2016年4月27日水曜日

NCAA 2016 #08 Notre Dame @North Carolina

レギュラーシーズン、ACC (Atlantic Coast Conference)の最後の1試合、Notre Dame (1位)対North Carolina (13位)。地元North Carolina州Chapel HillのKenan Stadiumにて。

全米1位のNotre Dameとの大事な一戦という事で、気合を入れて会場で観戦。


1. Background

UNCは、4年生にとって最後のhome game。所謂、「Senior Day(4年生の送り出しDay)」。会場にも家族や生徒を含め、多くの地元ファンが詰め掛けていた。

生でNotre Dameを見るのは今年は初めて。2012年に前回アメリカを離れる前に何度か見て以来。現時点で9勝1敗の堂々の1位。かなり強いらしいという話は聞いていたので、非常に楽しみにしていた。

2. Recap

試合は、クッソ熱い展開に。前半はお互い一歩も譲らず手堅く得点を重ね、8対8の同点で折り返し。

Q3で、チームとして、そして個人としての差が露呈し、Q3にNotre Dameが14-9と突き放す。

この時点で、「あー、やっぱNotre Dame明らか格上だわー、無理ーつええよー」と観客が思い始めた矢先、Q4にNorth Carolinaが今年何度か見せてきた、異様なハートの強さを見せ、ぐいぐい追い上げ。Notre Dameのシュートが何本かパイプに当たる等の運にも恵まれ、気合いでまさかの同点、そして逆転、更に2点差へと突き放しての勝利。

いやー、まさか勝つとは思わなかった。これでUNCはACCで3勝1敗で1位。4チームで行われる今週末のACCトーナメントに1位シードで臨む事に。一回戦は先週負けているSyracuseと。勝って欲しい。

いずれにせよ、UNCは今年は昨年主力がごっそり抜けた事により、今年の成績は不安視されていた。シーズン前半こそ格下に負けて苦しんだが、後半はACCチーム3チーム(Virginia, Duke, Notre Dame)に接戦も含めて勝ちきり、いい感じで上り調子にある。いろいろ弱点はあるし、実力以上に気合と根性とメンタルで勝ち切ってる感じも正直あるが、それも含めて実力っちゃ実力なので、素直に嬉しいし、応援し続けたい。

16チームが参加するNCAAトーナメントでは、1回戦は明らかな格下と当たれば確実にBest 8までは進める見込みが高く、組み合わせ次第ではもう一つ勝ってFinal Fourに行く可能性もある。既にFinal FourのチケットとPhilly行きのFlightも抑え、応援する気満々なので、是非Final Four行きを決めて欲しい。

