、最善の判断を下し、時には必要なリスクを取って、そのプロセスと変化を楽しみ続けることなんだろう。

流動的/効率的な人材市場が生む全体最適という幸せ

また、スポーツのために浪人をし、自分を高め、売り出し、より良いチャンスを掴むという、人生に対するproactiveでpositiveな姿勢と、それを許すflexibleな仕組みが非常にアメリカの文化や哲学を表していて面白いとも感じた。能力はあったのに甲子園に出られずドラフト指名されなかった高校球児が大学で活躍し夢を叶える話にも似ている。こういう、より合理的/流動的でより透明な人材市場が選手にとっても学校にとってもよりフェアで良い結果をもたらし、社会全体としても全体最適に近づけるといういい例。

先日の在学中のチーム間のトランスファー(転校)の話と合わせて、アメリカの大学スポーツの人材市場の柔軟さ/流動性の高さをかいま見た気がした。スーパー余談だが、最近の本「7割は課長にさえなれません」(城繁幸)等で指摘されている、一般の人材市場でも、国として良かれと思って正規雇用/終身雇用を守ろうとすると結果として人材市場の流動性を阻害し、個人にとっても企業にとっても、引いてはシステム全体の効率を落として競争力を下げるという意味で国のためにもならない、という話が思い出された。(日本も結構それで大きな機会損失を被っており、さらに労働組合が強い西ヨーロッパのいくつかの国は大きく損してしまっている。)個人的には自己責任/自分の意思重視である程度trial and errorを許しながら自由に柔軟に動ける仕組みに賛成。

2010年8月1日日曜日

Under Armour High School All America 2010 Review (2)

引き続き Under Armour High School All America 2010。DVDは今週か来週か再来週くらいに梅ちゃんに送るだす。(WLCの決勝とUS-MLLは、すまぬ。先週一週間出張で送ってなかったので、明日くらいに送るっす。)

マニアック度はグッと上がるように聞こえるHigh School All Starだが、恐らくこのメンバーがそのまま3年後、4年後のNCAA All Americaになり、この中の多くがMLLにドラフトされていくことになるはず。Tewaaraton (MVP)もこの中から出るだろうし、8年後には確実に誰かがUS代表になってくるはず。正に将来のエリートの見本市。

以下、試合の見所

試合開始前、最初の注目選手紹介のシーンでの各選手のstick trickがsmoothでかっけえ。今の若い選手たちはPowell兄弟の流行らせたスケボー的なと言うか、剣玉的なと言うか、X-sportsとしてのLacrosseに存分に触れて育った世代。Youtubeで小学生の頃からMikeyのsickな技に酔い、真似しようとしてきた連中。この手のstick trickが本当に上手い。面白いのがLong stickの選手でさえ軽々と滑らかにspin trickを決めている点。選手の紹介での「2歳からLacrosseをプレーしてた」というコメントが印象的。

前半

試合では、Northが黒、Southが白。

South 2点目、#14 Frederick (Ohio State入学予定)のXからの1 on 1、Jump shotが巧い。

1Q残り2分でのSouthのクリア、GoalieのGreg Dutton (Ohio State)のクリアでのダッジ力とstick skillの高さ。ほぼショートスティックの動き。左手にサクッと持ち替えてビシッとパス。short stickのfield playerをある程度若い頃に経験してからGoalieになるとこういう副産物が。

South 6点目、Duke commitの# 9 Jordan Wolfが今年卒業した得点王Max Quinzaniを彷彿させるquicknessとシュートを見せる。jumping over hand shotで高低差のある軌道が効果的。彼は間違いなく主力がごっそり抜けた来年以降のDuke再建の鍵を握ることになるはず。

後半

3Q North 10点目、MF #7でPrinceton commitのThomas Schreiberのトップからのdodgeのスピードとその後のバックハンドショット。でかくて速くて巧い。間違いなく一年目からPrincetonの核になってくるはず。

3Q以降登場したNorth #22のGoalie, Eric Shneiderが66%という高いセーブ率に恥じない好セーブを連発。特にゴール前での1対1で勝負強さを見せる。Goalieの層が薄いJHUでの早くからの活躍が期待される。

South AT #9 Jordan WolfがまたしてもXからのスピードある1 on 1で3得点目。彼のスピードは本物。Dukeでも1年目から活躍の予感。

4Q South 9点目#17-#1 Quint Haley (Maryland committed)の美しいfast break. HaleyのOff ballのDの裏を取る動き、ゴール前での落ち着いた得点など既にベテランの風格。

