2011年9月25日日曜日

Maryland - Rochester AT Grant Catalino

久々のIL Podcastでshooting from the hip interviewで、Maryland ATで、今シーズンは卒業後Rochester Rattlersで大活躍したGrant Catalinoのインタビューが乗っていたので紹介。

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Marylandでは長年主力ATとしてRyan Youngと共にチームを引っぱり、去年の準優勝の立役者となった。

個人的に、MLLでどのくらい活躍出来るのかな?と思っていたが、クリースでの器用さ、ミドルレンジの恐ろしくクイックモーション且つ正確なシュート力で、得点を量産。同じくRochester Rattlers #2 AT Ned Crottyとのコンビがハマりまくり、強豪ひしめくルーキー達の中にあり、トップクラスの活躍を見せた。

過去の彼のインタビューや紹介で印象に残っているのは、

  • Up state NY (NY州北部。SyracuseやRochesterの辺り。Iroquoisの近所)出身で、ガキの頃からラクロス漬けで育って来た
  • シュートに関しては特にこだわりがあり、ガキの頃から裏庭で、バケツに100個のボールを入れてゴールにひたすら打ち続けるという練習を毎日続けて来た
  • 4年生に上がる前の夏に、スティックスキルとクリースでの攻撃力、更にゲーム感覚を磨くため、敢えてカナダでインドアのリーグに参加していたという話
今回もコメントの中で現役選手にとって非常に印象に残る話をしていたのでクイックに紹介。
  • 「使い古されたアドバイスだが、自分がガキの頃によく言われた物で、自分にとって本当に役に立ったと思えるアドバイスは、文字通り『四六時中どこに行く時もラクロススティックを持って行け』と言うもの。別の言い方をすれば『ベッドでもラクロススティックと一緒に寝ろ』と言うもの。つまり、常にラクロススティックを携帯し、ラクロススティックと共に生活せよ、それによってラクロススティックが文字通り自分の『extended hand』になるまで、神経が通った手の一部になるまで慣れ親しめ
というもの。

日本でもちょくちょく新入生に言ったりすると思うが、彼程のスティックスキルを持つ選手が、そして、ラクロスの源流でもあるup state NY出身の彼が自らの体験として話すと、説得力が違う。

ちなみに、Marylandの伝統として、背番号#1は、代々NY州北部のスティックスキルに優れたATが背負う事になっており、彼の前にはJoe Waltersが背負っていたという話も面白かった。

あと、別の記事で、同じくMaryland football出身の起業家が経営するUnder Armourと専属契約を結んだことも紹介されていた。超似合っている。彼はNikeやWarriorやBrineよりも、UAって感じだ。正に。(リンク

2011年9月22日木曜日

UNC 2011 Highlight

夏に地元Chapel Hillに引っ越して来て以来、UNCのLoyalファンになりつつある。

2011年シーズンのハイライトビデオがアップされていたので紹介。

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各チーム似たようなビデオを作っているが、最もきちんと作り込んでいるチームの一つだと感じる。恐らくHC Joe Breschiの方針なのだろう。冒頭の部分は見ていると結構気合い入る。

しかしまあ、これを見て感じるのは、去年活躍していた主力は、現Denver Outlawsの#4 AT Billy Bitterを除くと、本当にほとんど1年生だな、という点...。Playoff 1回戦で破れたとは言え、Notre Dame戦、Maryland戦勝利を含め、レギュラーシーズンで強豪相手にあそこまで善戦したのは特筆に値する。

彼らが今年2年生として雪辱を果たしに来る。加えて、強い1年生も多く加入。更に Georgetownからの転校生Emala, Princetonから卒業後に大学院(ビジネススクール)入学という形で加わるMacBrideという2枚の上級生ATが加入。OFは間違い無く相当分厚い。期待しつつ、応援しつつ見守りたい。

個人的には、#34 AT Nicky Galassoの気品溢れる、完成されたプレーに注目。一年生であそこまで、点を取れて、フィールド全体を生かせる選手はPowell兄弟以来見た事が無い。

あ、あと、to 現役の選手&スタッフの皆さん、リーグ戦1位通過おめでとう!OB news letterを通して日々勇気と元気を貰ってます。引き続き、目指すべき目線はバチッとNCAAやMLLと言った世界最高峰に合わせつつ、憧れのエネルギーを最大限にレバレッジしつつ、自分らしく、思いっきり変化と挑戦を楽しんじゃって下さい!

