何日か前の記事でArmy-Navyの試合の記事で紹介した、映画、Any Given Sundayで、Miami Sharks(映画に登場する架空のチーム)のヘッドコーチのAl Pachinoが奇跡的逆転で出場出来たプレーオフの試合前に行ったスピーチ。
これ、ただの昔話以外の何物でもなく、我ながら痛痒い事この上無いが...丁度僕が東大で主将をやっていた2000年に公開され、当時の自分たちのチームに重ねて、凄くいろんな事を考えさせられた。Warriors(アメフト部)の奴らと一緒にハマり、渋谷や吉祥寺で何度か劇場に通って見直した記憶がある。決して解り易い(けどリアリティの無い)シンデレラストーリーでもなく、コーチや、怪我に苦しむベテランや、家族のために文字通り選手生命を懸けて身体を張るラインの選手、芽が出ずに苦しむ控え選手やスタッフ達やその家族が抱える悩みやチャレンジを紹介しながら描かれるリアルな話だった事もあり、心に刺さった映画だった。
映画を全部見てここまで来て、このシーンを見ると、尋常じゃ無く鳥肌立つこと間違い無し。サッカーのカズ始め多くのファンがアル=パチーノに憧れるのも良ーく解る。クソ渋くて、熱い。何度聴いても痺れる。
(にしても、当時大学生だった僕は、別に帰国子女だった訳でもなく、英語の聞き取り経験も、東大入試のリスニング、映画/歌で触れいたくらい。当時はこの演説の内容も恐らく5-6割くらいしか解っていなかった気がする(ぶっちゃけ雰囲気カッコいいなーぐらいの…)。今こうしてアメリカに来て、アメリカの組織の中でアメリカ人に囲まれて学校に行き、働いて来た事で、気づけば、さすがに英語でコミュニケーションする力もある程度付いて来た。10年振りにこれを聴き、如何にカッコいい事を言っていたか、人生に通じる深い事を言っていたかに改めて気づかされた。英語が解るようになったから、というファクター以外にも、いろいろ経験を積んで、痛い目も見て、メッセージ的により深いレベルで共感/理解出来るようになったって言う要素もでかいが。あともう10年して聴いたら、もう一歩深いレベルでAl Pachinoの言ってる事の意味が身に染みるんじゃないかと思う。)
Any Given Sundayの日本語Wikipediaページ。
2011年4月29日金曜日
2011年4月28日木曜日
NCAA 2011 Game Review vol.27 Hofstra-UMass
今シーズンはシーズン開始時に9位、現時点で7位と高いランクながら、今まで一度もテレビ放映に乗っていなかったHofstraの今年の唯一のレギュラーシーズンの試合放映。相手はこれまた15位とランク内で善戦しているUMass(University of Massachusetts)。
Hofstraのシーズンプレビュー(リンク)
ちなみにHofstra、何か、ユニとギアがカッコいい。この青黄の組み合わせって他にいない珍しい組み合わせだからだろうか?(リンク)
Hofstraがその攻撃力を遺憾なく発揮し、鮮烈な全国ネットデビューを飾る。いや、ガチで、思った以上に強い。非常にしっかりしている。Hopkinsでアシスタントコーチを勤めて来たHC Seth Tierneyの下、心技体共にしっかりしたタイトないいチームを作って来ている。
特にMLL ATコンビ、カナディアンコンビの#20 Jay Cardと#8 Jamie Lincolnがreal deal。ガチで巧い。
シュートのスナイパーっぷり、オフボールでの巧さ、クリースでの巧さ、全てが非常にレベルが高い。
特にCardのゴールへ向かうハンターの本能が凄い。
Quintが試合中に言っていたコメントが非常に印象的。Hofstraが今後トーナメントで非常に危険なチームになり得る理由として、三つのキーとなる「%」が高い点が上げられると。①シュート成功率、②セーブ率、③FO支配率。確かに、このスポーツに於いて、その3つが揃った時、実力以上のチームを喰うアプセットの危険性がグンと上がる。
同じくカナダ出身の#77 MF SorichettiのTime and roomがハーコー(hard core)過ぎる...おいおい。層厚くねえか?このチーム...
プレーオフで結構危険な香りを発するチームな気がする。
ILハイライト
Hofstraのシーズンプレビュー(リンク)
ちなみにHofstra、何か、ユニとギアがカッコいい。この青黄の組み合わせって他にいない珍しい組み合わせだからだろうか?(リンク)
Hofstraがその攻撃力を遺憾なく発揮し、鮮烈な全国ネットデビューを飾る。いや、ガチで、思った以上に強い。非常にしっかりしている。Hopkinsでアシスタントコーチを勤めて来たHC Seth Tierneyの下、心技体共にしっかりしたタイトないいチームを作って来ている。
特にMLL ATコンビ、カナディアンコンビの#20 Jay Cardと#8 Jamie Lincolnがreal deal。ガチで巧い。
シュートのスナイパーっぷり、オフボールでの巧さ、クリースでの巧さ、全てが非常にレベルが高い。
特にCardのゴールへ向かうハンターの本能が凄い。
Quintが試合中に言っていたコメントが非常に印象的。Hofstraが今後トーナメントで非常に危険なチームになり得る理由として、三つのキーとなる「%」が高い点が上げられると。①シュート成功率、②セーブ率、③FO支配率。確かに、このスポーツに於いて、その3つが揃った時、実力以上のチームを喰うアプセットの危険性がグンと上がる。
同じくカナダ出身の#77 MF SorichettiのTime and roomがハーコー(hard core)過ぎる...おいおい。層厚くねえか?このチーム...
プレーオフで結構危険な香りを発するチームな気がする。
ILハイライト
2011年4月27日水曜日
NCAA 2011 Game Review vol.26 Syracuse-Rutgers
Syracuseが皆の予想通り圧勝。格下の相手にO/D共にやりたい事をきっちりとやって勝利。ある程度決めた通り、狙い通りにプレー出来ているので、ある意味技術/戦術を見て学ぶ対象としては接戦の物よりもいいかも知れない。
SyracuseがまたしてもZoneに遭遇。が、Coach Desko曰く、散々Zone対策を積んで来ただけあって、落ち着いてセットオフェンスできちんと攻められている。Patientにボールを回し、崩して、回して、スペースのある所で得点。トランジッションやライドからも確実に得点。
前半終了直前のCuse 6点目を生んだ、#22 AT Marascoの気合いのライドが素晴らしい。
3Q 7点目はマジでギャグか!?っていう。#15 G Gallowayからフロントコートの#11 LSM Joel WhiteにRun & gunが炸裂。転びながら#22 Malasco、#14 AT Palasekでフィニッシュ。
Syracuse 8点目の#8 OFMF Amidonのクリースでのoff ballでのカットでの得点の前の「溜め」と、そこからのスパッという爆発的な裏取りの動き。
10点目、#14 PalasekのFaceで交わしてた折れ込みながらlow-to-highが渋過ぎる。
全体を通して、この試合では遂にHopkinsからのtransfer、#14 AT Tommy Palasekが完全にチームの柱として活躍し始めている。シーズン中盤までは、Syracuseのスタイルに慣れるのに時間が掛かっていたからか、単純に遠慮していたからか、いまいちその本来の実力を発揮しきれていなかったが、ここに来て本領発揮。プレーオフに向けてダッジ力のある貴重な戦力が補強されつつある。
ESPNのハイライト
SyracuseがまたしてもZoneに遭遇。が、Coach Desko曰く、散々Zone対策を積んで来ただけあって、落ち着いてセットオフェンスできちんと攻められている。Patientにボールを回し、崩して、回して、スペースのある所で得点。トランジッションやライドからも確実に得点。
前半終了直前のCuse 6点目を生んだ、#22 AT Marascoの気合いのライドが素晴らしい。
3Q 7点目はマジでギャグか!?っていう。#15 G Gallowayからフロントコートの#11 LSM Joel WhiteにRun & gunが炸裂。転びながら#22 Malasco、#14 AT Palasekでフィニッシュ。
Syracuse 8点目の#8 OFMF Amidonのクリースでのoff ballでのカットでの得点の前の「溜め」と、そこからのスパッという爆発的な裏取りの動き。
10点目、#14 PalasekのFaceで交わしてた折れ込みながらlow-to-highが渋過ぎる。
全体を通して、この試合では遂にHopkinsからのtransfer、#14 AT Tommy Palasekが完全にチームの柱として活躍し始めている。シーズン中盤までは、Syracuseのスタイルに慣れるのに時間が掛かっていたからか、単純に遠慮していたからか、いまいちその本来の実力を発揮しきれていなかったが、ここに来て本領発揮。プレーオフに向けてダッジ力のある貴重な戦力が補強されつつある。
ESPNのハイライト
2011年4月26日火曜日
NCAA 2011 Game Review vol.25 Virginia @Duke
4月18日に行われたACCのレギュラーシーズン、リーグ戦最終戦。
去年同様、シーズン当初のスローペースな立ち上がりから順調にプレーオフに向けて成長/ピーキングしてきているDukeが、ここに来てギクシャクし始めたVirginiaに13-11で勝利。
全体の感想
うーん、全体的に、Virginiaが引き続きグダグダ…どうした、マジで、Virginia…DFはLovejoyが怪我でいなくなってまたしてもZone。やはり大黒柱が抜けると一気にman-toの統制/連携が弱くなるということか。止むを得ずZoneという感じで、決して鉄壁ではない。
OFはQuarter Back(司令塔) ATの#6 Steele Stanwickが怪我で欠場し、全体的に気持ち悪い感じになっており、効率よく攻められていない。変にスペースの無い所で単発でダッジし、いまいちなシュートを打たされている。
Shamel/Rhamel Brattonは…シーズン後半に入ってどうも良くない。二人とも1試合に1-2点「うおっ!」というシュートを決めている。が、明らかにそれを帳消しにして余りある凡ミスや安いシュートでのターンオーバーを犯しまくっている…チームオフェンスのシステムや流れを自ら壊している感じを受ける。大変失礼だが、あまりチームプレーヤーではないのか?チームの駒になりきれていない…1 on 1を越えた所でのチームオフェンスのLacrosse IQがあんまり高くないのか?オフボールの動きとかスペースを作って上げる動き等をあんまし感じない...それをあまり意識せずにこれまでやって来た、ちやほやされて来たので、そういうところが鍛えられぬままここまで来てしまったのか?Shamelはシーズン当初Tewaaraton (MVP)候補筆頭とも言われていたのに、今や名前も挙らなくなってしまった...才能のある選手たちであるが故に今後に向けて変化して欲しいと感じる…
一方のDukeは落ち着いてZoneに対してPatientに効果的に責められている。シーズン当初のインタビューでCoach Danowskiが、今年のDukeは”The most athletic team I’ve ever had(今まで見てきたどのチームより身体能力が高い)”と言っていたが、その強みがここに来て一気に実を結び始めている。単純に、真っ向勝負で競り負けていない。GBやライドやクリアやトランジッションが極めて手堅く、OFもDFも個の強さを生かしながらも全体的にコンセプト/セオリーを理解して効率的に実行出来ている。地に脚の着いた非常にいいチームになってきている。彼のコーチ力/人間力/Social Skill/People Skillの高さの為せる業なんだろう。
個別のプレーでの見所
2Q Duke 7点目、怪我から復帰した#12 MF Justin Turriの相変わらずの縦振りの体重の乗ったbounce shot。
全体的にVirginia #34 MF Briggsが相変わらずエース級の活躍。もうBratton兄弟を差し置いてUVAの一枚目のMFになって来ている。技術的に非常にバランスが取れており、手堅い。派手さは無いが、ダッジもシュートも両手で確実にこなせる。非常にいい選手だ。フィジカルが、というか体幹が特に強い事が解る。Bratton brothersほどぶっちぎった爆発力を見せるわけじゃないが、鋭く切れの効いた動きで確実に効果的に崩し、得点している。シュートも、Shamelが場外ホームランか三振か、なら、Briggsはシングルヒットの3割打者。エリアシューティングを心がけ、枠内に確実にいいシュートを打てている。東大の現役選手が見て参考になるのはむしろこちらか。
試合中に解説で話されていた、DukeのHC Danowskiが、FOの勝敗を敢えてそのままカウントせずに、ATまでボールを運べた数をカウントしているという話が印象的。そもそもFO直後のポゼッションをしても、ATにまでボールが運べなければ意味が無い、という考え方の徹底。常識に捕われず、本当に大事な数字をチームで定義し、Key Performance Index (KPI: パフォーマンス管理指標)としてきちんとトラックすることで更にチームの中での意識付けを図るという賢さ、コーチ力の高さ。コーチとして学べる事が多過ぎる。この人は。
Duke 8点目、9点目を連続で決めた #26 MF Rotanzがひっそりと得点を積み重ねる。今日4点の大活躍。この辺の、去年は分厚い上級生の影に隠れて見えていなかった、実は身体能力も技術も高い連中が確実に存在していた事が解る。Time-and-room(日本で言う所のスタンディングシュート)でも、7割の力でoff-hip(ゴーリーの腰の横)のヤラしい所に正確に打って来ている。この辺の技術の高さ。非常に参考になる。
ESPNのハイライト
ILのハイライト
去年同様、シーズン当初のスローペースな立ち上がりから順調にプレーオフに向けて成長/ピーキングしてきているDukeが、ここに来てギクシャクし始めたVirginiaに13-11で勝利。
全体の感想
うーん、全体的に、Virginiaが引き続きグダグダ…どうした、マジで、Virginia…DFはLovejoyが怪我でいなくなってまたしてもZone。やはり大黒柱が抜けると一気にman-toの統制/連携が弱くなるということか。止むを得ずZoneという感じで、決して鉄壁ではない。
OFはQuarter Back(司令塔) ATの#6 Steele Stanwickが怪我で欠場し、全体的に気持ち悪い感じになっており、効率よく攻められていない。変にスペースの無い所で単発でダッジし、いまいちなシュートを打たされている。
Shamel/Rhamel Brattonは…シーズン後半に入ってどうも良くない。二人とも1試合に1-2点「うおっ!」というシュートを決めている。が、明らかにそれを帳消しにして余りある凡ミスや安いシュートでのターンオーバーを犯しまくっている…チームオフェンスのシステムや流れを自ら壊している感じを受ける。大変失礼だが、あまりチームプレーヤーではないのか?チームの駒になりきれていない…1 on 1を越えた所でのチームオフェンスのLacrosse IQがあんまり高くないのか?オフボールの動きとかスペースを作って上げる動き等をあんまし感じない...それをあまり意識せずにこれまでやって来た、ちやほやされて来たので、そういうところが鍛えられぬままここまで来てしまったのか?Shamelはシーズン当初Tewaaraton (MVP)候補筆頭とも言われていたのに、今や名前も挙らなくなってしまった...才能のある選手たちであるが故に今後に向けて変化して欲しいと感じる…
一方のDukeは落ち着いてZoneに対してPatientに効果的に責められている。シーズン当初のインタビューでCoach Danowskiが、今年のDukeは”The most athletic team I’ve ever had(今まで見てきたどのチームより身体能力が高い)”と言っていたが、その強みがここに来て一気に実を結び始めている。単純に、真っ向勝負で競り負けていない。GBやライドやクリアやトランジッションが極めて手堅く、OFもDFも個の強さを生かしながらも全体的にコンセプト/セオリーを理解して効率的に実行出来ている。地に脚の着いた非常にいいチームになってきている。彼のコーチ力/人間力/Social Skill/People Skillの高さの為せる業なんだろう。
個別のプレーでの見所
2Q Duke 7点目、怪我から復帰した#12 MF Justin Turriの相変わらずの縦振りの体重の乗ったbounce shot。
全体的にVirginia #34 MF Briggsが相変わらずエース級の活躍。もうBratton兄弟を差し置いてUVAの一枚目のMFになって来ている。技術的に非常にバランスが取れており、手堅い。派手さは無いが、ダッジもシュートも両手で確実にこなせる。非常にいい選手だ。フィジカルが、というか体幹が特に強い事が解る。Bratton brothersほどぶっちぎった爆発力を見せるわけじゃないが、鋭く切れの効いた動きで確実に効果的に崩し、得点している。シュートも、Shamelが場外ホームランか三振か、なら、Briggsはシングルヒットの3割打者。エリアシューティングを心がけ、枠内に確実にいいシュートを打てている。東大の現役選手が見て参考になるのはむしろこちらか。
試合中に解説で話されていた、DukeのHC Danowskiが、FOの勝敗を敢えてそのままカウントせずに、ATまでボールを運べた数をカウントしているという話が印象的。そもそもFO直後のポゼッションをしても、ATにまでボールが運べなければ意味が無い、という考え方の徹底。常識に捕われず、本当に大事な数字をチームで定義し、Key Performance Index (KPI: パフォーマンス管理指標)としてきちんとトラックすることで更にチームの中での意識付けを図るという賢さ、コーチ力の高さ。コーチとして学べる事が多過ぎる。この人は。
Duke 8点目、9点目を連続で決めた #26 MF Rotanzがひっそりと得点を積み重ねる。今日4点の大活躍。この辺の、去年は分厚い上級生の影に隠れて見えていなかった、実は身体能力も技術も高い連中が確実に存在していた事が解る。Time-and-room(日本で言う所のスタンディングシュート)でも、7割の力でoff-hip(ゴーリーの腰の横)のヤラしい所に正確に打って来ている。この辺の技術の高さ。非常に参考になる。
ESPNのハイライト
ILのハイライト
2011年4月25日月曜日
NCAA 2011 Game Review vol.24 Army @Navy
先々週にはWeek of Rivalryと呼ばれる、ラクロス界に歴史的に存在するライバル同士の激突が複数催された。Maryland-Hopkins、Duke-Virginia、そして、最後を締めるのが名物、Army vs Navy、即ち、陸軍士官学校対海軍士官学校。日本で言えば防衛大学の陸軍版vs海軍版。
個人的に、この試合は今年のBest boutの一つかも知れないと思う。スポーツとして、背景や魂も含めた一つのドラマとして。本当にRespectの念を感じざるを得ないライバル同士2チームの戦い。
両校の学生達は、実技もある相当ハードな一日を過ごした上、ラクロス部の練習をやると言う負荷の高い生活を送っている。
(ちなみに、アメリカならではの構造として、軍隊に能力が高くリーダーシップのある人材が集まるという現象がある。僕自身の会社の幹部候補生育成プログラムで一緒に入社した同期にも一人、陸軍出身で、イラクで戦車部隊の一個小隊を率いた後、MBAを取ってビジネスの世界に来ているアメリカ人の友人がいるが、人物的にも絵に描いたような尊敬出来る素晴らしいリーダーだったりする。こういう人が本当に大事な場面に精神的支柱となって人々を導くんだろうなと感じる。彼に限らず、結構な数の優秀な人材が軍を経由し、ビジネスの世界で活躍していたりする。このアメリカという国のリーダーシップ人材の層の厚さを如実に表す一つの例だと感じる。)
この試合も歴史ある伝統の一戦で、卒業生や家族も巻き込んで、毎年異様に盛り上がる。そして試合そのものも例年実力伯仲の接戦。去年も延長決着の熱い試合を繰り広げた。
今年も期待に恥じない名勝負。お互いの良さをフルに出し、プライド同士のぶつかり合い。
アメリカでNCAA Men's Lacrosseをフォローし始めてよーく解って来たが、実はこの辺の、リーグ戦の順位、プレーオフや準決勝/決勝とは別の、伝統のライバル同士の対戦が、非常に重要な意味を持つイベントであるという点。
NavyのHCもESPNU Podcastでのインタビューで名言していた。ぶっちゃけプレーオフに出られるかどうかは二の次。一年の中で最も大事な試合がこの伝統のNavy-Armyの試合だと。これに勝てればプレーオフがどうとか関係無いと。それだけの伝統と意味があると。(これ、結構凄いことっすよね?ライバルとの一戦が全てって言う。)
Navyが試合前に見た煽りV
この試合の意味、この試合に懸ける想いがうかがい知れる。冒頭のPep-talk(檄)が、マジで、激熱過ぎる。Any given Sundayのアル=パチーノの演説張りに。これ試合前に見たらクソ気合入る。
卒業後は海軍で、身体を張って、命を懸けて国の為に戦う事を前提とした学校。懸けている想いが違う。ここで全身全霊を注いで戦う事に、その後の人生への影響を及ぼす大きな大きな意味がある。聴いてるだけで鳥肌が立ち、目頭が熱くなるような、アドレナリンの蛇口をぶっ壊す様な熱すぎる言葉が並ぶ。
ここまでの気持ちでやるが故に、ルースボールへの執着心や、シュートに乗せる集中力が眼に見えて違う、という事になるんだろう。そして、そうやってここで全身全霊を懸けて、最後まで諦めずに全力で戦い抜く姿勢が、その後の人生で、軍役や社会で困難に遭遇しても、自分を支える自信、土台になっていくという事なんだろう。このラクロスというスポーツの持つ、もう一つの深く、大事な意味を教えてくれる。
こういうの見るとマジ痺れて今日も頑張るぜっ!と燃えられる。
試合の感想
試合を見て感じたのは、恐らくこの2チームの試合は東大の皆にとってはSyracuseやVirginiaやDukeの試合よりも参考になる気がする。それら上位チームのように、明らかにDNAが違い、技術的にもラクロス英才教育を受けて来た上澄みの選手達、という感じではなく、まだ普通のアスリートが、何らぶっ飛んだ技術に頼る事無く、超基本に忠実に、スタンダードな戦術で戦っている感じ。
大学入学時点の素材としては決して日本一ではない雑草集団の東大にとって、「魂/ハート」や「戦い方」の面でこれほど参考になるチームはなかなかいない。
決して世界最高峰のfantasticなラクロスを見られる訳ではない。泥臭さ満載。でも、それでも尚、見ている者を感動させるものを持っている。超教科書のように基本に忠実な技術/戦術だが、一方でミスが少なく、正確で、効率的。あと、シュートやダッジに力と魂が乗っていて、「ビシッ!!!」としている。何と言うか、そういう感じ。気持ちが乗ってる。両チームとも。試合見たらご理解頂けると思うが。決してちんたらやってない。
全体的に、特にNavyのラクロスが非常にチームベースで効率的な事が解る。得点のほとんどがパス/フィードからのフリーでのシュート。特にXからのオフボールでビートしたカットやポップにパスを当て込んでのシュートが多い。別にぶっちぎった身体能力や有り得ないスティックスキルをベースにしている訳では無く、真似出来る点が多い。スティックをほとんど両手で扱っている。
ちなみにArmy #2 Sr. AT Jeremy Boltusは優れたATで、如何せん試合放映数が少なかったため僕らが眼にする機会も少なかったが、現時点でTewaaraton候補の一人とも言われる。実際に、非常に基本がしっかりしており、巧い。フィードにシュートにダッジにと、この人はガチで巧い。Div 1トップクラスのATの一人だと感じる。
こうやって見ると去年ArmyがSyracuseを破ったのも、そんなに有り得ない事ではなかった事が解る。今年もPatriot Leagueを制すればArmyはまたPlay offに出てくる可能性がある。どう掻き回してくれるんだろうか。
ILハイライト
個人的に、この試合は今年のBest boutの一つかも知れないと思う。スポーツとして、背景や魂も含めた一つのドラマとして。本当にRespectの念を感じざるを得ないライバル同士2チームの戦い。
両校の学生達は、実技もある相当ハードな一日を過ごした上、ラクロス部の練習をやると言う負荷の高い生活を送っている。
(ちなみに、アメリカならではの構造として、軍隊に能力が高くリーダーシップのある人材が集まるという現象がある。僕自身の会社の幹部候補生育成プログラムで一緒に入社した同期にも一人、陸軍出身で、イラクで戦車部隊の一個小隊を率いた後、MBAを取ってビジネスの世界に来ているアメリカ人の友人がいるが、人物的にも絵に描いたような尊敬出来る素晴らしいリーダーだったりする。こういう人が本当に大事な場面に精神的支柱となって人々を導くんだろうなと感じる。彼に限らず、結構な数の優秀な人材が軍を経由し、ビジネスの世界で活躍していたりする。このアメリカという国のリーダーシップ人材の層の厚さを如実に表す一つの例だと感じる。)
この試合も歴史ある伝統の一戦で、卒業生や家族も巻き込んで、毎年異様に盛り上がる。そして試合そのものも例年実力伯仲の接戦。去年も延長決着の熱い試合を繰り広げた。
今年も期待に恥じない名勝負。お互いの良さをフルに出し、プライド同士のぶつかり合い。
アメリカでNCAA Men's Lacrosseをフォローし始めてよーく解って来たが、実はこの辺の、リーグ戦の順位、プレーオフや準決勝/決勝とは別の、伝統のライバル同士の対戦が、非常に重要な意味を持つイベントであるという点。
NavyのHCもESPNU Podcastでのインタビューで名言していた。ぶっちゃけプレーオフに出られるかどうかは二の次。一年の中で最も大事な試合がこの伝統のNavy-Armyの試合だと。これに勝てればプレーオフがどうとか関係無いと。それだけの伝統と意味があると。(これ、結構凄いことっすよね?ライバルとの一戦が全てって言う。)
Navyが試合前に見た煽りV
この試合の意味、この試合に懸ける想いがうかがい知れる。冒頭のPep-talk(檄)が、マジで、激熱過ぎる。Any given Sundayのアル=パチーノの演説張りに。これ試合前に見たらクソ気合入る。
卒業後は海軍で、身体を張って、命を懸けて国の為に戦う事を前提とした学校。懸けている想いが違う。ここで全身全霊を注いで戦う事に、その後の人生への影響を及ぼす大きな大きな意味がある。聴いてるだけで鳥肌が立ち、目頭が熱くなるような、アドレナリンの蛇口をぶっ壊す様な熱すぎる言葉が並ぶ。
- 自分たちは、この瞬間のためにこれまでやって来た。お前達は、今日、今夜、この瞬間に立ち合う事を運命付けられていたんだ。
- このチームに関して、一つだけ言える事は、このチームにとって、君たち一人一人、誰一人例外無く、その一人一人が、決して、絶対に欠く事の出来ないメンバーだという事。
- お前たちの隣にいる仲間の顔を見ろ。そいつの眼を覗き込め!そいつは、最後の1インチの為に自分を犠牲にする奴だろ?何故ならそいつはその1インチが最後の勝敗を分けると知ってるからだ。そして、お前自信も同じことをするだろ?最後の1インチを制するのは、その1インチの為に命を投げ出せる覚悟を持つ者だ。
- いいか?あいつ等をshut-downしてやろうぜ!俺たちにはそれくらい出来んだろ!
