結局、会場で1回、ホテルに帰ってWatch ESPNのOnlineで1回、家に帰ってDVRの録画をテレビで1回と、計3回も見てしまった…
が、何度見ても痺れる程素晴らしく、ハラハラドキドキでき、そして感動して泣きそうになってしまう。Transitionも多く、最後までダレる事なく高いレベルのプレーを維持し、全力の激しいプレーを見せ、点の取り合いで、追い付き追い付かれの乱打戦。加えて感動とドラマと人間模様も垣間見れる。
IL Podcastでも、記憶に残っているNCAA Men's Lacrosse Division 1のFinalとしては、史上最も素晴らしい試合だったとコメントされていた。昔VHS等で見た事のある90年代の試合から思い出してみても、確かに個人的にも覚えている全てのFinalの中で間違いなく最高の試合だと言い切れる。それだけ素晴らしい試合だった。リクルーティングで新入生に見せる、家族や友人や彼女に見せてラクロスの素晴らしさ/格好良さを見せるなら、まさにこの試合で決定かなと思った。
1. Background
Marylandはレギュラーシーズン14勝2敗、トーナメント2回戦で強敵Syracuseを13-7で粉砕、同じく優勝候補だったBrownをOTの末15-14で破り、破竹の16連勝中。最も完成されており、穴がなく、誰もが認める優勝候補。ここ5-6年は誰もが認める強豪校だが、実は1975年以来優勝しておらず、今回は待望の41年振りの優勝を目指す。2011年以降新コーチJohn Tillman氏の元更に躍進し、2011、2012、2015年と過去6年で3度Finalに進むも、全て負けており、あと一歩の所で優勝に手が届いて来なかった。今年は上級生が多く、戦力も充実しており、本人達は勿論、メディアやファンからも「今年こそは待ちに待ったMaryland優勝の年(This is THE year.)」と言われて来た。
対するNorth Carolinaは、これまでの記事で何度も書いたが、昨年主力をごっそり卒業で失いレギュラーシーズンでは8勝6敗。シーズンの最初に格下(Hofstra、UMass)に負け、トーナメントもギリギリで出場。ファンも含め誰も決勝に来るとは思っていなかった。が、準々決勝、準決勝と、ググッとチームとして機能し出し、最高のタイミングでピーキングを迎え、一気に"Hot"なチームとしてに決勝に躍り出てきた。80年代、90年代に四度優勝の黄金時代を経るも、その後長らく低迷し、1991年以来25年振りの優勝を目指す。
2. Recap
出だしに準々決勝、準決勝で見せた最初の爆発で、UNCが一気に4得点。その後Marylandが追いついて、一進一退の追いつき、突き放し離し、逆転に次ぐ逆転でQ4まで。
Q4終了間際に13-11でMarylandがリードし、勝負あったかに思えたが、EMOと1-on-1からのシュートでUNCが追いつき、最後はOT開始のMan Downでの最大のピンチをセーブでしのいだUNCが逆にEMOを得てトーナメント合計19得点で史上最高得点のCanadian #45 AT Chris Cloutier (Sophomore/2年)がこれ以上無いPlacementでロングレンジのシュートをたたき込んで劇的幕切れでUNCが優勝。
3. 見所
いくつか、ILの記事等で指摘されていた点も含め、見所、そして、試合の勝敗を決した要素を挙げてみたい。
実は、試合開始前も、Marylandが圧倒的に有利で、10回やって8-9回はMarylandが勝つかなと予想していたし、試合中も会場で見ながら、Marylandが圧倒的に有利にいいチームだし、いいラクロスをしていたし、優位に立っていると感じながら見ていた。が、冷静になって何度か試合を見直す中で、「あれ?意外とそうでも無いかな?意外とUNCが有利だった要素も多いな」と気付いた。その辺も踏まえて。
まずは、Marylandが優れていた/勝っていた点から。
Face Offは明らかにMarylandが勝ち
- 思った以上に差があった。19勝11敗で圧倒的にMaryland。
- #18 Face-Offer Austin Henningsen (Freshman/1年)が素晴らしかった。反応の速さ、掻き出しの正確さ、ウィングとの連携。
