過去の記事でもやり過ぎだろってくらい書いているが(①、②)、Canadian Lacrosseについて。WLCでも、優勝は逃したものの、予選では勝ち、決勝でも最後の最後まで接戦を演じ、世界のラクロス関係者に二強体制を強く印象付けた。
ちなみに、実はCanadaの国技はIce HockeyではなくLacrosse。競技としての人気や大きさではHockeyの方が大きいが、夏のスポーツ、伝統あるOfficialなNational Sportsはこっちとのこと。
先日今年NCAAに入学してくる新一年生によるAll star、Under Armor High School All AmericaでもやはりCanadian Finisherが目立っていた。どこのNCAA強豪校にも大体1人か2人、ピンポイントでCanuck finisherを置いている。そしてそのトレンドは年々強まっている。やはりそれだけワークするということなのだろう。(まあ、試合やシーズンを通してのstatsを見れば実際にワークしてるのは一目瞭然...)
先日送ったNLL FinalのDVDをご覧になった選手の皆さんは一発でご理解されたと思うが、インドアはアウトドアにとっても恐らく最高の練習環境。状況判断やスピード、スティックスキルに関して、重力10倍ナメック星(古くて失敬)。
アナロジーとして凄く感じるのが、BrazilianのFutsalとFootballの関係。前回の記事でも書いたが、6年くらい前?にやっていた、GINGAの映画のロビーニョの言葉が思い出される。(映像)いいっすよね…こういう、スタイルがバシバシに出てるの。X-sportsっぽいところ。スノボやスケボーやサーフィンに近いような。
今週Delawareの本社で一緒に社内トレーニングを受けている同僚がNY州でラクロスをプレーしていたらしく、当時のCanadian絡みの思い出話をしていた(ちなみに弟さんがGait brothersと一緒にSyracuseでプレーし、3連覇したと。「ぶっちゃけGaitと一緒というタイミングがラッキーだった」とのこと…)。当時高校の地元に交流戦で遊びに来ていたCanadianのチーム。地元のお坊ちゃまアメリカ人達と比べると、なんか、でかくて、態度もでかくて、ちょいワル入った不良軍団。家に泊まった際に自分たちは飲むことを禁じられていたビールを「つか、酒飲むっしょ。当然」と勝手に飲んで騒ぎ、試合の前後に地元の女の子(含む彼のGirl friend)をガンガンhit(ナンパ)し、しかも試合は悲しいくらいにスカ勝ちし、ガハハハッと笑いながらバスで帰っていったのが印象的だったと…北欧からのViking来襲かと。まあ、でも想像付くわ…
てなわけで、どでしょ?東大の下級生の皆の中で、バチッと気合が入った猛者がいるなら。ラクロスの源流を辿るCanada留学ってのは…最悪Working holiday Visaで1年がっつり行くってのは。で、地元に密着してコミュニティに入り込んでインドアの真髄を染み込ませて持ち帰ってくると。恐らく相当特殊な存在になれるはず。スノボでは若い日本人もWhistler/Blackom辺りで山篭りのためによくやってたりするので、英語の勉強と人生勉強も兼ねてがっつり行くってのはどでしょ?(レゲエでは関西の尖った若いDeejay達が危険を顧みずに勢いでKingstonに行ってたりするし…で、実際それで大きく変化して帰ってきてたりするし。)極端な話日本で4年間真っ直ぐ真面目に過ごすよりも遥かに就職時の戦闘力アップにつながるし、もっと言うと確実にその後の人生/キャリアの選択肢と「楽しみのレバー/幸せの引き出し」を増やしてくれることになると思うので。
無責任極まりないことこの上無しで、完全にただの思い付き以外のなんでもなく、ただの自分が楽しむためのネタとして、ブレストがてらいろいろ考えると、実はIndoor LacrosseのWorld Championshipというのがあり、Fieldの次の年に4年に一度開かれている。(動画①、②、Wiki)例えばの話、(もし現時点で日本ラクロス協会から代表を出すという話が無いなら)、トレーニングの一環、遠征のひとつと位置づけて、東大のメンバーが中心になってイニシアチブを取って、仲間を募って、チームを立ち上げて、上手い選手を担いで、日本代表として出場するとか?まあ、言いたい放題もここまで来るとひでえなって話ですが…ブレークスルーはこういう馬鹿話から生まれるところもあると思うので…なんか、ちょっと夢無いすか?というか、何よりも、単純に、絶対に最高に楽しいはず!
(2007年にはスコットランドやチェコも出場している。北国ではあるが、別にラクロスの強豪国ではない。一応全うに戦えるんじゃないかなと。加えて、超長期的に見て日本がどこで勝ち易いかを考えると、直感的にその競技特性上fieldよりもindoorの方が日本人のDNAやカルチャーとのフィット上、相対的に勝ち目が高い気がする。サッカーよりもフットサルで日本が強いように。テニスよりもバドミントンや卓球で日本が強いように。コンタクトが相対的に少なく、Agility/quicknessと技術、戦術の比重が高いので。)
ちょっとでも面白そうと思う選手がいたら、僕で何かお役に立てることがあれば英語サポートやチーム探しも含めて喜んで相談に乗らせて頂くのでいつでも気軽に連絡下さいませ!
いたる@13期
2010年7月29日木曜日
2010年7月25日日曜日
WLC 2010 Game Review Final USA-Canada
マンチェスター遠征組の皆からすると一度生で見ちゃってるので新鮮さは落ちるかもですが、敢えてもう一度その興奮を味わいつつ、slow replayやQuint Kessenichの痒いところに手の届く解説でさらにもう一歩深く学ぶ上ではいい素材かと。遠征に行ってないメンバーや下級生は純粋にがっつり味わって下さいませ!
以下、見所紹介。
試合全体としての背景
過去の記事でも散々書いているが、前回はCanadaが優勝し、今大会も予選リーグでの対戦ではCanadaが1点差で勝利。USはField lacrosseの本家本元として威信を掛けて相当気合いを入れて臨む試合。CanadaはHC及びメンバーのほとんどがMLLのToronto Nationalsで数年越しで作られたチームなのに対し、USは確実に大会を通し完成度を上げて来ている。
偉大な2人のGoalie対決
今大会を通し、そしてこの試合でも、二人の大ベテランゴーリーの戦い。CanadaのSandersonは36歳。2008年に脳腫瘍の摘出手術を終え、治療の最中でほとんどラクロスをプレーしていない状態にも関わらず、今大会の為にstep upして戦う。元Hopkins All America GoalieのQuintも1年半のブランクを経てこのレベルの試合でこのレベルの活躍が出来るのは奇跡としか言えないと。
一方のBrian Daughertyも同じく36歳。MLLからは引退し、Pennsylvania大でgoalieコーチを勤める。98年のWLCで優勝するも、その後2大会は怪我やチーム方針の影響で選考から漏れていた。キャリアの最後の花道として世界王者奪還に掛ける。
試合を通してこの二人の経験と技術を感じさせるセーブが凄い。二人とも極めてスポーツIQ/Lacrosse IQが高く、Competitiveな性格。DocはDFの統率力/コミュニケーション力に定評があり、「敢えてズレて構えて空いた所に打たせて捕る」などのあらゆる駆け引きの戦術の持ち主。先日のインタビューで紹介されていたが、父親が体育教師か何かでガキの頃からあらゆるスポーツのキャンプに参加し、あらゆるスポーツの「要はこの競技で勝つ上では何が大事なの?」を学んだ経験が大きく役に立っていると言っていた。
試合の見所
Rabilの2点目のロングシュート。ほぼMLLの2 point shot lineの距離から。コンパクトだが速くて正確。毎日数百本の地道な長年の個人練習の末行き着く境地。
試合全体を見ていて感じるが、ground ballへの執着と激しさがMLLと数段階違う。世界制覇に向けプライドを掛けた戦いの重みを感じさせる。
1Q 全体的にCanadaのshot selectionが良くない。安いシュートを軽々とセーブされることが多く、オフェンス時間が十分に持てておらず、典型的な「悪い時のToronto Nationals」を見てるかの様な錯覚に陥る。
1Q終了前、Canada1点目、Jrがまたしても左横からone handのdive shotをにゅるっと押し込む。こりゃあ真似しようとしても真似できんか...このサイズと身体能力、crazyなstick skillの成せる技。
2Q開始時に映るCanadaのFOer Geoff SniderのFace offのスティックのヘッドが典型的Canadian indoor lacrosseのヘッドで、槍のように細いのが映像的に印象的。FOerとしては少しでも相手のスティックの下を取れるように、そしてindoorでのfield playerとしてはひたすら高いキープ力と正確なパス/シュートを重視し、グラウンドボールの「保険」としての先端の広さを捨てる構造。Gait brothersが好んで使っていた形状。
USのAlex Smithのmotor cycle grip(バイクのハンドルを握るように両手を順手で上から被せるスタイル)も印象に残る。
US 4点目 AT/MF Ned Crotty (今年のDuke MVP)のstep backしながらのfeedと視野、Ryan Powellのクリースでの裏を取る動き。
Canada 3点目のJrの裏からの片手フィードとWilliamsのクイックすぎて見えないtap shotがThe Canadian Lacrosse。
にしても、マンチェスターのカメラクルーが慣れてないからというのもあるが、Canadaのパスワークとフィードが速すぎて、そしてフェイクが巧すぎて、カメラが何度もボールを見失いまくっており、肝心のシュートシーンが見えないケースが何度かある。
US 5点目、AT Mike Leveille、XでのDの連携ミスの隙を付く鋭いpenetrationとそこからのシュート。シュートを打つ前に一瞬Ryan Ppowellを目線を向ける事でslideを一瞬遅らせるという細かいが重要な技術。
6点目、またしても時速180キロ男Rabilのロングシュートがゴールの左横パイプの内側にガツッと突き刺さる。この決勝のこの場面で、これだけの確率でこれだけの精度のシュートが打てる。ひたすら個人練習を繰り返し、厳しい実戦をくぐり抜ける中で磨かれてきた技術。
一瞬、Paul Rabilと「両刀使い」について考える
にしても見てても明らかにDにとってPaul Rabilは本当にやりにくそう。身体能力の高さはもちろんだが、左右どちらにも抜けて、左右どちらからでもかなり危険なシュートを打てることがこの人の危険度を数段階増している。「右は完全に切って封殺する」とか、「こっち来たら一瞬でスライド」という決めごとによる対策が圧倒的に立てにくい。結果、尚の事自由自在に抜き易くなるという好循環を自ら作り出している(且つ過去のインタビューを聴く限り、この人はかなり若い頃からそれをよーーーく解った上で明確に意思を込めてそれを磨いている)。
恐らく、「少なくとも利き手に関しては」Paulくらい速く抜けるし、速くて正確なシュートを打てる、という選手はNCAAにもMLLにも比較的ぱらぱらとはいるはず。だが、それだけだと残念ながら突出した活躍は出来ない。ことMF、特にDodge + running shootのスタイルの選手に関しては、この「両方行ける」という要素がトッププレーヤーとしてのパフォーマンスを何倍にも変え得るという典型的な例。「自分の強みである利き手をより生かす為に、敢えてweak handを鍛える」という一見面倒くさくも見える事をどこまで腹をくくってやりきれるか。
もし、ある程度身体能力は高いし、少なくとも利き手に関しては自信があるのに、リーグ戦では(スカウティング&対策されて)思うように結果が出ない、下級生の頃は活躍出来てたのに上級生になってteam Dが出来てるチーム相手にはいまいち抜けなくなった、というdodgerの選手がいたら、Be like Paul!!で一念発起してweak handを利き手を超えるところまで持っていく(ぐらいの積もりで鍛える)、というアプローチは長い目で見れば間違いなく有効なはず。
僕自身Paulのでかさや身体能力、その動きが発するオーラに圧倒され、何となく「別の生き物だ...」/「こりゃ真似出来ねえな」で思考停止してしまいがちだが、立ち止まって考えると実はこういう戦略的且つtrainableな(訓練することで習得可能な)要素が隠れている事に気付かされる。
更にもう一歩広げて考えてみる…
(そういう意味では正にVirginia新4年生のShamel Brattonもこの分岐点に立っている気がする。Strong handの左は恐らくRabilよりも上。だが、現時点では残念ながら明らかに利き手Heavy。Long stickに左を切られてEarly slideされると途端に静かになるのにはこの辺の理由があるはず。格下相手にならそれでも尚クソ強引に左にぶち抜いてキャノンシュートを決められるが、Semi Final以降やMLLのレベルで爆発的に活躍するためにはここをもう一歩脱皮する必要があるように見える。彼の場合余りにも身体能力と左の技術が突出しすぎており、かなりの所までそれで通用してしまうため、大きな方向転換の必要性を感じにくいという皮肉な難しさがあると想像する…
また、完っ全に横道に逸れた私事で恐縮だが、戦略コンサルタント時代に、定量分析の鋭さやフットワークの軽さで戦っていたアソシエイトから、よりハイレベルで定性的なプロジェクトの方向付け、クライアントマネジメントが求められるシニアコンサルタント、プロジェクトリーダーとロールが上がる際に、下手に昔の強みである「足腰の強さ」に頼りすぎるが故に新しい強みを鍛える/脱皮する妨げになる、risk averseになって手堅く小さくまとめに行ってしまう、という悩ましさを経験していた自分の姿が思い出されて痛かった…
「過去の成功体験による復讐」という簡単には超えられない壁。過去の成功が大きければ大きいほど尚のこと次の進化/成長への妨げになるという。恐らく、人も組織もこの手のジレンマとは一生戦い続ける必要があるんだと思う。過去の成功を捨て、自己否定してリセットを押せるか。失敗してもいいので新しいやり方を試し続けられるか。目の前のシングルヒットを捨てて、三振しまくってでも満塁ホームランを打ちに行けるか。その勇気を持てるか。そしてそのプロセスを楽しめるか。その辺が出来るかどうかが長ーいキャリア/人生を大きく変えて行くんだと思う。と、自戒の念を感じた…)
再び試合
US DF DeerのHuntleyへのリフトチェックが奇麗に決まる。職人技。
7点目、Shortyに付かれてミスマッチのMike LeveilleがまたしてもXから今度は右にfinalizer、ヘッドフェイク、そしてシュート。こんな動きはATやMFの選手は100回見てパクっちゃいたい。
8点目のMundorfのstrong hand左のシュートの正確さ。左上の突き刺さる。シュートの多様性と上手さではこの人が世界最高か?徹底した個人練習とフィジカルトレーニング、それを支えるdiscipline(努力/規律)を感じさせる。
3Q 10分、今年のNCAA Quarter finalで散々Virginiaを苦しめたStony Brooksのエース3年生Kevin Crowleyがダッジを掛けるが、このWLCのメンバーの中で見てもデカイし上手い。これはMVP候補に選ばれたのも頷ける。直後のJrによるリバウンドからのbehind the backはもう溜め息しか出ない。
Canada 6点目のGarrett Billingsの得点、broken situationからのスペースへのポジション取り、ボールを受ける前からシュートまでのイメージが完全に見えてる状態で瞬殺でシュート。解説者Quint Kessenichの「best decision maker of lacrosse、プレーの選択の賢さと速さでは最強」という発言にも説得力がある。
7点目、Crowleyのfast breakからのゴール右前からのシュート、キャッチからスムーズにコンパクトなステップで速く正確なシュートを決める。既に今年のNCAAでも最も目立っていた1人だったが、来年はVirginiaのShamel Brattonと並んでMVP (Tewaaraton trophy)の最有力候補となることを予感させる。
CanadaのDFの狙いを定めてroll dodgeするATをアグレッシブにダブルに行きボールダウンさせる戦術が決まりまくる。特にBrodie Merrillのプレッシャーが効果的。 MLL史上3本の指に入ると言われるLong stick, Merrill。そのDの強さの秘密について聴かれたQuintのコメント、「Rangeの広さ (機動力の高さ、手足の長さ), anticipation(相手への読み), hand/eye coordination(眼や手/スティックの使い方の上手さ)」というコメントが記憶に残る。 またMerrillは世界最高Offensive long stickと呼ばれるが、今大会では予想に反しわずか2得点のみ。clear clock, shot clockが無い現行WLCルールでは速攻でリスクを取ることも少なく、やはりそうならざるを得ないか。
直後にCanadaが 8点目の同点弾!HC Daveの息子、Hopkins ‘08のKevin Huntleyのface dodge、背中を使ってtrail checkを交わすボールキープの技術。
さらにDuke ‘08でMLL Long Island Lizardsを引っ張るZack GreerがDFのスペースの隙を付くdodgeからdive shotで逆転!!この人のここぞという場面での勝負強さは尋常じゃない。
直後のCrowleyとの1 on 1でUS守護神Daughertyのanticipationとquicknessが光るセーブ。
4Q残り12分でMundorfがbroken situationから決めて9-9同点!
ここまでUS DF #27 7 Shawn NadelenのDでの堅さが光る。Jr.に対しサイズで大きく劣るが、粘り強いフットワークと保守的ながら効果的なチェックで仕事をさせない。が、ここに来て遂にJrがゴリゴリに押し込みパスフェイクを一本入れてインサイドロールからねじ込み10-9でカナダ再度リード!
