2016年5月31日火曜日

NCAA Final 2016

ぬあああーーーーーー!!!マジかーーーーーーー!!!夢じゃねえのかーーーーー!?我らが地元North Carolina (UNC)が、Over Timeの末、優勝候補のMarylandを14-13で破り、遂に、まさかの、1991年以来、25年振りの優勝!!!

未だに目の前で起きた事が信じられん…シーズンの始めにこの光景を予想してた人は、ファンを含めて一体何人いただろうか?

シーズン序盤に格下に負けてまさかの3勝3敗スタート。そこからもポロポロ負けて、Syracuseには二度がっつり負けて、レギュラーシーズン12勝6敗でトーナメント出場すら危うい状況。ギリギリの出場でノーシード。ノーシードからの優勝は、過去46回のNCAA Men's Lacrosse Division 1 Championshipの歴史で初の快挙。

そこから、まさか、優勝候補Notre Dameを文句無く破り、Loyolaを封じ、優勝候補筆頭の、あの完成されたMarylandを破っての優勝。これ以上のStorybook endingはあるか!?

今日ほどこのCarolina Blueのシャツを誇りに感じた日は無い。

正に、これ以上無い完璧なタイミングでチームがPeakingを迎えた。シーズン中盤までギクシャクしていたチームのDF、OFが、トーナメントの2回戦以降、明らかに有機的に機能し出し、突如としてグイッと頼り甲斐のある強豪チームへと変貌した。

今回の試合も、本当に苦しい闘いだった。

出だしに連続得点するも、その後追いつかれ、逆転され、Behindで追いかける苦しい展開。MarylandのOFは完成されていた。それでも気合のDFと#30 Goalie Brian Balkam (Sophomore/2年)の神懸かったセーブで何とかしのぎ切り、何とか喰らい付く。

今まで勝利の鍵だったFOが本当に今日は苦しかった。前半頼みの綱だった#24 FO Stephen Kelly (Jr./3年)が全く勝てなくなり、後半遂には2枚目のFace Offerにスイッチ。それでも安定して勝てず、FOは全体で11勝19敗とポゼッションが取れない苦しい展開。それを何とか守りきって、数少ないポゼッションを確実に決めて、Over Timeへと命を繋ぐ。

Over Timeの直前にまさかの不要なPersonal FoulでMan Downスタートとなり、万事休すかに見えるも、Goalie Balkamがガッチリセーブ。

最後は一進一退のポゼッション争いの後、EMOを獲得し、最後の最後に準決勝9得点、決勝5得点と大爆発のCanadian #45 AT Chris Cloutier (Sophomore/2年)が、これ以上ない鬼クラッチ(大事な場面での勝負強さ)っぷりを発揮し、スキップパスからDFをスクリーンに使ってOff the hipのシュートをGoalieのOff Handの右下に完っ璧なPlacementでぶち込んで、劇的な大逆転優勝。

非常にレベルの高い、ミスも少なくて緊張感のある、一進一退の、本当に素晴らしいラクロスの試合だった。個々人の技術、身体能力、チーム戦術、メンタル、全てに於いて近年稀に見る素晴らしい決勝戦だったと思う。

泣いたっす。会場で声を枯らしてマジ泣いたっす。

今シーズン最も苦しい闘いだった。Marylandは、間違い無く、最も手ごわく、最も完成された相手だった。

UNCは今年はBasketballは、決勝でVillanovaに最後の最後で同点から3 Pointを決められて準優勝だった。

昨日行われた女子ラクロスの決勝は、奇しくも、男子と同じMaryland vs UNCの組み合わせで、格下のUNCが大差を付けて優勝。

これで男女揃ってのアベック優勝という極めて珍しい結果を残す事になった。地元Chapel Hillは大盛り上がりだろう。

特に、Coach Breschiは、UNCが優勝していた頃に現役だった母校UNCの選手出身。低迷するUNCを建て直し、優勝を狙えるチームにするべく2008年にHeadcoachとして招聘され、それから長く苦しい闘いを強いられてきた。2004年にOhio Stateのコーチ時代に、事故で当時3歳だった息子さんを亡くすという悲劇を経て、家族、コミュニティを大事にする、誰からも尊敬される人格者のコーチとして、いろんな批判も有る中地道にやってきた。

いやーーーーー!マジで良かったーーーー!!!感動した!ラクロスファンで良かった!UNCファンで本当に良かった!!本当に素晴らしいドラマを見せてもらいました。UNC 2016、Coach Breschi、素晴らしいシーズンを、素晴らしい感動を有難う!

Over Timeの最後の決勝点。何度見ても感動がこみ上げてくる。


2016年5月30日月曜日

NCAA Tournament Semi Final 2016 - Recap

うおおおおおーーーー!!!やったーーーーー!!!North Carolina (UNC)が遂に25年ぶりのFinalへ!!!

いやーここまでRoller Coaster Ride(ジェットコースターのように上がり下がりの激しい)のシーズンに耐えてぶつくさ言いながらも地元Chapel HillでCarolina Blueの水色シャツ着て応援してきた甲斐あったっす…マジで目頭熱くなった。

という訳で、試合の詳細はまた時間のある時に振り返るとして、サクッとRecap。

1. 1st Semi Final - UNC vs Loyola

結構接戦になると思ったが、序盤からUNCが爆発し、Q1終了時点で9-2、Q2で14-5と大差の展開に。Q3以降若干失速し追いつかれるも、最後まで安全圏リードを守り、18-13でしっかり勝利。

これまではAT 2枚目か3枚目というイメージの強かったCanadianの#45 AT Chris Cloutier (Sophomore/2年)が大爆発し、9得点のFinal 4史上最高得点で勝利に貢献。

後はやはりFace Offerの#24 FO Stephen Kelly (Jr./3年)が前半高い勝率で貢献。引き続きGoalieの#30 Goalie Brian Balkam (So./2年)が相変わらずの勝負強さを発揮。

