2011年4月12日火曜日

NCAA 2011 Game Review vol.17 Syracuse vs Duke

Konica Minolta Face Off Classicの2試合目。いやいや、もう。Syracuse凄いっすよ。ホント。もうひたすら楽しむしかないと。13-11でSyracuse勝利、だが、実際には3Qまでは完全にSyracuseが圧倒。4Qに経験を積ませるために下級生を多くフィールドに立たせたり、軽い捻挫の#40 DF John Ladeを下げたりして連続得点で追いつかれたが、完全に横綱相撲。

ここまでFace Off Classicで2試合、Big City Classicで2試合を会場で観戦して来たが、その全てが極めて満足度の高いものだった。レベルも高く、エンターテインメントとしても全て1-2点差の手に汗握る展開。ILとESPNのチームは本当に強いコンテンツを作り出す事に成功している。これを見ると、本当にこのスポーツの持つ止まる事を知らない勢いに改めて納得させられる。

両チームのシーズンプレビュー
以下、印象に残った点。

試合前のQuintのコメント。Coach Desko曰く、Syracuseにとって、「トランジッションはDNAに刷り込まれている」。ガンガントランジッションし、fast break、broken/unsettled situationで点を取りまくるのが彼らのスタイルだと。

Syracuseのいつもの4年生7人侍はいちいち書くまでもなく大活躍。

1Q残り4分で#11 LSM Joel Whiteが見せるグラウンドボールの技術。混んだ状態で一回外にかき出し、拾って、再度転がし、フリーで拾う。その他試合を通して彼の中盤での貢献度の高さが群を抜いている。GBの強さ、トランジッションでの切り替えの早さ、その後の機動力、フロントコートでのアシスト/シュート、それを裏付ける卓越したスティックスキル。高校までショートスティックでU-19にもShortyで強力なオフェンスの選手として参加しているだけあり、ほとんどショートスティックのようにロングポールを扱っている。てか、多分通常のロングスティックよりちょっとスティック短いかな?ロングとショートの間の長さにしている気がする。彼がでかいからそう見えるだけか?Close DF (ボトム)ではなく、トランジッションやGB、オフェンスで付加価値の大半を生む彼のようなタイプのLSMであれば、スティックの長さを敢えて多少捨てて、機動力/扱い易さを取るのは非常に合理的な選択。

今シーズンのNCAAから変更されたルールの一つに、ハイヒット、特にHelmet to helmetと呼ばれる首から上へのヒットに対するファウルに対する超厳格なペナルティがある。Youtubeを通じて広まった、Billy Bitterら相手エースへの意図的ハイヒットにより相手エースを物理的に潰した方が試合に勝つ上では有利に働くと言う歪んだ経済合理性が働いてしまっていたため。今シーズンは審判協会が意思を込めて明らかに厳しめに取り、加えて悪質な物は2分以上のMan downという、かなり厳しい裁定に変更されている。が、まだ審判も線引きに苦労しているらしく、また実際には肩で当たっている物までファウルを取られてしまっており、選手側が相当やりにくそうにしている。解説でも「これじゃあサッカーになっちゃうぞ?ラクロスの本当の良さが削がれる可能性」と指摘。

前半Syracuseのクリエイティブで爆発力のあるオフェンスが炸裂。ショータイム。オフェンスの選手たちが広くアシスト/得点しており、一部のエースに依存せずに非常に効率的に攻められている。

Dukeは去年1年生優勝ゴーリーになった、#4 G Dan Wigrizerが明らかに調子が悪い。去年から指摘されていた、身体が固くなり過ぎていること、メンタルに揺らいでいる事、下に読み過ぎて上に決められる、という全ての悪い面がまた出ている。恐らくセルフイメージがどんどん小さくなるという悪循環に陥ってしまっている。誰か正しいスポーツサイコロジーの基本、今に集中、変化を見る、相手や環境じゃなく自分、等のセルフイメージをコントロールする術を教えてあげた方がいい気が...まあでもDukeだからそのくらいはやってるか...まだ2年生なので、これから改善して行く所なのかも。