2011年9月3日土曜日

MLL 2011 vol.24 Final Boston Cannons - Hamilton Nationals (8/28)

昨日のHurricaneの中での激戦から一夜明け、Annapolisは晴天。

そんな中行われた11年目のシーズンのMLL Playoff決勝戦。過去最もレベルの高い今年のリーグの最後を飾る千秋楽。そして、同時に、長かった2011年の8ヶ月間のラクロスシーズンの最後のイベント。

Bostonが、10-9の1点差でHamiltonを破り、リーグ開始からの11年間の悲願、初優勝を遂に成し遂げた。

感動のゲーム。苦しみながらも得点を重ねるBoston。しかし、若手中心のNationalsも爆発力のあるオフェンスで一気に追いつく。双方のGが素晴らしいセーブを連発。特にBoston Cannonsの#5 G Jordan Burke (Brown 09)が信じられないぐらい素晴らしいプレーを連発。ゴールをなかなか割らせない。Gとしては非常に珍しく、Play off MVPに選ばれていた。でも全員納得。

BostonのエースでMLLで2度目のOffensive player of the year & MVPを同時受賞した#99 MF Paul Rabil (Johns Hopkins 08)はNatsのDefensive player of the year #17 LSM Brodie Merrill (Georgetown 05)が気合いで止める。

互いに譲らぬ一進一退のせめぎ合い。途中やはり経験の無さからか若干ミスが目立ち始めたHamilton Nationalsを、救世主、シーズン終盤に加入した伝説#7 OFMF Casey Powellが気合いと技ありのアシスト無し4得点でつなぎ止める。

Syracuseで09年のCornellからの奇跡の優勝の立役者となった#22 AT Cody Jamiesonもshortyに付かれた隙を付いて確実に得点。

が、最後はBostonで、若手からNLL、MLLでの経験を経て、リーグを代表する選手へと成長を遂げた#27 Kevin Buchannanが素晴らしい1 on 1からダイブショットを決め、息の根を止める。

世界最高峰のラクロス、至高のエンターテインメントラクロスここに極まれり。最高のコンテンツを楽しませてくれた事に感謝。

ここ数年、レギュラーシーズンでは最強と言われ、優勝候補筆頭と言われながらも毎回プレーオフで失敗し、ファンから失望されてきたBostonの面々。苦しい苦しい戦い2試合を経て、遂に、ジンクスを破り、悲願を遂げた。ベテランを軸に、シーズン当初からの優勝候補としてのプレッシャーをはね除けて優勝。Steinfeld Cupを掲げる彼らの歓喜を見て、思わず胸が熱くなった。

一方のHamilton Nationalsも堂々と胸を張っていい。シーズンの出だしは最下位。チームの看板John Grant Jr.を放出し、ルーキー達に懸けるという賭けに出、成功させた。あとほんの一歩で優勝というところまで迫った。

そして何と言ってもCasey Powellには本当に敬意/敬服しか感じない。生ける伝説。MLL開幕時からの最古参、35歳。08年にRochesterで優勝を遂げた後、09, 10年と2年間MLLからは遠ざかっていた。弟のRyan, Mikeyは既にMLLからは引退している中。決勝戦の前には誰よりも早くコートに姿を現し、延々とシュートの確認作業をしていたと言う。大事な場面で確実に得点する責任感と技術。負けていても最後の最後まで諦めずに全力でGBを拾い、DFに戻り、相手にぶつかって行っていた。06年のサッカードイツワールドカップの最終戦のブラジル戦で、試合終了の笛がなるまで一人全力で走り抜いた中田英寿選手の鬼気迫る姿を思い出させられた。やはり偉大な選手だ。

