2016年6月7日火曜日

NCAA 2016 #19 Semi Final - North Carolina vs Loyola

時間軸が前後するが、続いて準決勝1試合目、North Carolina vs Loyola。先週会場で見たが、家に帰って再度DVRの録画をテレビで見直してみる。

1. Background

UNCは優勝候補の一角Notre Dameを前半爆発して13-9で破って25年ぶりのFinal 4。

Loyolaは一回戦でDukeに雪辱し、準々決勝でTowsonに勝って、前回優勝の2012年以来二度目の優勝を目指す。

2. Recap

再び出だしからUNCが爆発し、一時10点差、前半終了時点で14-5。Q3にLoyolaが頑張るも、差を詰めきる事は出来ず、18-13の安全圏リードでUNCが勝利。

3. 見所

UNCの勝利の方程式が思いっきりハマって勝った試合。
  • 特に前半、FOを支配。#24 FOGO Stephen Kelly (Jr./3年)が大活躍
  • OFMFの走力、ダッジ力で崩しまくり。スライド発生させまくり
  • ATの1-on-1も効果的
  • DF手堅い。1-on-1でほとんど抜かれない。特にDFMFのでかくて動ける2枚が徹底して脚で着いて行って、鬼のプッシュで押し出し、相手のOFMFに一切仕事させない
  • 特に、相手エースの#7 AT Pat Spencer (Freshman/1年)には早めのスライドのダブル/トリプルで確実に潰しきり、パスミス誘発
  • Canadaのラクロスエリート養成学校The Hill Academy出身で、インドアラクロス(Box Lacrosse)出身のLefty #45 AT Chris Cloutier (2年/Sophomore)が存分にその能力を発揮。9得点のSemi Final史上最多得点(90年代の同じくCanadianの「ラクロスの神様」SyracuseのGary Gaitとタイ)。
4. Highlight


2016年6月4日土曜日

NCAA 2016 #18 Final - Maryland vs North Carolina

既に結果や意味合いについてはいろいろ書いたが、敢えて、決勝の試合についていくつか振り返ってみようと思う。

結局、会場で1回、ホテルに帰ってWatch ESPNのOnlineで1回、家に帰ってDVRの録画をテレビで1回と、計3回も見てしまった…

が、何度見ても痺れる程素晴らしく、ハラハラドキドキでき、そして感動して泣きそうになってしまう。Transitionも多く、最後までダレる事なく高いレベルのプレーを維持し、全力の激しいプレーを見せ、点の取り合いで、追い付き追い付かれの乱打戦。加えて感動とドラマと人間模様も垣間見れる。

IL Podcastでも、記憶に残っているNCAA Men's Lacrosse Division 1のFinalとしては、史上最も素晴らしい試合だったとコメントされていた。昔VHS等で見た事のある90年代の試合から思い出してみても、確かに個人的にも覚えている全てのFinalの中で間違いなく最高の試合だと言い切れる。それだけ素晴らしい試合だった。リクルーティングで新入生に見せる、家族や友人や彼女に見せてラクロスの素晴らしさ/格好良さを見せるなら、まさにこの試合で決定かなと思った。

1. Background

Marylandはレギュラーシーズン14勝2敗、トーナメント2回戦で強敵Syracuseを13-7で粉砕、同じく優勝候補だったBrownをOTの末15-14で破り、破竹の16連勝中。最も完成されており、穴がなく、誰もが認める優勝候補。ここ5-6年は誰もが認める強豪校だが、実は1975年以来優勝しておらず、今回は待望の41年振りの優勝を目指す。2011年以降新コーチJohn Tillman氏の元更に躍進し、2011、2012、2015年と過去6年で3度Finalに進むも、全て負けており、あと一歩の所で優勝に手が届いて来なかった。今年は上級生が多く、戦力も充実しており、本人達は勿論、メディアやファンからも「今年こそは待ちに待ったMaryland優勝の年(This is THE year.)」と言われて来た。

対するNorth Carolinaは、これまでの記事で何度も書いたが、昨年主力をごっそり卒業で失いレギュラーシーズンでは8勝6敗。シーズンの最初に格下(Hofstra、UMass)に負け、トーナメントもギリギリで出場。ファンも含め誰も決勝に来るとは思っていなかった。が、準々決勝、準決勝と、ググッとチームとして機能し出し、最高のタイミングでピーキングを迎え、一気に"Hot"なチームとしてに決勝に躍り出てきた。80年代、90年代に四度優勝の黄金時代を経るも、その後長らく低迷し、1991年以来25年振りの優勝を目指す。

