2012年1月31日火曜日

NCAA 2012 Season Preview #16 Princeton

92年から01年までの10年間、偉大なコーチBill Tierneyの下で実に6回の優勝を果たし、文字通り帝国を築いたPrincetonも、時代の変化によりリクルーティング等で苦しみ始め、ここ10年は凋落の一途。一昨年にBill TierneyがDenverに移籍してからは明らかに戦術も混乱し、苦しんでいる。

去年もPre-Seasonで上位にランクされながらも、まさかの4勝8敗、プレーオフにすら出られず終わってしまった。

DF陣とGには強力な上級生メンバーがいるが、如何せんOFが薄い。加えて、柱だった選手が怪我に倒れるという不運にも見舞われた。泣きっ面に蜂な事に去年エースだったAT Jack McBrideは去年は怪我でシーズンを棒に振り、今年は卒業して大学院生(ビジネススクール)としてUNCでOF MFとしてプレー...

鉄壁DFで得点を許さず、でも得点出来ず、のロースコアな試合連発しまくりそう...

現役選手のMFの皆さんに是非注目して頂きたいのは、#22 MF Tom Schreiber(トム=シュイバー) (2年)。去年一年生ながら突出した活躍。特に、ラクロスIQの高さ、ボールを貰う前の視野と判断、両方に抜けて両手で鬼シュートを少ないステップ/クレードル数で打てる技術等、DF等、参考にすべき点が多い。


  • やはり注目はDF。#9 Chad Weidmiaer (4年)は鉄壁。MLLドラフトでは7位でHamilton Nationalsに指名。
  • G #6 Tyler Fiorito (4年)は鳴り物入りで加入したBill Tierney時代の申し子ゴーリー。MLLでは10位でChesapeake Bayhawksに。SyracuseのJohn Gallowayが卒業した今年は大学最強ゴーリーか。
  • オフェンスが大苦戦。
  • #22 MF Tom Schreiber (2年)は去年一年生で明らかに一人突出してハイレベルなプレーを見せた。
  • 今年も怪我無く実力を発揮出来れば、上位が狙える可能性も無くはない。

2012年1月30日月曜日

NCAA 2012 Season Preview #19 Harvard

日本人の皆さんも馴染みのあるザ名門校、Harvard。現Maryland HC John Tillmanの下、規律ある手堅いチームを作って来た。

Cornellと同じく、Ivy Leagueの一段厳しい学問面でのハードル(入学時の成績、リーグ戦に出場する為の成績、卒業するための成績)を課されながら、一段落ちる素材(サイズ、身体能力)をベースに、賢く、効率的チームを作り、加えて強くて揺らがぬメンタルで、個の力だけでなくチーム全体/組織として勝つ、というスタイルで善戦を納めて来ている。

限られたリソースを如何に鍛えて戦力を最大化し、ポテンシャルを限界まで使い切り、入学時の素材で勝るチームに勝つか。観戦に当たっては、戦術的にも非常に見所/学びどころが多い。コーチや玄人好みのチームか。

(ちなみに、先日のラクロス観戦視点からのMBA留学の記事でも紹介した通り、Business Schoolとしてのレベルもトップクラスな上、HarvardとMLL Boston Cannonsの試合が見られるのでベスト。)


  • 去年躍進。Ivy League準優勝。
  • 上級生と下級生のバランス良し。
  • 4年生MF #10 Kevn VaughanはMLL 14位指名のオールラウンドMF
HCで、John TillmanがMarylandに移籍した後の後釜、Chris Wojcik
  • エースは不動の4年連続スターターで得点源#23 Jeff Cohen。

2012年1月29日日曜日

NCAA 2012 Season Preview #20 Penn State

今年もILで2月中旬の開幕に向け、元Hopkins MFのMark Dixonと同じくGのQuint Kessenichが各チームを分析/解説してくれている。いくつか注目したいチームに絞って紹介。

一発目はPre Seasonで20位のPenn State。アメリカを代表する州立マンモス校の一つ。アメフトの名門、と言うか古豪。が、2011年の暮れにアシスタントコーチによる少年虐待(しかも長期間に渡って相当数の子供を、アメフトキャンプを利用してレイプ)が発覚し、全米のメディアの注目を浴びる大学スポーツの歴史に残る大きな汚点となるスキャンダルに発展。次いで伝説的ヘッドコーチでもあるJoe Patternoが辞任し、数ヶ月後の先週、ショックも有ってか、肺癌で息を引き取ってしまった。85歳。何とPenn Stateでコーチをしていたのは1950年からの62年間...

一方のラクロスは、去年NCAA Men's Lacrosse若手筆頭コーチJeff Tambroni氏がCornellから電撃移籍。グイグイと力を付けつつ有り、今後注目のチームに。今後Tambroni氏のリクルーティングによる選手が入学してくる。Penn Stateは知名度もあり、学校としての規模も圧倒的に大きく、Cornell始めIvy Leagueの学校と比べると、学問的ハードルが低く、より多くの選手に奨学金の間口が開かれることになる。加えて大学が全面バックアップを表明しており、非常に期待出来る(現にレスリング部も数年前に大学最高と言われたコーチをIowa Stateからヘッドハントで引き抜き、一気に全米トップに躍進)。今後7-8年の時間軸で、どこかのタイミングでFinal 4に絡んでくる日が来るのかも知れない。

ユニフォームが濃紺と白のみで、シンプルで綺麗で渋カッコいい。

今年の見所は...

  • 一昨年たった2勝だったチームは去年一気に7勝に。
  • Under Armor All America出身の1-2年生もちらほらおり、徐々に強豪校へと成長を遂げつつある
  • 特に、2年生Gに注目
  • でも、多分リーグ戦はTV放映なし。
  • 今年はプレーオフを狙える位置に付けている。
HC Jeff Tembroni氏のインタビュー。
  • やはり去年は一年目で選手もコーチ陣もお互いにになれる為の年だった
  • 上級生から下級生まで程よいミックス

2012年1月28日土曜日

NCAA 2012 ESPN放送スケジュール

2012年のNCAA Men's LacrosseのESPNでの放映スケジュールが発表された。(リンク

今年は去年よりもESPNでの放送試合数が増えている。(多分CBS College Sportsで放映していたいくつかの試合がESPNに移っている。)特にACCの準決勝がESPNで放映されるのが非常に有り難い。

こうやって2012年のシーズンの事を書くにつれ、少しずつ盛り上がって来た...気付けば開幕までもう数週間...目を閉じるとあの準決勝、決勝の熱い映像、音、空気が蘇って来る。

しかし、こうやって見ると例年通り特にシーズン頭のJohns Hopkinsへの肩入れっぷりが凄い。SienaはまだしもManhattanの試合なんて数字取れるんか?と。コメント欄では毎年「ESPNの解説者で卒業生のQuint Kessenichが裏で操ってるんじゃないか?」等と文句が書かれるが、まあ、年配の方にファンが多くて、やはりニーズがあると言う事なんだろう。あとESPNのクルーがBaltimoreに拠点が近くてアクセスがいいから?まあそれでも、落ちぶれていた一昨年は苦痛だったが、今年は普通に優勝候補の一角なので、普通に見たい。

ESPN Network’s 2012 NCAA Division I Men’s Lacrosse Regular-Season Schedule
(Schedule subject to change; all times are Eastern)

* ちなにESPN3はTVではなく、インターネットでのオンライン放送

Fri, Feb 17 - 5 p.m. Towson at No. 4 Johns Hopkins ESPNU
  • Towsonは毎年中堅だったが、今年からHopkins 01でMLL Chesapeake Bayhawks, NLL Philadelphia Wingsで活躍し、フィールド/インドア双方でUS代表DFを勤めたShawn Nadelenがヘッドコーチを勤めている。32歳でのNCAA Division 1のヘッドコーチは破格の若さ。JHUのCoach Petroと同じ、Hopkins DFの系譜。今後数年での躍進に期待したい。
Sat, Feb 18 - 1 p.m. No. 2 Duke at No. 9 Notre Dame ESPN3

Tue, Feb 21 - 5 p.m. Delaware at No. 4 Johns Hopkins ESPNU

Fri, Feb 24 - 7 p.m. No. 8 Maryland at Georgetown ESPN3

Sat, Feb 25
 - noon Stony Brook at No. 1 Virginia ESPN3
 - 3 p.m. Siena at No. 4 Johns Hopkins ESPNU

