2011年9月3日土曜日

MLL 2011 vol.24 Final Boston Cannons - Hamilton Nationals (8/28)

昨日のHurricaneの中での激戦から一夜明け、Annapolisは晴天。

そんな中行われた11年目のシーズンのMLL Playoff決勝戦。過去最もレベルの高い今年のリーグの最後を飾る千秋楽。そして、同時に、長かった2011年の8ヶ月間のラクロスシーズンの最後のイベント。

Bostonが、10-9の1点差でHamiltonを破り、リーグ開始からの11年間の悲願、初優勝を遂に成し遂げた。

感動のゲーム。苦しみながらも得点を重ねるBoston。しかし、若手中心のNationalsも爆発力のあるオフェンスで一気に追いつく。双方のGが素晴らしいセーブを連発。特にBoston Cannonsの#5 G Jordan Burke (Brown 09)が信じられないぐらい素晴らしいプレーを連発。ゴールをなかなか割らせない。Gとしては非常に珍しく、Play off MVPに選ばれていた。でも全員納得。

BostonのエースでMLLで2度目のOffensive player of the year & MVPを同時受賞した#99 MF Paul Rabil (Johns Hopkins 08)はNatsのDefensive player of the year #17 LSM Brodie Merrill (Georgetown 05)が気合いで止める。

互いに譲らぬ一進一退のせめぎ合い。途中やはり経験の無さからか若干ミスが目立ち始めたHamilton Nationalsを、救世主、シーズン終盤に加入した伝説#7 OFMF Casey Powellが気合いと技ありのアシスト無し4得点でつなぎ止める。

Syracuseで09年のCornellからの奇跡の優勝の立役者となった#22 AT Cody Jamiesonもshortyに付かれた隙を付いて確実に得点。

が、最後はBostonで、若手からNLL、MLLでの経験を経て、リーグを代表する選手へと成長を遂げた#27 Kevin Buchannanが素晴らしい1 on 1からダイブショットを決め、息の根を止める。

世界最高峰のラクロス、至高のエンターテインメントラクロスここに極まれり。最高のコンテンツを楽しませてくれた事に感謝。

ここ数年、レギュラーシーズンでは最強と言われ、優勝候補筆頭と言われながらも毎回プレーオフで失敗し、ファンから失望されてきたBostonの面々。苦しい苦しい戦い2試合を経て、遂に、ジンクスを破り、悲願を遂げた。ベテランを軸に、シーズン当初からの優勝候補としてのプレッシャーをはね除けて優勝。Steinfeld Cupを掲げる彼らの歓喜を見て、思わず胸が熱くなった。

一方のHamilton Nationalsも堂々と胸を張っていい。シーズンの出だしは最下位。チームの看板John Grant Jr.を放出し、ルーキー達に懸けるという賭けに出、成功させた。あとほんの一歩で優勝というところまで迫った。

そして何と言ってもCasey Powellには本当に敬意/敬服しか感じない。生ける伝説。MLL開幕時からの最古参、35歳。08年にRochesterで優勝を遂げた後、09, 10年と2年間MLLからは遠ざかっていた。弟のRyan, Mikeyは既にMLLからは引退している中。決勝戦の前には誰よりも早くコートに姿を現し、延々とシュートの確認作業をしていたと言う。大事な場面で確実に得点する責任感と技術。負けていても最後の最後まで諦めずに全力でGBを拾い、DFに戻り、相手にぶつかって行っていた。06年のサッカードイツワールドカップの最終戦のブラジル戦で、試合終了の笛がなるまで一人全力で走り抜いた中田英寿選手の鬼気迫る姿を思い出させられた。やはり偉大な選手だ。

と言う訳で、(アメリカでは)長かった今年のラクロスもこれでようやく終わりを告げた。

今後

来年のMLLはColumbus Machine、Charlotte Houndsの2チームを加え、CornellのRob Pannell、VirginiaのSteele Stanwickという二人の花形ATを加え、新たなスタートを切る。今後行われるexpansion draft(チーム拡大時に行われる下位選手の再配分)と1月のcollegeateドラフトには注目していきたい。

一方、11年間追いかけて来た優勝と言う目標ついに果たしたBoston。主力にはベテランも多い。Rabilにとっても、NCAA優勝、World Lacrosse Championship優勝、MLL MVPも二度獲得、NLL優勝と、考え得るラクロス選手としてのachievementを全て成し遂げており、MLL制覇だけが唯一残されたto do listだったはず。今後果たして同じレベルのモチベーションを維持出来るだろうか?

逆にこれで残された「果たさなくてはならない宿題」として「優勝」の二文字が重くのしかかって来るチームは、明らかにDenver。設立以来6年間、強豪として最も多くのファンを集め、経営としても比較的上手く行って来た。毎年レギュラーシーズンでは優勝候補の一角と目されながら、毎年play offで優勝を逃して来た。Mundorf, Westervelt, Seibaldら主力もいよいよピークを迎え、来年が本当の勝負の年になるはず。

ラクロス全体に目を移すと

アメリカにいてメディアや会場や街で感じる、ラクロスの爆発的な勢いは留まる所を知らない。今後も確実に競技人口とファンを増やし、大きな大きなスポーツ/勢力になって来るはず。

4年前と比べても、明らかに大手一般スポーツ用品店でのラクロス用品売り場の面積はどんどん大きくなって来ているのが解る。より多くの小中高校生がラクロスに自ら引きつけられ、「なんかカッコいい」もっと言うと「モテる」スポーツとしての地位を築きつつある。

今の10-15歳の世代が20代、30代になった時、大きな大きな可能性を持った潜在市場がどかっと現れる事になる。「俺やってたよ、ラクロス」や「友達がやってた」という体験を持つアメリカ人がマジョリティになり、今の20-30代を軸とした世界観とは明らかに違う構図が生まれて来る。日本のJ-Leagueの成長と重なって見える部分もある。

競技人口のプールも増え、より若い段階から高い完成度の技術を持った選手たちも増えて来ている。最近のNCAAではバスケ/フットボールといったメジャースポーツでの強豪校のスポーツ推薦を蹴ってラクロスを選ぶ選手も増えて来ている。国際競争の舞台へ目を移すと、恐らく今後もアメリカは更に強くなり、カナダがそれを猛追する、また同じくアメリカにあり最近更にNCAA選手が増えているIroquiosも少しずつ強くなる、という絵が強化されていくはず。

この辺の、実際の競技人口や制度の確立と、実際に国際競技レベルでの競争力として目に見える形でインパクトが出てくるには、やはり1世代分というか、10年くらいは時間が掛かるイメージがある。だとすると、今のこの爆発普及の恩恵を受けた本当のUS代表が姿を現して来るのは、次のWLCか、その次という感じだろうか。

今後のNCAA、MLL、NLLは益々面白くなっていくはず。目が離せない。

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