2011年4月15日金曜日

NCAA 2011 Game Review vol.18 Syracuse @Princeton

90年代から00年代前半に頂点を争い続けた名門2校の激突。ここまで多くの接戦を制し、全勝街道を走るSyracuse(この記事書いたの先週末…)に対し、Princetonは主力の怪我にも泣かされ、現時点ではランク外にまで落ちてしまっている。

両チームのシーズンプレビュー
またしてもZone DFに直面するSyracuse。明確にPrincetonはZoneでタイトにタイトにクリースをパックし、penetrationに対して常に誰かがカバーし、厳しい角度/距離からしかシュートを打たせず、確実に強いGの#6 Tyler Fiorito (Jr.)がセーブする、という作戦。試合のペースを落とし、Syracuseの大好きなトランジッションゲームを封じることに成功している。

1Q Cuse 3点目。#11 LSM Joel Whiteのクリア後のクリースの#28 AT Stephen Keoghへのバウンドパスによるフィード、得点。完全にバスケの2 on 2のカットとパスの動き。ロングスティックに限らずパスが咄嗟に出来ると強い。

2Q Syracuse 4点目。#4 Jeremy Thompsonの1 on 1で背中でDを背負いながらクリースのKeoghに後ろ向きにサクッとフィードして得点。重心を落として、しっかり視野を取って、シュートプレッシャーを掛けながら。背中の使い方が上手い。Jeremyのラクロス引き出しの多さが垣間見える。

相変わらず#11 Joel Whiteの中盤での貢献度が凄い。GBを拾って走るだけで確実にシュートまでの形を作れている。

3Q終了直後にPrincetonスーパー1年生 #22 MF Tom Schreiber(トム=シュライバー)の鋭いシュートで5-5の同点に。ラクロス名門一家出身のSchriber。一年生にして完全にPrincetonの主砲に。ガキの頃からの練習量が半端ない事が一目で解る。貰ってからシュートまでの引き出しの多さと精度/スピード。両手で早く、速く正確なを決めてくる。でもまだ1年生...高校からのアジャストが最も大変とされるMFでここまで活躍出来ている1年生はほとんど見た事がない。

そのまま5-5同点のまま4Q7分まで。PrincetonのZoneがハマり攻めあぐねるCuse。ここで#28 AT Keoghがクリースの高い位置で貰った瞬間即打ちの速く正確なシュートを突き刺し、6-5。この人のクラッチシューターっぷりは凄まじい。厳しい展開になればなるほど輝く。Canadian Lacrosseの真骨頂。今に集中するメンタルの揺らがなさ。普段over handで打ちがちなのを敢えてスティック軌道を下げて打ち、G Fioritoをdip(下に反応)させて、上に突き刺すパターン。

全体を通してPrinceton Goalie #6 Tyler Fiorito (Jr.)のセーブがやはり凄い。しかし、Syracuse #15 Galloway、Hpokins #33 Bassettと言い、NCAAには本当にこの辺の才能があり、努力家系のperfectionistゴーリーがゴロゴロしている。Goalieのレベルが本当に高いと感じる。

試合の流れをコントロールすること、「勝ちきる」こと、という技術

にしても、Syracuseの今年のこれまでの試合を見て非常に感じるが、意外にも必ずしも毎回ボロ勝ちしている訳では無い。結構1-2点差の試合をしているし、試合の前半まで負けてたりする試合もある。

が、確実に毎回後半に追いつき、逆転し、勝っている。(という話を書いたら今週Cornellに負けちゃったけど…)

毎回見ていて学ぶべきだなと感じるのが、試合の最後にリードした局面で、徹底してボールを回してキープしきる姿勢/戦術/技術。シュートを打てば入るような場面でも敢えて打たずに、とにかくトランジッションをさせないという徹底度合い。(それでも時々ボール取られちゃったりしてるが、要は意図/徹底度として。)

ここにラクロスというスポーツの特殊性を感じる。ショットクロックが無く、得点後は毎回フェイスオフというニュートラルから再開し、ポゼッションが簡単に入れ替わらず、数秒あれば得点出来てしまうというゲーム。

つまり、確率論で考えると、実はシュートを打って、決めようが決めなかろうが、一度でも相手にポゼッションを与えてしまえば、理屈上、失点、FO取られる、失点、FO取られる、という形で、同点/逆転を許す可能性が生じてしまう。

それを熟知した上で、残り3-5分からは徹底してポゼッションを守るモードに入っている。非常に合理的。

全体的にこの「リードを守りきり、リスクを最小化して、勝つ確率を最大化する」という考え方、技術がアメリカのラクロス全体に共通して、日本よりも明らかに高い/洗練されている気がする。アメリカラクロスコミュニティ全体として、幾多の試合を経て、年月を経て、統計的/経験的にそっちの方が勝てる事をよく理解しているんだろう。そして、そのためにはどうすればいいのかを度重なるトライアルアンドエラーを繰り返して技術と洗練し、DNAに刷り込ませてきているんだろう。まあ、小学校低学年の頃からNCAAとかMLL/NLLとか見て、真似してりゃそら骨の髄まで叩き込まれるわな。その手の勝ちきる技術、試合を設計/コントロールする技術。

ESPNのハイライト(リンク


ILのハイライト

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