2011年2月4日金曜日

Stick innovation

これまた完全にちょいネタだが…先週年一回のラクロス展示会、US Lacrosse Convention (通称Lax Con)がBaltimoreで開かれ、そこでいろんな講演会や各メーカーからの新製品の発表が行われた。(要は東京モーターショーやゲームショーのラクロス版。)
 
Tribe 7
 
その紹介記事がいくつもILに載っていたのだが、その中で一番個人的に面白いと思ったのが、Tribe 7なるメーカーのOptimus 7というヘッド。

既存の常識/先入観を完全にぶち壊して、投げ捨てて、プロのエンジニアが、ゼロからの発想、「理想解から逆算したらどうなる?」で最適のヘッドの形を考えるアプローチを取り、その一つの答えがこれとのこと。

ヘッドの写真と動画が見られるILの記事のリンク

既存の常識にチャレンジ

「そもそも地面って平らなのに、何でヘッドの先端を丸くする必要あるんだっけ?」で作られたヘッドの先端のライン。ほぼ垂直にスティックを立てた状態でもヘッド全体を使って拾える。線ではなく面/帯でボールを拾うため、スクープの失敗を防げるという発想。直感的にグラウンドボールからトランジッションを誘発したいロングスティックに向いている気がする。

また、「そもそも先端が鋭角に尖ってるのって、意味あるんだっけ?だってボールは丸くて、ボールの下を掬う訳でしょ?ピンポン球やパチンコ玉大のサイズのボールならまだしも、今のラクロスボールのサイズを考えると、先っぽを薄く尖らせる意味なんてある?尖ってても地面の突き刺さるだけだよね。丸みを帯びさせた方がいいんじゃない?地面を滑らせた方がいいんじゃない?」ということで先端のフレーム部分も円筒状に。

更にメッシュも、ヨット競技に使われる特殊繊維を使い、耐久性に優れ、完全にwater proofで一切縮まないメッシュ。

ストリンギングの発想も合理的で新しい。縦にガイドレール的にストリングを通す考え方はtraditionalにも近い。

いずれも、理屈の上では確かにごもっとも。

このページの真ん中辺りで、スクープのし易さを数字で紹介している(リンク)。
 
もちろん、ブレークスルーは簡単ではない 
 
もちろん、Tribe 7は決してメジャーなメーカーではなく、現時点では「色物」としての見られ方が大半。実際には多くのプレーヤーに使われて、レビューにさらされて初めてsurvive出来るかどうかが決まるだろうから、今の時点でこれが大ヒットに繋がるか、メインストリームになるかは分からない。また、実際には人気選手がCMをやってるかどうかというマーケティング部分が大きく効くので、有名選手を引き入れない限り爆発的には流行らない気もする。(それこそ数年したら廃業してるかも知れない。)
 
今後のスティック開発への影響?
 
が、一方で、これが世に出たことで、ユーザーやメーカーのデザイナーに、既存の枠組みを壊す発想が少なからず植えつけられたのは間違いない。もしかしたら今後のBrineやWarriorのヘッドも少しずつこの形に近づいて行くのかも知れない。
 
コメント欄では早速、「キモい」、「こんなのインチキのまがいもんだ」、「女子のスティックみたいだ」、「胡散臭い」など手厳しい意見もある一方で、「ま、少なくとも試してはみたい」や、「でも、確かに理屈の上ではmake senseなことをしている」という好意的なものも。
 
いずれにせよ、こういうイノベーションがどんどん出てきて更にギアとスポーツを進化させていけばもっともっと面白くなるはず。いいっすね。既存の枠組みを破壊する新しい発想。


プロモーションの発想も面白い。Statistically有意なサンプル数を確保した上で、既存のスティックと比べてスピードが6-7%上がり、正確さも向上したと(本人は主張する)。もし、それが本当なら、間違い無く金でパフォーマンスを買いたい選手達は興味を持つはず。



Tribe 7のウェブサイトにいろんなデモンストレーションが載っている。突っ込み所満載過ぎる変なおじちゃんだが、確かにスティックとしての性能は「おっ」と思わせる物がある。要はポケットの位置が高く、かなりホールド力があるため、相当振り回してもボールが落ちない(リンク)。こういう変ちくりんな新しい発明に寛容なのも、またアメリカらしい。Bill Gatesも、Steve Jobsも、批判や常識を恐れない変ちくりんな発明家から全てが始まった訳だし。

いたる@13期

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