2011年11月7日月曜日

NCAA流 "1年生の心得"

現役選手&スタッフの皆さん、決勝進出おめでとう!引き続きその勇姿に勇気と元気を貰いつつ、応援する事を通じてポジティブなエネルギーを生ませて貰ってます。&今に生きる/変化を見る姿勢をリマインドさせて貰ってます。決勝も引き続き思いっきり楽しんじゃって!

さて、今月号のInside Lacrosseに、NCAAの事情が伺い知れる面白い記事が有ったので紹介。"Unspoken rules for freshmen during fallball"(新一年生が一学期目を過ごすにあたっての不文律/心得)。

ほぼ全員が大学からラクロスを始める日本と違い、現在のNCAA Men's Lacrosse Div 1では、ほとんどの選手が中学/高校で実績を残し、体育推薦で奨学金を貰う形で入って来ているスポーツエリートたち。優秀な選手は一年からフィールドに立ち活躍する事も多い。日本で言うと、イメージ中学までの野球エリートが集まる甲子園常連の名門高校野球部みたいなイメージだろうか。大学で言えばインターハイ/ウィンターカップで活躍した選手が多く集まる日体大/日大/法政大バスケ部みたいな?

日本のラクロスとはまた違ったその辺の事情を踏まえた内容でもあり、また一方で「あはは、日本の体育会と変わんねえな」と思える物もあり、面白かった。

ちなみに副題は「新入生にとって、first impression(第一印象)が一番大事。無駄に調子こいて生意気と思われずに、シメられないように、怪我しないように、どうやって最初の一学期を乗り切って試合に出るか」。

1. 雑用は基本中の基本

ルーキーは、例え親がどんなに偉い仕事をしていようと、仮に高校時代のランキングで1位だろうと何だろうと、ちゃんとボールを管理して、ゴール&ネットを運び、練習時の水のボトルの準備を怠らない事。

(これ、完全に日本の体育会と同じシステムですな...逆にNCAAだとスタッフの数がタイトに絞られてるので(数人)、下手したら日本の強豪ラクロス部よりも下級生はサポートワークをしているかも知れない...)

2. 服装で目立つな

新入生は、カッコ付けたギアや練習着を着て調子乗った恰好をしない事。サンバイザーとかは持っての他。んなもんはCasey Powellじゃ無い限り付けない。高校時代のシャツとかスウェットパンツも同じ。大学に入ったんだから地元プライドは捨てて同化せよ。大学から支給されるチーム統一の練習着/普段着をきちっと着る事。

(何とも軍隊的なというか、ハードコアなアメリカの体育会のカルチャーが如実に出ていて面白い)

4. 時間厳守

当然の事だが、遅刻欠席厳禁。全てのミーティングに時間通りバチッと出席せよ。チームメートからはぶられたり、罰則で一年全員ダッシュとか喰らいたくなければ。

(マジ日本の古い体育会と同じだ...比較的文化の新しく、上下関係やこの手の古い体育会的カルチャーを意図的に/無意識に退けて来た日本のラクロスから比べるとよっぽどガッチリしてる感じだ...)

5. 緊張感

ルーキーは常に全ての事に注意を払い続けていること。ヘラヘラしない。授業、フィルムセッション(試合の映像の視聴による学習/練習)、練習、ウェイトトレーニング。もし上記で3番が抜けてる事に気付いてなかったら注意不足。グランド三周。

(ま、こりゃライターの方の軽いギャグだが。でも、実際にノリ的にはこんな感じなんだろう。若干の理不尽感を感じなくもないこの感じ。(日本人が日本から見る感覚で想像すると)アメリカは自由奔放に見えるが、軍隊がしっかり文化/仕組みとして根付いており、そもそも国の出自としてハードシップと戦った上で築かれて来ただけあって、実は意外とこの辺の規律に煩く、頑固で厳しい人も多い)

6. 批判するのはまだ早い

建前はさておき、一年であれば、「constructive criticism(チームメート、特に上級生に対する建設的批判)」は控えておけ。「○○先輩、今のはこっちのスペースにはたくべきでしょ」なんて持っての他。お前はまだ試合に出てないどころかベンチにすら入ってすらいないことを忘れんな。

(まあ、さすがにこりゃよっぽど空気読めなくなけりゃやらんでしょ...)