3. 見所

正直言って、敵チームながら、明らかに、客観的に見て、Notre Dameの方が強かった。

恐らくUNCの選手たちも、会場にいたファンもそれは感じたはず。

優勝候補筆頭として名前が上がるのも非常に納得の内容だった。いくつか記憶に残っているのは、

  • エース#50 AT Matt Kavanagh (Sr./4年)が突出して凄かった。ATとして今年のNCAAではトップクラス。怪我でシーズン当初出遅れたが、明らかに本来の実力を取り戻しつつある。スティックスキルも素晴らしく、視野もあって、むちゃくちゃ効果的なフィードを出してくる。フィジカルも強く、強力な下半身でグイッと抜く力もあり、シュートも特にLeftyで長距離で決められるため1-on-1も脅威。ボールを持つだけで流れを変えられる選手。
  • そのKavanaghとコンビを組む#24 AT Mikey Wynne (Sophomore/2年)のクリースの仕事人っぷりも凄い。むちゃくちゃ自分の役割を心得た、超Productiveな役回り。
  • あとは#16 MF Sergio Porkovic (Jr./3年)のサイズ、身体能力、突破力、シュート力はトップクラス。ゴリっと抜いて、背負ったまま強引に、安定した形で危険なシュートを打てる。まだ3年なので、来年のMLLドラフトで間違いなく最上位で指名されるはず。個人的には、DukeのMyles Jonesよりもこっちのが本格派/正統派大型MFって感じかと。Notre Dame伝統の、でかくてフィジカル強い屈強なMF軍団を継ぐ選手。
  • 全体を通して、OFがものすごくDisciplined(規律に満ちていて)、手堅い。1-on-1でATからも、MFからも、しかも2nd/3rd stringでも抜けて、スライドを発生させられて、プレッシャーのある中安定したパス回しで、かなり高い確率でフリーで危険なエリアからのシュートに繋げられている。現時点でここまで完成度の高いオフェンスを遂行しているのは、恐らくNotre DameとDenverの2チームだけじゃないかと。やっぱり優勝するチームってこういう感じだよね、という印象を受けた。
  • 伝統の強力な、そして保守的でよーく訓練された、Disciplined DFは健在。ゴール前にぎゅーっと凝集してクリース前をパック。危険なシュートを極力打たせない。派手だがリスキーなチェックは絶対にしない。脚で着いて行く。スライド正確。スライドのフェイクも状況判断で繰り出して相手を混乱させている。コミュニケーションも物凄くしっかり取れてる。スティックアップや首振りなどの基本も出来ており、パスカットでのTurnoverを結構な頻度で発生させている。
  • 2008-2012年に見ていた頃は、Notre Dameと言えば、①超優秀なGoalie、②でかくて動けてものすごく訓練されてて手堅いDF陣、③でかくて走れて強力なシュート打てるMF陣、という3点セットが毎年の定番だったイメージ。どうやらここ数年のチームには、それに加えて当時は弱点と言われていた、④NYやMaryland出身の、スティックスキルの高いエリートAT陣が揃っちゃってる。明らかにDenverと比べても総合力が上に見える。
  • 強いて言うなら、毎年NCAAを代表する守護神Goalieを輩出してきた伝統のポジションであったはずのGoalieが今年はちょっと弱いか?特にQ4での6失点は、「ん?Goalie止められないか?」と思ったシュートも何本かあった。これがトーナメントでどう出るか。
  • まあでも、それも引っくるめて、やはり現時点ではNCAA内では一番Championっぽい感じかなと。







2016年4月25日月曜日

NCAA 2016 #07 North Carolina @Syracuse

4月16日(土)の、North Carolina対Syracuse戦。Syracuseの本拠地Carrier Domeにて。

1. Background

ACC  (Atlantic Coast Conference)の強豪2校の対決。それぞれUNCは11位、Syracuseは9位と現時点でトップランクからは多少落ちているものの、それぞれFinal Fourは狙えるレベルのチーム。

Syracuseは前回の記事でも書いた通り、NCAAトーナメント優勝10回で最多。

Syracuseのホーム、Carrier Domeは、全天候型のドームスタジアムで、大学ラクロスの世界で最も手強いと言われるコート。

一般的に、日本の関東学生リーグと違い、NCAAではほとんどのリーグ戦がいずれかの学校のコートで行われる(通常特にリーグ内の試合では、1年ごとにホームコートを交代しているケースが多い)。また、広いアメリカの中でのバスや飛行機を乗り継いでの長距離移動、ホテル滞在、移動中の食事や疲労から、どうしてもアウェイチーム(ゲストチーム)は遠征先で本来の力が発揮できないケースが多く、逆にホームチーム(ホストチーム)は、いつも自分達が生活している大学の寮のベッド、食事、友人、環境に囲まれ、練習と同じノリで、慣れたコートでの試合。加えて、通常千人を超える家族、学生や、地元ファンが訪れるため、圧倒的に応援の面でAdvantageがある。

従って、NCAA Lacrosseでは、一般的にホームのチームの方が明らかにAdvantageがあるというのが共通の理解。イメージ、実力が拮抗した2チームが試合をする場合、ニュートラルの会場での勝率が50/50だとすると、ホームでの勝率は60/40か70/30くらいまで振れる感じじゃないだろうか?実際に選手の躍動感や集中力が如実に違うのが見て取れるケースも多い。

特にここ数年のように下位チームがより強くなり、実力が拮抗したリーグになってくると、かなり頻繁に格下のホームチームが格上のゲストチームを倒すというUpset (番狂わせ)が起きてくる。