- これからの人生で、困難にぶつかる事もあるだろう。人々から指差されて「ダメだ」と否定される事もあるだろう。そんな時に大事なのは、どれだけ強く相手にぶつかれるかじゃない。どれだけ強くぶつかられても、それでも尚、立ち上がり、最後まで諦めずに前に進み続けられるかだ。
- ここからはお前たちの時間だぞ!フィールドに出て勝ちを掴み取ってやろうぜ!
ここまでの気持ちでやるが故に、ルースボールへの執着心や、シュートに乗せる集中力が眼に見えて違う、という事になるんだろう。そして、そうやってここで全身全霊を懸けて、最後まで諦めずに全力で戦い抜く姿勢が、その後の人生で、軍役や社会で困難に遭遇しても、自分を支える自信、土台になっていくという事なんだろう。このラクロスというスポーツの持つ、もう一つの深く、大事な意味を教えてくれる。
こういうの見るとマジ痺れて今日も頑張るぜっ!と燃えられる。
試合の感想
試合を見て感じたのは、恐らくこの2チームの試合は東大の皆にとってはSyracuseやVirginiaやDukeの試合よりも参考になる気がする。それら上位チームのように、明らかにDNAが違い、技術的にもラクロス英才教育を受けて来た上澄みの選手達、という感じではなく、まだ普通のアスリートが、何らぶっ飛んだ技術に頼る事無く、超基本に忠実に、スタンダードな戦術で戦っている感じ。
大学入学時点の素材としては決して日本一ではない雑草集団の東大にとって、「魂/ハート」や「戦い方」の面でこれほど参考になるチームはなかなかいない。
決して世界最高峰のfantasticなラクロスを見られる訳ではない。泥臭さ満載。でも、それでも尚、見ている者を感動させるものを持っている。超教科書のように基本に忠実な技術/戦術だが、一方でミスが少なく、正確で、効率的。あと、シュートやダッジに力と魂が乗っていて、「ビシッ!!!」としている。何と言うか、そういう感じ。気持ちが乗ってる。両チームとも。試合見たらご理解頂けると思うが。決してちんたらやってない。
全体的に、特にNavyのラクロスが非常にチームベースで効率的な事が解る。得点のほとんどがパス/フィードからのフリーでのシュート。特にXからのオフボールでビートしたカットやポップにパスを当て込んでのシュートが多い。別にぶっちぎった身体能力や有り得ないスティックスキルをベースにしている訳では無く、真似出来る点が多い。スティックをほとんど両手で扱っている。
ちなみにArmy #2 Sr. AT Jeremy Boltusは優れたATで、如何せん試合放映数が少なかったため僕らが眼にする機会も少なかったが、現時点でTewaaraton候補の一人とも言われる。実際に、非常に基本がしっかりしており、巧い。フィードにシュートにダッジにと、この人はガチで巧い。Div 1トップクラスのATの一人だと感じる。
こうやって見ると去年ArmyがSyracuseを破ったのも、そんなに有り得ない事ではなかった事が解る。今年もPatriot Leagueを制すればArmyはまたPlay offに出てくる可能性がある。どう掻き回してくれるんだろうか。
ILハイライト
2011年4月24日日曜日
NCAA 2011 Game Review vol.23 North Carolina @Lehigh
UNC Tarheelsの試合。今回は若干格下ながらも昇り調子にあるLehighが相手。
LehighのHCはKevin Cassese。Duke 03で02、06、2010年US代表MF。MLLでもトップクラスで活躍し、11US代表のHCを勤めている。30歳で。
LehighはPhillyとNYの間からちょい内陸。小さな学校。が、最近Canadianの有力プレーヤーを取り始め、急激に力を付けつつある。
が、さすがに相手はUNC。Heelsが力の差を見せつけて手堅く勝利。
見所というか印象に残っているのは...
全体的に、UNCが自分たちのやりたいラクロスをちょっと格下のチーム相手にしっかり実践出来ている。彼らのような若いながらもバランスの取れた強いチームの本来の姿を見て学びたいならいい材料かも。
あと、Lehighがcmobo-zoneで5人はzone、1枚マンツーというDFをしてるように見える。そして、確実にUNCがそれを攻略している。Zoneを攻める教科書としても使えるかも。
個々人の活躍としては...
相変わらずUNCの1年生軍団の1年生らしからぬ活躍っぷり。
Face-offerの#25 RG Keenanが格下FOer相手にその強みを炸裂。FOからの得点をいくつも生んでいる。
また、#34 AT Nicky Galassoがスーパー。視野がもう...。フィードもすげえし、シュートもすげえ。3Qの10点目とか飯食いながら吹き出しそうになった。なんであんなフィード出来んだ...?
ハイライト(リンク)
LehighのHCはKevin Cassese。Duke 03で02、06、2010年US代表MF。MLLでもトップクラスで活躍し、11US代表のHCを勤めている。30歳で。
LehighはPhillyとNYの間からちょい内陸。小さな学校。が、最近Canadianの有力プレーヤーを取り始め、急激に力を付けつつある。
が、さすがに相手はUNC。Heelsが力の差を見せつけて手堅く勝利。
見所というか印象に残っているのは...
全体的に、UNCが自分たちのやりたいラクロスをちょっと格下のチーム相手にしっかり実践出来ている。彼らのような若いながらもバランスの取れた強いチームの本来の姿を見て学びたいならいい材料かも。
あと、Lehighがcmobo-zoneで5人はzone、1枚マンツーというDFをしてるように見える。そして、確実にUNCがそれを攻略している。Zoneを攻める教科書としても使えるかも。
個々人の活躍としては...
相変わらずUNCの1年生軍団の1年生らしからぬ活躍っぷり。
Face-offerの#25 RG Keenanが格下FOer相手にその強みを炸裂。FOからの得点をいくつも生んでいる。
また、#34 AT Nicky Galassoがスーパー。視野がもう...。フィードもすげえし、シュートもすげえ。3Qの10点目とか飯食いながら吹き出しそうになった。なんであんなフィード出来んだ...?
ハイライト(リンク)
2011年4月23日土曜日
Michigan待望のNCAA Div 1入り
22日のILの記事で、遂に待望のMichiganのDiv 1入りが報じられた。(リンク)2012年のシーズン、つまり来年から(!)。
公式発表ではなく、いわゆるスクープ/すっぱ抜きの形。
この話は今シーズンの頭にがっつり書かせて頂いた通り。(記事のリンク)
タイミングが思ったよりも早かったのが衝撃。今年これから行われるMCLAのプレーオフで優勝を目指し、その直後からDiv 1チームとしての戦いが始まるということか。
記事のコメント欄では早速論争が。
個人的には全面的に応援したいという気持ちで、予想に関しては以前述べた通り。
公式発表ではなく、いわゆるスクープ/すっぱ抜きの形。
この話は今シーズンの頭にがっつり書かせて頂いた通り。(記事のリンク)
タイミングが思ったよりも早かったのが衝撃。今年これから行われるMCLAのプレーオフで優勝を目指し、その直後からDiv 1チームとしての戦いが始まるということか。
記事のコメント欄では早速論争が。
- ラクロスというスポーツにとっては間違いなくプラス。メジャー大学の参戦。
- 将来的には間違いなく競合になってくる。特に学校としてのacademicの強さやブランド。更にOhioやMinnesotaやIllinoisと言った中西部の新興地域の高校生タレントを独占出来る点。
- 一方で、アンチも存在しており、「あいつら強いって言われてるけど、そりゃMCLAの弱小校相手の話だろ?Div 1上位だときついだろ」とか、「コーチ陣が誰一人NCAA Div 1出身じゃねえだろ?無理だな」など。
個人的には全面的に応援したいという気持ちで、予想に関しては以前述べた通り。
- 現時点でのそのままの実力ではDiv 1で30位くらい。下位校には普通に勝つが、上位校には厳しい
- でも、数年でリクルーティングが一気に追いついて来て、20位以内には入ってくる。
- その後10位以内に定着出来るか、優勝争いに参加出来るかは、うーん、よくわからん…正直判断付かず。JPが本当にどれだけDiv 1で勝てるレベルのコーチなのか僕もよく理解してないので。
- でも、直感的に、MCLAという共通の条件の中でこれだけ強いチームを作れた訳で、コーチ/リーダーとしての力量は間違いなく突き抜けていることは証明済み。そして個人的には思った以上にそれらの資質はDiv 1でもapplicableだと思う。5-6年、そして10年というスパンで見ると、Memorial Day Weekend(Final 4)も全然有り得ない話じゃない気がする。これ完全に想像だが。もし、そうなってくれたら、スポーツ界を代表する超アチいシンデレラストーリーの一つという事になるだろう…うおおおGo Blue!!!
2011年4月22日金曜日
NCAA 2011 Game Review vol.22 Johns Hopkins @Madyland
クッソあちい。この試合。どんだけ名勝負製造機なんだ今年のNCAA Div 1は...って毎週書いてる自分がいるが、だってホントなんだもん...明らかに去年と比べて激熱な試合の出現率が上がっている。1-2点差、Over timeの試合が異様に多い。テレビで放映される試合がそうだってのもあるが、放映されてない試合も。明らかに上位15チームくらいが激しく拮抗しており、三すくみの団子状態みたいな勝敗の関係が多数出ている。正にParity(実力拮抗)の時代。
にしても、Hopkins...インプレッシブ過ぎるだろ...マジで想像を越えて来るこのチームは...決して完璧じゃない。まだまだ穴はある。でも、10人のスタメンのうち8人が1-2年生のチームだぞ?と。ATにも2年がいて、MFは1stは2年2人+1年。2ndも主軸は2年。DFも2年2人+1年。Gも2年。で、現時点で3位。ってことは...来年再来年、確実に優勝候補筆頭に躍り出て来ると言う事だ。ついに過去2年落ちぶれていたHopkins復権の時が見えて来た。明確に。
実はこのHopkins-Maryland、ラクロス界最大のRivalry(ライバル関係)。100年以上続く伝統の一戦。長きに渡るアメリカンフィールドラクロスの総本山Maryland州に拠点を置く2チーム。小さな私立大学Hopkinsと大型州立総合大学Marylandという関係。70-80年代のHopkins全盛期にはHopkinsが圧倒。去年はMDが一点差で勝利。
今年超アッチい名勝負に。というか過去の百数試合の中でも指折りの名勝負なんじゃないだろうか。雨の振る中の激闘。前半はMDが得意の波状攻撃で先制。後半Hopkinsがハートの強さと地力で追いつき、最後は一進一退の攻防に。OTのEMOでJHU 4年の#42 AT Kyle Whartonがクイッとヒッチのシュートフェイクから一本中に切り込んで鬼の左シュートを突き刺し、ゴールから雨水をスプレーの様にバッ!と飛び散らせて超カッコいいフィニッシュ。感動した。
いくつか印象に残った点は...
JHUがガチンコ真っ向勝負を挑んだ。若いJHUはシーズン初期、特にSyracuse戦等で見られたように、敢えてタイトにconservativeに、スローペースの試合展開を心がけていた様に見えるが、ここの所、Virginia戦の勝利、今回のMaryland戦と、スローダウンを過度に狙うことなく、真っ向から走り合いでぶつかりに行き、力で勝っている。すげえ。ガチで。
両チーム4年生のハートの強さ。大事な場面で4年生たちが気持ちで決めている。強くてしなやかな揺らがぬメンタルで、過去のミスや未来の勝敗/結果に捕われる事無く、今やるべき事に集中し、大きなセルフイメージを最後まで維持し、競った大事な場面でこそ自分たちの実力をしっかり発揮してきている。スポーツ心理学の教科書として非常に見習いたいと感じた。
個別のプレーで特に印象に残った点
後半3QJHU 3点目のMF #31 John Ranaganの肩を当ててのフィードto Chris Boland。ぶつかってからの身体の使い方が上手い。敢えてDFとの接触を避けるのではなく。
4Q JHU #45 AT Zach PalmerのBTBのロングシュート。有り得ねえ。完全にNLL。Carcaterra曰く「Are you kidding me!?」超インドアラクロス。こういうCanadianの器用なポイントゲッターが一枚いると本当に全く違う。
MD 10点目#27 Ryan Youngキャプテンの気合い。気持ちで決める。
MD 11点目同点弾。今シーズンここまで怒濤の活躍で得点でチームを引っ張る#19 OFMF Joe Cummings、マジか。もう解説とか要らねえだろと。
ESPNのハイライト(リンク)
ILハイライト
にしても、どっちが勝っても全くおかしく無い試合だった。Play offで再戦することになったとしたら全く解らない。両チームFinal 4に進んでくる可能性は十分にある。プレーオフがいよいよ楽しみになって来た。
にしても、Hopkins...インプレッシブ過ぎるだろ...マジで想像を越えて来るこのチームは...決して完璧じゃない。まだまだ穴はある。でも、10人のスタメンのうち8人が1-2年生のチームだぞ?と。ATにも2年がいて、MFは1stは2年2人+1年。2ndも主軸は2年。DFも2年2人+1年。Gも2年。で、現時点で3位。ってことは...来年再来年、確実に優勝候補筆頭に躍り出て来ると言う事だ。ついに過去2年落ちぶれていたHopkins復権の時が見えて来た。明確に。
実はこのHopkins-Maryland、ラクロス界最大のRivalry(ライバル関係)。100年以上続く伝統の一戦。長きに渡るアメリカンフィールドラクロスの総本山Maryland州に拠点を置く2チーム。小さな私立大学Hopkinsと大型州立総合大学Marylandという関係。70-80年代のHopkins全盛期にはHopkinsが圧倒。去年はMDが一点差で勝利。
今年超アッチい名勝負に。というか過去の百数試合の中でも指折りの名勝負なんじゃないだろうか。雨の振る中の激闘。前半はMDが得意の波状攻撃で先制。後半Hopkinsがハートの強さと地力で追いつき、最後は一進一退の攻防に。OTのEMOでJHU 4年の#42 AT Kyle Whartonがクイッとヒッチのシュートフェイクから一本中に切り込んで鬼の左シュートを突き刺し、ゴールから雨水をスプレーの様にバッ!と飛び散らせて超カッコいいフィニッシュ。感動した。
いくつか印象に残った点は...
JHUがガチンコ真っ向勝負を挑んだ。若いJHUはシーズン初期、特にSyracuse戦等で見られたように、敢えてタイトにconservativeに、スローペースの試合展開を心がけていた様に見えるが、ここの所、Virginia戦の勝利、今回のMaryland戦と、スローダウンを過度に狙うことなく、真っ向から走り合いでぶつかりに行き、力で勝っている。すげえ。ガチで。
両チーム4年生のハートの強さ。大事な場面で4年生たちが気持ちで決めている。強くてしなやかな揺らがぬメンタルで、過去のミスや未来の勝敗/結果に捕われる事無く、今やるべき事に集中し、大きなセルフイメージを最後まで維持し、競った大事な場面でこそ自分たちの実力をしっかり発揮してきている。スポーツ心理学の教科書として非常に見習いたいと感じた。
個別のプレーで特に印象に残った点
後半3QJHU 3点目のMF #31 John Ranaganの肩を当ててのフィードto Chris Boland。ぶつかってからの身体の使い方が上手い。敢えてDFとの接触を避けるのではなく。
4Q JHU #45 AT Zach PalmerのBTBのロングシュート。有り得ねえ。完全にNLL。Carcaterra曰く「Are you kidding me!?」超インドアラクロス。こういうCanadianの器用なポイントゲッターが一枚いると本当に全く違う。
MD 10点目#27 Ryan Youngキャプテンの気合い。気持ちで決める。
MD 11点目同点弾。今シーズンここまで怒濤の活躍で得点でチームを引っ張る#19 OFMF Joe Cummings、マジか。もう解説とか要らねえだろと。
ESPNのハイライト(リンク)
ILハイライト
にしても、どっちが勝っても全くおかしく無い試合だった。Play offで再戦することになったとしたら全く解らない。両チームFinal 4に進んでくる可能性は十分にある。プレーオフがいよいよ楽しみになって来た。
2011年4月21日木曜日
Zone DFの時代 vol.02 IL Podcast MD HC John Tillman
先日のESPNU Podcastに続き、IL PodcastでMaryland HCのJohn Tillmanに同様にZone DFに対する質問をしており、いくつか学べる点があったと感じたので紹介。(リンク)
Marylandの様に分厚いタレントがOFに揃い、Run & gunと積極的なセットオフェンスを信条とするチームは正にZone DFを敷くべき格好の相手であるケースが多い。そして、Harvardを率いていた、高いコーチ力に定評のある彼ならではの冷静な見立てが非常に印象的だった。
以下、コメントのうち印象に残っているもの。
Marylandは今シーズンを通して既に7試合でZone DFに遭遇
しかも相手によっては一試合の中でもZoneの種類をいろいろ変えてくる。
ただ、Zoneはぶっちゃけ自分たちMDにとってはよりやり易いという認識を持っている。
Marylandの様に分厚いタレントがOFに揃い、Run & gunと積極的なセットオフェンスを信条とするチームは正にZone DFを敷くべき格好の相手であるケースが多い。そして、Harvardを率いていた、高いコーチ力に定評のある彼ならではの冷静な見立てが非常に印象的だった。
以下、コメントのうち印象に残っているもの。
Marylandは今シーズンを通して既に7試合でZone DFに遭遇
しかも相手によっては一試合の中でもZoneの種類をいろいろ変えてくる。
- 1Qに3つの違うZone DFに出くわした事も。
- (→なるほど、そんなことあったのか...試合を見ていてもそこまで細かいシステムの違いには気付かなかった...)
