2010年6月12日土曜日

Team US特集 vol. 2 MF

Philadelphia本社での社内トレーニングやら提携/買収候補先のStart upやらとのミーティングを終えてCaliforniaの自宅へ。アメリカで働いていると、この東海岸-西海岸間の出張が意外と曲者…国内での出張なのに8-9時間が片道の移動で潰れる。時間を節約出来ると思って夜行便(Red-eye flight)を何度か試したが、いまいちちゃんと睡眠を取れず次の日の生産性が落ちるのでボツに。結局朝一の便に乗って日中飛行機の中でゴリゴリ仕事をするスタイルに落ち着いた。が、悩ましいのがConfidentiality(機密保持)の問題。隣の席に人がいると多くの仕事が出来なくなってしまう。てな訳で(と言い訳して…)、そんな時間を使ってぼちぼちラクロスネタ書かせて戴いてまっす。

今回はTeam USのMF。今回のTeam USのMFは、僕が知ってる範囲(つまり過去3回のWorld Championshipとの比較感の中)では恐らく最も「華のある」布陣じゃないかと感じている。

MF
# Name Pos. MLL Team College cm kg
99 Paul Rabil M Boston Cannons Johns Hopkins '08 191 102
3 Matt Abbott M Chesapeake Bayhawks Syracuse '09 188 84
21 Kyle Dixon M Chesapeake Bayhawks Virginia '06 193 98
9 Matt Striebel M Chicago Machine Princeton '01 185 86
42 Max Seibald M Denver Lutlaws Cornell '09 185 91
10 Matt Zash M Long Island Lizards Duke '06 180 86
20 Stephen Peyser M/FO Long Island Lizards Johns Hopkins '08 188 100
11 Alex Smith M/FO Chesapeake Bayhawks Delaware '07 178 84
25 Chris Schiller M (Sailin’ Shoe LC) Penn State '99 - -
32 Kevin Cassese M - Duke '03 - -

3人の柱

その筆頭は、#99 Paul Rabil(レイブル[レにアクセント]), #9 Matt Striebel(ストリーベル[リーにアクセント]), #42 Max Seibald(シーボルド[シーにアクセント])の大型オールラウンダー3枚。全員に共通するのはぱっと思いつく範囲で7点。

①でかい
②身体能力めちゃ高い(パワー、スピード、スタミナ、ボディコントロール etc.)
③シュートが鬼(Running, Standing共にRange 広い、クソ速い、かなり正確)
④左右両方使える(SplitでもEarly/Bullでもどっちにでも抜けて、どっちの手でもシュート決められるのでDとしてはマジでやっかい)
⑤かなり器用(早めスライドに対してサクッとクリースにフィードしてアシストすることも多い)
⑥実績/履歴書抜群(Paul Rabilは多くが認める現最高Lacrosse playerでJHUで2度の優勝経験、Matt StriebelはPrincetonで元Captainで優勝経験、Max SeibaldはCornell準優勝の立役者、Tewaaraton Trophy winner [MVP])
⑦MLLでも大人気

3人ともタイプが似ており、ダッジで起点となれる選手なので、直感的に1st setに3人が一度に入ることは無い気がするので、このうち2人+feed targetのsniper、みたいな感じになるんじゃないだろうか。にしてもこの3人が同じチームでプレーするなんて、既に想像しただけで鳥肌がザワザワ…(カイジ風)

以下、個々人の話を知ってる範囲でサクッと掘り下げ。

#99 Paul Rabil (Boston Cannons/Johns Hopkins '08/191cm/102kg)