と言う訳で、(アメリカでは)長かった今年のラクロスもこれでようやく終わりを告げた。

今後

来年のMLLはColumbus Machine、Charlotte Houndsの2チームを加え、CornellのRob Pannell、VirginiaのSteele Stanwickという二人の花形ATを加え、新たなスタートを切る。今後行われるexpansion draft(チーム拡大時に行われる下位選手の再配分)と1月のcollegeateドラフトには注目していきたい。

一方、11年間追いかけて来た優勝と言う目標ついに果たしたBoston。主力にはベテランも多い。Rabilにとっても、NCAA優勝、World Lacrosse Championship優勝、MLL MVPも二度獲得、NLL優勝と、考え得るラクロス選手としてのachievementを全て成し遂げており、MLL制覇だけが唯一残されたto do listだったはず。今後果たして同じレベルのモチベーションを維持出来るだろうか?

逆にこれで残された「果たさなくてはならない宿題」として「優勝」の二文字が重くのしかかって来るチームは、明らかにDenver。設立以来6年間、強豪として最も多くのファンを集め、経営としても比較的上手く行って来た。毎年レギュラーシーズンでは優勝候補の一角と目されながら、毎年play offで優勝を逃して来た。Mundorf, Westervelt, Seibaldら主力もいよいよピークを迎え、来年が本当の勝負の年になるはず。

ラクロス全体に目を移すと

アメリカにいてメディアや会場や街で感じる、ラクロスの爆発的な勢いは留まる所を知らない。今後も確実に競技人口とファンを増やし、大きな大きなスポーツ/勢力になって来るはず。

4年前と比べても、明らかに大手一般スポーツ用品店でのラクロス用品売り場の面積はどんどん大きくなって来ているのが解る。より多くの小中高校生がラクロスに自ら引きつけられ、「なんかカッコいい」もっと言うと「モテる」スポーツとしての地位を築きつつある。

今の10-15歳の世代が20代、30代になった時、大きな大きな可能性を持った潜在市場がどかっと現れる事になる。「俺やってたよ、ラクロス」や「友達がやってた」という体験を持つアメリカ人がマジョリティになり、今の20-30代を軸とした世界観とは明らかに違う構図が生まれて来る。日本のJ-Leagueの成長と重なって見える部分もある。

競技人口のプールも増え、より若い段階から高い完成度の技術を持った選手たちも増えて来ている。最近のNCAAではバスケ/フットボールといったメジャースポーツでの強豪校のスポーツ推薦を蹴ってラクロスを選ぶ選手も増えて来ている。国際競争の舞台へ目を移すと、恐らく今後もアメリカは更に強くなり、カナダがそれを猛追する、また同じくアメリカにあり最近更にNCAA選手が増えているIroquiosも少しずつ強くなる、という絵が強化されていくはず。

この辺の、実際の競技人口や制度の確立と、実際に国際競技レベルでの競争力として目に見える形でインパクトが出てくるには、やはり1世代分というか、10年くらいは時間が掛かるイメージがある。だとすると、今のこの爆発普及の恩恵を受けた本当のUS代表が姿を現して来るのは、次のWLCか、その次という感じだろうか。

今後のNCAA、MLL、NLLは益々面白くなっていくはず。目が離せない。

2011年9月1日木曜日

MLL 2011 vol.23 Semi Final Denver Outlaws - Hamilton Nationals (8/27)

こちらは完全にハリケーンIrene直撃の中、大嵐の中のラクロスに。今まで人生で見て来たどのラクロスよりも過酷な天候の中での試合。横殴りにバケツの水を掛け続けるような状態。スティックも冠水、ユニフォームもびっちゃり体に密着。