そんな中でも、SyracuseのCarrier Domeは有名な、「やりたくない場所」として知られている。

Inside LacrosseのPodcastでも触れられており、今回の映像を見ていくつか感じるのは、
  • 地元ファンの数が圧倒的に多い。特に他の大都市と違い、他のスポーツ娯楽やプロスポーツチームが少ないため、大学関係者/卒業生/家族以外の、普通の地元市民にとって、ある意味地元のプロスポーツ的な応援の対象になっている
  • ドームの会場が少ないため、周囲の見え方や照明の感じなど、恐らく単純な「慣れ」の問題があるはず(他のチームにとっては2年に一度のドームでのプレー。Syracuseにとっては毎週試合してるおなじみのホームコート)
  • 人工芝がちょっと特殊なのかな?とも思える。UNCのメンバーが結構Ground ballでスティックのヘッドがザクッと刺さったり、後半如実に疲労が脚に来てるように見える。
従って、UNCにとっては恐らく実力以上に苦しい戦いが予想された一戦。

2. Recap

案の定、序盤からUNCは苦戦。逆にSyracuseは水を得た魚の様に、正にSyracuseのお家芸、Fast breakや、スティックスキルに物を言わせたパスワークからの美しいシュートでの得点を積み重ねる。

UNCはちょっと強みを発揮できず。Duke戦で爆発したATの1-on-1も決まらず、単純なパスミスやTurnoverを重ねてしまう。

結果、13対7で危なげなくSyracuseが圧勝。まあ、納得。

両者はACCのトーナメントで再戦する可能性も高い。次回の会場はニュートラル。本来の実力ベースでの対決になるはず。どうなるだろうか。

3. 見所

たくさんあるが、敢えて絞りに絞って数点。

やはり、Syracuseのオフェンス。Up state New York (New York州北部)伝統の、インドアに根ざしたハイレベルなスティックスキルを存分に見せてくれた。

特に印象に残ってるのは、
  • Q1残り14分の1点目。日本のラクロス選手たちも十分にお手本に出来る、Fast breakでの教科書通りの得点。
  • あとは、セットオフェンスやEMO中の、クリースで貰ってからのクイックのシュートの打つまでの早さと正確さ。Q2の6点目、7点目、8点目。
  • あとは、前回のDuke戦でも触れた、#48 MF Sergio Selcido (Jr./3年)のダッジのキレとShooting on the run。Q1 残り9分の2点目。3点目のオフボールで抜いて、貰ってクイックでのミドルもえげつない。





2016年4月21日木曜日

NCAA 2016 #06 North Carolina @Duke

ちょっとずつ時間軸を前後しながら、過去の試合を消化。今回は、4月9日(金)の夜にNorth Carolina州DurhamのDuke大学のKoskinen Stadiumで行われた、UNC vs Dukeの試合。

1. Background

UNCとDukeと言えば、大学スポーツのみならず、アメリカのスポーツの世界に於いて最も有名なライバル関係の一つ。特に両校共に全米最強クラスのバスケでは、毎年のリーグ戦でお互いの会場で行われる2試合はもはや恒例の一大イベントになっており、チケットも席によっては軽く数十万の金額に高騰している。

共にNorth Carolina州のTriangle Areaに位置し、UNCのChapel HillとDukeのDurham(ダーラム)は正に目と鼻の先の位置関係。車でものの15分程度の場所にある事もあり、地元住民を巻き込んでの、青対水色の対立関係が出来ている。(ちなみに僕が住んでいるのはUNCの本拠地Chapel Hillなので、当然UNCのファンという事に。)

ラクロスはさすがにそこまでの注目度は無いものの、毎年レギュラーシーズン、ACCトーナメントで、プライドを掛けたバチバチの熱戦を演じている。

2. Recap

結論から言うと、今シーズンこれまで見てきた6試合の中で最高の試合!いやー面白かった!夜寝る前にうっかり見始めて、興奮して眠れなくなっちゃったパターン。これぞNCAA Lacrosse!このエキサイティングさこそがラクロスの醍醐味だよね!と改めて実感させられた試合。ああ、ラクロスファンで良かった!と思わされた。点の取り合いで、いろんな選手が持ち味を発揮して、いろんな形で活躍し、DFやGの見せ場もあり、FOやGBの攻防もあり、正にラクロスの全てが詰まった素晴らしい試合。

例えば、家族や親戚、ラクロスを知らない友人、新人勧誘のターゲットの新入生たちにラクロスを紹介するために見せるなら、こういう試合じゃね?っていういい例。

3. 注目したい点

いくつか、選手として、チーム戦術として、そしてスキル面で、非常に面白かったり、勉強になった点があったので箇条書きでザッと洗い出し。

Duke #15 Myles Jones (Sr./4年)がやっぱりとんでもねえ

1月に行われたMLL (Major League Lacrosse)のドラフトで堂々の全体1位指名。今年のTewaaraton Trophy (MVP)候補筆頭。むちゃくちゃすごいという話は聞いていた。一方で、前回見たSyracuseの試合では、そこまで活躍しておらず、「そんなに凄いんか?」と思ってしまっていた。

