2010年7月4日日曜日

Team US AT Drew Westervelt Interview

独立記念日の3連休の週末。ビールで飲んだくれつつ(総合格闘技の)UFC 116でHeavy weightのタイトルマッチを観戦。Brock LesnarがShane Carwinへの劇的な勝利で復活を飾った。僕が本格的にPRIDEを見始めたのが2000年前後(桜庭Gracie狩りの時代、そして野生のカリスママッハ、火の玉ボーイ五味の時代)だったのであれから10年。総合格闘技は想像を遥かに超える速度で進化し、Heavy weightはもはや一昔前のLight級並のスピードと技術を持った、完全に想像を超えたPhenom達の戦いになりつつある。当時の感覚では信じられないレベルの試合が1興行のほとんどを占める。

「最強神話」に守られてきたFedor Emelianenko(エメリヤエンコ=ヒョードル)が今やただの脇役に成り下がり、Hungryな若者が全世界から無数に集まり始め、最近では遂に(ボクシングやキック、レスリングやJiu-jitsu等の他競技からのTransferではなく)純粋にUFCから入り、子供の頃から総合格闘技の英才教育を受けて来たFighter達が登場し始めている。技術も物凄いスピードで進化し、打投極全てでかなり高いレベルの技術を持った上で更に突き抜けた何かを持っていないとSurviveすることすら難しくなりつつある。NCAAの元レスリングチャンピオンやNFL出身者など、本当に身体能力に恵まれた選手も多くなり、黒人選手の比率もどんどん上がっている。こういう開かれた競争原理の下物凄いスピードでスポーツや組織や技術、そして人間が進化するのを見るのは何よりも知的好奇心を刺激するし、純粋に気持ちがいい。

と、余談はさて置き、Team USのAT、Denver OutlawsのATの一人、Drew WesterveltのインタビューをInside Lacrosse Podcastでやってたのでその紹介。いくつかTeam US絡みで面白い話があったので。(リンク

Bio page

1.Team USの状態について

昨年秋のトライアウトを経て選ばれたTeam US、ここまで、冬のDukeとの試合に負け、NCAAシーズン終了直後の6月の4年生代表の試合に負け、その後のPhiladelphia代表(NCAA+クラブチームのそこそこ上手い選手の混成チーム)に一応勝利、というパッとしない成績。外野のファンからは「こんなんで大丈夫?」との声が上がっているがどうなの?との質問に対し。

実際には別に勝ち負けを目標として試合をしている訳ではなく、ATやMFのセットも決めないまま、まずはお互いに慣れる、どの組み合わせや戦術が良さそうか探る、という目的でやっていたので、まあ、正直全く気にしてないとのこと。今後少しずつTraining campを通し、WLCに合わせてチームを作っていくとのこと。

僕個人の感想としては、ま、そりゃそうだよな、と同意する一方で、やっぱりいくら一流の選手を集めても、チームとしてきちんと準備して機能させないとやっぱり個々の強さだけじゃいまいち勝てないもんなのね、と改めて実感。

更に、それを考えると実質過去数年に渡ってRochester Nationals、そして去年からは引っ越してToronto NationalsになったTeam Canadaの主力メンバー(及びHCのHuntleyも)は十分にチームとして作りこまれた状態でWLCに臨む訳で、本来の個々の実力以上に分があることになる。もっと言うとNLLでもToronto Rockとしてプレーしてる選手も多いので、文字通り年中一緒にプレーしてたメンバーがWLCに来ることに。裏を返すと意識的にそういうモデルを取っているTeam Canada及びTorontoは相当に賢く、正しい戦略を採っているということ。本来競技人口やField Lacrosseで圧倒的に分があるはずのUSに前回勝利したことや、今年も再び勝つんじゃないかと多くの人が思っている理由の多くもそこにある。

2.World Lacrosse Championshipに向けて

Team USとしてどういう準備をしていくの?という話について。

メンバーそのものについては非常に満足していると。一流の選手が集まっているのは当然。加えてDodger、Passer、Finisherと、個々の役割分担をこなせるポートフォリオも組めていると。即ち駒はある。後はそれをチームとして有機的に機能できるレベルまで持って行くだけだと。