- 例えばUNCはHC Joe Breschiの下訓練された効果的なZoneを敷いて来る。
- (彼自身の出身校であり、以前率いていた)Navyは逆にガチンコ勝負の男のman-to-manが自分たちにとってのベストだと考えてるし、それにプライドを持っている(これはこれでカッコよくはある。生き様として。他のチームがどうやるかは別として、自分たちとして何がベストかを最もよく理解した上での選択)
ただ、Zoneはぶっちゃけ自分たちMDにとってはよりやり易いという認識を持っている。
- 自分たちがより主導権を持って試合のペースや流れをコントロール出来るので。
- (→まあ、それだけ対策をしているし、心の準備も出来ているということなんだろう。試合を見た感じ、これはあながち嘘ではない気がする。もちろんman-to-manと対峙した時のMarylandとは違い、トランジッションの数も減るし、ペースも遅くなるが、だからと言って必ずしも彼らの場合単純に良さが消されて弱くなっている、という感じには見えない。単純に違うスタイルで時間を掛けて点を取るだけなので。)
- 動揺しちゃったり、苦手意識を持っちゃったり、焦っちゃったりという、「自分自身の心の揺らぎ」が結局一番の敵、そして相手の狙い。
- そうなると、自分が積極的に切り込んだり、シュートを打ったり、自分から積極的に自分のプレーをすることが出来なくなるから。
- (→もちろん、裏を返せば、OFとしてもそれだけ予想/準備しておくことが大事ってことなんだろうけど)
2011年4月20日水曜日
Zone DFの時代 vol.01 ESPN Lacrosse Podcast 4/12
ESPN Lacrosse PodcastでQuintがまたしても超タイムリーに皆が気になってる事をコーチ達に聴いていてくれたので紹介。これ、今までのPodcastの中でも特にintellectuallyクソ面白い。(リンク)
今シーズンが始まってTVや会場で試合を見ていて「おやっ?」と思わされた/非常に気になったのが、Zone DFの隆盛。Hopkins、North Carolinaなど若いチームに加え、Virginiaまでもが積極的にZone DFを使い始めており、それ以外にもかなり多くのチームがZoneを採用している。そして、実際にそれがかなり効果的に働いているという話。僕自身現役時代にZoneに対峙する機会は正直余り無かった事もあり、知的好奇心を強くくすぐられたので。
どうでしょ、既に7-8年日本のラクロスの試合観戦から遠ざかってしまっているので、どうなっているのか全く肌感覚で理解していないが、日本も少なからず似たような傾向があったりするんじゃないだろうか?
インタビューされているのは、Hopkins HC Coach Petro (Dave Pietramala)、Denver HC Bill Tierney (元Princetonで6回優勝)、VMI (Virginia Military Institute) HC Brian Anken。Quintがいい質問を投げまくって、HC達がZone DFをどう見てるのかをがっつり訊き倒している。特に、Why?の部分の分析が恐ろしく面白い。
仮説だが、この辺のZone DFがポピュラーになっている裏にあるメカニズムを理解すると、今後5年10年の時間軸で大局的な流れを見ると、(今後ルールやスティックの構造が大きく変わったりしない限り)これはどう考えても今後Zoneが効果を発揮し、より頻繁に使われるという大きな流れは進む事こそあれ、戻るとは考えにくい。ファンにとっていいか悪いか、選手として楽しいかどうかは別として、間違い無く勝つための手段としては重要さを増し、ますますラクロスの基本/日常に食い込んで行く気がする。議論のために敢えてExtremeなシナリオを考えるなら、場合によってはZoneの方がMan-toよりもメインストリームになって来る事すら考え得る。
以下、3人の言っている事をメッセージドリブンで構造化。
現象面で起こっている事① Zone DFの異常な程の隆盛
現象面で起こっている事② 更に、進化し続けている
何故Zone DFをやるのか?:DF側の目的/意図
何故Zone DFが盛んになっているのか?:その背後にある環境要因/環境変化
OF側の変化
DF側の変化
環境面の変化
Zoneの流行により、結果として起こっている事
試合のペースの変化
また、試合の勝敗に於ける戦術/コーチの重みが増え、選手個々人の能力の重みが相対的に軽くなるという側面も
また、面白い所では、高校レベルでも特に上位チームでは採用され初めていることにより、リクルーティングする大学チームとしては個々の選手の本当の能力の見極めが難しくなっているという悩ましさも生じているという...(逆にZoneをしっかり出来る賢いDF、Zoneをしっかり攻略出来るmatureなOFを見極めるという点では意味があるとも言えるが...それはどっちかというとtrainableな側面が強いので、純粋な素材としての能力を見極めるという意味ではやはり悩ましい...)
OFの視点:Zone DF攻略法
今シーズンが始まってTVや会場で試合を見ていて「おやっ?」と思わされた/非常に気になったのが、Zone DFの隆盛。Hopkins、North Carolinaなど若いチームに加え、Virginiaまでもが積極的にZone DFを使い始めており、それ以外にもかなり多くのチームがZoneを採用している。そして、実際にそれがかなり効果的に働いているという話。僕自身現役時代にZoneに対峙する機会は正直余り無かった事もあり、知的好奇心を強くくすぐられたので。
どうでしょ、既に7-8年日本のラクロスの試合観戦から遠ざかってしまっているので、どうなっているのか全く肌感覚で理解していないが、日本も少なからず似たような傾向があったりするんじゃないだろうか?
インタビューされているのは、Hopkins HC Coach Petro (Dave Pietramala)、Denver HC Bill Tierney (元Princetonで6回優勝)、VMI (Virginia Military Institute) HC Brian Anken。Quintがいい質問を投げまくって、HC達がZone DFをどう見てるのかをがっつり訊き倒している。特に、Why?の部分の分析が恐ろしく面白い。
仮説だが、この辺のZone DFがポピュラーになっている裏にあるメカニズムを理解すると、今後5年10年の時間軸で大局的な流れを見ると、(今後ルールやスティックの構造が大きく変わったりしない限り)これはどう考えても今後Zoneが効果を発揮し、より頻繁に使われるという大きな流れは進む事こそあれ、戻るとは考えにくい。ファンにとっていいか悪いか、選手として楽しいかどうかは別として、間違い無く勝つための手段としては重要さを増し、ますますラクロスの基本/日常に食い込んで行く気がする。議論のために敢えてExtremeなシナリオを考えるなら、場合によってはZoneの方がMan-toよりもメインストリームになって来る事すら考え得る。
以下、3人の言っている事をメッセージドリブンで構造化。
現象面で起こっている事① Zone DFの異常な程の隆盛
- 上述の通り、今年のNCAA Div 1でも頻繁に目にするように。身体能力に優れスピードのあるACCのチームですら採用。(→感覚値だが、今年のTV放映されている試合の3分の1以上で、どちらかのチームがZone DFを試合の全体または一部で採用しているイメージを受ける。)
- 今まででは考えられなかった事だが、高校レベルでも結構定石の戦術として頻繁に登場するようになって来ているとの事。
- で、いずれのケースでも、実際に効果を発揮している。試合に勝っているケースもあるし、仮に勝ってはいなくても、本来であれば大差で負けていた試合を僅差に持ち込む事に成功している。
- 昨年のMLL All Starでの、10 US代表対MLL All Starの試合でも、即席寄せ集めのMLLチームが当然Man-to-manのシステムや連携など望むべくもなく、やむを得ずZoneを採用。そしたらそれが普通にハマってしまい、US代表と接戦を演じる事に
現象面で起こっている事② 更に、進化し続けている
- 既存の教科書的Zone DFだけではなく、いろんなバリエーションが生まれている
- Combo、つまり、Man-to-manとZoneを組み合わせたり
- Zoneだけど、ちょっとトリッキーなエリア分担/カバーの仕方をしたり
- 使い方も、一試合通してではなく、状況や局面に応じていきなりZoneに切り替えたり、やめたり、数種類の違うゾーンを使い分けたりと、自在にスイッチ
- (→特に試合を見ていると、大事な場面でTime out後にZoneにし、それを見たOFチームが再度TOを取り対策を練り、そしたらその隙にDFがまた違うZoneにしてて、みたいな駆け引きが結構見られる。)
- 90年代以降NCAAラクロスの戦術をリードして来た元Princeton/現DenverのBill Tierneyですら見た事の無いZoneと遭遇すると言っていた
何故Zone DFをやるのか?:DF側の目的/意図
- 危険な位置でのどフリーを作らせない。特に、抜けて点を取れる強力なOF選手が複数人いるチームと対峙する時に。Man-toだと確実にカモられるマッチアップが複数箇所生じるような場合でも、Zoneなら全員でカバーするので、どフリーを防げる
- 試合のペースを抑えて、トランジッションを減らし、ロースコアな展開に。同じく、明らかに身体能力/得点力で敵わない相手に対し。(→なので、当然、Syracuse、Virginia、Marylandに対してZoneを採用するチームが多い)
- オフェンスのスピード/テンポを抑えて、(若い/経験で劣る)自チームに落ち着く暇を与える
- より短期的/局所的に、「目先を変える/相手を混乱させる」。単純にOFが「おっ?違うことやってきてるぞ?」と立ち止まったり「俺Zone苦手なんだよなー...」と揺らいだりさせる
- 相手に「考えさせる」。このBill Tierneyの話、非常に示唆深いと感じた。よく、練習や試合で上手く行かなかったOFの選手と話す時に選手が「I think...(だって、こう考えたんですよね...)」と答えた時に「Don't think! Just play!」と言ったりする。(フィールドの外で左脳を使って効率的に上手くなる事は大事だが)実際に試合ではいちいち理屈で考えてたら上手く行かない。実戦のフィールドの上では、これまで練習や経験で培って来たものをベースにして、下手に大脳で考えるのではなく、本能の赴くままに、ナチュラルに、流れに乗っかってプレーするのが結局一番スピード/テンポが生まれて上手く行く。逆にZone DFではそれを断ち切り、相手に「考えさせる」効果がある。考える事で個々の選手の本来の良さが発揮出来なくする
- (→これ、完全に個人的な想像の域を出ないが、恐らく日本でも日体大や早稲田など体育推薦系のナチュラルアスリートが多いチームなどには特に当てはまる部分が多いんじゃないかと想像する。)
何故Zone DFが盛んになっているのか?:その背後にある環境要因/環境変化
OF側の変化
- 一番大きい要因として、OF選手の個々人の攻撃力の向上。そして、その層が分厚くなっていること。一人で確実にマークマンを抜け、更にスライド1-2枚交わせ、かなり正確で速いシュートを打てる選手が6人フィールドにいる、という状況が多く生まれて来ている。
- 裏にあるスティック形状の進化。Curving head/offset、及びPinch(細くシェイプすること)が突き詰められた結果、ボールダウンさせるのがほぼ不可能になって来ている。
- OF選手たちのサイズのアップ、身体能力の向上、も勿論ある。Hopkinsの#42 Kyle WhartonやMarylandの#1 Grant Catalinoのようなでかくてかなり動けるATたちや、Paul Rabil、Hopkins #31 John Ranaganみたいな違う生物/ビースト感満載のウルトラアスリートが結構ごろごろいる世界。
- 結果、昔のように、詰めてチェックしたり、抜かれてトレイルチェックして落とすと言う事が極めて難しくなり、(よっぽど相手OFと力の差があるのでない限り)それをやる事がリスクを取り過ぎたダメなDF、と言うことになってしまった。
- 従って、DFとしては、とにかくどの一人に対しても、「スカ抜き」/完全なフリーを与えたく無い、与えたらオシマイな状況になりつつある
- 特に、今年のMarylandの様に、上級生が多く、攻撃力の高いAT/OFMFが分厚い上に経験値も高いチームなどは尚更
- (→NCAA Divほどcompetitionが突きつけ詰められている訳ではない日本でも少なからず似た状況はあるんじゃないだろうか?)
DF側の変化
- 昔に比べてサイズが大きくて、機動力の高いathleticなDFが増え、個々人が物理的にカバー出来る守備範囲が大きくなりつつある事。これにより、Zoneの隙間が生まれにくくなった。(→UNC#24 FlanaganやNotre Dame #35 Ridgwayなど、2m級の超動ける手堅い人々がいい例)
- Goalieの平均レベルが向上し、シュートに対して準備出来てさえいれば、外から、または薄い角度からののシュートをかなり確実に防げるようになった事。これにより、Zoneでとにかく至近距離/どフリーで打たせないことにフォーカスし、外から/薄い角度から積極的に打たせた方がより高い確率で止められる、という状況に。
環境面の変化
- 人工芝(アメリカ的に言うとAstro turf)が増えた事により、また芝生のグラウンドであっても昔のようにボロボロの土のグラウンドが減ったため、伝統的にZone DF破りとされて来たロングシュートに於いて効果的なイレギュラーバウンドを意図的に狙ったバウンドショットが余り効かなくなって来た。Goalieも人工芝でシュート練習を十分に積んでいる結果、バウンドショットをほとんどノーバウンドのシュートと同じ様に軌道を予想して止められるようになりつつある。
Zoneの流行により、結果として起こっている事
試合のペースの変化
- 少しだけトランジッションでリスクを取って点を取りに行くため、トランジッションでの点が増える(これはファンにとっては楽しい事)
- 確実に6 on 6のペースが遅くなり、set offenseでの得点数が減る(これはファンにとっては残念なこと)
- 結果、試合全体のペースが一段遅くなり、総得点数が減る(確実に残念)
また、試合の勝敗に於ける戦術/コーチの重みが増え、選手個々人の能力の重みが相対的に軽くなるという側面も
また、面白い所では、高校レベルでも特に上位チームでは採用され初めていることにより、リクルーティングする大学チームとしては個々の選手の本当の能力の見極めが難しくなっているという悩ましさも生じているという...(逆にZoneをしっかり出来る賢いDF、Zoneをしっかり攻略出来るmatureなOFを見極めるという点では意味があるとも言えるが...それはどっちかというとtrainableな側面が強いので、純粋な素材としての能力を見極めるという意味ではやはり悩ましい...)
OFの視点:Zone DF攻略法
- 現実的に、ペースは遅くなるし、やりたい事が出来なくなったり、強い個が一人で得点を作る、と言う事がやりにくくなる。
- 経験が薄いと、メンタルに動揺したり、焦ったり、(DFの狙い通り)「考え過ぎてしまう」という事が起こりうる。
- 特に高校時代までスター選手としてガンガン相手を抜いて得点して来たような若いOF選手の中には強いストレス/フラストレーションを感じるケースも。(→超想像つく...)
- が、大事なのは、テンポとゴールへの攻撃性は犠牲にする必要は無く、維持する事。一方で、Patientにやること。もう一歩多くパスを繋ぐ、とか、本当に確度の高いシュートを打てるまで我慢するとか、時間をじっくり掛けてやる覚悟を持つ事。
- Zone DFも決して無敵じゃないし、万能じゃない。必ず弱点がある。そこを攻めるのがコーチの役目。
- もし通常のZoneと違うトリッキーなZoneと遭遇したら、しっかりコーチと選手が様子を見て、見極めて、攻めどころを見つけること。
2011年4月19日火曜日
NCAA 2011 Game Review vol.21 Georgetown @Notre Dame
クイックにアップデート。週末にDukeがVirginiaを破った。CornellはSyracuseに勝つし、DenverはDukeに勝つし、UNCはMarylandに勝つけどDukeとVirginiaに負けて、もう、何が何だか全くわっげわがんね。な感じになって来た…気が付けば無敗はNDだけ。でもNDは強いチームはDukeとしかやっておらず、Georgetownなどとも僅差のゲームを演じており、30日のSyracuse戦がどうなるかもわからない。もう、ひっちゃかめっちゃかの超混戦状態に突入してきた。ぶっちゃけ、どこが優勝するのかもうよう解らん感じになって来た。マジで。
(僕が個人的に一番実力見合いで正しいと思っている)QuintのBest 20とその解説。
なんで今年はこんな事になっちゃってるんだろうか?さくっと5分頭を使ってみる。
+++++++++++++++++++++++++++++
NDは開幕戦のDuke以来の放映。ここまでSyracuseと並び、負け無しで堂々の2位(これ書いたのSyracuseがCornellに負ける前)。Georgetownは結構危険な相手。
一言で言うとこの試合はDFとGの教科書。マンツーでシステムでしっかり守る。タイトにパックして、スティックアップし、スライド、スライドのスライド、その後のカバーまでしっかりやり、とにかく徹底して危険なエリアでシュートを打たせない。遠い所、角度の無い所からのシュートのみに限定し、Goalieがきっちりセーブする。
DFのMLL指名組二人、#35 Kevin Ridgway、#32 Sam Barnesがでかいし、きっちりしてるし、攻められん...Goalieの#1 John Kempが、去年のScott Rodgersの穴を十分に埋める活躍をしている。異様に落ち着いてるし、手堅い。
もしかしたらDFはSyracuseより上、NCAA Div 1最強かも知れないと感じる。毎回5-6点に抑えている。そりゃよっぽどOFがこけなきゃ負けやしないよなと。
全体的にNDのATが去年から比べても明らかに成長している事が感じられる。去年までは分厚いMFに比べるとATは穴、と言う感じだったが、今年は結構ATも危険な感じになってきている。
MFは相変わらずMLL上位指名組の#33 David Earlと#28 Zack Brennemanのコンビが柱。特にEarlのversatility(マルチプレーヤー)っぷりが相変わらず尊敬に値する。守って、拾って、走って、点取って。コーチとしては是非とも手元に置いておきたい一人。
NDが手堅く勝利して無敗を守る。4月30日(土)のSyracuse戦が無敗同士の長上決戦。Tournament決勝の前哨戦になる可能性が濃くなって来た。
ILのハイライト
(僕が個人的に一番実力見合いで正しいと思っている)QuintのBest 20とその解説。
なんで今年はこんな事になっちゃってるんだろうか?さくっと5分頭を使ってみる。
- 大前提としての、トップ校以外の中堅校/下位校の実力のここ数年での急激な底上げ(特にDenverとか。UNCもある意味)。また、トップレベルの10校の実力が、限界まで突き詰められ、今のルール/仕組みを前提として一大学チームが強くなる事が出来る飽和点に近づきつつある事。5-10年前までは、そうは言ってもCuse, Hops, UVAは別格、みたいなのがあったが、上位10チームがかなり近いレベルにまで、理屈上大学4年間で到達し得る限界まで突き詰めきりつつある。そしてその裏にあるキッズ/ジュニアレベルでの爆発的競技人口拡大と実力向上。これは今年に限らずロングタームでの構造的変化。そしてこのレバーの持つインパクトがおそらく一番大きい気がする。
- 次に、これまた高校レベルの質/量が上がったことによって生じている現象だが、1-2年生が入学して1-2年にチームの戦力にかなり大きなインパクトを与えるようになってしまっている。要は高校までにかなり選手として完成された状態で入ってきている。これにより予想がやりにくくなり、弱いチームが次の年に一気に強くなるということが頻繁に起こっている。
- それと、もう一つ勝敗や順位を読みにくくしている要因として、怪我の影響。UVAのDF LovejoyやUNCのHolmesやMF陣、HofstraのSerlingなど、シーズン開幕前に戦力としてカウントされていた主力が抜けたりすると、ごっそり戦力が落ちたりしている。これはさすがに読めない。Quintが以前、互いにフィジカルを高め合っている結果、試合でのコンタクトや動きが更に激しくなり、怪我のリスクが上がっていると指摘していた。(自分達がウェイトしてるから怪我すると言ってる訳じゃなく、相手がウェイトをしてるからこっちが怪我し易くなってるという話。で、それを防ぐためにこっちもウェイトしっかりやって、結果お互い突き詰める結果お互いの怪我のリスクが上がるって言う。まあ、コンタクトスポーツとしてのあるべき姿だ。)
+++++++++++++++++++++++++++++
NDは開幕戦のDuke以来の放映。ここまでSyracuseと並び、負け無しで堂々の2位(これ書いたのSyracuseがCornellに負ける前)。Georgetownは結構危険な相手。
一言で言うとこの試合はDFとGの教科書。マンツーでシステムでしっかり守る。タイトにパックして、スティックアップし、スライド、スライドのスライド、その後のカバーまでしっかりやり、とにかく徹底して危険なエリアでシュートを打たせない。遠い所、角度の無い所からのシュートのみに限定し、Goalieがきっちりセーブする。
DFのMLL指名組二人、#35 Kevin Ridgway、#32 Sam Barnesがでかいし、きっちりしてるし、攻められん...Goalieの#1 John Kempが、去年のScott Rodgersの穴を十分に埋める活躍をしている。異様に落ち着いてるし、手堅い。
もしかしたらDFはSyracuseより上、NCAA Div 1最強かも知れないと感じる。毎回5-6点に抑えている。そりゃよっぽどOFがこけなきゃ負けやしないよなと。
全体的にNDのATが去年から比べても明らかに成長している事が感じられる。去年までは分厚いMFに比べるとATは穴、と言う感じだったが、今年は結構ATも危険な感じになってきている。
MFは相変わらずMLL上位指名組の#33 David Earlと#28 Zack Brennemanのコンビが柱。特にEarlのversatility(マルチプレーヤー)っぷりが相変わらず尊敬に値する。守って、拾って、走って、点取って。コーチとしては是非とも手元に置いておきたい一人。
NDが手堅く勝利して無敗を守る。4月30日(土)のSyracuse戦が無敗同士の長上決戦。Tournament決勝の前哨戦になる可能性が濃くなって来た。
ILのハイライト
2011年4月18日月曜日
NCAA 2011 Game Review vol.20 North Carolina @Virginia
NCAAラクロス、ホント凄いっす...名勝負製造機過ぎ。また感動した...最後はドキドキしっ放しで心拍数上がり過ぎ、ビール飲みながら見ていたが、緊張感が凄過ぎて頭痛くなった。
シーズンプレビュー
試合の感想
意外にも、UVAがZone DFを採用。不安のあるDF陣の中でも柱として頑張っていた#40 DF 3年生 Matt Lovejoyが肩の怪我&手術で離脱し今シーズンを終了。更にDFが危ぶまれる中での作戦か。試合ではそれがハマり、UNCも若干攻めあぐねる。
ちなみに、解説でも指摘されているが、本来卓越したフィジカルと速いトランジッションが売りのACC(Atlantic Coast Conference)の4チーム(Virginia, Maryland, North Carolina, Duke)。ほとんどの場合ガチンコ勝負のman-to-man DFで勝負することが多い。が、今年は若手主体のチームが多いこともあり、Zone DFを採用しまくっている。で、実際にことごとく上手く行っている(man-toでやるよりも勝つ確率を上げられている)。このZoneの多用と攻略が今年のNCAAの大きなトレンドでもあり、勝利の鍵になりつつある。もうバスケと同様にラクロスでもZoneは中学生でも知っている戦術の定石になりつつあるんだなと感じる。
最後にUNCが残り5秒で追いつき、OTへ。最後はCavs #6 Stanwickが相手のDFが雨で湿ったグラウンドで脚を滑らせた隙を見逃さずきっちり決めて締める。
以下、個別のプレーで印象に残っている点
2Q UVA 2点目。#10 Chris Bockletのクリースでの得点、シュートまで早過ぎ。この試合では再び危険なクリース職人としての存在感を存分に発揮。狭いスペースで隙を付いて裏を取り、一瞬で正確なシュートを決める必殺仕事人スタイルで活躍。
前半集力直前のUVA #34 MF Colin Briggsの5点目。スタターステップだけで相手を完全に倒す。ここに来てBriggsがstep upしまくり、Shamel/Rhamel Bratton以上にエースMFになって来ている。ダッジやシュートの種類は違うが、より確実にどこからでも攻められる点、抜いた後のシュート/パスの幅が広い点が魅力。
4Q Virginia #3 Rhamelの8点目。Dで取ってから独走、そのままスプリットで左。で決める。マジな話、両手使えるし、DFもトランジッションも全部やり、実はShamelよりも弟のRhamelの方がversatile(いろいろ出来る)じゃねえかってことがどんどん解って来た。これを見ると、実はMLLに入って確実に重宝されるのは実はShamelじゃなくてRhamelかもな、という気もして来た。
UNC 9点目、EMO Face off でのUNC #25 1年生 FOGO RG Keenanの、後ろへ掻き出しながらのノールックパス。コミュニケーションと状況把握力。Face offerとしてはこういう技術も持っておきたい。
UNC #2 Holmesの10点目、終了5秒前の同点弾。最後のプレッシャーのある場面で落ち着いてMultiple fakes。
シーズン初期に不安定さを見せていたUNC Goalieの#19 2年のRastivoがこの数試合で明らかに変化しつつあり、今回もスーパーセーブを連発しまくり、Virginiaの度重なる厳しいシュートを防ぎ、本来であれば大差で負けていた試合を接戦に持ち込んでいる。NCAA Div 1のゴーリーは本当にレベルが高く、層が厚い。
ESPNのハイライト(リンク)
ILのハイライト
シーズンプレビュー
試合の感想
意外にも、UVAがZone DFを採用。不安のあるDF陣の中でも柱として頑張っていた#40 DF 3年生 Matt Lovejoyが肩の怪我&手術で離脱し今シーズンを終了。更にDFが危ぶまれる中での作戦か。試合ではそれがハマり、UNCも若干攻めあぐねる。
ちなみに、解説でも指摘されているが、本来卓越したフィジカルと速いトランジッションが売りのACC(Atlantic Coast Conference)の4チーム(Virginia, Maryland, North Carolina, Duke)。ほとんどの場合ガチンコ勝負のman-to-man DFで勝負することが多い。が、今年は若手主体のチームが多いこともあり、Zone DFを採用しまくっている。で、実際にことごとく上手く行っている(man-toでやるよりも勝つ確率を上げられている)。このZoneの多用と攻略が今年のNCAAの大きなトレンドでもあり、勝利の鍵になりつつある。もうバスケと同様にラクロスでもZoneは中学生でも知っている戦術の定石になりつつあるんだなと感じる。