が、今回の試合を見て完全に認識が変わった。やべえっす。参りました。マジえげつねえ。そりゃMLL 1位指名になるよね、っていう。

フィジカルがエグいのは周知の事実。身長196cm、体重109kg。MMA(総合格闘技)でも余裕でヘビー級。反則のサイズ。引き続き、小学生の試合に大人が一人ポツンと混ざっちゃったね状態。で、身体能力も突出。安定してるし、動ける。当たって容赦なく相手をなぎ倒していける。

で、今回は、スキル面/巧さをかなり見せてくれた。まず、シュート恐ろしい。今回の試合ではやばいコースにズガンッと決めている。

合わせて、結構驚かされたのが、フィードのスキルの高さ。さすがに4年間毎年早めのスライドをされまくってきた事もあってか、かなり視野を確保して精度の高いフィードを出し、いくつもアシストしている。なんと5得点6アシストの活躍。全16得点のうち11点に絡む怒涛の活躍…まじ一発で黙らされました。これはUS代表級ですわ…

それに対するUNCのDF戦略も面白い

面白かったのは、前半、敢えてセオリーに反し、Myles Jonesに対してShorty (Short Stick DFMF)を付け、代わりに超早めのスライドで対応しようとした点。おそらくUNCにでかくてフィジカルの強いLSMFがいないが故の苦肉の策/Creative Solutionか?

ところが、これがうまくいかず、逆にJonesに自由自在にフィードを出されて失点。

後半に入ってZoneに切り替え。これが結構ハマってTurn overを誘発。この辺のDFの戦術的な駆け引きは非常に面白い。

Dukeやっぱり完成度上がってきてる

前回のSyracuse戦の記事でも紹介したが、毎年DukeのCoach Danowski氏は明確にピーキングをトーナメントの決勝に持ってきており、前半の試合は敢えて試行錯誤/学習させるために負けを許容している。ちょうどレギュラーシーズンも終盤に差し掛かり、例年DukeがチームとしてのIdentityを発見し、徐々に優勝候補に変貌するタイミング。

今回の試合でも、負けはしたものの、明らかにチームとしてより良いラクロスをしていた。今後トーナメントに向けて一気にトップに躍り出てくる気もする。5月の末のMemorial Day Weekend (Final 4)で見られる可能性も結構高い気がする。

UNCのAT #0 Steve Ponterello (Sr./4年)のXからの1-on-1が素晴らしい

今回の試合で6得点と爆発。去年までJimmy BitterやJoey Sankeら偉大な先輩たちの陰に隠れ、ATとしての存在感は薄かった。

が、すげえ実力者なのねって事がここ数試合で明確に解って来た。

特にXからのダッジの一歩目の踏み出しの鋭さ、そこからの爆発的なスピード、GLE (Goal Line Extended - ゴールライン)を超えてからのFade Awayでのスティックの軌道を体で隠しながらの鋭いシュートと精度。無茶苦茶素晴らしい。ATの選手は何度も見直して、完コピを目指して反復練習したい動き。

身体能力だけで見たときに、そこまで足が速いようにも見えないが、とにかく一歩目の踏み出しの鋭さ。相手を出し抜く切り返しの動き。真似できない動きじゃ無い。

あと、物凄くお手本にしたいのは、裏からの1-on-1からの振り向きざまのシュートを、左右両方で同じように鋭く決めている点。これは絶対に数万本の反復練習の成果。これが利き手でしか抜けない/決められないのと、左右の選択肢があるのでは、DFの守りにくさが圧倒的に変わってくる。一人で完結する形で1-on-1でここまで得点できると、相当な戦力になる。是非とも見習いたい。



2016年4月18日月曜日

NCAA 2016 #05 Virginia @North Carolina

週末にちょっとずつDVRに撮り溜めした過去の試合を消化。今回は4月9日の試合。ACC (Atlantic Coast Conference)のConference内での試合。20位のVirginiaを11位のNorth Carolina (UNC)が迎え撃つ。

1. Background

ACCは現代のNCAA Lacrosseの中では明らかに最高峰のリーグになっている。Notre Dame, Duke, Syracuse, Virginia, UNCと競合がゴロゴロ。