2. Recap

出だしに準々決勝、準決勝で見せた最初の爆発で、UNCが一気に4得点。その後Marylandが追いついて、一進一退の追いつき、突き放し離し、逆転に次ぐ逆転でQ4まで。

Q4終了間際に13-11でMarylandがリードし、勝負あったかに思えたが、EMOと1-on-1からのシュートでUNCが追いつき、最後はOT開始のMan Downでの最大のピンチをセーブでしのいだUNCが逆にEMOを得てトーナメント合計19得点で史上最高得点のCanadian #45 AT Chris Cloutier (Sophomore/2年)がこれ以上無いPlacementでロングレンジのシュートをたたき込んで劇的幕切れでUNCが優勝。

3. 見所

いくつか、ILの記事等で指摘されていた点も含め、見所、そして、試合の勝敗を決した要素を挙げてみたい。

実は、試合開始前も、Marylandが圧倒的に有利で、10回やって8-9回はMarylandが勝つかなと予想していたし、試合中も会場で見ながら、Marylandが圧倒的に有利にいいチームだし、いいラクロスをしていたし、優位に立っていると感じながら見ていた。が、冷静になって何度か試合を見直す中で、「あれ?意外とそうでも無いかな?意外とUNCが有利だった要素も多いな」と気付いた。その辺も踏まえて。

まずは、Marylandが優れていた/勝っていた点から。

Face Offは明らかにMarylandが勝ち
  • 思った以上に差があった。19勝11敗で圧倒的にMaryland。
  • #18 Face-Offer Austin Henningsen (Freshman/1年)が素晴らしかった。反応の速さ、掻き出しの正確さ、ウィングとの連携。
  • Marylandには今年から、Face Off Academyの主催者の一人、MLL Florida LaunchのFOGO Chris Mattes氏がFace Off専門のVolunteer Assistant Coachとして参加しており、ゴリゴリにFace Offerたちを鍛えており、試合中も相手Face Offerの癖や状況に応じて的確なアドバイスを与えていた。
  • UNCはこれまで#24 FO Stephen Kelly (Jr./3年)が6割以上の安定の勝率を誇っており、重要な勝利の方程式になっていたが、彼が完全にやられてしまった。最初はClamp (被せ/挟み)で真っ向勝負したが全く勝てず、続いてRake (掻き出し)に切り替え、それでも勝てず、最後はもはや相手に取らせてGround Ballでチェックして奪う事に専念したが、それでも勝てず。
OFの得点源3枚による得点力
  • セットオフェンス、EMO、Unsettled Situationで、シュートの素晴らしさが光った。
  • #1 AT Matt Rambo (Jr./3年)、#2 AT Colin Heacock (Jr./3年)、#40 OFMF Connor Kelly (Sophomore/2年)の3枚のシューターが力を見せつけ、それぞれ3得点、2得点、4得点。
  • フリーでのシュートの作り方、Middle Range、Close Rangeでのシュートの技術は本当に素晴らしかった。オフェンスの選手は参考に出来る点が非常に多い3人。
  • 試合中も、余りにも美しいシュートまでの設計、完璧なシュートでの得点に、思わずため息をつき、敵ながら「こりゃ厳しいなー!」と何度も思わされた。
一方で、冷静になって客観的に何度か見直すにつれ、UNCの良かった点、Marylandに勝っていた点が結構有った事が解って来た。