North 11点目、Syracuse #4 4年MF & Iroquois Nationals代表で、プレー中の姿や動きが優雅でカッコ良くて有名なJeremy Thompsonの弟、Albany commitのMiles Thompsonのリバウンドをゴーリーからサクッと奪っての得点が巧い。このAnticipationと事前のポジション取り。弟の彼もJeremyと同じ三つ編みの後ろ髪を垂らし、やっぱり動きがカッコいい。なんでだろ、滑らかだから?なんか、Styleが出てるんすよね。カッコいい匂いが漏れ漂う。これがX-gameのスノボやスケボーのfree style/slope styleやone-makeだったら彼が優勝する気がする。(ちなみに兄貴のJeremyは今月のInside Lacrosseで、最もカッコいい選手に与えられるSweetewaaraton賞を受賞...やっぱ皆カッコいいと思ってんだな!と思った次第)

更に12点目、またしてもThompsonの1 on 1からのシュート、そのリバウンドを片手で拾ってbehind the backでの得点など、MLLでハイライトになるレベルのプレーを見せる。信じられん。兄貴やIroquoisの先輩のCody JamiesonがいるSyracuseに行くと思われていたが意表を付いてAlbanyに行くという意思決定にラクロス界に衝撃が走ったと言う。結構兄弟って意外とライバル校に行ったりする。なんか気持ち悪かったり、ライバル意識が働いたりするんだろうか。

13点目、MF #5 Mark Cockertonのシュートもスローブレークから意表をつくタイミングでのシュート。スクリーンを使っての速くて正確なシュートをゴール角に突き刺す。本日3点目。彼も頭一つ抜けた印象で目立っている。Canada出身のMF。去年の主力がフルに来年、再来年と残るVirginiaのAT/OFMFの層をさらに厚くする事になるはず。Cockertonは4得点でこの試合のMVPを獲得。

終了間際のNorth 17点目、CathersからThompsonというIroquoisの従兄弟同士によるno look pass & behind the back shot。こりゃもはやプロの世界...彼らのstick skillはやはりこの高校生トップレベルのメンツの中にあっても際立つ。

Inside Lacrosseの10 who impressedの記事。

Casey Ikeda選手を将来の日本代表候補にどうでしょ?

最後にオマケで一点。SouthのDに#5 Casey IkedaというPensylvania出身の選手がおり、Marylandにコミットしている。名字と見た目から判断するにLacrosseでは珍しくJapan backgroundっぽい。試合前から注目選手に挙げられており、今回の試合でもDにクリアにGBにと大車輪の活躍で目立っていた。身体能力も高く、サイズもあり、stick skillに加え、賢い選手だなという印象。ぶっちゃけDFでは最もimpressiveだったんじゃないだろうか?

機動力とstick skillがある一方で、サイズ(体重)とパワーが若干落ちる(もちろんMarylandでがっつりweight trainingを積んでtrainerによる食事管理を受ける中で一回り大きくなると思われるが)ので、直感的にボトムではなくLSMで出るんじゃないかという気もする。

4年後にちょうど卒業することになり、さすがにその時点でUS代表に選ばれる可能性は低いだろうから、もしeligibleなのであれば日本代表に引き込むっていうのはありかな?と思った。(完全に素人の思いつき以外の何者でもないですが...見当違いなこと言ってたらごめんなさい。)EnglandやItalyは実際にその国の国籍はなくても2世、3世のNCAA選手/卒業生を出場させており、即席で実力を底上げすると共に、本場の風を吹き込ませる手段として有効活用している。バスケでは一昔前の高橋マイケル(元いすゞ)の例など。総合格闘技のBrazilian, Lyoto Machidaを日本人とカウントするみたいな。

彼を土台にしてMarylandと日本のパイプを作っていけば将来の日本のラクロスに間違いなくプラスになると思うし。Marylandのコーチは先日7年契約での就任が決まった若き頭脳派HC Tillman。長期的な関係を築くには持ってこいな気もするので。Marylandは元々Australiaから選手を輸入する伝統があり、今年は卒業直後のMF Adam SearがAUS代表で出ていた。そういう意味ではある程度理解もあるはず?

