2012年8月31日金曜日

MLL 2012 vol.16 Final Denver Outlaws vs Chesapeake Bayhawks

決勝はレギュラーシーズン1位と2位、Denver OutlawsとChesapeake Bayhawksの組み合わせ。

準決勝で、DenverはLong Islandを10点差を引っくり返して13-12で勝利、Bayhawksも同じく逆転で16-9でBostonを下しての決勝進出。

最大のクエスチョンは、準決勝を直前の練習での捻挫で欠場したDenverのエース、MVP #2 AT Brendan Mundorf (UMBC 06)の状況。

試合前に鬼のテーピングで足を固め、アップで走って様子を見て、何とか出場。これで行けるかに見えた。が、やはり明らかに本来の動きが出来ておらず、ほとんど活躍出来ず。2Q途中で残念ながら離脱。結局Denverは本来の強さを発揮出来なかった。

結果は16-6の大差でのChesapeakeの勝利。一昨年の優勝から2年振り、2001年のリーグ創設以来4度目の優勝を手にした。

Chesapeakeはやはり強かった。

まずFOの#11 Alex Smith (Delaware 07)がレギュラーシーズンを長く怪我で欠場していたのが復帰。FOをがっつり支配。

DFもLong Islandから移籍して来たベテランHofstra出身のItalianカテナチオDFコンビ、PolancoとSpalinaのベテラン二人がチームを底から締めた。

OFは相変わらず大砲満載のMF軍団。#44 Steven Brooks (Syracuse 08), #5 Kyle Dixon (Virginia 06), #18 Ben Hunt (North Carolina 09), #51 Mike Kimmel (Johns Hopkins 10)の走れて頑丈な重量級の大砲4枚が外からガンガンぶち込んで来る。190cm台90kg級で機動力&上手さありのやばい巨人が多過ぎる...

加えて今回は地味上手カテゴリー世界最強の呼び声も高い#6 AT Ben Rubeor (Virginia 08)が準決勝の6得点に続いて今回も2得点で手堅く締めた。

まあ、全体的に最も層が厚く、ギュッと締まった、完成度の高いチームだった。

(大体数年前まで世界最高の選手だった#24 AT John Grant Jr (Delaware 00)が「脇役」として地味に土台を支えてる辺りからして明らかにえげつない...)

2010年にMarylandのヘッドコーチを解任された後コンサルタントとしてBayhawksを優勝に導き、今年はヘッドコーチに就任したDave Cottle氏の手腕が大きいように見える。いまやMLLも完全にNCAAトップクラスのコーチを擁して優勝を狙いに行く世界に変わりつつある。

来年も引き続き手堅い強豪チームとして帰って来る事は間違い無い。一方で、明らかにBayhawksが他と違うのは、ここ数年、ほとんど全く1-2年目の若手を使っていない点。MLLで既に実力を証明されたベテランのみでこの実績を残して来ている。どこかのタイミングで世代交代が必要になってくるはず。

これで4ヶ月に渡ったMLLの2012年シーズンも終わり。また一歩MLLがあらゆる面でラクロスの限界を一歩押し広げた年だったと感じる。

Highlight

2012年8月30日木曜日

MLL 2012 vol.15 Semi Final Denver Outlaws vs Long Island Lizards

いやいやいやいや。ハラハラドキドキの展開。

堂々の一位で優勝候補のDenverと、完全にチームを一新して新コーチの下ルーキー主体ながらギリギリでプレーオフ進出を決めたLIの対決。

そもそも準決勝前の下馬評ではDenver優勝と見られていた。

が、ラクロスの神様の悪戯か、思いがけないドラマが待っていた。

前日の練習でDenverのエースでシーズンMVPの#2 AT Brendan Mundorf (UMBC 06)が足首を捻挫のアクシデント。走ることができなくなり、なんと準決勝を欠場。全てのゲームプランを根源から作り直す必要が生じてしまった。

試合は、序盤からDenverがほとんど全ての攻撃の起点となっていたMundorfを失い、完全にぎくしゃく。勢いに乗ったLong Islandにボコボコに得点され、3Q序盤で12-3と大量リード。

Denverファンは、「あー、これで今年も優勝の夢はお預けか...」と感じていたはず。

ところが、ここから一気に奇跡の大逆転。10連続得点でまさかの逆転を果たし、悲願の決勝返り咲き。こちらもルーキーの#22 AT Mark Matthews (Denver 12)、#10 Chris Bocklet (Virginia 12)が大活躍。加えてMFの柱#57 Peet Poillon (UMBC 09)がまたしても「俺が負けさせねえ」の気迫ほとばしる鬼の勝負強さを見せてゲームの流れを一気に変えた。

恐らくMLLプレーオフ史上最大の大逆転劇だろう。さすがに1.5Qで10点を引っくり返すってのは聞いた事が無い。当然狙って出来る事じゃない。

「今年こそは」の気持ちが一番強いように見えるDenver。特にエースのMundorfはラクロス人生を掛けて人生発のMLL優勝を狙って来ている。決勝ではどうなるか。

Highlight

2012年8月15日水曜日

NCAA 2013 Top 20 Recruiting Classes

さて、新学期前に差し掛かり、少しずつ来年のシーズンに向けての胎動が聞こえ始めている。

毎年夏に恒例のInside Lacrosseによる、新入生の学校別ランキング。

前提となる背景として、選手のほとんどが大学から始める日本のラクロスと異なり、アメリカのラクロスはほとんどの選手が小中高(もしくはその前)から始めており、高校で甲子園やインターハイのような過酷なコンペティションを経て、選手としてある程度完成した状態で所謂体育推薦で入って来る選手がほとんど。