最後にUNCが残り5秒で追いつき、OTへ。最後はCavs #6 Stanwickが相手のDFが雨で湿ったグラウンドで脚を滑らせた隙を見逃さずきっちり決めて締める。
以下、個別のプレーで印象に残っている点
2Q UVA 2点目。#10 Chris Bockletのクリースでの得点、シュートまで早過ぎ。この試合では再び危険なクリース職人としての存在感を存分に発揮。狭いスペースで隙を付いて裏を取り、一瞬で正確なシュートを決める必殺仕事人スタイルで活躍。
前半集力直前のUVA #34 MF Colin Briggsの5点目。スタターステップだけで相手を完全に倒す。ここに来てBriggsがstep upしまくり、Shamel/Rhamel Bratton以上にエースMFになって来ている。ダッジやシュートの種類は違うが、より確実にどこからでも攻められる点、抜いた後のシュート/パスの幅が広い点が魅力。
4Q Virginia #3 Rhamelの8点目。Dで取ってから独走、そのままスプリットで左。で決める。マジな話、両手使えるし、DFもトランジッションも全部やり、実はShamelよりも弟のRhamelの方がversatile(いろいろ出来る)じゃねえかってことがどんどん解って来た。これを見ると、実はMLLに入って確実に重宝されるのは実はShamelじゃなくてRhamelかもな、という気もして来た。
UNC 9点目、EMO Face off でのUNC #25 1年生 FOGO RG Keenanの、後ろへ掻き出しながらのノールックパス。コミュニケーションと状況把握力。Face offerとしてはこういう技術も持っておきたい。
UNC #2 Holmesの10点目、終了5秒前の同点弾。最後のプレッシャーのある場面で落ち着いてMultiple fakes。
シーズン初期に不安定さを見せていたUNC Goalieの#19 2年のRastivoがこの数試合で明らかに変化しつつあり、今回もスーパーセーブを連発しまくり、Virginiaの度重なる厳しいシュートを防ぎ、本来であれば大差で負けていた試合を接戦に持ち込んでいる。NCAA Div 1のゴーリーは本当にレベルが高く、層が厚い。
ESPNのハイライト(リンク)
ILのハイライト
2011年4月17日日曜日
NCAA 2011 Game Review vol.19 Cornell @Harvard
感想を一言で表すとすると、アメリカのラクロスって本当にレベル高いな...だ。そして、NCAA Div 1は本当にparity(戦力均衡)の時代に入っているということ。
Harvardは現時点で20位以上のランキングに入っていない、所謂unrankedチーム。皆さんもさすがに名前は聴いた事ぐらいあるであろう、所謂学問的な名門大学。Cornellと同じIvy Leagueで、恐らく学問的なハードルと負荷ではCornell、Princetonを凌いで最も重いと思われる。
にも関わらず、非常にいいラクロス選手がいるし、非常にいいラクロスをしている。6位のCornell相手に一進一退の展開、試合終了直前に同点に追いつき、最後の最後に突き放されるまで追いつめた。
Rob Pannell対策のDF、固いCornellのDFに対する攻めや個々人の技術等、非常にいい物を持っている。
今回の試合、東大の選手の皆が見て学べるという意味では恐らくいつものSyracuse、Virginia、Duke辺りのnatural-bornエリートアスリート集団のチームに比べると多いと感じる。
サイズも一回り現実的で、身体能力も決して低くないが、DNA的に異次元、というよりも、ウェイトトレーニングで作り込んで来ているという感じ。(Syracuseでよく見るような)口あんぐりなファンタスティックなスティックスキルを見せる訳では無いが、ミスも少なく、鋭いシュートも頻発させ、非常に手堅い技術を見せている。
今シーズンのTewaaraton Trophy Winner (MVP)候補筆頭のCornell #3 Rob Pannell (Jr.)は、Harvardのベタ付きシャットアウト等の対策でいまいち目立てず、この試合では惜しくも枠から外れてしまったシュートが多かったため、数字上いつものような活躍はしていないが、一方でやはり動きとして参考になるものが多かった。
特にトレードマークのcome aroundからトップスピードを維持しながらのfade away/または垂直に上に飛び上がる形でのjump shotは感動的。全く動きを止める事無く、超クイックモーションで流れるように瞬間的にかなり正確で速いシュートを打っている。トップスピードで走りながらなので、DFが全くプッシュやチェック出来ず、一切止めようが無い。加えて、ロールしたり中に切り込んで来たりという動きをしていないので、スライドで潰そうにも潰す暇が無い。仮にウルトラ早めスライドで潰しに行ったら視野とステップワークとスティックスキルを生かして危険なフィードを投げられる。
冬のオフシーズンに雪の舞う極寒のIthacaでこのシュートの動きを何度も何度も反復して練習しまくってきたであろうことが伺い知れる。ATの選手は是非見てみて下さいな。これが使えると相当怖い選手になれるはず。ゴールから離れる方向のベクトル/運動エネルギーを、何らかの形でそのままクイッと真逆の方向のシュートに乗せている。下半身や体幹が相当強いのと、柔軟性が高く、加えて身体の使い方を徹底して磨き込んでいる事が解る。
Quintは去年彼を14年US代表候補だと言い、その時僕はぶっちゃけ「はにゃ?まあ、いい選手だけど...そこまで凄かったっけ?」と思ったが、「ワタクシが間違っておりました...申し訳ございませんでしたっ!」と平謝りに謝らざるを得ない感じになって来た。このレベルにあって進化/成長が止まらない。恐ろしい選手だ。本当に。
Harvardは現時点で20位以上のランキングに入っていない、所謂unrankedチーム。皆さんもさすがに名前は聴いた事ぐらいあるであろう、所謂学問的な名門大学。Cornellと同じIvy Leagueで、恐らく学問的なハードルと負荷ではCornell、Princetonを凌いで最も重いと思われる。
にも関わらず、非常にいいラクロス選手がいるし、非常にいいラクロスをしている。6位のCornell相手に一進一退の展開、試合終了直前に同点に追いつき、最後の最後に突き放されるまで追いつめた。
Rob Pannell対策のDF、固いCornellのDFに対する攻めや個々人の技術等、非常にいい物を持っている。
今回の試合、東大の選手の皆が見て学べるという意味では恐らくいつものSyracuse、Virginia、Duke辺りのnatural-bornエリートアスリート集団のチームに比べると多いと感じる。
サイズも一回り現実的で、身体能力も決して低くないが、DNA的に異次元、というよりも、ウェイトトレーニングで作り込んで来ているという感じ。(Syracuseでよく見るような)口あんぐりなファンタスティックなスティックスキルを見せる訳では無いが、ミスも少なく、鋭いシュートも頻発させ、非常に手堅い技術を見せている。
今シーズンのTewaaraton Trophy Winner (MVP)候補筆頭のCornell #3 Rob Pannell (Jr.)は、Harvardのベタ付きシャットアウト等の対策でいまいち目立てず、この試合では惜しくも枠から外れてしまったシュートが多かったため、数字上いつものような活躍はしていないが、一方でやはり動きとして参考になるものが多かった。
特にトレードマークのcome aroundからトップスピードを維持しながらのfade away/または垂直に上に飛び上がる形でのjump shotは感動的。全く動きを止める事無く、超クイックモーションで流れるように瞬間的にかなり正確で速いシュートを打っている。トップスピードで走りながらなので、DFが全くプッシュやチェック出来ず、一切止めようが無い。加えて、ロールしたり中に切り込んで来たりという動きをしていないので、スライドで潰そうにも潰す暇が無い。仮にウルトラ早めスライドで潰しに行ったら視野とステップワークとスティックスキルを生かして危険なフィードを投げられる。
冬のオフシーズンに雪の舞う極寒のIthacaでこのシュートの動きを何度も何度も反復して練習しまくってきたであろうことが伺い知れる。ATの選手は是非見てみて下さいな。これが使えると相当怖い選手になれるはず。ゴールから離れる方向のベクトル/運動エネルギーを、何らかの形でそのままクイッと真逆の方向のシュートに乗せている。下半身や体幹が相当強いのと、柔軟性が高く、加えて身体の使い方を徹底して磨き込んでいる事が解る。
Quintは去年彼を14年US代表候補だと言い、その時僕はぶっちゃけ「はにゃ?まあ、いい選手だけど...そこまで凄かったっけ?」と思ったが、「ワタクシが間違っておりました...申し訳ございませんでしたっ!」と平謝りに謝らざるを得ない感じになって来た。このレベルにあって進化/成長が止まらない。恐ろしい選手だ。本当に。
2011年4月15日金曜日
NCAA 2011 Game Review vol.18 Syracuse @Princeton
90年代から00年代前半に頂点を争い続けた名門2校の激突。ここまで多くの接戦を制し、全勝街道を走るSyracuse(この記事書いたの先週末…)に対し、Princetonは主力の怪我にも泣かされ、現時点ではランク外にまで落ちてしまっている。
両チームのシーズンプレビュー
またしてもZone DFに直面するSyracuse。明確にPrincetonはZoneでタイトにタイトにクリースをパックし、penetrationに対して常に誰かがカバーし、厳しい角度/距離からしかシュートを打たせず、確実に強いGの#6 Tyler Fiorito (Jr.)がセーブする、という作戦。試合のペースを落とし、Syracuseの大好きなトランジッションゲームを封じることに成功している。
1Q Cuse 3点目。#11 LSM Joel Whiteのクリア後のクリースの#28 AT Stephen Keoghへのバウンドパスによるフィード、得点。完全にバスケの2 on 2のカットとパスの動き。ロングスティックに限らずパスが咄嗟に出来ると強い。
2Q Syracuse 4点目。#4 Jeremy Thompsonの1 on 1で背中でDを背負いながらクリースのKeoghに後ろ向きにサクッとフィードして得点。重心を落として、しっかり視野を取って、シュートプレッシャーを掛けながら。背中の使い方が上手い。Jeremyのラクロス引き出しの多さが垣間見える。
相変わらず#11 Joel Whiteの中盤での貢献度が凄い。GBを拾って走るだけで確実にシュートまでの形を作れている。
3Q終了直後にPrincetonスーパー1年生 #22 MF Tom Schreiber(トム=シュライバー)の鋭いシュートで5-5の同点に。ラクロス名門一家出身のSchriber。一年生にして完全にPrincetonの主砲に。ガキの頃からの練習量が半端ない事が一目で解る。貰ってからシュートまでの引き出しの多さと精度/スピード。両手で早く、速く正確なを決めてくる。でもまだ1年生...高校からのアジャストが最も大変とされるMFでここまで活躍出来ている1年生はほとんど見た事がない。
そのまま5-5同点のまま4Q7分まで。PrincetonのZoneがハマり攻めあぐねるCuse。ここで#28 AT Keoghがクリースの高い位置で貰った瞬間即打ちの速く正確なシュートを突き刺し、6-5。この人のクラッチシューターっぷりは凄まじい。厳しい展開になればなるほど輝く。Canadian Lacrosseの真骨頂。今に集中するメンタルの揺らがなさ。普段over handで打ちがちなのを敢えてスティック軌道を下げて打ち、G Fioritoをdip(下に反応)させて、上に突き刺すパターン。
全体を通してPrinceton Goalie #6 Tyler Fiorito (Jr.)のセーブがやはり凄い。しかし、Syracuse #15 Galloway、Hpokins #33 Bassettと言い、NCAAには本当にこの辺の才能があり、努力家系のperfectionistゴーリーがゴロゴロしている。Goalieのレベルが本当に高いと感じる。
試合の流れをコントロールすること、「勝ちきる」こと、という技術
にしても、Syracuseの今年のこれまでの試合を見て非常に感じるが、意外にも必ずしも毎回ボロ勝ちしている訳では無い。結構1-2点差の試合をしているし、試合の前半まで負けてたりする試合もある。
が、確実に毎回後半に追いつき、逆転し、勝っている。(という話を書いたら今週Cornellに負けちゃったけど…)
毎回見ていて学ぶべきだなと感じるのが、試合の最後にリードした局面で、徹底してボールを回してキープしきる姿勢/戦術/技術。シュートを打てば入るような場面でも敢えて打たずに、とにかくトランジッションをさせないという徹底度合い。(それでも時々ボール取られちゃったりしてるが、要は意図/徹底度として。)
ここにラクロスというスポーツの特殊性を感じる。ショットクロックが無く、得点後は毎回フェイスオフというニュートラルから再開し、ポゼッションが簡単に入れ替わらず、数秒あれば得点出来てしまうというゲーム。
つまり、確率論で考えると、実はシュートを打って、決めようが決めなかろうが、一度でも相手にポゼッションを与えてしまえば、理屈上、失点、FO取られる、失点、FO取られる、という形で、同点/逆転を許す可能性が生じてしまう。
それを熟知した上で、残り3-5分からは徹底してポゼッションを守るモードに入っている。非常に合理的。
全体的にこの「リードを守りきり、リスクを最小化して、勝つ確率を最大化する」という考え方、技術がアメリカのラクロス全体に共通して、日本よりも明らかに高い/洗練されている気がする。アメリカラクロスコミュニティ全体として、幾多の試合を経て、年月を経て、統計的/経験的にそっちの方が勝てる事をよく理解しているんだろう。そして、そのためにはどうすればいいのかを度重なるトライアルアンドエラーを繰り返して技術と洗練し、DNAに刷り込ませてきているんだろう。まあ、小学校低学年の頃からNCAAとかMLL/NLLとか見て、真似してりゃそら骨の髄まで叩き込まれるわな。その手の勝ちきる技術、試合を設計/コントロールする技術。
ESPNのハイライト(リンク)
ILのハイライト
両チームのシーズンプレビュー
またしてもZone DFに直面するSyracuse。明確にPrincetonはZoneでタイトにタイトにクリースをパックし、penetrationに対して常に誰かがカバーし、厳しい角度/距離からしかシュートを打たせず、確実に強いGの#6 Tyler Fiorito (Jr.)がセーブする、という作戦。試合のペースを落とし、Syracuseの大好きなトランジッションゲームを封じることに成功している。
1Q Cuse 3点目。#11 LSM Joel Whiteのクリア後のクリースの#28 AT Stephen Keoghへのバウンドパスによるフィード、得点。完全にバスケの2 on 2のカットとパスの動き。ロングスティックに限らずパスが咄嗟に出来ると強い。
2Q Syracuse 4点目。#4 Jeremy Thompsonの1 on 1で背中でDを背負いながらクリースのKeoghに後ろ向きにサクッとフィードして得点。重心を落として、しっかり視野を取って、シュートプレッシャーを掛けながら。背中の使い方が上手い。Jeremyのラクロス引き出しの多さが垣間見える。
相変わらず#11 Joel Whiteの中盤での貢献度が凄い。GBを拾って走るだけで確実にシュートまでの形を作れている。
3Q終了直後にPrincetonスーパー1年生 #22 MF Tom Schreiber(トム=シュライバー)の鋭いシュートで5-5の同点に。ラクロス名門一家出身のSchriber。一年生にして完全にPrincetonの主砲に。ガキの頃からの練習量が半端ない事が一目で解る。貰ってからシュートまでの引き出しの多さと精度/スピード。両手で早く、速く正確なを決めてくる。でもまだ1年生...高校からのアジャストが最も大変とされるMFでここまで活躍出来ている1年生はほとんど見た事がない。
そのまま5-5同点のまま4Q7分まで。PrincetonのZoneがハマり攻めあぐねるCuse。ここで#28 AT Keoghがクリースの高い位置で貰った瞬間即打ちの速く正確なシュートを突き刺し、6-5。この人のクラッチシューターっぷりは凄まじい。厳しい展開になればなるほど輝く。Canadian Lacrosseの真骨頂。今に集中するメンタルの揺らがなさ。普段over handで打ちがちなのを敢えてスティック軌道を下げて打ち、G Fioritoをdip(下に反応)させて、上に突き刺すパターン。
全体を通してPrinceton Goalie #6 Tyler Fiorito (Jr.)のセーブがやはり凄い。しかし、Syracuse #15 Galloway、Hpokins #33 Bassettと言い、NCAAには本当にこの辺の才能があり、努力家系のperfectionistゴーリーがゴロゴロしている。Goalieのレベルが本当に高いと感じる。
試合の流れをコントロールすること、「勝ちきる」こと、という技術
にしても、Syracuseの今年のこれまでの試合を見て非常に感じるが、意外にも必ずしも毎回ボロ勝ちしている訳では無い。結構1-2点差の試合をしているし、試合の前半まで負けてたりする試合もある。
が、確実に毎回後半に追いつき、逆転し、勝っている。(という話を書いたら今週Cornellに負けちゃったけど…)
毎回見ていて学ぶべきだなと感じるのが、試合の最後にリードした局面で、徹底してボールを回してキープしきる姿勢/戦術/技術。シュートを打てば入るような場面でも敢えて打たずに、とにかくトランジッションをさせないという徹底度合い。(それでも時々ボール取られちゃったりしてるが、要は意図/徹底度として。)
ここにラクロスというスポーツの特殊性を感じる。ショットクロックが無く、得点後は毎回フェイスオフというニュートラルから再開し、ポゼッションが簡単に入れ替わらず、数秒あれば得点出来てしまうというゲーム。
つまり、確率論で考えると、実はシュートを打って、決めようが決めなかろうが、一度でも相手にポゼッションを与えてしまえば、理屈上、失点、FO取られる、失点、FO取られる、という形で、同点/逆転を許す可能性が生じてしまう。
それを熟知した上で、残り3-5分からは徹底してポゼッションを守るモードに入っている。非常に合理的。
全体的にこの「リードを守りきり、リスクを最小化して、勝つ確率を最大化する」という考え方、技術がアメリカのラクロス全体に共通して、日本よりも明らかに高い/洗練されている気がする。アメリカラクロスコミュニティ全体として、幾多の試合を経て、年月を経て、統計的/経験的にそっちの方が勝てる事をよく理解しているんだろう。そして、そのためにはどうすればいいのかを度重なるトライアルアンドエラーを繰り返して技術と洗練し、DNAに刷り込ませてきているんだろう。まあ、小学校低学年の頃からNCAAとかMLL/NLLとか見て、真似してりゃそら骨の髄まで叩き込まれるわな。その手の勝ちきる技術、試合を設計/コントロールする技術。
ESPNのハイライト(リンク)
ILのハイライト
2011年4月13日水曜日
NLL 2011 Game Review vol.10 Washington Stealth @Toronto Rock
去年の決勝の再戦。これまたレベルの高いインドアの試合が堪能出来た。延長決着の好ゲーム。
Torontoは相変わらずDもいいし#7 Colin Doyle、#13 Garrett Billings、#17 Stephan Leblankらの質の高いCanadian Lacrosse。
Washington Stealthは今年初めて見るが、前半苦戦していたがここに来て持ち直しつつある。エースの#42 Lewis Ratcliffが引き続き牽引。#9 Paul RabilがNLL 3年目でいよいよインドアにアジャストしきり、主力にのし上がって来ている。
Livestreamでのリプレー
Torontoは相変わらずDもいいし#7 Colin Doyle、#13 Garrett Billings、#17 Stephan Leblankらの質の高いCanadian Lacrosse。
Washington Stealthは今年初めて見るが、前半苦戦していたがここに来て持ち直しつつある。エースの#42 Lewis Ratcliffが引き続き牽引。#9 Paul RabilがNLL 3年目でいよいよインドアにアジャストしきり、主力にのし上がって来ている。
Livestreamでのリプレー
Watch live streaming video from washingtonstealth at livestream.com
2011年4月12日火曜日
NCAA 2011 Game Review vol.17 Syracuse vs Duke
Konica Minolta Face Off Classicの2試合目。いやいや、もう。Syracuse凄いっすよ。ホント。もうひたすら楽しむしかないと。13-11でSyracuse勝利、だが、実際には3Qまでは完全にSyracuseが圧倒。4Qに経験を積ませるために下級生を多くフィールドに立たせたり、軽い捻挫の#40 DF John Ladeを下げたりして連続得点で追いつかれたが、完全に横綱相撲。
ここまでFace Off Classicで2試合、Big City Classicで2試合を会場で観戦して来たが、その全てが極めて満足度の高いものだった。レベルも高く、エンターテインメントとしても全て1-2点差の手に汗握る展開。ILとESPNのチームは本当に強いコンテンツを作り出す事に成功している。これを見ると、本当にこのスポーツの持つ止まる事を知らない勢いに改めて納得させられる。
両チームのシーズンプレビュー
以下、印象に残った点。
試合前のQuintのコメント。Coach Desko曰く、Syracuseにとって、「トランジッションはDNAに刷り込まれている」。ガンガントランジッションし、fast break、broken/unsettled situationで点を取りまくるのが彼らのスタイルだと。
Syracuseのいつもの4年生7人侍はいちいち書くまでもなく大活躍。
1Q残り4分で#11 LSM Joel Whiteが見せるグラウンドボールの技術。混んだ状態で一回外にかき出し、拾って、再度転がし、フリーで拾う。その他試合を通して彼の中盤での貢献度の高さが群を抜いている。GBの強さ、トランジッションでの切り替えの早さ、その後の機動力、フロントコートでのアシスト/シュート、それを裏付ける卓越したスティックスキル。高校までショートスティックでU-19にもShortyで強力なオフェンスの選手として参加しているだけあり、ほとんどショートスティックのようにロングポールを扱っている。てか、多分通常のロングスティックよりちょっとスティック短いかな?ロングとショートの間の長さにしている気がする。彼がでかいからそう見えるだけか?Close DF (ボトム)ではなく、トランジッションやGB、オフェンスで付加価値の大半を生む彼のようなタイプのLSMであれば、スティックの長さを敢えて多少捨てて、機動力/扱い易さを取るのは非常に合理的な選択。
今シーズンのNCAAから変更されたルールの一つに、ハイヒット、特にHelmet to helmetと呼ばれる首から上へのヒットに対するファウルに対する超厳格なペナルティがある。Youtubeを通じて広まった、Billy Bitterら相手エースへの意図的ハイヒットにより相手エースを物理的に潰した方が試合に勝つ上では有利に働くと言う歪んだ経済合理性が働いてしまっていたため。今シーズンは審判協会が意思を込めて明らかに厳しめに取り、加えて悪質な物は2分以上のMan downという、かなり厳しい裁定に変更されている。が、まだ審判も線引きに苦労しているらしく、また実際には肩で当たっている物までファウルを取られてしまっており、選手側が相当やりにくそうにしている。解説でも「これじゃあサッカーになっちゃうぞ?ラクロスの本当の良さが削がれる可能性」と指摘。
前半Syracuseのクリエイティブで爆発力のあるオフェンスが炸裂。ショータイム。オフェンスの選手たちが広くアシスト/得点しており、一部のエースに依存せずに非常に効率的に攻められている。
Dukeは去年1年生優勝ゴーリーになった、#4 G Dan Wigrizerが明らかに調子が悪い。去年から指摘されていた、身体が固くなり過ぎていること、メンタルに揺らいでいる事、下に読み過ぎて上に決められる、という全ての悪い面がまた出ている。恐らくセルフイメージがどんどん小さくなるという悪循環に陥ってしまっている。誰か正しいスポーツサイコロジーの基本、今に集中、変化を見る、相手や環境じゃなく自分、等のセルフイメージをコントロールする術を教えてあげた方がいい気が...まあでもDukeだからそのくらいはやってるか...まだ2年生なので、これから改善して行く所なのかも。
Duke HC John Danowski (Matt Danowskiの親父)が試合中ファウルした選手に、「いいか、今のはこう当たるんじゃなくて、こう当たるべきだ」と、細かい基本の部分を試合中に個別に指導している姿がまた映っている。この人は本当に細やかに、基本を大事にし、それを個々人に対してきちんとacknowledgeし、愛情を掛ける事で育てて行くというスタイルを徹底している。コーチ力/Social Skillの高さを相変わらず感じさせる。
正ゴーリーとして既に二度の優勝を経験し、この試合で歴史上最多勝利Goalieの称号を手にした、Cuse #15 G John Gallowayが相変わらずperfectionistゴーリーとしての凄さを見せている。セーブは勿論なのだが、裏への/裏からのパスへのカット、セーブ直後のロングパス、速攻のシュートが外れた直後のチェイスなど、セーブ以外の周辺技術への意識の配り方/徹底度が極めて高い事が伝わって来る。恐らく何度も何度も自分でフィードバックして、一歩でも勝ちに繋がる可能性を上げるためにはどうすればいいのかをひたすら4年間徹底してきたなれの果てなんだろう。上手く行かなかった時の悔しがり方が物凄い。相当に負けず嫌いで完璧主義者なんだろう。帰ってビデオを見直して修正してくるはず。
Quintたちが指摘していたのが、やはりCuse #40 DFのJohn Ladeの凄さ。如何せんでかくてガンガンボールダウンさせるタイプではないため、映像で見ていても目立たないし、ボールダウン数等の数字で見えにくい。が、実は物凄いDFという話。ここまでの7-8試合でLadeが着いて来たVirginiaの#6 Steele Stanwickら相手エースATが、ことごとく0-2ポイント(得点+アシスト)に抑えられ、それまで得点源だった相手がことごとくその試合だけ存在がほぼゼロにまで消えるという現象が起こっている。相手のエースの存在を消し去る「Eraser(消しゴム、または消去職人、みたいな)」の称号が定着して来ている。し、渋過ぎる...