"The Beast(野獣)"。多くのラクロス選手、ファン、関係者が認める、現世界最高プレーヤー。もしかしたら、史上最高プレーヤー。ザ・霊長類ヒト課最強。連想されるのは、キャプ翼の日向くん、グラップラー刃牙の親父範馬勇次郎(はんま ゆうじろう)。バスケで言うとLeBron James。上澄みのみが集められたMLLやNLLのフィールドですら、「別の生き物感」が漂う。彼を始めて見たのは08年のNCAA Semi Final、FinalでのDuke/Syracuse戦。そもそもパッと見明らかにフィールドの全選手の中でも一回り大きいが印象的だった。試合終盤の勝負どころでSwim dodgeで強引に3人ほど抜き去り、ゴールを揺らすシュートを決めまくっていた。

動画見たら一発でご理解戴けるかと。結構な数の動画が流通してます。
●MLLでのハイライト(心臓バクバク言っちゃいます。)
●JHU時代のハイライト
●彼や他の選手たちのインタビュー&ハイライト
シュートがゴールパイプの内側にズガン!!と当たって入るケースが本当に多い。

かっこいいCMも多い。去年辺りから本格的に立ち上がってきた新ブランドMaverik Lacrosseでも広告塔を勤める。CMでの台詞がまたカッコいい。「時速111マイル(180キロ)でシュートを打てても、それでもまだ俺は練習し、自分をプッシュし続ける。もっと速く、もっと正確に、もっとパワーを。」「毎週遠征で忙しくても、必ず前後に練習の時間を取る。なぜならそれが自分を向上させる唯一の手段だから。子供達が俺に『どうやったら111マイルのシュート打てるようになるの?』と訊いてくるが、それは俺にとって、『試合の前と後の個人練習でどれだけ全力で111本ずつのシュートを打つの?』と訊いているに等しい」(リンク:CMその①その②その③

と、上記のCMでもReferしているが、最近の記憶では、去年のMLL All Starでのシュートコンテストでの姿が印象的。時速111マイル(時速180キロ)は現時点での世界記録。恐らく今年はこのスピードを越えてくるんじゃないかと言われている。(映像

08年のJHUの準優勝直後からMLLのBoston Cannonsに所属し、一年目からチームに大きなインパクトを及ぼした。そして、解説者のQuintも指摘しているが、この人の凄いところは、プロになってから更に物凄い速度で進化を続けている点。特に、Washington StealthでプレーするNLL(プロインドアラクロス)での適応、成長ぶりが目覚しい。一年目こそFieldとの違いに苦しんだが、2年目の今年はその身体能力を生かし、一気に主力に。チームの優勝に大きく貢献した。明らかにStick skill、状況判断、ゴール前でのフェイク/シュートの幅など大きな変化を見せており、一体どこまで成長するのか想像が付かない。

一個だけ懸念があるとすると、元々Competitiveな性格に加え、試合でもラフプレーのターゲットになることが多く、最近ちょっと熱くなり過ぎる傾向がある点。NLLのFinalでも殴り合い、先日のMLLでのToronto Nationalsでの試合でもLate hitされた直後に殴り返し、一発退場+3分MDを食らった。まあ、個人的にはそれも含めて彼の魅力だと思うので、World Championshipでは思う存分相手をなぎ倒して欲しいなと思う。

Swim dodgeの講座。しかしこれ見ても分かるように、決してただ身体能力高いだけじゃなく、しっかり頭を使って、意識的/戦略的に技術を選択し、練習してる賢い人だなーと思わされる。

#42 Max Seibald (Denver Lutlaws/Cornell '09/185cm/91kg)

去年のCornellの主将。09年NCAA Semi/Finalで初めて見た時の印象は、「馬のように走れるグリズリー」。Cornellの全体育会の歴史の中でもトップレベルの身体能力。走ってる姿から地響きが聞こえてきそう。NCAAではクリア中に相手をいちいち交わさずに真正面から普通にぶつかって相手をペシャッと倒してそのまま何も無かったかのように走っていったシーンが鮮明に記憶に残っている。

シュートが速くて正確。昨年のMLLシュートコンテストではRabilに次いで時速110マイルで2位。若い頃から徹底マークに遇ってきたためか、Early slideに対する視野とフィードの上手さが光る。