- Marylandには今年から、Face Off Academyの主催者の一人、MLL Florida LaunchのFOGO Chris Mattes氏がFace Off専門のVolunteer Assistant Coachとして参加しており、ゴリゴリにFace Offerたちを鍛えており、試合中も相手Face Offerの癖や状況に応じて的確なアドバイスを与えていた。
- UNCはこれまで#24 FO Stephen Kelly (Jr./3年)が6割以上の安定の勝率を誇っており、重要な勝利の方程式になっていたが、彼が完全にやられてしまった。最初はClamp (被せ/挟み)で真っ向勝負したが全く勝てず、続いてRake (掻き出し)に切り替え、それでも勝てず、最後はもはや相手に取らせてGround Ballでチェックして奪う事に専念したが、それでも勝てず。
OFの得点源3枚による得点力
- セットオフェンス、EMO、Unsettled Situationで、シュートの素晴らしさが光った。
- #1 AT Matt Rambo (Jr./3年)、#2 AT Colin Heacock (Jr./3年)、#40 OFMF Connor Kelly (Sophomore/2年)の3枚のシューターが力を見せつけ、それぞれ3得点、2得点、4得点。
- フリーでのシュートの作り方、Middle Range、Close Rangeでのシュートの技術は本当に素晴らしかった。オフェンスの選手は参考に出来る点が非常に多い3人。
- 試合中も、余りにも美しいシュートまでの設計、完璧なシュートでの得点に、思わずため息をつき、敵ながら「こりゃ厳しいなー!」と何度も思わされた。
一方で、冷静になって客観的に何度か見直すにつれ、UNCの良かった点、Marylandに勝っていた点が結構有った事が解って来た。
選手個々人のアスリートとしての「個」の強さ、特に、1-on-1での強さ
選手個々人のアスリートとしての「個」の強さ、特に、1-on-1での強さ
- UNCの方がサイズ、身体能力、特に走力/機動力と、スタミナに分が有った。パッとフィールドで見た際に、一目で、UNCの方が全体として、デカく、太かった。
- 高校オールスターである、Under Armor High School All American選出の選手がUNCは20人でNCAA中最多、Marylandは14人である点からも分かる。
- Marylandは、UNCに比べるとちょっと選手の線が細いようにも感じた。フィジカルやWeight TrainingをUNCほど重視してないのかな?とも勘ぐってしまった。
層の厚さ
- 加えて、UNCは明らかにそれらのTop athleteの「質」だけでなく、「量/数」で明らかに上回っていたように思える。
- OFMFの3rd set、DF MFの2nd set、Face Offerの2枚目といったベンチの控えのメンバーまで行ってもフィジカルがガクンと落ちるという印象が無かった。相手から見ると、「何で無限に強いやつ出てくるんだ?」と感じられたんじゃないだろうか。
- 思い出すと、ここまで分厚く強い選手が控えてるチームは確かに過去のNCAAでもちょっと思い出せないかな?というレベル。UA All American 20人というのは恐ろしい数字だ。
- 一方のMarylandは、明らかに1枚目の選手たちはトップクラス。そして2ndの二人目くらいまでは強いが、そこから先の深さはあまり感じなかったかなと。
- ここが恐らく最も明確に勝負を分けたポイントかなとも。
- 1st、2nd setのOFMF、DFMFの合計10-15人ずつ同士のマッチアップで、明らかにUNCが勝っていた。
- 特にUNCの1st setの3枚#21 MF Michael Tagliaferri (Jr./3年)、元ATの#2 MF Patrick Kelly (Sr./4年) 、#22 MF Shane Simpson (Jr./3年)の3人、2nd setでも元ATの#15 Timmy Kelly (Freshman/1年)辺りは、明らかにMarylandのDFMF陣に純粋な「走力」で勝っており、1-on-1でかなり確実に抜いてスライドを発生させられていた&得点に結び付けられていた。