Fri, Mar 2 - 5 p.m. No. 4 Johns Hopkins at No. 16 Princeton ESPNU

Sat, Mar 3 - 1 p.m. No. 2 Duke at No. 8 Maryland ESPN3
  • これはテレビ放映して欲しかった...
Sun, Mar 4 - 4:30 p.m. No. 7 Syracuse at No. 1 Virginia ESPN / ESPN3
  • 去年は激アツな一戦になったカードだが、今年はCuseが大幅にメンツ落ちしてしまっている。そうは言っても腐っても鯛。どうなるか。去年はCuseのCarrier Domeだったが、今年はVirginiaで。
Tue, Mar 6 - 7 p.m.* Manhattan at No. 4 Johns Hopkins ESPNU
  • これ、いる?の典型だ...そんなニーズありますかね?...
Sat, Mar 10 Konica Minolta Face-Off Classic (Baltimore):
 - 11 a.m.No. 16 Princeton vs. No. 6 North Carolina ESPNU
 - 1:30 p.m. No. 3 Cornell vs. No. 1 Virginia ESPNU
 - 4 p.m. UMBC vs. No. 4 Johns Hopkins ESPN3
  • これ、見に行こうか、家でテレビで見ようか...迷う所だ。UNCの追っかけファンとして行くべきか。
Fri, Mar 16 - 5 p.m. No. 6 North Carolina at No. 2 Duke ESPNU
  • 地元ライバル対決。会場で見たい。
Sat, Mar 17
 - 2 p.m. No. 14 Penn at No. 16 Princeton ESPNU
 - 4 p.m. No. 7 Syracuse at No. 4 Johns Hopkins ESPNU
  • これもカードとしては、紙面上は、名前的には熱く見えるが、Syracuseが若返りの年だからなー。どうなんだろう。
Sun, Mar 18 - 1 p.m. No. 5 Denver at No. 9 Notre Dame ESPNU

Sat, Mar 24
 - noon No. 8 Maryland at No. 6 North Carolina ESPNU
  • こっれも熱いっしょ。
 - noon No. 2 Duke at Georgetown ESPN3
 - 2 p.m. No. 4 Johns Hopkins at No. 1 Virginia ESPNU
  • これもやばいでしょ。
Sat, Mar 31 - noon No. 1 Virginia at No. 8 Maryland ESPNU
  • 去年の決勝の顔合わせ。相当熱い。Marylandは若返りの年だが、そうは言っても層は厚い。
Sun, Apr 1 Konica Minolta Big City Classic (East Rutherford, N.J.):
 - 1 p.m. No. 9 Notre Dame vs. St. John’s ESPN3
 - 4 p.m. No. 2 Duke vs. No. 7 Syracuse ESPNU
 - 6:30 p.m. No. 6 North Carolina vs. No. 4 Johns Hopkins ESPNU
  • 後ろ2枚は去年と同じカード。見てえなー!
Fri, Apr 6 - 6 p.m.* Albany vs. No. 4 Johns Hopkins ESPNU
  • 何気に注目。AlbanyのIroquois軍団。特にJeremyの弟2人&従兄弟のThompson一家。
Sat, Apr 7 - noon No. 1 Virginia at No. 6 North Carolina ESPN / ESPN3
  • これもアツ過ぎ。
Fri, Apr 13 - 6 p.m. No. 2 Duke at No. 1 Virginia ESPNU
  • あーこれもやばい。今年も相当ACCヘビー。
Sat, Apr 14 ESPNU Warrior Classic (Charlotte, N.C.):
 - 11 a.m. Rutgers vs. No. 7 Syracuse ESPNU
 - 1:30 p.m. No. 11 Hofstra at No. 6 North Carolina ESPNU
  • お、これ家から近いので見に行きたい。毎年SyracuseがRutgersを粉砕しがち。でも今年は2枚目のHofstra-UNCが相当あちい。
 - 6 p.m. No. 8 Maryland at No. 4 Johns Hopkins ESPNU

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Fri, Apr 20 ACC Men’s Lacrosse Championship (Charlottesville, Va.):
 - 5 p.m. Semifinal #1 ESPNU
 - 7:30 p.m. Semifinal #2 ESPNU
  • ACC TournamentのSemiをテレビでやってくれるのは有り難い!NCAA Final 4並みに豪華過ぎるカードなのに去年はオンライン放映だけだったので。
Sat, Apr 21
 - 3 p.m. Georgetown at No. 7 Syracuse ESPNU
 - 5:30 p.m. No. 9 Notre Dame at No. 10 Villanova ESPNU

Sun, Apr 22 - 3 p.m. ACC Men’s Lacrosse Championship (Charlottesville, Va.): Final ESPNU

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Fri, Apr 27 Mile High Classic (Denver, Colo.):
 - 7:30 p.m.  No. 1 Virginia vs. No. 14 Penn ESPN3
 - 10 p.m. Duke at Denver ESPNU
  • 今最も爆発的にラクロスが発展しているDenverでUVAとDukeが。この集客イベントも今後発展して行きそう。
Sat, Apr 28
 - 5 p.m. No. 7 Syracuse at No. 9 Notre Dame ESPNU
  • 去年はかなり熱いカードだったが、今年はちとレベル落ちるか。
 - 7 p.m. No. 3 Cornell at No. 16 Princeton ESPNU

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Thu, May 3 BIG EAST Men’s Lacrosse Championship (Villanova , Pa.):
 - 4:30 p.m. Semifinal #1 ESPNU
 - 7 p.m. /10:30 p.m.* Semifinal #2 ESPN3 / ESPNU*

TBD ECAC Men’s Lacrosse Championship (Site TBD): Final ESPN3

Fri, May 4 Ivy League Men’s Lacrosse Championship (site of regular-season champion)
 - 5 p.m. Semifinal #1 ESPN3
 - 8 p.m. Semifinal #2 ESPN3

Sat, May 5
 - noon BIG EAST Men’s Lacrosse Championship (Villanova , Pa.): Final ESPNU
 - 2 p.m. Army at No. 4 Johns Hopkins ESPNU

Sun, May 6
 - 10 a.m. America East Men’s Lacrosse Championship (campus of highest seed): Final ESPNU
 - noon Ivy League Men’s Lacrosse Championship (site of regular-season champion): Final ESPNU

* - tape delay; rankings from Inside Lacrosse Preseason Poll

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For the sixth straight year, ESPN networks will provide exclusive coverage of all 15 games from the NCAA Division I Men’s Lacrosse Championship. Coverage will be in high definition across ESPN, ESPN2, ESPNU beginning Saturday, May 12 and concluding with the national title game on Monday, May 28. ESPN3 and ESPN Mobile will also feature select games. In addition, the NCAA Division I Women’s Lacrosse Championship semifinals and national title game will be aired on ESPN networks on Friday, May 25 and Sunday, May 27.

2012年1月27日金曜日

IL Podcast Michigan HC John Paul Interview

東大ラクロス部と10年に渡り人材交流を続けて来たMichigan大学ラクロス部Wolverines。先日での記事でも報じた通り、ここ数年MCLA(非体育会リーグ)で敵無しの強さを誇って来たが、遂に2012年から待望のNCAA Division 1入りを果たすことになった。

アメリカのラクロスコミュニティでも、相当久しぶり、というか、記憶にある時間軸の中では恐らく初めてのバスケ/アメフトの名門でもある超有名大型校の久々の参戦に、多いに期待と注目を集めている。アメリカで爆発的に急拡大/急成長を続けるこのラクロスというスポーツの勢いと人気を象徴する出来事とも捉えられている。2012年のプレシーズンランキングでは61チーム中48位の評価を受けており、体育推薦&奨学金無しの現メンバーとしてはそこそこいい評価。

ILの雑誌の方でも先月トップページで特集が組まれていた。(リンク

そんなMichiganのHC、東大にも何度も来て頂いたJPことJohn Paul氏が先日IL Podcastでインタビューを受けていたので、その内容を紹介。(ILの記事のリンク)彼の人となり、知性とインテグリティ、そしてリーダーシップと信念が垣間みれるインタビューだった。