Cuse #23 Jovan Millerがまたしても安定した活躍。この人は間違い無くMLLでも貢献するだろう。下級生時代にDFMFで経験を積み、上級生になってエースOFMFになり、去年から今年に掛けてダッジ/シュート、特にオフハンドの右手のシュートにも磨きが掛かっている。特に3Q 10点目のスプリットから右のrunning jumping shotなどは完璧過ぎて芸術品の域に達している。
11点目、Canadianラクロスの体現者#28 AT Stephen Keoghがクリースで超スペースの無い状況でAround the Worldで得点。相変わらずクリースの仕事人、ファンタジスタ過ぎる。これ今年のベストゴール候補に入って来る気がする。
Duke #31 AT 1年生のJordan Wolfが、Ladeに着かれながらも気合いで活躍している。ベストDF相手にひるむ事なく、スピードで時々勝っている。すげえ一年生だ。師匠のJohnny Christmas(VirginiaでAll American & 優勝、MLL/NLL)曰く、Mikey Powell以来のスピードダッジャーだと。確かに。これを見ると頷ける。Max Quinzaniの後継者と言われていたが、越える可能性も感じさせる。
3Q終了間際のCuse #22 2年 JoJo Marascoの振り向き様の左手での12ヤードshot。一気に眼が覚めた。彼あんまし今まで見せて無かったけど、シュート鬼過ぎる。
全体を通して、Cuse #19 3年 DFMFのKevin Drewの貢献が大きいように見える。大きく、バスケでも有力選手で、Physicalが強く、短距離のスピードで言えばJoel White以上だと言う。下手なLSMよりも固いDF。ShortyのDFでこれだけ守れる選手がいると相当DFが楽になる。彼とJoel Whiteの2枚がいるので、相手MFは相当攻めにくくなる。分厚いオフェンスの印象が強いSyracuseの隠れた強みは実はこの辺の身体能力/機動力のかなり高いトランジッションやDFMFの選手をしっかり抑えられている点。08、09年の優勝を支えた#3 Matt Abbottを思い出させる。
ILのハイライト...にしても、1週間経った今改めて見ても、「むあじかっ!?」と目ぇ見開かされるプレーが多すぎる…超ピンポイントだけど、2:46のJoJo to Jovanのフィードの前の、ダッジ時に一度片手になってから両手に戻る異様な早さ。これ重要。明らかに意識してやっている。
ここまでFace Off Classicで2試合、Big City Classicで2試合を会場で観戦して来たが、その全てが極めて満足度の高いものだった。レベルも高く、エンターテインメントとしても全て1-2点差の手に汗握る展開。ILとESPNのチームは本当に強いコンテンツを作り出す事に成功している。これを見ると、本当にこのスポーツの持つ止まる事を知らない勢いに改めて納得させられる。
両チームのシーズンプレビュー
以下、印象に残った点。
試合前のQuintのコメント。Coach Desko曰く、Syracuseにとって、「トランジッションはDNAに刷り込まれている」。ガンガントランジッションし、fast break、broken/unsettled situationで点を取りまくるのが彼らのスタイルだと。
Syracuseのいつもの4年生7人侍はいちいち書くまでもなく大活躍。
1Q残り4分で#11 LSM Joel Whiteが見せるグラウンドボールの技術。混んだ状態で一回外にかき出し、拾って、再度転がし、フリーで拾う。その他試合を通して彼の中盤での貢献度の高さが群を抜いている。GBの強さ、トランジッションでの切り替えの早さ、その後の機動力、フロントコートでのアシスト/シュート、それを裏付ける卓越したスティックスキル。高校までショートスティックでU-19にもShortyで強力なオフェンスの選手として参加しているだけあり、ほとんどショートスティックのようにロングポールを扱っている。てか、多分通常のロングスティックよりちょっとスティック短いかな?ロングとショートの間の長さにしている気がする。彼がでかいからそう見えるだけか?Close DF (ボトム)ではなく、トランジッションやGB、オフェンスで付加価値の大半を生む彼のようなタイプのLSMであれば、スティックの長さを敢えて多少捨てて、機動力/扱い易さを取るのは非常に合理的な選択。
今シーズンのNCAAから変更されたルールの一つに、ハイヒット、特にHelmet to helmetと呼ばれる首から上へのヒットに対するファウルに対する超厳格なペナルティがある。Youtubeを通じて広まった、Billy Bitterら相手エースへの意図的ハイヒットにより相手エースを物理的に潰した方が試合に勝つ上では有利に働くと言う歪んだ経済合理性が働いてしまっていたため。今シーズンは審判協会が意思を込めて明らかに厳しめに取り、加えて悪質な物は2分以上のMan downという、かなり厳しい裁定に変更されている。が、まだ審判も線引きに苦労しているらしく、また実際には肩で当たっている物までファウルを取られてしまっており、選手側が相当やりにくそうにしている。解説でも「これじゃあサッカーになっちゃうぞ?ラクロスの本当の良さが削がれる可能性」と指摘。
前半Syracuseのクリエイティブで爆発力のあるオフェンスが炸裂。ショータイム。オフェンスの選手たちが広くアシスト/得点しており、一部のエースに依存せずに非常に効率的に攻められている。
Dukeは去年1年生優勝ゴーリーになった、#4 G Dan Wigrizerが明らかに調子が悪い。去年から指摘されていた、身体が固くなり過ぎていること、メンタルに揺らいでいる事、下に読み過ぎて上に決められる、という全ての悪い面がまた出ている。恐らくセルフイメージがどんどん小さくなるという悪循環に陥ってしまっている。誰か正しいスポーツサイコロジーの基本、今に集中、変化を見る、相手や環境じゃなく自分、等のセルフイメージをコントロールする術を教えてあげた方がいい気が...まあでもDukeだからそのくらいはやってるか...まだ2年生なので、これから改善して行く所なのかも。
Duke HC John Danowski (Matt Danowskiの親父)が試合中ファウルした選手に、「いいか、今のはこう当たるんじゃなくて、こう当たるべきだ」と、細かい基本の部分を試合中に個別に指導している姿がまた映っている。この人は本当に細やかに、基本を大事にし、それを個々人に対してきちんとacknowledgeし、愛情を掛ける事で育てて行くというスタイルを徹底している。コーチ力/Social Skillの高さを相変わらず感じさせる。
正ゴーリーとして既に二度の優勝を経験し、この試合で歴史上最多勝利Goalieの称号を手にした、Cuse #15 G John Gallowayが相変わらずperfectionistゴーリーとしての凄さを見せている。セーブは勿論なのだが、裏への/裏からのパスへのカット、セーブ直後のロングパス、速攻のシュートが外れた直後のチェイスなど、セーブ以外の周辺技術への意識の配り方/徹底度が極めて高い事が伝わって来る。恐らく何度も何度も自分でフィードバックして、一歩でも勝ちに繋がる可能性を上げるためにはどうすればいいのかをひたすら4年間徹底してきたなれの果てなんだろう。上手く行かなかった時の悔しがり方が物凄い。相当に負けず嫌いで完璧主義者なんだろう。帰ってビデオを見直して修正してくるはず。
Quintたちが指摘していたのが、やはりCuse #40 DFのJohn Ladeの凄さ。如何せんでかくてガンガンボールダウンさせるタイプではないため、映像で見ていても目立たないし、ボールダウン数等の数字で見えにくい。が、実は物凄いDFという話。ここまでの7-8試合でLadeが着いて来たVirginiaの#6 Steele Stanwickら相手エースATが、ことごとく0-2ポイント(得点+アシスト)に抑えられ、それまで得点源だった相手がことごとくその試合だけ存在がほぼゼロにまで消えるという現象が起こっている。相手のエースの存在を消し去る「Eraser(消しゴム、または消去職人、みたいな)」の称号が定着して来ている。し、渋過ぎる...
Cuse #23 Jovan Millerがまたしても安定した活躍。この人は間違い無くMLLでも貢献するだろう。下級生時代にDFMFで経験を積み、上級生になってエースOFMFになり、去年から今年に掛けてダッジ/シュート、特にオフハンドの右手のシュートにも磨きが掛かっている。特に3Q 10点目のスプリットから右のrunning jumping shotなどは完璧過ぎて芸術品の域に達している。
11点目、Canadianラクロスの体現者#28 AT Stephen Keoghがクリースで超スペースの無い状況でAround the Worldで得点。相変わらずクリースの仕事人、ファンタジスタ過ぎる。これ今年のベストゴール候補に入って来る気がする。
Duke #31 AT 1年生のJordan Wolfが、Ladeに着かれながらも気合いで活躍している。ベストDF相手にひるむ事なく、スピードで時々勝っている。すげえ一年生だ。師匠のJohnny Christmas(VirginiaでAll American & 優勝、MLL/NLL)曰く、Mikey Powell以来のスピードダッジャーだと。確かに。これを見ると頷ける。Max Quinzaniの後継者と言われていたが、越える可能性も感じさせる。
3Q終了間際のCuse #22 2年 JoJo Marascoの振り向き様の左手での12ヤードshot。一気に眼が覚めた。彼あんまし今まで見せて無かったけど、シュート鬼過ぎる。
全体を通して、Cuse #19 3年 DFMFのKevin Drewの貢献が大きいように見える。大きく、バスケでも有力選手で、Physicalが強く、短距離のスピードで言えばJoel White以上だと言う。下手なLSMよりも固いDF。ShortyのDFでこれだけ守れる選手がいると相当DFが楽になる。彼とJoel Whiteの2枚がいるので、相手MFは相当攻めにくくなる。分厚いオフェンスの印象が強いSyracuseの隠れた強みは実はこの辺の身体能力/機動力のかなり高いトランジッションやDFMFの選手をしっかり抑えられている点。08、09年の優勝を支えた#3 Matt Abbottを思い出させる。
ILのハイライト...にしても、1週間経った今改めて見ても、「むあじかっ!?」と目ぇ見開かされるプレーが多すぎる…超ピンポイントだけど、2:46のJoJo to Jovanのフィードの前の、ダッジ時に一度片手になってから両手に戻る異様な早さ。これ重要。明らかに意識してやっている。
2011年4月11日月曜日
IL Podcast Syracuse 4年 #23 MF Jovan Miller
IL PodcastでSyracuse #23 MD Jovan Miller (Sr)のインタビューが載っており、興味深く、選手や一ビジネスパーソンとしても学びの多い事を言っていたのでクイックに印象に残ってる範囲で紹介(リンク)。
同学年で同じMFでMLL上位指名のVirginiaのShamel Brattonのリーダーシップが疑問視される中、高いintegrityとリーダーシップ/人間力を感じさせられるコメントだったので。Big City Classicの会場で試合を見た感じでも、練習、フィールドの上で、そしてベンチで、チームを鼓舞し、チームのために貢献しようという姿勢が全身から伝わって来て、勝てる選手のメンタルのあり方として非常に参考になると感じた。
ちなみにJovan Miller、動画を見ている選手の皆さんは散々実感されている事だと思うが、ビジュアルが超カッコいい。動きがプロのアスリートっぽくてカッコいい。ストライドが大きく、モーションがダイナミック。同じくSyracuse 4年の#4 Jeremy Thompsonと並んで二大見た目番長って感じ。Face Off Classicでも、Big City Classicでも、会場でこの二人はsweetオーラをどっぷり漂わせていた。
自分たちSyracuseの4年生にとって、優勝する事の意味
全体を通して、今回のインタビューに限らず、毎回彼のコメントに触れる度に感じられるがこの手の、一人の人としてのmaturity(成熟度)の高さ。心の大事さを解り、感謝したりrespectすることの価値と意味をよーく解ったアスリートであると言う事。見習いたいなと感じる。(あと単純に素直にカッコいい...)
実は、MLLを見ていて感じるのは、強いチームに共通するのは、スター選手だけではなく、泥仕事/チームに求められる仕事をしっかり出来る脇役の選手が揃っているチームが一番強いと言う事。成功した10年US代表と失敗と言われた06年US代表の差もそこ。恐らくJovanは正にその土台の部分で相当貢献出来る選手に育って行くはず。
同学年で同じMFでMLL上位指名のVirginiaのShamel Brattonのリーダーシップが疑問視される中、高いintegrityとリーダーシップ/人間力を感じさせられるコメントだったので。Big City Classicの会場で試合を見た感じでも、練習、フィールドの上で、そしてベンチで、チームを鼓舞し、チームのために貢献しようという姿勢が全身から伝わって来て、勝てる選手のメンタルのあり方として非常に参考になると感じた。
ちなみにJovan Miller、動画を見ている選手の皆さんは散々実感されている事だと思うが、ビジュアルが超カッコいい。動きがプロのアスリートっぽくてカッコいい。ストライドが大きく、モーションがダイナミック。同じくSyracuse 4年の#4 Jeremy Thompsonと並んで二大見た目番長って感じ。Face Off Classicでも、Big City Classicでも、会場でこの二人はsweetオーラをどっぷり漂わせていた。
自分たちSyracuseの4年生にとって、優勝する事の意味
- ILの今月号でも特集されていたが、Syracuseの4年生は7人ものMLL指名選手を抱える、One of the best senior classes in NCAA lacrosse historyとも言われる代。#11 LSM Joel White、#15 G Galloway、#40 DF John Lade、#4 MF Jeremy Thompson、#28 AT Stephen Keogh、#9 OFMF Josh Amidonら、ギャグか?ってくらい分厚いタレントが揃っている。仲も良く、一緒に生活や行動を共にしている。
- そんな彼らは、1年生、2年生の時に全米制覇を成し遂げており、NCAAでは非常に珍しい4年間で3回優勝を目指している。それに関する質問に対する答え。
- 「メディアは、自分たちが既に2度優勝を経験していると言うが、自分たちにはその意識は無い。あれはDan HardyやSteven Brooks、Kenny Nims、Mike Leveille、Sid Smith、Matt Abbottら偉大な先輩達が成し遂げた物。」
- 「自分たちはまだNCAAでは「何一つ成し遂げていない」。大きな大きな、「やり残した仕事」を抱えている。だから、自分たちは自分たちとして今回の優勝を成し遂げなくてはならない。」
- 「去年のArmyによるアプセットと一回戦敗退は本当に残念だったが、4年生7人で、絶対に今年こそは優勝したいという想いの下に一つになり、全てを捧げ、目の前の試合一つ一つに全力を尽くして行く。」
- 「自分は入学した1年目はDFMFで出ていたため、多くの関係者やファンから、「凄く成長してOFもやれるようになった」と見られているが、自分的にはどちらかと言うともともとOFも出来たが、その都度チームにとって最も求められていることをしているだけ。
- Syracuseに入学して解ったが、ラクロス界で最も人気もあり、歴史もある伝統的このチームでは、フィールドに立つ選手に求められるもの、期待されるもののレベルが極めて高い。活躍すればヒーローだが、期待に答える活躍が出来なければ叩かれる。
- 入学した当初は、MFにはDan Hardyがいたり、Steven Brooksがいたり。MFのオフェンスには十分なfire power(攻撃力)があった。その中に1年生の自分が入って行った所で、それを越える活躍が出来ないのは明らか。チームに求められる役割であるDFMFに集中するのは当然の判断だった。
- その後チームは自分に何を求めているのか解らなくなったりして悩んだりもしたが、徐々にオフェンスでの役割も与えられ、それに答えられるようになり、今の立場にいる。」
- (→チームに求められる物を理解して、そこで貢献して行く事が結局自分の為になるという例だと感じた。でも、Jovanもそうだったように、その過程でもちろん「そもそも何が求められてるんだ?」「これが俺のやりたい事なのか?」と誰もが悩んだりする訳で。皆そうやってリーダーへと育って行く訳で。これ、社会人になって仕事で、プロフェッショナルとしてやっていく上でも凄く共通するなと感じた。)
- 「外から見ているファンの皆さんに最も伝わっていない/理解されていないことの一つが、メンタルの重要さ。
- 技術もフィジカルもチーム戦術ももちろん大事。当たり前。
- だが、ご覧の通り、今のNCAAラクロスは極めてcompetitiveな混戦状態。全体のレベルが上がり、下位のチームと上位のチームの差がどんどん小さくなり、いつ何時でも油断出来ない状況。簡単に格下に足下を掬われると言う事が起こり得る。そしてそれはSyracuse自身が最も良く解っている。リーグ戦で勝ち残る事、そしてプレーオフでそれを維持して優勝する事は本当に難しい。
- 実は、結局最後に一番大事なのは、勝負を分けるのは、メンタルであり、マインド。この『心』の部分がこのNCAA Lacrosseの90%を占める。技術やフィジカルはお互いある意味限界近くまで磨ききっている。そんな中、長いシーズンを通してパフォーマンスを維持し続け、結局最後の最後にこれだけ競った状況で試合を分けるのはメンタル。試合にどういうマインドで臨むか、試合中にどういうメンタルの状態を維持出来るか。それこそが実は最も大事な事。それを自分たちは十分に解っているし、その前提で戦って行く。」
全体を通して、今回のインタビューに限らず、毎回彼のコメントに触れる度に感じられるがこの手の、一人の人としてのmaturity(成熟度)の高さ。心の大事さを解り、感謝したりrespectすることの価値と意味をよーく解ったアスリートであると言う事。見習いたいなと感じる。(あと単純に素直にカッコいい...)