近い将来のスーパースター、Ned Crottyの凄さ
USは本来ATだが今回OFMFで出場しているNed Crottyがスパンッとダッジから鋭いシュートを突き刺し再度同点に!この人は間違いなく近い将来MLLを背負って立つスーパースターになると確信。この場面でチーム最年少で、自ら強い意志でstep upしチームを引っ張るリーダーシップ。この資質は教えられるものじゃない。試合終盤の大事な場面でこの落ち着き。大事な場面で普段の何倍も強い輝きを放つ。この手の活躍を彼はNCAAの準決勝、決勝で見せ続け、1年目のMLLで既に何度も見せている。Michael JordanにあってLeBron Jamesに無い「何か」を彼は持っていると感じさせる。
再び試合
USのオフェンスコートよく見るとAT 4枚に加え、本職はATだがUSではOF MFのCrotty。つまりAT 5枚という布陣。しかも残りのMF 1枚はPaul Rabil。こんな恐ろしい6枚セット見た事無い。USはなり振り構わず全てを掛け点を取りにいく姿勢。
Ned CrottyがShortyのCrowley相手にミスマッチを突いてXから倒れながら決め11-10で一点差リード!Nedは今年VirginiaのベストLong stick DFのKen Clausen相手に何度もこれを決めてきた訳で、いくらCrowleyが身体能力高いとは言えshort stickでは圧倒的に荷が重い。
やはり本来ATで機動力のあるNed Crottyを敢えてMFに入れるというHC Pressleyのチーム設計が大きく奏功している。これだけ実力が拮抗し、相手のlong stickが手強い状況において、この手のoffensive specialistの使い方が如何に試合を決定付け得るかを強く思い知らされた。(逆に言うとCanadaはここでShortyでもがっぷり四つでATを抑えられるだけのDefensive specialistがおらず、本来OFが得意なCrowleyが付かざるを得なかったのが痛かった。もっと言うとUSはそれを理解していてそこを付く布陣を選んだとも。最後の最後で詰め将棋の一手が勝負を分けることになろうとは。)
最後の3分は1点差を守るべくスピードをフルに生かしてUSが超保守的にボールキープ。そのまま試合終了まで守り切り、悲願の王者奪還。
振り返ると、過去の2チーム間の死闘の歴史に恥じない、極めてentertainingで熱い、素晴らしい試合だった。満足。
いたる@13期
以下、見所紹介。
試合全体としての背景
過去の記事でも散々書いているが、前回はCanadaが優勝し、今大会も予選リーグでの対戦ではCanadaが1点差で勝利。USはField lacrosseの本家本元として威信を掛けて相当気合いを入れて臨む試合。CanadaはHC及びメンバーのほとんどがMLLのToronto Nationalsで数年越しで作られたチームなのに対し、USは確実に大会を通し完成度を上げて来ている。
偉大な2人のGoalie対決
今大会を通し、そしてこの試合でも、二人の大ベテランゴーリーの戦い。CanadaのSandersonは36歳。2008年に脳腫瘍の摘出手術を終え、治療の最中でほとんどラクロスをプレーしていない状態にも関わらず、今大会の為にstep upして戦う。元Hopkins All America GoalieのQuintも1年半のブランクを経てこのレベルの試合でこのレベルの活躍が出来るのは奇跡としか言えないと。
一方のBrian Daughertyも同じく36歳。MLLからは引退し、Pennsylvania大でgoalieコーチを勤める。98年のWLCで優勝するも、その後2大会は怪我やチーム方針の影響で選考から漏れていた。キャリアの最後の花道として世界王者奪還に掛ける。
試合を通してこの二人の経験と技術を感じさせるセーブが凄い。二人とも極めてスポーツIQ/Lacrosse IQが高く、Competitiveな性格。DocはDFの統率力/コミュニケーション力に定評があり、「敢えてズレて構えて空いた所に打たせて捕る」などのあらゆる駆け引きの戦術の持ち主。先日のインタビューで紹介されていたが、父親が体育教師か何かでガキの頃からあらゆるスポーツのキャンプに参加し、あらゆるスポーツの「要はこの競技で勝つ上では何が大事なの?」を学んだ経験が大きく役に立っていると言っていた。
試合の見所
Rabilの2点目のロングシュート。ほぼMLLの2 point shot lineの距離から。コンパクトだが速くて正確。毎日数百本の地道な長年の個人練習の末行き着く境地。
試合全体を見ていて感じるが、ground ballへの執着と激しさがMLLと数段階違う。世界制覇に向けプライドを掛けた戦いの重みを感じさせる。
1Q 全体的にCanadaのshot selectionが良くない。安いシュートを軽々とセーブされることが多く、オフェンス時間が十分に持てておらず、典型的な「悪い時のToronto Nationals」を見てるかの様な錯覚に陥る。
1Q終了前、Canada1点目、Jrがまたしても左横からone handのdive shotをにゅるっと押し込む。こりゃあ真似しようとしても真似できんか...このサイズと身体能力、crazyなstick skillの成せる技。
2Q開始時に映るCanadaのFOer Geoff SniderのFace offのスティックのヘッドが典型的Canadian indoor lacrosseのヘッドで、槍のように細いのが映像的に印象的。FOerとしては少しでも相手のスティックの下を取れるように、そしてindoorでのfield playerとしてはひたすら高いキープ力と正確なパス/シュートを重視し、グラウンドボールの「保険」としての先端の広さを捨てる構造。Gait brothersが好んで使っていた形状。
USのAlex Smithのmotor cycle grip(バイクのハンドルを握るように両手を順手で上から被せるスタイル)も印象に残る。
US 4点目 AT/MF Ned Crotty (今年のDuke MVP)のstep backしながらのfeedと視野、Ryan Powellのクリースでの裏を取る動き。
Canada 3点目のJrの裏からの片手フィードとWilliamsのクイックすぎて見えないtap shotがThe Canadian Lacrosse。
にしても、マンチェスターのカメラクルーが慣れてないからというのもあるが、Canadaのパスワークとフィードが速すぎて、そしてフェイクが巧すぎて、カメラが何度もボールを見失いまくっており、肝心のシュートシーンが見えないケースが何度かある。
US 5点目、AT Mike Leveille、XでのDの連携ミスの隙を付く鋭いpenetrationとそこからのシュート。シュートを打つ前に一瞬Ryan Ppowellを目線を向ける事でslideを一瞬遅らせるという細かいが重要な技術。
6点目、またしても時速180キロ男Rabilのロングシュートがゴールの左横パイプの内側にガツッと突き刺さる。この決勝のこの場面で、これだけの確率でこれだけの精度のシュートが打てる。ひたすら個人練習を繰り返し、厳しい実戦をくぐり抜ける中で磨かれてきた技術。
一瞬、Paul Rabilと「両刀使い」について考える
にしても見てても明らかにDにとってPaul Rabilは本当にやりにくそう。身体能力の高さはもちろんだが、左右どちらにも抜けて、左右どちらからでもかなり危険なシュートを打てることがこの人の危険度を数段階増している。「右は完全に切って封殺する」とか、「こっち来たら一瞬でスライド」という決めごとによる対策が圧倒的に立てにくい。結果、尚の事自由自在に抜き易くなるという好循環を自ら作り出している(且つ過去のインタビューを聴く限り、この人はかなり若い頃からそれをよーーーく解った上で明確に意思を込めてそれを磨いている)。
恐らく、「少なくとも利き手に関しては」Paulくらい速く抜けるし、速くて正確なシュートを打てる、という選手はNCAAにもMLLにも比較的ぱらぱらとはいるはず。だが、それだけだと残念ながら突出した活躍は出来ない。ことMF、特にDodge + running shootのスタイルの選手に関しては、この「両方行ける」という要素がトッププレーヤーとしてのパフォーマンスを何倍にも変え得るという典型的な例。「自分の強みである利き手をより生かす為に、敢えてweak handを鍛える」という一見面倒くさくも見える事をどこまで腹をくくってやりきれるか。
もし、ある程度身体能力は高いし、少なくとも利き手に関しては自信があるのに、リーグ戦では(スカウティング&対策されて)思うように結果が出ない、下級生の頃は活躍出来てたのに上級生になってteam Dが出来てるチーム相手にはいまいち抜けなくなった、というdodgerの選手がいたら、Be like Paul!!で一念発起してweak handを利き手を超えるところまで持っていく(ぐらいの積もりで鍛える)、というアプローチは長い目で見れば間違いなく有効なはず。
僕自身Paulのでかさや身体能力、その動きが発するオーラに圧倒され、何となく「別の生き物だ...」/「こりゃ真似出来ねえな」で思考停止してしまいがちだが、立ち止まって考えると実はこういう戦略的且つtrainableな(訓練することで習得可能な)要素が隠れている事に気付かされる。
更にもう一歩広げて考えてみる…
(そういう意味では正にVirginia新4年生のShamel Brattonもこの分岐点に立っている気がする。Strong handの左は恐らくRabilよりも上。だが、現時点では残念ながら明らかに利き手Heavy。Long stickに左を切られてEarly slideされると途端に静かになるのにはこの辺の理由があるはず。格下相手にならそれでも尚クソ強引に左にぶち抜いてキャノンシュートを決められるが、Semi Final以降やMLLのレベルで爆発的に活躍するためにはここをもう一歩脱皮する必要があるように見える。彼の場合余りにも身体能力と左の技術が突出しすぎており、かなりの所までそれで通用してしまうため、大きな方向転換の必要性を感じにくいという皮肉な難しさがあると想像する…
また、完っ全に横道に逸れた私事で恐縮だが、戦略コンサルタント時代に、定量分析の鋭さやフットワークの軽さで戦っていたアソシエイトから、よりハイレベルで定性的なプロジェクトの方向付け、クライアントマネジメントが求められるシニアコンサルタント、プロジェクトリーダーとロールが上がる際に、下手に昔の強みである「足腰の強さ」に頼りすぎるが故に新しい強みを鍛える/脱皮する妨げになる、risk averseになって手堅く小さくまとめに行ってしまう、という悩ましさを経験していた自分の姿が思い出されて痛かった…
「過去の成功体験による復讐」という簡単には超えられない壁。過去の成功が大きければ大きいほど尚のこと次の進化/成長への妨げになるという。恐らく、人も組織もこの手のジレンマとは一生戦い続ける必要があるんだと思う。過去の成功を捨て、自己否定してリセットを押せるか。失敗してもいいので新しいやり方を試し続けられるか。目の前のシングルヒットを捨てて、三振しまくってでも満塁ホームランを打ちに行けるか。その勇気を持てるか。そしてそのプロセスを楽しめるか。その辺が出来るかどうかが長ーいキャリア/人生を大きく変えて行くんだと思う。と、自戒の念を感じた…)
再び試合
US DF DeerのHuntleyへのリフトチェックが奇麗に決まる。職人技。
7点目、Shortyに付かれてミスマッチのMike LeveilleがまたしてもXから今度は右にfinalizer、ヘッドフェイク、そしてシュート。こんな動きはATやMFの選手は100回見てパクっちゃいたい。
8点目のMundorfのstrong hand左のシュートの正確さ。左上の突き刺さる。シュートの多様性と上手さではこの人が世界最高か?徹底した個人練習とフィジカルトレーニング、それを支えるdiscipline(努力/規律)を感じさせる。
3Q 10分、今年のNCAA Quarter finalで散々Virginiaを苦しめたStony Brooksのエース3年生Kevin Crowleyがダッジを掛けるが、このWLCのメンバーの中で見てもデカイし上手い。これはMVP候補に選ばれたのも頷ける。直後のJrによるリバウンドからのbehind the backはもう溜め息しか出ない。
Canada 6点目のGarrett Billingsの得点、broken situationからのスペースへのポジション取り、ボールを受ける前からシュートまでのイメージが完全に見えてる状態で瞬殺でシュート。解説者Quint Kessenichの「best decision maker of lacrosse、プレーの選択の賢さと速さでは最強」という発言にも説得力がある。
7点目、Crowleyのfast breakからのゴール右前からのシュート、キャッチからスムーズにコンパクトなステップで速く正確なシュートを決める。既に今年のNCAAでも最も目立っていた1人だったが、来年はVirginiaのShamel Brattonと並んでMVP (Tewaaraton trophy)の最有力候補となることを予感させる。
CanadaのDFの狙いを定めてroll dodgeするATをアグレッシブにダブルに行きボールダウンさせる戦術が決まりまくる。特にBrodie Merrillのプレッシャーが効果的。 MLL史上3本の指に入ると言われるLong stick, Merrill。そのDの強さの秘密について聴かれたQuintのコメント、「Rangeの広さ (機動力の高さ、手足の長さ), anticipation(相手への読み), hand/eye coordination(眼や手/スティックの使い方の上手さ)」というコメントが記憶に残る。 またMerrillは世界最高Offensive long stickと呼ばれるが、今大会では予想に反しわずか2得点のみ。clear clock, shot clockが無い現行WLCルールでは速攻でリスクを取ることも少なく、やはりそうならざるを得ないか。
直後にCanadaが 8点目の同点弾!HC Daveの息子、Hopkins ‘08のKevin Huntleyのface dodge、背中を使ってtrail checkを交わすボールキープの技術。
さらにDuke ‘08でMLL Long Island Lizardsを引っ張るZack GreerがDFのスペースの隙を付くdodgeからdive shotで逆転!!この人のここぞという場面での勝負強さは尋常じゃない。
直後のCrowleyとの1 on 1でUS守護神Daughertyのanticipationとquicknessが光るセーブ。
4Q残り12分でMundorfがbroken situationから決めて9-9同点!
ここまでUS DF #27 7 Shawn NadelenのDでの堅さが光る。Jr.に対しサイズで大きく劣るが、粘り強いフットワークと保守的ながら効果的なチェックで仕事をさせない。が、ここに来て遂にJrがゴリゴリに押し込みパスフェイクを一本入れてインサイドロールからねじ込み10-9でカナダ再度リード!
近い将来のスーパースター、Ned Crottyの凄さ
USは本来ATだが今回OFMFで出場しているNed Crottyがスパンッとダッジから鋭いシュートを突き刺し再度同点に!この人は間違いなく近い将来MLLを背負って立つスーパースターになると確信。この場面でチーム最年少で、自ら強い意志でstep upしチームを引っ張るリーダーシップ。この資質は教えられるものじゃない。試合終盤の大事な場面でこの落ち着き。大事な場面で普段の何倍も強い輝きを放つ。この手の活躍を彼はNCAAの準決勝、決勝で見せ続け、1年目のMLLで既に何度も見せている。Michael JordanにあってLeBron Jamesに無い「何か」を彼は持っていると感じさせる。
再び試合
USのオフェンスコートよく見るとAT 4枚に加え、本職はATだがUSではOF MFのCrotty。つまりAT 5枚という布陣。しかも残りのMF 1枚はPaul Rabil。こんな恐ろしい6枚セット見た事無い。USはなり振り構わず全てを掛け点を取りにいく姿勢。
Ned CrottyがShortyのCrowley相手にミスマッチを突いてXから倒れながら決め11-10で一点差リード!Nedは今年VirginiaのベストLong stick DFのKen Clausen相手に何度もこれを決めてきた訳で、いくらCrowleyが身体能力高いとは言えshort stickでは圧倒的に荷が重い。
やはり本来ATで機動力のあるNed Crottyを敢えてMFに入れるというHC Pressleyのチーム設計が大きく奏功している。これだけ実力が拮抗し、相手のlong stickが手強い状況において、この手のoffensive specialistの使い方が如何に試合を決定付け得るかを強く思い知らされた。(逆に言うとCanadaはここでShortyでもがっぷり四つでATを抑えられるだけのDefensive specialistがおらず、本来OFが得意なCrowleyが付かざるを得なかったのが痛かった。もっと言うとUSはそれを理解していてそこを付く布陣を選んだとも。最後の最後で詰め将棋の一手が勝負を分けることになろうとは。)
最後の3分は1点差を守るべくスピードをフルに生かしてUSが超保守的にボールキープ。そのまま試合終了まで守り切り、悲願の王者奪還。
振り返ると、過去の2チーム間の死闘の歴史に恥じない、極めてentertainingで熱い、素晴らしい試合だった。満足。
いたる@13期
2010年7月23日金曜日
準決勝、決勝を前にしたUSへのインタビュー
Inside Lacrosse podcastで木曜夜の準決勝、土曜の決勝を目前に控えたteam USAの主力三人のインタビューが載ってたので転載。(記事とインタビューの音声のリンク)
超クイックに覚えてる範囲で紹介すると…
Paul Rabil (MF)
●チーム全体の状態としては、想定通りリーグ戦5試合を通じていい感じで完成度が上がってきている。ほぼフルの状態に近づいてきたと言える。お互いにプレーすることに慣れ、MLLルールからIFLルールへのアジャストも出来てきた
●当初は若干戦術の違いを頭で意識しすぎて、確率の高いシュートを打とうとする余り保守的になりすぎ、本来打つべきところで打たずに譲り合い過ぎてしまった面も。本来15メートルから決められるのに10メートルで打たないみたいな。その辺も少しずつ良くなりつつある
●(予選で1点差で負けた)Canada戦はシンプルにシュートが良くなかった。本来決めるべきシュートを決められなかった。もちろん相手GoalieのSandersonも良かった。ただ、少なくとも入れるべきシュートを打てるところまで持っていけたのは良かった
●HCのPressleyの方針は、ひたすらChemistry(チームとしての相性/親和性)を上げていくこと。食事もシュート練習も全て皆で一緒にやって、とにかく仲良くなる、日常生活から連携を高めるというスタイル
Brendan Mundorf (AT)
●Canada戦は皆超気合入って臨んだが、Paulが言うとおりシュートが良くなかった
●ただまあ、全体的に非常にconsistentにプレーできてるので、いいんじゃないか
●今回のメンバーは過去に比べても相対的に若く、physicalが強い
●まあ、Grant Jr.に3点やられちゃってるのが痛い
Kyle Sweeney (DF)
●Canadaは言うまでもなくfinisherの最強集団。ちょっと油断するとやられる。Dとしては非常に手ごわい。緊張感を持ってしっかりやる必要あり
●でも一方で、やってて非常に面白い
●D全体としては非常に保守的に、patientに、下手にアグレッシブにボールを奪いに行かない、という点を守っており、全体的にconsistentに、良くやってると思う
●前回は9点中fast breakが3点というのは良しとして、set offenseで6点というのは少なすぎる。シュートをもっと決めないと
てな感じでした。
ほとんど準備無しで挑んでいるUSはリーグ戦を通しチームとしての完成度を上げていってる感じが判る。いろいろ良くなってきてるっぽい。決勝のCanada戦はどうなるか。
決勝のUS-Canada戦は土曜に米国でもテレビ(ESPN2)でliveで放映されるっぽいので、DVD録画して梅ちゃんに送っとくわ。
いたる@13期
超クイックに覚えてる範囲で紹介すると…
Paul Rabil (MF)
●チーム全体の状態としては、想定通りリーグ戦5試合を通じていい感じで完成度が上がってきている。ほぼフルの状態に近づいてきたと言える。お互いにプレーすることに慣れ、MLLルールからIFLルールへのアジャストも出来てきた
●当初は若干戦術の違いを頭で意識しすぎて、確率の高いシュートを打とうとする余り保守的になりすぎ、本来打つべきところで打たずに譲り合い過ぎてしまった面も。本来15メートルから決められるのに10メートルで打たないみたいな。その辺も少しずつ良くなりつつある
●(予選で1点差で負けた)Canada戦はシンプルにシュートが良くなかった。本来決めるべきシュートを決められなかった。もちろん相手GoalieのSandersonも良かった。ただ、少なくとも入れるべきシュートを打てるところまで持っていけたのは良かった
●HCのPressleyの方針は、ひたすらChemistry(チームとしての相性/親和性)を上げていくこと。食事もシュート練習も全て皆で一緒にやって、とにかく仲良くなる、日常生活から連携を高めるというスタイル
Brendan Mundorf (AT)
●Canada戦は皆超気合入って臨んだが、Paulが言うとおりシュートが良くなかった
●ただまあ、全体的に非常にconsistentにプレーできてるので、いいんじゃないか
●今回のメンバーは過去に比べても相対的に若く、physicalが強い
●まあ、Grant Jr.に3点やられちゃってるのが痛い
Kyle Sweeney (DF)
●Canadaは言うまでもなくfinisherの最強集団。ちょっと油断するとやられる。Dとしては非常に手ごわい。緊張感を持ってしっかりやる必要あり
●でも一方で、やってて非常に面白い
●D全体としては非常に保守的に、patientに、下手にアグレッシブにボールを奪いに行かない、という点を守っており、全体的にconsistentに、良くやってると思う
●前回は9点中fast breakが3点というのは良しとして、set offenseで6点というのは少なすぎる。シュートをもっと決めないと
てな感じでした。
ほとんど準備無しで挑んでいるUSはリーグ戦を通しチームとしての完成度を上げていってる感じが判る。いろいろ良くなってきてるっぽい。決勝のCanada戦はどうなるか。
決勝のUS-Canada戦は土曜に米国でもテレビ(ESPN2)でliveで放映されるっぽいので、DVD録画して梅ちゃんに送っとくわ。
いたる@13期
2010年7月21日水曜日
JapanのHidden ball trick
Inside Lacrosseでも話題になってる、Australia戦でのJapanの丸山選手と門田選手のhidden-ball-trick。(リンク)
マジで吹いた...正直な話、ここまで完成度が高いのはNCAAでもMLLでも見た事が無い。多くの場合、「渡してるようで渡してない」フェイクだが、逆を付く「渡してないようで渡してる」というレアなパターン。switchが極めて速く、ボールを受け渡してるのがほとんど見えない。恐らく会場で間近に見てた現役やTowerの皆も完全にだまされたんじゃないかと。
丸山さんは僕が1年生でラクロスを始めた時に日体大で4年生。当時HCの大久保さんにお願いして、雑用係スタッフとして同行させて貰った日本代表の合宿でも頭角を表し始めていた。当時大久保さんが「あいつ、どんなプレーやれって言っても『はい』って答えるんだよなー。最初の頃はこいつ『ホントに分かってんのか?』と思ってたけど、実際全部やっちゃうんだよな...」と言っていたのを今でも覚えている。数年前カナダでNLL入団に挑戦していた時期が丁度僕自身がアメリカでの就業を目指して不況の中就活を始め、苦戦していた時期で、そのチャレンジの様子をブログで拝見し、強く勇気づけられたことを覚えている。15年近く日本でこのスポーツを引っ張るその存在に敬服。
いたる@13期
マジで吹いた...正直な話、ここまで完成度が高いのはNCAAでもMLLでも見た事が無い。多くの場合、「渡してるようで渡してない」フェイクだが、逆を付く「渡してないようで渡してる」というレアなパターン。switchが極めて速く、ボールを受け渡してるのがほとんど見えない。恐らく会場で間近に見てた現役やTowerの皆も完全にだまされたんじゃないかと。
丸山さんは僕が1年生でラクロスを始めた時に日体大で4年生。当時HCの大久保さんにお願いして、雑用係スタッフとして同行させて貰った日本代表の合宿でも頭角を表し始めていた。当時大久保さんが「あいつ、どんなプレーやれって言っても『はい』って答えるんだよなー。最初の頃はこいつ『ホントに分かってんのか?』と思ってたけど、実際全部やっちゃうんだよな...」と言っていたのを今でも覚えている。数年前カナダでNLL入団に挑戦していた時期が丁度僕自身がアメリカでの就業を目指して不況の中就活を始め、苦戦していた時期で、そのチャレンジの様子をブログで拝見し、強く勇気づけられたことを覚えている。15年近く日本でこのスポーツを引っ張るその存在に敬服。
いたる@13期
2010年7月20日火曜日
日本代表がAustraliaに歴史的勝利!!