Loyolaは後半追い上げるも、前半の大差が響いた。



いくつかILの分析等も参考にしつつ、UNCが勝った理由を挙げると、

  • UNCのMFの機動力にLoyola DFが対抗できず、かなり崩されていた(Finish自体はATが多かったが)
  • LoyolaのGが前半かなり苦しみ、Q2から2枚目に。それでも余りセーブで貢献できず。
  • Loyolaの1年生エース、#7 AT Pat Spenser対策をUNCがバチッと立てていた。ボールを入れさせない、入れても早めスライドでダブル、トリプルで確実に潰す、落とす、パスミスさせる。結果、1得点に抑える事に成功。(それでも5アシストする所が怪物ルーキーたる所以だが。)
  • UNCのDFのスカウティングによる、準備、「傾向と対策」がかなり出来ており、特に前半Loyolaに全くやりたい事をさせなかった。加えて、効果的にZone DFを混ぜるなど、Loyolaの良さを消しきった。
  • あとは、毎回書いてるが、やはりUNCはACC (Atlantic Coast Conference)の強豪校特有の、アスリートとしての土台の強さと層の厚さをまた感じざるを得なかった。単純にフィジカルが強い。素材として、デカイ、機動力高い、パワー/スピードが一枚上で、且つ層が厚い。Loyolaはやはり一枚目までは競り合えるが、UNCには2枚目、3枚目が控えてる感じ。特に後半玉際の競り合いやDFの最後の一歩で差が出ていた。
本当に、今年のUNCには驚かされる。大エースが複数人いた去年の4年生が抜け、再建1年目と言われていた。シーズン序盤で格下にいくつか負け、一時期はトーナメント進出すら危ういと言われていた。そのチームがまさか決勝に来るとは、ファンですら予想していた人は少なかったはず。

とにかく、「全員ラクロス」。特定のエースに頼らず、全員が個々人の仕事を責任を持ってしっかり果たしている。そして、レギュラーシーズン中ぎくしゃくしてたのに、急にここに来てDFもOFも、チームとして明らかに有機的に機能し始めている。これ以上無いくらい最高のタイミングで…



2. 2nd Semifinal - Mayland vs Brown

いやー、これはムチャクチャいい試合でした。

Brownのエースで、MVPを獲得した#4 AT Dylan Molloy (Jr./3年)が足の怪我で欠場と聞いていたが、何とQ1途中から怪我を押して気合の出場(あれ?骨折してたんじゃ…)。全力で走れないながらも、得点、アシスト、そして常時一枚DFを引き付ける事で確実に存在感を発揮していた。

前半は接戦、Q3にMarylandが突き放し、勝負が着いたかに見えるも、その後Q4にBrownが折れない心で追いつき、14-14でまさかのOver timeに。

が、最後はMarylandが完全にBrown DFを翻弄し、フリーで手堅く決めて15-14で決勝へ。いやークソ熱い試合でした。

にしても、正直、得点差以上にMarylandの強さが際立った。

Marylandは再三述べている通り、チームとして明らかに完成度が頭抜けて高い。個々のレベルが高く、現NCAA LacrosseトップクラスのHead Coach John Tillman氏に非常によくコーチされており、戦術的にも非常に統制が取れている。全てのポジションで穴が無い。



OFでは序盤からMFがスピードを生かし、Sweepしてスライドを引き連れて長めに走る事を繰り替えし、Brown DFを徹底して走らせ、後半スタミナ切れを起こさせていた。



逆にBrownは明らかに実力差が有る中、本当に良くやった。彼らとCoach Lars Tiffany氏が信じる、「Fun」ありきのラクロス。「どうせラクロスやるなら、思いっきり楽しまなきゃ、そして観客を楽しませなきゃ意味ねえだろ?」という強い信念。

Coach Tiffanyの敗戦後のインタビューの一言目は、「楽しんで貰えた?」だった。思わず鳥肌が立った。

ガンガンTransitionして、Run & gunで走って、Long stickもガンガンオフェンス参加して、リスク取ってどんどんシュートを打って、大量得点で勝つ華の有るラクロス。ポゼッション重視の行き過ぎ、ハーフコートでの決め事/フォーメーションありきの現代ラクロスに対して明確に一石を投じたと言える。学問の名門校Ivy Leagueで、入学時のGPA (平均評定)の縛りがある事もあり、必ずしもトップクラスの高校生ばかり集められる訳ではないという不利な環境でここまで来た。心から最大限の敬意と賞賛を送りたい。本当に楽しませて頂いた。

ホント、こういうチームが出てくるから、そしてこういう試合を目にする事が出来るから、ラクロスファンを辞められなくなってしまう。

3. 会場

いくつか会場について紹介。

NCAA LacrosseのFinal 4は、文字通り、世界のラクロスコミュニティー最大の祭典。数万人のファンが集まるこの会場の空気、雰囲気、熱気、全てが本当に素晴らしく、一度生で体験すると、ズッポリAddictedになってしまう。是非、無理をしてでも、一生に一度でいいので、足を運んでみる事を、強く、強くお勧めします。自分がやってるラクロスと言う素晴らしいスポーツの源流に触れる事が出来るので。自分がラクロスをやっていた事に対して、これ以上無い程の誇りと喜びを感じさせてくれるので。「あ、世界にはこんなにラクロスバカが溢れてたんだ、俺、こんなにラクロスバカになっていいんだ!」と思える事、保証します。

今回の会場は、Pennsylvania州Philadelphia (Philly)の地元NFLチーム、Philadelphia Eaglesの本拠地、Lincoln Financial Fieldにて。会場のキャパは7万人。

アメリカのラクロスの試合会場のお馴染みの光景。駐車場でKidsがミニゴールを於いてボールとスティックで戯れている。4-5年前と比べると、テニスボールを使ってる子が増えたかな?さすがにノーマルラクロスボールだと車に当たったら問題なので。

 もう一つのお馴染みの光景。これはラクロスに限らず全てのスポーツで。駐車場でトランクを開けてテントを出してバーベキューとビール。所謂「Tailgate」または「Tailgate party」。

建物の規模に未だに驚かされる。

 準決勝一試合目、UNCの入場。






2016年5月25日水曜日

NCAA Tournament Final 4 2016 - Preview

と、言うわけで、5月22日(日)の準々決勝2試合が終わり、これで5月28日(土)、31日(月)の二日間の準決勝、決勝の組み合わせが決まった。

準決勝第一試合はNorth Carolina (UNC) vs Loyola、第二試合はMaryland vs Brown

今まで散々外れまくってきた実績はさておき無理やり予想すると…

準決勝2試合目はMarylandBrownに圧勝。Brownはここまで強かったんだが、残念ながら大エースの#4 AT Dylan Molloy (Jr./3年)が足の骨折で欠場なので、チーム力が大幅に落ちてしまっている。Marylandの総合力の前に力尽きるんじゃないかと。前半まで食らいつくも、後半徐々に実力と選手層の厚さが出て、結構大差が付くんじゃないかと。