選手個々人のアスリートとしての「個」の強さ、特に、1-on-1での強さ
  • UNCの方がサイズ、身体能力、特に走力/機動力と、スタミナに分が有った。パッとフィールドで見た際に、一目で、UNCの方が全体として、デカく、太かった。
  • 高校オールスターである、Under Armor High School All American選出の選手がUNCは20人でNCAA中最多、Marylandは14人である点からも分かる。
  • Marylandは、UNCに比べるとちょっと選手の線が細いようにも感じた。フィジカルやWeight TrainingをUNCほど重視してないのかな?とも勘ぐってしまった。
層の厚さ
  • 加えて、UNCは明らかにそれらのTop athleteの「質」だけでなく、「量/数」で明らかに上回っていたように思える。
  • OFMFの3rd set、DF MFの2nd set、Face Offerの2枚目といったベンチの控えのメンバーまで行ってもフィジカルがガクンと落ちるという印象が無かった。相手から見ると、「何で無限に強いやつ出てくるんだ?」と感じられたんじゃないだろうか。
  • 思い出すと、ここまで分厚く強い選手が控えてるチームは確かに過去のNCAAでもちょっと思い出せないかな?というレベル。UA All American 20人というのは恐ろしい数字だ。
  • 一方のMarylandは、明らかに1枚目の選手たちはトップクラス。そして2ndの二人目くらいまでは強いが、そこから先の深さはあまり感じなかったかなと。
特に、OF/DF双方に渡っての、MFのマッチアップでの差
  • ここが恐らく最も明確に勝負を分けたポイントかなとも。
  • 1st、2nd setのOFMF、DFMFの合計10-15人ずつ同士のマッチアップで、明らかにUNCが勝っていた。
  • 特にUNCの1st setの3枚#21 MF Michael Tagliaferri (Jr./3年)、元ATの#2 MF Patrick Kelly (Sr./4年) 、#22 MF Shane Simpson (Jr./3年)の3人、2nd setでも元ATの#15 Timmy Kelly (Freshman/1年)辺りは、明らかにMarylandのDFMF陣に純粋な「走力」で勝っており、1-on-1でかなり確実に抜いてスライドを発生させられていた&得点に結び付けられていた。
  • UNCは特に伝統的に高校までATで点取り屋だった走力とスティックスキルのある選手を相当数リクルーティングで集め、彼らを敢えてOFMFで使い、フィール上に常に実質ATが4-5枚(時には6枚)いるという設計にしている。今回の試合でも明らかにそれが効いていた。
  • 逆に、UNCのDFMFの2枚看板、#6 Jake Matthai (Sr./4年、198cm/104kg)、#3 Brett Bedard (Jr./3年、188cm/91kg)はクソでかいし、クソ動けるし、試合の最後まで相手OFMFに対してしっかり脚で付いていき、ゴツっと厳しいプッシュで押し出して、1-on-1で守りきり、ほとんどスライドを発生させていなかった。相手のOFMFからすると相当手を焼いたんじゃないかと思われる。
  • 実はここが試合全体の中で、UNCにとって非常に重要な安定した土台を生んでいたように見える。
ATの1-on-1の強さ
  • これもMarylandとの比較で感じた。3枚のATがそれぞれ、1試合に何回かずつは1-on-1で相手をBeat出来ている(抜いている)。
  • 逆にMarylandのATはスティックスキルが高く、ラクロスIQも高く、シュートもフィードも巧いが、決して走って1-on-1でUNCのDFを抜いていた感じではない。ここでも実はやはり攻めのオプションに違いを生んでいたはず。
Close DF(ボトムのLong Stick Defender 3人)の1-on-1の強さ
  • ここが明らかに昔UNCを見ていた頃と比べて大きく変化した点。昔のUNCは、OFでタレントのある選手が揃っていても、明らかにDFが弱点で、正直DFの選手の質が一段落ち、失点の多さで負けていた印象が強かった。
  • が、今回のUNC、特にQuarter Final、Semi Final、Final 3試合では、本当にClose DFの強さが際立った。今回もMaryland ATに1-on-1でBeatされたシーンはほとんど無かった気がする。
  • 従って、スライドも最小限に抑えられていたし、加えてダブルでボールを奪う事にも成功していた。
  • 加えて、明らかにシーズン前半と比べても、首振り、コミュニケーション、スライドのスライド等の、チームDFとしての統制のレベルが上がって来ていた。
  • FOで大きく負け、ポゼッション時間ではMarylandが圧倒的に長く、相当長い時間ネチネチと攻められ続けたが、最後まで集中力が途切れる事なく、チームとして崩れる事なく守りきれたDFが今回の勝利の大きな要因だった事は間違いない。
Goalie Balkamの活躍
  • これはもう試合を見たら一目で解るが、引き続き2年生Goalieの#30 Brian Balkamが素晴らしいセーブを何度も見せていた。
という感じだろうか。