ぬあああ!!!すげえ!ホントに凄い!文字通り歴史的勝利!!!
日本のラクロスに心から祝杯!感涙。
夜中に感動してめっさテンション上がってもうたですよ...ビール飲もっと。
(日本代表のページ)
いたる@13期
日本のラクロスに心から祝杯!感涙。
夜中に感動してめっさテンション上がってもうたですよ...ビール飲もっと。
(日本代表のページ)
いたる@13期
2010年7月15日木曜日
Iroquois不参加に
残念なニュースが…
数日前からLacrosseメディアで注目されていた、Iroquoisのパスポート問題。結局最終的にイギリスにより選手団の入国を認めないという最終決定が下され、大変残念ながら今回は不参加ということに。記事はこちら。
日本代表の皆さんは恐らくIroquoisに勝って4位に食い込むことを目標としてた部分もあると思うので、非常に残念…(結果として不戦勝で4位に繰り上がりということになるだろうが、それじゃあ選手/スタッフの皆さんも不本意極まりないんじゃないかと…)
個人的には凄く楽しみにしていたチームなのと、何と言っても(恐らく日本の成長以上に)強くなっていた(別に選手が成長した訳じゃなくて、単純にNCAAやNLLレベルで活躍する選手の数が増えたというドライバーで)Iroquoisとの再戦の機会を逃してしまった日本代表にとって、今後4年間の目標が若干ぼやけてしまうという機械損失が生じる気もする…
「限界までストレッチすることで達成できるか出来ないか」という「リアリティがあり」且つ「チャレンジしがいのある」目標こそが最大の成長を生むとすると、どうでしょ、オーストラリアはちょっとまだ機能しにくいところにあるんじゃないだろうか。イングランドは逆にちょっと役不足?そんな中共に成長し接戦を繰り返してきたイラコイは正に宿敵/互いを切磋琢磨出来る最高のライバルだった面もあったはず。
うーん、残念…が、已む無し。ここはバチッと切り替えて前を向いて、日本代表の他の試合、そして何と言ってもUS-Canada、そしてAussieの絡みを楽しむべしってことで!
数日前からLacrosseメディアで注目されていた、Iroquoisのパスポート問題。結局最終的にイギリスにより選手団の入国を認めないという最終決定が下され、大変残念ながら今回は不参加ということに。記事はこちら。
日本代表の皆さんは恐らくIroquoisに勝って4位に食い込むことを目標としてた部分もあると思うので、非常に残念…(結果として不戦勝で4位に繰り上がりということになるだろうが、それじゃあ選手/スタッフの皆さんも不本意極まりないんじゃないかと…)
個人的には凄く楽しみにしていたチームなのと、何と言っても(恐らく日本の成長以上に)強くなっていた(別に選手が成長した訳じゃなくて、単純にNCAAやNLLレベルで活躍する選手の数が増えたというドライバーで)Iroquoisとの再戦の機会を逃してしまった日本代表にとって、今後4年間の目標が若干ぼやけてしまうという機械損失が生じる気もする…
「限界までストレッチすることで達成できるか出来ないか」という「リアリティがあり」且つ「チャレンジしがいのある」目標こそが最大の成長を生むとすると、どうでしょ、オーストラリアはちょっとまだ機能しにくいところにあるんじゃないだろうか。イングランドは逆にちょっと役不足?そんな中共に成長し接戦を繰り返してきたイラコイは正に宿敵/互いを切磋琢磨出来る最高のライバルだった面もあったはず。
うーん、残念…が、已む無し。ここはバチッと切り替えて前を向いて、日本代表の他の試合、そして何と言ってもUS-Canada、そしてAussieの絡みを楽しむべしってことで!
2010年7月11日日曜日
MLL 2010 Game Review vol. 03 Team USA-MLL All Star
待ちに待ったお祭り、MLL All Star Game。これが終わるとシーズンは一気に終盤に差し掛かり、8月のプレーオフ、そしてファイナルに向けて順位争いが熾烈になっていくことになる。
バックグラウンド
毎年東軍と西軍、又は若手とベテランに分かれて対戦する通常のプロスポーツのall starのフォーマットを取るが、World Lacrosse Championship yearの今年は、4年前に引き続きAll USA vs MLL All Starという特殊な形式。
Team USAはちょうどHead Coach Presslerの大学Bryantにて1週間のtraining campを終えたばかり。来週以降の本番に向け、最後の調整試合ということになる。
一方のAll MLLは、ほとんど全員が去年try outを受け、US代表選考から漏れたメンバーたち。過去のUS代表メンバーも多く、また逆にUp and comingな若手も多く、次回のWLC選考に向けてアピールしたいという意図も。ほとんどのメンバーが選考から漏れ悔しい思いをしており、「俺を選ばなかったことを後悔させてやんよ!」というリベンジの意味合いも大きい。
概して毎年のAll starはどちらかというとお祭り/遊びとしての意味合いが強く、無駄に怪我や疲労をしたくない選手たちはいまいち真剣味に欠けがち。Dなあなあで、シュートは花火大会のように華々しいけど、試合そのものとしては30対20みたいな大味なものになり、いまいち面白くなかった。(であるが故に一部のファンやメディアから「プロなんだから全力でやれよ!」などと批判されてきた。まあ、選手だって本番はレギュラーシーズンの試合な訳で、「プロだからこそ下手にリスク取らないんだよ」という気持ちもわからなくはない)
だが、今年は上記の理由により意味合いが全く違う。US代表は最後の調整として真剣な目で汗びっしょりになりながら、叫びながらプレー。一方のMLL All Starも負けじとハッスル。試合中に乱闘寸前の小競り合いが生じたりと、「え?これホントにお祭りのAll Star Game???公式戦じゃないの?」と錯覚する程のクオリティの高い試合になった。(なので一ファンとしては、一ラクロスの試合として非常に楽しめた!)
去年のMLL All StarのDVDを伊部っちに送る際に、「これ見たら『MLLって面白くない』っていう印象を現役の皆に与えちゃうかもなあ」とちょっと躊躇しながら送ったのを記憶してるが、今年に関しては文句無しで「見るべし!」と言える。
Lax Unitedのハイライト映像。なかなかカッコいい映像作ってきてくれてます。
以下、いくつか見所/学びどころを紹介
Doc
Team US正ゴーリー、98年の代表チーム以来の復帰、Brian Daughertyの力の抜けた構えが際立つ。猫の様に柔らかくリラックスした構え。ゴールのどの場所にもパチッ!と瞬間的に移動できる。テニスでサーブを受ける際の柔らかさ/懐の深さを連想させる。解説者で元All America GoalieのQuintもNCAAの解説でよく多くのGoalieが構えで体を緊張させ過ぎていると指摘していた。ここまでリラックスしている構えは見たこと無いので、Goalieの選手には参考になるかも。
加えて、Dをコントロールするコミュニケーション能力、統率力の高さに定評あり。試合中の声を聞いてるだけでも参考になる。そのコミュニケーションの深さと広さ。機械的で一方的な掛け声だけじゃなく、双方向の会話に近い感じを受ける。Long stick陣から絶大な信頼を受けるだけある。
ちなみにDocは今年からIvy LeagueのU-Penn (University of Pennsylvania)のGoalie coachに就任しており、より包括的なラクロスIQを身につけつつあると言っていた。
Team USの戦術
試合を通し、Team USの戦術のMLLでのやり方との違いに驚かされた。完全にWLC仕様に切り替えてきている。これまでMLLのフィールドで見てきた選手たちとは完全に違う人たちにすら見える。shot clock violationのリスクを冒してでも忍耐強くボールを回し、崩して崩して、スペースのあるところでの確率の高いシュートを狙う。1発目、2発目のシュートチャンスでガンガン打つMLLとは全く違う印象。裏を返すと、やはりshot clockの無い現行のアマチュアのルールを前提とすると、ある程度そのやり方(コート全体を使って、Patientにボールを回し、無理なシュートは打たずにひたすらより確率の高いシュートのみを打つ)がlogically正しい戦略ということなんだろう。
個々の技術
気付かれにくい技術だが、US 1点目のAT #14 Ryan Boyleのクリース前GB後、抜け出してシュートにいく際のスティックの隠し方。上半身を柔らかく使いながら肩でLong stickのtrail checkを交わす。ボクシング/MMAで言うところのweavingの動き。UFCのRashad Evansを彷彿させる。
同じくBoyleの2点目、サブマリンからのlong stickを交わして表まで出て角度を作りつつGをズラす動き。
Daughertyのセーブがやっぱり凄い。柔らかく最小の動きでサクッとセーブする。
3点目、Seibaldのトップからのロングシュートが恐ろしく速い。こりゃ取れん...曰く「一段階上のギア」。
4点目、EMOでのMundorfの得点を生んだチーム全員でのパスワーク、及びMove to the ballの動きが教科書的に参考になる。
Half time skill competition 1: Fastest shot
ハーフタイムのfastest shot contest。昨年はTeam USのMF Paul Rabilが111 mile per hour (時速180キロ)で優勝し、同じくUS MFで昨年のCornell主将 & MVPのMax Seibaldが110 MPHで2位。今年はどちらが勝つか、そして新記録が生まれるかが注目された。
Max Seibaldが昨年の自己記録110MPHを上回り、昨年のPaul Rabilの世界最速記録と並ぶ111MPHを記録!
そして、注目のdefending champion、 Paul Rabil。何と昨年と同じ111を叩き出し、Seibaldと並ぶ!
延長の決定戦、Seibaldは109と2マイル落ち、Rabilは再び111でBack to backで優勝!しかしまあこの時速180キロっていう半端無い速さも去ることながら、2人が同じ111、Rabilは2年連続111。この数字が一つの大きな壁になっている。人間の体の作りや今のstickの構造を前提とするとこの辺が飽和点に近いんだろうか。僕が現役だった2000年前後は確か100MPH(時速160キロ)付近が世界最速と言われていた気がするので、そうは言っても10年で如何に大きく進歩しているかが分かる。RabilかSeibaldが来年この数字を超えてくるんだろうか?
Half time skill competition 2: Free style shot
08年にMikey Powellの”Behind the back flip shot”を生んだもう一つのお楽しみ企画、free style。去年はToronto Nationalsの人気者Goalie、Brett QueenerがMichael Jacksonへのtributeのダンスで優勝した。まあ、NBAのDunk shot contestのように派手なシュートというよりは、どちらかと言うと完全に遊びでCreativityを楽しむイベントになりつつある。
今年はKevin Buchananがなかなか危ないGoal barの上に立つ新しいシュートで優勝(Youtube)。個人的には2年前のMikey PowellのBehind the back flip shotほどの”style”はまだ出てないかなと...
後半
3Q MLLの4点目、Lizards #13 ATのStephen BurgerのBack hand dive shotが単純に見物としてすげえ。BurgerはDiv 3出身の無名選手からMLLに最下位指名で入り、そこから才能を開花させた遅咲きの選手。多くの中堅校/弱小校の選手たちに希望を与える存在。(ちなみにMLLはよく見ると意外と多くの中位/下位校の選手たちがいる。)
MLL 10点目、Team CanadaでMLL史上最高のoffense力を持つLong stick、Brodie Merrillのクリース前でのスティックワーク、 エンドを余らせて短くstickを持っての 、AT並みのシュートフェイクとシュート。Long stickの選手は是非参考にしたい。
4Q終了直前、USAによる同点弾12点目、Brendan Mundorfの6得点目のStanding shoot、パワーを押さえながらも正確で素早いシュート。この人のシュートの引き出しは本当に多い。上から下から横から、バウンドさせたり上と下に打ち分けたり。中でも特に母校UMBCの名伯楽Don Zimmermanの基本に忠実な教えを体現する、Over handのバウンドショットは極めて効果的。この試合を通してやはり期待通りの手堅い活躍を見せている。来週以降の本番でも間違いなく最大の得点源としてUSAを引っ張るはず。(ちなみにどうでもいいトリビアだが、親がAussieのMundorfはUSA/AustraliaのDouble nationality。前回のWLCはAustraliaで出ている。2カ国でWLCに出場するという珍しい例)。
あとは、どこの時間帯だったかは忘れたけど、前半USのG Doc (Dougherty)がDの時にクリースから飛び出してプレッシャーを掛けてダブって成功するシーン(多分決めごとの練習でチームとして意図的にやった?)などが印象的。
Shovel passの実用性
あと、どの時間帯だったかは忘れたけどFO直後のLong stickのscoop、そして即座にshovel pass。今回に限らず、MLLやNCAAを見る中で自分が「もっと練習して使っときゃ良かったな!」とつくづく思わされるのがこのshovel pass。日本でやってた頃の感覚だとちょっと上級技術/trickyなプレーと認識しちゃってたが、見てると全く持って当然の基本動作の一つ。ホントに相当使い勝手がいい。特にLong stickにとって。scoop 直後、face dodge的に切り返した直後、等々。 体の逆サイドにstickがある状態でもボールを投げられるという大きな選択肢の幅を与えてくれることになるので。単純な話、ボールを持った状態で通常は180°しかパスできるレンジ/角度が無いが、それが一気に360°近くに増えることに。ボールキャリアのパフォーマンスにかなり大きなインパクトを与えることになる。(実際Canuck (Canadian)たちはインドアで当然のようにそれをやっている。)
日本だと器用な選手やstick skillへの拘りの強い選手が時々(ちょっとぎこちなく)やる、というイメージかな?と思うが、こんなんキャッチボールや壁打ち、場合によっては正規の練習でのLine drillやTriangle passに取り入れてでも2〜3週間徹底的に練習すればすぐ試合で使えるレベルになるんじゃないかな?と感じた。ちょっと練習するだけで大きくプレーの選択肢が増えるので、極めてROI(費用対効果/投下時間対効果)の高い練習領域じゃないかと。持ち替えが難しく/持ち替えの機会が少ないLong stick、特にScoop直後に混んだ状態で細かいパスを放る必要のある局面に多く直面するLSMFが特に重宝するんじゃないかと。
その他の見所
MLL All StarはOffenseに偏った基準/人気で選んでいるため、Defensive middie/LSMFがいないというAll star定番の悲しいメンツ。やむを得ずコーチのHuntleyはZone Dを選択。意外にもそれがハマってしまい、急ごしらえのチームの癖にUSを苦しめることに。一方でUSのzoneへの攻めも巧く行くシーンもミスするシーンもあり、チームOFを学ぶ上で参考になる。パスを回しつつどこかで誰かが切り込んで崩して、空いたところで素早くclose/mid-rangeのシュートなど。
USを見ての感想
正直USはまだまだ連携が完全に完成してる感じはせず、sloppyな(しょぼい)ミスが目立つ。実際にはWLCの予選を通じて少しずつ作り込んでいく感じになるはず。
Brendan Mundorfが6得点と大活躍し、フィールドでも最も安定したパフォーマンスを見せる。フィード、ダッジ、シュートと全てに於いて基本に忠実で丁寧なプレーをしており、正に教科書にするのに最適な選手。
前回のCanada戦敗戦の雪辱を誓うキャプテンのRyan Powellはベンチでコートで声を張り上げチームを引っ張る。試合終了間際のDiveショットでの得点は感動的ですらあった。
いたる@13期
バックグラウンド
毎年東軍と西軍、又は若手とベテランに分かれて対戦する通常のプロスポーツのall starのフォーマットを取るが、World Lacrosse Championship yearの今年は、4年前に引き続きAll USA vs MLL All Starという特殊な形式。
Team USAはちょうどHead Coach Presslerの大学Bryantにて1週間のtraining campを終えたばかり。来週以降の本番に向け、最後の調整試合ということになる。
一方のAll MLLは、ほとんど全員が去年try outを受け、US代表選考から漏れたメンバーたち。過去のUS代表メンバーも多く、また逆にUp and comingな若手も多く、次回のWLC選考に向けてアピールしたいという意図も。ほとんどのメンバーが選考から漏れ悔しい思いをしており、「俺を選ばなかったことを後悔させてやんよ!」というリベンジの意味合いも大きい。
概して毎年のAll starはどちらかというとお祭り/遊びとしての意味合いが強く、無駄に怪我や疲労をしたくない選手たちはいまいち真剣味に欠けがち。Dなあなあで、シュートは花火大会のように華々しいけど、試合そのものとしては30対20みたいな大味なものになり、いまいち面白くなかった。(であるが故に一部のファンやメディアから「プロなんだから全力でやれよ!」などと批判されてきた。まあ、選手だって本番はレギュラーシーズンの試合な訳で、「プロだからこそ下手にリスク取らないんだよ」という気持ちもわからなくはない)
だが、今年は上記の理由により意味合いが全く違う。US代表は最後の調整として真剣な目で汗びっしょりになりながら、叫びながらプレー。一方のMLL All Starも負けじとハッスル。試合中に乱闘寸前の小競り合いが生じたりと、「え?これホントにお祭りのAll Star Game???公式戦じゃないの?」と錯覚する程のクオリティの高い試合になった。(なので一ファンとしては、一ラクロスの試合として非常に楽しめた!)
