2011年11月30日水曜日

NCAA Basketball 2012 UNC vol.06 Tennessee State

ホームでの第二戦。Tennessee State大学と。


再びUNCが全米一位の名に恥じぬ堂々のパフォーマンスで粉砕。

立ち上がりは相手がしっかり研究/対策を積み重ねて来た上、long rangeのシュートが思いの外上手かったため若干苦戦したが、前回と同様、層の厚さに物を言わせ、実質2セット回しで相手の体力を徐々に削りつつ、後半に入ってフルコートのプレスからガンガン速攻で畳み掛け突き放す。

今回はスタメンの5人に加え、ベンチの伏兵も相当活躍。最後は3軍、そのまた最後はwalk-on組(非体育会推薦枠だが、トライアウトを経由してプレーしている選手たち)4人も出て締める。

引き続き司令塔の#5 PG Kendall Marchall (2年)が縦横無人にパスを繰り出し、高い得点力を誇る4人のメンバーの力を引き出しまくり。ベスト8に終わった昨シーズンの後、全試合の映像を見まくり、特に一度快勝した後に接戦であと一歩で負ける所まで追いつめられたBoston College戦を擦り切れるほど見直したらしい。相手の徹底したスローペース化作戦にまんまとハマり、ペースを早められなかった事、自身のスピード不足/シュート力不足を補うべく、また、40試合近く全米最強クラスのGuard連中とやり続ける体力を身につけるべく夏から秋に掛けて相当トレーニングを積んで来ているとの事。

エース#40 F Harrison Barnes (2年)も、鬼フェイスガードされつつも、手堅く大事な場面でバシッと抜いてシュートを沈めて行く。Barnesの一歩目はNCAA上位校の中にあっても尚頭抜けて鋭くて大きい。加えて体軸が異様に安定しており、厳しい局面で比較的普通にシュートを打てる。これは接戦で強い。(1年生でのリーグ戦の経験から、高校レベルから一気に大学レベルにアジャストするべく、特に当たりの強さを身につけるべく、トレーナー付きっきりのトレーニングで、一年間で8kg増量したと言う。去年からパッと見明らかに筋肥大しており、コートの上で一人だけ[ギュッと絞られた]「筋肉の鎧」を纏っている感がある。)

今回は加えて#44 C Tyler Zeller (4年: 213cm)と#31 PF John Henson (3年: 208cm、しかもwingspan(リーチ)は鬼の224cm...)のビッグマン2枚がゴール周りで上手過ぎる2 on 2と器用なシュートを見せた。加えてゴール下のブロック量が半端無い。試合の後半に掛けて相手側のシュートが(ブロックを避けようと)変な感じになってくる。

やはりこのチームは間違い無くNBA級と言えるだろう。

終末はLas Vegasでのシーズン初期のトーナメント戦。来週には帰って来て最初の難関である10位以内のWisconsinと。そして再来週には12月の頭には強敵、全米2位のKentuckyとの一騎打ち。全米が注目する一戦。もしかしたら3月のNCAAトーナメントの準決勝や決勝と同じカードになる可能性もある。

ハイライト

2011年11月29日火曜日

Women's: Danielle Spencer

創立以来10年で6回の優勝を誇る女子ラクロスの強豪(&僕の第二の母校)であるNorthwesternの元スター選手でUS代表の、Danielle Spencer (MF)の動画。Eastonから。

冬のオフシーズンにモチベーションをゴリゴリ高める目的で使ってもよし。森で木にダッジ、壁があったら手当たり次第wall ball、そしてがっつりphysical training。

「自分が限界まで努力し続けるのは、誰かに言われたからでもなく、プレシーズンランキングや、シーズン後の個人賞や、トロフィーや成績やプロ契約のためじゃない。自分が頑張って来たのはこれまで自分が成し遂げて来た物のためじゃない。これから成し遂げたい事、自分が好きな事、夢のためだ」というメッセージ。

ちなみに、身長188cm。サイズがあってフィジカルなNUのメンバーの中にあって更に目立っていた。突破力とシュート力は男子並み。ズバッと切り裂くダッジと両手で放たれる弾丸シュートは止めるのほぼ不可能。キリッとしたビジュアルで、フィールドでも鬼神の如き迫力で、ムチャクチャカッコ良かった。

今年の夏に西海岸の新興チーム、Stanfordにアシスタントコーチとしてジョインしている。StanfordはCanada代表のBrooke MacKenzieもACにおり、代表級の若手コーチをガンガン補強し、急速に力を付けつつある。

女子は男子とはまた違った勢力図が生じており、Northwestern (Chicago)、Florida、Stanford (San Francisco)と言った、東海岸のHot Bed (NY北部、Long Island、Baltimore Maryland)以外の学校が急激に勢力を伸ばしている。

2011年11月28日月曜日

NCAA Basketball 2012 UNC vol.05 Mississippi Valley State

UNCのシーズン3試合目。ホームでの開幕戦。会場で観戦。101-75で激勝。実際には1/3は2軍以下のメンバーだったため、数字以上に余裕の勝利。文字通り「粉砕」。いやーやはり地元の応援しているチームがクソ強いというのは正直気持ちいい...(自分がBusiness School留学で行った第二の母校Kellogg School of ManagementがあるNorthwestern大学は、創部10年で5連覇+6回全米制覇の女子ラクロス以外は「ど中堅」って感じで毎回酸っぱかった想い出しか無いので尚更。)




現場で間近に生で観戦して思ったが、まあ、恐ろしい才能だ。NBAで将来やって行ける才能の選手が複数いるというコメントにも頷ける。

#40 (Forward) Harrison Barnes (2年)の勤勉さ、頭の良さを感じる。Michael Jordan、Kobe Bryantが目標との事。且つ、UNCバスケ部の歴史上でもトップクラスに練習の虫だと言う。現時点で今年の大学バスケ界最高の選手との呼び声も高い。実際に見てみて納得。去年の映像を見ると、まだ線の細い1年生という感じだったが、今年の夏に2年に上がる前に徹底したウェイトトレーニングで、筋肉だけで8kg増量したとの事。明らかにパワーと当たりの強さが上がっている。

ボールを持てば確実にシュートまで行ける。賢い。リバウンドも取れて、抜けて、シュートも上手くて、DFも上手い。Jumper(ジャンプショット)も柔らかく、ダンクも力強い。これは結構な選手になる可能性がある。ESPNのオフェンス講座を話しているシーンや、インタビューに答えているシーンを聞いて毎回感じるのは、明らかにちゃんと考えられるIQの高い/賢い、冷静でmatureな(成熟した/大人な)選手だという点。去年5位以内で指名と言われながら優勝するために大学に残ったパターン。完成度が高い。結構大事な所で桜木花道ばりにリバウンドをもぎ取り、ゴール下で捩じ込んだりもしている。

Michael JordanやKobe Bryantのレベルの体格や身体能力やセンスといった、「才能」を持った選手は、実は年に何人かずついる。しかし、彼らほど「狂った(ある意味常軌を逸した)レベルで負けず嫌いで、実際に努力/成長出来る」選手は、それほどいない。Barnesには才能はある。それだけの負けず嫌いさ、成長を見せられるか。一体どこまで成長していくのか、非常に楽しみでもある。

去年のレギュラーシーズンで、接戦だったClemson戦で、40得点しチームを勝利に導いている。厳しい状況になればなるほど冷静に、落ち着いて、青白いオーラを発しながら、責任感を持って仕事を遂行しにいく、JordanやKobeタイプなのかも知れない。(逆に言うと、これが出来るかどうかが、才能としては二人を凌駕するとも言われているLeBronが二人に追いつけるかどうかの大きな分かれ道になる。)「やばくなってもこいつならなんとかしてくれる...」この人にはそういう神懸かった何かを感じなくもない。