ハーフで3世くらいだと日本語一切話せなかったりして、口頭でのコミュニケーションの重要なDだと難しいかな?LSMやるならまだピンポイント使いし易い?そもそもUSとの差が大きいstick skillの比重が相対的に低いDだとあんましプラスにならないか...

いたる@13期

Under Armour High School All America 2010 Review (1)

さて、今回はESPN Uで先日放送されていた、高校オールスター、Under Armour All AmericaのDVD。これまでHigh Schoolの話はあまり触れてこなかったが、今後も機会があれば少しずつ紹介出来ればなと思ってます。

Under Armour All Americaとは

今年で第5回を迎えるUnder Armour High School All America Lacrosse(公式HP)。 その年に卒業したばかりで、秋に各強豪校に入学する、全米+カナダから選抜された44人の高校3年生が集まり、北軍と南軍に分かれて戦うオールスターゲーム。

バスケのMcDonald All Americaが先駆け。バスケの方は既に完全にNBAへの登竜門としてのポジションを確立し、そこに選ばれることが高校生を始めとしたジュニア選手たちの大きなステイタス/目標となっている。

それと同じコンセプトでUnder Armourをスポンサーとして始まったイベント。第一回から大成功で回を重ねるごとに注目度を増している。次の年以降の大学のスター選手を知る場でもあり、各大学のコーチやファンも注目している。実際に今年上位校で活躍した1年生のほとんどが、そして今年のMLLドラフト上位指名された4年生のほとんどがUAAA出身。今年のFinal Fourに出場した4チームのうち、実に27人がUAAA出身者。それだけに選手たちは自分をアピールしようと必死。

東大の現役選手の皆に取っては、(寄せ集めチームによるshow case eventという性質上)チーム戦術を学ぶ教材としては機能しないが、高い個人技術を学び、自分よりも若くて巧い選手を見て刺激を受ける/「クッソ4年間の間に絶対こいつら超えてやる!」とやる気の炎を燃やすニトロに使うという意味では役に立つかも。(まあ、後はただのLacrosse/NCAAファンとして楽しみつつ、後々の有名選手を理解するために?)

全体を見ての感想

試合を見終わって受けた印象をいくつか。全部で5点。

1. 大学入学前の時点で既にかなり巧い

当然の事ながら、全北米から集められたその学年の上澄み。はっきり言って、上手い。高校生としては信じられないくらい、上手い。感覚で言うと、Div 1のトップクラスで活躍してる選手とさほど大きく変わらないようにも見える。Div 1の中〜下位校の主力選手、上位校の脇役選手よりは間違いなく上という感じ。もちろん体も出来てないし、粗さも目立つ。変なミスもちょくちょくある。ちょっと強引過ぎたり、プレーの選択が未熟だったりもする。ただ、全体を通してのstick skill、そしてLacrosseの理解/経験という意味では非常にレベルが高いと感じる。やはりガキの頃からこのスポーツに触れてきた経験の差、周囲を取り巻くラクロス文化/コミュニティの深さを感じさせる。強豪校に入り、一流のコーチの下バチッと規律と戦術を教えられる事で、一気にNCAAトップレベルの選手になるのも頷ける。それだけ、素材としての土台がしっかりしている。

2. 勝ちパターン/得意技を明確に持ち、使ってくる

全体的に基本がしっかりしているのはもちろん。ただ、見ていると、「Xからの1 on 1では絶対に点を取る」「速攻でのロングシュートは超鉄板」「ground ballからのクリアでは絶対シュートまでfront courtでOFに絡む(long stick)」など、長年の経験から自然淘汰されて残ってきた、「誰にも負けない自分の得意技」「必殺技」「鉄板ギャグ」みたいなものを持っている。そしてそれらの効果的な使いどころをよーく解った上で、実際にそれを使ってくる。これもまた質の高い、competitiveなラクロスを若い頃からやってきたが故のナチュラルな知恵/野生の強さの一つだろう。

3. Gameとしてのラクロスをよく理解してるな

試合終盤のゲームのペースや流れのコントロール、行くべきところと待つべきところの明確で戦略的な使い分け、点差に応じたペース配分など、寄せ集め即席チームであるにも関わらず、チームとして試合巧者である点が非常に際立つ。これもまたやはりガキの頃から接戦を繰り返し、またNCAAやMLLを見る中で当然の事/共通言語として身に付けて来たリテラシーなんだろう。(恐らく他のスポーツを見たりやったりする中でも磨かれて来たものだろうから、一概にラクロスリテラシーが高いというよりも、アメリカ/カナダのスポーツリテラシーが高い、という要素の方がむしろ大きいのかもしれない。そういう意味では日本でガキの頃からサッカーやミニバスのエリートでやって来た子達も似た感覚を持っているはず)