去年のMLL All StarのDVDを伊部っちに送る際に、「これ見たら『MLLって面白くない』っていう印象を現役の皆に与えちゃうかもなあ」とちょっと躊躇しながら送ったのを記憶してるが、今年に関しては文句無しで「見るべし!」と言える。
Lax Unitedのハイライト映像。なかなかカッコいい映像作ってきてくれてます。
以下、いくつか見所/学びどころを紹介
Doc
Team US正ゴーリー、98年の代表チーム以来の復帰、Brian Daughertyの力の抜けた構えが際立つ。猫の様に柔らかくリラックスした構え。ゴールのどの場所にもパチッ!と瞬間的に移動できる。テニスでサーブを受ける際の柔らかさ/懐の深さを連想させる。解説者で元All America GoalieのQuintもNCAAの解説でよく多くのGoalieが構えで体を緊張させ過ぎていると指摘していた。ここまでリラックスしている構えは見たこと無いので、Goalieの選手には参考になるかも。
加えて、Dをコントロールするコミュニケーション能力、統率力の高さに定評あり。試合中の声を聞いてるだけでも参考になる。そのコミュニケーションの深さと広さ。機械的で一方的な掛け声だけじゃなく、双方向の会話に近い感じを受ける。Long stick陣から絶大な信頼を受けるだけある。
ちなみにDocは今年からIvy LeagueのU-Penn (University of Pennsylvania)のGoalie coachに就任しており、より包括的なラクロスIQを身につけつつあると言っていた。
Team USの戦術
試合を通し、Team USの戦術のMLLでのやり方との違いに驚かされた。完全にWLC仕様に切り替えてきている。これまでMLLのフィールドで見てきた選手たちとは完全に違う人たちにすら見える。shot clock violationのリスクを冒してでも忍耐強くボールを回し、崩して崩して、スペースのあるところでの確率の高いシュートを狙う。1発目、2発目のシュートチャンスでガンガン打つMLLとは全く違う印象。裏を返すと、やはりshot clockの無い現行のアマチュアのルールを前提とすると、ある程度そのやり方(コート全体を使って、Patientにボールを回し、無理なシュートは打たずにひたすらより確率の高いシュートのみを打つ)がlogically正しい戦略ということなんだろう。
個々の技術
気付かれにくい技術だが、US 1点目のAT #14 Ryan Boyleのクリース前GB後、抜け出してシュートにいく際のスティックの隠し方。上半身を柔らかく使いながら肩でLong stickのtrail checkを交わす。ボクシング/MMAで言うところのweavingの動き。UFCのRashad Evansを彷彿させる。
同じくBoyleの2点目、サブマリンからのlong stickを交わして表まで出て角度を作りつつGをズラす動き。
Daughertyのセーブがやっぱり凄い。柔らかく最小の動きでサクッとセーブする。
3点目、Seibaldのトップからのロングシュートが恐ろしく速い。こりゃ取れん...曰く「一段階上のギア」。
4点目、EMOでのMundorfの得点を生んだチーム全員でのパスワーク、及びMove to the ballの動きが教科書的に参考になる。
Half time skill competition 1: Fastest shot
ハーフタイムのfastest shot contest。昨年はTeam USのMF Paul Rabilが111 mile per hour (時速180キロ)で優勝し、同じくUS MFで昨年のCornell主将 & MVPのMax Seibaldが110 MPHで2位。今年はどちらが勝つか、そして新記録が生まれるかが注目された。
Max Seibaldが昨年の自己記録110MPHを上回り、昨年のPaul Rabilの世界最速記録と並ぶ111MPHを記録!
そして、注目のdefending champion、 Paul Rabil。何と昨年と同じ111を叩き出し、Seibaldと並ぶ!
延長の決定戦、Seibaldは109と2マイル落ち、Rabilは再び111でBack to backで優勝!しかしまあこの時速180キロっていう半端無い速さも去ることながら、2人が同じ111、Rabilは2年連続111。この数字が一つの大きな壁になっている。人間の体の作りや今のstickの構造を前提とするとこの辺が飽和点に近いんだろうか。僕が現役だった2000年前後は確か100MPH(時速160キロ)付近が世界最速と言われていた気がするので、そうは言っても10年で如何に大きく進歩しているかが分かる。RabilかSeibaldが来年この数字を超えてくるんだろうか?
Half time skill competition 2: Free style shot
08年にMikey Powellの”Behind the back flip shot”を生んだもう一つのお楽しみ企画、free style。去年はToronto Nationalsの人気者Goalie、Brett QueenerがMichael Jacksonへのtributeのダンスで優勝した。まあ、NBAのDunk shot contestのように派手なシュートというよりは、どちらかと言うと完全に遊びでCreativityを楽しむイベントになりつつある。
今年はKevin Buchananがなかなか危ないGoal barの上に立つ新しいシュートで優勝(Youtube)。個人的には2年前のMikey PowellのBehind the back flip shotほどの”style”はまだ出てないかなと...
後半
3Q MLLの4点目、Lizards #13 ATのStephen BurgerのBack hand dive shotが単純に見物としてすげえ。BurgerはDiv 3出身の無名選手からMLLに最下位指名で入り、そこから才能を開花させた遅咲きの選手。多くの中堅校/弱小校の選手たちに希望を与える存在。(ちなみにMLLはよく見ると意外と多くの中位/下位校の選手たちがいる。)
MLL 10点目、Team CanadaでMLL史上最高のoffense力を持つLong stick、Brodie Merrillのクリース前でのスティックワーク、 エンドを余らせて短くstickを持っての 、AT並みのシュートフェイクとシュート。Long stickの選手は是非参考にしたい。
4Q終了直前、USAによる同点弾12点目、Brendan Mundorfの6得点目のStanding shoot、パワーを押さえながらも正確で素早いシュート。この人のシュートの引き出しは本当に多い。上から下から横から、バウンドさせたり上と下に打ち分けたり。中でも特に母校UMBCの名伯楽Don Zimmermanの基本に忠実な教えを体現する、Over handのバウンドショットは極めて効果的。この試合を通してやはり期待通りの手堅い活躍を見せている。来週以降の本番でも間違いなく最大の得点源としてUSAを引っ張るはず。(ちなみにどうでもいいトリビアだが、親がAussieのMundorfはUSA/AustraliaのDouble nationality。前回のWLCはAustraliaで出ている。2カ国でWLCに出場するという珍しい例)。
あとは、どこの時間帯だったかは忘れたけど、前半USのG Doc (Dougherty)がDの時にクリースから飛び出してプレッシャーを掛けてダブって成功するシーン(多分決めごとの練習でチームとして意図的にやった?)などが印象的。
Shovel passの実用性
あと、どの時間帯だったかは忘れたけどFO直後のLong stickのscoop、そして即座にshovel pass。今回に限らず、MLLやNCAAを見る中で自分が「もっと練習して使っときゃ良かったな!」とつくづく思わされるのがこのshovel pass。日本でやってた頃の感覚だとちょっと上級技術/trickyなプレーと認識しちゃってたが、見てると全く持って当然の基本動作の一つ。ホントに相当使い勝手がいい。特にLong stickにとって。scoop 直後、face dodge的に切り返した直後、等々。 体の逆サイドにstickがある状態でもボールを投げられるという大きな選択肢の幅を与えてくれることになるので。単純な話、ボールを持った状態で通常は180°しかパスできるレンジ/角度が無いが、それが一気に360°近くに増えることに。ボールキャリアのパフォーマンスにかなり大きなインパクトを与えることになる。(実際Canuck (Canadian)たちはインドアで当然のようにそれをやっている。)
日本だと器用な選手やstick skillへの拘りの強い選手が時々(ちょっとぎこちなく)やる、というイメージかな?と思うが、こんなんキャッチボールや壁打ち、場合によっては正規の練習でのLine drillやTriangle passに取り入れてでも2〜3週間徹底的に練習すればすぐ試合で使えるレベルになるんじゃないかな?と感じた。ちょっと練習するだけで大きくプレーの選択肢が増えるので、極めてROI(費用対効果/投下時間対効果)の高い練習領域じゃないかと。持ち替えが難しく/持ち替えの機会が少ないLong stick、特にScoop直後に混んだ状態で細かいパスを放る必要のある局面に多く直面するLSMFが特に重宝するんじゃないかと。
その他の見所
MLL All StarはOffenseに偏った基準/人気で選んでいるため、Defensive middie/LSMFがいないというAll star定番の悲しいメンツ。やむを得ずコーチのHuntleyはZone Dを選択。意外にもそれがハマってしまい、急ごしらえのチームの癖にUSを苦しめることに。一方でUSのzoneへの攻めも巧く行くシーンもミスするシーンもあり、チームOFを学ぶ上で参考になる。パスを回しつつどこかで誰かが切り込んで崩して、空いたところで素早くclose/mid-rangeのシュートなど。
USを見ての感想
正直USはまだまだ連携が完全に完成してる感じはせず、sloppyな(しょぼい)ミスが目立つ。実際にはWLCの予選を通じて少しずつ作り込んでいく感じになるはず。
Brendan Mundorfが6得点と大活躍し、フィールドでも最も安定したパフォーマンスを見せる。フィード、ダッジ、シュートと全てに於いて基本に忠実で丁寧なプレーをしており、正に教科書にするのに最適な選手。
前回のCanada戦敗戦の雪辱を誓うキャプテンのRyan Powellはベンチでコートで声を張り上げチームを引っ張る。試合終了間際のDiveショットでの得点は感動的ですらあった。
いたる@13期
2010年7月5日月曜日
Team Canada vol. 2 注目選手
続いて今回は個別の選手の紹介。
ロースターはこちら。
こちらも正にDream team。オフェンス的には、こんなに爆発力のあるメンバーは見たこと無い…乗ってしまったら誰も止められない。個人的には本当に楽しみ。
Position: Name : MLL , NLL , University
AT: Garrett Billings : Toronto , Toronto , Virginia
AT: John Grant Jr : Toronto , Rochester , Delaware
AT: Matt Brown : Denver , Portland , Denver
AT: Zack Greer : Long Island , Minnesota , Duke /Bryant
AT: Kevin Huntley : Chesapeake , Philadelphia , Johns Hopkins
AT: Stephen Keogh : N/A , N/A , Syracuse
AT: Jordan McBride : N/A , N/A , Stonybrook
AT: Merrick Thomson : Toronto , Philadelphia , Albany
MF: Rhys Duch : Washington , Stony Brook
MF: Billy-Dee Smith : N/A , Buffalo ,
MF: Mark Steenhuis : N/A , Buffalo ,
MF: Jordan Hall : Toronto , Orlando , Delaware
MF: Daniel Dawson : Toronto , Boston ,
MF: Adam Jones : N/A , N/A , Canisius
MF: Ryan McClelland : N/A , N/A , Colgate
MF: Gavin Prout : Toronto , Colorado , Loyola
MF: Kevin Ross : Minnesota , Canisius
FO: Geoff Snider : Toronto , Philadelphia , Denver
DF: Mac Allen : N/A , Rochester , Bishop's (Canada)
DF: Brodie Merrill : Toronto , Edmonton , Georgetown
DF: Patrick Merrill : Toronto , Orlando , Mercyhurst
DF: Phillip Sanderson : Toronto , Toronto ,
DF: Jonathon Sullivan : Toronto , Minnesota , Brock (Canada)
DF: Matt Vinc : Toronto , Orlando , Canisius
DF: Curtis Manning : N/A , Calgary , Simon Fraser (Canada)
G: Angus Dineley : N/A , Orlando , Canisius
G: Bradley Conlon : N/A , RIT Tigers ,
G: Evan Kirk : N/A , N/A , Hobart
以下、注目選手を紹介。
1. AT
まずは何と言っても前回Canada優勝の最大の立役者の一人、数年前まで世界最高プレーヤーと多くが認めていた、John Grant Jr.。MLLの得点王、MVP、Best offensive playerなど数々のタイトルを総なめにしてきた。Rochester Nighthawksで共にプレーする「伝説」Gary Gaitが後継者と認め、「自分が若かった頃に出来ていたことを間近で見せ付けられる」とまで言わしめた。めちゃくちゃでかくて、めちゃくちゃ上手い。左利き。鬼シューター。神フィーダー。融通無碍の境地。ゴリゴリDを押し込み、Between-the-leg, Behind-the-backなどあらゆる形でシュート/フィードをしてくる。が、2年前のRochester Rattlers優勝直後に左膝の病気になり生死の狭間を彷徨う。その後ACR(前十字靭帯)を置き換える手術とリハビリを経て昨シーズンの最後に奇跡の復活を遂げ、その試合で5ゴールを決める。復帰後も中心選手として活躍するも、左膝のサポーターは痛々しく、かつての機動力と爆発力は影を潜める(そもそも一命を取りとめただけでも幸運で、その後スポーツが出来てる事自体が奇跡的だが。病気の記事)。
35歳のベテラン。正直衰えが目立ちつつあり、今シーズンのMLLではミスも多い。脂の乗り切ったキャリアのピークだった前回とは違い、今回はどちらかと言うと大黒柱と言うよりは若手を支える役目か?画質の終わってるハイライト。
続いて、HC Dave Huntleyの息子、Johns Hopkins ‘08のKevin Huntley。USのPaul Rabilとの2枚看板でHopkinsの05, 07の優勝を成し遂げた。同じく左利きのシューター。小さいがスピードあり。シュートはMLLでもトップレベル。Long shootも正確で速い。えっれえ薄いところからでも左でゴールの二アサイドに突き刺してくる。NLL/MLL入り後も成長を続け、Canadianらしいプレーを身に付けつつある。Toronto Nationalsから引き続きCanadaの得点源になるはず。(動画)
そして、もう一人のSuper star、Duke ‘08(最後の1年は転校しちゃったので)、4 time All America, NCAA all time leading scorer(歴代得点王)、Long Island Lizardsの得点源、Zack Greer。同じく左利きでシュートが鬼。恐ろしく勝負強く、大事な場面で確実に点を取ってくるクラッチシューター。ジュニアの頃からIndoorで活躍するエリート。今年からSponsorになったReebokのかっけえCM。
あとは、今年のNCAAでも活躍したSyracuseのStephen Keogh、Virginiaを最後まで苦しめたStony BrooksのJordan McBrideも名を連ねる。(この二人はもしかしたら最後の23人のロースターからは外れるかな?)しかし、こうやって見るとホント如何に恐ろしいFinisherたちがゴロゴロいるかが判る…
2. MF
Dan DawsonはToronto Nationalsを引っ張る大黒柱MF。MLL10年間の歴史でのベストMFの一人と称されることも。今のNLLの最強クラスの選手の一人。でかくて身体能力高くてシュートが鬼。ハイライト。
Jordan HallはToronto Nationalsでもスピードと反応を武器に活躍。ゴール前でのリバウンドの反応の良さなどAT的な動きが記憶に残る。
Gavin ProutはLoyola出身の伝説的MF。ベテラン。電光石火のQuicknessとピットブルのような闘争本能。
ハイライト。
Face OfferのGeoff Sniderは現世界最高Face offerとの声も多い。前回のWLC決勝でface offを支配し、優勝に大きく貢献。face offerとしては珍しく大会MVPに輝いた。Denver大学で活躍した後今もDenverでアシスタントコーチを務める。US代表でChesapeake BayhawksのAlex Smithとは何年にも渡りFace offでドッグファイトを続ける。今回のWLCではどっちが勝つか。(先日のNationals-Bayhawks戦では二人が二人ともstick checkでボールが落ちないといいうillegal stickのファウルを受け笑った…Face off向けに細くしてるからか?解説者のQuintが子供達のお手本となるべき二人のファウルに放送席で激怒していた。)