見ているだけで痺れが来る、ポジティブなバイブレーションを与えてくれる数少ない選手。



その他思ったのは、#31 Power Forward John Henson (2年)が思った以上に上手い。高さもかなりあるが、思った以上に柔らかくて上手い。タッチがむちゃくちゃ柔らかい。これだけ高さがありながら、fade-awayや高さのあるフックなど、手数が多く、とにかくしなやか。NBAで結構便利な選手になる可能性を感じる。

#44 Center Tyler Zeller (4年)が思った以上に成長しており、上手く、強く、そして走れている。速攻で真っ先に走ってダンクを決めたり、何度も重要なシーンでチャージングを取ったり、今やチームで欠く事の出来ない大黒柱に成長している。

その他、脇役軍団が思った以上にやる。層が厚い。これは手強い。(ファンとしては心強い)

出来れば明後日も会場で観戦予定。今年はこのまま順調に勝ち続けて、tournamentで確実にFinal 4まで行って欲しい。

ハイライト

2011年11月26日土曜日

2012 NCAA Face-Off Yearbook発売

そろそろじゃないか?と数週間待ちわびて来た、2012年のNCAA Lacrosse Face Off Year Bookが遂にILのウェブサイト上で発売された。

リンク

速攻で一冊購入。届くのが楽しみだ。しっかり読んで2012年2月からの観戦に備えたい。去年までは、スーパースター軍団Syracuseに対するミーハーファン的応援や、(スポーツ推薦が薄く、学業ハードルが高く、入学時からハンデを負っており、自分たちのスタイルで賢く努力する事でしか勝てないという意味で)東大や京大と境遇が被るCornellに対する共感は感じながらも、比較的ニュートラルにどのチームも応援していた。

今年は、UNC (North Carolina)の地元に引っ越して来たため、やはり抑え難い地元ファンとしての思い入れ/感情移入が生じ始めてしまっている...彼らを見ると分かるが、HC Joe Breschiを始め、選手やスタッフ全員がまるで一つの家族のように、仲良く楽しそうにワイワイと楽しみながら努力している姿が何ともさわやかで、応援したい気持ちにさせられる。そのカルチャーに共感して入学を決める有力選手も多いと聴く(Bitter兄弟も、Nicky Galassoもそうらしい)。

購入ページを見た感じ「country」を入力出来る立て付けになっているので、恐らく日本からも買えるはず。NCAA好きな選手、これから勉強して行こうと思っている選手も、是非購入してみて下さい。選手の名前や裏事情やドラマを知ると、試合の映像を見る上で圧倒的に楽しくなるので。

例年と同じく、3つの表紙から選べるパターン。去年は優勝候補のSyracuseを選択。今年はUNCを...と思ったらUNCねえのかよっ!!まあ、来年は確実に入ってくるでしょ。

個人的には、やはりここはDefending Championで今年も優勝候補のVirginiaのエース#6 AT Steele Stanwickと、「今年こそは!」の想いが強いであろうCornell #3 AT Rob Pannell、という今年の国内最強AT 2枚が表紙になってるバージョンを迷わず選択。(これ

今年はUNCの地元のスタジアムで都合が付けば何試合か観戦。Face Off Classic (Baltimore)とBig City Classic (NY)は車で行ける距離(Philadelphia)にいた去年はサクッと行ったが、今年はちと車では行けないので、恐らくパス(TVで観戦)。Semi Final & Final (Boston)は当然観戦の方向で早速チケットを購入。2012年も素晴らしいシーズンになる事に期待。

2011年11月24日木曜日

NCAA Basketball 2012 UNC vol.04 Carolina Basketball Museum

名門UNC Tar Heels Basketball。スタジアムの横にCarolina Basketball Museumというこじんまりとした施設がある。無料。(リンク

過去の栄光の歴史を象った多くのトロフィー、ユニフォーム、映像、バスケットシューズ、スコアカードなどが飾られている。

NCAAバスケットボールの歴史の中では、Kansas, Kentucky, UCLA, Dukeなどと並び、名門中の名門。NCAA時代に入ってからは、1957, 1982, 1993, 2005, 2009年と5回の優勝を経験している。

やはり有名なのは、Michael Jordan, Vince Carter, Lasheed Wallaceあたりだろうか。

今年のチームはNBA級にドラフトされると言われている選手が7人いるとも言われており、メディアによってはHead Coach Roy WilliamsがUNCに来て以来、才能的には歴代最強とも言われている。

2011年11月22日火曜日

IL Podcast Dom Starsia Interview vol.2

IL Podcastに今年もVirginia Head CoachのDom Starsia氏のインタビューが載っていた。前回もそうだったが、この人の話は、個人的に琴線に触れるものが多い。(前回のインタビュー

2010年に、優勝候補と目されながら、プレーオフ直前に当時4年生だった選手が女子ラクロス部の元交際相手を殺害し逮捕されるという事件が起き、混乱と動揺の中プレーオフを戦い、準決勝で惜しくもDukeに敗れる。

11年は、今年こそは優勝と言われながらも、シーズン中盤から一気に失速し、加えて主力の怪我、規律違反での出場停止、Bratton兄弟の除籍など、ボロボロの状況に。後半は大事な試合を相当数落とし、ギリギリプレーオフ進出。一回戦のBucknell戦ではあわやアプセット(番狂わせ)の一歩手前で勝利し、そこから不屈の闘志で勝ち上がり、優勝候補筆頭のMarylandを抑えての涙の優勝。

話を聞く中で、如何にVirginiaがチームとして苦労しながら、試行錯誤しながら、そして変化/成長しながら優勝を成し遂げたのか。如何に選手たちによるロッカールームでのリーダーシップが大事かなど、リーダーシップ論/経営学としても非常に学ぶ事が多いと感じた。

選手/スタッフの皆さんも興味あれば是非聞いてみて下さい。今後のチーム作りに向けて参考になる点は多いはず。

リンク


以下、ハイライトを切り出して紹介。

1. 2011年シーズンは非常に特殊な、そして厳しい一年だった

上記の通り、いろんな事が有り、正に山有り谷有り。メンバーも大きく入れ替えながら。最終的にある程度チームが形になり始めたのは正直言ってレギュラーシーズンの最後の試合くらいだった。チームのパーソナリティーがシーズンを通して大きく変わった一年だった。

その時点ではまさか決勝に行くとは思ってもおらず、決勝の朝になっても、「まあ、ぶっちゃけここまで勝って辿り着いた事を考えると、既に上出来。あれだけ素晴らしいMarylandと戦えるだけでも幸せ。最悪勝てなくても恥じる事なんて全く無いな」とすら思った。

2. 優勝を果たせた最大の要因は、根元の部分にあった選手たちのリーダーシップ

2人の4年生キャプテン、必ずしもフィールドで最も目立っていた訳では無く、スポットライトが当たっていた訳ではないが、実は、DFのMalphrus、MFのHaldy、この二人のベンチやロッカールーム、練習でのリーダーシップ。これが最大の理由。

来年の2012年のシーズンに向け、多くのメディアが、「主力メンバーがほとんど戻るのでVirginiaは安泰」と言っているが、違う。彼ら4年生キャプテン二人の存在はプレー以上にbehind-the-sceneで非常に重要だった。

2010年の殺人事件以降、チームは全米からの注目と興味の目、批判の目に晒された。そんな中、特にMalphrusは自ら鬼軍曹の役を買って出て、行動規範のスタンダードを保ち、例えそれが誰だろうと関係無く、言い訳無用で高いレベルでのモラル/行動規範を求め、それを違反した者は容赦なくルールに従って出場停止や退部などの厳しいペナルティを課した。(それによって4年間チームの得点源だったBratton兄弟はプレーオフ直前に除籍され、準決勝ではその穴を埋める筈だったBriggsは出場停止になった。)