1試合目は、うーん、正直難しい。Notre Dameに勝ったUNCのパフォーマンスなら勝てると思うんだけど、まだUNCは結構パフォーマンスが安定せずばらつく印象が…。Loyolaも圧倒的に抜きん出て強い訳ではないが、全てのポジションで手堅く、何と言っても司令塔で得点源の#7 AT Pat Spencer (Freshman/1年)がいる。彼には相当手を焼くはず。UNCがある程度スカウティングしてしっかり準備/対策して挑めば、まあ、勝てなくはないかな、という感じ。うーん、どうしてもこの試合は地元ファンとしてのバイアスが掛かってしまう。敢えて距離を置いて超客観的に見ると…、まあ60%くらいの確率でUNCが接戦を制して勝ち、って感じだろうか。UNCはやっぱりFOが強いので、そこがもしかしたら結構勝敗に影響してくるかもなと。Loyolaのポゼッションを大幅に削る形になる気がするので。

で、決勝はMaryland vs UNCで、結構拍子抜けするくらいMarylandがボコって悲願の優勝と。やはり今のMarylandには穴が無い。贔屓のチームながら、悲しいかなUNCがMarylandに勝てるイメージが湧かない…

ってのでどうですかね。Philadelphiaの会場でしっかり見届けたいと思います。

2016年5月24日火曜日

NCAA 2016 #17 Tournament Quarter Final - Notre Dame vs North Carolina

やったーーーー!!!うおーーーーーー!!!UNCが13-9でNotre Dameを破ってFinal 4に進出!!!

週末に家で思わず絶叫してしまった。目頭が熱くなった。地元で毎試合応援してきた甲斐があった…

1. Background

これ以上無いUpset(大金星)。UNCの勝ちを予想してた人は間違いなく少数派だった。 

Notre Dameはシーズンの最初から誰もが認める優勝候補。11勝3敗の第3位シード。誰もがこの試合は無難にNotre Dameが勝って悲願の優勝に向けて駒を進めると思っていた。

UNCは、去年主力だったエースたちがゴソッと抜け、今年は再建の年だと言われていた。シーズン前半に下位のHofstraやU Massに負け、まさかこのチームがFinal 4に行くとは、僕自身も含めて誰も予想してなかった。

2. Recap

UNCは、抜きん出たエースがいないなか、文字どおり全員ラクロスで、全員が必死で食らいついて、チームでコミュニケーションして、ボールを皆で共有し、点を取れる選手が取る、というアプローチでシーズン後半立ち直り、それが花開いて、ついに優勝候補の一角Notre Dameを破って、1993年以来23年ぶりのFinal 4へ。

試合の序盤から全てがうまく噛み合っていた。DFも前回の試合でやられた点を踏まえ、しっかりスカウンティングし、準備し、うまくコミュニケーションし、しっかり受け渡しを出来ていた。

一方で、Notre Dameが本来の実力を発揮できていなかった。特に、エースでAll Americanの#16 MF Sergio Perkovic (Sr./4年)が、いつものシュート力を発揮できず、すべてのシュートが悉く抜けて上に逸れていた。スティックのストリングがおかしくなって修正できなかったか?

また、Notre Dameは、今シーズン予てから弱点だったGoalieの弱さが今回も思いっきり露呈してしまった。中長距離からバンバン打たれ、決められていた。伝統的にはNDは毎年継続的にNCAAトップクラスのGoalieを輩出して来ており、それが鉄壁のDFと相まって、毎年トップクラスの失点の少なさを誇って来ていたが、今年は明確にそこが穴になってしまっていた。逆にOFが過去に例を見ない程強かったが故に、悔やまれる。なかなか全てが上手く揃う事って無いって事ねと…

あとはやはり地力の身体能力と層の厚さの差がまた出たかなと。UNCにはUnder Armour High School All Americanの選手が10人以上。高校トップクラスの選手たちを毎年継続的に集められており、アスリートとしての素材としてはかなり強力な選手が揃っている。中盤でのGround ballの奪い合いや走り合いになった時に、特に後半走り負けない&当たり負けない。

あとはUNCの#24 Face Offer Stephen Kellly (Jr./3年)が引き続きFace Off Xを支配し続けた事、#30 G Brian Balkam (Sophomore/2年生)の素晴らしいセーブ連発が大きな勝因だろうか。

いやー、良かったー、これでFinal 4でUNCを見られる。マジ嬉しいっす。

3. Highlight




2016年5月23日月曜日

NCAA 2016 #16 Tournament Quarter Final - Navy vs Brown

1. Background

Quarter Final (準々決勝)2試合目。Brown対Navy。

Brownは、前回の一回戦の記事でも紹介した通り、レギュラーシーズンでも強さを見せ、一回戦でHopkinsを粉砕。

が、試合当日の朝、残念なお知らせが…なんと、エースでTewaaraton Trophy Winner (MVP)最終候補の#4 AT Dylan Molloy (Jr./3年)がHopkins戦の最後に右足を骨折してしまっていたらしく、何とこの試合欠場&恐らく今シーズンはもう絶望…オーマイガッ!!!せっかくFinal 4の会場で生で見られるの楽しみにしてたのに!泣きたいわマジで。

対するNavyは、本名US Naval Academy、所謂「アメリカ海軍兵学校」。Army (陸軍)、Air Force (空軍)と並ぶ、士官学校系3チームのうち一つ。日本で言うと防衛大学みたいな。歴史的に中堅校として安定した成績を残しており、1975、2005年に二度準優勝まで行っている。今年は比較的善戦し、滑り込みでトーナメント進出を決め、一回戦でYaleをUpsetで破って二回戦に進出。軍隊ならではの規律と気合、ちらほら身体能力の高い選手がいる侮れないチームという印象。

2. Recap

当日までBrownの圧勝で準決勝でMarylandと激突でしょ、と思っていたが、Molloyの怪我での欠場により、一気に雲行きが怪しくなってしまった。

案の定、試合開始からがっつり接戦に。

今年のBrownのお家芸の、攻撃的にボールを奪いに行くDF、速攻重視の攻め、Long stickの鬼の攻撃参加、チャンスがあったらガンガンリスクを取ってシュートまで行く、という哲学はそのまま。但し、フィニッシャー&司令塔のMolloyがいない事で、やはり決定力に欠いた。