実は、MLLを見ていて感じるのは、強いチームに共通するのは、スター選手だけではなく、泥仕事/チームに求められる仕事をしっかり出来る脇役の選手が揃っているチームが一番強いと言う事。成功した10年US代表と失敗と言われた06年US代表の差もそこ。恐らくJovanは正にその土台の部分で相当貢献出来る選手に育って行くはず。
2011年4月10日日曜日
NCAA 2011 Game Review vol.16 Johns Hopkins vs North Carolina
これも非常に見所満載のいい試合。展開も試合終了まで勝敗の解らない、1点差の締まった試合。この2チームはほとんど下級生主体なので、今後2年は上位で熱い戦いを繰り広げるはず。
両チームのシーズンプレビュー
Hopkinsが相当いいチームとして立ち上がりつつある。
UNCの#4 AT Billy Bitterが爆発し、まだ健在である事を示す。特に最初の3得点は正に彼の十八番。複数人交わしての得点。マークしたのがHopkinsの#43 1年生のJack Reillyだった事もあり、力の差があると見るやごりっごりに攻め倒した。解説者の言葉を借りると、「(多くのファンがもうダメじゃないかって言ってたけど...)I'm still Billy Bitter!」 と堂々のアピール。途中でマッチアップを変えられて以降は抑え気味に。Quint曰く、やはり去年は脳震盪やらヘルニアやら脚の怪我やらでボロボロで、本来の彼の実力は出せていなかったらしい。コーチBreschi曰く現時点では100%のコンディションとの事なので、今後の更なる活躍に期待。やはり1人ゲームを完全に変えられる、ファンをビビらせる事が出来る希有なプレーヤーである事は間違い無い。
QuintのBitterに関するコメントでもう一つ印象に残っているのが、今シーズンのこれまでの試合では、2年前と違い、ちょっとロールに固執しすぎ、ねちょねちょロールするだけで結局抜けない、east-west(横)の方向に動くだけで、north-south(縦)に動いていないので怖くない、という症状が顕著だったが、この試合ではrollだけでなくsplit dodge、横だけじゃなく縦に抜く動きを混ぜてきているのが効果的だったと。「Rob Pannellを見て学んだんじゃないの?」とも言っていた。(逆に言うと、Pannellは純粋にスピードだけ取ればBitterよりも劣るのに、より効果的/効率的に相手を抜けているのにはその辺の違いがあるんだろう。)
ただ、ILのレポーターもPodcastで指摘していたが、やはり諸刃の剣。Bitterのプレースタイルだと、派手に抜いて点を取るか、潰される/落とされる/crease violationでturn-overになるか、というハイリスク=ハイリターンの賭けになってしまっている。且つ、Bitterを軸にするとAll American候補の1年生AT #34 Nicky Galassoのゲームコントロールやフィード力といった良さがいまいち出なくなってしまう。どっちを軸にゲームを組み立てるのか、コーチとしては悩ましい所だろう。(裏を返すと、恐らくGalassoを軸にするという戦略でこれまで統一してきていて、Bitterもそれを解って敢えて無理して攻めて来なかった、が、今回はスカウティングを通してmatch-up上明らかに分がある事が解っていたので、敢えて積極的に攻めた、という事なんだろう。)
ちなみに、来年Billy Bitterが卒業して、弟のJimmy Bitterが入ってくれば、Galassoを軸にした上でexplosive dodgerをどう使うか、という明確な軸が定まるため、それはそれでどうなるのか見てみたい。
ESPNのハイライト(リンク)
ILのハイライト
両チームのシーズンプレビュー
Hopkinsが相当いいチームとして立ち上がりつつある。
- 引き続きDFがタイト
- 2年生Gの #33 Pierce BassetがもはやNCAA最強クラスにまで成長。ガチで強い。これは来年再来年NCAA最強の守護神になってくると思われる。Composure(落ち着き)、ポジショニング、ボールやシューターの見え方、力の抜け方、反応、全ての点で素晴らしいものを持っている。元JHUで4-time All-AmericanのQuintもスローモーションで見て「完璧」と言っていた。
- 何よりもMFの1-2年生軍団が相当強力になってきた。
- 特に、#31John Ranagan、#9 John Greeleyの2年生ビーストコンビが正にRabil-Peyser化して来ている。スライドでUNC #24のMLL指名4年生DF、もう一人のビーストRyan Flanaganが着いても止められていなかった。RanaganはもうLong poleに着かれようが何しようが全く関係無い域に達しつつある。
- 加えて、1年の#27 Guida、2年 #16 CoppersmithもNCAAではトップクラスの才能を開花。MFでガンガンに崩して点を取る、本格派MFのチームになってきている。1st setに本来ならLong stick着けたいMFが4枚いるって...
- あと、MLL指名から漏れた4年生AT #42 Kyle Whartonが得意のTime and Room(スタンディングのロングシュート)、Broken situationのrunning shot等で存在感を見せた。機動力はトップレベルとは言えないが、シュートが鬼。そういうタイプの選手は参考になるはず。
- あと、FOGO (Face-off specialist)の#4 Matt Dolente (Sr.)がいい仕事をして、相手の1年生FOGO RG Keenanを抑えていた。現時点では恐らくDolenteがNCAA Div 1最強という感じか。試合前のアップでのドリルでの緻密さ/速さ/徹底度が印象的だった。身長は5-7なので170cmジャスト。NCAA Div 1上位校の中では小人の域。スピードで勝負して効率的に勝っているので技術的に参考になるはず。
QuintのBitterに関するコメントでもう一つ印象に残っているのが、今シーズンのこれまでの試合では、2年前と違い、ちょっとロールに固執しすぎ、ねちょねちょロールするだけで結局抜けない、east-west(横)の方向に動くだけで、north-south(縦)に動いていないので怖くない、という症状が顕著だったが、この試合ではrollだけでなくsplit dodge、横だけじゃなく縦に抜く動きを混ぜてきているのが効果的だったと。「Rob Pannellを見て学んだんじゃないの?」とも言っていた。(逆に言うと、Pannellは純粋にスピードだけ取ればBitterよりも劣るのに、より効果的/効率的に相手を抜けているのにはその辺の違いがあるんだろう。)
ただ、ILのレポーターもPodcastで指摘していたが、やはり諸刃の剣。Bitterのプレースタイルだと、派手に抜いて点を取るか、潰される/落とされる/crease violationでturn-overになるか、というハイリスク=ハイリターンの賭けになってしまっている。且つ、Bitterを軸にするとAll American候補の1年生AT #34 Nicky Galassoのゲームコントロールやフィード力といった良さがいまいち出なくなってしまう。どっちを軸にゲームを組み立てるのか、コーチとしては悩ましい所だろう。(裏を返すと、恐らくGalassoを軸にするという戦略でこれまで統一してきていて、Bitterもそれを解って敢えて無理して攻めて来なかった、が、今回はスカウティングを通してmatch-up上明らかに分がある事が解っていたので、敢えて積極的に攻めた、という事なんだろう。)
ちなみに、来年Billy Bitterが卒業して、弟のJimmy Bitterが入ってくれば、Galassoを軸にした上でexplosive dodgerをどう使うか、という明確な軸が定まるため、それはそれでどうなるのか見てみたい。
ESPNのハイライト(リンク)
ILのハイライト
2011年4月9日土曜日
NCAA 2011 Big City Classicの会場での感想
試合のレビュー自体とは別に、会場で感じた事をいくつかバッと列挙。NFLはNY Giants、NY Jetsのホームスタジアム、NYマンハッタン島の西の対岸に位置する、New Meadowland Stadium。バカでかい。去年完成したばかり。収容人数8万人超。集客試合のスケールが...
(これ前回のFace Off Classicでも書いたが...)改めて、選手がでかい。やっぱり、でかい
- 今回も最前列で至近距離で練習見学&試合観戦。
- しかしまあ、前回のBaltimoreでのBig City Classicでも触れたが、改めて、選手たちがTV画面で見る以上に、でかいなと感じる。
- やはりメジャースポーツとしての、ボディコンタクとのあるスポーツの上澄みのエリート達。日本で言うとラグビーの上位校の選手たちと通常の日本人のサイズの差の感覚ぐらいだろうか。
- 以前QuintがILの記事で、彼自身ESPNのレポーターとしてNBA/NFL/NCAA Basketball/Collage Footballを取材する中での比較感として、ラクロスの選手たちは大学スポーツの中ではFootball/Basketballの2大メジャースポーツに次ぐレベルのサイズと身体能力のアスリートが揃っているという言い方をしていた。サッカーやバレーボールやレスリングと言った他の有力スポーツよりもいい選手がラクロスに揃っているということ。
- ラクロスの国家間の競争力、具体的にはWorld Lacrosse Championshipでの強弱を考えた時に、やはりここのスポーツとしての他のスポーツに対しての相対的メジャー度の差が、日本とアメリカの最大の差な気もする。
- 「民族/国民として平均サイズの差」×「その中でどれだけ上澄み中の上澄みの『素材(サイズ/身体能力)』を集められるか」に因数分解した時に、もちろん前者の差は存在するが、今の時点だと恐らく後者の差の方が圧倒的に大きく出ちゃってる印象を受ける。それだけNCAAラクロスの選手たちはアメリカの中にあっても、メジャースポーツの中でのスポーツエリートとしてのタイトな選抜をくぐり抜けている印象を受ける(ここはラクロスが日本と同じマイナースポーツのオーストラリアとは明確に大きく違う点。)。
特に、Hopkinsが思いのほかPhysical。でかくてごつい。
- 今回Hopkinsを2008年のSemi-Final & Final以来初めて会場で観戦。TVで感じてた以上にかなりPhysicalityが高い(でかくてごつくて身体能力高い)ことに気付かされた。
- 特に、#31 2年 MF John Ranagan (190cm, 93kg)、#9 2年 MF John Greeley(190cm, 95kg)の2年生MF 2枚看板の身体が尋常じゃない。んでもって機動力というか身体能力が恐ろしい。特に#31のRanagan。間近で見て、ガチで引いた。つか、馬かと。これ競馬場かと。文字通りbeast(獣)以外の何者でもない。
- Paul Rabilを見て感じる「違う生き物感」が満載。試合中もRanaganにボール持たせて単純に爆走させる、という攻めを何回かやっていたが、笑う事しか出来なかった。あんなでかくてごつい獣が爆走したら、人間には止められんだろ、という感じ。迫力が物凄い。
- Ranaganはここに来てどんどんPaul Rabil化してきている。RanaganとGreeleyのセットが完全に2007年HopsのRabil-Peyser化して来ている。このレベルにありながら尚急速に進化/成長している。シュートも鬼だし、Long poleが着いても全く関係無い。めんどくさいことせずに、単純にボール持って真っすぐ走るだけでズゴッと抜け、シンプルなランニングシュートを打つだけで、ドカーン!と得点出来る。「どうやって止めんねん...」というやるせない虚脱感を残しながら。個人的な直感だけど、この人多分2014年、2018年のWLCで結構US代表に入ってくるかも。2010年とか見た感じ、フィジカルが異次元ってのはUS代表MFの資質なので。
- あと、忽然とベストゴーリー候補に躍り出てきた#33 2年 Pierce Basset(Arizona出身)も、TV画面で見ていた時は気付かなかったが、冷静に見るとかなりでかいことに気付いた。彼も190cm。普通にゴールの前で構えてメットの上がパイプからはみ出る感じ。シューターとしてはばっちりゴールを覆われることになるので厄介。
- しかしまあ、Hopkinsは、というかCoach Petroは実は3年前にとんでもない代を高校からリクルートしていたという事が段々解って来た。それぐらいこの2年生軍団は凄い。
Billy Bitter尋常じゃなく速い
- 今回、UNC #4 AT 4年生のBilly BitterがHopkins戦で久々の爆発。
- 1Qに丁度僕たちのいたスタンドの目の前で例の複数人抜きからの得点を三度演じた。
- 会場で間近で見ていて、改めて、その尋常じゃない速さに気付かされた。TVやインターネットで見て凄いなとは思っていたが、目の前で見て、その明らかに頭一つ抜け出た爆発力に「マジか!?」と文字通り度肝を抜かれた。切れ味が尋常じゃない。ズバッとフィールドを切り裂く音が聞こえそうなくらい。ダッジが鋭すぎる。会場の2万人の観客も彼のダッジの瞬間に「オオッ!!!」と揺れていた。
- 3点目のFinalizer(相手DFをゴールの後ろのネットで捕獲して倒す例の技)が決まった時は文字通りNew Meadowland Stadiumがどよめいた。
- なるほど、やっぱ特別な選手なんだなと改めて実感。
皆身体の使い方クソ上手い
- これも若干マニアックな話なのだが...そもそもの会場で見た感じの「うわっ!」というインパクトの結構な部分が、そのダイナミックな迫力にある。
- 全力疾走感が物凄い。切り替えや加速が鋭い。従って、見ていて物凄い迫力がある。走ると「ドドドドドッ!!!」と地響きが聞こえてきそうで、切り替えやストップで「ズバッ!!」と音が聞こえ(るような気がし)、チェックやシュートも「スパンッ!」と空気が切り裂かれる音が聞こえる。
- とにかく見ていて、明らかに日本で持っていたラクロスの感覚と、スポーツとして、身体運動科学として違う次元にある印象を強く受ける。
- 何でなんだろ、と無理矢理分解してみると...
- ①重心が物凄く低い。DFもOFも、超腰が落ちていて、「地を這うような」動きをしている印象を受ける。ビタッとに張り付いた状態で動いている。結果、Change of DirectionやダッジやDFのフットワークでも、ムチャクチャ安定しているし、速くて鋭くて細やか。相当なスピードから急激に止まったり方向転換しても、体軸がほとんど揺れていない(当然転ばない)。これがまた見ていてカッコいい。(要は、ダメ選手がよくやるように、高い重心のままフラフラ走ってない。高校までハードコアな運動部を経験して来なかった下級生によく見られた絵だと記憶しているが...)
- ②股関節の可動域が広くて、その可動域をマックスまでフルッフルに使い切っている。ハム(ケツ)もクアッド(太もも)もカーフ(ふくらはぎ)も。ダッジやトランジッション、もっと言うとフライ時のダッシュを見るだけでも伝わって来る。「脚の回転/回旋が、『でかい』」。ぐるんぐるんに脚が廻っていて、クリーツが動く幅が大きいく高い。走る時の音がズダダダダダ!!!と言う感じ。ちょこちょこちょこっ、じゃなくて。サブマシンガンの音。で、その状態のOFとDFの1 on 1とかマジで迫力あってカッコいい。正に、正しい/効率的な身体の使い方を心得ているなと感じる。
- ③骨盤の前傾とspine(背骨)の傾斜。何と言うか、常に走るときも、DFの姿勢も、完全にathletic positionというか、前傾/前のめりになっている印象を受ける。走る時に、陸上短距離のスタート板を蹴るように、クリーツの拇指球部分で地面をがっつり後方に蹴りながら走っている。なので、静止状態からの初期加速が尋常じゃなく速い。グワーーーッ!!と瞬間的にトップスピードに乗って来る。方向転換をする時も、イメージ、オートレースや競輪のコーナリングの要に思いっきり軸を傾けて遠心力を脚の裏で支えながら、ビタビタビタッと効果的に曲がっている。
- ④それらを支えるフィジカルトレーニング。これは別に試合で見える部分ではないが、こんなもん理屈で考えれば明らかに想像出来るが、相当しっかりフィジカルを鍛え上げて来ていないと上記3つは出来ないはず。下半身も体幹(腹筋/背筋)も。ウェイトトレーニングやストレッチはもちろんの事ながら、場合によっては走る姿勢/動く姿勢を科学的に理解して指導出来る専門家/トレーナーが理詰めでドリルとセットでしっかり教え込んでるんじゃないかなと感じる。
- まあ、要はアスリートとして身体や身体の使い方がかなり出来上がっているという事か。別に日本でもJリーガーやラグビーの体育推薦で上位校でプレーしているような選手たちは出来ている事なんだろうが。
ファン多い&熱い(ILの写真)
- 今回は人口の多いNYということもあり、観客の数も会場の熱気も、前回のBaltiimoreのFace Off Classicよりも数段上という感じ。ILの記事を見ても解るが、ジュニア/キッズを中心に熱狂的なファン&ラクロスバカが多い。
- しっかしまあ、本当にこの国のラクロスの裾野は広いと実感させられる。これだけの人数を収容出来るNFLのスタジアムで大学レベルのイベントが成り立つというのが凄い。
- 小学生くらいの子供達がNCAAのチームや選手の名前を個別に知っていて、結構マニアックなプレーまで理解して興奮しながら応援しているというこの環境。
EastonのRaptorヘルメットが流行りそう
- ILでここ数ヶ月ずーっと取りざたされて来た、Ice Hockeyの巨人、Eastonのラクロス参入(website)。既にCasey Powell、Brett Queenerら人気選手を引き込む事に成功し、Find your wall project等でプレゼンスを確立しつつある。
- インタビューや記事で見た感じ、かなり本気のコミットメントで、適当に様子見でやってみるという感じではない。
- ここ数週間でちょっとずつ小出しに写真を出して興味を煽り、今回のイベントに合わせてその全貌を公開、というteasing(じらし)なマーケティング手法を通じてlaunchされたのが、ヘルメットのRaptor。
- ビジュアルもカッコいいのだが、実際に手を取ってみて、説明を受けてみて、あ、これ結構流行るだろうな、という印象を受けた。元々アイスホッケーや自転車競技、スキー/スノーボードのGiroでかなりしっかりヘルメットのテクノロジーやR&D/Manufacturingの経験を積んで来ている。材質や設計でCascadeやWarriorよりも一段上のqualityを達成しているように感じた。
- 手に持った感じ、かなり軽く(曰くCascade等の1/3)、またプラスチックのシェルと、中のウレタンフォームが完全に密着/一体化しており、より効率に衝撃を吸収するという触れ込み。明らかに固い。
- ヘルメットのプロであるBell Helmet/Eastonがその蓄積されたヘルメットテクノロジーをラクロスにそのまま持ち込んだ形。一ラクロスメーカーだったCascadeやWarriorとの知見/経験/技術の差は恐らく結構ある気もする。
- アイスホッケーの影響が心配されていたvisualも、文句無くカッコいい。
- 配色のオプションがどうなるのかなどまだ不透明だが、今後結構流行って行きそうな印象を受けた。
- ぶっちゃけ、ざっくりとしたデザインはCascade Pro7、Warrior TIIの2大最新ヘルメットにかなり似ている。バイザー、チンガード、本体がほぼ一体化したデザイン。正面から後頭部まで、スピード感を感じさせる一つの流線型で繋がっている。被った時に"Tilt"と言われる、つばがちょっと下がって眉毛が隠れ、目が影になり、表情が隠されてカッコいい感じになるイメージ。基本的には今後もこの流れが続いていくんだろう。(全方向から見られるILの記事)
こちらは同じくEastonのStealth Helmetの動画。これ見ると解るが、科学的に裏付けを取りながら、プロ選手のコメントを使って上手くマーケティングしている(よく見ると既にカスケードを比較対象に使っている)。恐らくこの辺のテクノロジーやマーケティング手法をフルにレバレッジして今年の後半に掛けてlaunchしてくるはず。場合によっては大きく市場を席巻しかねない。しかし、これ見るとCascadeっていろんなスポーツヘルメットの中で明らかに一番脆い部類にあるって事か...Eastonから見れば伸びているスポーツの中で、Warriorとの寡占状態にあぐらをかいた井の中の蛙に見えたのかも知れない。正面からガツッとぶつかって実力で捩じ伏せてやるぜ、ぐらいの気迫を感じる。これでラクロスのギアが更にフェアな市場競争によって進化していくのは素晴らしい事だ。伸びているスポーツならではの恩恵。
2011年4月7日木曜日
NCAA 2011 Game Review vol.15 Maryland @Virginia
これまたクソあちい試合。期待通りの攻撃力が売りでRun & gun主体の2チームによる点の取り合い。怒濤のトランジッション合戦。非常に楽しめる素晴らしい試合だった。結果は12-7でMaryland。MDはこれで一気に優勝戦線に返り咲き、逆にVirginiaは黄色信号点灯。いろんな不安要素が噴出し始めている。開幕時2位のVirginiaがここまで苦戦すると予測していた人は少なかったはず。本当に読めない。NCAA Lacrosse。
ILのスコアボード
VirginiaのエースShamel Brattonが無期限欠場
なにやらきな臭いニュースが。数週間前のStony Brook戦で、チームと一緒に行動をせずに勝手に近所の実家に帰ってしまい、罰則として出場停止処分を受けたBratton兄弟。今回は兄のShamelのみだが、Disciplinary目的で無期限の出場停止処分が課されてしまった。Forumに出ていたコメントでは、NCAAでは有名な所謂「48 hours rule」即ち、試合前二日間は一切のアルコールを禁止する、というチームのルールを破ったためとも言われている。何で...プレッシャーに負けたのか?