ちなみに去年4月のNCAA入りの記事、及び、一昨年12月に書いた、実際にMichiganがNCAAに入ったらどのくらい強いかの記事

以下、印象に残った/学びのあった点に絞ってピックアップ。

Q. 一般に、MCLAからNCAAに加入するのは非常に難しく、多くの学校でその噂が立ち、消えて行った。どういう経緯で、どうやってNCAA入り、体育会化を成し遂げる事が出来たのか?

自分は14年前にコーチに就任した。当時は、まあ、もちろん、いつかNCAAに加入出来たらいいなとは思っていたが、まさか本当に加入出来るとは思っていなかった。それが実現されて感無量。

ただ、内容的にはチームとしては既に何年か前から非常に高いレベルの組織、施設を土台にチームとして活動して来ており、ここ数年は実際に非常に完成された強いチームを作り上げ、実際にMCLA連覇や無敗シーズンなど結果も出るようになって来ていた。

従って、自分としては既に中身としてはいつNCAAに入ってもおかしくないレベルまで来ていたと考えており、後は形式上の話だった。パズルの最後の一ピースは、2010年の頭に当時不振に陥っていたMichigan大学の体育会を立て直すべく新しく就任したAthletic Director(AD: 体育会部門のディレクター)である(元Domino's PizzaのCEOでもある新進気鋭のビジネスリーダー出身者)Dave Brandon氏(リンク)で、彼が正式にGo-signを出した事が最後の引き金だった。

(ちなみにこのDave Brandon氏、Michigan大学の卒業生で、Marketing会社のCEOを勤めた後、Bain Capitalに買われたDominoのCEOとしてTurn-around/Value-upに成功し、IPOを成し遂げている。つまり、全米トップクラスの優秀なビジネスリーダーと言う事。その彼がビジネスのフィールドで培って来た知恵とリーダーシップを買われ、凋落するMichiganの体育会の立て直しに向けて、白羽の矢を立てたと言う事。今後恐らくドラスティックで合理的な改革がガンガン行われて行く筈。アメリカのトップクラスのリーダー達は本当に引くぐらい優秀。今後どんな打ち手を打ってくるのか非常に楽しみでもある。)

Q. 資金とかどうしたのか?学校にとってはリスクを伴う大変な意思決定じゃなかったのか?

ハッキリ言って、Michigan大学のADは、全米でも恐らく最も注目され、責任の重い、大変な仕事。そんな中に飛び込んで、即座にいろんな情報を集め、思い切って意思決定したDave Brandon氏の能力と勇気とリーダーシップに感謝と尊敬の念を抱いている。これは決して簡単な仕事ではない。

ただ、チームとしては驚く程、揃えるべき物は全て揃っていた。非体育会のクラブ(日本で言う所のサークルとか準体育会のイメージ)としては例外的に長い歴史を持ち、選手、卒業生、家族から、情熱/想い、そして資金面での極めて手厚いサポートを受けており、いつでも飛び込める準備はできていた。

(これはMichiganラクロス留学をしたメンバーは恐らく身を以て体感した上で重々ご存知の通りかと。)

Q. これまで、実際にNCAA入りが決定した後の、秋学期、そしてリクルーティングはどう?上手く行ってる?

これまでのチームのフォーカスは明確に、Building Division 1 culture。Div 1として恥じないだけのチームの組織文化、規律を作り上げる事。これまではMCLAでは恐らく達成する事の出来る限界のレベルまで高める事が出来たと自負している。だが、それはやはりMCLAでの話。これから我々はハードコアで厳しいNCAAというトップレベルの戦いの中に足を踏み入れる。これまでとは違ったもう一段上のレベルの組織へと進化する必要がある。

特に一年目は関係者やファンにとっても、自分たちにとっても、first impressionを決める事になる極めて大事な年。それなりの物を見せたい。

ここまで選手たちはDedicated(真剣に努力してくれている)。全力でやってくれている。

一方で、長い目で物事を見る事も大事で、今年が全てではなくて、本当に大事なのは将来的に成長/成功して行くための土台を作る事。そのための準備段階としての意味合いも強い。


Q. 具体的に何をやって来たの?

まあ、自分は実際体育科で働いて来た訳で、Athletic Departmentの意思決定や活動に20年近くinvolvedされてきた。実際にアメフトやバスケを始めとしたtop versity(体育会の一軍)のプログラムを見て来ており、それらがどう運営されているかは良く解って来た。要はそれをやって来ただけ。We are pretty well prepared。


Q. 今はシーズンに向けてどうやって準備してるの?

とにかく大事なのは、Hard, passionate, smart lacrosseをやる事。
当然NCAAの体育推薦&奨学金で集められている強豪校を相手にプレーする上で、自分たちに取っての生命線は、ミスをいかに少なくするか。如何にスマートに(賢く、効率的に)プレーするかに掛かってる。

(これ、東大/京大始め国立系/非体育推薦系チームと超共通ですな。(集められ得るベストの人材を質量共に集めきる前提で)身体能力と技術を限界まで磨ききった上で、賢く、効率的に、効果的に、ミスを少なく、そしていい意味で狡猾に、プレーする。無駄な事や、バカなことや、勿体ない事はしない。そして、熱さ、一生懸命さと両立させ、そのプロセスを存分に楽しむ。)


Q. リクルーティング(日本の新歓のイメージとは異なり、高校生選手の体育推薦獲得合戦の話)はどう?

ここまで思った以上に上手く行ってる。やはりMichiganという学校そのものの学業、ブランド、歴史、施設、環境の素晴らしさ、学校による手厚いサポートがあり、それが多くの高校生選手たちにとって魅力的に映っている。

今年は正直リクルーティングシーズンの後半に遅れて参入したが、それでも尚、かなりいい手応えを感じている。

まあ、数年後には間違い無くトップレベルでNCAA Division 1の強豪校とリクルーティングでやり合えるようになるだろう(優秀な高校生選手の争奪戦で勝てるようになってくるだろう)。

(この点、やはり予想はしていたが、正直ここ数ヶ月のMichiganが獲得した高校生のリストを見る限り、正直予想以上に上手く行っているように見える。コミットを決めた高校生達のコメントを見るとやはり一様に、Michiganの学校としての素晴らしさ、施設や環境の良さ、学問面での強さ、加えて、JPを始めとしたコーチ陣の魅力を上げている。若くて知性とリーダーシップに溢れるJPは恐らく今のラクロスのリクルーティング戦線の中でも一際目立っている筈。)


Q. 同様にMCLAからNCAA入りを目指すチーム、クラブから体育会への昇格を目指すチームは全米に多くある。彼らはMichiganの事例から何を学ぶべきか?いいプログラムを作るためにどうすればいいか?大学の体育会部門から注目/興味を引き出すにはどうすればいいか?

一つ言えるのは、「優れたプログラム(チーム)を作る」事こそが本当の目的だと言う事。逆に言うと、下手に中身が伴わないのに一生懸命Athletic Department(体育会部門)の気を引こうと宣伝活動をした所で無益だ。それが目的だと決して上手く行かないだろう。とにかく素晴らしいプログラム、強いチームを作る事がultimate goal。そうすれば自ずと道は開ける。

Michiganも同様で、自分たちはひたすらいいプログラム/チームを作る事だけに集中してきた。そして、それが達成出来たから、結果として大学側の目に留まった。

(これ、逆説的で非常に面白い。やはり、ちゃんといいものを作れば、それだけのアテンションは自然と集まるという話。それも出来てないのに売り込んだって上手く行かないぜって話。)


Q. それらの他の学校にも共通してる事、Michiganと同じ様に利用出来る事って何かある?

一つ明確に言えるのは、今アメリカに於いてラクロスが明確に強力な追い風の中に有ると言う事。そして、どの大学でも、Athletic Director達は、それを明確に認識していると言う事。彼らは完全にビジネスマン。そして、全うなビジネスマンであれば、今のアメリカの状況分かってる。ラクロスが数少ない急速に拡大してるスポーツであると言う事、将来の金脈になり得ると言う事は強く、広く認識されている。その辺のマーケティングとビジネストレンドは良ーく分かっているはず。

もちろん、今の時点でアメフト/バスケ程のbig time sportsじゃないが、成長率は最も高い。可能性は最もある。


Q. Michiganは今後どうなっていくと思う?

この学校のリソースはincredible。これだけの規模の大きな大学で、且つこれだけ手厚く施設や環境面でサポートしてくれる体育会はなかなか無い。今まででも、チーム作りに向ける活動/投資に関して提案して、大学側からNoと言われた事ほとんど無い。つまり「Let's do it.(やってよし)」としか言われた事がない。アメフトのMichigan Stadiumも使っていいし、トレーニング施設も使っていいし。