4.「今時」のプレーをするなー

単に上手い、という部分を超えた、プレーの”style(流儀や見た目)”の部分の話。ボールの投げ方やクレイドルの動き一つ取っても感じられる。Swim dodgeやwing dodge, step backしながらのフィード、XでのFinalizerやジグザグの動き。90年代には余り見られなかった、新世代のoff-set & curving head eraの独特の動き方を皆当然のようにやっている。MLLだとまだclassicなプレーの選手がいる中で、彼らは完全にガキの頃から新しいstick technologyとそれに基づいたプレーを見て育って来た選手。今のNCAAでも既にそうだが、それを前提とした新しいゲームに徐々にシフトしていくのを感じる。

5. 鮮明な地域性

サッカーのworld cupでよく見られる国ごとの文化を表したプレースタイルの違い。それに近い、エリア別のlacrosseのスタイルの違いが如実に感じられる。CanadianやIroquoisの選手を多く含むNorthのATのスティックスキル。Behind the back, no lookが極めてナチュラルにバンバン飛び出す。シュートはice hockeyとoverlapするリストを使ったunderhand shotが多い。

対してSouthは伝統的なデカいathleteが目立つ。手堅い保守的なD、機動力のあるrunning back系MF。クリア力。キャノンショット。オーバーハンドでの愚直なバウンドショット(でも効果的)。

大学では各エリアの選手が各大学にドラゴンボールの様にバラバラに散っていくため、この色は相対的に薄れてしまう。(もちろんSyracuseの北とJHUの南などのある程度伝統的な色はあるが、そうは言ってもどのチームも最低限の持ち駒のポートフォリオを揃えてくるので。特にここ数年competitiveさが増す中で、その手の色は更に薄れつつある。)

一方で、高校までは完全に地元のlacrosseのカラーでやってくることに。従ってlacrosseが本来持つこの手の地域性/コミュニティ性が如実に感じられて非常に面白い。

Roster

Rosterはこちら

大学別の人数

大学別にUAAAの選手を何人取っているのかというのが毎年話題になる。その学校の数年後の強さに直結するため。もちろん無名の選手が大学入学後大化けしたり、逆に鳴り物入りで入学したsensational rookieが怪我やチーム戦術とのフィット等の理由でパッとしないまま噂先攻で終わってしまうケースもあるため一概には言えない。

が、一方で、大学から始める日本と違い、既に5年10年のキャリアを積み、過酷なcompetitionを経る中で多くのメディアや指導者の眼に晒される、実力とポテンシャルを十分に証明した上での人買い市場。基本的には大学で行われるのは最後の上乗せとアジャストの部分。原石を買って磨くと言うよりは、完成品を買って来てシステムに当てはめる作業という意味合いの方が強い。従ってやはり高校での有力選手をどれだけ取れたのかは極めて重要な指標。

(であるが故に、NCAAのHCとしての能力の中でリクルーティング力が大きな比重を占める事になる。また、それを考えると、UAAAをほとんど取れていないにも関わらず毎年結果を出していたTambroniのCornellが如何に凄かったが解る。彼の場合は実際の実力に比べて評判が落ちる選手、ポテンシャルの高い選手、努力する能力と賢さを持った選手を集め、入学後の指導と競争で強豪に仕立て上げるアプローチ。個人的には大好きだし、全面的に応援したい。その雑草魂/underdog spirit。)

試合でも紹介されるが、今年はNorth Carolinaが7人でトップ。続いてMarylandの6、JHU 4, Syracuse 4, Duke, Harvard, Princeton, Virginia, Ohio state 3, Notre Dame 2。やはり強豪校と学問名門校が多い。North Carolinaが新HC Joe Breschiの下、リクルーティングでも力を発揮しつつあるのが解る。恐らく彼には今の若い選手を惹き付ける何か、恐らくカリスマのような物があるんだろう。就任3年目で着実に土台となる選手層を積み重ね、長期的な強豪校への地盤を確実に固めつつある。

次回以降、試合での見所を紹介。

いたる@13期