インドアでは乱闘最強でここまで負け無し。動画①、②、③、④。ユニを引っ張り合うDefense技術の高さ(グラップラー刃牙で言うと柴千春vsアイアン=マイケルの包帯デスマッチ)と、右ストレートの破壊力が殺人的。
Inside Lacrosseのスキル講座でのFace offスキル講座は非常に面白かった。相手のヘッドに親指を引っ掛けて妨害する技を解説し、「ぶっちゃけファウルだけど、これも含めての駆け引きだから」と開き直っていたのが痛快だった。
3. DF
えーっと…すいません。よく知りません…。ほぼ全員Toronto Nationalsそのまんま。ぶっちゃけLong StickはやっぱりField lacrosseの本家本元USからは一段落ちるかなというのが正直な感想。IndoorではLong stickはいないので。
ただ、Brodie MerrillはMLL史上でもベストLong stickの一人と言われる。オフェンス参加が半端無く、ほぼショートスティックと同じ、というかその辺の選手より上の攻撃力。
てな感じでしょかね。
最後に、vs USの見所
よっぽどおかしなことが起こらなければIroquoisはもちろんAustraliaには負けないはず。
煎じ詰めるとWLCはUSとCanadaの一騎打ち。今回はどっちが勝つんだろうか。Canadaのよく指摘される弱点は、①Long stickを中心としたDが弱い、②USにいるような機動力のある身体能力の高いランナー系のMFが少なく中盤の繋ぎが弱い、などなど。意外にあっさり得点を許すシーンも多い。当のTeam Canadaも、んなこた百も承知の上でそれを補って余りあるハーフコートオフェンス力で捻じ伏せる方針。
今年はToronto Nationalsがこれまで数年間と打って変わって、立ち上がり5連敗と大苦戦。NLLから休み無しでMLLに移行した選手たちが疲労回復し切れてないとの話。それを考えるとUS有利か?とも言われていた中、ここに来てUSのLong stick陣も怪我で崩れ始めている。Grantを始めサイズのある選手が多いCanada。真っ向勝負の押し合いで負けるんじゃないかと心配され始めている。
一体どうなるんだろか。どっちに転んでも最高の名勝負を繰り広げてくれるはず。
いたる@13期
ロースターはこちら。
こちらも正にDream team。オフェンス的には、こんなに爆発力のあるメンバーは見たこと無い…乗ってしまったら誰も止められない。個人的には本当に楽しみ。
Position: Name : MLL , NLL , University
AT: Garrett Billings : Toronto , Toronto , Virginia
AT: John Grant Jr : Toronto , Rochester , Delaware
AT: Matt Brown : Denver , Portland , Denver
AT: Zack Greer : Long Island , Minnesota , Duke /Bryant
AT: Kevin Huntley : Chesapeake , Philadelphia , Johns Hopkins
AT: Stephen Keogh : N/A , N/A , Syracuse
AT: Jordan McBride : N/A , N/A , Stonybrook
AT: Merrick Thomson : Toronto , Philadelphia , Albany
MF: Rhys Duch : Washington , Stony Brook
MF: Billy-Dee Smith : N/A , Buffalo ,
MF: Mark Steenhuis : N/A , Buffalo ,
MF: Jordan Hall : Toronto , Orlando , Delaware
MF: Daniel Dawson : Toronto , Boston ,
MF: Adam Jones : N/A , N/A , Canisius
MF: Ryan McClelland : N/A , N/A , Colgate
MF: Gavin Prout : Toronto , Colorado , Loyola
MF: Kevin Ross : Minnesota , Canisius
FO: Geoff Snider : Toronto , Philadelphia , Denver
DF: Mac Allen : N/A , Rochester , Bishop's (Canada)
DF: Brodie Merrill : Toronto , Edmonton , Georgetown
DF: Patrick Merrill : Toronto , Orlando , Mercyhurst
DF: Phillip Sanderson : Toronto , Toronto ,
DF: Jonathon Sullivan : Toronto , Minnesota , Brock (Canada)
DF: Matt Vinc : Toronto , Orlando , Canisius
DF: Curtis Manning : N/A , Calgary , Simon Fraser (Canada)
G: Angus Dineley : N/A , Orlando , Canisius
G: Bradley Conlon : N/A , RIT Tigers ,
G: Evan Kirk : N/A , N/A , Hobart
以下、注目選手を紹介。
1. AT
まずは何と言っても前回Canada優勝の最大の立役者の一人、数年前まで世界最高プレーヤーと多くが認めていた、John Grant Jr.。MLLの得点王、MVP、Best offensive playerなど数々のタイトルを総なめにしてきた。Rochester Nighthawksで共にプレーする「伝説」Gary Gaitが後継者と認め、「自分が若かった頃に出来ていたことを間近で見せ付けられる」とまで言わしめた。めちゃくちゃでかくて、めちゃくちゃ上手い。左利き。鬼シューター。神フィーダー。融通無碍の境地。ゴリゴリDを押し込み、Between-the-leg, Behind-the-backなどあらゆる形でシュート/フィードをしてくる。が、2年前のRochester Rattlers優勝直後に左膝の病気になり生死の狭間を彷徨う。その後ACR(前十字靭帯)を置き換える手術とリハビリを経て昨シーズンの最後に奇跡の復活を遂げ、その試合で5ゴールを決める。復帰後も中心選手として活躍するも、左膝のサポーターは痛々しく、かつての機動力と爆発力は影を潜める(そもそも一命を取りとめただけでも幸運で、その後スポーツが出来てる事自体が奇跡的だが。病気の記事)。
35歳のベテラン。正直衰えが目立ちつつあり、今シーズンのMLLではミスも多い。脂の乗り切ったキャリアのピークだった前回とは違い、今回はどちらかと言うと大黒柱と言うよりは若手を支える役目か?画質の終わってるハイライト。
続いて、HC Dave Huntleyの息子、Johns Hopkins ‘08のKevin Huntley。USのPaul Rabilとの2枚看板でHopkinsの05, 07の優勝を成し遂げた。同じく左利きのシューター。小さいがスピードあり。シュートはMLLでもトップレベル。Long shootも正確で速い。えっれえ薄いところからでも左でゴールの二アサイドに突き刺してくる。NLL/MLL入り後も成長を続け、Canadianらしいプレーを身に付けつつある。Toronto Nationalsから引き続きCanadaの得点源になるはず。(動画)
そして、もう一人のSuper star、Duke ‘08(最後の1年は転校しちゃったので)、4 time All America, NCAA all time leading scorer(歴代得点王)、Long Island Lizardsの得点源、Zack Greer。同じく左利きでシュートが鬼。恐ろしく勝負強く、大事な場面で確実に点を取ってくるクラッチシューター。ジュニアの頃からIndoorで活躍するエリート。今年からSponsorになったReebokのかっけえCM。
あとは、今年のNCAAでも活躍したSyracuseのStephen Keogh、Virginiaを最後まで苦しめたStony BrooksのJordan McBrideも名を連ねる。(この二人はもしかしたら最後の23人のロースターからは外れるかな?)しかし、こうやって見るとホント如何に恐ろしいFinisherたちがゴロゴロいるかが判る…
2. MF
Dan DawsonはToronto Nationalsを引っ張る大黒柱MF。MLL10年間の歴史でのベストMFの一人と称されることも。今のNLLの最強クラスの選手の一人。でかくて身体能力高くてシュートが鬼。ハイライト。
Jordan HallはToronto Nationalsでもスピードと反応を武器に活躍。ゴール前でのリバウンドの反応の良さなどAT的な動きが記憶に残る。
Gavin ProutはLoyola出身の伝説的MF。ベテラン。電光石火のQuicknessとピットブルのような闘争本能。
ハイライト。
Face OfferのGeoff Sniderは現世界最高Face offerとの声も多い。前回のWLC決勝でface offを支配し、優勝に大きく貢献。face offerとしては珍しく大会MVPに輝いた。Denver大学で活躍した後今もDenverでアシスタントコーチを務める。US代表でChesapeake BayhawksのAlex Smithとは何年にも渡りFace offでドッグファイトを続ける。今回のWLCではどっちが勝つか。(先日のNationals-Bayhawks戦では二人が二人ともstick checkでボールが落ちないといいうillegal stickのファウルを受け笑った…Face off向けに細くしてるからか?解説者のQuintが子供達のお手本となるべき二人のファウルに放送席で激怒していた。)
インドアでは乱闘最強でここまで負け無し。動画①、②、③、④。ユニを引っ張り合うDefense技術の高さ(グラップラー刃牙で言うと柴千春vsアイアン=マイケルの包帯デスマッチ)と、右ストレートの破壊力が殺人的。
Inside Lacrosseのスキル講座でのFace offスキル講座は非常に面白かった。相手のヘッドに親指を引っ掛けて妨害する技を解説し、「ぶっちゃけファウルだけど、これも含めての駆け引きだから」と開き直っていたのが痛快だった。
3. DF
えーっと…すいません。よく知りません…。ほぼ全員Toronto Nationalsそのまんま。ぶっちゃけLong StickはやっぱりField lacrosseの本家本元USからは一段落ちるかなというのが正直な感想。IndoorではLong stickはいないので。
ただ、Brodie MerrillはMLL史上でもベストLong stickの一人と言われる。オフェンス参加が半端無く、ほぼショートスティックと同じ、というかその辺の選手より上の攻撃力。
てな感じでしょかね。
最後に、vs USの見所
よっぽどおかしなことが起こらなければIroquoisはもちろんAustraliaには負けないはず。
煎じ詰めるとWLCはUSとCanadaの一騎打ち。今回はどっちが勝つんだろうか。Canadaのよく指摘される弱点は、①Long stickを中心としたDが弱い、②USにいるような機動力のある身体能力の高いランナー系のMFが少なく中盤の繋ぎが弱い、などなど。意外にあっさり得点を許すシーンも多い。当のTeam Canadaも、んなこた百も承知の上でそれを補って余りあるハーフコートオフェンス力で捻じ伏せる方針。
今年はToronto Nationalsがこれまで数年間と打って変わって、立ち上がり5連敗と大苦戦。NLLから休み無しでMLLに移行した選手たちが疲労回復し切れてないとの話。それを考えるとUS有利か?とも言われていた中、ここに来てUSのLong stick陣も怪我で崩れ始めている。Grantを始めサイズのある選手が多いCanada。真っ向勝負の押し合いで負けるんじゃないかと心配され始めている。
一体どうなるんだろか。どっちに転んでも最高の名勝負を繰り広げてくれるはず。
いたる@13期
Team Canada vol. 1 そもそも何で強いの?
さて、WLCに向けての(恐らく)最後の記事。僕の一番大好きなチーム、Team Canadaの紹介。見所やら背景やら、いくつか知ってる範囲で語らせいて頂きます。2回に分けて。
まずはロースターのリンクとチームHP。
一発目の今回は、話をよりシャープにするために、大きな一つの「そもそもな疑問」から始めさせて頂きたいと思う。それは、「なんでCanadaってWorld Lacrosse Championshipで強いの?」という純粋な疑問。もちろん、LacrosseはCanadaにとってIce Hockeyに次ぐ国技。でも、やってるのはあくまでIndoor (Box) Lacrosse。Fieldは正直盛んじゃない。
そして、前回のNLLの記事でも触れたが、同じラクロスでありながら、IndoorとOutdoorは正直ゲームとして大きく異なる。SoccerとFootsalぐらい、いやもしかしたらもっと極端に違う。必要な個人技や戦術にも大きなズレが出てくる。
そんな中、Field Lacrosseの本家本元は当然のことながらUS。NCAAもMLLも全部Field Lacrosse。なのに、なぜ、本来のルーツではないFieldでCanadaが過去にUSに善戦し、そして前回優勝出来たのか?今回もUS相手に善戦、場合によっては勝利すると言われているのか?Gaitがいたから、とか、John Grant Jr.がいるから、という表面的で属人的な理由ではなく、その裏にある構造的な理由を考えてみる。
よく言われているのは大きく5つ。
①インドア/アウトドアの違いを抜きに、そもそも純粋にラクロスが上手い
②インドア主体であるが故の強み
③スタイルの違い/相手にとってのやり難さ
④そうは言ってもFieldにちゃんとアジャストしている点
⑤MLLのToronto NationalsがほぼそっくりそのままTeam Canada
加えて、付け足すとすると、
⑥+αとしての、メンタル
以下それぞれをちょっとだけ掘り下げ。
まず一点目。①インドア/アウトドアの違いを抜きにした、そもそもの純粋なラクロスの上手さ
実は、Canadaの国技はIce Hockeyではなく、Lacrosse。
規模で言うと、冬のIce Hockeyに次ぐ人気スポーツ(気候上の制約上、アメフトや野球はアメリカほどプレーされている訳ではない)。子供の頃から地域、家族ぐるみでどっぷりプレーする文化。且つ若い年代からプロの試合に触れながら、年代別のリーグでがっつり経験を積んで選抜されていく仕組み。多くの選手が子供の頃から春から夏に掛けてはずっとスティックとボールで遊んでいたと言っている。そもそもの前提としての、競技としての歴史と文化、それを支える人気と競技人口。それらが生む、地力として蓄積された技術の高さ。
NCAAでもたった数人Canadian finisherをリクルートするだけでオフェンス力が大幅に改善していることでも分かる。
続いて、②インドアであるが故の強み
以前のNLLの記事でも紹介したが、いくつかの点でIndoorではOutdoorとは全く違った、数段上の技術が必要になるとよく言われている。圧倒的なスピードの速さ、切り替えや状況判断の早さ、細かいエリアでの速く正確な動きとスティックスキル、小さなゴールと大きなゴーリーを相手にせざるを得ないが故のシュートとフェイクの技術。片手限定で持ち替えをせずにBehind the backも基本技術の打ち。Dodgeも走力での誤魔化しが効かない、本当の一歩目勝負。
ESPNの解説者Quint Kessenichも、感覚的にCanadianたちにとってはFieldのゴールは「サッカーゴールにシュートを撃つくらい簡単に感じるはず」とのこと。クリース前のLong stickからのプレッシャーもIndoorでの厳しさからすると蚊が止まる程度にしか感じないんじゃないだろうか。
(例えばサッカーで言うと、映画Gingaで紹介されていたが、Brazilのロビーニョやロナウジーニョの様に、Street soccerやFootsalの小さなボールとコートでボールハンドリングを徹底的に磨いたことが後々フルコートのサッカーで生きてくる、みたいな。)
③結果としてのスタイルの違い/相手にとってのやり難さ
であるが故に、全員indoor出身のTeam Canadaのラクロスはかなり独特なものになる。US的な、しっかり6人がセットして、走力のあるMFがダッジで崩して、スペースのある所で…みたいな優等生/教科書的なラクロスに必ずしもならない。NCAAを見慣れた感覚からすると信じられないくらい混んでるクリースにフィードして1対3くらいの状態でシュートを撃って決めたり、John Grant Jr.のように一人でゴリゴリ両手クレードルしながらBehind backでそのまま決めたり。
やり慣れてない相手からすると相当やりにくいはず。(一方でTeam Canadaはほぼ全員Field経験者なので、別にやりにくくも何ともない。)DやGからすると「え!?こんなとこフィードしてくんの!?」「は?こんな状態で後ろにシュート撃ってくるの?」みたいなプレーを頻発してくることに。
(総合格闘技のAnalogyで言うと先日UFC Light Heavy級でShogunに負けて王座陥落するまで無敗だった、空手バックボーンの独特なスタイルでほぼ攻撃を受けずに異様なヒット率を誇るBrazilの空手家Lyoto Machidaか。独特過ぎて対策が立てられない。スパーリングしようにも同じこと出来る選手がいないっていう。)
④そうは言ってもFieldにちゃんとアジャストしている点
と、③までの要素だけだと、そうは言ってもやっぱり別の競技、さすがに本家本元のUSには敵わないはず。やっかいなのは、ほぼ全員がNCAAやMLLでがっつりfieldを経験している点。Canadian indoor lacrosseの技術を持ちながら、それをどうやればfieldで最大限に生かせるかをよーく分かってる連中。要はIndoor-outdoor-hybrid。