- UNCは特に伝統的に高校までATで点取り屋だった走力とスティックスキルのある選手を相当数リクルーティングで集め、彼らを敢えてOFMFで使い、フィール上に常に実質ATが4-5枚(時には6枚)いるという設計にしている。今回の試合でも明らかにそれが効いていた。
- 逆に、UNCのDFMFの2枚看板、#6 Jake Matthai (Sr./4年、198cm/104kg)、#3 Brett Bedard (Jr./3年、188cm/91kg)はクソでかいし、クソ動けるし、試合の最後まで相手OFMFに対してしっかり脚で付いていき、ゴツっと厳しいプッシュで押し出して、1-on-1で守りきり、ほとんどスライドを発生させていなかった。相手のOFMFからすると相当手を焼いたんじゃないかと思われる。
- 実はここが試合全体の中で、UNCにとって非常に重要な安定した土台を生んでいたように見える。
- これもMarylandとの比較で感じた。3枚のATがそれぞれ、1試合に何回かずつは1-on-1で相手をBeat出来ている(抜いている)。
- 逆にMarylandのATはスティックスキルが高く、ラクロスIQも高く、シュートもフィードも巧いが、決して走って1-on-1でUNCのDFを抜いていた感じではない。ここでも実はやはり攻めのオプションに違いを生んでいたはず。
- ここが明らかに昔UNCを見ていた頃と比べて大きく変化した点。昔のUNCは、OFでタレントのある選手が揃っていても、明らかにDFが弱点で、正直DFの選手の質が一段落ち、失点の多さで負けていた印象が強かった。
- が、今回のUNC、特にQuarter Final、Semi Final、Final 3試合では、本当にClose DFの強さが際立った。今回もMaryland ATに1-on-1でBeatされたシーンはほとんど無かった気がする。
- 従って、スライドも最小限に抑えられていたし、加えてダブルでボールを奪う事にも成功していた。
- 加えて、明らかにシーズン前半と比べても、首振り、コミュニケーション、スライドのスライド等の、チームDFとしての統制のレベルが上がって来ていた。
- FOで大きく負け、ポゼッション時間ではMarylandが圧倒的に長く、相当長い時間ネチネチと攻められ続けたが、最後まで集中力が途切れる事なく、チームとして崩れる事なく守りきれたDFが今回の勝利の大きな要因だった事は間違いない。
- これはもう試合を見たら一目で解るが、引き続き2年生Goalieの#30 Brian Balkamが素晴らしいセーブを何度も見せていた。
という感じだろうか。
他にもMarylandにとって不利だった要素、明らかに良くなかった点はいくつか有ったはずで、
DFのスライドの遅さ
- 意図的に戦術的に決め事としてやっていたんだろうか?UNCのDFがかなり早めにスライドを飛ばしていたのと比べると、明らかに遅かった、または行っていなかった。
- 特にQ1の失点、Q4最後の同点ゴールの失点等は、「ん?何でスライド行かない?」というケースが散見された。
- 1対1で止められると過信していたんだろうか?
- いくつか、これが決まったら試合が決まるな、というシュートがパイプに当たっていた。まあ、それも含めて実力とも言えるが
- 思えば、UNCはトーナメントの組み合わせでも明らかに強運に恵まれていた。同じ山に天敵Duke、Denverがいたが、それぞれLoyolaとTowsonに負け、一度勝っていて得意なNotre Dame、若干チームとしての総合力が落ちるLoyolaという組み合わせに恵まれた。
- 全体的にそれほどファウルが多い試合では無かったが、特にOTの最後のCross Checkのファウル等、明らかに冷静さを失っての無駄なファウルだった。本人は恐らく今後の人生で長く後悔する事になるんじゃないだろうか。
- 一つファクターとしてあったかなと思ったのが、前々日の準決勝からの疲労の要素。UNCは準決勝は前半に大差を付け、ある程度余裕を持って終わらせた第一試合。
- 一方のMarylandは、第二試合で夕方5時過ぎまで、Brownと大接戦の末、OTまで死闘を戦い抜いた。特に1枚目の選手たちは実は1.5日間のRestで蓄積した疲労が完全に回復しきれてなかったのかな?特に決勝の最後の方は多少しんどくなってたのかな?という気もしないでもない。
4. Highlight
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