例えそれが主力選手であっても、明確にフィールド上での戦力低下に繋がっても、容赦なく、一切の例外無く、妥協せず、徹底して行動のルールを守ることを優先した事。準決勝の日であってもそれを守り、チームの大黒柱だったBratton兄弟に対してもその自分たちに課したルールを曲げなかった。それがチームに推進力と犠牲の精神を生む事に繋がった。

3. DFのLovejoyを怪我で失った事、17年ぶりにZone DFを導入した事

去年Ken KlausenらAll American DF 2人を卒業で失い、経験不足だったDFを支えて来たMatt Lovejoy。が、彼がシーズンの途中の怪我で残りのシーズンを戦えない事が分かった。

直後の土曜日に控えていたのは絶対に負けられないNorth Carolina戦。残り4日間。UNCの#4 AT Billy Bitterという突出したダッジャー、加えてUNCはXで非常に洗練された2-man offenseを展開してくる。一体どうやって抑えるのか?頭が痛かった。

しかも試合はシーズンに何試合かESPNの本チャネルで全国ネットで放映される試合の一つ。一体どうするか?そこで至った結論が、これまでのポリシーを捨て、Virginiaで17年ぶりになるZone DFの導入。試合の4日前に。

元々はVirginiaはより大きく、身体能力の高い選手を揃えるチーム。常に広くプレッシャーを掛け、ガンガンボールを奪って点を取りまくって勝つスタイルを標榜して来たし、好んで来た。が、今年のリーグ戦で初めて、同じく身体能力があり、得点力の高いUNCを相手に、経験不足のDFを抱え、遂にZoneを導入するという決断に踏み切った。

火曜日の最初の練習では、末期的。ボロッボロ。水曜も全く形にならない。一時はどうなる事かと思った。が、試合の前々日、木曜日の最後の練習の、最後の10分で、初めて、少しずつ有機的に機能するようになり、ちょっとずつ噛み合って来る兆しが見えた。


そして、UNCとの試合で何とか機能し、最後に一点差の逆転勝利を成し遂げた。


その後完全にVirginiaはZone DFのチームになった。

が、よくよく考えると、実は元々いいZoneのチームになれる要素は揃っていたと言う事に気付いた。Man-down DFは国内でもトップクラス。そこでZoneと共通して必要とされる、メンバー間でのコミュニケーション力、スティックアップしてパスコースを切る習慣、お互いに守備範囲を持って連携する力、相手のオフェンスの次の数手を予測して断ち切るanticipation(予測)の力。実はその辺の能力は元々高かった。

優勝後に始まった今年のシーズンでは、秋に練習や練習試合に何度かZoneを試したが、非常にcomfortableに遂行出来た。今やVirginiaにとってZone DFは欠く事の出来ない武器の一つになったと感じる。

(初めてUVAがZoneをやったときは、「あのVirginiaが!!」と思ったが、こうやって裏話を聞くと、極めてロジカルな必然の帰結だった事が分かる。現代のラクロスに於いて、zoneはそれほどまでに当然の戦術になっていると言う事だろう。)

4. Steele Stanwickの偉大さ

もう一つの大きな成功の要因は、やはりMVPを獲得した、新4年生の司令塔AT #6 Steele Stanwick。3年生でキャプテンの一人を勤めていた。

彼の代替不能な素晴らしさは、周りにいるメンバーの能力を何倍にも引き出せる点。これだけ才能の揃ったチームで難しさになるのは、やはりメンバー間でボールを共有すること。常に誰かが「俺にボールくれ!」「俺にも点取らせてくれ!」と言いがち。

が、Steeleが効率よくボールを配給し、メンバー達の力を上手く引き出してくれる事、それによってチームが勝利へと導かれる事を全員が知っているが故に、全員が彼を信頼し、自信を持って彼に全指揮権を預けられている。English、Bocklet、Briggs、Cockertonなど、彼によってその得点力を引き出されている選手が多い。

そういう意味でSteeleは本当に得難い、特別な選手。過去にもBrown時代からずっとHead Coachをして来て、キャリアの中で何人かしか出会えない、本当に特別な存在。"Icing on the cake"(誕生日ケーキの上に乗っている、砂糖菓子の飾り)という言葉が正に似合う、、チームにとっていい意味での看板。国内にあまたいる優秀なラクロス選手の中でも何人しかいない特別な選手。

自分はもう歳をとり、周囲からもよく「引退のタイミングはいつなんですか?」と聞かれる。「Steeleが卒業しちゃったらもしかしたらその時かな?」という考えが頭をよぎらなくもない。

(にしても物凄い信頼だ。ここまで全幅の信頼と特別な想いを素直に述べられるコーチがどれだけいるだろうか?そして、ここまで言って貰えているStanwickは恐らくStarsiaの為に全てを捧げても構わないくらいの気持ちになるだろう...この辺のスタイルは非常にアメリカと日本のコーチング/リーダーシップの違いだと感じる。Acknowledgeし、Appreciateし、信頼している事を素直に伝える。それによって選手の最大限のパフォーマンスを引き出すというコーチ力の模範。)

5. Resilience

Resiliance(レリアンス [rizi'liənsi] )、つまり、しなやかな強さ、弾力的な忍耐力、不屈の精神、困難に立ち向かい、克服する力。それがどのチームや組織にとっても極めて大事な資質だと思う。

自分がよく今年のチームに話した一つの例は、NFLのNY Giantsの例。ボロボロだったシーズンの最終戦で、当時無敗だったNew England Patriotsとの試合。既に相手はプレーオフ進出を決めており、その試合の勝ち負けは相手にとっても自分たちにとってもプレーオフへの影響の無い、消化試合だった。

その試合でGiantsは観客もどん引きするぐらい、全力でプレーし、最後の最後まで死力を尽くして戦い抜くという姿勢を見せた。そして、それが次のシーズンでの躍進へと繋がった。

2011年のVirginiaは必ずしも実力だけで見れば歴史に残るチームとは思わない。レギュラーシーズンでの結果を見れば分かる通り、もっと強いチームもあったのかも知れない。でも、このResilienceという一点のみに関しては恐らく10倍ぐらい突き抜けて秀でていた。このVirginia 2011というチームの一部として関われた事を本当に幸せに、そして誇りに思う。

(このチーム程この言葉が似合うチームはいない。レギュラーシーズンでは何と9勝5敗。プレーオフ一回戦では格下のBucknellに同点→OTで辛くも勝利。正に、メンタルの強さ、耐え忍ぶ力以外の何物でもない。)

6. シーズン最後に除籍になってしまったShamel & Rhamel Brattonに関して

何度もメディアに聞かれたと思うが、...に関して、という質問に対し。

私のコーチとしての本当の仕事は、突き詰めて言えば、Virginiaに入学して来る才能ある若い選手たちに、「sacrifice is worth it(努力や犠牲は必ず返って来る、準備/努力をすれば最後は必ずそれに見合った見返りが得られる)」という事を伝える事。

40人の才能ある選手たち全員にそれを伝えられれば、それほど幸せな事は無い。大学を卒業しての人生。ラクロス以外の今後の人生に向けての一番大事な学び、伝えるべき事だと思う。それが自分の人生の存在意義だと思っている。

チームのために自らを犠牲にし、チームの為に自分を捧げる事、チームの為にコミットし、努力する事。結局それが最大の価値だと思う。もちろん、それは一朝一夕では伝えられない。高校までちやほやされて来たスター選手であれば尚の事。それがこのヘッドコーチの仕事の難しい所でもあり、やりがい。時間を掛けてゆっくり、山や谷を経験しながら少しずつ伝えて行くしかない。

(これは正にNCAA Div 1の強豪校ならでは。特に、「俺が俺が!」の傾向が一般的に強いアメリカならでは、そしてその中でも更に高校まで各地元のチームでスーパーヒーローだったエリート選手だけをスポーツ推薦で集めるトップ校ならではの悩みか。