チームとしても、それを十分に理解した上で、上記①、②、③を最大限にレバレッジし、Indoorの選手をベースとした戦術を確立しつつあるToronto Nationalsは去年までMLL2連覇を成し遂げており、「Canadianがフィールドラクロスを進化させている」とまで言われている。
⑤MLLのToronto NationalsがほぼそっくりそのままTeam Canada
実はこれが一番効いてる気がする。前身のRochester Rattlers、そして1年半前に移転してToronto Nationalsと、Team Canadaの過半数、主力のほとんどのメンバーが同じチームとしてMLLでプレーしている。見方を変えると、MLLは5つの米国プロチームとCanada代表1チームの6チームで構成されているようなもの。しかも、Toronto Nationalsは過去2年間MLLで優勝している強豪。只のMLLチームではない。
加えて今回はHCのDave Huntleyまで同じ。従って数年プレーし続けているチームがそのまま、もっと言うとシーズン後半の出来上がった状態でマンチェスターに向かうことになる。この点、ばらばらのチームからの寄せ集めで、直前のキャンプで一夜漬けでチーム戦術を固めなくてはいけないUSとは大きく事情が異なる。仮に2チーム全く同じレベルの個が集まったとしても、確実にCanadaの方が分があるということになる。
(Team USが練習試合でDukeや4年生代表に負けていることからも判るとおり、きちんとチームとして有機的に機能しなければどんなにスーパースターを集めても結局は烏合の衆な面がどうしても出てしまう)
最後に一点だけ、これは僕の個人的な付け足しだが、⑥気合と根性
(これはどちらかと言うと僕の個人的な意見だが…)ハートの強さや先頭本能/「荒々しさ」的な「メンタルな強さ」も多分に強さの源泉。NLLの試合を見て直ぐにピンと来るのが、その雰囲気の違い。圧倒的に野蛮。意図的に相手を潰すためのファウルをするし、審判の前で堂々と殴りあいをする。アメリカが文化的に正々堂々としたスポーツマンシップを大切にし、ラフプレーや乱闘を嫌うのとは対極を成す。(僕は個人的には荒々しいの大好き。そっちの方が熱くて面白くて人間らしいっしょ!)Field lacrosseがサラッとした上流階級の爽やかスポーツマンだとすると、IndoorはBlue colorの無骨で粗野な荒くれ者の集まり、という描写がよりフィットする。
WLCは連戦のタフな戦い。国の威信を掛けてやり合う喧嘩の面も強い。これらの負けん気、肝っ玉の強さは確実に大きな武器になってくる。
WLC最大の見所: USとの一騎打ち、そして2試合を通しての駆け引き
チームUSはそれらを十分に理解した上で、今年はUnder dog(挑戦者)としてhungryに勝ちに行くと言い切っている。USは大会を通じて徐々にチームとしての機能を増していくはず。一方のCanadaは最初からチームとしては完成してるものの、NLLから休み無しでMLLに出ている選手たちがかなり疲れているとも言われている。長期戦では若干パフォーマンスが落ちてくるだろうか?仮にCanadaがリーグ戦の一発目で勝ったとしても、決勝でUSが逆転というシナリオは十分に考え得る。前回はリーグ戦でUSが勝った後決勝でCanadaが雪辱。この辺の駆け引きがどう働くのか。考えるだけでゾクゾクしてくる…
いたる@13期
まずはロースターのリンクとチームHP。
一発目の今回は、話をよりシャープにするために、大きな一つの「そもそもな疑問」から始めさせて頂きたいと思う。それは、「なんでCanadaってWorld Lacrosse Championshipで強いの?」という純粋な疑問。もちろん、LacrosseはCanadaにとってIce Hockeyに次ぐ国技。でも、やってるのはあくまでIndoor (Box) Lacrosse。Fieldは正直盛んじゃない。
そして、前回のNLLの記事でも触れたが、同じラクロスでありながら、IndoorとOutdoorは正直ゲームとして大きく異なる。SoccerとFootsalぐらい、いやもしかしたらもっと極端に違う。必要な個人技や戦術にも大きなズレが出てくる。
そんな中、Field Lacrosseの本家本元は当然のことながらUS。NCAAもMLLも全部Field Lacrosse。なのに、なぜ、本来のルーツではないFieldでCanadaが過去にUSに善戦し、そして前回優勝出来たのか?今回もUS相手に善戦、場合によっては勝利すると言われているのか?Gaitがいたから、とか、John Grant Jr.がいるから、という表面的で属人的な理由ではなく、その裏にある構造的な理由を考えてみる。
よく言われているのは大きく5つ。
①インドア/アウトドアの違いを抜きに、そもそも純粋にラクロスが上手い
②インドア主体であるが故の強み
③スタイルの違い/相手にとってのやり難さ
④そうは言ってもFieldにちゃんとアジャストしている点
⑤MLLのToronto NationalsがほぼそっくりそのままTeam Canada
加えて、付け足すとすると、
⑥+αとしての、メンタル
以下それぞれをちょっとだけ掘り下げ。
まず一点目。①インドア/アウトドアの違いを抜きにした、そもそもの純粋なラクロスの上手さ
実は、Canadaの国技はIce Hockeyではなく、Lacrosse。
規模で言うと、冬のIce Hockeyに次ぐ人気スポーツ(気候上の制約上、アメフトや野球はアメリカほどプレーされている訳ではない)。子供の頃から地域、家族ぐるみでどっぷりプレーする文化。且つ若い年代からプロの試合に触れながら、年代別のリーグでがっつり経験を積んで選抜されていく仕組み。多くの選手が子供の頃から春から夏に掛けてはずっとスティックとボールで遊んでいたと言っている。そもそもの前提としての、競技としての歴史と文化、それを支える人気と競技人口。それらが生む、地力として蓄積された技術の高さ。
NCAAでもたった数人Canadian finisherをリクルートするだけでオフェンス力が大幅に改善していることでも分かる。
続いて、②インドアであるが故の強み
以前のNLLの記事でも紹介したが、いくつかの点でIndoorではOutdoorとは全く違った、数段上の技術が必要になるとよく言われている。圧倒的なスピードの速さ、切り替えや状況判断の早さ、細かいエリアでの速く正確な動きとスティックスキル、小さなゴールと大きなゴーリーを相手にせざるを得ないが故のシュートとフェイクの技術。片手限定で持ち替えをせずにBehind the backも基本技術の打ち。Dodgeも走力での誤魔化しが効かない、本当の一歩目勝負。
ESPNの解説者Quint Kessenichも、感覚的にCanadianたちにとってはFieldのゴールは「サッカーゴールにシュートを撃つくらい簡単に感じるはず」とのこと。クリース前のLong stickからのプレッシャーもIndoorでの厳しさからすると蚊が止まる程度にしか感じないんじゃないだろうか。
(例えばサッカーで言うと、映画Gingaで紹介されていたが、Brazilのロビーニョやロナウジーニョの様に、Street soccerやFootsalの小さなボールとコートでボールハンドリングを徹底的に磨いたことが後々フルコートのサッカーで生きてくる、みたいな。)
③結果としてのスタイルの違い/相手にとってのやり難さ
であるが故に、全員indoor出身のTeam Canadaのラクロスはかなり独特なものになる。US的な、しっかり6人がセットして、走力のあるMFがダッジで崩して、スペースのある所で…みたいな優等生/教科書的なラクロスに必ずしもならない。NCAAを見慣れた感覚からすると信じられないくらい混んでるクリースにフィードして1対3くらいの状態でシュートを撃って決めたり、John Grant Jr.のように一人でゴリゴリ両手クレードルしながらBehind backでそのまま決めたり。
やり慣れてない相手からすると相当やりにくいはず。(一方でTeam Canadaはほぼ全員Field経験者なので、別にやりにくくも何ともない。)DやGからすると「え!?こんなとこフィードしてくんの!?」「は?こんな状態で後ろにシュート撃ってくるの?」みたいなプレーを頻発してくることに。
(総合格闘技のAnalogyで言うと先日UFC Light Heavy級でShogunに負けて王座陥落するまで無敗だった、空手バックボーンの独特なスタイルでほぼ攻撃を受けずに異様なヒット率を誇るBrazilの空手家Lyoto Machidaか。独特過ぎて対策が立てられない。スパーリングしようにも同じこと出来る選手がいないっていう。)
④そうは言ってもFieldにちゃんとアジャストしている点
と、③までの要素だけだと、そうは言ってもやっぱり別の競技、さすがに本家本元のUSには敵わないはず。やっかいなのは、ほぼ全員がNCAAやMLLでがっつりfieldを経験している点。Canadian indoor lacrosseの技術を持ちながら、それをどうやればfieldで最大限に生かせるかをよーく分かってる連中。要はIndoor-outdoor-hybrid。
チームとしても、それを十分に理解した上で、上記①、②、③を最大限にレバレッジし、Indoorの選手をベースとした戦術を確立しつつあるToronto Nationalsは去年までMLL2連覇を成し遂げており、「Canadianがフィールドラクロスを進化させている」とまで言われている。
⑤MLLのToronto NationalsがほぼそっくりそのままTeam Canada
実はこれが一番効いてる気がする。前身のRochester Rattlers、そして1年半前に移転してToronto Nationalsと、Team Canadaの過半数、主力のほとんどのメンバーが同じチームとしてMLLでプレーしている。見方を変えると、MLLは5つの米国プロチームとCanada代表1チームの6チームで構成されているようなもの。しかも、Toronto Nationalsは過去2年間MLLで優勝している強豪。只のMLLチームではない。
加えて今回はHCのDave Huntleyまで同じ。従って数年プレーし続けているチームがそのまま、もっと言うとシーズン後半の出来上がった状態でマンチェスターに向かうことになる。この点、ばらばらのチームからの寄せ集めで、直前のキャンプで一夜漬けでチーム戦術を固めなくてはいけないUSとは大きく事情が異なる。仮に2チーム全く同じレベルの個が集まったとしても、確実にCanadaの方が分があるということになる。
(Team USが練習試合でDukeや4年生代表に負けていることからも判るとおり、きちんとチームとして有機的に機能しなければどんなにスーパースターを集めても結局は烏合の衆な面がどうしても出てしまう)
最後に一点だけ、これは僕の個人的な付け足しだが、⑥気合と根性
(これはどちらかと言うと僕の個人的な意見だが…)ハートの強さや先頭本能/「荒々しさ」的な「メンタルな強さ」も多分に強さの源泉。NLLの試合を見て直ぐにピンと来るのが、その雰囲気の違い。圧倒的に野蛮。意図的に相手を潰すためのファウルをするし、審判の前で堂々と殴りあいをする。アメリカが文化的に正々堂々としたスポーツマンシップを大切にし、ラフプレーや乱闘を嫌うのとは対極を成す。(僕は個人的には荒々しいの大好き。そっちの方が熱くて面白くて人間らしいっしょ!)Field lacrosseがサラッとした上流階級の爽やかスポーツマンだとすると、IndoorはBlue colorの無骨で粗野な荒くれ者の集まり、という描写がよりフィットする。
WLCは連戦のタフな戦い。国の威信を掛けてやり合う喧嘩の面も強い。これらの負けん気、肝っ玉の強さは確実に大きな武器になってくる。
WLC最大の見所: USとの一騎打ち、そして2試合を通しての駆け引き
チームUSはそれらを十分に理解した上で、今年はUnder dog(挑戦者)としてhungryに勝ちに行くと言い切っている。USは大会を通じて徐々にチームとしての機能を増していくはず。一方のCanadaは最初からチームとしては完成してるものの、NLLから休み無しでMLLに出ている選手たちがかなり疲れているとも言われている。長期戦では若干パフォーマンスが落ちてくるだろうか?仮にCanadaがリーグ戦の一発目で勝ったとしても、決勝でUSが逆転というシナリオは十分に考え得る。前回はリーグ戦でUSが勝った後決勝でCanadaが雪辱。この辺の駆け引きがどう働くのか。考えるだけでゾクゾクしてくる…
いたる@13期
2010年7月4日日曜日
Team US AT Drew Westervelt Interview
独立記念日の3連休の週末。ビールで飲んだくれつつ(総合格闘技の)UFC 116でHeavy weightのタイトルマッチを観戦。Brock LesnarがShane Carwinへの劇的な勝利で復活を飾った。僕が本格的にPRIDEを見始めたのが2000年前後(桜庭Gracie狩りの時代、そして野生のカリスママッハ、火の玉ボーイ五味の時代)だったのであれから10年。総合格闘技は想像を遥かに超える速度で進化し、Heavy weightはもはや一昔前のLight級並のスピードと技術を持った、完全に想像を超えたPhenom達の戦いになりつつある。当時の感覚では信じられないレベルの試合が1興行のほとんどを占める。
「最強神話」に守られてきたFedor Emelianenko(エメリヤエンコ=ヒョードル)が今やただの脇役に成り下がり、Hungryな若者が全世界から無数に集まり始め、最近では遂に(ボクシングやキック、レスリングやJiu-jitsu等の他競技からのTransferではなく)純粋にUFCから入り、子供の頃から総合格闘技の英才教育を受けて来たFighter達が登場し始めている。技術も物凄いスピードで進化し、打投極全てでかなり高いレベルの技術を持った上で更に突き抜けた何かを持っていないとSurviveすることすら難しくなりつつある。NCAAの元レスリングチャンピオンやNFL出身者など、本当に身体能力に恵まれた選手も多くなり、黒人選手の比率もどんどん上がっている。こういう開かれた競争原理の下物凄いスピードでスポーツや組織や技術、そして人間が進化するのを見るのは何よりも知的好奇心を刺激するし、純粋に気持ちがいい。
と、余談はさて置き、Team USのAT、Denver OutlawsのATの一人、Drew WesterveltのインタビューをInside Lacrosse Podcastでやってたのでその紹介。いくつかTeam US絡みで面白い話があったので。(リンク)
Bio page。
1.Team USの状態について
昨年秋のトライアウトを経て選ばれたTeam US、ここまで、冬のDukeとの試合に負け、NCAAシーズン終了直後の6月の4年生代表の試合に負け、その後のPhiladelphia代表(NCAA+クラブチームのそこそこ上手い選手の混成チーム)に一応勝利、というパッとしない成績。外野のファンからは「こんなんで大丈夫?」との声が上がっているがどうなの?との質問に対し。
実際には別に勝ち負けを目標として試合をしている訳ではなく、ATやMFのセットも決めないまま、まずはお互いに慣れる、どの組み合わせや戦術が良さそうか探る、という目的でやっていたので、まあ、正直全く気にしてないとのこと。今後少しずつTraining campを通し、WLCに合わせてチームを作っていくとのこと。
僕個人の感想としては、ま、そりゃそうだよな、と同意する一方で、やっぱりいくら一流の選手を集めても、チームとしてきちんと準備して機能させないとやっぱり個々の強さだけじゃいまいち勝てないもんなのね、と改めて実感。
更に、それを考えると実質過去数年に渡ってRochester Nationals、そして去年からは引っ越してToronto NationalsになったTeam Canadaの主力メンバー(及びHCのHuntleyも)は十分にチームとして作りこまれた状態でWLCに臨む訳で、本来の個々の実力以上に分があることになる。もっと言うとNLLでもToronto Rockとしてプレーしてる選手も多いので、文字通り年中一緒にプレーしてたメンバーがWLCに来ることに。裏を返すと意識的にそういうモデルを取っているTeam Canada及びTorontoは相当に賢く、正しい戦略を採っているということ。本来競技人口やField Lacrosseで圧倒的に分があるはずのUSに前回勝利したことや、今年も再び勝つんじゃないかと多くの人が思っている理由の多くもそこにある。
2.World Lacrosse Championshipに向けて
Team USとしてどういう準備をしていくの?という話について。
メンバーそのものについては非常に満足していると。一流の選手が集まっているのは当然。加えてDodger、Passer、Finisherと、個々の役割分担をこなせるポートフォリオも組めていると。即ち駒はある。後はそれをチームとして有機的に機能できるレベルまで持って行くだけだと。
そして何よりも、基本的にほぼ全員がMLLでプレーしているため、FILルールに適応するのが最大のタスクだと言っていた。MLLではクリアClockとShot clock、2ポイントショット制度によりオフェンスの戦術、シュート選択の意思決定が全く別のスポーツになっていると言う。基本的には速攻はかなりの確率でシュートまで行き、Set offenseでも一発目の崩しで空いたらガンガン打っていくリズムが体に染み付いていると。FILに向けてもっとボールを大事に共有してより成功率の高いシュートを打てるように修正が必要だと。
また、ファウルの判定がMLLでは緩く設定されているので、Dはそこの修正が必要になるとのこと。
また、ライバルのTeam Canadaについては、ぶっちゃけNLLも多くのメンバーとチームメートだったり対戦相手だったりするのと、更にMLLのTorontoと何度も試合をしているので、正直全く気負いは無いと。ただ非常に能力が高く強いチームなので、当然しっかりやる必要があるとのこと。
3.Denver Outlawsについて
MLLのDenver outlawsはここ数年安定して強い。急速にLacrosse人気が出ているDenverのファンベースに支えられ、人気もある。強さの秘訣として、コアとなるメンバーが立ち上げ当時から残り、Chemistryを深めつつ受け継いでいる点を上げていた。ATのWesterveltとBrendan MundorfのUMBC-Denver Outlaws-Team USAのコンビやMFのLangtryなど。やはり大事、Chemistry(一緒にやっててComfortableであること)。
4.普段何してるの?
