2011年1月30日日曜日

NLLドキュメンタリー

先日記事で紹介したIMGによるNLLのプロモーション契約。早速一つの成果物が出て来た。昨シーズン1年間Buffalo Banditsにプロのカメラクルーとプロダクションを貼り付けさせて作った短めのドキュメンタリーフィルム。"The X"というタイトル(由来は書いてないが、恐らくexclusive[特別編/独占記事]からかな?)。5分×4本なのでサクッと見られる。出来は秀逸。かなりカッコいい。マジ必見。

ミニシアターでやってるハードコアなドキュメンタリーフィルムを思わせる出来。ヘタなドラマ見るより百倍面白く、熱い。先日のWings-Bandits戦の記事で紹介したベテラン、生ける伝説、42歳にして未だリーグトップに君臨するスコアラー、闘う数学教師#11 John Tavaresや、RBKのCMで活躍中のボンバーヘッド#9 Mark Steenhuisもフィーチャーされている。

先日NLLコミッショナーのGeorge DanielがInside Lacrosse Podcastに背景と意図を語っていた。
  • 今後NLLをスポンサーやTV局に売って行く中で、NLLのコンテンツとしての魅力をきちんと伝えて行く必要があった
  • もちろん既存の試合中継やウェブサイトも一つのチャネル/商品だが、それだけでは伝えきれない魅力をプロのプロダクションによって切り取ってきちっと見せたかった
  • また、特に表面的に見られる試合だけではなく、そこに向けての準備、ロッカールームの様子など、裏側(behind the scene)を見せる事でこそ真の魅力を伝えられると思った
とのこと。

確かに、僕自身もこれを見て初めて、NLLの選手や監督が裏でどういう気持ちでやっているのか、どういう言葉をやり取りしているのか、どうやって試合の準備をしているのかをかいま見る事が出来た。非っっっ常に興味深い。

そして、カメラワークや画質や曲など、今まで見て来たラクロス関連のコンテンツの中でももしかしたらこれが最高かも知れないというくらい高い完成度。テレビ放映に耐え得る出来。これを見てますますNLLの持つ魅力に取り憑かれつつある。興味有る方は是非チェックしてみて下さい。NLL DVDを見る上での感情移入や学びがenhanceされること間違い無しなので。

これまで再三述べて来た通り、僕自身は、ラクロスをより一般の視聴者/消費者に売り込んで行くには、アウトドアよりもインドアの方が向いていると考えている。スピード感が全く違う。一言で言うと、「解り易い」。一方で、アメリカでの知名度ではインドアは数段落ちる。下手をすると、YoutubeでNLLを動画検索をすると真っ先に乱闘シーンが出てくる等、マイナスの部分だけが先行して伝わってしまっていた感すらある。

価値訴求の要素を「コンテンツ(中身としての面白さ)」×「デリバリー(それをどれだけ上手く伝えるか)」に因数分解すると、要は後者の問題。せっかく前者でいい物を持ってるのに、それが上手く伝えられていない/知られてない/誤解されているという宝の持ち腐れパターン。その後者の要素にIMGが介入してこうやって賢く売り込んで行けば、必ずブレークスルーに繋がる気がする。

第一話
開幕戦に備えるチーム。ボンバーヘアーのSteenhuisのお調子者っぷりがウケる。また、鬼軍曹で有名なDarris Kilgourのpep talk(檄)が凄い。また、20年の経験を持つJohn Tavaresが如何にチームの技術的/精神的支柱になっているかが伺い知れる。Dの#15 Chris Corbeilがイケメン過ぎて引く。練習前のリラックスした雰囲気と練習中の張りつめた緊張感のギャップ。「チームビルディングが肝。家族の様に絆を作って行く」という選手の言葉、厳しく叱りながらもいいプレーはきちっと褒め、笑顔とユーモアも忘れないKilgourのコーチ力の高さが印象的。

第二話
開幕戦、アウェイのRochester Knighthawks戦。怪我と戦うJohn Tavaresの姿など、裏側の「人間」が見えて非常に面白い。アメリカ/カナダのプロチームのコーチがハーフタイムのロッカーでどういうことを言っているのかなどの舞台裏が見られる。Darris Kilgourに比べればどんな鬼コーチも仏に見える...「It's good to be hated!嫌われてなんぼだろ!?アウェイ上等じゃねえか!」という熱い言葉が飛ぶ。

第三話
敗戦後のロッカーで「『だってあいつがボールくれないから』とか言ってんじゃねえぞボケぇ!?てめえはチームの為に何かやったのかよ!?おお?!コラ」と。その後の練習で、「Rochesterの奴らはお前らの顔思い浮かべて笑ってんぞ!?あいつらならカモれるって喜んでんぞ!悔しくねえのかよ!?おお!?」。高いレベルで実力が拮抗し、シーズンが長く、同じチームとも複数回試合をし、勝ち点ベースで上位半分以上がプレーオフに行くプロリーグでは、負けを経験しないことは有り得ない。こうやって負けた後にしっかりフィードバックして如何に心技体を立て直せるかが肝になってくる。「変化を見る」心のマネジが非常に解っているチームに見える。

第四話(最終回)
引き続き怪我と付き合いながら一人黙々と別メニューをこなすTavares。今すぐに復帰してチームを助けたいTavaresと、下手に無理をさせて支柱の彼を長期的に失いたくないコーチのせめぎ合い。「I don't wanna lose you.」とエースへの信頼と愛情をきちんと言葉に出して伝えるKilgourのacknowledge力の高さが感じられる。雪辱を掛けてホームで宿敵Knighthawksとの再戦に挑むチーム。

これを見てNLLにますます惹き込まれつつある。IMGのマーケティングが着実に何かを変えつつある。今後がますます楽しみになって来た。

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個人的に、この手の、裏事情や、人や組織の普段人に見せないダメな部分や試行錯誤してる部分をリアルに見せる本や番組/映画にobsessiveな程の魅力を感じて見入ってしまう。決してハッピーエンディングでも無く、無駄なカッコ付けも無い素の素材。作りものを越えたドラマや感動があるのと、感情移入し易く、学ぶ事が多いからだろう。なぜかこれを見て思い出されたのは以前渋谷の(今や絶滅危惧種の)ミニシアターで見た、車椅子ラグビーのMurderball。大笑いして泣ける。

いたる@13期

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