が、今年は各チーム前半に格下にポロポロ負けてしまっており、現時点で順位が低くなってしまっている。

特に5度の優勝を誇る伝統強豪校のVirginiaがここまで苦戦しているのは時代の移り変わりを感じる。2011年のAT #6 Steele Stanwickを擁しての優勝以来、明らかに低迷してしまっている。開幕前は今年こそは復活の年かと言われていたが、残念ながらそうはなっていない。

2010年に、男子ラクロス選手が元交際相手の女子ラクロス選手を殺害するという痛ましい事件があり、全米でニュースになった事もあり、明らかにそれ以降リクルーティングでも苦しんでいるように見える。

このままだともしかしてトーナメント出場すらキツイか?昔から多くのラクロス選手が憧れて来た学校。Virginiaが強くないとやはり盛り上がらない。応援したいところ。

2. Recap

地元Chapel HillのUNCにとっては毎年恒例のDukeと並ぶライバル対決。バスケ、フットボールと並び、ラクロスでのVirginiaとの対決は毎年ヒートアップした激戦になる。僕が前回Chapel Hillにいた2012年には負けており、今回は勝って欲しいところ。そうは言っても相手はVirginia、接戦になるのは間違いないと思っていた。

が、蓋を開けてみるとまさかの展開。UNCのオフェンスが爆発し、Virginiaを粉砕。前半から一気に突き放し、そのままゴール祭りとなって試合終了。16-8の圧勝であっけなく終わってしまった。

3. 見所

が、いくつか今年のNCAAラクロスを見る上で非常に示唆のある試合ではあった。

UNCのオフェンスがハマると強力

なるほど、UNCのOF Coach、David Metzbower氏はこれがやりたかったのね!と思わず納得。「ザ・全員オフェンス」が炸裂。ゴリゴリとダッジでスライドを発生させ、フリーの選手を作り、そこから確実にいいシュートを打って決める。スライドが来なければそのまま直接シュート。

得点者が10人で16得点。AT、MF、しかもMFの2nd Stringが結構点を取っている。これは相手DFからすると、スカウティングで的を絞れない上、LSMF以外のところから結構失点するリスクがあり、結構嫌な相手のはず。

UNCのゴーリーの#30 Brian Balkam (Sophomore/2年)がかなり来てた

14セーブの活躍。結構大事な場面でバシッとセーブしてた。今回の試合は素晴らしい。

UNCのFace Offer #24 Stephen Kelly (Jr./3年)がFOを圧倒的に支配

25分の17で7割。ここまでFOを支配できると明確にPossessionの時間に差を生める。Virginiaは相当きつかったはず。特にDFは休む時間を与えられなかったので、相当泣きそうだったはず。

最強クラスのFace Offerを擁したDenverの試合ではかなり苦戦しており、やはり、「無敵」ではない感じか。それでも格下の試合を落とせないNCAA Tournamentの1-2回戦ではかなり重要な役割を演じる事になるはず。

Virginia大丈夫か?

ちょっと、明らかに昔のVirginiaに比べて格が下がっているのが明確に感じられる。前回見たHopkins戦と比べても、明らかにダメな部分が露呈してしまった。

Goalieが心もとない。明らかにカモられてる。セーブすべきシュートをセーブ出来ていない。

DFも連携が取れておらず、スライドに行けてなかったり、スライドのスライドがガラ空きだったりという状況が散見される。

名門のATも、元CornellでMVPだった現MLLのRob Pannellの弟、#32 James Pannell (Sr./4年)がエースという事になっているが、兄程のカリスマやインパクトは感じられず、膝の怪我に苦しんで動きも良くなく、シュートも枠に行っておらず、明らかに本調子ではない。

スティックスキルで勝負するSyracuseを始めとした「北のラクロス」に対して、身体能力、サイズ、走力、Gound Ballで勝負する、「南のラクロス」を体現するチームだったはず。伝統のでかくて走れてエグいシュート打ってくる容赦ないイメージのあったMF陣も、今のチームは数段落ちる感じだし、優勝時代は常に攻撃の起点になっていた伝統の怒涛のGround Ballの強さも感じられない。寄りで負けているし、フィジカルの強さが感じられない。