全体的にトランジッションが多く、目まぐるしく攻守が入れ替わる非常に面白い展開になったが、一方で結構ミス/Turnoverも目立った。

NavyもDiscipline (規律)と、気合と根性溢れるいつものスタイルで、DFは手堅く守り、OFもシンプルながら確実な攻めで得点。

最後はギリギリで11-10でBrownが逃げ切り、1994年以来のFinal 4進出を決めた。

が、まあ、ぶっちゃけBrownはMolloyがいないと正直きついな…Molloy以外も点取れるとは言え、常に2-3枚引きつけられるMolloyの崩しが起点となって、または彼からのアシストによる得点が多かったのも事実。やはり彼がいるのといないのとでは正直別のチームになる印象。戦力が数段落ちた感じ。まあ、Marylandに準決勝でボコられるんじゃないだろうか…

3. 見所

今回の試合は、間違いなくGoalieの選手の皆さんに是非見て頂きたい試合だった。

双方のGoalieは今シーズン共にNCAA Division 1でもトップクラスのセーブ率を誇る、リーグを代表する守護神ゴーリー同士の試合。

Brown #97 G Jack Kelly (Sr./4年)はセーブ率62%、209セーブでNCAAトップ。Navy #14 G John Connors (Sr./4年)も57%、154セーブで10位。

実際に両ゴーリーが最初から最後まで、神セーブ連発の共演を見せてくれた。それぞれ12セーブ、21セーブ、しかもかなり難しいシュートをバシッとスティックを合わせて、足で、メットで、気合で止めまくっていた。

この試合は正直ゴーリーのセーブシーンだけで十分に楽しめる試合かなと。ゴーリー視点で言えば今年のBest Gameかも。

現役のゴーリーの選手の皆さんが見る上でも、ポジショニング、Bait(罠で敢えて特定の場所を空けてそこに打たせて取る技術)、スティックの合わせ、反応、ボールに向かってExplodeする動き、DFの統率、パスカットやルースボールへの飛び出し、クリアでのスティックスキルや視野など、学べる点が満載。

単純に見てるだけで、ゴーリーがこれだけかっこ良くて、これだけ試合を左右させられる、という事が再確認でき、モチベーション強化出来る事間違い無し。

4. Highlight


2016年5月22日日曜日

NCAA 2016 #15 Tournament Quarter Final - Maryland vs Syracuse

1. Background

レギュラーシーズン1位のMaryland対8位SyracuseのQuarter Final (準々決勝)4試合のうち1試合目。

2. Recap

Maryland強し。今年レギュラーシーズンの試合を見る機会が無かったので、楽しみにしていたが、やはり全体1位になるだけの事はある。Marylandが13-7で盤石の勝利。

これでレギュラーシーズンから継続して15連勝。恐ろしい。

3. 見所

とにかくMarylandの強さが際立った。

基本的に穴が無い。

DFも手堅く、Goalieのセーブ力が高く、Syracuseにほとんど危険なシュートを打たせず、遠距離からしっかりGoalieが準備できた状態でシュートを打たせ、サクッとセーブを繰り返していた。ACCでもあれだけ速いパス回しとMFのダッジでフリーを作って危険なシュートを打てていたSyracuseがかなり苦しみ、安いシュートを打たされまくっていた。

OFも選手層が厚い。AT, MF 1st set, 2nd set全てでAll Americanクラスの選手たちが揃い、どこからでも点が取れる。突き抜けたエースがいないようにも見えるが、裏を返せば全員高いレベルにあるからとも言える。

Head Coach John Tillman氏がHarvardから移籍して就任して6シーズン目。彼自身がリクルーティングで集めた選手たちのチームになり、戦術的にも完全に彼が思い描くチームが出来上がりつつある感じ。今年はその集大成という感じか。70年代以来の悲願の優勝を狙う。

準優勝に終わった2012年のチームと比べても、明らかに総合力が高く、バランスが取れており、層が厚い。ポゼッション超重視でしょっちゅうストーリングの警告を受けていた当時と比べて、明らかにオフェンスのテンポが上がっており、より攻撃的になっている。

いい試合になるかなと思ったが、思った以上に実力に差があった。

強豪ぞろいのACCでカンファレンストーナメントを文句なしの優勝だったSyracuseをここまで危なげなく敗るとは。来週のPhiladelphiaで生で見るのが楽しみ。今の所優勝候補最有力という感じだろうか。

選手で印象に残ったのは、Maryland #44 MF Pat Young (Sr./4年生)。3年間を過ごした近所のUMBCからのTransfer (転校生)。要所要所で4得点。えげつない身体能力とシュート力でかなり目立っていた。MLLドラフトでも2巡目全体13位でCharlotte Houndsに指名されている。MLLでも絶対活躍するはず。

4. Highlight


2016年5月21日土曜日

NCAA 2016 #14 Tournament 1st Round - Duke @Loyola

Tournament 1st Round 8試合のうちもう1試合。Duke対Loyola。

1. Background

Dukeはここ10年で見るとNCAAでトップの成績。2010, 2013, 2014と三度の優勝。2005, 2007年に二度準優勝。HCのJohn Danowski氏は間違いなく現NCAAラクロスでも最高のコーチの一人。例年明確にトーナメントにPerformanceのピークを持ってくるピーキングの考え方を持っており、シーズン前半ぐずつくも、後半に掛けてグイッとトップレベルにまで高めてくる傾向。

Loyolaはラクロスのメッカ、Maryland州Baltimoreにある小規模校。2012年にノーマークから一気に優勝してシンデレラストーリーを体現。HCのCharley Toomey氏はLoyolaのGoalie出身、若手有望株コーチから優勝を経てコーチとして確固たる地位を築きつつある。

Loyolaは今シーズンは当たり年で、13勝3敗で全体7位、Dukeは前半苦しみ11勝8敗の全体9位。レギュラーシーズンの試合では15-6でDukeが圧勝している。