日本ではむしろ傾向としては割とおとなしめの選手が多い気がするので、むしろここはやり過ぎなぐらい目立ちに行け、「天才の俺様が試合を決めてやんよ!!」ぐらいに、桜木花道や流川ばりにエゴ満載で行くべしってのが最初の一歩なんだろう。強いエゴを訓練してコントロールすることは出来るが、おとなしい選手にエゴを植え付ける事は難しいので。責任感や、チームのために、なんてのはリーグ戦の最後の何試合かで分かってくりゃいいぐらいの話な訳で。

極端な話、むしろ何年かに一度、「あいつらすげえやんちゃで個性ある野武士集団だったけど、最後までcohesionしなかったな(チームとして機能しなかったな)...してたらすげえ強かったんだろうけど...」と言われるぐらいが丁度いい気ぃすらする。)


7. 2月から始まる来年のシーズンに向けて

やはり4年間ゴールを守って来た守護神、GのAdam Ghettlemanが抜けた穴は大きいが、下級生Gが頑張ってくれている。

全体的にはここまで、秋学期の間チームは良くやってくれていると思う。

難しいのはやはり優勝を成し遂げたdefending championとして戦う事。周りの人たちは常に賞賛の言葉を送ってくれる。そんな中去年自分たちが持っていた程のハングリーさを持てるか。如何に慢心せずに今年のチームは去年とは全く違うチームだと言う事を自分たちにいい聞かせ続けられるか。

2011年11月20日日曜日

NCAA Basketball 2012 UNC vol.03 Season Preview

ちと前後してしまうが、ESPNのSeason Preview。




明らかに才能ある選手の層の厚さでは突出。メディア投票、コーチ投票による各種ランキングでは、ほぼ満場一致で開幕前からの一位をキープしている。ここまで突出した、異論無しの一位はここ数年見た事が無い。それだけ才能のある選手が揃っている。一言で言うと、去年NBAに行っていてもおかしくなかったメンバーが数人残った事が大きい。

再三指摘されているのは、OFが強いことは分かっているので、DFをどこまで堅牢なものにまで作り込めるか。そして、NBAドラフトでも 注目の#40 SF Harrison Barnes以外の選手がどこまでステップアップ出来るか、特にベンチからのセンターがどこまで縁の下の力持ちとして助けられるか。

(ちなみにBarnesは昨年一年生の時点で、NBA上位5位以内で指名されると言われておきながら、結局NBAに行かず、UNCに残り、全米制覇を目指して二年生のシーズンを戦う道を選んだ。NBAは現時点では労使間交渉に伴うロックアウト(スト)により開幕を危ぶまれており、UNCは一気に優勝候補に躍り出た。彼にとっては間違い無く正しい選択だったということになるだろう。NBAにはいつでも行けるが、NCAA制覇は人生で数度しかチャンスは無い。一年早く給料を貰えるかどうかよりももっと大事なものがあるという考え方。個人的には好きだ。)

若くて経験不足と言われながらもシーズン後半にグッと成長したことで強豪復活を成し遂げた去年と違い、今年は当初から優勝候補として注目され、前対戦相手から徹底マークされる。そのプレッシャーをはね除けられるか。

そして、常に付き物なのが、怪我のリスク。司令塔のKendall MarshallやHarrison Barnesが怪我でシーズンの大半を欠場するような事になれば一気に話が変わって来る。過酷なスケジュールで知られるNCAA Men's Basketball Div 1では、レギュラーシーズン中は週二試合で30試合、トーナメントも入れれば5ヶ月間の間に約40試合近くを戦う。怪我と全く無縁で戦い続けることはほぼ不可能。その辺をどうマネジするか。ベンチの選手がどこまでstep up出来るか。

最大の山場はPre Season Ranking 2位で、同じくNBA級の選手がゴソッと控えるKentuckyとの12月上旬の試合。

2011年11月18日金曜日

NCAA Basketball 2012 UNC vol.02 vs Ashville

先週末のMSU戦勝利に続き、UNC (University of North Carolina)の公式戦第二試合。

アウェーで同じNorth Carolina州にある姉妹校のUNC Ashville校との開幕戦。手堅く勝利。引き続き全米ランキング1位を維持。

今年は初めてテレビでUNCを見るが、やはり噂に違わず才能溢れる選手が分厚く控えている。NBA 1-2順目指名の選手が6-7枚いる感じ。タレントの分厚さで見れば恐らくKentuckyと並んで国内最強クラス。

特に、去年敢えてNBAドラフトにアプライせず、残留する事を選んだ二人の2年生、#5 司令塔GのKendall Marshall、#40 FのHarrison Barnesの2枚が強力にチームを引っ張る。

特に#5のMarshallのオフェンス統制力は凄い。彼が入る事で全員がその得点力を全開に発揮出来ている。本人は点を取らないが、周りを有機的に生かす事で爆発的に点を取らせるというパターン。いくつかのパスは往年のMagic JohnsonやJohn Stocktonを連想させるようなクリエイティビティ。「頭の後ろに目ぇついてんのか!?」系。

"Phenomenal"の言葉が相応しい。下半身が異様に安定しており、常に頭が起きており、視野がムチャクチャ取れている。上半身が柔軟で、どんな方向にもぐるんぐるんにパスを出せる。際立ってbasketball IQが高く、試合の波/流れをよーく分かった上で、5秒後、10秒後の二手先三手先を読みながら、4人の味方全員、そして相手5人をコントロールしてしまっている。

彼がいるのといないのとで、周りにいるNBA級の選手たちがどれだけ伸び伸びプレー出来るかが大きく変わっている。今後トーナメントに向けてどうチームを変化させていててくれるんだろうか。そのリーダーシップに引き続き期待。

Kendall Marshallのハイライト




ただ、チーム全体の現時点での出来を見ると、やはり全体的に若い印象を受ける。二日前にSan Diegoで行われた船上の試合から帰って休み無しで試合のため疲れているのか?まだまだミス、特にturn-overが多く、シュートの確率が低い。オフェンスも個人技か、Marshallのパスからの単発フィニッシュが多い。現時点では、確かに才能では全米1位の評価も頷けるが、正直このチームがこのまま3月のMarch Madness (NCAA Tournament)を制するようには見えない。精神的にも戦術的にもまだまだ成熟して行く必要を感じる。(例えば09年のUNCや10年のDukeの様に、優勝チームに共通する強力な4年生リーダー達がいない。)

現時点でのNCAA-NBAルールでは、1年間大学でプレーした時点でNBAに行く事が出来、強いチームほど全米トップクラスの選手を集め、結局彼らが全員一年でいなくなるので、実はそんなに戦力が安定しないという構造的な課題を抱えている。故に、逆に中堅校でNBAで活躍出来る程ではない選手が10人近く残り、3-4年生まで残って固まった場合、逆に強豪校よりも強くなるという不思議な力学が働いている。

裏を返せばUNCも今後の戦いを通して大きく成長して行けると言う事でもある。引き続き変化し、優勝を目指して行って欲しい。来週はホームコートでの開幕戦なので、会場でじっくり見てみようと思う。

ESPNハイライト

2011年11月16日水曜日

NCAA Basketball 2012 UNC vol.01 vs Michigan State

シーズンが遂に開幕し、我が地元Chapel HillのUNC (University of North Carolina)が全米No. 1として早速一勝目を着実に上げ、順調な滑り出しを見せた...