Duke HC John Danowski (Matt Danowskiの親父)が試合中ファウルした選手に、「いいか、今のはこう当たるんじゃなくて、こう当たるべきだ」と、細かい基本の部分を試合中に個別に指導している姿がまた映っている。この人は本当に細やかに、基本を大事にし、それを個々人に対してきちんとacknowledgeし、愛情を掛ける事で育てて行くというスタイルを徹底している。コーチ力/Social Skillの高さを相変わらず感じさせる。

正ゴーリーとして既に二度の優勝を経験し、この試合で歴史上最多勝利Goalieの称号を手にした、Cuse #15 G John Gallowayが相変わらずperfectionistゴーリーとしての凄さを見せている。セーブは勿論なのだが、裏への/裏からのパスへのカット、セーブ直後のロングパス、速攻のシュートが外れた直後のチェイスなど、セーブ以外の周辺技術への意識の配り方/徹底度が極めて高い事が伝わって来る。恐らく何度も何度も自分でフィードバックして、一歩でも勝ちに繋がる可能性を上げるためにはどうすればいいのかをひたすら4年間徹底してきたなれの果てなんだろう。上手く行かなかった時の悔しがり方が物凄い。相当に負けず嫌いで完璧主義者なんだろう。帰ってビデオを見直して修正してくるはず。

Quintたちが指摘していたのが、やはりCuse #40 DFのJohn Ladeの凄さ。如何せんでかくてガンガンボールダウンさせるタイプではないため、映像で見ていても目立たないし、ボールダウン数等の数字で見えにくい。が、実は物凄いDFという話。ここまでの7-8試合でLadeが着いて来たVirginiaの#6 Steele Stanwickら相手エースATが、ことごとく0-2ポイント(得点+アシスト)に抑えられ、それまで得点源だった相手がことごとくその試合だけ存在がほぼゼロにまで消えるという現象が起こっている。相手のエースの存在を消し去る「Eraser(消しゴム、または消去職人、みたいな)」の称号が定着して来ている。し、渋過ぎる...

Cuse #23 Jovan Millerがまたしても安定した活躍。この人は間違い無くMLLでも貢献するだろう。下級生時代にDFMFで経験を積み、上級生になってエースOFMFになり、去年から今年に掛けてダッジ/シュート、特にオフハンドの右手のシュートにも磨きが掛かっている。特に3Q 10点目のスプリットから右のrunning jumping shotなどは完璧過ぎて芸術品の域に達している。

11点目、Canadianラクロスの体現者#28 AT Stephen Keoghがクリースで超スペースの無い状況でAround the Worldで得点。相変わらずクリースの仕事人、ファンタジスタ過ぎる。これ今年のベストゴール候補に入って来る気がする。

Duke #31 AT 1年生のJordan Wolfが、Ladeに着かれながらも気合いで活躍している。ベストDF相手にひるむ事なく、スピードで時々勝っている。すげえ一年生だ。師匠のJohnny Christmas(VirginiaでAll American & 優勝、MLL/NLL)曰く、Mikey Powell以来のスピードダッジャーだと。確かに。これを見ると頷ける。Max Quinzaniの後継者と言われていたが、越える可能性も感じさせる。

3Q終了間際のCuse #22 2年 JoJo Marascoの振り向き様の左手での12ヤードshot。一気に眼が覚めた。彼あんまし今まで見せて無かったけど、シュート鬼過ぎる。

全体を通して、Cuse #19 3年 DFMFのKevin Drewの貢献が大きいように見える。大きく、バスケでも有力選手で、Physicalが強く、短距離のスピードで言えばJoel White以上だと言う。下手なLSMよりも固いDF。ShortyのDFでこれだけ守れる選手がいると相当DFが楽になる。彼とJoel Whiteの2枚がいるので、相手MFは相当攻めにくくなる。分厚いオフェンスの印象が強いSyracuseの隠れた強みは実はこの辺の身体能力/機動力のかなり高いトランジッションやDFMFの選手をしっかり抑えられている点。08、09年の優勝を支えた#3 Matt Abbottを思い出させる。

ILのハイライト...にしても、1週間経った今改めて見ても、「むあじかっ!?」と目ぇ見開かされるプレーが多すぎる…超ピンポイントだけど、2:46のJoJo to Jovanのフィードの前の、ダッジ時に一度片手になってから両手に戻る異様な早さ。これ重要。明らかに意識してやっている。

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