2. Recap

あらら、Duke負けちゃいました。Final 4行くかなと思ってたんすけどね…

16-11でLoyolaが手堅く勝利。

3. 見所

Loyolaが勝った理由として、いくつか非常に印象に残った点が。

Dukeのエース、MLL全体1位指名の#15 MF Myles Jones (Sr./4年)を完全に封じた
  • いやー、ここまでJonesを封じられるとは…
  • やってた事は比較的単純で、スカウティングに基づき、完全に右切りして、左に流れた際に体の後ろにスティックがフラフラ出ちゃう癖があるので、敢えて付いて行かずにとっとと抜かれてTrail Check(後ろから出てるスティックを引っ叩く)でサクッとボールを落とす、というやり方
  • これにJonesが対応できずに何度もボールを失ってしまっており、無得点に終わってしまった。
  • うーん、Jonesはやっぱり素材としては凄い(身長196 cm、体重109 kg)んだけど、やっぱこの辺の技術的な面がイマイチ荒削りなままなんだよな…もう4年までやってる訳だし…ちょっと慢心して技術的な練習疎かになってないかね?果たしてMLLに行って活躍し続けられるんだろうか…何年も成長/維持してサバイブして行けるんだろうか…お節介ながら心配してしまう。MLLはコーチが付きっ切りでトレーニングしてくれるNCAAと違って、完全に自分次第。モチベーションも、Conditioningも、技術的な成長も、完全に自分次第。大丈夫かね。何か大学時代の貯金で1-2年やって、その後ひっそり消えて行く可能性が高い気が…
#7 AT Pat Spencer (Freshman/1年)がマジ凄い
  • びっくりした。こんな凄い1年生いたんだ…。LoyolaはイマイチESPNでテレビ放映されないため、完全にノーマークだった。
  • 3得点5アシストの8ポイント。X(ゴール裏)でボールを持ってのダッジやフットワークの滑らかさ、シュートやノールックでのフィードなどのスティックスキルの高さ、サイズと身体能力、どれを取っても既にNCAAトップクラス。1年生にして完全にゲームを支配していた。
  • 特に安定した上半身と、常にフィールド全体を見渡せる視野、鋭いフィード力はかなりレベル高い。
  • 恐らくかなりレアな、1年生にして1st Team All American (ベスト10)に選ばれる気がする。
  • これでしかも1年生ってよ…今後どうなっちゃうんだ?今後3年間間違いなくNCAA Lacrosseの話題の中心でい続けるはず。来年は2年生にしてTewaaraton Trophy Winner (MVP)争い絡んでくるんじゃないかね?ってぐらい凄い。
あと、AT 3枚が平均的に強くて、点取れる

Goalieの#37 Jacob Stover (Freshman/1年)もかなり手堅いし(ポジショニング、反応、スティックワーク素晴らしい)、Close DFもデカくて、走れて、プレッシャー強い。ちょっと2012年の優勝チームを思い出させる感じかなと。

逆に、Dukeはやっぱり優勝する年に比べると、明らかにいくつか足りなかった
  • 点を取れる選手の数が少ない。特に優勝していた年に比べると、明らかにMFの層が薄い印象。で、そのMFの主力のJonesが封じられると、かなり厳しくなるかなと。
  • Goalieが最後の最後まで明らかな弱点だった
という訳で、今年のDukeは残念ながら1st Round敗退。

しかし、これ見ると、改めて、Loyolaがもう昔のように中堅校ではなく、恒常的に上位に絡んでくる強豪校になったのねと感じさせる。エースのSpencerもGoalieのStoverも1年生なので、今後数年は間違いなく上位に残り続けるはず。

4. Highlight

2016年5月19日木曜日

NCAA 2016 #13 Tournament 1st Round - Johns Hopkins @Brown

Tournament 1st Round 8試合のうちのもう1試合、Johns Hopkins vs Brown。

1. Background

Hopkinsはラクロスファンなら誰もが知っている伝統校。古豪という言葉が最も当てはまるだろうか。ラクロスのメッカBaltimoreにあり、80年代に黄金期を経て、2005年2007年にHead Coach Pietramala氏の下で二度の優勝。ただその後スター選手に恵まれず、優勝から遠ざかっている。

一方のBrownは、学業の名門Ivy Leagueの一角。Ivy Leagueの中では、90年代に何度も優勝していたPrinceton、2000年代に同じくFinal 4進出を果たしたCornellに比べると、そこまでラクロスで強豪校というイメージではなかった。が、昨年のNCAA Tournament出場に続き、今年も快進撃。15勝2敗の堂々全体5位でトーナメントに。

実はこのBrown、今年是非見たかったチームの一つでもあった。#4 AT Dylan Molloy (Jr./3年)がTewaaraton Trophy Winner (MVP)候補でかなりデキる選手だという話を聞いていたのと、実際Final 4に食い込むだけの実力があるという話を各種Report/記事で読んでいたのと、一方で、ESPN等でカバーされる機会が少なく、まだ試合を見た事が無かったので。

2. Recap

マジびびったっす。Brownかなり強え。正直ここまでとは思わなかった。

そして、#4 AT Dylan Molloy (Jr./3年)は、噂に違わず、というか、正直想像していたよりも実際はかなり強力な選手だという事が解った。MVP候補というのも頷ける。今年最高の選手は彼かもなと。

Brownが圧倒的な実力の差を見せつけ、Hopkinsを17-8で粉砕。

マジ強いっす。今までちゃんと気にして無かったけど、優勝あり得る。間違いなくFinal 4は行くはず。何となく、2012年に同じく中堅校のノーマークから一気に優勝まで圧勝で駆け上がったLoyolaを彷彿させる感じ。

3. 見所

Brownがむちゃくちゃ強い&見ていて非常に楽しいチームだという事がこれでもかと言うくらい解った。評判は嘘ではなかった。見られて良かった。

ポイントをザクッとまとめて言うと、「役者/キャラが揃ってる」、そして、「ハイペースで、華やかで、見ていて面白い、ワクワクするラクロス」。1試合見て一発でファンになった。Final 4の会場で是非生で見てみたいなと思わされた。こういうチームにこそ優勝して欲しい。