ADがLacrosseがnational sportsになると思ってるし、Michiganでメジャースポーツになると描いているからこそやってくれている事だと思う。

Q. JP、あなた自身の事についてもうちょい教えて?

自分のキャリアは結構普通じゃないと思う。言うなれば、「Accidental Coach(たまたまそこにいたからなっちゃったコーチ)」って言ってもいいかも。

元々自分はラクロスを始めたのは遅く、大学のサークルでプレーし始めた。で、途中でMichiganにトランスファー(転校)し、ラクロスクラブに所属した。そこで歴史のあるクラブで多くの事を学び、成長し、ラクロスにはまった。

(この話も面白い。大学からだったんだ...しかし、VirginiaのDom Starsiaもそうだし、結構大学から初めてラクロスに完全にハマり、コーチになったパターンが意外と多い事に気付かされる。何か、二十歳前後の若者を虜にさせる何かを持っているスポーツなんだなと改めて思わされる。あと、ラクロスの盛んではないOhio出身で、高校でラクロス部を作り、Ohio StateからUMBCに転校し、今やDenver Outlawsのエースにまで上り詰めたPeet Poillionの話にも似ている。ラクロス盛んじゃなくても、好きだったら一流になれるんだなって言う。)

実は元々卒業後はLaw schoolに行って弁護士になろうと思っていた。ところが、当時丁度ラクロスクラブのHCが辞めることになって、人を探しており、当時の選手たちにコーチになってくれとせがまれて、まあ、2年限定なら、と就任したのが15年前。で、どんどんはまり、気付けばいつのまにかフルタイムの仕事になってしまっていた。

正直自分が今のキャリアを歩むことができたのは、妻が支えてくれたから。自分は最初何年も、無償でコーチをやっていた。それを受け入れてくれ、経済的に支えてくれた妻の存在が無ければ今のMichiganラクロス部は無かった。今回のラクロス部のNCAA入りも、実は影の功労者は自分の妻だと思っている。

(なんとも胸が熱くなる話だ。自分が好きな事のために、自分の好きな仲間のために、目の前の事に没頭して、気付いたら全米最高のMCLAチームにまで上り詰め、ついにNCAA入りを果たしたと言う話。でも、恐らくこの物語はまだ第一章が終わったに過ぎないように見える。今後JP率いるMichiganが伝統溢れるNCAA Division 1 Men's Lacrosseの世界で台風の目となり、革命を起こしてくれる事を期待してやまない。実際に女子のNorthwesternのHC Kelly Amonte Hillerは全てのラクロス関係者の期待を大きく大きく上回る形でそれを成し遂げた訳で(参入から10年で5連覇を含む6回全米制覇)。


まあ、今年は散々ボコられて2-3勝止まり、3年掛けてやっと形になり、5年後からが本当の勝負、10年でトップを狙えるか、みたいな時間軸だとは思うが、気長に見守って行きたいと思う。Go Blue!)

2012年1月26日木曜日

HeadWrapz Helmet: US Lacrosse Convention

ILに先週Phillyで行われていたUS Lacrosse Conventionの写真がいくつか掲載されていた。

その中で印象に残ったのが、過去にも何度か記事を転載してきた、HeadWrapzによるヘルメットのステッカー/フィルム。

ピンポイントでラインやロゴを貼る既存のラベルではなく、メット全体をバチッと覆ってしまうアプローチにより、より大きくてダイナミックなデザインが可能になっている。

スノーボードやスケートボードのカッティング使い、もっと言うとdeck(上面)の柄のデザインの方向性にかなり近くなっている。昔のCascadeと違い、Pro 7、及びWarriorのTII以降、visorと本体が一体で成形されるヘルメットが主流になりつつあり、この手の大きなステッカーが使い易くなって来ている。恐らく今後この流れが強くなって行くんじゃないだろうか。改めて、デザイン/テクノロジー/素材の進化って素晴らしい。

今回はMLL、及びNCAAの各チームのデザインをあしらった物がいくつか。

ちなみにこれらのデザインのHeadWrapz、1月末に一般発売されるらしい。Kidsなんて大喜びで貼るはず。

リンク①。Cannons, Outlaws, Houndsのメット。かっけえ...

リンク②。下の方のLong Island LizardsとChesapeake Bayhawksのメット。明らかに他チームのものよりもでかくてダイナミックでカッコいい。

リンク③。こちらはNCAAのメットを紹介。下の方のJay(カモメ)がでかく入ったHopkinsのメットと、Dukeのメット。

2012年1月16日月曜日

ラクロス映画「Crooked Arrows」vol.02

Official Trailer(予告編)が公開。


Native Americanの地元、Onondaga Nationの高校生チームに新コーチが赴任。やんちゃな選手たちを鍛え上げてエリート金持ち高校と優勝掛けて戦う、という話。

経験者を使っているので、試合でのプレーの映像にも違和感が無い。BTB (Behind the Back)、Over the head check、Behind the back dodgeなど、結構普通にカッコイイ技がふんだんに盛り込まれている。春に公開との事。米国内でも急速に普及/発展を続けている数少ないスポーツ。やはりそれだけの注目(と資金)を集めつつあると言う事だろう。

ちなみに、個人的には前回のUnofficial Trailerの方が好き。過去のスポーツ映画の名作を回想させてくれる。(リンク

2012年1月15日日曜日

MLL 2012 Collegiate Draft

今週末Philadelphiaで行われているUS Lacrosse Convention(ラクロス展示会/トレードショー)に合わせて今週末に行われたMLLのCollegiate Draft 。その結果がILに掲載されていたので紹介。(リンク

ちなみに去年の記事はこちら

去年に引き続きNCAA開幕直前の1月に、最終学年として最後のシーズンを戦う前の時点の4年生を指名。(去年の記事にも書いたが、意図としては、これまでのNCAAシーズン週力直後、MLLシーズン開幕直後、4年生の卒業直前の6月のタイミングだと、選手も準備出来ないし、チームもシーズン中に大量入れ替えをせねばならず、いろいろ不都合が多かったので、その解消と、加えてlacrosse関連の話題の閑散期となる1月にファンの関心を繋ぎ止める事等。ちなみにNFLがそのやり方で成功している。)

実際の指名結果は下記。重要なところだけ。

再三書いて来ているが、今後のMLLやUS/Canada代表を背負って立つメンバーがごろごろいてお互いに切磋琢磨している代だった去年とは打って変わり、今年は上位数人は飛び抜けているが、その他は一気にタレントプールの質/量が落ちると言われて来た。

実際に顔ぶれを見てみると、確かにMLLで中心になってくるな、というメンバーは、どうでしょ、1巡目、2巡目くらいまでだろうか?3巡目くらいからおよっという感じになってくる。まあ、下位でも化ける選手は出て来るはずなので一概には言えないが。

全体的にAthlete(サイズと身体能力、つまり素材としての潜在能力が高い選手たち)が多いDukeの上位指名が多いのが目立つ。また、中堅校/無名校からそこそこ高い順位で指名されている「埋もれたダイヤの原石」系の選手もちらほら。

ちなみに、直前の指名権とのトレードで動きがあったのが下記。
  • Jovan Miller (MF, Syracuse 11)がHamiltonからCharlotteへ(これによりCharlotteは既にMLLで証明された選手が更に集まってしまった。ガチで優勝を狙える。)
  • Max Seibald (MF, Cornell 09, US 10)がDenverから地元のLong Islandへ。これは単純に地元でプレーしたいという本人の意向も有っての事だろう。これによりDenverは完全に違うチームへと変化しつつある。ある程度今年は捨てて再建する積もりなのか?