問題は、彼はやんちゃが許される1年生ではなく、チームの大黒柱の4年生であると言う点。これまでもちらほらこの辺のBratton兄弟、特に兄のShamelのリーダーシップに関する疑問の声が聴かれてきた。ルールを守らない、なんかツンとしてて、言動が王様で身勝手、得点後にチーム皆で祝う輪に入らなくて感じ悪い、等々。本来主力の4年生がやることが多いキャプテンにも指名されておらず、3年生のSteele Stanwickや他の4年生メンバーたちがキャプテンの任に着いている。
結構な部分彼が試合に出なかった影響もあり、Virginiaは試合に負けてしまった。が、試合中にもベンチでユニフォームを着ずに試合を見ているShamelの表情に反省や申し訳ない気持ちは感じられない。笑顔でおちゃらけている...ここから先の戦いは高いレベルで拮抗した技術とフィジカルのぶつかり合いで、メンタルやリーダーシップが極めて重要になってくる。4年生の柱がいない状況で、またはリーダーシップの自覚や責任感が無い状態で果たして優勝出来るんだろうか?大きな疑問を投げかける出来事だ。
まー、そうは言っても、まだ若いし、才能と言う点に関しては何年かに一人の逸材である事は間違い無いので、学んで成長して素晴らしい選手に育って欲しいなと思う。
試合全体の印象
長らくACCのツートップを勤めた二校による激しいRivalry(ライバル関係)から来る熱い戦い。Physicality(当たりの強さ)。ガツンガツンに相手を倒しに行っている。ラクロスが本来持つボディコンタクとの激しさを体現。
Run & gunのぶつかり合い。物凄いスピードで行ったり来たり。両Goalieのセーブとブレーククリアパスが素晴らしいこともあり、ガンガンブレークで躊躇無くシュートまで行っている。非常に面白いし、ブレークの教科書として参考になる。
特にMarylandは本来の良さが大爆発。Georgetown戦で見せた怒濤の攻めがまた見られた。これが出せる限り安心だ。
試合を通して、新星ゴーリー、MarylandのReturning Freshman(学校的には2年生だが、去年選手登録してなかったので一年生扱い)で、Doc(98, 10 US代表GoalieのBrian Dougherty)の愛弟子、G #31 Niko Amatoがまたしてもその能力の高さを遺憾なく発揮。Long rangeもPoint Blank(至近距離)も止めまくっている。結構鬼だ。落ち着きが凄い。セーブ力とクリアパスの思い切りが素晴らしい。後4年間、Marylandの守護神として君臨し、Hopkinsの2年生#33 Pierce Bassettとベストゴーリーの座を争うだろう。
Shamelがいない事の影響が思った以上にでかい。RhamelやLa Pierreら2枚目、3枚目のMFが頑張ろうとしているが、やはりShamel程の爆発的突破力、DFのシステムを変えて超っ早スライドせざるを得ない状況を作れていない。結果として、普段であれば空いたクリースで点を取りまくる#10 AT Chris Bockletの存在感がほぼゼロになってしまうという現象が起きている。
UVAのDFがカットを全然カバー出来ていない。Porous(穴だらけ/ザル)になっちゃってる。特に後半は修正出来ていないままボロボロに。これPlay offまでに修正しないと結構深刻かも。
個別のプレーで印象に残っている点
2Q Virginia 2点目、#3 MF Rhamel BrattonのShot on the run(ランニングシュート)。Off hand(非利き手)の左でいいシュートを決めている。やはり地道にOff handも練習してるんだろう。直後にも1 on 1で左にsplitしてかなりいいjump shotを左手で打っている。左一本やり感の強いShamelに比べるとRhamelの方がまじめに逆も練習してるのかも。兄に遠慮して敢えて一歩引いていることが多いが、実はShamelに近い攻撃力を持ってることが今回判明。MLLで別々のチームでプレーすることになった時どういう本領発揮が見られるのか楽しみ。
Maryland 3点目、Fast breakでの#13 Owen Blyeによる3点目。Hitchして完全にDFをズルッと交わして一歩中に入ってstanding shot。Hitchのモーションが完全にシュートのそれ。スティックだけじゃなく、肩やスタンスや腰、文字通り全体を使って一歩踏み込んでいる。
Virginia 5点目のRhamelのTime and room(スタンディングのロングシュート)も超上手い。つかRhamelもShamel並みにシュート上手えじゃねえか...今まであんまし見せてなかったけど。
MD #19 Joe Cummings (Jr)がクリーススペシャリストのOFMFとして怒濤の活躍。Paul Carcaterraも指摘しているが、高校時代までATで、DFの裏を掻く動きが非常に上手い。元Virginia、Boston Cannonsで'10 MLL MVP、Team US '11のMatt Poskayを連想させるとのこと。確かに。
後半3Q またしてもCummingsによるMD 7点目。Xでの2 on 2からのインサイドロールならぬCOD (Change of Direction)で、一歩でDをズバッと交わす動き、そこから一歩更に中に入って角度を作り、2回の小さく速いスナッピーフェイクでGを倒しての得点。InvertするMFはこれを目指したい。
てな感じ。シーズン開幕前はSuracuseとVirginiaの一騎打ちのシーズンと見られていた。が、ここに来てVirginiaがグラングランに揺らぎ始めている。実力があるのは間違い無い。DFさえ修正して、Shamel問題さえ解決出来れば間違い無く強いチーム。ベストの姿を取り戻すことを願う。
ESPNのハイライト(リンク)
IL Videoのハイライト(リンク)
ILのスコアボード
VirginiaのエースShamel Brattonが無期限欠場
なにやらきな臭いニュースが。数週間前のStony Brook戦で、チームと一緒に行動をせずに勝手に近所の実家に帰ってしまい、罰則として出場停止処分を受けたBratton兄弟。今回は兄のShamelのみだが、Disciplinary目的で無期限の出場停止処分が課されてしまった。Forumに出ていたコメントでは、NCAAでは有名な所謂「48 hours rule」即ち、試合前二日間は一切のアルコールを禁止する、というチームのルールを破ったためとも言われている。何で...プレッシャーに負けたのか?
問題は、彼はやんちゃが許される1年生ではなく、チームの大黒柱の4年生であると言う点。これまでもちらほらこの辺のBratton兄弟、特に兄のShamelのリーダーシップに関する疑問の声が聴かれてきた。ルールを守らない、なんかツンとしてて、言動が王様で身勝手、得点後にチーム皆で祝う輪に入らなくて感じ悪い、等々。本来主力の4年生がやることが多いキャプテンにも指名されておらず、3年生のSteele Stanwickや他の4年生メンバーたちがキャプテンの任に着いている。
結構な部分彼が試合に出なかった影響もあり、Virginiaは試合に負けてしまった。が、試合中にもベンチでユニフォームを着ずに試合を見ているShamelの表情に反省や申し訳ない気持ちは感じられない。笑顔でおちゃらけている...ここから先の戦いは高いレベルで拮抗した技術とフィジカルのぶつかり合いで、メンタルやリーダーシップが極めて重要になってくる。4年生の柱がいない状況で、またはリーダーシップの自覚や責任感が無い状態で果たして優勝出来るんだろうか?大きな疑問を投げかける出来事だ。
まー、そうは言っても、まだ若いし、才能と言う点に関しては何年かに一人の逸材である事は間違い無いので、学んで成長して素晴らしい選手に育って欲しいなと思う。
しかし、数々の批判コメントの中には、プレーに関する指摘も多くあり、うーん、確かに、間違ってはないかな...という点もあった。
- 1年生の頃からプレースタイルが余り成長していない。ロールを何回か繰り返して無理矢理strong handで打つだけじゃん(まあ、そうだけど、解っちゃいるけど止められないってのはあるけど。あとRhamelは両手使える。)
- シュート打ち過ぎ&外し過ぎ。あんだけシュート打ってりゃそりゃ点も取れるわ。確率が低い(まあ、あながち嘘でもないかな...まあ、でも打って点取れるのは事実っすからね...)
- RhamelはDFすることも多いが、チームDFしなさ過ぎ。スライド行かないし、失点を棒立ちで見てることも(これは僕もよく見てないので何とも。)
試合全体の印象
長らくACCのツートップを勤めた二校による激しいRivalry(ライバル関係)から来る熱い戦い。Physicality(当たりの強さ)。ガツンガツンに相手を倒しに行っている。ラクロスが本来持つボディコンタクとの激しさを体現。
Run & gunのぶつかり合い。物凄いスピードで行ったり来たり。両Goalieのセーブとブレーククリアパスが素晴らしいこともあり、ガンガンブレークで躊躇無くシュートまで行っている。非常に面白いし、ブレークの教科書として参考になる。
特にMarylandは本来の良さが大爆発。Georgetown戦で見せた怒濤の攻めがまた見られた。これが出せる限り安心だ。
試合を通して、新星ゴーリー、MarylandのReturning Freshman(学校的には2年生だが、去年選手登録してなかったので一年生扱い)で、Doc(98, 10 US代表GoalieのBrian Dougherty)の愛弟子、G #31 Niko Amatoがまたしてもその能力の高さを遺憾なく発揮。Long rangeもPoint Blank(至近距離)も止めまくっている。結構鬼だ。落ち着きが凄い。セーブ力とクリアパスの思い切りが素晴らしい。後4年間、Marylandの守護神として君臨し、Hopkinsの2年生#33 Pierce Bassettとベストゴーリーの座を争うだろう。
Shamelがいない事の影響が思った以上にでかい。RhamelやLa Pierreら2枚目、3枚目のMFが頑張ろうとしているが、やはりShamel程の爆発的突破力、DFのシステムを変えて超っ早スライドせざるを得ない状況を作れていない。結果として、普段であれば空いたクリースで点を取りまくる#10 AT Chris Bockletの存在感がほぼゼロになってしまうという現象が起きている。
UVAのDFがカットを全然カバー出来ていない。Porous(穴だらけ/ザル)になっちゃってる。特に後半は修正出来ていないままボロボロに。これPlay offまでに修正しないと結構深刻かも。
個別のプレーで印象に残っている点
2Q Virginia 2点目、#3 MF Rhamel BrattonのShot on the run(ランニングシュート)。Off hand(非利き手)の左でいいシュートを決めている。やはり地道にOff handも練習してるんだろう。直後にも1 on 1で左にsplitしてかなりいいjump shotを左手で打っている。左一本やり感の強いShamelに比べるとRhamelの方がまじめに逆も練習してるのかも。兄に遠慮して敢えて一歩引いていることが多いが、実はShamelに近い攻撃力を持ってることが今回判明。MLLで別々のチームでプレーすることになった時どういう本領発揮が見られるのか楽しみ。
Maryland 3点目、Fast breakでの#13 Owen Blyeによる3点目。Hitchして完全にDFをズルッと交わして一歩中に入ってstanding shot。Hitchのモーションが完全にシュートのそれ。スティックだけじゃなく、肩やスタンスや腰、文字通り全体を使って一歩踏み込んでいる。
Virginia 5点目のRhamelのTime and room(スタンディングのロングシュート)も超上手い。つかRhamelもShamel並みにシュート上手えじゃねえか...今まであんまし見せてなかったけど。
MD #19 Joe Cummings (Jr)がクリーススペシャリストのOFMFとして怒濤の活躍。Paul Carcaterraも指摘しているが、高校時代までATで、DFの裏を掻く動きが非常に上手い。元Virginia、Boston Cannonsで'10 MLL MVP、Team US '11のMatt Poskayを連想させるとのこと。確かに。
後半3Q またしてもCummingsによるMD 7点目。Xでの2 on 2からのインサイドロールならぬCOD (Change of Direction)で、一歩でDをズバッと交わす動き、そこから一歩更に中に入って角度を作り、2回の小さく速いスナッピーフェイクでGを倒しての得点。InvertするMFはこれを目指したい。
てな感じ。シーズン開幕前はSuracuseとVirginiaの一騎打ちのシーズンと見られていた。が、ここに来てVirginiaがグラングランに揺らぎ始めている。実力があるのは間違い無い。DFさえ修正して、Shamel問題さえ解決出来れば間違い無く強いチーム。ベストの姿を取り戻すことを願う。
ESPNのハイライト(リンク)
IL Videoのハイライト(リンク)
2011年4月5日火曜日
NCAA 2011 Game Review vol.14 UMBC @Stony Brook
今年はこれまで放映の無かったStony Brook、待望のテレビ放映。相手はUMBC。
Stony Brookは、去年American East Conferenceを制し、プレーオフに出場、Denverを破り、Quarter FinaleではVirginia相手に1点差まで詰め寄って全米の注目を集めた。今年もプレシーズンでは8位、Bratton brothersを欠くVirginiaに一点差のゲームを演じるも、格下に負けたりして現時点で15位。(Stony Brookのシーズンプレビュー)
4年生に強い個が塊で存在。MLLでも4人が指名。
今回の試合でも#11 Jordan McBrideとCrowleyの二人によるCanadian Box Lacrosseショーが炸裂。見てて痛快。なるほど、インドアの名手を若いうちにフィールドにアジャストさせると、しかもそれがチームに複数人いるとこうなる訳ね、という好例。NLLの試合で見る、例の、全体の流動的な流れ/動きの中でピックを連続発生させてフリーを作る、というオフェンスがそのままフィールドに持ち込まれている。ああ、Princetonがやりたかったのはこれなのね...と。強力なCanadianが複数人入るとそれがバチッとハマる。UMBCのDFが未熟な事もあり、面白いようにバンバン点を取っている。スピード感と意外性があって、見ていて楽しく、ちょっとプロっぽい。
また、特にMcBrideのシュート力が頭抜けている。ロングシュートもclose rangeも、正にインドアの名手のそれ。特にロングシュートはコンパクトにスナップを最大限に効かせて、効率的に極めて精度の高いシュートを突き刺している。スナイパー。Goalieとの1 on 1も明らかにNCAAトップレベル。フェイクが速くて上手く、数が一つ多い。インドアの技術そのもの。
Crowleyは、とにかくでかくて機動力があって上手い。何か、持ってるスティックが小ちゃいfiddlestick/mini-stickに見えて来る...完全にオモチャみたいに扱っている。今週のQuintのPodcastで、活躍が足りないと言われていたが、今回見た限り、どちらかと言うと必要に迫られてないのでそこまでガツガツやってない、というだけかな?と感じた。実力は明らかにある。ただそれ以上に彼以外のメンツがちゃんとしてるので、彼がそこまで一人で全部やらなくていい感じになっている。また去年みたいにプレーオフで接戦になったらスーパーサイヤ人モードな彼が見られるのかも。
あと、実はFace offの#10 Adam Randがかなり強い。UNCのRG Keenanと並んで勝率ではトップクラス。65%?とかだったかな?今回は恐らく特にFOerチームの皆が見るべき試合かも。完成度という意味ではKeenanより上な気がする。Face offは素人ながら試合を見て感じたのは、
UMBCは今年は大分戦力ダウン。もともと小さな理系の大学。聴くところによると今年は4年生3人、3年生5人で、1-2年生が30人、みたいな感じ。フィールドにいる多くが下級生。まだまだこれからだなー、という感じ。相当発展途上。
一方で、以前なぜUMBCがPeet PoillonやBrendan Mundorfなど多くのMLL選手を輩出しているか、の記事で書いた通り、Don Zimmermanコーチの基本に忠実な教えは健在。常に両手でスティックを扱い、シュートもover handで力の乗ったいいシュートを打てている。選手たちも大差のゲームでも決して諦める事無く、最後まで一生懸命全力でプレーしている。清々しい。2年後あたりには結構タイトないいチームになってくる気がする。若い経験不足な選手たちに、辛抱強く基礎から、しっかり教えて行く姿が印象的だった。集められるタレントの質や数はさておき、team management/育成論として長い目で見れば、こういうのを本当にいいチームって言うんだろうな、と感じた。応援したいと素直に思わされるチームだ。
Stony Brookは、去年American East Conferenceを制し、プレーオフに出場、Denverを破り、Quarter FinaleではVirginia相手に1点差まで詰め寄って全米の注目を集めた。今年もプレシーズンでは8位、Bratton brothersを欠くVirginiaに一点差のゲームを演じるも、格下に負けたりして現時点で15位。(Stony Brookのシーズンプレビュー)
4年生に強い個が塊で存在。MLLでも4人が指名。
- 1位. Hamilton Nationals: Kevin Crowley, M, Stony Brook #21
- 14位. Rochester Rattlers: Jordan McBride, A, Stony Brook #11
- 28位. Boston Cannons: Tom Compitello, A, Stony Brook #23
- 31位. Hamilton Nationals: Adam Rand, FO, Stony Brook #10
今回の試合でも#11 Jordan McBrideとCrowleyの二人によるCanadian Box Lacrosseショーが炸裂。見てて痛快。なるほど、インドアの名手を若いうちにフィールドにアジャストさせると、しかもそれがチームに複数人いるとこうなる訳ね、という好例。NLLの試合で見る、例の、全体の流動的な流れ/動きの中でピックを連続発生させてフリーを作る、というオフェンスがそのままフィールドに持ち込まれている。ああ、Princetonがやりたかったのはこれなのね...と。強力なCanadianが複数人入るとそれがバチッとハマる。UMBCのDFが未熟な事もあり、面白いようにバンバン点を取っている。スピード感と意外性があって、見ていて楽しく、ちょっとプロっぽい。
また、特にMcBrideのシュート力が頭抜けている。ロングシュートもclose rangeも、正にインドアの名手のそれ。特にロングシュートはコンパクトにスナップを最大限に効かせて、効率的に極めて精度の高いシュートを突き刺している。スナイパー。Goalieとの1 on 1も明らかにNCAAトップレベル。フェイクが速くて上手く、数が一つ多い。インドアの技術そのもの。
Crowleyは、とにかくでかくて機動力があって上手い。何か、持ってるスティックが小ちゃいfiddlestick/mini-stickに見えて来る...完全にオモチャみたいに扱っている。今週のQuintのPodcastで、活躍が足りないと言われていたが、今回見た限り、どちらかと言うと必要に迫られてないのでそこまでガツガツやってない、というだけかな?と感じた。実力は明らかにある。ただそれ以上に彼以外のメンツがちゃんとしてるので、彼がそこまで一人で全部やらなくていい感じになっている。また去年みたいにプレーオフで接戦になったらスーパーサイヤ人モードな彼が見られるのかも。
あと、実はFace offの#10 Adam Randがかなり強い。UNCのRG Keenanと並んで勝率ではトップクラス。65%?とかだったかな?今回は恐らく特にFOerチームの皆が見るべき試合かも。完成度という意味ではKeenanより上な気がする。Face offは素人ながら試合を見て感じたのは、
- 反応が鬼速い
- かき出しが超速い
- かき出す場所が的確(近い位置にある空きスペースに丁度いい転がりで正確にかき出している)
- 基本的にはほとんどwingを使わず、FOer同士の一対一でビートして、自分で直接拾ってしまっている
- 技の引き出しが多い(で、全部上手い)
- 且つ、拾ってそのままゴールに向かっている
UMBCは今年は大分戦力ダウン。もともと小さな理系の大学。聴くところによると今年は4年生3人、3年生5人で、1-2年生が30人、みたいな感じ。フィールドにいる多くが下級生。まだまだこれからだなー、という感じ。相当発展途上。
一方で、以前なぜUMBCがPeet PoillonやBrendan Mundorfなど多くのMLL選手を輩出しているか、の記事で書いた通り、Don Zimmermanコーチの基本に忠実な教えは健在。常に両手でスティックを扱い、シュートもover handで力の乗ったいいシュートを打てている。選手たちも大差のゲームでも決して諦める事無く、最後まで一生懸命全力でプレーしている。清々しい。2年後あたりには結構タイトないいチームになってくる気がする。若い経験不足な選手たちに、辛抱強く基礎から、しっかり教えて行く姿が印象的だった。集められるタレントの質や数はさておき、team management/育成論として長い目で見れば、こういうのを本当にいいチームって言うんだろうな、と感じた。応援したいと素直に思わされるチームだ。
2011年4月4日月曜日
NLL 2011 Game Review vol.09 Buffalo Bandits @Minnesota Swarm
(NLL観戦ガイド記事はこちら。NLLの裏側が見られるドキュメンタリーの紹介記事はこちら。)
Minnesotaは初めてTVで見る。中西部の北のカナダ国境近く。寒い。ビジネス的には、3Mや、Best BuyやTargetなど流通の有名企業などがある。映像を見る感じ、スタジアムはそこそこ盛り上がっている。Ice Hockeyが元々根強いので、Indoor Lacrosseへの参入障壁が比較的楽なのかも知れない。マニアック過ぎるが、去年Cornellで#3 Rob Pannellとコンビを組んでクリースで点を取りまくっていた#26 Ryan Hurleyもミネソタ出身という話をインタビューでしていた。
注目選手は、若手筆頭の注目株、#21 Ryan Benesch。あっ!Roster見てたら上記HurleyがPractice Squadにいる事に気付いた。地元密着指名か...
試合は、引き続き締まったレベルの高いいい試合。ラクロスとして非常に楽しめるし、学べる試合。(シーズン前半にPhiladelphiaの地元企業Comcast Sports Netが放映していたWingsの試合と違い、後半になって放映を始めた全国ネットのVersusが毎週一試合ずつ全試合の中から「これは」という好カードを選んでいるため、正直放映される試合の質が上がっている。)
いくつか印象に残ったのは:
Banditsが先週Boston戦でやっていた、トップ横からのシュートモーションからXにフィードして、Xのforwardが逆からcome around & diveで決めるプレー。今回は左右逆。且つTavaresじゃない。これ、もしかしてこの人達ガチで攻めの形の一つとして練習してるのかも。またはその場の咄嗟の思いつきなのか?いずれにせよ凄い。
あと、またしてもスティックのシュートストリング辺りの「土手 」を使ってテニスラケットの様にパチッと弾くtapでのquick shotが見られる。
Minnesota 8点目、Crawfordのトップからのシュート、まさかと目を疑ったが、カーブを投げている。ガチで。バウンドで軌道を変えるんじゃなくて、空中で。右手のオーバーハンドで打った球が、ゴーリーの股間の辺りで左に曲がりながら落ちている。え?ラクロスで出来るの...?それ...
それにしてもBanditsは本当に技術/戦術的に参考になる。長くチームに定着するいぶし銀のベテラン職人軍団の大事さを痛感させてくれる。
Livestreamのリプレー映像
Minnesotaは初めてTVで見る。中西部の北のカナダ国境近く。寒い。ビジネス的には、3Mや、Best BuyやTargetなど流通の有名企業などがある。映像を見る感じ、スタジアムはそこそこ盛り上がっている。Ice Hockeyが元々根強いので、Indoor Lacrosseへの参入障壁が比較的楽なのかも知れない。マニアック過ぎるが、去年Cornellで#3 Rob Pannellとコンビを組んでクリースで点を取りまくっていた#26 Ryan Hurleyもミネソタ出身という話をインタビューでしていた。
注目選手は、若手筆頭の注目株、#21 Ryan Benesch。あっ!Roster見てたら上記HurleyがPractice Squadにいる事に気付いた。地元密着指名か...
試合は、引き続き締まったレベルの高いいい試合。ラクロスとして非常に楽しめるし、学べる試合。(シーズン前半にPhiladelphiaの地元企業Comcast Sports Netが放映していたWingsの試合と違い、後半になって放映を始めた全国ネットのVersusが毎週一試合ずつ全試合の中から「これは」という好カードを選んでいるため、正直放映される試合の質が上がっている。)
いくつか印象に残ったのは:
Banditsが先週Boston戦でやっていた、トップ横からのシュートモーションからXにフィードして、Xのforwardが逆からcome around & diveで決めるプレー。今回は左右逆。且つTavaresじゃない。これ、もしかしてこの人達ガチで攻めの形の一つとして練習してるのかも。またはその場の咄嗟の思いつきなのか?いずれにせよ凄い。
あと、またしてもスティックのシュートストリング辺りの「土手 」を使ってテニスラケットの様にパチッと弾くtapでのquick shotが見られる。
Minnesota 8点目、Crawfordのトップからのシュート、まさかと目を疑ったが、カーブを投げている。ガチで。バウンドで軌道を変えるんじゃなくて、空中で。右手のオーバーハンドで打った球が、ゴーリーの股間の辺りで左に曲がりながら落ちている。え?ラクロスで出来るの...?それ...