と、言うのは、実はラクロスじゃなくてバスケの話。

今年のUNCは2009年の全米制覇の年以来の、シーズン開幕一位スタート。去年一昨年と優勝後の低迷を経験し、ここまで徐々に力を蓄えて来た。

過去にMichael JordanやRasheed Wallace, Vince Carterと言ったNBAのスーパースター達を輩出してきた名門校。

今年もNBAドラフト候補の選手を複数擁し、期待を集めている。ドラフト一巡目に5人とも言われており、ベンチにまでNBA級の選手が控えている。今年はどこかで一回スタジアムに見に行かなくては。

今回の開幕戦はVeterans Day(退役軍人の日)にちなみ、大のバスケファンでもあるオバマ大統領を招き、海上の戦艦の上で行われた試合。名将Tom Izzo率いる同じく名門Michigan Stateを制した。

今年はNBAが労使間交渉のロックアウトにより開幕が遅れており、NCAAへの注目が一気に高まっている。

UNCの優勝を願って、がっつり応援して行こうと思う。

ESPN Highlight

史上初の海上での公式戦。絶景過ぎる。

2011年11月13日日曜日

ラクロスのスピードアップに向けたルール変更の動き vol.02

..の前に、現役の選手/スタッフの皆さんに一言だけ...

今年一年間、最高の感動と、勇気と、エンターテインメントを有り難う!!!

決勝戦は、結果だけ見ると残念っちゃ残念だけど、(最早卒業から時間が経ち、完全に「先輩」とか「Alum(卒業生)」というよりはむしろ純粋な「一ファン」になっている僕個人の感想としては...)まあ、結果は結果でしかなくて、やっぱりここまでcompetitive(強い)で素晴らしいチームを作り上げた事、実際にそれをフィールドで発揮してここまで勝ち続けて来た事、その過程でやるべき事を全力でやって挑戦/変化/成長し続けて来た事、そして僕らファンにポジティブなエネルギーを与えまくってくれて来た事、その全てが一番大事な最高の結果/成果物だと感じてます。

アメリカにいて、football, basketball, lacrosse等、(日本には存在しないレベルで)想像を絶するほどコンペティティブ(競争の激しい)な大学スポーツの世界を見ていて感じるのは、競技として成熟し、競争のライフステージが成熟した舞台では、本当に、「確実に、長期間安定して、絶対的な王者になる」ことは、不可能に近い程難しいなと言う事。

プロになる選手が各学年に10人近くいるくらい有り得ないくらい強力な布陣を整え、文字通り死ぬ程努力/練習し、しかもそれを最も合理的で科学的な方法で、メンタル/フィジカル/技術/戦術/環境、全ての変数を限界まで高めきって、磨ききって、理屈上これ以上無い所まで高めて、プレシーズンにほとんどのファンやメディアが優勝候補と目したチームが、その手前であっさりと倒されて行く過程を何度も目にして来た。NCAAや、NFL/MBAと言ったプロでは、それがもはや日常になり、ファンや選手たちも、多少のショックは受けながらも、最後は、「that's what it is(ま、勝負ってそういうもんだろ)」としか感じなくなっている。

「このチームなら優勝しても違和感全く無いな」、という、正に隙の無い、オーラ漂うChampionship級のチームが3-4チームあって、加えてアプセットでシンデレラストーリーを生みうるチームが5-10チームくらいあって、それらが熾烈な接戦を演じ続け、予測不能な結末とドラマが待ち受けている、それが醍醐味になっている。であるが故に、決勝戦だけではなくシーズンを通してのランキング/順位に大きな価値があり、決して優勝出来なくても伝説的に語り継がれるチームはいくらでもある。(去年のSyracuseやMaryland、2007年のDukeなんて典型だろう。Syracuseなんて、あれだけの想像を絶するドリームチームを持ってしても尚2年連続で決勝にすら辿り着けなかった。)

4年間夢見て来た目標、この一年間、文字通り全身全霊を懸けて挑んでいた日本一の目標が、最後の最後に手のひらからスルッと抜け落ちた感覚は、恐らく僕らからは想像も着かない程悔しくて、言葉では言い表せないくらいのものじゃないかと想像する。未だに現実として信じられない、受け入れられないという選手/スタッフ/関係者の方も多いと思う。(僕自身、卒業して10年経った今ですら、本当に、3年生の準優勝だったシーズン、4年生の3位だったシーズンで、自分がパイプに当てて外したシュートのシーンを未だに年に何回か夢で見て、追体験している。悔しさと共に。冗談みたいな話だが、本当に。色や音まで鮮明に。で、今戦っているこのビジネス/経営のフィールドでは絶対に後悔を残さないように全力でやろっ、と思いながら目を覚ます...)

一歩引いて、あくまで一ラクロスファンとして冷静なというか場合によっては若干興醒めな事を申し上げてしまうと、(試合を直接見ていないので根拠/自信を伴った形で言いきれないが、試合のレポートから想像する仮説で申し上げると)直感的に、今回の試合の前後3時間を切り取って、10回リセットボタンを押し直して、10回試合をやり直した場合、サイコロを振り直した場合、ルーレットを回し直した場合、またはゲームや映画のマルチエンディングとしてシナリオを見た場合、恐らく10回中5回なのか、8回なのか、2回なのかは全く分からないが(直接見てないので)、そこそこの割合で勝つ絵になってたんじゃないかな?と想像する。(もちろん、そうは言っても相手チームの接戦の局面で個の力で扉をこじ開ける力、メンタルの強さが働いて、若干ディスカウントしなくちゃいけないかもだけど...)

やはりそれだけのチーム、日本一になり「得る」チームを作ったと言う事は恐らく事実で、誇れる事だと信じている。(選手やスタッフの皆さんから「そんなの言い訳で、やっぱり結果でしょ!」と突っ込まれる気もするが、あくまで冷徹にファンの視点を貫いた場合...)

まあ、これまたもう一歩引いて、(自分への慰めの意図全く抜きに)そもそも環境要因や土俵の違いも込みでそもそもの議論をしちゃうと、体育推薦でスポーツエリートを取れるという要素が片方に有って片方に無い時点で明確にハンディキャップを負っている訳で。(もちろん、やってる選手や関係者の皆さんからすると、そんなの関係無くて、それも込みのゲームとして勝つ大前提でやってらっしゃるのは百も承知で、実際に勝ったり負けたりを繰り返して来た訳ですが...)

例えばこれがNCAAだとすると、scholorship(体育推薦/体育入試)無しのチームが有りのチーム相手に、決勝まで進んだり、そもそも接戦を演じただけで、全米が注目するニュースになるはず。要は、それだけ難しい事をやられた訳で、十分に胸を張っていいと信じている。

(繰り返しになるけど、言い訳作りや慰めの意図じゃなく、今後の現役の皆さんのモチベーションを削ぐ意図も一切無く、あくまで一ファンとして客観的に冷静に競争の力学/構造を見ると...という話。そして相手チームの皆さんも当然最高の努力と工夫を積み重ねて来られたが故の強さだし、決して「体育推薦/体育入試/体育学部があるから」強い、というファクターは強さを構成する一部の要素に過ぎなくて、やはりこれだけの素晴らしいチームを作られて来た事はまぎれもなく最大限の尊敬と賞賛に値するという大前提で。そもそも体育学部以外の選手も多い上、別に体育学部であってもトップアスリートだけが純粋に身体能力やスポーツのパフォーマンス「だけ」で入学されてる訳ではないと伺った事もあるので恐らくそんなに単純な話でもないんだろうと想像する。


もっと言ってしまえば、そもそも体育学部を持つ/作るか否か、athlete向けのscholorshipの有無/数/額、大学のコミットメントも含めてより広いラクロスの戦略変数の一つだとすると、「じゃあ体育学部作ればいいじゃん。そういう努力してんの?それも含めて実力だろ?」というロジックも成り立ち得る訳で...(NCAAだとかなりそういう考え方に近い。)加えて、最も大事なのは、そういう素晴らしい好敵手に恵まれたが故に周囲のチームも成長出来るという事実に感謝しなくちゃいけないという前提で。また、ファン視点としても、入学時には線の細いどちらかと言うと勉強メインでやって来た選手たちが努力/成長して体育大学に勝ちに行く所にドラマや面白さがあるって話もあるし...