ガキの頃に編み出した練習ツールなんだろうか?自分の会社を通してStick skill/Wrist power向上のためのEquipmentを売っている。巨人の星の大リーグボール養成ギブス/悟空の重い胴着&リストバンドじゃないが、この手の練習ツール好きの自分としては、自分が現役プレーヤーだったら絶対買ってたなと思った。(CM動画

ちなみに前述の2009年MLL Fastest Shot CompetitionではRabilに次いで時速110マイル(178キロ)で2位。どんな次元の争いしてんだ…

Cornell時代からその人格やリーダーシップは有名。長らくCornellではCo-Captain制が敷かれていたが、彼の代で久々の単独キャプテン制に。決勝のSyracuse戦の前に円陣の中心でメンバーを鼓舞していた姿が記憶に新しい。2年目のDenver Outlawsではそのリーダーシップが買われ若くしてキャプテンに抜擢。今回のWorld Championshipのような過酷な戦いでは彼のような精神的な支柱が肝になってくる。

#9 Matt Striebel (Chicago Machine/Princeton '01/185cm/86kg)

Paul Rabilが目立ってきた09年や今年になるまで、多くのコーチがMLL最高の選手として名前を挙げていたのが彼。01年Princetonのキャプテン。元々ATだったが1年生のRyan Boyleが入ってきた際にMFにコンバート。(ちなみにPrincetonでは持ち前の体格と身体能力を生かし、サッカー部でも主力選手だった。)直後のDraftでは19位の下位指名だったが、その後努力と練習を続け、徐々に才能を開花させていった。多くのMLL選手がNCAA入団直後数年でピークを迎え辞めていく中、MLLに入ってから長い時間掛けていまだに上達を続けるという珍しい例。

Inside Lacrosseのインタビューでも、ラクロスが大好きで仕方無い、練習して上手くなることが楽しくて仕方ない、そして何よりも、元々負けず嫌いな性格で、負けたくない、勝ちたいという気持ちが彼をドライブしていると言っていた。左右どっちにもDodgeで抜いてきて、弾丸シュートを突き刺してくる。

その他のメンバー

そんなとこでしょか。3人だけ紹介しましたが、他にも、Kyle Dixonのタンクのような突破力とシュート力、Alex Smithの神懸かったF/Oの強さなども注目っす。

#3のMatt Abbottは去年のSyracuse-Cornellの決勝を見て覚えてる人も多いと思う。試合終了直前の同点劇を生んだあの#3 MF。09年NCAAのMVP次点。突出した身体能力、特に中盤でボールを運ぶ能力は秀逸。但し今回は怪我の影響で現時点ではベンチ外での控え要員。

怪我で選ばれなかったメンバー

実は今回の選出、何人か、「あれっ?あの人選ばれてないの?」というメンバーが。その多くが残念ながら怪我の悩みを抱えているケース。Syracuse '08の優勝の立役者の一人でキャノンシューター兼Stick tricker, Steven Brooks、Cornell '09の豆タンクFace offer & 得点源John Glynn、Boston CannonsdA/M双方をこなし器用なオールラウンダーっぷりを見せる、無敵のVirginia '06の原動力だったMatt Poskay、'05 Hopkins復活の原動力「Phenom(天才)」Kyle Harrisonなどはことごとく怪我の不安を抱えた状態。イメージもう1チーム分チームUSを作れる面子が今回のレギュラー以外に控えてる感じ。

直感的に超過酷スケジュールのWorld Championshipでは、どれだけ主力が耐えられるか、体力を温存出来るか、怪我をマネジ出来るかが鍵になってくる。MFは最もその負担を受けるポジションになるはず。彼らの働きに注目したい。

Inside Lacrosse Podcastでのメンバー選出に関する議論

ちなみにInside LacrosseのPodcastのLibrary掘り出してたら去年の11月時点での代表選抜時点での放送を発見。ご参考までにリンク。111番。

いたる@13期

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