7. 上級生に尽くせ

自分のロッカーに常に予備のソックスを携帯しておけ。雨の寒い日の練習でとっさに4年生が必要になったら渡すべし。必ず将来的に役に立つので。

(これ完全に太鼓持ち芸人の発想じゃねえか!ピース綾部氏/サバンナ高橋氏ばりの)

8. 席順/座席のポジショニングには細心の注意を

フィルムルームでは最後列か壁際に座って、上級生に前列を譲る事。遠征のバスでの順番は、前から、運転手、ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、トレーナー/マネージャー、4年生、3年生、2年生、バッグ/荷物、スポーツドリンク、食料、バスで見る映画のDVD、で最後に1年生。後ろでおとなしく座っとけ。

(まあ、実際にはここまで厳格じゃないだろうが、如何に一年生は一年生らしく下っ端ポジションを演じることが求められるかがわかって面白い...日本で社会人一年生が習う、飲み会での席順や、タクシーの席でのポジショニングに近いか。)

9. 言い訳無用

練習や試合中の「言い訳/excuses」は絶対にするな。批判されたら、唇をぐっと噛んで、「コーチ、今のは違うんですよ!/しかたないんですよ!」と反論したくなる気持ちを押し殺せ。仮にフィルムセッション中に自分が18番なのに、8番の選手がしたミスでコーチに怒鳴られても訂正しないぐらいの勢いで。

(これもまあ、大げさな例だが(実際にはそりゃ番号違うと指摘するべきだろう...)、要はこのくらいの勢いで"Yes, sir!!"モードで従順に言う事聞けという事か。まあ、このコーチの指令は絶対という感覚は正直アメリカだと日本より遥かに厳しい感じを受ける。特にNCAAだとコーチもフルタイムでやっているプロなので尚更。)

以上が記事の内容。

アメリカの組織に於ける上下関係

とまあ、アメリカのゴリゴリの体育会の文化が伺い知れて面白かった。僕自身、今現在アメリカの伝統ある大企業(所謂Corporate America)で、アメリカ人達と働いていて感じるが、意外と自由闊達に議論し、上司ともフレンドリーに話せるように見えて、実は日本以上に「上司の言う事は絶対」感が強い面もあると感じている。であるが故に、なるほどねー、確かに確かに、とも思わされた。(一方で、meritocracy(実力主義)がより強く、年功序列がより薄いため、マネジメントに登るメンバーはそれなりに実力が伴っているケースが多いという違いもあるが)

NCAAの日本の大学ラクロスとの違い

特にほとんどの選手が大学から始めるため、実力と学年が結構アラインされている日本のラクロスと違い、NCAAは入学時に既に大物ルーキーとして注目され、一年生で多くの4年生よりも活躍する選手もゴロゴロいる世界。この辺は結構デリケートな部分もあるのかも知れない。

ほとんどの選手たちが地元の中学/高校では大エース扱い。中には神童と呼ばれ、多くのラクロスメディアでもてはやされて来たような選手もいる訳で、この辺で調子にのって上級生にひんしゅくを買うケースもあるんだろうと想像する...多くの場合、その辺は良く解ってて、大学に入る前にしっかり心の準備をして臨んで来るんだろう。また、中には鼻高々で「俺がやってやんよ」と入って来ても、結構大学レベルとのギャップに苦しみ高い鼻をポッキリへし折られるケースも多いと思われる。

一年目から活躍する選手

ちなみに一年生から主力級の活躍をして周囲をあっと言わせたケースは、やはりSyracuseのPowell三兄弟。彼らの場合は上級生が最初っからエースとして別格扱いしてたイメージ。

そして最近ではCornellのRob PannellとNorth CarolinaのAT Nicky GalassoとFOGO RG Keenan。二人の場合は明らかに上級生を立てて、上級生と融和しながら活躍していた。これが理想的。今年入ったJimmy Bitterも上手く上級生と融合しようとしているように見えた。この辺のメンバー感のcohesionの強さがUNCの文化/魅力の一つでもある。

あとはVirginiaのBratton brothers。一年生から2nd stringでバンバン出ていた。Bratton兄弟が除籍になった際には結構掲示板に誹謗中傷のコメントも書かれ、「一年生の頃から調子に乗ってて態度が悪かった」的な悪口も書かれていた...真偽の程は分からないので何とも言えないが...あれだけ持ち上げられれば、そりゃ普通の18歳なら調子にも乗るわな、とも思う。

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