個別のポイントをいくつか挙げると、

アグレッシブなDF
  • このポゼッション全盛時代、タイトにクリース前をパックして、積極的にボールを落としに行く事はご法度とされるこの時代に、大分アグレッシブにフルコートでプレス、ハーフコートでもかなり強めにプレッシャーを掛け、積極的にダブルチームで囲み、リスクを取って「ボールを奪いに行く」DFを何度も見せていた。
  • 別に接戦で負けてる訳でも無いのに、Goalieがかなり積極的にクリースから飛び出し、バシバシパスカットを狙い、ゴリゴリにプレッシャーを掛け、ボールを落としに行っていた。
  • で、実際に、上位校のHopkins相手に結構カモっていた。こんなにアグレッシブに攻めるDFはNCAAでは余り見ないので、見ていて圧巻。
Transition重視、速攻ありきのOF
  • 同じく、近年あまり見ない、ゴリゴリのFastbreak重視のオフェンス。Transitionを起こして、ショットガンの様にバーッと走って、Fastbreak、その後のUnsettled situationで、ボールと足を止める事なく、他のチームであれば迷ったり敢えてリスクを取らずに止めてセットオフェンスに持ち込む場面でも、敢えてかなりの確率でシュートまで行き、そして決めている。
  • ちょっとインドア/Box Lacrosseっぽい、バスケっぽい、90年代のラクロスっぽい、常時走って切り替える、見ていてワクワクしてくる機動力ラクロス。
  • 走って、バシバシパス回して、バンバンシュート打って。忙しくて、目まぐるしくて、でも見てて最高に盛り上がるOF。
Long stickがガンガンオフェンス参加
  • かなりの頻度でDFMFの選手がBreakに参加し、しかもUnsettled situation、もっと言うとセットOFになっても継続的に普通にShort stickと同じ様にOFに参加し、しかも普通に点を取っていた。
  • 近年の、OFMFとDFMFを完全に分業制にして担当を分ける考えの中にあって、逆説的に効果を発するアプローチ。
  • 相手のOFMFがTransitionに伴いフライしてDFMFに変わるのを防ぎ、元AT出身のOFMFがDFに参加せざるを得ない状況を作る。すると、1-on-1でも守れない上、6-on-6のチームDFの決め事であるスライドの連携がうまくできずに、チームとして機能しなくなってしまうという現象が起きていた。
  • これを意図的に発生させるという奇策。いやー、感動した。なるほどねー、そういう戦術もあるのねと。
  • もちろん、大前提として、Long stickの選手たちがスティックを短く持って、Shorty並みのスティックスキル、シュート力を持ってる事が必要となるが。
役者が揃ってる
  • 正直個々の選手のレベルの高さにちょっとびっくり。でかいし、フィジカル強いし、Ivy Leagueなのにアスリート揃い。
  • 特に、3つの肝のポジションの選手が明らかに強かった。
  • #91 G Jack Kelly (Sr./4年)。ビッグセーブ連発。クリアのパスの精度と落ち着き。
  • #36 FO Will Gural (Sr./4年)。マジ強力。今年のBest Face Offer級か?ゴリゴリねじ込んで、掻き出して、拾って。
  • #8 AT Kylor Bellistri (Sr./4年)。点取り屋。すげえシュート上手い。オフボールものすごく狡猾。
  • その他も、DFMFやLSMFなど、要所要所にExpertが揃っており、穴が感じられない。
そして何と言っても、MVP候補、#4 AT Dylan Molloy (Jr./3年)がMLL級
  • すごいすごいと聞いてはいたが、実際に映像で見て、「ほうっ!」と思わされた。
  • でかい、重い、でも動ける。シュートクソえぐい(速い&正確)。フィード上手い。DF背負って余裕でプレーできる。DF 2-3枚来てもスルッと交わせる。
  • いや、MLLの主力級でしょ。間違いなく。しかもまだ3年なので、来年もう一年ある。まず間違いなく来年の全体1位指名な気が。
  • 非常に興味深いのが、高校生時代、そして入学時点では実はそこまでの選手では無かったという点。ここまでひたすら工夫と努力を重ねる事で変化/成長してここまで到達しているという点。明らかに頭を使ってプレーしてるし、自分の成長をプロデュースしてるタイプ。という事は、今後がものすごく楽しみな選手。Final 4の舞台で是非生で見てみたい。
  • 印象的だったのが、コーチたちが当初からダブルチームを意識して、普段からLongstick 2枚付けてダブルチーム有りきの練習をさせたり、アメフトのタックルパッドでバンバン押しながらそれを交わす練習をさせているという点。なるほど、このプレッシャーの中での落ち着いたプレーはデザインされた技術なのねと…
という訳で、一発でBrownファンになりました。だって見ててワクワク出来るし面白いんだもん...

4. Highlight

と思ったら、試合のHighlightの映像が無いっすな…やむなし。って事で代わりに、過去のDylan Molloyの今シーズンのHighlight。



2016年5月16日月曜日

NCAA 2016 #12 Tournament 1st Round - North Carolina @Marquette

5月14日(土)から始まったNCAA Tournament。上位16チームによるプレーオフ。ここからの4週間でFirst Round 8試合、Quarter Final (準々決勝) 4試合、Semi Final, Finalが行われる。アメリカのラクロスコミュニティでは、NCAA Basketball TournamentのMarch Madnessに倣い、「May Madness(5月の狂気)」と呼ばれている。

その1回戦の一つ、全体6位で且つBig Eastの決勝でDenverを破って優勝したMarquette(マーット大学=「ケ」にアクセント)UNCの一回戦。

1. Background

ここで注目すべきはやはりMarquetteのバックグラウンドだろう。

場所は決して歴史的にラクロスが盛んだったとは言えない、Mid West(中西部)の北、Wisconsin州Milwaukee。バスケ部こそ中堅校としてある程度は認知されているものの(ちなみにNBAのDwyane Wadeの出身校)、決してスポーツ強豪校では無い。

2011年に大学がLacrosse部を設立する事を決定し、2012年にチームを立ち上げ。2013年からBig East Conferenceに参戦し、5年目の今年、全米Ranking 11位まで上り詰め、Big Eastの決勝では1位のDenverを10-9で接戦の末に制し、設立5年でBig East優勝という快挙を成し遂げた。

非常に面白いのがその大胆で思い切ったアプローチ。時を同じくしてNCAA入りしたMichiganと違い、それまでクラブチーム(公認の体育会ではないサークル扱い)すらなく、完全にゼロからの立ち上げ。但し、クラブチーム時代のアセットやマネジメントを残し、漸進的にNCAAへと移行して行ったMichiganとは全く異なるアプローチを取っている。

最初から既にHofstraでNCAA Division 1のHeadcoachとして十分に実績があり、且つリクルーティング力に定評のあった若手コーチ、Joe Amplo氏をグイッとヘッドハントして連れてきて、最初から鬼のリクルーティングで有力な選手を集め、「あなたのやりたい様に理想的なチーム作りをしていいよ」と施設や資金など、あらゆる面で学校が徹底してコミットしてバックアップし、一気にトップチーム入りを目指して来た。

