2011年2月9日水曜日

NCAA 2011 Season Preview #10 Princeton

恒例の一瞬脱線。先週末の日曜は家で飲んだくれながら毎年恒例のイベント、NFL Super Bowl観戦。Green Bay Packersが悲願の優勝。QBのAaron Rodgersは3年間スーパースターBrett Favreの控えを経て、その才能を存分に開花させ、NFL最高のQBの一人としての地位を不動のものにした。08年にFavreの後がまとしてスポットライトが当てられたとき、多くのファンが「あんなパッとしねえ奴で大丈夫か?」と心配したが、彼は極めてdown to earthで「批判があるのは解ってる。でも僕は自分のやるべきことをやるだけだから」と、極めて淡々と自分、今、自分がコントロール出来る事に集中し、揺らがぬセルフイメージを維持し、徐々にパフォーマンスを開花させて行った。

さて、試合とは別に毎年話題になるのが、CM。アメリカでは年に一度のお祭り。1億人が生で放送を見る。各企業はここぞとばかりに金を突っ込み、一発勝負の一回限定のCMを力を込めて作り込んで来る。僕が行っていたKellogg Business Schoolはマーケティングを強みとしている学校である事もあり、当時取っていたAdvertisement Managementの授業で、Super BowlのCMを一つ一つ、どのオーディエンスに向けた、どういう意図の、どういうメッセージの広告かを分解/分析するという事をやっていたりした。その時の記憶もあり、今回も試合よりもむしろCMに注目してしまった...いくつか特に印象に残ってるのが、以下。

全体を通して、やはり車と映画と消費材のCMが多く、特に車ではHyundaiとKiaという二大韓国メーカーの隆盛が強く印象に残った。

EminemとDetroit (Michigan大学の近所)をフィーチャーした、ChryslerのCM。ボロボロに落ちぶれたアメリカ自動車産業だが、アメリカ人の心の底に眠る誇り、琴線に触れるものがあったんだろう。


個人的にはこれが一番好きだったかも。思わず笑ってもうた。ちゃらい二人が想像でCamaroのCMを作ってるっていう。超Americanなノリのサラッとしたショートコメディ。


あと、Cokeのこれ。たった一回のCMのためにここまで作り込むんかい...っていう。映像のクオリティと世界観の作り込み具合。


ラストこれ。二度目も爆笑してしまった...


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名門Princeton(記事のリンク)。名将Bill Tierneyの下、92年から01年までに6回の優勝をとげ、一時代を築いた。その後、リクルーティング競争の激化の中、academicのハードルが高く、コミットのタイミングが遅い等のハンデにより徐々に後退。優勝から遠ざかっている。その後昨年TierneyがDenverに移籍し、アシスタントコーチだったChris Batesが昇格。昨年は新しい体制に若干の戸惑いを感じながらも何とか11勝5敗でシーズンを乗り切り、Ivy Leagueを制し、NCAAトーナメントに進出も、一回戦でNotre Dameにやられる。

どうやら今年もDとGの強さは健在だが、懸案のOは引き続き苦しいようで、ファンからも「ま、ぶっちゃけいまいちじゃね?」と言われているっぽい。Princetonの栄光の時代は残念ながらもう去っちゃったんだろう。

名門で知名度も高く、今年もESPNUのカバレッジでは結構放送されるっぽい。DF/Gが教材として見て学ぶ/楽しむには持ってこいのチーム。

ちなみに1月のMLLドラフトで42人の枠に指名された4年生は、27位でDenver Outlawsに指名されたATのJack McBrideのみ。やはり4年生が薄い。

Quintの分析(リンク

  • Quint自身は10位より上にランク。
  • 強みは、明らかにDefense。全米トップレベル。層も厚い。3年#9 Chad Wiedmaier(ウィードマイヤー)、3年#28 Jonathan Meyers、3年#3 John Cunningham、4年#41 Long Ellisと、All American級の選手が揃う。(なので、DFの選手はDVDを見て参考になることが多いはず。)
  • Goalieの3年 #6 Fioritoは1年生から守護神。
  • ちなみに、Wiedmaierが怪我でいなかった試合はFioritoのsave %は43%、彼が復帰したら一気に63%に上がったという。一人のDFの能力によってgoalieのセーブ率に大きな差が生まれる例とのこと。
  • 弱みは、ShortyのD。Long stickの強さもあり、相手からスカウティングされ、相対的に弱いshortyからガンガンisolation 1 on 1/invertを掛けられまくった。(激しいcompetitionの中にあるNCAAでは相手をスカウティングしきって、データに基づき弱い所を徹底的に攻める合理的なアプローチを取って来る。弱みがあるとこうやってえげつなくやられる訳だ。大事です、穴の無いチーム力と層の厚さ...)
  • Chris Batesのピックを多用する、2 on 2重視のユニークなオフェンスシステムが、昨年前半はワークしたが、後半強い相手と対峙した時に機能しなくなった。恐らく今年は2年目で、そのオフェンスシステムはより効率的に機能することを期待したい。
  • ATはオッケーだが、「Great」になれるか?唯一MLLにドラフトされた#14 4年Jack McBrideは高いシュート力はあるが、自らもっと抜いてチャンスを演出出来るかがチャレンジ。
  • スケジュールがえぐい。初っ端@Hofstra-@JHU-UNCと三連発。そこを乗り切れるかが鍵。

Coach Chris Batesのインタビュー(リンク

しかし、Chris Batesに限らず、NCAAのコーチというか、アメリカのスポーツのコーチ/指導者のインタビューや記事を見るたびに本当に感じるが、自分の選手達を本当によく見ているし、褒めるし、信頼している事をきちんと名指しで口に出して伝えている。Chicago Bulls-LA Lakers HCのPhill Jacksonの「ゴミ溜めの中から一輪のバラを見つけ出す能力」じゃないが、どんなにダメなチーム/選手の中でも必ずポジティブな要素を見つけ出し、そこを見ている。

「○○は本当に素晴らしい選手で、努力をしている」と、メディアに対して喋る。これを聴いた選手達は間違い無く、セルフイメージを大きくし、質のいいセルフコンセプトを作り、その期待に応えようと頑張るはず。所謂、北風と太陽で言うと完全に太陽アプローチ(もちろん、毎日のフィールドでの練習では叱って怒鳴ることもあるんだろうけど...)。ただ、闇雲に手放しで褒めるのではなく、個々人をよく見て、ピンポイントで心からAcknowledgeし、Appreciateし、Cheer upする。コーチ力/社会力/人間力の高さを感じさせるコメント。職業としてのプロコーチの存在、深く長いアメリカのスポーツの歴史、スポーツ心理学とリーダーシップマネジメントの成熟によるものなんだろう。

いたる@13期

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