ぶっちゃけ、明らかに集まっている選手の素材の質が落ちていると感じる…正直リクルーティングでTop of topの高校生選手を集められてない感じか…

この試合の敗戦によりVirginiaはとうとうRanking圏外(25位未満)にまで降格。このままだとNCAA Tournament出場は本当に厳しくなってしまう。

このVirginiaの低迷はファンとしてはなんとも悲しい。Head coachのDom Starsia氏はラクロス界を代表する素晴らしいコーチ。なんとか引退前にもう一花咲かせて頂きたいと個人的には感じてしまう。

2016年4月11日月曜日

NCAA 2016 #04 Syracuse @Duke

3月26日(土)のSyracuse (5位) vs Duke (11位)。

1. Background

Dukeは、2006年の現John Danowski HC就任以来、2010, 2013, 2014年と、過去6年間で3度優勝。現時点ではNCAAラクロスの世界でトップを走る学校。(ちなみにDukeはバスケでも大学バスケ最高のヘッドコーチ、コーチKことCoach Mike Krzyzewski=マイク・シャセフスキーがいる)

Coach Danowski氏は例年明確にChampionshipにピークを持ってくるピーキングの考え方を実行しており、シーズン序盤はあくまで学ぶべきことを学ぶ場として使っており、結構序盤に「え?この相手に?」という相手に負ける事が多い(レギュラーシーズン15試合なので、多少負けてもトーナメントに出られるので。この点、一つでも余計に負けるとPlay Offに出られなくなる日本の学生リーグとちょっと仕組みが違う)。今年も例に漏れず、この試合の時点でHarvard, Richmond, Air Forceと、明らかな格下チームに負けている。 トーナメントまでの準備期間も残り少なくなってきた中、どこまでまとめて行けるか。ちなみにAssistant Coachには息子で2008年の準優勝メンバー、MLLのMatt Danowski氏が入っている。

Syracuseは誰もが認める、大学ラクロスを引っ張ってきたチーム。NY州北部のラクロスの盛んなエリアで、NCAA史上最多の10界優勝を誇り、Gait brothersやPowell brothers等、過去のラクロス界を代表する選手を輩出してきた。が、2009年の優勝以来タイトルから遠ざかってしまっている。(Virginia, Hopkins同様、80年代、90年代の強豪校がここ数年苦戦している例の一つ)

2. Recap

またしてもアツすぎる試合展開。最初にSyracuseが先制して逃げ切るかと思いきや、Dukeがぐっと追いつき、逆転。その後Syracuseが気合で追いつきOT (Over Time)に持ち込み、最後はサドンデスの劇的幕切れ。

あれ?今年見た4試合今の所全部OTだ…やはり今年のNCAAラクロスはかなり面白い。

3. 注目ポイント

いくつか、記憶に残った選手を紹介。

実は今回意図的にDukeの試合を見たのは、一人、絶対に見ておきたかった選手がいたから。Duke #15 MF Myles Jones (Sr./4年)。MLL全体1位指名。身長196 cm、体重109 kg。ぶっちぎったサイズと身体能力の持ち主。すごいすごいという話は聞いていたが、実際に試合を見た事がなかったので是非とも見てみたいと思っていた。実際に今回の試合でもOFMFとして無双っぷりを発揮。単純に、でけえ&身体能力が違う。正直言って、小学生の試合の中に一人ぽつんと大人が混ざってる感じ。あれ?一人だけ巨人がいる…っていう。ボールを持ったら、一人でかなり高い確率で決まりそうなシュートにまで持っていける。相手が押してもビクともせずにズドンとシュートを打てる。この素材はえぐい。ザ・規格外。ただ、どうでしょう、例えば、Paul Rabilのような、でかさと身体能力に加えた、えげつない上手さは感じないか?強引なダッジからえぐいシュートを打ってくるが、洗練されたステップワークやパス、シュートの正確さを感じさせる訳ではない。シュートの精度にもちょっと不満が残る。荒削りのまま4年性になってる感じか?ただ素材としては文字どおり何十年に一度のレベル。MLLに行って急成長しないかな?きついかな?ただまあ単純にEntertainmentとして見てるだけで盛り上がるのは間違いない。