ROUND 1

1. Long Island (from Charlotte): Rob Pannell, attack, Cornell
  • まあ、そうなるよね。そら。SteeleよりはPannellのが使えると踏んだんだろう。DinoがCharlotteに行っていなくなったので、新たな大黒柱候補に。
2. Ohio: Steele Stanwick, attack, Virginia
  • どうなるかだなー。どれだけMLLで今の活躍が維持出来るのか?抜けるか?ロングシュート決められるか?当たりに耐えられるか?しかもOhioは暫く低空飛行スタートを余儀なくされる。数年惨めな感じになる予感。
3. Rochester: Mike Manley, defense, Duke
  • 身体能力がもう。
4. Denver (from Long Island): Mark Matthews, attack, Denver
  • これは完全にDenverラインですな。地元のCanadianヒーローをそのまま。
5. Chesapeake: CJ Costabile, LSM, Duke
  • いい選手っすよ?便利っすよ?FOも出来るし。走れるし。スタミナ無尽蔵だし。だが、5位か?サイズ、スキル、トランジッション誘発力、オフェンス力、全ての面で超一流という感じはしない...例えば去年のJoel White (Syracuse)とかBrian Karalunas (Villanova)とかRyan Farrell (Maryland)とかの強力なLSM陣と比べると明らかに一段落ちる。
6. Denver: Colin Briggs, midfield, Virginia
  • 便利。走れる。頑丈。
7. Hamilton: Chad Wiedmaier, defense, Princeton
  • 彼が何気に一番長寿で使える選手ってことになる気も。
8. Ohio (from Boston): Robert Rotanz, midfield, Duke
  • Duke MF強し。

ROUND 2

9. Charlotte: Justin Turri, midfield, Duke
  • ナイス!地元Duke。シュート力高し。身体能力もサイズも○。
10. Chesapeake (from Rochester from Ohio): Tyler Fiorito, goalie, Princeton
  • 正ゴーリーとして長く君臨する予感。
11. Rochester: Roy Lang, midfield, Cornell
  • 3年生になってぐいぐい伸びて来た。しかも未だ成長余地を感じさせる。4年のシーズンにもう一歩上の次元に行ければ、11位での指名が大当たりと言うことになりかねない。
12. Hamilton (from Long Island): Jake Bernhardt, midfield, Maryland

13. Rochester (from Chesapeake): Kevin Drew, midfield, Syracuse
  • 手堅く便利なDF & Transition MF。スターじゃないけどMLLでは重要。
14. Denver: Kevin Vaughan, midfield, Harvard

15. Boston (from Ohio from Rochester from Hamilton): Chris Boland, attack, Johns Hopkins
  • NCAAレベルではいい選手だが、ぶっちゃけMLLでサバイブ出来る気がしない。これがMLLでATとしてやって行く上での難しさ。
16. Ohio (from Boston): Anthony Biscardi, midfield, UMass

もうこの辺からよく知らない選手になって来てしまっている。去年と比べると層の薄さが際立って来る。

ROUND 3

17. Rochester (from Charlotte): Joe Cummings, midfield, Maryland

18. Long Island (from Rochester from Ohio): Sam Bradman, midfield, Salisbury
  • Div 2の雄Salisburyから。ハッキリ言ってDiv 3のトップ選手のレベルは決して低くない。ことここ数年は特に。中位指名だが、活躍出来る可能性は全然ある。
19. Boston (from Rochester): Kevin Cunningham, attack, Villanova

20. Charlotte (from Long Island): Mark Manos, goalie, Drexel
  • 実は相当いいという話を何年か前からか聴く。MLLで活躍出来るいいゴーリーになる可能性。だとしたらこの順位での指名はオイシい。トレードに、ドラフトにと、全体的にCharlotteのsavvyな(抜け目無い/ストリートスマートな)戦略が目につく。
21. Ohio (from Chesapeake): Billy Eisenriech, attack, Bucknell

22. Chesapeake (from Rochester from Denver): Jimmy Dunster, midfield, North Carolina
  • 頑丈で走れるblue color系。
23. Hamilton: Jack McBride, attack, North Carolina

24. Ohio (from Boston): Alex Demopolous, attack, Denver

まー、そんなとこっすかね。こうやって見ると、やはり4年生の層が薄い。でも今年はその分NCAAでは2-3年生の活躍が目立つ筈。リーグ全体のレベルとしてはそこまで目に見えて落ちない気も。

2012年1月11日水曜日

The Street Stops Here(映画)

もういっちょ、クソ熱いドキュメンタリー映画の紹介。

アメリカのプロスポーツ、NBAを深く理解する上で、やはりNCAAの理解は欠かせない。そしてそれを理解するためには高校レベルを理解する必要がある。更には、社会経済学、文化としてアメリカのスポーツ、バスケットボールを支えている物を知ると、より深いレベルでいろんなものが見えてくる。

今回のは、2008年のドキュメンタリー、The Street Stops Here。

Trailer


モデルはNew York Cityの川を挟んだ向かい側にある、自由の女神を臨むNew JerseyにあるSt. Anthony高校の話。

30年間同校を率い、そのほとんどで州チャンピオンに導き、更に全米一位にランクされるチームを作り上げて来た高校バスケットボール界の伝説、Coach Hurleyとその選手たちの話。

アメリカの社会のリアルを描きつつ、グッとハートを掴む、琴線に触れる物があった映画の一つ。これもiTunes USアカウントでレンタル可能。

NJで補導員をしながら同校のコーチをするCoach Hurleyは、同校のバスケットボールを通じて貧困地域/ストリートで道を踏み外して行く若者達を育て、規律と自信を植え付け、大学に行かせる事でその貧困/劣悪な環境からの脱出を手助けしている。

選手たちは皆地元の劣悪な環境で育って来た子達。貧困者向けの団地(プロジェクト)出身で、父親は生んですぐに出て行った、逮捕された、母親はHIVで亡くなった、ドラッグ&アルコール中毒でどこかにいってしまった、周りの友人たちはギャングになってドラッグを売りさばき、銃で喧嘩をする。そんな環境にいる少年達ばかり。

彼らを同校に集め、日本でも最近見なくなったような文字通りの「鬼軍曹」スタイルで徹底的に鍛え上げる。遅刻したり、気の抜けたプレーをすれば即座に「Get out of the court, right now! Go home! Get out!!」と容赦なく帰らせる。チームプレーではなく自分勝手なプレーをすれば試合中でも厳しく叱責。連帯責任でシャトルラン100本。

その規律を通じて子供達が一人の大人として、選手として自立して行く。卒業生達は社会人として自立し、口を揃えて厳しく苦しかったコーチの教えによって人生を変えられた、救われたと感謝の言葉を口にする。

劣悪な環境から抜け出すために、ギャングになって刑務所に入るしかない人生から、貧困から抜け出すために、学校まで寒い中電車を乗り継いで1時間半掛けて通う選手も。アメリカには先進国でありながらこの筋金入りのハングリーさがある。

驚きなのはSt. Andrewsのその慎ましやかな環境。何と体育館が無く、地元の公共の体育館でのみ練習している。ウェイトトレーニングも器具が不足しているため、ボディウェイト/フリーウェイト中心。校舎も築100年以上で老朽化している上教室が不足しており、廊下や講堂やカフェテリアで授業が行われる。選手たちも靴は自前、ユニフォームも何度も洗濯され、色褪せ、すり減っている。遠征のバスもアメリカ特有のshabbyな黄色いスクールバス。日本の恵まれた高校トップチームとはかなり状況が違う。練習の最後のフィジカルトレーニングとして、全員でフロアを雑巾掛けでトップスピードで反復して往復。

そんな環境でやっている彼らがライバルのSt. Patrickを倒し、州チャンピオンに返り咲き、そして全米No. 1の座をつかみ取るまでの軌跡。

チームにいる何人かは正に今のNCAAの3-4年生として活躍している選手たち。試合でのプレーは堂々たる物。

恐らくバスケットボールのコーチとして金を稼ごうとすれば、大学や金のある私立高校に行っていくらでも稼げるはずなのに、敢えてお金のないSt. Anthony'sに安い給料で残り、ストリートの少年達を更生させ、成功させるために今の仕事を「ライフワーク」と言い切り、本職の引退後も続けるCoach Hurleyの生き様。

「バスケットボールをやる中で、練習で、試合で、そしてコートの外で、君たちは多くの困難、思い通りにならない事に直面する。でもそれと一個一個向き合って、一つ一つ何とか克服して行く事。そしてそれは結局は自分自身でしかやれないと言う事。最後は自己責任。甘えちゃダメだ。そしてそれは正に人生と同じなんだぞ」というロッカールームでのコーチの言葉が胸に残る。