高校の時点で実績のある、優秀な選手、サイズ、身体能力、技術、メンタル、知性、変化/成長する力のある選手をポジションごとにどれだけ取れるかで、勝負の5割が決まってしまうという傾向を持つ。

従って、実際に毎年の新入生の戦力を分析する事で、今後2-3年のチームの強さがある程度予想出来てしまう。更に言うと、昨シーズンのUNC (North Carolina)を見ると解る通り、1年生のスター選手たちが実際にスターティングメンバーとして1年目から勝ち負けに思いっきり影響を与えて来る。

という重要な話。

記事のリンク

結果は、

MEN'S TOP 20 CLASSES

20. Hobart
19. Michigan
18. Navy
17. Georgetown
16. Ohio State
15. Loyola
14. Denver
13. Brown
12. Fairfield
11. Penn
10. Princeton
9. Syracuse
8. Notre Dame
7. Penn State
6. Maryland
5. Johns Hopkins
4. Harvard
3. Duke
2. Virginia
1. North Carolina 

という感じ。

North Carolinaが3年連続で2位以内に入って来ており、明らかに新興強豪校としてのし上がって来ている事が解る。元地元ファンとしては頼もしい限り。

Virginia, Dukeはまあ納得。いい学校。

ちなみに、ACC (Atlantic Coast Conference)の3校が上位を独占して、更にもう一校のMarylandも6位に。NCAA D1のACCによる独占体制は当分揺らぎそうにない。

あと、元CornellのJeff Tambroniヘッドコーチが2年前に移籍したPenn Stateがいきなり7位に登って来ている。リクルーティングに於ける求心力を感じさせる。

Syracuseが9位と、以前では考えられなかった程順位を落としている。やはり場所の問題もあり、人気が無くなっていると言う事か。アメリカ全土でラクロスが急成長した事により、NY北部の地元の優秀な選手を集めれば勝てるという時代は終わったと言う事か。

Harvardが新入生の段階で順位が高いのは毎回の事。が、どちらかと言うと、「ラクロスが上手くて最低限内申点が良ければ受験無しで東大に行ける」的な学歴重視の要素があるため、勉強の優先順位が高い選手も多く、それがそのまま3年後の順位には直結していない。

Princetonも10位と落ちたな...昔は1位だったのに。

Bill TierneyヘッドコーチのいるDenverが思いの外低い。これだとFinal 4厳しいか?

2012年8月13日月曜日

MLL 2012プレーオフ進出チームが決定

さて、8チームにより5月から3ヶ月掛けて行われて来たMLLのレギュラーシーズンが終了し、遂にプレーオフに進出する4チームとその組み合わせが決定した。(ILの記事のリンク

レギュラーシーズンの順位によりプレーオフ進出を決めたのは、
  • 1位 Denver Outlaws (11勝3敗)
    • 結局明らかに一番強かった。穴が最も無い。最もバランスが取れている。現時点での優勝候補だろう。
  • 2位 Chesapeake Bayhawks (10-4)
    • シーズン前半ぶっちぎりの強さだったが、後半若干失速。が、依然優勝候補その2
  • 3位 Boston Cannons (9-5)
    • 前半飛ばしたが、後半一気にぎくしゃく。Paul Rabilへの依存度が異様に高い。決勝まで行けるか?
  • 4位 Long Island Lizards (8-6)
    • 今シーズンから完全にリセットでメンバーを大幅入れ替えしたLizards。ルーキー達の活躍により4位に何とか付けた。しかし、その若さがプレーオフでどう作用するか。
逆に出られなかったのは、
  • 5位 Rochester Rattlers (7-7)
    • 惜しかった。明らかに過去2シーズンとは別のチームになっていた。Ned Crotty以外で勝てるチームになっていた。が、肝心のCrottyが怪我もあって後半から静かになってしまった。
  • 6位 Charlotte Hounds (5-9)
    • いや、上出来。普通新規参入チームがここまで勝つ事は有り得ない。しょっぱなからガンガンベテランの有力選手を集めた事が奏功。もちろんプレーオフには出られなかったが、一年目に5勝は明らかに快挙。
  • 7位 Hamilton Nationals (4-10)
    • 惨め過ぎる...Brodie Merrillも今年は明らかにパフォーマンスが落ちている。これで解散か。悲し過ぎる。
  • 8位 Ohio Machine (2-12)
    • これも新規参入チームなので、そもそも2勝してる時点で勝ち。
準決勝決勝は8月25-26日の週末。BostonのHarvard Stadiumにて。毎年素晴らしい、世界最高峰の名に相応しい、最高のラクロスとエンターテインメントを提供してくれる。今年も楽しみ。

2012年8月3日金曜日

NCAA 2013 CornellのRob Pannellが5年生で復帰

ILに嬉しいニュースが載っていた。一昨年NCAAのMVPを獲得し、去年MLLにドラフト1位指名されながらもシーズン開始直後に足首を複雑骨折してシーズンを棒に振ってしまった現時点での大学最高選手、Cornellの#3 AT Rob Pannellの5年生としての来シーズンでの復帰の申請が許可されたとの事。(リンク

最終学年に懸ける想いは大きかっただろうから、怪我で出られなかったのは辛かっただろう。ベンチで一番声を出して、若い選手たちを助けていた姿が印象的だった。特に去年RookieだったDonovanを自分の直系の愛弟子として「育成プロジェクト」モードで完全コピーとして育て上げ、シーズン後半には時々同じ様なプレーを出来るレベルまで引き上げていたのは印象的。

残念ながら去年DFとMFの柱が抜けてしまったため、今年は全体としては戦力が大きく落ちているはず。Pannell一人でどこまで持ち上げられるかに注目。来年のMVP争いは完全に彼を軸に展開するはず。