そして何よりも、基本的にほぼ全員がMLLでプレーしているため、FILルールに適応するのが最大のタスクだと言っていた。MLLではクリアClockとShot clock、2ポイントショット制度によりオフェンスの戦術、シュート選択の意思決定が全く別のスポーツになっていると言う。基本的には速攻はかなりの確率でシュートまで行き、Set offenseでも一発目の崩しで空いたらガンガン打っていくリズムが体に染み付いていると。FILに向けてもっとボールを大事に共有してより成功率の高いシュートを打てるように修正が必要だと。

また、ファウルの判定がMLLでは緩く設定されているので、Dはそこの修正が必要になるとのこと。

また、ライバルのTeam Canadaについては、ぶっちゃけNLLも多くのメンバーとチームメートだったり対戦相手だったりするのと、更にMLLのTorontoと何度も試合をしているので、正直全く気負いは無いと。ただ非常に能力が高く強いチームなので、当然しっかりやる必要があるとのこと。

3.Denver Outlawsについて

MLLのDenver outlawsはここ数年安定して強い。急速にLacrosse人気が出ているDenverのファンベースに支えられ、人気もある。強さの秘訣として、コアとなるメンバーが立ち上げ当時から残り、Chemistryを深めつつ受け継いでいる点を上げていた。ATのWesterveltとBrendan MundorfのUMBC-Denver Outlaws-Team USAのコンビやMFのLangtryなど。やはり大事、Chemistry(一緒にやっててComfortableであること)。

4.普段何してるの?

普段は普通に不動産関連の会社で働いてることに加え、夜に週何回かジュニア向けのラクロスクリニックをしたり、休みにMark Millonと組んでラクロスキャンプをやっているとのこと。面白かったのは、実はその少年向けのクリニックが自分の成長に非常に役に立っていると言っていた点。

教える際に彼が重視しているのが、「What(どういうプレーをするか)やHow(どうやるか)」だけではなく、「Why(なぜそのプレーがいいのか)」まで踏み込むという点。「なぜこのDodgeやShootをするのがいいのか?」「何でその動きをするべきなのか?」を特に重視して考えさせ、教えており、それが結局自分の成長に繋がっていると。要は、どんなに新しいプレーやその正しいフォームを教えてもそれだけじゃ結局ダメで、何でそれが必要なのか、何故それが有効なのか、どういう局面でそういうプレーをやるべき/やらないべきなのか、まで一歩降りて学ばないといけないということ。

恐ろしく本質的なことを言ってるなと感じ、非常に印象に残った。ラクロスに留まらず全てにApplicableな(当て嵌まる)言葉。やはりこのレベルで活躍する選手たちは本質的な部分で頭がいいと感じる。

5.UMBCの選手たち

もう一点、非常に示唆深いと感じた話が、彼の出身校、UMBCに関する質問。OutlawsとUSでコンビを組むAT、Brendan MundorfはUMBC時代からの1個上の先輩。昨年までの練習生としての下積みを経た後今年彗星のごとく現れ、Point rankingで首位争いを演じるChesapeakeのPoillonもUMBC。他にもNLLで活躍していた名選手も輩出している。

もちろんVirginiaやSyracuseに比べると絶対数では負けるが、NCAAの強さ見合いで言うと多くのMLL選手を出している。何で?との質問に対し。

Westervelt曰く、HCのZimmermanの影響が大きいとのこと。在学中はZimmermanからの基本に忠実な指導に対し、時として「うっぜえ」と感じていたと。「シュートはOver handで打て、バウンドさせろ」「Ground ballは両手で拾え」と怒られ、当時は「ホントかよ」と思っていたが、結局自分がMLLで活躍できているのは彼の教えを守っているからだと。なるほど。やっぱり基本をきちんとやることなのね、と改めて再確認されるEncouragingな話だった。

いたる@13期

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