印象に残るのは、チームがシーズン前半に11勝0敗で新聞で全米一位として紹介された記事をガードのTyshawn Taylor (現Kansas大4年)が嬉しそうに読んでるのを練習前に見て、練習でチーム全員を吐く程シャトルランで走らせ、「いいかお前ら?1位になったからって調子乗ってんのか?最後のchampionshipに勝つまでお前らはまだ何一つ成し遂げてねえんだぞ?そんな記事It means NOTHING!だろ!!」という言葉。

全米でベスト24人が選ばれるMcDonald All AmericanにMike Rosario (現Florida大3年)が試合中に自分勝手なプレーをし、それを諌めたアシスタントコーチに不服な態度を見せた瞬間、試合会場から出て行く様に命じ、ロッカールームで「お前、McDonald All Americanに選ばれたからって慢心してるのか?自分は凄いとか勘違いしてんのか?それがチームにとって何の価値があるんだ?何もねえだろ!?そんな奴はうちのチームにはいらねえよ。」と叱責。次の日の練習を中止し、チーム全員でどう対応するべきかを話し合わせた。結果Mikeは反省し、コーチに謝罪し、selfishだった自分を反省すると共に、チームの絆は深まる。

決して恵まれているとは言えない環境の中、自分たちの人生を変えるために、目を輝かせて、必死で頑張る選手たち。絶対俺たちが優勝する、歴史に名を刻む、という強い信念で突き進むチーム。そして、コートの外で見せる最高の笑顔。一生懸命を楽しむ姿。自分も見習いたいと強く思わされる。

全米最高の高校チームが、恵まれない貧困地域にある、資金難に喘ぐ学校で、地元の少年達の更生/救済に最も貢献している。決して、調子に乗った、派手で恵まれたflashyな金持ち学校ではなく、バスケで大学に行って何とか人生を変えたいとハングリーに努力する選手たち。何ともアメリカ的な事実だと感じる。この辺のハングリーさ、真剣さがこの国の根元にある力強さだと感じる事が多い。

ポジティブに、経験や環境や他人にネガティブな環境を投げずに、今に生きる、信じる、変化する、感謝する、楽しむ、そうやって一歩一歩進んで行く。そういう気持ちを新たにさせられると共に、スポーツの持つパワーと素晴らしさに改めて気付かせられた。

2012年1月10日火曜日

NCAA Basketball 2012 UNC vol.16 Boston College

さて、シーズン前半の1ヶ月半に渡るNon-Conferenceの試合が終わり、いよいよ、所属するカンファレンスACC (Atlantic Coast Conference)のリーグ戦が始まる。今回はその開幕戦、ホームでBoston Collegeと。

去年は苦戦したが、今年はBCが大幅にメンバーを入れ替え、一年生5人スタメンで経験不足のため、危なげなく83-60で勝利。

シーズン半ば以降エース#40 F Harrison Barnes (2年)のパフォーマンスが一気に高まっている。D にOにトランジッションに大活躍。セットでボールを持てば数人抜いて確実に決めて来る。相手チームにとっても相当怖い存在になりつつある。この日も3も含めた25得点。

これでシーズン14勝2敗としたUNC。週明けのランキングでは再びじわりじわりと上り始め、3位まで復活。これまで負け無しだったOhio Statesが今期一気に台風の目になりつつあるIndianaにやられ、Dukeも若さが出てRutgersにアプセットを喰らった。Louisvilleもここまでずっと上位にいたが、強い相手とやり始めたとたん弱さが見え始めた。

トップを走るのは無敗のSyracuse、そして2位にはライバルKentuckyが1敗で続く。

AP Top 25 Ranking
RK TEAM RECORD PTS
1 Syracuse (60) 17-0 1,618
2 Kentucky (5) 15-1 1,558
3 North Carolina 14-2 1,476
4 Baylor 15-0 1,436
5 Ohio State 15-2 1,347
6 Michigan State 14-2 1,263
7 Indiana 15-1 1,217
8 Duke 13-2 1,186
9 Missouri 14-1 1,096
10 Kansas 12-3 1,005
11 Georgetown 13-2 990
12 UNLV 16-2 852
13 Michigan 13-3 715
14 Louisville 13-3 704
15 Murray State 16-0 628
16 Virginia 14-1 607
17 Connecticut 12-3 535
18 Kansas State 12-2 482
19 Florida 12-4 463
20 Mississippi State 13-3 362
21 Gonzaga 13-2 347
22 San Diego State 13-2 313
23 Creighton 13-2 236
24 Seton Hall 14-2 205
25 Marquette 12-4 170

ESPNハイライト


UNCのwebsiteの長めのハイライト

Tyler ZellerとHarrison Barnesの試合後インタビュー

2012年1月9日月曜日

ラクロス映画「Crooked Arrows」vol.01

ILで去年の後半辺りから少しずつ記事で紹介され始めている、新しい映画のプロジェクト。"Crooked Arrows"(クルッキド=アロウズ:曲がった矢、つまりネイティブアメリカンが使っていた/いる、木で出来たラクロススティックの意味)。

Teaserを紹介。監督やスタッフ、キャストの話を聴く限り、きちんとバックグラウンドを理解したメンバーが、実際の選手たちを使って結構ハードコアな映像を作り込んでいる印象を受ける。

今後今年の夏の公開に向けて情報が流れて来ると思うので、随時追って見ようと思う。

しかし、これを見ると、改めて、ラクロスって痺れるほどカッコイイスポーツだなと思わされる...

Teaser

2012年1月8日日曜日

Hoop Dreams(映画)

もういっちょスポーツ系のドキュメント。

結構古いが、Hoop Dreams。94年に公開されたアメリカのバスケのドキュメンタリー。これもiTunesのUSアカウントでレンタル可。


個人的に、なぜか昔からこの手のリアルを追求したドキュメンタリー、(作られた分かり易いサクセスストーリーや勧善懲悪ではなく)物事のポジティブ側面だけじゃなく、ダメな面、悲しい現実ときちんと向き合って生々しく伝えてくれているコンテンツに強く惹かれて来た。

シカゴ近郊の、当時の伝説的NBAスーパースターIsiah Thomas(アイザイア=トーマス)の地元、彼に憧れる才能ある少年達二人を10年掛けて実際に人生を通して追い掛けるという企画。

小学生時代はその才能から地元、家族、友人からもてはやされ、エリート選手の集まる中学、高校に。バスケで身を立て、いつの日かIsaiahのようになりたい、NBAでプレーしたい、貧困から抜け出して大金持ちになって家を立てて家族を幸せにしたいと言う夢を胸に、子供の頃から悩みながらも努力する二人。

しかしながら、ドキュメンタリーならではの身を切るようなbrutal reality(残酷な現実)を突きつけられる。ホームシックになったり、身体能力や技術はあるが、ここぞという勝負所で心が折れるメンタルの弱さに苦しんだり、膝の怪我で挫折したり。一人は名門Marquetteに進学するも、結局パッとせずNBAには行けず。もう一人は南部のマイナー校に行くも大成せず。

苦悩しながらも一生懸命生きようとする彼らの生き様に心を打たれ、思わず胸が熱くなる。

と同時に、アメリカに来て、日本にいた頃は頭では理解していたがいまいちピンと来ていなかった/身を以て理解出来ていなかったsocioeconomyやカルチャーに於けるリアル/現実をいくつも目の当たりにして来たが、そのいくつかをこの映画を通じて改めて痛感させられ、印象に残った。

一つは、貧困と格差社会。初めて見ると衝撃を受けるが、ほぼ全ての都市部で、市街地と周囲のベッドタウンの間にドーナツ状に広がる貧困エリアが存在している。Chicago、Philadelphia、LA、Durhamと4都市を見て来て、全ての場所に共通して、オフィス街から郊外の住宅地に帰る過程で高速を一歩降りると、まるで発展途上国であるかのような荒涼とした風景が広がっている。

窓の割れた古いれんが造りの家々、各ブロックの角には仕事のない人々が彷徨い、夜中には頻繁に発砲事件や麻薬取引でサイレンの音が聞こえる。大学進学率も低く、犯罪経験者も多く、麻薬中毒者数の数も多い。(そして、これまた日本にいた頃はピンと来ていなかったのが、別にアメリカもそれでいいと思って、よしとしてそうしている/放置している訳では無く、アメリカならではの歴史的な背景があって、やむを得ずそうなっている面が相当あると言う点、そして国としてそれを何とかしようと多くの人が一生懸命戦っている点。)

