2011年2月22日火曜日

NCAA 2011 Game Review vol.02 Duke-Notre Dame

待ちに待ったレギュラーシーズン公式戦の放映一発目。第三のInside Lacrosse主催の集客イベントとして今年から追加されたSunshine Classic in Jacksonville, Florida。注目のカードは昨年決勝の再戦、Notre Dame vs Duke。日曜にサクッと試合の録画を見たので、忘れないうちにQuick and dirtyで書き留めようと思う。全体を通して、2月のシーズン初期ならではのミスの多さや未完成さは見られたが、試合としては非常に面白く、十分に楽しめた。

各校のSeason previewは以下: DukeNotre Dame

結論から言うと、12-7でNotre Dameが雪辱。前半はお互い固さが目立ったが、2Q以降経験の差が思いっきり出た感じ。(ILのIn-game blog



全体を見てバクッと印象に残った事を箇条書きすると:

Notre Dameは、想像していたよりもいいチームになっていた。これは思っていたよりも強いかも。6位というPre season順位が全くおかしくないどころか、ガチで今年も行ける感じがして来た。
  • まず、最大の誤算は…守護神Scott Rodgersの後釜として、Too big shoes to fillと言われていた2年生Goalieの#1 John Kempが、無茶苦茶いいセーブを連発していた。去年はRodgersの陰に隠れて良く解らなかったが、もしかしたらかなりいいゴーリーなのかも...何と言っても、1 on 1やシュートに対するpoise/composure(落ち着き)が凄い。至近距離のからの怒濤のシュートを冷静に連続セーブする姿は正に去年の決勝のRodgersそのものだった。また、クリアやパスの技術もしっかりしている。
  • DFは相変わらず鬼。#35 RidgewayらClose DF陣が仁王軍団の様相。1 on 1でATから抜くのが相当厳しい。LSMの#50 Irving, Shorty DFも固い。組織/システムとしての完成度も相変わらず高い。Duke AT陣はほとんど攻められていなかった。
  • #28 Brenneman, #33 Earl以外のMFとAT陣が成長していた。去年のプレーオフを通して自信を付け、実際に上手くなっている。去年は「ザ・脇役」という感じで弱点呼ばわりされていたが、今年はDiv 1のスターターとして堂々とやれている。特にAT、Brenneman, Earl以外のMFから普通に1 on 1で攻められるようになってるのは強い。意味不明なミスもほとんど無くなっている。
  • そして、BrennemanとEarl、特にBrennemanが、去年から更に成長しており、正にMLL級の選手になりつつある。去年あった若干の「粗(あら)」の部分が確実に修正/洗練されて来ている。Quintは14年のTeam USAとして彼の名前を挙げていたが、今日のパフォーマンスを見て、シリアスにその可能性を感じた。
  • そういうのを全部ひっくるめて、チームとして一本太いロジックの通った、ラクロス全体の整合性が高い、且つmatureな(成熟した)いいチームという印象。Gに問題が無いとなると一気に話が変わって来る。
一方のDukeは評判通り、経験不足の才能ある若手軍団という感じ。
  • 思った以上に、でかくて、身体能力が高い。スティックスキルやシュートだけ切り出して見れば、やはりトップ校。日本の感覚で言うと、パッと見、体育大学/体育推薦入学軍団という感じ。
  • が、やはり単純に経験の無さが如実に感じられる。(主力が16人抜けたんだからそらそうだ。)
  • 特に文字通り全入れ替えのDFが明らかに只今模索中。基本的なコミュニケーションの部分から修正を重ねて行かないときつい。
  • 個人としても経験不足が露呈。パスミス/キャッチミスも多く、状況判断の間違いも多く、turn overが多い...クリアミスも。
  • Gの2年生 Wigrizerも、去年に引き続き、やはりちょっとセーブに不安を感じさせる。
  • 3年の#12 Justin Turri以外のMFが抜けない。Howell以外のATが攻められてない。(でもこれはちょっと相手がNDの強力DFなのでフェアに見られてないかも。)
Quintも指摘していたが、例年シーズン初期は結果が非常にバラつく傾向にあり、余りこの時期の勝敗は当てにならない面もあるので注意が必要とのこと。まあ、確かにそうだなと思う。去年のDukeも前半ボロボロだったし。

が、どうだろ。今年のDukeはやっぱりちょっと時間が掛かる気がする。相当伸びしろがある事は間違い無い。もちろんHC Danowskiもそれは百も承知でじっくり育ててくるはず。が、今年は経験を積む年、という感じになってしまうのかも知れない。今シーズンの後半、どこかで「おっ!」と思わせる試合をするだろうが、やはり本当のブレークスルーは今年の核となっている3年生が経験を積んで4年生になる来年以降か?