普段は普通に不動産関連の会社で働いてることに加え、夜に週何回かジュニア向けのラクロスクリニックをしたり、休みにMark Millonと組んでラクロスキャンプをやっているとのこと。面白かったのは、実はその少年向けのクリニックが自分の成長に非常に役に立っていると言っていた点。
教える際に彼が重視しているのが、「What(どういうプレーをするか)やHow(どうやるか)」だけではなく、「Why(なぜそのプレーがいいのか)」まで踏み込むという点。「なぜこのDodgeやShootをするのがいいのか?」「何でその動きをするべきなのか?」を特に重視して考えさせ、教えており、それが結局自分の成長に繋がっていると。要は、どんなに新しいプレーやその正しいフォームを教えてもそれだけじゃ結局ダメで、何でそれが必要なのか、何故それが有効なのか、どういう局面でそういうプレーをやるべき/やらないべきなのか、まで一歩降りて学ばないといけないということ。
恐ろしく本質的なことを言ってるなと感じ、非常に印象に残った。ラクロスに留まらず全てにApplicableな(当て嵌まる)言葉。やはりこのレベルで活躍する選手たちは本質的な部分で頭がいいと感じる。
5.UMBCの選手たち
もう一点、非常に示唆深いと感じた話が、彼の出身校、UMBCに関する質問。OutlawsとUSでコンビを組むAT、Brendan MundorfはUMBC時代からの1個上の先輩。昨年までの練習生としての下積みを経た後今年彗星のごとく現れ、Point rankingで首位争いを演じるChesapeakeのPoillonもUMBC。他にもNLLで活躍していた名選手も輩出している。
もちろんVirginiaやSyracuseに比べると絶対数では負けるが、NCAAの強さ見合いで言うと多くのMLL選手を出している。何で?との質問に対し。
Westervelt曰く、HCのZimmermanの影響が大きいとのこと。在学中はZimmermanからの基本に忠実な指導に対し、時として「うっぜえ」と感じていたと。「シュートはOver handで打て、バウンドさせろ」「Ground ballは両手で拾え」と怒られ、当時は「ホントかよ」と思っていたが、結局自分がMLLで活躍できているのは彼の教えを守っているからだと。なるほど。やっぱり基本をきちんとやることなのね、と改めて再確認されるEncouragingな話だった。
いたる@13期
「最強神話」に守られてきたFedor Emelianenko(エメリヤエンコ=ヒョードル)が今やただの脇役に成り下がり、Hungryな若者が全世界から無数に集まり始め、最近では遂に(ボクシングやキック、レスリングやJiu-jitsu等の他競技からのTransferではなく)純粋にUFCから入り、子供の頃から総合格闘技の英才教育を受けて来たFighter達が登場し始めている。技術も物凄いスピードで進化し、打投極全てでかなり高いレベルの技術を持った上で更に突き抜けた何かを持っていないとSurviveすることすら難しくなりつつある。NCAAの元レスリングチャンピオンやNFL出身者など、本当に身体能力に恵まれた選手も多くなり、黒人選手の比率もどんどん上がっている。こういう開かれた競争原理の下物凄いスピードでスポーツや組織や技術、そして人間が進化するのを見るのは何よりも知的好奇心を刺激するし、純粋に気持ちがいい。
と、余談はさて置き、Team USのAT、Denver OutlawsのATの一人、Drew WesterveltのインタビューをInside Lacrosse Podcastでやってたのでその紹介。いくつかTeam US絡みで面白い話があったので。(リンク)
Bio page。
1.Team USの状態について
昨年秋のトライアウトを経て選ばれたTeam US、ここまで、冬のDukeとの試合に負け、NCAAシーズン終了直後の6月の4年生代表の試合に負け、その後のPhiladelphia代表(NCAA+クラブチームのそこそこ上手い選手の混成チーム)に一応勝利、というパッとしない成績。外野のファンからは「こんなんで大丈夫?」との声が上がっているがどうなの?との質問に対し。
実際には別に勝ち負けを目標として試合をしている訳ではなく、ATやMFのセットも決めないまま、まずはお互いに慣れる、どの組み合わせや戦術が良さそうか探る、という目的でやっていたので、まあ、正直全く気にしてないとのこと。今後少しずつTraining campを通し、WLCに合わせてチームを作っていくとのこと。
僕個人の感想としては、ま、そりゃそうだよな、と同意する一方で、やっぱりいくら一流の選手を集めても、チームとしてきちんと準備して機能させないとやっぱり個々の強さだけじゃいまいち勝てないもんなのね、と改めて実感。
更に、それを考えると実質過去数年に渡ってRochester Nationals、そして去年からは引っ越してToronto NationalsになったTeam Canadaの主力メンバー(及びHCのHuntleyも)は十分にチームとして作りこまれた状態でWLCに臨む訳で、本来の個々の実力以上に分があることになる。もっと言うとNLLでもToronto Rockとしてプレーしてる選手も多いので、文字通り年中一緒にプレーしてたメンバーがWLCに来ることに。裏を返すと意識的にそういうモデルを取っているTeam Canada及びTorontoは相当に賢く、正しい戦略を採っているということ。本来競技人口やField Lacrosseで圧倒的に分があるはずのUSに前回勝利したことや、今年も再び勝つんじゃないかと多くの人が思っている理由の多くもそこにある。
2.World Lacrosse Championshipに向けて
Team USとしてどういう準備をしていくの?という話について。
メンバーそのものについては非常に満足していると。一流の選手が集まっているのは当然。加えてDodger、Passer、Finisherと、個々の役割分担をこなせるポートフォリオも組めていると。即ち駒はある。後はそれをチームとして有機的に機能できるレベルまで持って行くだけだと。
そして何よりも、基本的にほぼ全員がMLLでプレーしているため、FILルールに適応するのが最大のタスクだと言っていた。MLLではクリアClockとShot clock、2ポイントショット制度によりオフェンスの戦術、シュート選択の意思決定が全く別のスポーツになっていると言う。基本的には速攻はかなりの確率でシュートまで行き、Set offenseでも一発目の崩しで空いたらガンガン打っていくリズムが体に染み付いていると。FILに向けてもっとボールを大事に共有してより成功率の高いシュートを打てるように修正が必要だと。
また、ファウルの判定がMLLでは緩く設定されているので、Dはそこの修正が必要になるとのこと。
また、ライバルのTeam Canadaについては、ぶっちゃけNLLも多くのメンバーとチームメートだったり対戦相手だったりするのと、更にMLLのTorontoと何度も試合をしているので、正直全く気負いは無いと。ただ非常に能力が高く強いチームなので、当然しっかりやる必要があるとのこと。
3.Denver Outlawsについて
MLLのDenver outlawsはここ数年安定して強い。急速にLacrosse人気が出ているDenverのファンベースに支えられ、人気もある。強さの秘訣として、コアとなるメンバーが立ち上げ当時から残り、Chemistryを深めつつ受け継いでいる点を上げていた。ATのWesterveltとBrendan MundorfのUMBC-Denver Outlaws-Team USAのコンビやMFのLangtryなど。やはり大事、Chemistry(一緒にやっててComfortableであること)。
4.普段何してるの?
普段は普通に不動産関連の会社で働いてることに加え、夜に週何回かジュニア向けのラクロスクリニックをしたり、休みにMark Millonと組んでラクロスキャンプをやっているとのこと。面白かったのは、実はその少年向けのクリニックが自分の成長に非常に役に立っていると言っていた点。
教える際に彼が重視しているのが、「What(どういうプレーをするか)やHow(どうやるか)」だけではなく、「Why(なぜそのプレーがいいのか)」まで踏み込むという点。「なぜこのDodgeやShootをするのがいいのか?」「何でその動きをするべきなのか?」を特に重視して考えさせ、教えており、それが結局自分の成長に繋がっていると。要は、どんなに新しいプレーやその正しいフォームを教えてもそれだけじゃ結局ダメで、何でそれが必要なのか、何故それが有効なのか、どういう局面でそういうプレーをやるべき/やらないべきなのか、まで一歩降りて学ばないといけないということ。
恐ろしく本質的なことを言ってるなと感じ、非常に印象に残った。ラクロスに留まらず全てにApplicableな(当て嵌まる)言葉。やはりこのレベルで活躍する選手たちは本質的な部分で頭がいいと感じる。
5.UMBCの選手たち
もう一点、非常に示唆深いと感じた話が、彼の出身校、UMBCに関する質問。OutlawsとUSでコンビを組むAT、Brendan MundorfはUMBC時代からの1個上の先輩。昨年までの練習生としての下積みを経た後今年彗星のごとく現れ、Point rankingで首位争いを演じるChesapeakeのPoillonもUMBC。他にもNLLで活躍していた名選手も輩出している。
もちろんVirginiaやSyracuseに比べると絶対数では負けるが、NCAAの強さ見合いで言うと多くのMLL選手を出している。何で?との質問に対し。
Westervelt曰く、HCのZimmermanの影響が大きいとのこと。在学中はZimmermanからの基本に忠実な指導に対し、時として「うっぜえ」と感じていたと。「シュートはOver handで打て、バウンドさせろ」「Ground ballは両手で拾え」と怒られ、当時は「ホントかよ」と思っていたが、結局自分がMLLで活躍できているのは彼の教えを守っているからだと。なるほど。やっぱり基本をきちんとやることなのね、と改めて再確認されるEncouragingな話だった。
いたる@13期
MLL 2010 Game Review vol. 02 Long Island Lizards-Chicago Machine
MLLのDVD第二弾。シーズンも後半に差し掛かり、4チーム出場のPlay off進出を掛け各チームがラストスパートを掛けて来る。今回も鼻血もののスーパープレー盛りだくさん。ビール片手にただひたすら盛り上がるべし。
Lax Unitedのハイライト。
Chicago Machineは今年最も勢いがあるチーム。Team USのKevin & Mike Leveille兄弟にDuke優勝MVPで同じくTeam USのNed Crottyを加えたATトリオは現時点のMLLで最も熱いAT。
以下、DVDを見る上での学び所/盛り上がり所。
LI 2点目、TEAM USAの#13 MF Stephen Peyserのシュート上手すぎ。
LI3点目、G Drew AdamsのセーブからAT Danowskiへのパス、Dinoの視野とパス、Dukeから加入したLong Stick McKeeの怒涛の爆走オフェンス参加から得点。
Chicago 5点目同じくTeam USAでMLL10年目の#6 MF Matt Striebelの中央横断後の左のランニングシュートが鬼。
LI 5点目、AT #40 Danowskiの裏からの1 on 1からTrail checkをくらいながらのDiving shotが正にプロの技術。
Chicago 6点目、MFで会場のHofstra出身で2001年のMVP (Tewaaraton trophy)の#26 Doug ShanahanのFast breakでのRunning shootのヒップの使い方。
前半通してChicago MachineのGoalie、#8でVirginia ‘08のBud Petitが好セーブを連発する。Virginiaでは一切パッとせず試合にもほとんど出てなかったが、MLLに来て一気に本来の才能が開花。
Half timeでの#44、DのGreg Briceのインタビューが印象的だった。Texas出身で学校もOhio Stateというラクロス後進チームから04年にMLLに入り徐々に力を伸ばして身を立ててきた選手。ホンジュラスでのボランティアの話などをしていた。IntegrityとDisciplineを感じさせる、Good lookingな(カッコいい)選手(声も渋い上、ロン毛で無精髭だし…間違いなくモテ度高そうだ。)。Kidsが憧れて目指したくなるような選手だなと思った。
LI 6点目の10年選手#9 Tim Goettelmannの得意技、フィジカルの強さを存分に生かした気合のXからのInside rollでの得点。サイズを生かした体の使い方が参考になる。その直後のシュートも外すが同じく1 on 1からシュートまでの体の使い方。32歳。多くの選手が消える中未だに生き残る。きちんとGround ballなどの汚れ仕事を手堅くこなせることが効いているとQuint。
野蛮でアグレッシブ、武闘派選手の多いLong IslandのDF陣はらしさを見せてくれる。何故かItalia系の名前の選手が多く(41 Nicky Polanco、91 Brian Spallina、33 Christian Scuderi、25 Dominick DeNapoli、15 Frank D'Agostino)、Italian Defenseの異名を取る。カテナチオ的な。
Machine 7点目、MFのSimsのクリースで、ボールに気を取られたDの裏を取る動き。
Lizards 7点目のDinoの1 on 1に行く状況判断。本来Flyさせるべき時間だが敢えてその裏を突いて。Quint曰く「第六感」。
Machine 11点目、Mike Leveille、ゴール前の混んだ状態でのGround ballをHeadの先端でSnappyにパチッと巻き取る拾い方!そこからの秒殺でのシュート!カッコよすぎ。(すまん。ぶっちゃけ4Qの前半ミスって録画出来てないんだけど、4Q残り1分のところに入ってるこの試合のWarrior Highlight of the Gameにも選ばれてるので見てみて。)
Lizards 11点目同点弾、元Duke ATでTeam CanadaのZack GreerのCatchからシュートまでの驚異的な速さ。
Lizardsが逆転し逃げ切るかに思われた残り1秒、Ned CrottyからのFeedでChicagoが再び同点に追いつき、2週間前の対戦に引き続きOver timeに!熱すぎる。
Sudden victoryのOver time、Dino to Zack GreerのDuke 08黄金コンビが決めてLizardsの勝ち。Chicagoは2年間地元で応援していただけに思い入れがある。是非悲願の初優勝を遂げて欲しいところ。今後に期待。
いたる@13期
Lax Unitedのハイライト。
Chicago Machineは今年最も勢いがあるチーム。Team USのKevin & Mike Leveille兄弟にDuke優勝MVPで同じくTeam USのNed Crottyを加えたATトリオは現時点のMLLで最も熱いAT。
以下、DVDを見る上での学び所/盛り上がり所。
LI 2点目、TEAM USAの#13 MF Stephen Peyserのシュート上手すぎ。
LI3点目、G Drew AdamsのセーブからAT Danowskiへのパス、Dinoの視野とパス、Dukeから加入したLong Stick McKeeの怒涛の爆走オフェンス参加から得点。
Chicago 5点目同じくTeam USAでMLL10年目の#6 MF Matt Striebelの中央横断後の左のランニングシュートが鬼。
LI 5点目、AT #40 Danowskiの裏からの1 on 1からTrail checkをくらいながらのDiving shotが正にプロの技術。
Chicago 6点目、MFで会場のHofstra出身で2001年のMVP (Tewaaraton trophy)の#26 Doug ShanahanのFast breakでのRunning shootのヒップの使い方。
前半通してChicago MachineのGoalie、#8でVirginia ‘08のBud Petitが好セーブを連発する。Virginiaでは一切パッとせず試合にもほとんど出てなかったが、MLLに来て一気に本来の才能が開花。
Half timeでの#44、DのGreg Briceのインタビューが印象的だった。Texas出身で学校もOhio Stateというラクロス後進チームから04年にMLLに入り徐々に力を伸ばして身を立ててきた選手。ホンジュラスでのボランティアの話などをしていた。IntegrityとDisciplineを感じさせる、Good lookingな(カッコいい)選手(声も渋い上、ロン毛で無精髭だし…間違いなくモテ度高そうだ。)。Kidsが憧れて目指したくなるような選手だなと思った。
LI 6点目の10年選手#9 Tim Goettelmannの得意技、フィジカルの強さを存分に生かした気合のXからのInside rollでの得点。サイズを生かした体の使い方が参考になる。その直後のシュートも外すが同じく1 on 1からシュートまでの体の使い方。32歳。多くの選手が消える中未だに生き残る。きちんとGround ballなどの汚れ仕事を手堅くこなせることが効いているとQuint。
野蛮でアグレッシブ、武闘派選手の多いLong IslandのDF陣はらしさを見せてくれる。何故かItalia系の名前の選手が多く(41 Nicky Polanco、91 Brian Spallina、33 Christian Scuderi、25 Dominick DeNapoli、15 Frank D'Agostino)、Italian Defenseの異名を取る。カテナチオ的な。
Machine 7点目、MFのSimsのクリースで、ボールに気を取られたDの裏を取る動き。
Lizards 7点目のDinoの1 on 1に行く状況判断。本来Flyさせるべき時間だが敢えてその裏を突いて。Quint曰く「第六感」。
Machine 11点目、Mike Leveille、ゴール前の混んだ状態でのGround ballをHeadの先端でSnappyにパチッと巻き取る拾い方!そこからの秒殺でのシュート!カッコよすぎ。(すまん。ぶっちゃけ4Qの前半ミスって録画出来てないんだけど、4Q残り1分のところに入ってるこの試合のWarrior Highlight of the Gameにも選ばれてるので見てみて。)
Lizards 11点目同点弾、元Duke ATでTeam CanadaのZack GreerのCatchからシュートまでの驚異的な速さ。
Lizardsが逆転し逃げ切るかに思われた残り1秒、Ned CrottyからのFeedでChicagoが再び同点に追いつき、2週間前の対戦に引き続きOver timeに!熱すぎる。
Sudden victoryのOver time、Dino to Zack GreerのDuke 08黄金コンビが決めてLizardsの勝ち。Chicagoは2年間地元で応援していただけに思い入れがある。是非悲願の初優勝を遂げて欲しいところ。今後に期待。
いたる@13期
NCAA 2010 Game Review vol. 38 Face-Off Classic 2 Princeton-Johns Hopkins
先ほどに続いて3月に録画し忘れた開幕戦第二試合の再放送。こちらも試合終了間際まで勝敗の読めないExcitingな試合。今年のFace off classicは2試合ともOver time。興行的には大成功。
ただやはり今年7-8位~15位をうろうろしていた2チームの試合なので若干レベルが落ちる。Princetonは新コーチの元で手探り状態、JHUも若手主体でいまいちやりたい事が出来てない状態。ちょくちょくミスもある。そうは言ってもNCAA Div 1上位校、個々には学びたい点は多い。以下、印象に残っている点を紹介。
JHU EMOでの3点目、#32 AT Bolandの美しすぎるシュートを生んだ#15 MF Kimmelのパスの視野とリリースの速さ。
4点目の#2 MF Nate Matthewsの王道のHigh to high。
シーズンを通して時々崩壊していたJHU Dは1Q終了直前にも混乱からチェックアップミスで4点目を許す。反面教師。どんなに技術や能力のあるチームでも基本的なことちゃんとやらないとこうなるのねと。
Princeton 5点目の#15 3年Chris McBrideのトップでロール、ロールで左切りのLong stickをズラしてStrong handの左でのシュートを作り出す動き。肩のラインの回旋の大きさと速さ。
3QのJHUの6点目、バスケ的オフェンスフォーメーション、1-4-1でトップからCarrierがDodgeしながら横に並んだ4人が一気にポジションをスイッチさせてDを混乱させてシュートチャンスを作るという”Mumbo” formationがバチッと決まる。NCAAならではの決め事オフェンスの典型。(Mumbo popとかDouble Mumboの解説by Quint Kessenichの動画。)
Princeton 8点目、#18 1年MF Jeff FroccaroのReboundでの反応の速さに注目。打つ前からリバウンドを想定しての一歩目。彼はこの手のGoal前のリバウンド/Garbage goalが多いことで有名とのこと。身体能力で劣るがオフボールの器用さなどの隙間産業で生き残りたい/身を立てたいATの選手にとっては非常にいいお手本。
Princeton 10点目、再び#18 Froccaroの得点、スライド後のDの混乱後のミス、そこを突くOff ballの動きに注目。
JHU 9点目#45、Canadianの PalmerによるNo lookでのBehind shotが衝撃的
いたる@13期
ただやはり今年7-8位~15位をうろうろしていた2チームの試合なので若干レベルが落ちる。Princetonは新コーチの元で手探り状態、JHUも若手主体でいまいちやりたい事が出来てない状態。ちょくちょくミスもある。そうは言ってもNCAA Div 1上位校、個々には学びたい点は多い。以下、印象に残っている点を紹介。
JHU EMOでの3点目、#32 AT Bolandの美しすぎるシュートを生んだ#15 MF Kimmelのパスの視野とリリースの速さ。
4点目の#2 MF Nate Matthewsの王道のHigh to high。
シーズンを通して時々崩壊していたJHU Dは1Q終了直前にも混乱からチェックアップミスで4点目を許す。反面教師。どんなに技術や能力のあるチームでも基本的なことちゃんとやらないとこうなるのねと。
Princeton 5点目の#15 3年Chris McBrideのトップでロール、ロールで左切りのLong stickをズラしてStrong handの左でのシュートを作り出す動き。肩のラインの回旋の大きさと速さ。
3QのJHUの6点目、バスケ的オフェンスフォーメーション、1-4-1でトップからCarrierがDodgeしながら横に並んだ4人が一気にポジションをスイッチさせてDを混乱させてシュートチャンスを作るという”Mumbo” formationがバチッと決まる。NCAAならではの決め事オフェンスの典型。(Mumbo popとかDouble Mumboの解説by Quint Kessenichの動画。)
Princeton 8点目、#18 1年MF Jeff FroccaroのReboundでの反応の速さに注目。打つ前からリバウンドを想定しての一歩目。彼はこの手のGoal前のリバウンド/Garbage goalが多いことで有名とのこと。身体能力で劣るがオフボールの器用さなどの隙間産業で生き残りたい/身を立てたいATの選手にとっては非常にいいお手本。
Princeton 10点目、再び#18 Froccaroの得点、スライド後のDの混乱後のミス、そこを突くOff ballの動きに注目。
JHU 9点目#45、Canadianの PalmerによるNo lookでのBehind shotが衝撃的
いたる@13期
NCAA 2010 Game Review vol. 37 Face-Off Classic 1 Maryland-Duke
時間軸が前後しちゃうが、3月10日に行われた今シーズンの開幕直後の試合。Konica Minolta Face-off Classic。Maryland-Duke。シーズンのしょっぱなに録画し忘れた試合。ちょうど今日再放送してたので録画しときました。後ほど梅ちゃんに送っときます。今シーズンのDukeやMarylandの試合全部見ちゃってまだまだ見たいって選手には朗報。
シーズン初期なので多少連携が未完成な部分もあるが、一方で怪我や疲労も無く皆元気なため個々人のプレーとしてはより正確で丁寧な傾向。Over timeの接戦。試合としても非常にExciting。
いくつか個人的に見所/学び所と感じたシーンを紹介。
1点目、Duke MVP (Tewaaraton Trophy)の#22 AT Ned Crottyが1点目で早速Dを背負いながら、Long stickを肘に当てられながらのRunning shootが上手い。この人のVersatility(何でも出来る度)は半端無い。Shootも上手けりゃDodgeも速い。視野も広くてパスも正確。元々MFで出てたので走れるし最悪Dも出来る。学生で唯一US代表に入り、MLLでChicago Machineから全体1位指名されるだけある。
Long stickの皆には是非注目して欲しいなと感じたのが、Dukeの最強Long stick #35 McKee(シーズン終了後はLong Island Lizardsに入団、Team USの控えにも抜擢)。引き続きDにそして得意のGround ballにと大活躍。この人のGBは確かにパッと見強いと判る。”GB Vacuum(グランドボール掃除機)”の異名を取るだけある。何が違うんだろ?腰がしっかり落ちてて歩幅が大きく、下半身がどっしり安定した状態で、スティックを持つ両手の幅を広くしてがっしり安定させた上で、エンドの位置を低くしてスティックが極力地面に平行な状態で掬ってる感じ。点じゃなく線、もっと言うと幅広のヘッドの先端がビタッと地面に着いて掬っていくので、線じゃなく面(というか20cm幅の帯)で掬っていくイメージ?(まあ、そもそも身長が高い(188cm)上肩幅広くて手が長いという骨格上のAdvantageがあるから出来てるって面も大きいけど…)
MD AT #1のGrant Catalinoの1点目、ゴール右前でDを外に交わして尚Goalieの内側に捻じ込む技術。その後の3点目の得意の右手のMid-rangeのシュートでのキャッチからリリースまでの異様な速さと正確さ。シュート練習する時は誰かにパスまたは手でトスして貰って、「貰って秒殺で打つ」を何度も繰り返した成果か。ガキの頃から家の庭にゴールとボール100個が常備されており延々とシュートを打ち続けた経験が生きているとの彼の言葉にも頷ける。5点目も同じ。9点目も完全に同じ。針の穴を通す恐ろしい正確さ。6割か7割のパワーで最大限の正確さと打つまでの早さを取りに行くシュート。
貰ったその場でほっとんどステップを入れずに打つので、自分の前にスペースが無くても打てる(&往々にしてDがスクリーンになる)。その分しっかりヒップターン、体幹のコイルが使われている。下半身と体軸の安定が凄い。Weight trainingと反復練習の成せる技か。(クソ余談だが、このラクロスのヒップ/肩のラインを完全に回転させる癖が後々の人生でゴルフにてswing formを作る際に結構メンドクサイことになる…ピンと来るOBの方もいらっしゃるかと…)
ちなみに9点目はCatalinoにパスを出した#27のReedのパスの展開の異様な早さにも注目。ボールを貰う前に逆サイドでCatalinoが空いてることが完全に頭の中にイメージ出来てることと、体の反転/パスの早さ。
Duke 4点目のHowellの得点を生んだ#22 Crottyのシュートのモーションからのskip passの上手さと視野。
Duke 5点目の近い形での完全なシュートモーションからアリウープで再びHowellの得点。これはDは止めるの相当難しい?
