2010年6月16日水曜日

Team US特集 vol. 3 G/DF

1. Goalie

Gは二人。
# Name Pos. MLL Team College cm kg
44 Adam Fullerton G Denver Outlaws Army '08 183 85
6 Brian Dougherty G Long Island Lizards Maryland '96 185 N/A

今回のGの選出に関し、Inside Lacrosse PodcastでのInside Lacrosseのスタッフによる議論で、面白いコメントが出ていた。

前回のWorld Gameと比べると、明らかなのは、ゴーリーの実績/経験値に大きな差があること。もちろんFullertonはArmyで実績を残し、Denverで正ゴーリーとしてプレーする優秀なG。08年卒で新進気鋭の若手筆頭。

一方で、DocことDougherty(ダガティ[ダにアクセント]と発音)は96年卒、98年のWorld ChampionshipでUSの正ゴーリーとしてゴールを守り、その後もMLLの第一線で活躍してきた。経験と実績、そこから積み上げられてきた実力と方法論には敵わないことは誰の目にも明らか。(Goalieスキル講座では「へえええそんなこと考えてるんだ!」と思わされる技術解説をたくさんしていた。意図的にゴールの上隅を空けて、シューターに咄嗟にそこを狙わせて取るという「オトリ作戦」も彼が提唱。)。(ちょっと古いけど、ハイライト)二人の間には実に12年分の差が。Fullertonの他にMLLでもプレーし、過去のWorld Lacrosse Championshipの経験もあるベテランGを選ぶことは十分に考え得る選択肢だったはず。

Inside Lacrosseエディターたちは、それを指摘した上で「今回のTeam USのGの選出には、Gに関する不要な議論/批判を避けるという明確な意図がある」と指摘する。前回のWorld Championshipで採用したG 2枚看板制/2人交代制はいまいちワークしなかった。どっちを使うかに常に議論と批判が付きまとい、Dとの連携、試合勘などの点で多くのダウンサイドがあったんじゃないかと。(加えて、Canadaに優勝を攫われたことで更に批判に晒された)

明確に正ゴーリーをDocとしてチームを作り、休ませたい時にピンポイント使いでFullertonを出す、という設計にするんじゃないかと。

まあ、最もな議論だなと思う一方で、個人的には、本当かね?という気も。コーチのPresslerもわざわざ2枚目の実力を意図的に落とす、なんてことするほど余裕があるとは思えないし、そもそもFullertonはArmyでも十分なパフォーマンスを証明し、Denver Outlawsでも正ゴーリーとして堂々と活躍してきた。Docは95年卒の36歳、ここ2年はMLLの試合からも遠ざかっている。実際には普通にFullertonも同等かそれ以上に守れるんじゃないかな?という気がする。

その辺をどう判断していくのか、CoachのPresslerの采配も含めて注目。

Goalieの資質=「ど天然」?

ちなみに、今年のESPNでのNCAAの試合放映で毎試合挿入されていたWarrior skill講座のGoalie編で、Docのコメントが非常に印象的だったのでご紹介。Goalieの基本姿勢、Stick、手、顔がまっすぐボールの正面に来るようにするべし的な基本を説明した後に、最後にメンタルについて言及。「ゴーリーはShort memory(忘れっぽい)であることが大事。セーブしたら速攻でクリア、点取られたらスパンッと切り替えて次。試合中にいちいちグジグジ悩まない!」と。また、今年のDukeの弱点と言われていたGに関してMVP AT #22 Ned Crottyも同様のコメントをしていた。「多くの関係者が1年生Goalie、Dan Wigrizerのことを実力不足/経験不足だと言うが、俺はそうは思わない。あんまし言いたかないが、ぶっちゃけ彼は"Space cadet(ちょっとぼーっとしてて忘れっぽい奴)"なので。(日本で言うところの「ど天然」って感じかな?)だから大舞台でも絶対に大丈夫だと信じてる。」と。実際に準決勝、決勝で彼は堂々の活躍をしてDukeの優勝に大きく貢献した。なるほどなー。細かいこと気にせずに、クヨクヨせずに、スパっと気持ちよく忘れられる人が向いてるのねと。確かに我らが篠原課長も学生当時からそうだったな…と。サバンナ八木さんみたいな人(もちろん技術や戦術は深く理解できる大前提で、性格/キャラとして)が強いのか?

2. DF

# Name Pos. MLL Team College cm kg
7 Kyle Sweeney D Boston Cannons Georgetown '03 188 88
34 Ryan McClay D Boston Cannons Cornell '03 178 100
27 Shawn Nadelen D Chesapeake Bayhawks Johns Hopkins '01 183 88
36 DJ Driscoll D Chicago Machine Notre Dame '06 193 91
5 Eric Martin D Denver Lutlaws Salisbury '04 188 93
29 Lee Zink D Denver Lutlaws Maryland '04 193 88
4 Joe Cinosky D Toronto Maryland '09 - -

さて、DFに関してはControversial度(疑問/議論の余地)は低いと言われている。

(正直MLLの試合も(AT出身の僕は)Dを中心に見てこなかったのでいまいちピンと来てない…)

が、他にも名前が挙がっていたが最終的に選ばれなかった選手たちとの比較感で一つ指摘されていたのが、スピードがあって起動力の高い選手、ファウルをしない保守的なDが出来る選手、そして、むちゃくちゃConditioningのいい/体力のあるメンバーを選んだという点。過酷なスケジュールでの長期戦。とにかく大会の最後まで高いレベルを保ってプレー出来ることが大事。

名Long stickと言われながらも、どちらかと言うとアグレッシブにボールを落としに行くタイプの選手、広い守備範囲での脚を使ったスピード勝負に強くない選手は選ばれていないとのこと。

#7のKyle Sweeneyは前回のWCからの連続出場。Stick Skillとオフェンス力が半端無い。間違いなく今大会も得点に絡んでくると思われる。

#5のEric MartinはNCAAでもDiv 2のSalisbury出身。サイズと身体能力を買われてDenverにドラフトされ、成長してトップクラスのDに成長。#29のLee Zinkはでかくて堅守。

全体的に、卒業年次を見ても分かるように、卒業後5-8年のベテランが多いことが見て取れる。

3. 全体

最後に、チーム全体の分析をちょこっと。

全体的なバランスとして、ATがちょっと多めで、Dが少なめに感じる。Blue Divisionでは格下相手にOffenseをしている時間が長くなるはずなので、それを考えてのバランスか。

また、Inside Lacrosseの議論でも指摘されていたが、「(前回敗れた)Canadaに勝つための面子」という選出に感じられなくもないとのこと。ガンガン走ってAmerican Field Lacrosseを体現出来るオフェンス、そしてCanadaのでかくて思いOFに押し負けないでかくて身体能力のあるDを選んでると。なるほど、確かにそうかも。

最後に、コーチは元DukeでRape scandalで辞職に追い込まれた後Bryantに移籍したMike Pressler。「絶対優勝」の大きなプレッシャーの下、短い期間でほとんど練習も出来ない中結果を出さなくてはいけない大変な仕事だ。個人的には優勝を果たして再び表舞台でスポットライトを浴びて欲しいなと思う。

いたる@13期

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