以下、個別のプレーや選手で印象に残った点

試合とは関係無いが、NDのCascade Pro 7のメットが去年までの(ダサいと不評だった)Riddellメットより明らかにカッコいい。そして、何と言ってもDukeのWarrior TIIメット。青地に大きめに白のカッティングを入れている。カッコいい。ユニフォームに合わせると思った以上にシャープで、いい。

Quint曰く、2月の最初の1ヶ月はどのチームもしょぼいパスミス、キャッチミスがあり、ターンオーバーが多いもの。従って、去年のプレーオフの感覚からすると両チームちょっとsloppy(凡ミスが多い)に見える。また、特にシーズン後半、プレーオフに明確にPeakingを持って来るためにシーズン前半はある程度じっくりと土台固めに使う考え方が強いDanowskiは、敢えて多くのメンバーを出場させている。

BrennemanのEMO中にパスを二つスキップしたことに対するQuintのコメントが印象的だった。「MFでプロ/代表レベルで活躍出来るようになるには、普通にパスを回せるだけではダメで、敢えてこうやってスキップしたり、セオリーを越えた所にリスクを取ってパスを出す事でオフェンスをクリエートする視野と技術が必要になって来る。Brennemanは正にそれを昨シーズンから今シーズンに掛けて出来るようになりつつある。」

ND #33 MF David Earlの2-way middie(O/D両方やる)としての能力、そしてクリアの能力、ブレークを生める機動力(ある意味Syracuse 09のMatt Abbottの機能か)。大車輪の活躍。NDにとって彼の存在が非常に大きい。Quintも指摘しているが、昨年の決勝のスローペースの試合の印象があまりにも強いが、実はその前3試合を見れば解る通り、実はNDはスローのセットOFと、ブレークでの得点という両極端な二つのペースを使い分けるチーム。準決勝までは得点の多くをブレークから稼いでいる。後者を発生させる鍵となる選手。やはり彼の様にO/D/Transition/GB全てに於いて頼りになるMFというのが本道なんだなと改めて思わせられる。特にMLLではそれは大きなedge(強み/差別化)になってくる。

後半以降、ND #28 Zack BrennemanがMLL 5位指名の名に恥じない活躍を見せる。
  • まずは、3Q 7点目。得意技、Long pole相手にNorth southダッジからのoff handの右手でのキャノン砲のランニングショットをドゴーン!とぶち込む。ぶほっと吹いた。
  • 逆に8点目は利き手の左。
  • 更に9点目を生んだのは、同じく左に直線的に抜き、警戒して早めに来たスライドを冷静に見て、ゴール横のATに縦にフィード。やばい。成長してる。間違い無く。
  • 10点目も左からMLLの2 point shotに近い距離から三たび長距離running shotを突き刺す。もう笑うしか無い。鬼だ。この人。Long poleでも関係無い。右からでも左からでも極めて危険なシュートを繰り出して来る。かと言って早いスライドを飛ばせば、よく見て空いた選手にフィードしてくる...
  • ん?このパターンどっかで聴いた事あるぞ...そう。Paul Rabilですね。Shamel Brattonも凄いが、サイズ、左右両方で点を取れる徹底度合い、器用さ、弱点を確実に潰して強みにしてくる学習力/成長力を考えると、もしかしたら数年後に本当に凄い選手になってるのはBrattonよりもむしろBrennemanの方かも、という気ぃすらして来た。Off handのシュート、ダッジ、去年からの修正幅を考えると、間違い無く物凄い量の個人練習を積んでる人だと思う。RabilやStriebelの例からも解る通り、長期的に見ると実はその要素が一番効く世界なので。

DukeのエースAT #21 Zack Howellも、やはり去年ほど伸び伸びとプレー出来ておらず、点を取れていない。一部のコーチは、「あくまで(去年のエースAT)Crotty/Quinzaniがいたから点を取れてただけだ。システムが生んだプロダクトだ。」と低く評価し、一方で何人かのコーチは「去年はCrotty/Quinzaniの脇役で目立たなかったけど、いやいや、実は何でも出来る危険なATだ」と言ってると言う。今日の試合を見る限り、残念ながらCrotty/Quinzaniの穴を生める程の活躍は感じさせなかった。まあ、もちろん相手がRidgewayでかなりタイトに付かれてたのでちょっと客観的な判断が出来ないが。

Duke #12 MF 3年Justin Turri 6点目のTime and room shot(アウトサイドショット)。相変わらずのスムーズで素早いリリースからのレーザービーム。Quintがヒップと体幹の使い方の巧さを指摘していた。シュートフォームを学ぶ上ではいい教材。3年生ではNCAA最高のMFとのこと。という事は来年1月のMLLドラフトの注目選手。

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