それにしてもBanditsは本当に技術/戦術的に参考になる。長くチームに定着するいぶし銀のベテラン職人軍団の大事さを痛感させてくれる。
Livestreamのリプレー映像
Watch live streaming video from buffalobandits at livestream.com
2011年4月3日日曜日
Zone DFの時代 vol.02 IL Podcast MD HC John Tillman
IL PodcastでのMaryland HC John Tillmanのインタビュー。やはりここでも今シーズンの顕著な現象であるZone DFについての質問がなされた。
特にRun & gunを信条とし、Set OFでも速いパス回しと強いシュート力で速いテンポで点を取るスタイルのMDは、正に多くの相手から見るとZone DFが最も効果を発する相手ということになるケースが多い。
以下、彼のコメントで印象に残った点。
実際に今年のMDはここまでZone DFに7回遭遇 している
まあ、いい悪いはまったく別として、Zoneを仕掛ける側として、チームの特性上、Zoneをやることが合ってるチームと合ってないチームがある
DF側の意図としては、やはりより小さくタイトにクリース前をパックして、 相手のOFのいい所を潰す/消し去るという効果
ただ、意外と思われるかも知れないが、Marylandとしては、実はZoneは自分たちにとってはよりやり易いと認識
まあ、大事なことは、Zoneに対峙しても、落ち着いて、自信を持って、自分たちの実力をきちんと出すこと。
特にRun & gunを信条とし、Set OFでも速いパス回しと強いシュート力で速いテンポで点を取るスタイルのMDは、正に多くの相手から見るとZone DFが最も効果を発する相手ということになるケースが多い。
以下、彼のコメントで印象に残った点。
実際に今年のMDはここまでZone DFに7回遭遇 している
- しかも相手によって違うし、一つのチームも実は一試合の中でいろいろ変えてきている。1Qに3つの違うDFに出会った事も
まあ、いい悪いはまったく別として、Zoneを仕掛ける側として、チームの特性上、Zoneをやることが合ってるチームと合ってないチームがある
- UNCとかはHC Joe Breschiの下統制されたZoneをやり、結構ハマるチーム
- Navyとかは逆にガチンコ勝負の男のman-to-manが自分たちにとってのベストだと考えてるし、それにプライドを持っている(→なんかこういうのはこういうので一つの生き様としてカッコよくはある。時代の流れに逆らって無骨に愚直に貫き通す、みたいな。)
DF側の意図としては、やはりより小さくタイトにクリース前をパックして、 相手のOFのいい所を潰す/消し去るという効果
ただ、意外と思われるかも知れないが、Marylandとしては、実はZoneは自分たちにとってはよりやり易いと認識
- 自分たちが試合のペースや流れをコントロールし、試合の主導権を握ることになるので
- (→なるほど、そういう見方も出来るのかと。もちろん、もしかしたら本当はやっぱりman-toでやりたいけど、他チームに対してカマを掛ける意図で敢えて本音を隠してこう言っているのかも知れないけど)
まあ、大事なことは、Zoneに対峙しても、落ち着いて、自信を持って、自分たちの実力をきちんと出すこと。
- 動揺しちゃったり、苦手意識を持っちゃったり、揺らいじゃったりする、自分の心の揺らぎが結局一番問題。そうなると、自分が積極的に切り込んだり、シュートを打ったり、自分から積極的に自分のプレーをすることが出来なくなるから。
- (→まあ、それだけ準備しておくことが大事ってことなんだろうけど)
Warrior/Brine本社の映像
ILでWarrior/Brineの本社のツアーの動画があり、面白かったので紹介。普段僕らが使っているギアたちがどういう経緯で開発され、作られ、売られているのかを知る意味でも。ちなみにWarrior/Brine共に現在はNew Balance傘下。
典型的なアメリカのオフィスな感じ。R&Dやマーケティングやsampling/testing facilityなども。こういうところであーだこーだ議論しながらギアが生まれて行くわけねと。一応社員のKen Clausen (昨年のVirginia、現Denver Outlaw)が倉庫で油を売ってwall ballをやってるシーンなど笑える。
2011年4月2日土曜日
ESPNU Lacrosse Podcast 3/29/11
3/29のESPNU Lacrosse Podcast by Quint Kessenichでいくつか面白いと思ったコメントがあったので抜粋して紹介。(ILの記事のリンク、Podcastのリンク)
ちなみに本Podcast、毎週30分Quintが各チームのコーチ/選手にインタビューしていて、いろんな内情が知れて非常に面白い。NCAAやMLL好きならダウンロードして通学/通勤/運動中に聴いちゃったりするといいかも。英語のトレーニングにもなって一石二鳥。
Quint Kessenichは、例のESPNの試合でいつも解説している、Warrior InstructionでもMCをやっているあのシュッとした感じのカッコいい人(軽く川平慈英入ってねえかって話も。雰囲気的に。)。自身もJHUで4 time All American、2 time best goalieを獲得し、MLL黎明期にプロとしても活躍。聴いていると解るが、自身も元トッププレーヤーでラクロスのことを知り尽くしている上、その情報収集力と分析力、IQの高さから、極めてロジカルで鋭いコメントを発しまくっている。見ていて非常に頭のいい人だなーと感じる。滑舌も良くて、声も(好き嫌いが別れるが)クリアで、発言にパワーがある。ラクロス界の中でのinfluencer/オピニオンリーダーとしての影響力が非常に強い。
語彙もちゃんとしているし、喋りのトーンやペースも所謂ニュースの物ではなく、かなり日常会話や仕事で使われる英語に近く、英語のリスニングのトレーニングをする上ではかなりいいコンテンツかと。彼の喋りを直後にトレースして発音ごとコピっていくシャドーイングをしたりすると、より実戦的な言い回しや発音が身に付いていくはず。
今週の放送ではシーズン折り返し地点ということで、珍しく敢えて選手/コーチは呼ばずに、彼の分析/解説にフォーカス。
以下、三つ印象に残った点
1. 上手くいってるプレーヤーいってないプレーヤー
Cornell #3 AT Rob Pannell (Jr)が現在MVP候補筆頭を走っている他、Syracuse #40 DF John Lade (Sr)が相手エースをシャットダウンし続けているという話、Virginia #1 MF Shamel Bratton (Sr)はSyracuse戦等で見せた「一人じゃ絶対止められない」っぷりの話等に続いて、ここまでちと期待ほど上手く行ってない選手たちも言及。
一人目はやはりUNC #4 AT Billy Bitter (Sr)。Duke戦で二得点彼らしい複数人抜きの得点を決めたが、それ以外はイマイチ。時々そういうプレーが出来ているということは別に怪我等の問題がある訳でもないんだろう。#34 AT Nicky Galasso (Fr)がメキメキと頭角を表す横で影が薄れまくり。今後相当気合い入れて存在感出して行かないとMVPとはほど遠いと。
あとは、Notre Dame #28 Zack Brenneman (Sr)。去年のDukeとの決勝、今年のDukeとの初戦で引き続き鬼ダッジ&キャノン砲シュート(by両手)を見せたが、その後怪我で数試合欠場&失速。回復が待たれる。
そして、もう一人更なる活躍が求められるのが、Stony Brook #22 MF Kevin Crowley (Sr)。MVP候補筆頭と言われて来ただけに、期待値が高かった。ここまで「そこまでではないか?」という活躍度(悲しいかなStony BrookはここまでTV放映が無いので僕的には実際どうなのかよく解らん...)。でも直感的に大事な試合で責任感を持って結果を出して来る人なので、今後シーズン後半で本領発揮してくる気もしないでもない。
と、ここまでリストを見てはたと気付く。3人ともMLLドラフト1巡目指名じゃねえかと。たまたまか?それとも単純に1巡目指名だってんで僕らが勝手にムチャクチャ期待値上げまくっちゃっただけか?それとも、その期待値がプレッシャーとなりセルフイメージに影響してパフォーマンスを下げてるのか?恐らく、相手DFが「ドラ1」として徹底スカウティングして気合い入れてシャットダウンしに来るからか?全部の要素がそれぞれ細かく積み重なっての現状なんだろう。いずれにせよ今後Play offに向けてどうなって行くか注目。
2. Rob Pannellの凄さ
動画を見た選手の皆さんは既に散々感動したことと想像するが、今年のRob Pannellは、んマジで半端ねえ。突き抜けている。伝説の域に達しつつある。
Quintも試合の度に毎回指摘。が、今回のコメントで非常に印象的だなと思ったのが...Panellの凄さは、もちろん、1 on 1、シュート、パスなど、ATに必要な全ての技術をバランス良く高いレベルで融合させていること。が、一番凄いスキルは何かと言うと、「Vision(視野)」。常時味方全員と相手を見渡し、常に抜くプレッシャーを掛けながら空いた/空くであろうチームメートを見つけて実際にフィードしてくる、と。「視野」を「スキル/技術」として切り出し、且つそれこそが最大の武器だと言いきっている点が印象的だったし、極めて鋭く正しいことを言っていると感じ、共感した。
例えば、現役選手の皆さんの中でも「視野を広げるためにこういう練習をしよう」「今日は確実に視野が5°くらい広がったな」「今日の練習でフルスピードでスプリットダッジで抜いた直後もクリース見られてたのが成長だ」「俺は視野だきゃあ同世代じゃ誰にも負けないぜ」なんてコメントが出まくってくると素晴らしいし、
「一言に視野と言っても実は4つの要素に分解されて...
(ちなみに②〜④は実は意識しながら映像を見る事でかなりのところまで鍛えられる気もする。PannellやGalassoやStanwickが持った時にセットOFを都度都度止めて、「次の瞬間ここ空くんじゃね?」「ほらやっぱり空いた!...んで実際Pannellフィード出した!」みたいな。そうなってくると逆に練習でクリースの選手に対して「おい!今お前ボーッとしてたけど、このmove入れてこのturnすりゃフリー生まれてたぞ!そしたら余裕で一点じゃんかよ、勿体ねえぞ!」という会話が生まれまくるはず。)
スティックスキルや身体能力など眼に見え易い/測定し易いスキルと違い、この「視野」というスキル/技術要素は結構一般の選手たちは漠然としか認識しておらず、そこまで意識的に鍛えてはいないケースが多いと思うので、「未開の大地」感があるので、得意技にしちゃうと相当な競合優位性/差別化に繋がる気がする。要は、まだあんまし気付かれていない、競合の少ない「おいしい狩り場」/「ROIの高い漁場」。「視野の第一人者」を目指すってのは結構ありな生き方かも知れない。
あと、Quintは同じくNicky Galassoの視野にも言及していた。「DFをsee through出来るvision」だと。
3. ラクロスのスピードの問題
これ、Quintも何度も試合中に言及しているし、先日紹介したILの「どうやってよりラクロスを良くするか?」でも触れられていたし、ラクロスコミュニティの中で散々議論されていた事。「遅過ぎる。」
クリア後に何十秒も掛けて選手を入れ替え、無為にボールを回している時間を見て、ファンは「ん?これ何やってんの?何のゲーム...?」となってしまう。経験者でもつまらないし、新しくファンになる層にとっては理解不能。ストーリングも警告が出るまでが長いし、出た後もボックスの中でシュートを打たずにボールを回せばいいので、つまらんと。これはラクロスが今後メジャーになって行こうとする上で、必ず解決しなくてはいけない問題と言っている。(し、個人的にも完全に同意。)やはりMLL/NLLのようにショットクロックを入れて展開を早くするのが一番いい気がする。
Quintも、コーチや選手に責任は無い、彼らは今のルールの枠組みの中で、最も確実に勝てる戦術を取る義務がある、そして、ラクロス全体の為にルールを変えるのはコーチや選手ではなく、NCAAや協会の責任だ、とも。これも同意。
また、それに関連してもう一つ指摘していたのが、スティックテクノロジーの進化(curving head、offset、pinched-shape)により、ボールがほとんど落ちなくなってしまっていること、そしてその影響。
今やほとんどチェックでボールを落とすということが物理的に不可能になって来ている。結果ポゼッションが絶対的なものに近づきつつ有る。そのため、OF-DF両方をやりコートを縦横無尽に駆け回るという昔ながらの本格派仕事人MFが姿を消し、OF専門MF、DF専門MFにどんどん分けられている。また、Defenderが相手を詰めて、チェックでボールで落とすことが難しくなり、プレッシャーを掛けてチェックでカモりに行くDFが時代遅れになりつつあり、ほとんどのDefenderが保守的にポジションと角度だけで守り、チーム全体での連携したスライド/カバーが益々重要になって来ている。
Quint曰く、一人の人間が頻繁に3人も4人も抜けるのはおかしいと。もっとトランジッションを起こし、めまぐるしい変化のあるダイナミックなゲームにするためには、スティックのテクノロジーを敢えて規制してグレードダウンするしか無いと。(ボール落ち易くしたらオフェンス力が下がってロースコアになるんじゃないの?という反論もありそうだが、個人的には逆で、ボールが落ちる、即ち双方にとって予測していないルースボールの状況が多く生まれ、結果としてbroken situationが多く生まれてトランジッションが増えることにより、ゲームのスピードがアップして、という力学が働き、結果得点機会数は変わらないか、場合によっては増える気がする。)
非常に面白い議論だなと思ったし、多くの部分で同意/納得した。今後この試合のスピードとショットクロックの話、そしてスティックの進化によるトランジッション/ボールダウンの少なさの話は恐らく今後も何度も議論され続けていくだろうし、どこかで大きな変更が加えられるイシューな気がする。
ちなみに本Podcast、毎週30分Quintが各チームのコーチ/選手にインタビューしていて、いろんな内情が知れて非常に面白い。NCAAやMLL好きならダウンロードして通学/通勤/運動中に聴いちゃったりするといいかも。英語のトレーニングにもなって一石二鳥。
Quint Kessenichは、例のESPNの試合でいつも解説している、Warrior InstructionでもMCをやっているあのシュッとした感じのカッコいい人(軽く川平慈英入ってねえかって話も。雰囲気的に。)。自身もJHUで4 time All American、2 time best goalieを獲得し、MLL黎明期にプロとしても活躍。聴いていると解るが、自身も元トッププレーヤーでラクロスのことを知り尽くしている上、その情報収集力と分析力、IQの高さから、極めてロジカルで鋭いコメントを発しまくっている。見ていて非常に頭のいい人だなーと感じる。滑舌も良くて、声も(好き嫌いが別れるが)クリアで、発言にパワーがある。ラクロス界の中でのinfluencer/オピニオンリーダーとしての影響力が非常に強い。
語彙もちゃんとしているし、喋りのトーンやペースも所謂ニュースの物ではなく、かなり日常会話や仕事で使われる英語に近く、英語のリスニングのトレーニングをする上ではかなりいいコンテンツかと。彼の喋りを直後にトレースして発音ごとコピっていくシャドーイングをしたりすると、より実戦的な言い回しや発音が身に付いていくはず。
今週の放送ではシーズン折り返し地点ということで、珍しく敢えて選手/コーチは呼ばずに、彼の分析/解説にフォーカス。
以下、三つ印象に残った点
1. 上手くいってるプレーヤーいってないプレーヤー
Cornell #3 AT Rob Pannell (Jr)が現在MVP候補筆頭を走っている他、Syracuse #40 DF John Lade (Sr)が相手エースをシャットダウンし続けているという話、Virginia #1 MF Shamel Bratton (Sr)はSyracuse戦等で見せた「一人じゃ絶対止められない」っぷりの話等に続いて、ここまでちと期待ほど上手く行ってない選手たちも言及。
一人目はやはりUNC #4 AT Billy Bitter (Sr)。Duke戦で二得点彼らしい複数人抜きの得点を決めたが、それ以外はイマイチ。時々そういうプレーが出来ているということは別に怪我等の問題がある訳でもないんだろう。#34 AT Nicky Galasso (Fr)がメキメキと頭角を表す横で影が薄れまくり。今後相当気合い入れて存在感出して行かないとMVPとはほど遠いと。
あとは、Notre Dame #28 Zack Brenneman (Sr)。去年のDukeとの決勝、今年のDukeとの初戦で引き続き鬼ダッジ&キャノン砲シュート(by両手)を見せたが、その後怪我で数試合欠場&失速。回復が待たれる。
そして、もう一人更なる活躍が求められるのが、Stony Brook #22 MF Kevin Crowley (Sr)。MVP候補筆頭と言われて来ただけに、期待値が高かった。ここまで「そこまでではないか?」という活躍度(悲しいかなStony BrookはここまでTV放映が無いので僕的には実際どうなのかよく解らん...)。でも直感的に大事な試合で責任感を持って結果を出して来る人なので、今後シーズン後半で本領発揮してくる気もしないでもない。
と、ここまでリストを見てはたと気付く。3人ともMLLドラフト1巡目指名じゃねえかと。たまたまか?それとも単純に1巡目指名だってんで僕らが勝手にムチャクチャ期待値上げまくっちゃっただけか?それとも、その期待値がプレッシャーとなりセルフイメージに影響してパフォーマンスを下げてるのか?恐らく、相手DFが「ドラ1」として徹底スカウティングして気合い入れてシャットダウンしに来るからか?全部の要素がそれぞれ細かく積み重なっての現状なんだろう。いずれにせよ今後Play offに向けてどうなって行くか注目。
2. Rob Pannellの凄さ
動画を見た選手の皆さんは既に散々感動したことと想像するが、今年のRob Pannellは、んマジで半端ねえ。突き抜けている。伝説の域に達しつつある。
Quintも試合の度に毎回指摘。が、今回のコメントで非常に印象的だなと思ったのが...Panellの凄さは、もちろん、1 on 1、シュート、パスなど、ATに必要な全ての技術をバランス良く高いレベルで融合させていること。が、一番凄いスキルは何かと言うと、「Vision(視野)」。常時味方全員と相手を見渡し、常に抜くプレッシャーを掛けながら空いた/空くであろうチームメートを見つけて実際にフィードしてくる、と。「視野」を「スキル/技術」として切り出し、且つそれこそが最大の武器だと言いきっている点が印象的だったし、極めて鋭く正しいことを言っていると感じ、共感した。
例えば、現役選手の皆さんの中でも「視野を広げるためにこういう練習をしよう」「今日は確実に視野が5°くらい広がったな」「今日の練習でフルスピードでスプリットダッジで抜いた直後もクリース見られてたのが成長だ」「俺は視野だきゃあ同世代じゃ誰にも負けないぜ」なんてコメントが出まくってくると素晴らしいし、
「一言に視野と言っても実は4つの要素に分解されて...
- ①実際に物理的に見えてること(激しく動きながら、常時、且つ出来るだけ広く)、
- ②そして展開/状況が将棋盤として把握出来る事、
- ③それを踏まえて個々人の次/次の次の動きを予測出来る事、
- ④結果として、空く選手が走り込むべき、即ちフィードを投げて誘導するべきスポットが赤外線レーザー照準機能みたいにビタッと見える事」(みたいな感じ...?)
(ちなみに②〜④は実は意識しながら映像を見る事でかなりのところまで鍛えられる気もする。PannellやGalassoやStanwickが持った時にセットOFを都度都度止めて、「次の瞬間ここ空くんじゃね?」「ほらやっぱり空いた!...んで実際Pannellフィード出した!」みたいな。そうなってくると逆に練習でクリースの選手に対して「おい!今お前ボーッとしてたけど、このmove入れてこのturnすりゃフリー生まれてたぞ!そしたら余裕で一点じゃんかよ、勿体ねえぞ!」という会話が生まれまくるはず。)
スティックスキルや身体能力など眼に見え易い/測定し易いスキルと違い、この「視野」というスキル/技術要素は結構一般の選手たちは漠然としか認識しておらず、そこまで意識的に鍛えてはいないケースが多いと思うので、「未開の大地」感があるので、得意技にしちゃうと相当な競合優位性/差別化に繋がる気がする。要は、まだあんまし気付かれていない、競合の少ない「おいしい狩り場」/「ROIの高い漁場」。「視野の第一人者」を目指すってのは結構ありな生き方かも知れない。
あと、Quintは同じくNicky Galassoの視野にも言及していた。「DFをsee through出来るvision」だと。
3. ラクロスのスピードの問題
これ、Quintも何度も試合中に言及しているし、先日紹介したILの「どうやってよりラクロスを良くするか?」でも触れられていたし、ラクロスコミュニティの中で散々議論されていた事。「遅過ぎる。」
クリア後に何十秒も掛けて選手を入れ替え、無為にボールを回している時間を見て、ファンは「ん?これ何やってんの?何のゲーム...?」となってしまう。経験者でもつまらないし、新しくファンになる層にとっては理解不能。ストーリングも警告が出るまでが長いし、出た後もボックスの中でシュートを打たずにボールを回せばいいので、つまらんと。これはラクロスが今後メジャーになって行こうとする上で、必ず解決しなくてはいけない問題と言っている。(し、個人的にも完全に同意。)やはりMLL/NLLのようにショットクロックを入れて展開を早くするのが一番いい気がする。
Quintも、コーチや選手に責任は無い、彼らは今のルールの枠組みの中で、最も確実に勝てる戦術を取る義務がある、そして、ラクロス全体の為にルールを変えるのはコーチや選手ではなく、NCAAや協会の責任だ、とも。これも同意。
また、それに関連してもう一つ指摘していたのが、スティックテクノロジーの進化(curving head、offset、pinched-shape)により、ボールがほとんど落ちなくなってしまっていること、そしてその影響。
今やほとんどチェックでボールを落とすということが物理的に不可能になって来ている。結果ポゼッションが絶対的なものに近づきつつ有る。そのため、OF-DF両方をやりコートを縦横無尽に駆け回るという昔ながらの本格派仕事人MFが姿を消し、OF専門MF、DF専門MFにどんどん分けられている。また、Defenderが相手を詰めて、チェックでボールで落とすことが難しくなり、プレッシャーを掛けてチェックでカモりに行くDFが時代遅れになりつつあり、ほとんどのDefenderが保守的にポジションと角度だけで守り、チーム全体での連携したスライド/カバーが益々重要になって来ている。
Quint曰く、一人の人間が頻繁に3人も4人も抜けるのはおかしいと。もっとトランジッションを起こし、めまぐるしい変化のあるダイナミックなゲームにするためには、スティックのテクノロジーを敢えて規制してグレードダウンするしか無いと。(ボール落ち易くしたらオフェンス力が下がってロースコアになるんじゃないの?という反論もありそうだが、個人的には逆で、ボールが落ちる、即ち双方にとって予測していないルースボールの状況が多く生まれ、結果としてbroken situationが多く生まれてトランジッションが増えることにより、ゲームのスピードがアップして、という力学が働き、結果得点機会数は変わらないか、場合によっては増える気がする。)
非常に面白い議論だなと思ったし、多くの部分で同意/納得した。今後この試合のスピードとショットクロックの話、そしてスティックの進化によるトランジッション/ボールダウンの少なさの話は恐らく今後も何度も議論され続けていくだろうし、どこかで大きな変更が加えられるイシューな気がする。
登録:
投稿 (Atom)