多くの(もちろん一部の例外はいるが)NBA/NFL選手たちが実際にそれらの貧困エリアの出身者で占められており、それらのエリアの子供達にとって、そこから抜け出し、裕福な生活を手に入れるための方法は、所謂アメリカンドリームを体現して、①相当有り得ないぐらい頑張って勉強して奨学金でいい大学に行く(でも実際には地域の公立学校が致命的に機能不全に陥っており難しい)、②(奇跡的な才能を持っているなら)プロスポーツ選手になる、③Hiphopで成功(でもこれは恐らく90年代までの話で、iPod時代の今となってはsustainableに成功するのはもう難しくなってしまった)、④ストリートギャングでのし上がる(多くの若者がこれを目指すが、極めてハイリスク。逮捕されたり、抗争で撃ち殺されたり)、の4つのオプションしか無いと言う事。

そして現実的にはほとんど全ての人々がその貧困エリア/貧困生活から抜け出せずに、大学には行かず、安定した職にも付けず、若くして未婚で子供を産み、ドラッグや銃のリスクのある生活の中で暮らさざるを得ないという現実。

テレビで目にするヒーロー/ロールモデルはやはりNBA/NFLの選手たちであり、多くの子供が一度は②を夢見る。

だが、実際に僕らがスポーツファンとして目にしているのは、本当に一握りの突出した才能の中の、更に上澄みの上澄みの上澄みのみ。実際には大きな大きなピラミッドの頂点の先っぽの破片をすり潰した粉の粒だけがNCAAに来ており、その中の本当のエリートだけがNBAに入る事を許され、更にその多くが数年でクビになり、実際に5年10年残れるのはさらにその中の一部で、チームの看板、オールスターになるのはその中でも本当に選び抜かれた、本当に奇跡のような才能の持ち主のみ。

実際に地元の草の根の小中学校、高校のチームでプレーする子供達、それらの選別の過程で脱落して行く死屍累々(アスリートとしての)を目にすると、如何にそれが熾烈な生存競争であるかが分かる。

今目の前でNCAAのDiv 1でバスケをプレー出来ている選手たちは、正に精子のような、気の遠くなるような選別を受けて生き残って来た超エリート達。それでも尚、UNCレベルのトップ校ですら、スタメンの中にはNBAに指名されない選手もおり、指名されてもサバイブして行けるのは一部という残酷な現実。

こういうのを見ると、そして2mの選手が有り得ないスピードとleap(跳躍力)と技術を見せつけるのを目の当たりにして、「俺、何て恐れ多いスポーツをやってたんだ...」と思い知らされた次第。

(すいません。相当整理されてない状況で吐き出し感/やっつけ感満載の書き込みですが...まあ、ラクロスの話題の薄い冬休み中と言う事でどうかご勘弁を...)

2012年1月7日土曜日

NCAA Basketball 2012 UNC vol.15 Monmouth

ホームでACC (Atlantic Coast Conference)のリーグ戦開幕前の最終戦、Monmouth大学と。102-65でまたしても100点ゲームでUNC Tar Heelsが圧勝。会場にて観戦。

ファンの間で若干話題になっているのが、「今年のリーグ戦前半のスケジュールは、弱い相手とやり過ぎじゃないか?」「そんな試合意味あるんかね?もっと強い相手とばっかやる方がいいんじゃない?」という点。確かに、無名のチーム相手に100点近い得点で圧勝という試合を既に15戦中7-8試合消化している。

が、Roy Williams曰く、シーズン前半は敢えて弱い格下チームを相手に、1年生を中心とした控えメンバーに沢山経験を積ませ、NCAAのレベルに慣れさせ、自信を付けさせると言う目的がある、との事。確かに、シーズン終盤のトーナメントで接戦になった時、勝負を分けるのは実はベンチまで含めた「総力戦」。再三述べている通り、(有力な選手程1-2年でNBAに行ってしまう)現在のNCAAでは1-2年生が主体になっており、以下にシーズン前半で1年生軍団に経験を積ませるかが鍵になって来る。非常に賢いシーズンを通しての育成戦略。

実際に、6-7枚目でプレーしている#43 PF James MacAdoo, #15 G PJ Harristonの二人の1年生はここ10試合を通し、確実に成長を見せており、徐々にチームにとって書く事の出来ない戦力になりつつある。(2人とも高校トップ10-20クラスの超高校級新人。サイズ、身体能力共に申し分無し。一方で、やはり最初の何試合かは大学レベルにアジャスト出来ずに若干苦しんでいた。)今後3月のトーナメントに向けて二人が成長する事でUNCの戦力はより盤石な物になって来る。

今回の試合でもいつも通り#40 F Harrison BarnesがNBA上位指名確実とも言われる能力を遺憾なく発揮。#5 PG Kendall Marshallも引き続きメンバーを生かしまくり、アシストしまくり。

元コーチの解説者曰く、「人は彼に『頭の後ろに目が付いているようだ』と言うが、実際には違う。彼がボールを貰うまで、貰ってからの映像をよーく見て欲しい。ボールを貰う前に前を見てコートを見渡し、味方の人数と位置関係、敵の人数と位置関係を全て視界に入れ、局面を予測している。ボールを貰っても、常にlook upして、前方を見続け、状況を頭の中に完全に入れている。この視野の取り方、目線を振る頻度とタイミングの早さを若い選手は見習って欲しい」との事。

ハイライト

2012年1月4日水曜日

NCAA 2012 Pre-Season Ranking

Face-Off Yearbookが12月上旬に家に到着。いよいよ2月から開幕する2012年のNCAA Men's Lacrosse Division 1のTop 20のランキングが発表されていた。

ILにも記事が掲載されていたので紹介。(リンク

2011年に10年に一度とも言われた、松坂世代ならぬKevin Crowley世代(またはJoel White世代?)が昨年卒業し、世代交代が図られる年。一方で、VirginiaやCornellなど去年成功しながらもほとんどの主力を残すチーム、HopkinsやDukeなど、去年若いメンバーで戦い苦戦したが、今年はその分強力な才能が経験を伴った形で戦えるチーム、そして大型新人の加入やtransfer(転校)により戦力を一気に補充し巻き返しを図るNorth Carolinaなど、去年に見劣りしない程の見所満載。

ちなみに去年のトーナメントの組み合わせと結果はこちら(Wiki)。

今後年明けの新学期から各チームリーグ戦に向けて練習を始動し、2月の上旬から順次練習試合を通じて調整し、2月中旬/下旬からのシーズンに備える。

1月中旬にはMLLのCollegiate Draftが行われ、4年生の主力選手が各チームに指名される。

順位は以下。

7月の昨シーズン終了直後にILがオマケで発表していたPre-pre-season ranking(リンク)から大きな変動は見られない。UVAは引き続き一位。DukeとCornellが入れ替わり、HopkinsとDenverが入れ替わり。UNCが9位から一気に6位に順位を上げている。

1. Virginia Cavaliers
  • 主力が丸残り。4年間cageを守ったGhittlemanが抜けたGの穴をどう埋めるかが鍵か。司令塔#6 AT Steele Stanwick (Sr)が怪我無く順当に行けば、まあ、優勝じゃね?という感じ。
  • 本来であれば「Bratton兄弟という攻守でのMFの要が卒業し、穴を埋められるか」となるはずだったが、去年のプレーオフは既に彼ら抜きで戦い優勝してしまったのでここの心配も無し...ホント下級生まで含めて選手層厚い。

2. Duke Blue Devils
  • 優勝から2年。サイズ、身体能力共に申し分無し。Coach Danowskiのリクルーティング&育成が実を結んでいる。Syracuse 11のG John GallawayがGoalie Coachとしてジョインしており、穴だったGも間違い無く改善されて来る。去年1年生で既にエースだった#31 AT Jordan Wolf (So)が爆発する年か?

