2016年4月21日木曜日

NCAA 2016 #06 North Carolina @Duke

ちょっとずつ時間軸を前後しながら、過去の試合を消化。今回は、4月9日(金)の夜にNorth Carolina州DurhamのDuke大学のKoskinen Stadiumで行われた、UNC vs Dukeの試合。

1. Background

UNCとDukeと言えば、大学スポーツのみならず、アメリカのスポーツの世界に於いて最も有名なライバル関係の一つ。特に両校共に全米最強クラスのバスケでは、毎年のリーグ戦でお互いの会場で行われる2試合はもはや恒例の一大イベントになっており、チケットも席によっては軽く数十万の金額に高騰している。

共にNorth Carolina州のTriangle Areaに位置し、UNCのChapel HillとDukeのDurham(ダーラム)は正に目と鼻の先の位置関係。車でものの15分程度の場所にある事もあり、地元住民を巻き込んでの、青対水色の対立関係が出来ている。(ちなみに僕が住んでいるのはUNCの本拠地Chapel Hillなので、当然UNCのファンという事に。)

ラクロスはさすがにそこまでの注目度は無いものの、毎年レギュラーシーズン、ACCトーナメントで、プライドを掛けたバチバチの熱戦を演じている。

2. Recap

結論から言うと、今シーズンこれまで見てきた6試合の中で最高の試合!いやー面白かった!夜寝る前にうっかり見始めて、興奮して眠れなくなっちゃったパターン。これぞNCAA Lacrosse!このエキサイティングさこそがラクロスの醍醐味だよね!と改めて実感させられた試合。ああ、ラクロスファンで良かった!と思わされた。点の取り合いで、いろんな選手が持ち味を発揮して、いろんな形で活躍し、DFやGの見せ場もあり、FOやGBの攻防もあり、正にラクロスの全てが詰まった素晴らしい試合。

例えば、家族や親戚、ラクロスを知らない友人、新人勧誘のターゲットの新入生たちにラクロスを紹介するために見せるなら、こういう試合じゃね?っていういい例。

3. 注目したい点

いくつか、選手として、チーム戦術として、そしてスキル面で、非常に面白かったり、勉強になった点があったので箇条書きでザッと洗い出し。

Duke #15 Myles Jones (Sr./4年)がやっぱりとんでもねえ

1月に行われたMLL (Major League Lacrosse)のドラフトで堂々の全体1位指名。今年のTewaaraton Trophy (MVP)候補筆頭。むちゃくちゃすごいという話は聞いていた。一方で、前回見たSyracuseの試合では、そこまで活躍しておらず、「そんなに凄いんか?」と思ってしまっていた。

が、今回の試合を見て完全に認識が変わった。やべえっす。参りました。マジえげつねえ。そりゃMLL 1位指名になるよね、っていう。

フィジカルがエグいのは周知の事実。身長196cm、体重109kg。MMA(総合格闘技)でも余裕でヘビー級。反則のサイズ。引き続き、小学生の試合に大人が一人ポツンと混ざっちゃったね状態。で、身体能力も突出。安定してるし、動ける。当たって容赦なく相手をなぎ倒していける。

で、今回は、スキル面/巧さをかなり見せてくれた。まず、シュート恐ろしい。今回の試合ではやばいコースにズガンッと決めている。

合わせて、結構驚かされたのが、フィードのスキルの高さ。さすがに4年間毎年早めのスライドをされまくってきた事もあってか、かなり視野を確保して精度の高いフィードを出し、いくつもアシストしている。なんと5得点6アシストの活躍。全16得点のうち11点に絡む怒涛の活躍…まじ一発で黙らされました。これはUS代表級ですわ…

それに対するUNCのDF戦略も面白い

面白かったのは、前半、敢えてセオリーに反し、Myles Jonesに対してShorty (Short Stick DFMF)を付け、代わりに超早めのスライドで対応しようとした点。おそらくUNCにでかくてフィジカルの強いLSMFがいないが故の苦肉の策/Creative Solutionか?

ところが、これがうまくいかず、逆にJonesに自由自在にフィードを出されて失点。

後半に入ってZoneに切り替え。これが結構ハマってTurn overを誘発。この辺のDFの戦術的な駆け引きは非常に面白い。

Dukeやっぱり完成度上がってきてる

前回のSyracuse戦の記事でも紹介したが、毎年DukeのCoach Danowski氏は明確にピーキングをトーナメントの決勝に持ってきており、前半の試合は敢えて試行錯誤/学習させるために負けを許容している。ちょうどレギュラーシーズンも終盤に差し掛かり、例年DukeがチームとしてのIdentityを発見し、徐々に優勝候補に変貌するタイミング。

今回の試合でも、負けはしたものの、明らかにチームとしてより良いラクロスをしていた。今後トーナメントに向けて一気にトップに躍り出てくる気もする。5月の末のMemorial Day Weekend (Final 4)で見られる可能性も結構高い気がする。

UNCのAT #0 Steve Ponterello (Sr./4年)のXからの1-on-1が素晴らしい

今回の試合で6得点と爆発。去年までJimmy BitterやJoey Sankeら偉大な先輩たちの陰に隠れ、ATとしての存在感は薄かった。

が、すげえ実力者なのねって事がここ数試合で明確に解って来た。

特にXからのダッジの一歩目の踏み出しの鋭さ、そこからの爆発的なスピード、GLE (Goal Line Extended - ゴールライン)を超えてからのFade Awayでのスティックの軌道を体で隠しながらの鋭いシュートと精度。無茶苦茶素晴らしい。ATの選手は何度も見直して、完コピを目指して反復練習したい動き。

身体能力だけで見たときに、そこまで足が速いようにも見えないが、とにかく一歩目の踏み出しの鋭さ。相手を出し抜く切り返しの動き。真似できない動きじゃ無い。

あと、物凄くお手本にしたいのは、裏からの1-on-1からの振り向きざまのシュートを、左右両方で同じように鋭く決めている点。これは絶対に数万本の反復練習の成果。これが利き手でしか抜けない/決められないのと、左右の選択肢があるのでは、DFの守りにくさが圧倒的に変わってくる。一人で完結する形で1-on-1でここまで得点できると、相当な戦力になる。是非とも見習いたい。



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