そして何よりも忘れちゃいけない最も重要な事は、「身体能力はtrainable(鍛える事で上げられる)」という点。科学的に、賢く正しく努力すれば、カーディオもスピードもパワーもバランスも柔軟性も、全て相当なレベルまで変化させ得ると言う点。サイズ/体重ですら。動体視力や反射速度ですら。『動物的勘』や巷で言う所の『センス』ですら、相当な部分までパターン認識と学習で作り込める。ある意味本当に与えられた物有りきで戦わなくちゃいけないのは極端な話、骨格だけ(ジャック=ハンマー(グラップラー刃牙の)ばりに骨格そのものを改造しない限り)。恐らく入学時点での身体能力の差は、4年間で変化出来る延び幅からすると相対的には結構小さい物なのかも知れない。DNAや素材の違いが議論になってくるのは、本当にそれら全ての変数を限界まで高めきった、競争の飽和の先にある極の極の戦いに於いてのみ。で、恐らくまだ日本の大学ラクロスはそこまで突き詰めきっている気はまだしないし...

と、脚注が異様に長くなって訳が分からなくなってしまったが、要は何が言いたかったかと言うと、入学時の素材としてハンデを負った状態にも関わらず、間違い無く良くやった!という事ですな。

特に、今年のチームは、2010年に、Maryland 2011やSyracyse 2011のように、明確に強力で分厚い4年生が率いる「波」の代を経験した直後の代で、一般的には経験不足でパフォーマンス的には「谷」が訪れても全くおかしくなかった年のはず。ここだけの話、一ファンとしては、heartbreakを避ける意図で、シーズン当初には「今年はちょっと期待値下げた方がいいのかな...?」とも思っていた。であるが故に、リーグ戦を通して勝ち続ける姿には去年以上の感銘を受け、力強いポジティブバイブレーションを頂いていた。

と段々話が無駄に広がり続けて来たので強引にwrap-upしに行くと...

繰り返しになるが、僕個人としてはとにかく、皆さんの活躍を聞く事で、最高の興奮と感動と勇気を貰い、応援する事を通じて自らの中にポジティブなエネルギーを生ませて頂いた1年間でした。ただただ、尊敬と感謝の念を感じてます。本当に、有り難う!!

と言う訳で、今後も何か協力出来る事が有れば喜んで協力させて頂くので、何か役に立てる事があれば気軽にご連絡下さいな。チームの事でも、キャリアの事でも、留学の事でも。

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で、こっからが本題というか、元々の記事。

先日紹介したショットクロック等のラクロスのスピードアップに向けた記事のアップデート動画がILに載っていたのでクイックに紹介。Quintと並ぶIL & ESPNのラクロス解説者、Mark Dixonによる解説。

リンク


いくつかポイントを要約すると...
  • 散々議論されて来た通り、近年のNCAA Men's Lacrosseは(スティックの進化に伴いボールが落ちにくくなった事でポゼッションが変わりにくくなり)、ペースの鈍化が顕著になり、経験者以外からすると取っ付きにくい/面白くないスポーツになってしまっている
  • 今年の秋の練習試合期間に、NCAAのルールコミッティの管轄下で、いくつかのスピードアップに向けた実験が行われた
  • 最大の変更/実験は(MLLやNLLと同様の)60秒ショットクロックの導入。
  • 正直自分も最初は導入に懐疑的だった。
  • が、実際に何試合かオフィシャルをしてみたり、観戦してみて、意見がガラッと変わった。今は完全に支持している。
  • 試合を止めどなく流れさせ、オフェンスのテンポを明確にアップさせる効果がある。
  • 実施に於いて新たに検討が必要になってくるのが、屋外用のデジタルクロック。スタジアムの備え付けのクロックを使うのか、(バスケの30秒タイマーみたいに)外付けで付けるのか。
  • もう一つの変更は"Counts on clears"または"Clearing counts"。
  • 一つのケースでは20秒以内にフロントコートのルールでやっていた。
  • これも大事なのは、オフィシャルが数えるだけじゃなくて、実際に選手やコーチから時間が見えるようにすること。
  • いくつかのtake awayは...
  • よりノンストップで走り続けなくてはいけなくなるため、オフィシャル/審判が結構good shapeになくちゃいけなくなるということ(走れるようになっておかなくちゃいけないということ)。
  • MFが同様に相当走れるようになれる必要があり、よりOF/DF両方をこなせるようになることが求められるようになる。
  • OFに於いては、ここ数年ATが主役になってきたが、60秒ショットクロックが導入される事で(MLLで実際にそうなっているように)OFに於けるMFの重要性が一気に増して来る。(ボールを落として、ATがXから「じゃ、いきまっか」とやる時間が無くなり、取りあえず一発目はMFからガンガン崩して行って、打てたら打っちゃおう、となる)
とのこと。

Lacrosse Hot Bed(メッカ)のBaltimore出身&在住で、HopkinsでMFとしてプレーしていた彼。現在もオフィシャルやメディアとして深くラクロスに関わっており、ESPNやILでの発言も冷静で深い分析に基づいている。その彼の意見なので、恐らくそんなに関係者全体の平均値とズレていないんじゃないだろうか。

結論から言うと、非常にポジティブということだろう。選手やコーチやオフィシャルがブーブー文句を言っているという話も聞かない。具体的なタイミングがいつになるかは別として、恐らく方向性としてはこの流れで行くんじゃないだろうか。

MFの重要度が一気に上がる点に関しては、理屈で考えても納得出来る。実際にMLLで一番目立ってるのは最強MFのPaul RabilやStephen PeyserやMax Seibaldだし。Chesapeake BayhawksやHamilton Nationals等、MF軍団の活躍で躍進しているチームも多いし。身体能力の高い大型MFの時代が来るということか。

日本代表に取ってはどうだろう?純粋なフィジカル/athleticismの戦いの度合いが増すという面に於いてはネガティブ。トランジッションの数が増え、セットオフェンスの重みが減り、ブレーク/uunsettledの点が圧倒的に増えると言う面に於いてはポジティブ?結局試合の平均得点が大きく上がる事により、得点機会が増え、格下が格上に勝つための定石である、ロースコアの展開に持ち込んで、忍耐で耐え忍んで、限られたチャンスで鋭く刺して勝つ、という戦略が使えなくなり、純粋な上手さがより如実に出るようになるとすると、頂上はより遠くなる?

いろんな変数が+と−の双方に振れて、netで見ると差し引きどっちなんだろう。直感的には−の方が多くなってしまう気もする。が、いずれにせよちと累積思考とインプットが足りてない...NCAAでどう作用していくのかに注目。

2011年11月10日木曜日

NCAA流 "冬休みの過ごし方"

もういっちょ。前回の「一年生の心得」に続き、今月のILに載っていたコネタ。これまた別の角度からの視点でNCAAの文化/仕組を映し出していて面白いと思ったので紹介。

"How to NOT be a fallball legend"(1学期目の秋学期の練習試合期間の伝説 [=シーズン最初の練習試合期間は超活躍して目立ってたのに、結局春以降の公式戦では試合に出られずに/ぱっとせずに消えて行った痛い奴] にならないためには)

どうやら結構多いパターンらしい。特に秋学期はチームの方針として、敢えて競争を加速し、才能を発掘するためにも学年や実力に関係無く敢えて均等に試合に出す傾向が強く、そこで思いっきりやって爆発的に活躍したのに、シーズンが近づくに連れて勢いを失い「あれ?そういやあいつどこ行った?」となるケース。ポテンシャルはあるが経験の不足する下級生などは特に。

年明けにシーズンが始まり、そのまま夏のリーグ戦までノンストップでシーズンが続く日本と違い、アメリカは長い夏休み後の9月の新学期に一度練習期間が始まり、その後11月のThanks Giving休暇から年末のクリスマス休暇と一度大きな休みが入り、直後に2月末の公式戦スタート、とちょっとトリッキーなシーズン構成になっている。日本で言う所の盆休みと正月休みがセットでどかっとリーグ戦の前に来てるイメージ(であるが故にシーズン初期はどのチームも試運転状態で、アプセット[番狂わせ]も頻発する)。

その辺の事情も踏まえて。

1. 冬休み中もtop shape(ベストコンディション)を維持するべし

せっかく秋学期にgreat shapeで始められたんだったら、秋学期中にゴリゴリにウェイト/カーディオやって鍛えたなら、冬に調子乗ってマッシュポテトとかステーキ食いまくって年明けに5-6キロ太って登場なんて失態は犯すな。

(日本だとやはりお餅とかお節料理か...)