他にもMarylandにとって不利だった要素、明らかに良くなかった点はいくつか有ったはずで、

DFのスライドの遅さ
  • 意図的に戦術的に決め事としてやっていたんだろうか?UNCのDFがかなり早めにスライドを飛ばしていたのと比べると、明らかに遅かった、または行っていなかった。
  • 特にQ1の失点、Q4最後の同点ゴールの失点等は、「ん?何でスライド行かない?」というケースが散見された。
  • 1対1で止められると過信していたんだろうか?
運。特に大事な場面で何度もシュートがパイプに当たっていた
  • いくつか、これが決まったら試合が決まるな、というシュートがパイプに当たっていた。まあ、それも含めて実力とも言えるが
  • 思えば、UNCはトーナメントの組み合わせでも明らかに強運に恵まれていた。同じ山に天敵Duke、Denverがいたが、それぞれLoyolaとTowsonに負け、一度勝っていて得意なNotre Dame、若干チームとしての総合力が落ちるLoyolaという組み合わせに恵まれた。
無駄なファウル
  • 全体的にそれほどファウルが多い試合では無かったが、特にOTの最後のCross Checkのファウル等、明らかに冷静さを失っての無駄なファウルだった。本人は恐らく今後の人生で長く後悔する事になるんじゃないだろうか。
前の試合からの疲労度の差?
  • 一つファクターとしてあったかなと思ったのが、前々日の準決勝からの疲労の要素。UNCは準決勝は前半に大差を付け、ある程度余裕を持って終わらせた第一試合。
  • 一方のMarylandは、第二試合で夕方5時過ぎまで、Brownと大接戦の末、OTまで死闘を戦い抜いた。特に1枚目の選手たちは実は1.5日間のRestで蓄積した疲労が完全に回復しきれてなかったのかな?特に決勝の最後の方は多少しんどくなってたのかな?という気もしないでもない。
なので、この試合を何度か見直した後に再度考えると、実は、まあ、10回やって、4回くらいはUNCが勝ってもおかしくなかった試合だったのね、と感じた。

4. Highlight




2016年6月2日木曜日

UNCの優勝

あれから二日経つが、未だにあの熱狂から完全に醒めていない。

本当に、今までラクロスを見てきた中で、最高の試合、最も感動した試合だった。それを、期せずして、文字どおり目の前で、生で見られた事は、本当に幸運だった。

少しずつ、いろんな事を振り返って書いてみようかなと思う。

今回のUNCの優勝が、いかに特別なものだったか。いろんな面で記録づくめの決勝、優勝だった。そして、強く記憶に残る物だった。ILの記事や、インタビューのコメント、ESPNでの解説の中で拾った中で幾つか挙げてみようかと思う。
  • UNCの優勝は、1991年以来、25年ぶり。そして、奇しくも、たまたまハーフタイムに25年前の優勝校を25周年記念で祝うイベントで、正にその1991年のチームの元選手たちが表彰されたという偶然。
  • 男女揃っての優勝。NCAAのスポーツ全体でも極めて珍しく、ラクロスでは1994年のPrinceton以来。男女揃って同じ決勝カード(UNC vs Maryland)は初。
  • UNCはレギュラーシーズン6敗もしており、ノーシードからの優勝。共にNCAA Men's Lacrosse Division 1では史上初。いかに格下からの成り上がり/下克上優勝だったかが解る。ここ10年で、昔ほど圧倒的強豪校がいなくなり、上位校のどこが優勝してもおかしくないという、「Parity(戦力均衡)の時代」ならではの結果。
  • 決勝での得点は、14-13で合計27得点。これも、2004年以来12年ぶりの最多得点。特に2000年以降はスティックの進化、戦術の進化により、ポゼッション重視で試合のペースが落ち、得点数が減ってしまった上、お互い慎重になって更にロースコアな展開になりがちだった中、これだけ大量得点の殴り合いの決勝は、珍しい。もちろん、ショットクロックの導入というルール改正の影響も大きい。
  • 2年生Canadian AT #45 Chris Cloutierの大活躍と、怒涛のゴール。トーナメント合計19得点、Semi Final 9得点、Semi Final/Final合計14得点は、全てNCAA Men's Lacrosse Division 1史上最高得点数。

本当に、今年のUNCのトーナメント準々決勝以降の3試合は、何か突然変異が起きたかの様に全てが噛み合って一気に強豪チームへと変貌した。インタビューで、#2 MF Pat Kelly (Sr./4年)が、「4年間掛けて学んだ事は、シーズン中、4月にピーキングしちゃったらダメで、明確に5月にピーキングしなくちゃいけないという事」と言っていた。完全にそれを体現したチームだった。

決勝当日の裏舞台の映像。Coach Breschiの2008年の就任以来の苦労、今シーズン当初からの苦労を思い出すと、そら感情移入しちゃうよね?

しかし、これ見ると、本当に試合前なんてかなり緊張せずにいい感じでリラックスして臨めてるなーと思う。Head CoachのJoe Breschi氏も、「ぶっちゃけ注目されてなかったからNo Pressureだよね」と明言していた。これは優勝候補筆頭として注目され続けてきたMarylandとは真逆。この辺は間違いなく勝因の一つだったはず。