あと、Syracuse全体のBreakやUnsettled situationでのオフェンスの「楽しさ」は健在。HCのCoach Desko氏は、敢えてシステムや決め事を作らずに、選手の創造性を尊重して自由にやらせる事に定評がある。崩れた状態でのUpstate NY出身のStick skillに優れた選手たちの華麗なパス回しからの目の覚めるシュートは、やはり見てて最高に盛り上がる。ボックスラクロスのような華やかさがある。ポゼッション超重視、リスクを取らずに、丁寧に丁寧に崩してフリーを作る、決め事の多い現代ラクロスにおいて、個人的にはやはりどうしてもSyracuseを応援したくなる。

Syracuseのオフェンスはやはり皆Stick skillが高く、Agilityもあって相変わらず強力なのだが、今回一人「うおっ」と思わされたのが、#48 MF Seogio Salcido (Jr./3年)のダッジのキレ。一歩の大きさと速さ、鋭さが、明らかに群を抜いている。ダッジ一発で観客を沸かせられる。ダッジを強みにしたい選手は見習いたい。

あとは、全体を通して、Duke #4 AT Chad Kohan (Sr./4年)、#10 MF Deemer Class (Sr./4年)の4年生OFコンビがものすごく効率的に点を取っている。#15 Jonesに対してLSMFがベタ付きする中、空いたスペースでShorty相手に伸び伸びと得点を重ねている。特に7得点の大活躍を見せているClassのLeftyのダッジとシュートは圧巻。背負ってのシュート、かわしてのシュート、Time & Room (スタンディングでのシュート)の正確さ、速さは圧巻。反復して見直して参考にしたい選手。最後の試合を決めるKohanのクリースでの持ち替え二回で狭い空間で相手をかわしてのシュートも芸術的。

Dukeは明らかに一つ一つ課題を克服して、チームとして少しずつ完成度が高まってきている感じ。明らかにチームとして機能し始めている。恐らくこのままACCトーナメントでグッとまとめていって、5月のNCAAトーナメントで一気に優勝候補としての本領を発揮してくるはず。心配な点がいくつかあるとすると、Gがちょっとセーブ力に難ありかな、というのと、結構クリアがShaky(不安定)な感じがする点かな。この辺をトーナメントまでにどこまで修正してこられるか。OFは間違いなく強いし、今後もっと精度を増してくるはず。





2016年4月3日日曜日

NCAA 2016 #03 Johns Hopkins @Virginia

3月27日(日)のJohns Hopkins at Virginiaの試合。Virginiaのホーム、Charlottesvilleにて。

1. Background

過去四半世紀に渡って長くラクロスの世界を引っ張ってきた伝統校の双璧。多くの伝説的US代表選手、MLL選手達を輩出してきた2校。

Virginiaは2011年にエースでTewaaraton Trophy Winner (MVP)のAT Steele Stanwickを擁して優勝して以来、NCAAではFinal 4に到達しておらず、長きに渡る低迷期に突入。今年はPre-Seasonで7位と、復活の兆しを見せている。

Johns Hopkinsも、長らくラクロスのメッカとして知られてきたMaryland州Baltimoreを本拠にし、80年代に複数回優勝し、最強の名を欲しいままにしてきたが、その後低迷。2005年、2007年に、後に世界最高のラクロスプレーヤーとも言われるMF Paul Rabil擁して2度優勝。その後また10年近くタイトルから遠ざかってしまっている。

双方に言える事は、やはり昔と違ってラクロスがKids/Junior世代で大幅に拡大してしまった事で、昔のように限られた数の有力選手を幾つかの強豪校が独占する、という状況が崩れてしまい、あらゆる学校にNCAA Division 1の一線で活躍できるレベルの選手が溢れてしまった事による、"Parity(戦力均衡)"の時代に突入して以来、苦戦が続いているという点。その辺の歴史的な背景、アメリカラクロス界のMacro Dynamicsを勘案すると、この試合に対するいろいろな示唆が見えてくる。

ちなみに、両チームに、数年前のエース級のATの弟の選手がいる。4-5年前にNCAA Lacrosseを見ていたファンにとっては懐かしい名前。

Virginia #32 AT James Pannell (Sr./4年)は、Cornell 2013で準優勝経験者、現MLLのRob Pannellの弟。見た感じ、兄ほどのぶっちぎった選手ではないが、それでも尚Xからの1-on-1や視野は安定している。

Hopkinsの#32 AT Shack Stannic (So./2年)は上記のVirginia出身のSteeleの弟。兄同様、今時珍しいTraditional MeshのStickを使っているのが印象的。こちらも兄ほどのインパクトは感じないか。