2. 余計な怪我は避けろ

冬休みに帰った地元で久々にあった友達とやるスケートボード/スノボ、遊びでやるフットボールで怪我をして冬学期に戻って来たら選手として失格。どんなに友達に誘われても、それをやらなくちゃいけない理由なんてないんだし。羽目を外さない。高校までとは違うんだという自覚と責任を持つべし。

(これ、Hopkinsの不動のエースMF #9 John Greeley (Jr.)が、今年の夏のイベント、大学とは全く関係無くプレーしていたLake Placidで膝を怪我し、これから靭帯の手術→リハビリをこなすことになってしまったという話なんか典型的な例だろう。チーム作りの構想をぶちこわされたHead CoachのCoach Petroからすると泣くに泣けない...)

3. チームのシステム/戦術の中で活躍出来るようになっておけ

秋学期のOB戦で試合を見に来た彼女や家族を喜ばせるためにswim dodgeからのroll dodgeからのBTB (Behind the back)とかやってたよな?そういうの一切忘れろ。戦術無しで個人技のみで自由にやれるのは秋学期まで。冬学期からは本格的にチーム戦術/システム最優先でミッションをこなせるようになっておけ

(これもまた極めてNCAA的だ。そして高校までとの最大の違いだろう。よく見るとNCAAには才能があるのにシステム/戦術にフィットしないが故に試合に出られていない選手がゴロゴロいる事に気付かされる。)

4. 期待値マネジメント

超熱狂的に応援してくれる両親や親戚にはあんましラクロスオンライン掲示板にやり過ぎな応援ややらせ賞賛メッセージを書きまくるなと注意しておくべし。実力以上に期待値が上がると後でキツくなる。静かに、水面下で実力を高めておけ。

5. メディアの注目度を敢えて下げろ

背番号を敢えて変えて、Inside Lacrosseや地元メディアの注目度を敢えて下げろ。「あいつ誰だっけ?」と思われてるくらいがスタートとしては丁度いい。何点取ったかとか、何回ターンオーバーしちゃったかとか、そういうのは自分とチームメートとコーチが知っとけばいい。いちいちメディアで出来を評価されて、それを気にしてもしょうがない。

(ちなみにこれ、正にUNCのNicky Galassoがやっている。去年は#34。今年はこっそりと#42になっていた。練習試合で見た時に、「はて?あいつ誰?」となっており、ある程度作戦成功。確かに彼の場合は入学時から高校No. 1プレーヤーとして明らかに注目され過ぎていた。去年はACC Rookie of the Year取っちゃったし。)

以上が記事に載っていた5つの項目。

注目度のマネジ

この辺の感じ、面白いなーと感じる。日本と比べると圧倒的にファンの数も多く注目度が高い分、ILやESPNを始めとしたメディアの評価に晒される選手たち。5月の決勝ではNFLのスタジアムで、全米から数万人の観客を集め、試合は週末の昼に全国ネットで放映される。地元や大学のコミュニティでも注目される。

ネガティブな事も書かれるし、結果を常に気にしてセルフイメージを小さくさせられる事も多いと想像する。ちょっと無得点の試合が有っただけで「調子悪い」やら「怪我したか?」などと書かれてしまう。どんな大エースだって試合によってはアシストに徹する事だってあるだろうに...フォーラム(オンライン掲示板)ではバンバン悪口を書かれ、裏話をバラされる。どんなに雑音をシャットアウトして自分の事に集中しようとしても、嫌でも周囲の声が聞こえてしまうはず。

その辺のマネジがコンスタントにパフォーマンスを発揮し続ける上で鍵になってくると言う事だろう。

思い出させられるメンタルの基本

まあ、こういう話を読むと尚の事、辻先生に教わったメンタルの基本をリマインドさせられる。
  • 「他人でも環境でもなく、自分」
  • 「過去の後悔(あのシュートこっち打っときゃよかった)でも未来の不安(次の5分を凌げば勝てるかな?)でもなく、今を見る。今やるべき事のみに集中する。今に生きる」
  • 「結果じゃなく変化を見る。この試合に勝てるかどうか、このままじゃ負けちゃうかどうかじゃなく、今この瞬間この瞬間のベストを積み重ねていく。」
  • 「怒りや苛立ちの感情のスイッチはブチッとオフる。感謝、尊敬、信頼、応援、賞賛、憧れ、というポジティブな感情を周囲に投げ続ける。なぜならそれが結局自分に跳ね返って来てセルフイメージを大きくするから」
  • 「目の前にぶら下がるどの思考の紐を引くかが感情を作り、感情がセルフイメージを作り、セルフイメージがパフォーマンスを作る。故に、自ら正しい思考の紐を常に選び取って行く」
  • 「コントロール出来ない事は考えない/心配しない、コントロール出来る事に集中して全力を尽くす」
  • 「なぜならそれがセルフイメージを最大化させ、セルフコンセプトを安定させ、結果、パフォーマンスを最大化させる事になるので」
といったメンタルのマネジメントの基本。

正に、イチロー選手の、「今日打てませんでしたが、調子悪かったんですか?」という記者からの意地悪な質問に対して「別に。ただ自分は自分のやるべき事をやるだけですから。その質問に何の意味が?」という受け答え。松井選手の「NYのファンやメディアは活躍出来ないとボコボコに叩きますよ?」に対する「ま、別に僕はファンやメディアの意見をコントロールすることは出来ませんから。僕は僕の出来ること、つまり練習してパフォーマンスを高める事を淡々とやるだけですから。」的な。「大活躍ですね!」と言われても、「いや、自分の中での目標設定/ゲームプランを達成/遂行出来てないので問題外でしょ。」と答え、逆に「点取れませんでしたね」と言われても「いや、自分の設定した目標をクリアして変化出来たから合格でしょ」と返す本田圭祐選手のように。

2011年11月7日月曜日

NCAA流 "1年生の心得"

現役選手&スタッフの皆さん、決勝進出おめでとう!引き続きその勇姿に勇気と元気を貰いつつ、応援する事を通じてポジティブなエネルギーを生ませて貰ってます。&今に生きる/変化を見る姿勢をリマインドさせて貰ってます。決勝も引き続き思いっきり楽しんじゃって!

さて、今月号のInside Lacrosseに、NCAAの事情が伺い知れる面白い記事が有ったので紹介。"Unspoken rules for freshmen during fallball"(新一年生が一学期目を過ごすにあたっての不文律/心得)。

ほぼ全員が大学からラクロスを始める日本と違い、現在のNCAA Men's Lacrosse Div 1では、ほとんどの選手が中学/高校で実績を残し、体育推薦で奨学金を貰う形で入って来ているスポーツエリートたち。優秀な選手は一年からフィールドに立ち活躍する事も多い。日本で言うと、イメージ中学までの野球エリートが集まる甲子園常連の名門高校野球部みたいなイメージだろうか。大学で言えばインターハイ/ウィンターカップで活躍した選手が多く集まる日体大/日大/法政大バスケ部みたいな?

