2011年4月7日木曜日

NCAA 2011 Game Review vol.15 Maryland @Virginia

これまたクソあちい試合。期待通りの攻撃力が売りでRun & gun主体の2チームによる点の取り合い。怒濤のトランジッション合戦。非常に楽しめる素晴らしい試合だった。結果は12-7でMaryland。MDはこれで一気に優勝戦線に返り咲き、逆にVirginiaは黄色信号点灯。いろんな不安要素が噴出し始めている。開幕時2位のVirginiaがここまで苦戦すると予測していた人は少なかったはず。本当に読めない。NCAA Lacrosse。

ILのスコアボード

VirginiaのエースShamel Brattonが無期限欠場

なにやらきな臭いニュースが。数週間前のStony Brook戦で、チームと一緒に行動をせずに勝手に近所の実家に帰ってしまい、罰則として出場停止処分を受けたBratton兄弟。今回は兄のShamelのみだが、Disciplinary目的で無期限の出場停止処分が課されてしまった。Forumに出ていたコメントでは、NCAAでは有名な所謂「48 hours rule」即ち、試合前二日間は一切のアルコールを禁止する、というチームのルールを破ったためとも言われている。何で...プレッシャーに負けたのか?

問題は、彼はやんちゃが許される1年生ではなく、チームの大黒柱の4年生であると言う点。これまでもちらほらこの辺のBratton兄弟、特に兄のShamelのリーダーシップに関する疑問の声が聴かれてきた。ルールを守らない、なんかツンとしてて、言動が王様で身勝手、得点後にチーム皆で祝う輪に入らなくて感じ悪い、等々。本来主力の4年生がやることが多いキャプテンにも指名されておらず、3年生のSteele Stanwickや他の4年生メンバーたちがキャプテンの任に着いている。

結構な部分彼が試合に出なかった影響もあり、Virginiaは試合に負けてしまった。が、試合中にもベンチでユニフォームを着ずに試合を見ているShamelの表情に反省や申し訳ない気持ちは感じられない。笑顔でおちゃらけている...ここから先の戦いは高いレベルで拮抗した技術とフィジカルのぶつかり合いで、メンタルやリーダーシップが極めて重要になってくる。4年生の柱がいない状況で、またはリーダーシップの自覚や責任感が無い状態で果たして優勝出来るんだろうか?大きな疑問を投げかける出来事だ。

まー、そうは言っても、まだ若いし、才能と言う点に関しては何年かに一人の逸材である事は間違い無いので、学んで成長して素晴らしい選手に育って欲しいなと思う。


しかし、数々の批判コメントの中には、プレーに関する指摘も多くあり、うーん、確かに、間違ってはないかな...という点もあった。
  • 1年生の頃からプレースタイルが余り成長していない。ロールを何回か繰り返して無理矢理strong handで打つだけじゃん(まあ、そうだけど、解っちゃいるけど止められないってのはあるけど。あとRhamelは両手使える。)
  • シュート打ち過ぎ&外し過ぎ。あんだけシュート打ってりゃそりゃ点も取れるわ。確率が低い(まあ、あながち嘘でもないかな...まあ、でも打って点取れるのは事実っすからね...)
  • RhamelはDFすることも多いが、チームDFしなさ過ぎ。スライド行かないし、失点を棒立ちで見てることも(これは僕もよく見てないので何とも。)


試合全体の印象

長らくACCのツートップを勤めた二校による激しいRivalry(ライバル関係)から来る熱い戦い。Physicality(当たりの強さ)。ガツンガツンに相手を倒しに行っている。ラクロスが本来持つボディコンタクとの激しさを体現。

Run & gunのぶつかり合い。物凄いスピードで行ったり来たり。両Goalieのセーブとブレーククリアパスが素晴らしいこともあり、ガンガンブレークで躊躇無くシュートまで行っている。非常に面白いし、ブレークの教科書として参考になる。

特にMarylandは本来の良さが大爆発。Georgetown戦で見せた怒濤の攻めがまた見られた。これが出せる限り安心だ。

試合を通して、新星ゴーリー、MarylandのReturning Freshman(学校的には2年生だが、去年選手登録してなかったので一年生扱い)で、Doc(98, 10 US代表GoalieのBrian Dougherty)の愛弟子、G #31 Niko Amatoがまたしてもその能力の高さを遺憾なく発揮。Long rangeもPoint Blank(至近距離)も止めまくっている。結構鬼だ。落ち着きが凄い。セーブ力とクリアパスの思い切りが素晴らしい。後4年間、Marylandの守護神として君臨し、Hopkinsの2年生#33 Pierce Bassettとベストゴーリーの座を争うだろう。

Shamelがいない事の影響が思った以上にでかい。RhamelやLa Pierreら2枚目、3枚目のMFが頑張ろうとしているが、やはりShamel程の爆発的突破力、DFのシステムを変えて超っ早スライドせざるを得ない状況を作れていない。結果として、普段であれば空いたクリースで点を取りまくる#10 AT Chris Bockletの存在感がほぼゼロになってしまうという現象が起きている。

UVAのDFがカットを全然カバー出来ていない。Porous(穴だらけ/ザル)になっちゃってる。特に後半は修正出来ていないままボロボロに。これPlay offまでに修正しないと結構深刻かも。

個別のプレーで印象に残っている点

2Q Virginia 2点目、#3 MF Rhamel BrattonのShot on the run(ランニングシュート)。Off hand(非利き手)の左でいいシュートを決めている。やはり地道にOff handも練習してるんだろう。直後にも1 on 1で左にsplitしてかなりいいjump shotを左手で打っている。左一本やり感の強いShamelに比べるとRhamelの方がまじめに逆も練習してるのかも。兄に遠慮して敢えて一歩引いていることが多いが、実はShamelに近い攻撃力を持ってることが今回判明。MLLで別々のチームでプレーすることになった時どういう本領発揮が見られるのか楽しみ。

Maryland 3点目、Fast breakでの#13 Owen Blyeによる3点目。Hitchして完全にDFをズルッと交わして一歩中に入ってstanding shot。Hitchのモーションが完全にシュートのそれ。スティックだけじゃなく、肩やスタンスや腰、文字通り全体を使って一歩踏み込んでいる。

Virginia 5点目のRhamelのTime and room(スタンディングのロングシュート)も超上手い。つかRhamelもShamel並みにシュート上手えじゃねえか...今まであんまし見せてなかったけど。

MD #19 Joe Cummings (Jr)がクリーススペシャリストのOFMFとして怒濤の活躍。Paul Carcaterraも指摘しているが、高校時代までATで、DFの裏を掻く動きが非常に上手い。元Virginia、Boston Cannonsで'10 MLL MVP、Team US '11のMatt Poskayを連想させるとのこと。確かに。

後半3Q またしてもCummingsによるMD 7点目。Xでの2 on 2からのインサイドロールならぬCOD (Change of Direction)で、一歩でDをズバッと交わす動き、そこから一歩更に中に入って角度を作り、2回の小さく速いスナッピーフェイクでGを倒しての得点。InvertするMFはこれを目指したい。

てな感じ。シーズン開幕前はSuracuseとVirginiaの一騎打ちのシーズンと見られていた。が、ここに来てVirginiaがグラングランに揺らぎ始めている。実力があるのは間違い無い。DFさえ修正して、Shamel問題さえ解決出来れば間違い無く強いチーム。ベストの姿を取り戻すことを願う。

ESPNのハイライト(リンク


IL Videoのハイライト(リンク

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