そんな中で両チームとも素晴らしいプレーを見せる。特にHamilton Nationalsのスティックスキルは想像を絶している。特にオフェンス陣はこのコンディションの中、ほとんど凡ミスをしていない。恐るべし。

シーズン当初は優勝候補だったDenver、怪我でDFを総入れ替えし、後半苦戦。最後に少し持ち直した。今回の試合出も#2 Brendan Mundorf (UMBC 06), #14 Drew Westervelt (UMBC 07), #10 Billy Bitter (UNC 11)の3枚を軸に戦う。

が、ほぼルーキーながらもここに来て一気に噛み合い、勢いに乗って来ているHamiltonが爆発。特に、要所要所でシーズン最後に加入した伝説的プレーヤー、#7 MF Casey Powell (Syracuse 98)が、OFMFで入り、相手を掻き回し、落ち着かせるべき所で落ち着かせと、若手軍団をグッと締めている。

#1 MF Joe Waltersも相変わらず、憎い攻撃力とフィード力でOFを組み立てる。#27 Rookie MF David Earl (Notre Dame 11)も、明らかにNCAA時代以上に活躍している。水を得た魚の様に縦横無尽に駆け回り、点を取る。

この嵐の中、Hamiltonは自分たちのファンタスティックラクロスを全う。オフボールでダイナミックに人が動き、ボールもぐるんぐるんに回し、おおっ!というところでフリーを作って簡単に得点。裏にはOF CoodinatorのGary Gaitの頭脳が。

最後は無難に逃げ切り、何とHamilton Nationalsが勝利。感動を覚えた。

決勝ではBoston Cannonsと対決。

ルーキー主体なのに...恐ろしい。今後数年、相当手堅いチームになってくる筈。

ラクロスの持つ本来の哲学/価値観

ちなみに、試合の中で印象的だった解説者Quint Kessenich氏 (元Hopkins All American Goalie)のコメント。

Hurricane Irene直撃で暴風雨が吹き荒れる中、開催を疑問視する声も多く、スタンドはガラガラ。Annapolis市自体が市街地の封鎖を宣言していた。試合中もフィールド横のスポンサーの立て看板が風でガンガン飛ばされていた。

「ラクロスは、元々Native Americanの伝統として行われていた競技。根元にある考え方は、例えそれがどんな環境、気象状況であろうと、それが自然のものであれば、自然のものとして受け入れ、競技は行われる/行われなければいけない、という考え方」、「それは現代のスポーツとしてのラクロスでも同じ事。唯一の例外は雷が鳴っていて、安全性に問題がある場合。それ以外は例えどんなに雨や風が強かろうと試合は可能だし、行われる」と言う言葉。

なるほど、

①比較的近代になって純粋な競技として生まれた野球やゴルフ等と違い、ラクロスの持つ伝統/価値観として、雨の中での試合は想定内なんだな、と言う事と、

②雨や風の中で精神的に揺らいだり、環境をいい訳にしたり、天候に文句を言ったりしてもいいことは無いどころか自分のパフォーマンスを殺すだけ、コントロール出来ない事/環境にネガティブな思考を投げても自分のセルフイメージを小さくするだけ、従ってコントロール出来る事に集中し、周囲にアジャストしてポジティブな思考を投げ、楽しむ事が大事、というflowの心を思い出させられた。ま、ボトムラインは、相手も同じ環境の中でやってる訳で。

そして、それを見事に体現した2チームの魂と高いプロ意識に、心から感動と尊敬の念を感じた。

学生の頃、雨でぬかるんだコートに「これじゃ本来のダッジができないよ...」と揺らいでいた自分が思い出され、うーんもっと違う心のアプローチがあったなと思ったと共に、これって仕事/ビジネスの世界でも全く同じなので、改めて自分にリマインドしなきゃなと思わされた。

MLL Highlight