日本のラクロスとはまた違ったその辺の事情を踏まえた内容でもあり、また一方で「あはは、日本の体育会と変わんねえな」と思える物もあり、面白かった。

ちなみに副題は「新入生にとって、first impression(第一印象)が一番大事。無駄に調子こいて生意気と思われずに、シメられないように、怪我しないように、どうやって最初の一学期を乗り切って試合に出るか」。

1. 雑用は基本中の基本

ルーキーは、例え親がどんなに偉い仕事をしていようと、仮に高校時代のランキングで1位だろうと何だろうと、ちゃんとボールを管理して、ゴール&ネットを運び、練習時の水のボトルの準備を怠らない事。

(これ、完全に日本の体育会と同じシステムですな...逆にNCAAだとスタッフの数がタイトに絞られてるので(数人)、下手したら日本の強豪ラクロス部よりも下級生はサポートワークをしているかも知れない...)

2. 服装で目立つな

新入生は、カッコ付けたギアや練習着を着て調子乗った恰好をしない事。サンバイザーとかは持っての他。んなもんはCasey Powellじゃ無い限り付けない。高校時代のシャツとかスウェットパンツも同じ。大学に入ったんだから地元プライドは捨てて同化せよ。大学から支給されるチーム統一の練習着/普段着をきちっと着る事。

(何とも軍隊的なというか、ハードコアなアメリカの体育会のカルチャーが如実に出ていて面白い)

4. 時間厳守

当然の事だが、遅刻欠席厳禁。全てのミーティングに時間通りバチッと出席せよ。チームメートからはぶられたり、罰則で一年全員ダッシュとか喰らいたくなければ。

(マジ日本の古い体育会と同じだ...比較的文化の新しく、上下関係やこの手の古い体育会的カルチャーを意図的に/無意識に退けて来た日本のラクロスから比べるとよっぽどガッチリしてる感じだ...)

5. 緊張感

ルーキーは常に全ての事に注意を払い続けていること。ヘラヘラしない。授業、フィルムセッション(試合の映像の視聴による学習/練習)、練習、ウェイトトレーニング。もし上記で3番が抜けてる事に気付いてなかったら注意不足。グランド三周。

(ま、こりゃライターの方の軽いギャグだが。でも、実際にノリ的にはこんな感じなんだろう。若干の理不尽感を感じなくもないこの感じ。(日本人が日本から見る感覚で想像すると)アメリカは自由奔放に見えるが、軍隊がしっかり文化/仕組みとして根付いており、そもそも国の出自としてハードシップと戦った上で築かれて来ただけあって、実は意外とこの辺の規律に煩く、頑固で厳しい人も多い)

6. 批判するのはまだ早い

建前はさておき、一年であれば、「constructive criticism(チームメート、特に上級生に対する建設的批判)」は控えておけ。「○○先輩、今のはこっちのスペースにはたくべきでしょ」なんて持っての他。お前はまだ試合に出てないどころかベンチにすら入ってすらいないことを忘れんな。

(まあ、さすがにこりゃよっぽど空気読めなくなけりゃやらんでしょ...)

7. 上級生に尽くせ

自分のロッカーに常に予備のソックスを携帯しておけ。雨の寒い日の練習でとっさに4年生が必要になったら渡すべし。必ず将来的に役に立つので。

(これ完全に太鼓持ち芸人の発想じゃねえか!ピース綾部氏/サバンナ高橋氏ばりの)

8. 席順/座席のポジショニングには細心の注意を

フィルムルームでは最後列か壁際に座って、上級生に前列を譲る事。遠征のバスでの順番は、前から、運転手、ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、トレーナー/マネージャー、4年生、3年生、2年生、バッグ/荷物、スポーツドリンク、食料、バスで見る映画のDVD、で最後に1年生。後ろでおとなしく座っとけ。

(まあ、実際にはここまで厳格じゃないだろうが、如何に一年生は一年生らしく下っ端ポジションを演じることが求められるかがわかって面白い...日本で社会人一年生が習う、飲み会での席順や、タクシーの席でのポジショニングに近いか。)

9. 言い訳無用

練習や試合中の「言い訳/excuses」は絶対にするな。批判されたら、唇をぐっと噛んで、「コーチ、今のは違うんですよ!/しかたないんですよ!」と反論したくなる気持ちを押し殺せ。仮にフィルムセッション中に自分が18番なのに、8番の選手がしたミスでコーチに怒鳴られても訂正しないぐらいの勢いで。

(これもまあ、大げさな例だが(実際にはそりゃ番号違うと指摘するべきだろう...)、要はこのくらいの勢いで"Yes, sir!!"モードで従順に言う事聞けという事か。まあ、このコーチの指令は絶対という感覚は正直アメリカだと日本より遥かに厳しい感じを受ける。特にNCAAだとコーチもフルタイムでやっているプロなので尚更。)

以上が記事の内容。

アメリカの組織に於ける上下関係

とまあ、アメリカのゴリゴリの体育会の文化が伺い知れて面白かった。僕自身、今現在アメリカの伝統ある大企業(所謂Corporate America)で、アメリカ人達と働いていて感じるが、意外と自由闊達に議論し、上司ともフレンドリーに話せるように見えて、実は日本以上に「上司の言う事は絶対」感が強い面もあると感じている。であるが故に、なるほどねー、確かに確かに、とも思わされた。(一方で、meritocracy(実力主義)がより強く、年功序列がより薄いため、マネジメントに登るメンバーはそれなりに実力が伴っているケースが多いという違いもあるが)

NCAAの日本の大学ラクロスとの違い

特にほとんどの選手が大学から始めるため、実力と学年が結構アラインされている日本のラクロスと違い、NCAAは入学時に既に大物ルーキーとして注目され、一年生で多くの4年生よりも活躍する選手もゴロゴロいる世界。この辺は結構デリケートな部分もあるのかも知れない。

ほとんどの選手たちが地元の中学/高校では大エース扱い。中には神童と呼ばれ、多くのラクロスメディアでもてはやされて来たような選手もいる訳で、この辺で調子にのって上級生にひんしゅくを買うケースもあるんだろうと想像する...多くの場合、その辺は良く解ってて、大学に入る前にしっかり心の準備をして臨んで来るんだろう。また、中には鼻高々で「俺がやってやんよ」と入って来ても、結構大学レベルとのギャップに苦しみ高い鼻をポッキリへし折られるケースも多いと思われる。

一年目から活躍する選手

ちなみに一年生から主力級の活躍をして周囲をあっと言わせたケースは、やはりSyracuseのPowell三兄弟。彼らの場合は上級生が最初っからエースとして別格扱いしてたイメージ。

そして最近ではCornellのRob PannellとNorth CarolinaのAT Nicky GalassoとFOGO RG Keenan。二人の場合は明らかに上級生を立てて、上級生と融和しながら活躍していた。これが理想的。今年入ったJimmy Bitterも上手く上級生と融合しようとしているように見えた。この辺のメンバー感のcohesionの強さがUNCの文化/魅力の一つでもある。

あとはVirginiaのBratton brothers。一年生から2nd stringでバンバン出ていた。Bratton兄弟が除籍になった際には結構掲示板に誹謗中傷のコメントも書かれ、「一年生の頃から調子に乗ってて態度が悪かった」的な悪口も書かれていた...真偽の程は分からないので何とも言えないが...あれだけ持ち上げられれば、そりゃ普通の18歳なら調子にも乗るわな、とも思う。

2011年11月4日金曜日

HeadWrapz Helmet: ILGear.com

また痺れるくらいカッコいいメットをHeadWrapzが作っている...

リンク

そもそもこのオールブラックにオレンジのストラップ&クロームフェイスマスクってのが映える。

やっぱこの辺の柄の引き出しの広さ、全体をバチッとカバー出来る点など、次世代技術感満載...

あごの部分にバチッと柄が乗ると印象がガラッと変わって来る。

Youtubeで耐久性テストの動画を掲載。楽しそう。