Hopkinsは名物HC、鬼軍曹のCoach Dave Pietramala氏が病気で欠場中。Assistant Coachによる陣頭指揮。

2. Recap

はいまたクソ面白い。また取って取り返しての点の取り合い。シーソーゲーム。そしてOver TimeからSudden Deathでの劇的な幕切れ。

なんか、明らかに、5-6年前と比べても、接戦、そしてOver Timeの数が増えている。(おそらく統計的に証明できるはず。)戦力均衡の影響がこの辺にも出ているのだろう。NCAA Lacrosseがより面白くなるという意味では素晴らしい限り。

3. Skill

全体的に、ATの選手達のXからの1-on-1からの振り向きざまのシュートが印象的。解説者で元Hopkins/MLL ATのRyan Boyle氏が、何度かコメントしているが、やはり試合中に、我慢して最後のもう一歩表側に踏み出す/走る事で、角度/シュートコースが大きく広がり、ニアだけでなくファーにも打てる事になり、シュート成功率が圧倒的に上がるというコメントが印象的。

あとは、Virginia #1 MF Greg Coholan (Sr./4年)のQ2のシュートが速過ぎて鼻血出そうになった。

Hopkins #8 LSMF Patrick Foley (Fr./1年)のFOでの活躍、そこからのOF参加とフィードを受けての得点が印象的。Under 19代表との事。Long stickが速攻後に残ってOF参加するシーンが更に多く見られるようになっている。

てな感じっすかね。いやいや、なかなか楽しめました。


2016年4月2日土曜日

NCAA Basketball 2016 Final Four

ええっと…結局その後数週間全くラクロスに時間使えておらず。

言い訳がましいんですが、仕事は落ち着きつつあるものの、実はもう一つの観戦対象であるCollege Basketballの方が大盛り上がりしちゃってまして。今シーズン応援し続けてきた地元Chapel HillのUniversity of North Carolina (UNC) Tar Heelsが快進撃を続けており、March Madness (3月の狂気=男子バスケ全米大学選手権)でFinal 4まで駒を進めており、そっちの応援と観戦で完全にフリータイムのシェアを奪われちゃってるっていう…

今年はトーナメント初戦も含めて4試合ほど会場で観戦、それ以外も重要な試合はがっちりテレビでフォローしてきた。

非常にドラマのある、感情移入させられるチーム。

  • UNCのバスケ部は、全米でも最も歴史のある強豪校の一つ。Michael JordanやVince Carterの出身校。例の、水色のチームカラー、NとCの組み合わさった、あのマークは、国民で知らない人がいない程の、「大学バスケと言えば」という認知度のチーム。
  • NBA選手6人を要した強力なチームだった2012年のチームが抜けた後に入学した1年生たちが、その後低迷の3年間を経験。多くの批判に晒されてきた
  • 加えて、現在いるバスケ部の部員が、という訳ではないが、UNCの運動部の一部の選手達に対してAcademic面での不正行為が行われた事が発覚し、一大スキャンダルに
  • 今年は、シーズン開始時にランキング1位で大きな期待を受けながらも、序盤にいくつか格下からUpset(番狂わせ)を喰らった事で、「結局こいつらメンタル弱えじゃん。結局今年もDisappointingなんだろ?」と批判され
  • ところが、シーズン終盤にかけ、上級生のリーダーを中心に、ぐっと奮起し、立て直し、Duke, Notre Dame, Virginia等に一度負けながらも次の対戦でことごとく雪辱し
  • ついには、4年生の入学以来の目標だった、ACC(Atlantic Coastカンファレンス=関東学生リーグ、みたいな)のレギュラーシーズンの優勝、トーナメントでも厳しい戦いを制して優勝
  • その過程で、上級生が「俺がこの試合ぜってえ負けさせねえ!」という気合いに満ちたプレーを見せ、下級生や控えの選手たちもグイッと成長し、活躍し出している。
  • トーナメントに入っても、前半苦戦しながらも、後半実力と選手層の差を発揮し、着実に4回戦まで勝ち抜いて、ついに悲願のFinal 4に

やべえ。あちい…マジで優勝して欲しい…ここまでの苦労や試行錯誤を見てきてるが故に尚の事。

今週末に準決勝、決勝。祈ってます。(で、終わったら、ちょっとずつラクロスに時間使い始めようかなと…)