2010年12月31日金曜日

MLLのドラフトが1月に早期化

12月に、MLLから大きな方針転換が発表された。(記事

一つは、チーム数を現行の6チームから、再び縮小前の10チームにまで拡大すること。12年に2チーム、13年に2チーム増やす予定。さらに目標としては2020年までに20チームを目指すというもの。これは我々ファンにとっても朗報。また選手にとっても今の超タイトでコンペティティブな人材需給バランスからすると、プレー出来る受け皿が増えるため、明らかにgood news。

また、もう一つは今年のNCAA, MLLにダイレクトに影響を与える決定。ドラフトのタイミングを去年までの6月から、一気に半年早めて1月にするというもの。

以前の記事でも紹介したが、2010年まではNCAAトーナメントが終わった直後の6月に実施し、既にシーズンが始まり2試合を消化しているMLLチームに大学卒業直後のルーキーがジョインし、残りのシーズンを戦うというスケジュールだった。これを2011年シーズンからは4年生がまだ在学しており、最後のシーズンを開始する前の1月のタイミングでドラフトしてしまうという変更。つまり、あと数週間で4年生のドラフトが行われてしまうのだ。(つい6ヶ月前にClass of 2010の学年のドラフトをやったばかりなのに。)今頃MLL各チームは年末年始休み返上で去年までのNCAAのビデオを見直しまくってドラフトプランを作っているところだと思われる。

ドラフトは何と早くも年明けすぐの1月21日に実施予定。追って注目選手等発表されると思われるので、随時お伝えしようと思う。いきなりの展開の早さにちとビビってしまった。NCAAの4年生もドキッとしたんじゃないだろうか。(まあ、そうは言っても上位指名される選手は既に3年生までにある程度目立っていて、いずれにせよ指名されてただろうから、早いタイミングでどのチームに入るかが解るということに過ぎないが)

以下、記事に紹介されていた変更の理由。

1. 既存の選手のため
  • 今までだと、ギリギリロースターに残れていた崖っぷち選手たちは、シーズン最初の2試合だけチームに所属し、直後にドラフトで優秀な新人がドラフトされた瞬間切り捨てられる(戦力外通告を受けてクビになる)、ということが起こっていた
  • 結果として、「まやかしの合格」が発生してしまっていた。中にはある程度私生活/仕事を犠牲にしてシーズンに臨んだのに、たったの2週間でポイという悲しい状況になる選手が結構な数いたことになる。これは明らかにいいこと無し
  • シーズン開始前から新規加入選手を固めた上でキャンプを始めることにより、そういう無駄を無くせる
2. 新人選手のため
  • 大学4年生にとっても、このメリットは大きい
  • 所属先チームが決まった状態で就職活動に臨める。特に、都市が変わる場合は、場合によってはその都市でのフルタイムの仕事を探せる
  • プロ入りが決まった状態で、より高い目的意識で最後の1年を過ごせる。プロに入ってこういう選手になろう、プロになるまでにこの課題を直そう、という意識がよりシャープに研ぎ澄まされる
  • これまではプレーオフトーナメントに出場出来ずに4月で消えたチーム、トーナメントも予選の早い段階で消えたチームの選手も決勝が終わるまでドキドキしながら待たなくてはいけなかった。が、この決定により、負けた時点でとっとと切り替えてMLLの所属チームの練習に参加出来るようになる。彼らにとっての空転期間が無くなる
  • 逆に、指名されなかった選手からすると、残念だが、ダメならダメと早くわかるので、無駄な希望に掛ける事無く、とっとと切り替えてラクロス以外のキャリアに集中出来る
3. 所属チームのため
  • シーズン開始前から新人込みでチーム作り/戦術作りが出来る
  • 今までのシーズン途中で主力級の選手が数人入るというのは、自チームの立て直し、他チーム対策の立て直し等で全チームがドタバタするだけで、何もいい事が無かった
4. Lacrosse全体のマーケティングのため
  • これにより、NCAAの試合の解説中に、MLLへのつなぎを意識したコミュニケーションが取れる。「来年以降Boston Cannonsで活躍することが予定されるXXによる得点!」とか、「彼はLong Island Lizards入りが決まっていますが、入団までに○○の弱点を克服する必要があるでしょう」などのコメントが可能になる
  • 結果、単純にMLLよりもオーディエンスが多く露出度も高いNCAAの中でMLLについてより多く語ることで、より広いお客さんにMLLに対する興味を喚起出来る
  • 特に年配のファンを中心に、昔ながらの習慣でNCAAは見るが、その後のMLLは余り見ないという未開拓のファンが多く、彼らをMLLに呼び込める
  • 「NCAAで見た素晴らしい選手、プレーをもっと長く見たい。彼らが更に高いレベルで切磋琢磨し成長する姿を見たい」という当初のMLL立ち上げ時のコンセプトがより強化されることになる
要は、今までのやり方だと全ての関係者に無駄な負担が掛かっていたので、そんなもんとっとと変更しちゃいましょう、という話。MLLとしては実は結構前に意思決定していたらしいが、NCAAの承認を得るのに時間が掛かっていたとのこと。

リスクがあるとすると

一方で、若干のリスクがあるのが、5th year eligibilityの問題。新制度だと、正確にはMLLのチームが4年生を指名するが、実際に来るかどうかは選手が決める。仮に4年生が5年目もプレーする事を選んだ場合、チームとしては上位指名権を無駄遣いしてしまったことになる。

また、過去のシーズンを見ても解る通り、4年生のシーズン、場合によっては最後のプレーオフ1ヶ月で大化けし、大ブレークし、一気に株価が上がる選手もいる。チームとしてはその辺の成長ポテンシャル見込みでの目利き力が要求されることになる。

1月に行われるドラフトの見所

再三述べて来た通り、NCAAのClass of 2011は10年に一度の大豊作イヤー。NPBで言うところの松坂世代、サッカー日本代表の黄金世代という感じだろうか。

Bratton兄弟、Billy Bitter, MarylandのAT軍団、昨年ND準優勝の主力メンバー、Iroquois & SyracuseのJeremy Thompson, 同じくSyracuseのLSM Joel WhiteやDF John Lade, GoalieのGalloway、そして極めつけにはGary Gaitの再来Stony BrookのCanadian, Kevin Crowley。彼らがどのチームにドラフトされるのかが、超唐突だがあと数週間で決まる。NCAA開幕前からいきなりテンション上げさせられる。

にしても、これだけプロスポーツのみならずエンターテインメントコンテンツが超コンペティティブになっている今の時代にこれだけ拡大していけるスポーツがいったいどれだけあるだろうか。改めてラクロスの可能性を感じさせてくれるニュースだった。

いたる@13期

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