2011年4月2日土曜日

ESPNU Lacrosse Podcast 3/29/11

3/29のESPNU Lacrosse Podcast by Quint Kessenichでいくつか面白いと思ったコメントがあったので抜粋して紹介。(ILの記事のリンクPodcastのリンク

ちなみに本Podcast、毎週30分Quintが各チームのコーチ/選手にインタビューしていて、いろんな内情が知れて非常に面白い。NCAAやMLL好きならダウンロードして通学/通勤/運動中に聴いちゃったりするといいかも。英語のトレーニングにもなって一石二鳥。

Quint Kessenichは、例のESPNの試合でいつも解説している、Warrior InstructionでもMCをやっているあのシュッとした感じのカッコいい人(軽く川平慈英入ってねえかって話も。雰囲気的に。)。自身もJHUで4 time All American、2 time best goalieを獲得し、MLL黎明期にプロとしても活躍。聴いていると解るが、自身も元トッププレーヤーでラクロスのことを知り尽くしている上、その情報収集力と分析力、IQの高さから、極めてロジカルで鋭いコメントを発しまくっている。見ていて非常に頭のいい人だなーと感じる。滑舌も良くて、声も(好き嫌いが別れるが)クリアで、発言にパワーがある。ラクロス界の中でのinfluencer/オピニオンリーダーとしての影響力が非常に強い。

語彙もちゃんとしているし、喋りのトーンやペースも所謂ニュースの物ではなく、かなり日常会話や仕事で使われる英語に近く、英語のリスニングのトレーニングをする上ではかなりいいコンテンツかと。彼の喋りを直後にトレースして発音ごとコピっていくシャドーイングをしたりすると、より実戦的な言い回しや発音が身に付いていくはず。

今週の放送ではシーズン折り返し地点ということで、珍しく敢えて選手/コーチは呼ばずに、彼の分析/解説にフォーカス。

以下、三つ印象に残った点

1. 上手くいってるプレーヤーいってないプレーヤー

Cornell #3 AT Rob Pannell (Jr)が現在MVP候補筆頭を走っている他、Syracuse #40 DF John Lade (Sr)が相手エースをシャットダウンし続けているという話、Virginia #1 MF Shamel Bratton (Sr)はSyracuse戦等で見せた「一人じゃ絶対止められない」っぷりの話等に続いて、ここまでちと期待ほど上手く行ってない選手たちも言及。

一人目はやはりUNC #4 AT Billy Bitter (Sr)。Duke戦で二得点彼らしい複数人抜きの得点を決めたが、それ以外はイマイチ。時々そういうプレーが出来ているということは別に怪我等の問題がある訳でもないんだろう。#34 AT Nicky Galasso (Fr)がメキメキと頭角を表す横で影が薄れまくり。今後相当気合い入れて存在感出して行かないとMVPとはほど遠いと。

あとは、Notre Dame #28 Zack Brenneman (Sr)。去年のDukeとの決勝、今年のDukeとの初戦で引き続き鬼ダッジ&キャノン砲シュート(by両手)を見せたが、その後怪我で数試合欠場&失速。回復が待たれる。

そして、もう一人更なる活躍が求められるのが、Stony Brook #22 MF Kevin Crowley (Sr)。MVP候補筆頭と言われて来ただけに、期待値が高かった。ここまで「そこまでではないか?」という活躍度(悲しいかなStony BrookはここまでTV放映が無いので僕的には実際どうなのかよく解らん...)。でも直感的に大事な試合で責任感を持って結果を出して来る人なので、今後シーズン後半で本領発揮してくる気もしないでもない。

と、ここまでリストを見てはたと気付く。3人ともMLLドラフト1巡目指名じゃねえかと。たまたまか?それとも単純に1巡目指名だってんで僕らが勝手にムチャクチャ期待値上げまくっちゃっただけか?それとも、その期待値がプレッシャーとなりセルフイメージに影響してパフォーマンスを下げてるのか?恐らく、相手DFが「ドラ1」として徹底スカウティングして気合い入れてシャットダウンしに来るからか?全部の要素がそれぞれ細かく積み重なっての現状なんだろう。いずれにせよ今後Play offに向けてどうなって行くか注目。

2. Rob Pannellの凄さ

動画を見た選手の皆さんは既に散々感動したことと想像するが、今年のRob Pannellは、んマジで半端ねえ。突き抜けている。伝説の域に達しつつある。

Quintも試合の度に毎回指摘。が、今回のコメントで非常に印象的だなと思ったのが...Panellの凄さは、もちろん、1 on 1、シュート、パスなど、ATに必要な全ての技術をバランス良く高いレベルで融合させていること。が、一番凄いスキルは何かと言うと、「Vision(視野)」。常時味方全員と相手を見渡し、常に抜くプレッシャーを掛けながら空いた/空くであろうチームメートを見つけて実際にフィードしてくる、と。「視野」を「スキル/技術」として切り出し、且つそれこそが最大の武器だと言いきっている点が印象的だったし、極めて鋭く正しいことを言っていると感じ、共感した。