今年の成績を見ても、1年早くNCAA入りを果たしたにも関わらず3勝10敗と下位に甘んじているMichiganと比べても、明らかに成功していると言えると思う。(東大ラクロス部はMichiganとNCAA加入前に10年間お世話になっており、個人的には応援したいが。)

今年は正にその一期生(1年目はRed-Shirt/棄権扱い〔公式戦に出てないので、4年間の出場制限に掛からず〕だったため、今年5年生として)と二期生が主力の4-5年生で合わせて19人の塊で残っている。つまり、今年は設立以来最初の勝負の年。

第6シードでトーナメントに出場している時点で快挙だが、これで更にUNCを破ってQuarter Final (準々決勝)出場という事になれば、更に大きなニュースになる。

2. Recap

序盤硬さもあって幾つかチェックアップのミスから失点したり、凡ミスTurnoverを出したNorth Carolinaも、後半に掛けて本来の実力を発揮。一時追いつかれるものの、最後は安定してポゼッションを守り、EMOでも確実に得点し、何とか10-9で逃げ切り。残念ながら設立5年目でのQuarter Finalという快挙を目指したMerquetteの夢はここで潰えた。

それでも尚、設立5年で全体11位、11勝5敗、Denverを破ってのBig East優勝は、これ以上無い程の脅威的なAchievementと言えるだろう。素直に拍手を送りたい。

3. 見所

いくつか、最強リーグACC (Atlantic Coast Conference)の強豪校UNCと、躍進中ながらもまだまだ新興校のMarquetteの差を見る中で、NCAAの全体を見渡す中で重要なInsightがあったと感じた。

層の厚さの差
  • やはりUNCに比べるとMarquetteは優秀な選手はいるもののその数で圧倒的に負けていた。
  • ダッジで抜ける選手、中距離からのシュートで点を取れる選手のオプションがUNCの方が多い為、OFの手数や攻めのVariationで差が生まれていた。
  • 加えて、チームとしてのスタミナにもその影響は及んでおり、やはり後半に掛けて、MFの2ndやDF陣が疲弊してしまい、当初程の脅威を感じさせなくなってしまった
  • やはりトーナメントのように1試合を通して全力でお互いが死力を尽くして勝ちに行く、総力戦、接戦になった際にこの差が出てしまう。
  • 大事だね、選手層の厚さ、と改めて思わされた。

フィジカル(サイズと身体能力)の差
  • あとはまあ、単純に何と言ってもサイズと身体能力。明らかにコンタクトスポーツの体育推薦のアスリート集団UNCと比べると、どうしてもMarquetteは一回り小さく、線が細い。
  • 4-5年生の圧倒的な実戦経験と、Street Smartさで何とか渡り合ったものの、特にGroundballやクリア、FOでの球際での競り合いと言った「地力」の部分で差が出ており、それがボディブローの様に後半に掛けて差を生んでいた
  • 改めて、大事ですね、フィジカル。

大舞台での経験、修羅場経験の差
  • もう一つはやはりここだろうか。UNCは毎年、毎週、Syracuse, Duke, Notre Dame, Marylandと言ったヘビー級の強豪とOTを含めた接戦を続けてきた。加えて(決勝にこそ絡めていないものの)毎年コンスタントにNCAA Tournamentにも出ている。試合のうち半分くらいはESPNUで全国放映されて来ている。
  • 対するMarquetteはここまでほとんどそういった経験が無い。今回のような大事な試合になった際のメンタルの「揺らぎ」の少なさの面でも分があったようにも見える。Marquetteにとっては5年間のチームの歴史の集大成で、最後までちょっと硬さが見られた。クリアで焦って自滅してしまったり、不要なラフプレーでMan Downを作って失点してしまったりと、やはりチームとしての経験の差に苦しんだ感じ。

4. Highlight




2016年5月10日火曜日

NCAA 2016 #11 Syracuse vs Duke

5月1日(日)のACC (Atlantic Coast Conference)のトーナメント決勝戦。Syracuse vs Duke。

1. Background

レギュラーシーズンの対戦では16-15でSyracuseが辛勝。

2. Recap

一進一退の攻防で接戦のままQ4まで。そこで雷雨による一時中止。再開後にSyracuseが爆発して、14-8で文句無しの勝利。

3. 見所

Syracuseのスティックスキル
  • 引き続き壮観。速くて正確なパス回しから、鋭くて正確なミドルシュートをズガンッと突き刺しまくっていた

Syracuse OFのスキップパスとロングシュート
  • 特に、戦術的に明確に意思を込めて、リスクを取ってやっていたのが、一枚飛ばすスキップパス。スライドを発生させた後に、Adjacent(隣)に出すんじゃなくて、更にその先、または更にもう一本先にズバッと投げる事で、フリーでのミドルシュートを多数作り出していた。
  • 恐らくDukeのGが若干弱いというのも勘案しての戦術じゃないかと。かなり効果的に決まっていた。

Syracuse Goalie #13 Evan Molloy (Jr./3年)の活躍
  • むちゃくちゃ反応早い。超Quick hand
  • 加えて、スティックスキルが高く、アウトレットパスがむちゃくちゃ速い
  • Goalieの選手が見て学ぶべき点が多い
  • お爺ちゃん、お父さんと史上初の3代続けてのSyracuseの選手との事
Dukeのクリアがかなり苦しんでる
  • 前回の試合、前々回の試合でも散々指摘されて来たが、クリアに苦しんでいる。
  • Long stickとGoalieのスティックスキルが若干不安なのと、なぜかShorty MFがハーフライン付近で走りきれずに押し出されるケースが散見される。せっかくDFが頑張ったのに、OFが出来ず、DFが疲弊するという悪い流れに。
  • この弱点は5月中旬以降のトーナメントまでにFixしておかないと必ず致命的になって来るはず
引き続き、MLL Draft 1位指名のDuke #15 MF Myles Jones (Sr./4年生)が無双っぷりを発揮
  • やはり、Paul Rabilほどの技術は無いものの、サイズと身体能力、荒削りながらもシュートとフィードは効果的。
  • Tournamentでも引き続き重要な選手の一人になる事は間違いない。