MD 6点目のHidden ball trick(隠し球、ボール交換フェイク)が完全に決まり、Duke 1年生 GoalieのDan Wigrizerが完全に真逆を向いた状態でシュートを打ち、得点。ここまで気持ち良く決まるケースは久々に見た。今シーズンだけでもNCAAで複数回見た。しかも結構決まっている。もしかしてこれはもはやTrickyなプレーでも何でもなくて、一流のチームが超常套手段として使うプレーと認識して、胸を張ってオフェンスレパートリーに入れるようなプレーになりつつあるのかも。見ているとポイントは2点。①トップではなくXでやること(完全にDから離れた状態な上、ベンチも観客も逆コートの選手も見えない)、②ボール交換フェイクの直後に直接本人がシュートに行くのではなく、1本2本パス/フィードして別の場所の別の選手がシュートを打つということ。(ボールポジションが大きく動くことでDの混乱が広がる。)
見てると全員が全員騙されるわけじゃないし、Gが見失うケースも半分以下、ただ、確実に何人かのDはボールを見失い反応が遅れるので、チームO全体としては確実にどこかががら空きになる。東大も(まだやってなかったら)これガチでやってみたら?普通に効果的な気がするのと、単純に盛り上がるのと、決まったら物凄い楽しいと思うので。やりたい主力のOffence選手3人くらいで居残り練習1日10分 × 2週間くらいやったら試合で点取れるレベルになる気が。
4Q Duke 8点目、3枚目のAT HowellのXから表に抜いての右のJumpting shotで、表に抜いてSlideが無ければそのままかなり表まで出て行って角度を稼いで打つ動きと、反転しながら肩の回転を使って速いシュートを打つ体の使い方。特にAT 2枚が強くてSlideが遅くなり勝ちなAT 3枚目の選手には非常に多く訪れる局面じゃないかと。是非完コピ目指してみて!
Duke 9点目のFast breakの教科書中の教科書とも言える"Tick-tack-toe"。MFの全力疾走が生んだ4 on 3。
いたる@13期
シーズン初期なので多少連携が未完成な部分もあるが、一方で怪我や疲労も無く皆元気なため個々人のプレーとしてはより正確で丁寧な傾向。Over timeの接戦。試合としても非常にExciting。
いくつか個人的に見所/学び所と感じたシーンを紹介。
1点目、Duke MVP (Tewaaraton Trophy)の#22 AT Ned Crottyが1点目で早速Dを背負いながら、Long stickを肘に当てられながらのRunning shootが上手い。この人のVersatility(何でも出来る度)は半端無い。Shootも上手けりゃDodgeも速い。視野も広くてパスも正確。元々MFで出てたので走れるし最悪Dも出来る。学生で唯一US代表に入り、MLLでChicago Machineから全体1位指名されるだけある。
Long stickの皆には是非注目して欲しいなと感じたのが、Dukeの最強Long stick #35 McKee(シーズン終了後はLong Island Lizardsに入団、Team USの控えにも抜擢)。引き続きDにそして得意のGround ballにと大活躍。この人のGBは確かにパッと見強いと判る。”GB Vacuum(グランドボール掃除機)”の異名を取るだけある。何が違うんだろ?腰がしっかり落ちてて歩幅が大きく、下半身がどっしり安定した状態で、スティックを持つ両手の幅を広くしてがっしり安定させた上で、エンドの位置を低くしてスティックが極力地面に平行な状態で掬ってる感じ。点じゃなく線、もっと言うと幅広のヘッドの先端がビタッと地面に着いて掬っていくので、線じゃなく面(というか20cm幅の帯)で掬っていくイメージ?(まあ、そもそも身長が高い(188cm)上肩幅広くて手が長いという骨格上のAdvantageがあるから出来てるって面も大きいけど…)
MD AT #1のGrant Catalinoの1点目、ゴール右前でDを外に交わして尚Goalieの内側に捻じ込む技術。その後の3点目の得意の右手のMid-rangeのシュートでのキャッチからリリースまでの異様な速さと正確さ。シュート練習する時は誰かにパスまたは手でトスして貰って、「貰って秒殺で打つ」を何度も繰り返した成果か。ガキの頃から家の庭にゴールとボール100個が常備されており延々とシュートを打ち続けた経験が生きているとの彼の言葉にも頷ける。5点目も同じ。9点目も完全に同じ。針の穴を通す恐ろしい正確さ。6割か7割のパワーで最大限の正確さと打つまでの早さを取りに行くシュート。
貰ったその場でほっとんどステップを入れずに打つので、自分の前にスペースが無くても打てる(&往々にしてDがスクリーンになる)。その分しっかりヒップターン、体幹のコイルが使われている。下半身と体軸の安定が凄い。Weight trainingと反復練習の成せる技か。(クソ余談だが、このラクロスのヒップ/肩のラインを完全に回転させる癖が後々の人生でゴルフにてswing formを作る際に結構メンドクサイことになる…ピンと来るOBの方もいらっしゃるかと…)
ちなみに9点目はCatalinoにパスを出した#27のReedのパスの展開の異様な早さにも注目。ボールを貰う前に逆サイドでCatalinoが空いてることが完全に頭の中にイメージ出来てることと、体の反転/パスの早さ。
Duke 4点目のHowellの得点を生んだ#22 Crottyのシュートのモーションからのskip passの上手さと視野。
Duke 5点目の近い形での完全なシュートモーションからアリウープで再びHowellの得点。これはDは止めるの相当難しい?
MD 6点目のHidden ball trick(隠し球、ボール交換フェイク)が完全に決まり、Duke 1年生 GoalieのDan Wigrizerが完全に真逆を向いた状態でシュートを打ち、得点。ここまで気持ち良く決まるケースは久々に見た。今シーズンだけでもNCAAで複数回見た。しかも結構決まっている。もしかしてこれはもはやTrickyなプレーでも何でもなくて、一流のチームが超常套手段として使うプレーと認識して、胸を張ってオフェンスレパートリーに入れるようなプレーになりつつあるのかも。見ているとポイントは2点。①トップではなくXでやること(完全にDから離れた状態な上、ベンチも観客も逆コートの選手も見えない)、②ボール交換フェイクの直後に直接本人がシュートに行くのではなく、1本2本パス/フィードして別の場所の別の選手がシュートを打つということ。(ボールポジションが大きく動くことでDの混乱が広がる。)
見てると全員が全員騙されるわけじゃないし、Gが見失うケースも半分以下、ただ、確実に何人かのDはボールを見失い反応が遅れるので、チームO全体としては確実にどこかががら空きになる。東大も(まだやってなかったら)これガチでやってみたら?普通に効果的な気がするのと、単純に盛り上がるのと、決まったら物凄い楽しいと思うので。やりたい主力のOffence選手3人くらいで居残り練習1日10分 × 2週間くらいやったら試合で点取れるレベルになる気が。
4Q Duke 8点目、3枚目のAT HowellのXから表に抜いての右のJumpting shotで、表に抜いてSlideが無ければそのままかなり表まで出て行って角度を稼いで打つ動きと、反転しながら肩の回転を使って速いシュートを打つ体の使い方。特にAT 2枚が強くてSlideが遅くなり勝ちなAT 3枚目の選手には非常に多く訪れる局面じゃないかと。是非完コピ目指してみて!
Duke 9点目のFast breakの教科書中の教科書とも言える"Tick-tack-toe"。MFの全力疾走が生んだ4 on 3。
いたる@13期
2010年7月1日木曜日
Team England(のギア)
一応WLC関連ですが、完全に傍流の話題…
Team England、ではなく、Team Englandのギアの話。ここは完全に個人の趣味の領域でございます…
Inside Lacrosseギアゾーン
Inside Lacrosseを毎月購読する中で僕が大好きなコーナーがいくつかあるのだが、その一つがGear Zone。各社の新製品、限定品のラクロスギアを紹介するコーナー。普通の商品だけじゃなく、イベント紐付けの限定品、特殊なカラーリングのもの、Signatureモデルなどを紹介することが多く、ギア好きと言うか、物好きと言うか、要はオタクの僕にはたまらない。(Onlineでのリンクはこちら)
ちなみに現役でプレーしてたころからこの道具への執着というかこだわりは如何とも抑えがたい物があった…何と言うか、Street Fashionの延長で、(15年前の感覚だが)G-Shockやらビンテージデニムのレア物集めたり、Nike Air Maxを色違いで5足揃える、そしてNew Era 59fiftyのPhillysキャップの最新デザインを3色揃える、的な感覚の延長?(その後社会人になってその趣味はスノボのウェアやらゴルフに反映され、遂には嫁に激昂されることに。)実はラクロスの他の球技に無い面白さ、楽しみの一つにこの「CoolなEquipment」があるかなと思っている。新しい色と素材のグラブを付けた時、新しいFrameを卸したとき、新色のスパイクを履いた一発目のあの興奮。あれは何物にも変えがたいっすな…
Team Englandのグラブ
さて、そのGear Zoneで、「おっ!かっけえ!」と思ったのがこちらのBrine King 3のEngland virsion。そもそもKingってデザインがカチッとしててカッコいいことに加え、ロゴもかわいくて好き。このWine red地に白のモノグラム刺繍が痺れる渋さ。あとこの3匹のライオン刺繍がしれっと施されるこだわり。白バージョンも超欲しい…美しすぎる…いいなーEngland…こうやってSponsor付けてGear作ってもらうっての、いいっすね…Englandの場合は何故かAmerica人的に憧れがあるので、Brineもサポートしたパターンか?何か、日本は御社にとってもでかいマーケットで、うちのチームが広告塔になるんで、投資して頂いた分はReturnするので、的な分析/プレゼン作ってどっかに話持って行ってGear supportして貰えないすかね?なんて思ったり。
マンチェスター行かれるバブリーなOBの方、どなたか買ってみては!?
ちなみに過去のGear Zoneで個人的に刺さったのは以下。
●HuaracheのクリーツのCali-Gold(ハラチの伸縮素材をチョイ見せしてるのが渋い…日本の泥グラウンドだとすぐ汚れそうだけど…)。あとその下のVaporのGoldもクソSweet。ソール(裏)もカッコいい。
●WarriorがPrinceton向けに今年のPlay off用にLaunchしたTiger Glove。この手の刺繍の綺麗さはホント芸術品。Officeに飾りたくなってまう…(の割にはPrinceton2回戦負けしたけど…)
●あと、個人的にあんましカッコいいと思わないけど、最近えれえ盛り上がってるのがプリント柄ヘッド…こんなのとか。ここまで来ると完全にSwag collectorって感じですが。商品出すだけの需要あるってのが恐ろしいっすわ。この国は。
いたる@13期
Team England、ではなく、Team Englandのギアの話。ここは完全に個人の趣味の領域でございます…
Inside Lacrosseギアゾーン
Inside Lacrosseを毎月購読する中で僕が大好きなコーナーがいくつかあるのだが、その一つがGear Zone。各社の新製品、限定品のラクロスギアを紹介するコーナー。普通の商品だけじゃなく、イベント紐付けの限定品、特殊なカラーリングのもの、Signatureモデルなどを紹介することが多く、ギア好きと言うか、物好きと言うか、要はオタクの僕にはたまらない。(Onlineでのリンクはこちら)
ちなみに現役でプレーしてたころからこの道具への執着というかこだわりは如何とも抑えがたい物があった…何と言うか、Street Fashionの延長で、(15年前の感覚だが)G-Shockやらビンテージデニムのレア物集めたり、Nike Air Maxを色違いで5足揃える、そしてNew Era 59fiftyのPhillysキャップの最新デザインを3色揃える、的な感覚の延長?(その後社会人になってその趣味はスノボのウェアやらゴルフに反映され、遂には嫁に激昂されることに。)実はラクロスの他の球技に無い面白さ、楽しみの一つにこの「CoolなEquipment」があるかなと思っている。新しい色と素材のグラブを付けた時、新しいFrameを卸したとき、新色のスパイクを履いた一発目のあの興奮。あれは何物にも変えがたいっすな…
Team Englandのグラブ
さて、そのGear Zoneで、「おっ!かっけえ!」と思ったのがこちらのBrine King 3のEngland virsion。そもそもKingってデザインがカチッとしててカッコいいことに加え、ロゴもかわいくて好き。このWine red地に白のモノグラム刺繍が痺れる渋さ。あとこの3匹のライオン刺繍がしれっと施されるこだわり。白バージョンも超欲しい…美しすぎる…いいなーEngland…こうやってSponsor付けてGear作ってもらうっての、いいっすね…Englandの場合は何故かAmerica人的に憧れがあるので、Brineもサポートしたパターンか?何か、日本は御社にとってもでかいマーケットで、うちのチームが広告塔になるんで、投資して頂いた分はReturnするので、的な分析/プレゼン作ってどっかに話持って行ってGear supportして貰えないすかね?なんて思ったり。
マンチェスター行かれるバブリーなOBの方、どなたか買ってみては!?
ちなみに過去のGear Zoneで個人的に刺さったのは以下。
●HuaracheのクリーツのCali-Gold(ハラチの伸縮素材をチョイ見せしてるのが渋い…日本の泥グラウンドだとすぐ汚れそうだけど…)。あとその下のVaporのGoldもクソSweet。ソール(裏)もカッコいい。
●WarriorがPrinceton向けに今年のPlay off用にLaunchしたTiger Glove。この手の刺繍の綺麗さはホント芸術品。Officeに飾りたくなってまう…(の割にはPrinceton2回戦負けしたけど…)
●あと、個人的にあんましカッコいいと思わないけど、最近えれえ盛り上がってるのがプリント柄ヘッド…こんなのとか。ここまで来ると完全にSwag collectorって感じですが。商品出すだけの需要あるってのが恐ろしいっすわ。この国は。
いたる@13期
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