2016年5月16日月曜日

NCAA 2016 #12 Tournament 1st Round - North Carolina @Marquette

5月14日(土)から始まったNCAA Tournament。上位16チームによるプレーオフ。ここからの4週間でFirst Round 8試合、Quarter Final (準々決勝) 4試合、Semi Final, Finalが行われる。アメリカのラクロスコミュニティでは、NCAA Basketball TournamentのMarch Madnessに倣い、「May Madness(5月の狂気)」と呼ばれている。

その1回戦の一つ、全体6位で且つBig Eastの決勝でDenverを破って優勝したMarquette(マーット大学=「ケ」にアクセント)UNCの一回戦。

1. Background

ここで注目すべきはやはりMarquetteのバックグラウンドだろう。

場所は決して歴史的にラクロスが盛んだったとは言えない、Mid West(中西部)の北、Wisconsin州Milwaukee。バスケ部こそ中堅校としてある程度は認知されているものの(ちなみにNBAのDwyane Wadeの出身校)、決してスポーツ強豪校では無い。

2011年に大学がLacrosse部を設立する事を決定し、2012年にチームを立ち上げ。2013年からBig East Conferenceに参戦し、5年目の今年、全米Ranking 11位まで上り詰め、Big Eastの決勝では1位のDenverを10-9で接戦の末に制し、設立5年でBig East優勝という快挙を成し遂げた。

非常に面白いのがその大胆で思い切ったアプローチ。時を同じくしてNCAA入りしたMichiganと違い、それまでクラブチーム(公認の体育会ではないサークル扱い)すらなく、完全にゼロからの立ち上げ。但し、クラブチーム時代のアセットやマネジメントを残し、漸進的にNCAAへと移行して行ったMichiganとは全く異なるアプローチを取っている。

最初から既にHofstraでNCAA Division 1のHeadcoachとして十分に実績があり、且つリクルーティング力に定評のあった若手コーチ、Joe Amplo氏をグイッとヘッドハントして連れてきて、最初から鬼のリクルーティングで有力な選手を集め、「あなたのやりたい様に理想的なチーム作りをしていいよ」と施設や資金など、あらゆる面で学校が徹底してコミットしてバックアップし、一気にトップチーム入りを目指して来た。

今年の成績を見ても、1年早くNCAA入りを果たしたにも関わらず3勝10敗と下位に甘んじているMichiganと比べても、明らかに成功していると言えると思う。(東大ラクロス部はMichiganとNCAA加入前に10年間お世話になっており、個人的には応援したいが。)

今年は正にその一期生(1年目はRed-Shirt/棄権扱い〔公式戦に出てないので、4年間の出場制限に掛からず〕だったため、今年5年生として)と二期生が主力の4-5年生で合わせて19人の塊で残っている。つまり、今年は設立以来最初の勝負の年。

第6シードでトーナメントに出場している時点で快挙だが、これで更にUNCを破ってQuarter Final (準々決勝)出場という事になれば、更に大きなニュースになる。

2. Recap

序盤硬さもあって幾つかチェックアップのミスから失点したり、凡ミスTurnoverを出したNorth Carolinaも、後半に掛けて本来の実力を発揮。一時追いつかれるものの、最後は安定してポゼッションを守り、EMOでも確実に得点し、何とか10-9で逃げ切り。残念ながら設立5年目でのQuarter Finalという快挙を目指したMerquetteの夢はここで潰えた。

それでも尚、設立5年で全体11位、11勝5敗、Denverを破ってのBig East優勝は、これ以上無い程の脅威的なAchievementと言えるだろう。素直に拍手を送りたい。

3. 見所

いくつか、最強リーグACC (Atlantic Coast Conference)の強豪校UNCと、躍進中ながらもまだまだ新興校のMarquetteの差を見る中で、NCAAの全体を見渡す中で重要なInsightがあったと感じた。

層の厚さの差
  • やはりUNCに比べるとMarquetteは優秀な選手はいるもののその数で圧倒的に負けていた。
  • ダッジで抜ける選手、中距離からのシュートで点を取れる選手のオプションがUNCの方が多い為、OFの手数や攻めのVariationで差が生まれていた。
  • 加えて、チームとしてのスタミナにもその影響は及んでおり、やはり後半に掛けて、MFの2ndやDF陣が疲弊してしまい、当初程の脅威を感じさせなくなってしまった
  • やはりトーナメントのように1試合を通して全力でお互いが死力を尽くして勝ちに行く、総力戦、接戦になった際にこの差が出てしまう。
  • 大事だね、選手層の厚さ、と改めて思わされた。

フィジカル(サイズと身体能力)の差
  • あとはまあ、単純に何と言ってもサイズと身体能力。明らかにコンタクトスポーツの体育推薦のアスリート集団UNCと比べると、どうしてもMarquetteは一回り小さく、線が細い。
  • 4-5年生の圧倒的な実戦経験と、Street Smartさで何とか渡り合ったものの、特にGroundballやクリア、FOでの球際での競り合いと言った「地力」の部分で差が出ており、それがボディブローの様に後半に掛けて差を生んでいた
  • 改めて、大事ですね、フィジカル。

大舞台での経験、修羅場経験の差
  • もう一つはやはりここだろうか。UNCは毎年、毎週、Syracuse, Duke, Notre Dame, Marylandと言ったヘビー級の強豪とOTを含めた接戦を続けてきた。加えて(決勝にこそ絡めていないものの)毎年コンスタントにNCAA Tournamentにも出ている。試合のうち半分くらいはESPNUで全国放映されて来ている。
  • 対するMarquetteはここまでほとんどそういった経験が無い。今回のような大事な試合になった際のメンタルの「揺らぎ」の少なさの面でも分があったようにも見える。Marquetteにとっては5年間のチームの歴史の集大成で、最後までちょっと硬さが見られた。クリアで焦って自滅してしまったり、不要なラフプレーでMan Downを作って失点してしまったりと、やはりチームとしての経験の差に苦しんだ感じ。

4. Highlight




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