2016年5月7日土曜日

NCAA 2016 #10 Notre Dame vs Duke

Georgia州Kennasawで行われている最強リーグのACC (Atlantic Coast Conference) 4チームによるACCトーナメント準決勝2試合目、Notre DameDuke。今年のNCAAラクロスでも屈指の好カード。このまま5月のMemorial Day WeekendのFinal 4の準決勝、決勝で再び見る事になる可能性をひしひしと感じる。

1. Background

現時点でNotre Dameは9勝2敗の4位、Dukeは例年通りトーナメントにピークを持ってくる考えのため、シーズン序盤にいくつか負けてしまっており、9勝6敗で14位。但し、ここ1ヶ月で一気に完成度を上げてきており、例年のFinal 4鉄板チームに変貌しつつある。

2. Recap

来たよ。またクソ面白い試合。今年最高の試合をまたしても更新。レベル高すぎる&面白すぎる。例年ACCのトーナメントは毎年散々お互い試合している関係で、むちゃくちゃライバル心が高まっており、お互いにバッチバチに気合を入れて臨んでいる。試合中もエキサイトし過ぎて、ボールの無いところで報復で相手に肘打ちしたりスティックでぶん殴ったりと、NCAAにしてはちょっと珍しくやり過ぎなファウルが幾つか見られた。(双方そのMan Downで失点して反省していたが)

特にお互いのDFが相当完成度が上がっているため、前半非常に締まった展開から、後半に掛けて点の取り合いに。

Notre Dameが一度リードするも、最後にDukeが追いついてOT (Overtime)に。最後はMLLドラフト全体1位指名のDuke #15 MF Myles Jones (Sr./4年生)がダッジでゴリっと抜いてクリースにフィードを出し、Dukeのサドンデスの得点で試合終了。エンターテイメントとして毎週ホント楽しませてくれるよ、今年のNCAAは。

3. 見所

今回も見所多すぎて全部カバーできないので、ピンポイントで特に印象に残った点のみ何点か。

まずは何と言ってもNotre DameのNCAA最高峰のDF。マジで溜息でる。特にClose DF (ロングスティックDF 3枚)のフットワーク、チェック、スティックアップとパスカット、クリース前へのパック(凝集)、Swivle (首振り)による視野確保とコミュニケーション、スライドやスライドのスライド、スライド行く/行かないの判断等、DFの選手たちは本当に参考にしたい。相当な数のチェックやパスカットによるTurnoverを発生させていた。Duke相手に。マジで、DF見てるだけで楽しめるチームってそうそう無いが、NDは間違いなくその一つ。

Notre DameのHead Coach Keven Corrigan氏のベンチでの声に関するコメントが非常に印象的だった。何本かMFが基本的なパスミスでポゼッションを失ってしまったのだが、その際の怒鳴り声は、パスミスをした事ではなく、こぼれたボールを全力で走って追わなかった事に対して。常に120%でプレーする事を求めるCoach Korriganらしいエピソード。チームのメンタリティとして、生き方として、見習いたいなと。












2016年5月2日月曜日

NCAA 2016 #09 North Carolina vs Syracuse

4月29日(金)夕方、ACC (Atlantic Coast Conference) Tournamentの準決勝。シーズン終盤のカンファレンストーナメント。ACC 1位のNorth Carolinaと4位のSyracuseGeorgia州のKennesawにあるFifth Third Bank Stadiumにて。(ACCはカンファレンストーナメントは公平を期す目的と普及/マーケティングを兼ねて、敢えてホスト校ではなくニュートラルの会場でやる事が多い。)

1. Background

2週間前のレギュラーシーズンのリーグ戦での試合の再戦。前回は13-7でSyracuseが勝利。UNCはリベンジを狙う。

2. Recap

が、結果は10-7でSyracuseが再び勝利。

スタジアムのフィールドの芝生がまだ短く、両チーム共にズルズルに滑ってしまっていた。

となると、フィジカルと走力で勝負、ダッジで崩すことありきのUNCはきつい。逆に、スティックスキル最強のSyracuseにとっては持って来いの環境。パンパンパンっとパスを回して鋭いシュートをミドルレンジからズバッと決めまくって盤石の勝利。

ちょっとUNCはTurnoverやフライ時の混乱からのOffsideなど、基本的なミスが目立った。先週のNotre Dameからの金星でちょっと慢心してしまったか。

UNCはこれでもしかすると上位16チームが出場するNCAA Tournamentの出場権が若干厳しいか?という気もしないでもない。全体でも上位のNotre DameやDukeに勝っているので、まあ大丈夫かなとは思うけど。ただギリギリでの出場となると、1-2回戦で優勝候補と当たる可能性も高いだろうから、ちとFinal Fourで見られる可能性が下がるかなと。

3. 見所

にしても、やはり改めて、Syracuseのスティックスキルのレベルの高さが際立った。同じNCAA Division 1の上位校、ACCの強豪校であっても、ここまで目に見えて違うかねと。パスのスピードと精度、フロントコートのパス回しの際の「キビキビ感」が全く違う。「ズバッ!」「ビシッ!」と音が聞こえてくるような。加えてフリーで受けてからのシュートまでの早さと正確さ。速さ。完全にパス回しでUNCのDFを翻弄し、崩しきっていた。ここまでどフリーを作られまくるとかなり厳しい。

あと、正直今回はSyracuseのDFが素晴らしかった。かなり手堅く仕上がってきている。スライドのコミュニケーション、スライドのスライドや首振り、クリース前のパックも素晴らしいし、いやらしいチェックで結構ボールを落とし、スティックアップで頻繁にパスカットしていた。

あと、UNCの勝利の方程式の一つ、FOが勝てなかったのも痛い。SyracuseのFace Offer #37 Ben Williams (Jr./3年)がかなりボールを支配していた。現時点でStats的にもNCAA最強か?

いやー、こうやって見ると、やはりUNCは地元チームなので応援したいが、正直Syracuseがチームとして上だなと認めざるをえない。まあ、去年主力がゴソッと抜けたから仕方ないかね。

Syracuseはシーズン序盤若干苦しんだが、明らかに調子を上げてきている。Final Four行っても全くおかしくない感じ。Syracuseのスティックスキル全開の攻撃的ラクロス大好きファンとしては楽しみ。加えて、主力は結構4年生以外が多いように見える。来年がもしかしたらピークか?

正直UNCの敗戦は悔しいが、まあ、いずれにせよ、金曜夕方に酒飲みながら楽しくラクロス観戦出来たので良しとしますかね...