例えば、現役選手の皆さんの中でも「視野を広げるためにこういう練習をしよう」「今日は確実に視野が5°くらい広がったな」「今日の練習でフルスピードでスプリットダッジで抜いた直後もクリース見られてたのが成長だ」「俺は視野だきゃあ同世代じゃ誰にも負けないぜ」なんてコメントが出まくってくると素晴らしいし、

「一言に視野と言っても実は4つの要素に分解されて...
  • ①実際に物理的に見えてること(激しく動きながら、常時、且つ出来るだけ広く)、
  • ②そして展開/状況が将棋盤として把握出来る事、
  • ③それを踏まえて個々人の次/次の次の動きを予測出来る事、
  • ④結果として、空く選手が走り込むべき、即ちフィードを投げて誘導するべきスポットが赤外線レーザー照準機能みたいにビタッと見える事」(みたいな感じ...?)
みたいに、個人/チームとして技術としてのスキーマをバチッと作って、それが共通言語になって、形式知として意識的に鍛えられる/成長をメタ認知出来るようになれば、相当強い。


(ちなみに②〜④は実は意識しながら映像を見る事でかなりのところまで鍛えられる気もする。PannellやGalassoやStanwickが持った時にセットOFを都度都度止めて、「次の瞬間ここ空くんじゃね?」「ほらやっぱり空いた!...んで実際Pannellフィード出した!」みたいな。そうなってくると逆に練習でクリースの選手に対して「おい!今お前ボーッとしてたけど、このmove入れてこのturnすりゃフリー生まれてたぞ!そしたら余裕で一点じゃんかよ、勿体ねえぞ!」という会話が生まれまくるはず。)

スティックスキルや身体能力など眼に見え易い/測定し易いスキルと違い、この「視野」というスキル/技術要素は結構一般の選手たちは漠然としか認識しておらず、そこまで意識的に鍛えてはいないケースが多いと思うので、「未開の大地」感があるので、得意技にしちゃうと相当な競合優位性/差別化に繋がる気がする。要は、まだあんまし気付かれていない、競合の少ない「おいしい狩り場」/「ROIの高い漁場」。「視野の第一人者」を目指すってのは結構ありな生き方かも知れない。

あと、Quintは同じくNicky Galassoの視野にも言及していた。「DFをsee through出来るvision」だと。

3. ラクロスのスピードの問題

これ、Quintも何度も試合中に言及しているし、先日紹介したILの「どうやってよりラクロスを良くするか?」でも触れられていたし、ラクロスコミュニティの中で散々議論されていた事。「遅過ぎる。」

クリア後に何十秒も掛けて選手を入れ替え、無為にボールを回している時間を見て、ファンは「ん?これ何やってんの?何のゲーム...?」となってしまう。経験者でもつまらないし、新しくファンになる層にとっては理解不能。ストーリングも警告が出るまでが長いし、出た後もボックスの中でシュートを打たずにボールを回せばいいので、つまらんと。これはラクロスが今後メジャーになって行こうとする上で、必ず解決しなくてはいけない問題と言っている。(し、個人的にも完全に同意。)やはりMLL/NLLのようにショットクロックを入れて展開を早くするのが一番いい気がする。

Quintも、コーチや選手に責任は無い、彼らは今のルールの枠組みの中で、最も確実に勝てる戦術を取る義務がある、そして、ラクロス全体の為にルールを変えるのはコーチや選手ではなく、NCAAや協会の責任だ、とも。これも同意。

また、それに関連してもう一つ指摘していたのが、スティックテクノロジーの進化(curving head、offset、pinched-shape)により、ボールがほとんど落ちなくなってしまっていること、そしてその影響。

今やほとんどチェックでボールを落とすということが物理的に不可能になって来ている。結果ポゼッションが絶対的なものに近づきつつ有る。そのため、OF-DF両方をやりコートを縦横無尽に駆け回るという昔ながらの本格派仕事人MFが姿を消し、OF専門MF、DF専門MFにどんどん分けられている。また、Defenderが相手を詰めて、チェックでボールで落とすことが難しくなり、プレッシャーを掛けてチェックでカモりに行くDFが時代遅れになりつつあり、ほとんどのDefenderが保守的にポジションと角度だけで守り、チーム全体での連携したスライド/カバーが益々重要になって来ている。

Quint曰く、一人の人間が頻繁に3人も4人も抜けるのはおかしいと。もっとトランジッションを起こし、めまぐるしい変化のあるダイナミックなゲームにするためには、スティックのテクノロジーを敢えて規制してグレードダウンするしか無いと。(ボール落ち易くしたらオフェンス力が下がってロースコアになるんじゃないの?という反論もありそうだが、個人的には逆で、ボールが落ちる、即ち双方にとって予測していないルースボールの状況が多く生まれ、結果としてbroken situationが多く生まれてトランジッションが増えることにより、ゲームのスピードがアップして、という力学が働き、結果得点機会数は変わらないか、場合によっては増える気がする。)

非常に面白い議論だなと思ったし、多くの部分で同意/納得した。今後この試合のスピードとショットクロックの話、そしてスティックの進化によるトランジッション/ボールダウンの少なさの話は恐らく今後も何度も議論され続けていくだろうし、どこかで大きな変更が加えられるイシューな気がする。

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