3. Cornell Big Red
  • 同じく主力丸残り。DF/Gそのまんまで3年目。#3 AT Rob Pannell (Sr)は既に去年大学最高の選手。更にVirginiaからAT Connor English (Jr)が転校で加入し、3枚目のATの穴を埋める。毎年あと一歩で優勝を逃している。去年は準々決勝でVirginiaにサクッとやられて涙を飲んだ。今年こそは、の思いは強い筈。

4. Johns Hopkins Blue Jays
  • このチームも優勝が見えて来ているはず。MF最強。ACL(膝の靭帯)を夏にやっちまった#9 MF John Greeley (Jr)がトーナメントに復帰して本調子になれるか?無理か?ATが若干きついかな?Stanwickの弟#42 AT Wells Stanwick (Fr)が1年生ながらどこまで貢献出来るか?
  • 何気にDFがフィジカルで手堅く、GのBassettが去年完全に開花してしまっている。

5. Denver Pioneers
  • 去年一大旋風を起こしたDenver。強豪としての地位を確固たる物にした。Bill Tierneyにとって本当の勝負の年。MLL上位指名が予想される#22 AT Mark Matthews (Sr)率いるCanadian軍団引き続き恐るべし。

6. North Carolina Tar Heels
  • 主力OF選手2人を転校で追加。去年卒業した#4 AT Billy Bitter(現Charlotte)の穴は弟の#4 AT Jimmy Bitter (Fr)が埋める。1年生で既に大きな足跡を残した司令塔#N/A AT Nicky Galasso (So)がリーダーとしてどこまでチームを引っ張れるか。OFのタレントは分厚い。ぶっちゃけDFが不安。
  • 地元ファンとしては個人的に応援せざるを得ないだろう。

と、ここまでが実質的に優勝争いを演じるTier-1の6チームという感じだろうか。

7. Syracuse Orange
  • 去年最強4年軍団がごっそり抜け、再建中。でも新しい力や#22 AT Jo Jo Malasco (Jr)らベテランの活躍に期待。

8. Maryland Terrapins
  • こっちも思いっきり再建の年。でもGのAmato (R/S-So)が去年1年生で鮮烈デビュー。大きなファクターになってくる筈。

ここまでがTier 2って感じだろうか。

9. Notre Dame Fighting Irish
  • ん?こんな強いか?さすがに去年抜けたMF/DFの穴はでかいでしょ。GのKempは強力。

10. Villanova Wildcats
  • むしろこっちのが強いんじゃないか?LSM Kalarunasは抜けたが、中堅どころの手堅い選手は多い。

11. Hofstra Pride
12. UMass Minutemen
13. Yale Bulldogs
14. Penn Quakers
15. Bucknell Bison
16. Princeton Tigers
  • HC Bill TierneyがDenverに移籍して3年目、名門も落ちたものだ...有力選手がちらほらと入るが、ごそっと塊で入る感じではなくなっている。国内トップのリクルーティングクラスだった今の4年生がTierneyによるリクルーティングの最後の傑作という感じだろうか。恐らく現時点で大学最高のGoalie Tylor Fioritoの奮起に期待。

17. Drexel Dragons
18. Colgate Raiders
19. Harvard Crimson
20. Penn State Nittany Lions
  • 個人的にここにちょっと注目している。Cornellから移籍したHC Jeff Tambroni氏就任後2年目。去年や今年の新入生は結構強い。彼の手腕を考えると、間違い無く訓練された、高いモチベーションと意識レベルのいいチームを作って来るはず。番狂わせに期待。

2012年1月3日火曜日

NCAA Basketball 2012 UNC vol.14 Elon

再び地元Chapel Hillのホームコート、Dean Smith Centerにて、同じNorth Carolina州内のElon大学と。

1900年代の前半にはよく試合をしていた二校だが、1950年代以降約60年振りの対決(と書きながら、アメリカのバスケットボールの歴史が如何に深いかを思い知らされる...)。

文字通り、"Steamroll"(ロードローラーでぺしゃんこにぶっつぶす/粉砕する)。100-62。後半は2軍、3軍(walk-on軍団=体育推薦ではなく、トライアウトを経由しての入部組)も出場して大盛り上がり。

Junior Versity

一瞬余談だが、ちなみにUNCは80年代までのNCAAルール、「1年生は試合に出られない」という制度の下ほとんど全ての大学にあった「Junior Versity=JV(ジュニア=ヴァーシティ、つまり、1年生による育成チーム/二軍)。(東大ラクロス部で言う所のTokyo Juniorと同じ制度)」を、未だに維持している唯一の大学。伝説的HC Dean Smith、そして今のHC Roy Williamsの意向によりそれを未だに維持している。

UNCでは、毎年JVチームでは非奨学金/非体育推薦の一般学生を対象に15名程をトライアウトで選抜し、クラブチームや大学院チームを相手に試合を行い、その中から優秀な2-3人を実際に一軍に上げている。つまり、体育推薦でUNCバスケ部に入れなかったバスケ少年達にとって、夢の舞台に立つ事が出来る可能性を与えてくれている奇跡の制度。

実際に試合に出るのは20点差以上付いた最後の2−3分で、残り時間消化要員だが、一方でコーチ陣も試合の最後まで彼らを全力で指導し、ベンチにいるレギュラー軍団も全力で彼らを応援し、スタジアムの観客も勝利が決まった後も残り、JV出身のwalk-onメンバーのプレーを全力で応援している。それによりボロ勝ち試合の最後まで全員が一丸となって盛り上がるという素晴らしい空気、強力なポジティブvibrationを生み出している。この暖かさ、家族の様な応援や情熱の気持ちがUNCのNCAA強豪校の中でも更に一歩突き抜けた強さの秘密かも知れないとも感じる。

(更に、JVチームではアシスタントコーチがチームの運営、HCを勤めることになっており、次世代のHC育成の仕組みとしても機能しており、文字通り一石二鳥。)

なかなかこの辺の話は日本ではもとより、アメリカでも地元に来てより深いレベルでUNCをフォローするようになるまで知る機会が無かったが、いろいろ分かって来ると非常に面白い。

Harrison Barnes

この二試合、それまで若干おとなしかったエースの#40 F Harrison Barnes(2年)が一気に本気を出して来ている。DFも固いフットワークとハンドワークで手堅く守り、オフェンスではスリー、ペネトレーションからのダンク、コンタクトしてファウルを貰いながら捩じ込み、速攻ではVince Carterばりのトマホークダンクと、NBA級のプレーを連発。アグレッシブさ/killer instinctを見せ始めている。このペースでプレーし続ければ、前評判通りNBAトップクラスのドラフト指名を受ける事になるはず。「憧れの選手はJordanとKobe」と明言している。身長は6-8(203cm)なので、Joranより5センチほど大きく、LeBronのサイズ。分厚さはまだ無いが、去年から一年で一気に筋肥大し、コンタクトの強さとボディバランスに更に磨きを掛けている。

加えて、HCのRoy Williams曰く、09年優勝メンバーのTyler Hansbroughに次いでUNCの歴代2番目に「練習の鬼」とのこと。毎試合闘志を表にむき出しにするタイプではないが、大事な試合では一歩上の集中力とパフォーマンスを見せており、「試合を決める」タイプの勝負強さを持っているのかも知れない。もしかしたら、何年か掛けて(NBAの歴史に名を刻む程の)物凄い選手に化けるかも知れないと感じなくも無い。

ハイライト

2012年1月2日月曜日

Paul Rabilのクローゼット

ここの所シーズンオフのど真ん中でとんと大きなニュースの無いILだが、ポロッと印象に残るvideoがポストされていたので紹介。

2010年にUS代表を世界制覇に導き、去年はNLL Stealthで準優勝、MLL Boston Cannonsで悲願の初優勝達成&(二度目の)MVP獲得と、現時点で間違い無く世界最高のラクロス選手として君臨しているHopkins '08のPaul Rabil(ポール[正しいアメリカ発音はどっちかっつうとーゥに近い]=イブル)。

彼がMaryland州Baltimoreにある自宅のwalk-in closetを公開してくれている(アメリカのwalk-in closetはでかい...へたしたら日本の大学生の一人暮らしの部屋より広い)。

Warrior、Red Bullなど、スポンサーからのアパレルやギアが山ほど(去年までMaverikがスポンサーしていたので、大急ぎで処理してWarriorグッズに置き換えたんじゃないかと...)。

やはりUS代表としてのユニフォームや想い出に最も思い入れがあると語っている。それにしても物凄い量のトロフィーやリング。ラクロス選手としてここまで多くのachievementを積み上げて来た選手も珍しいだろう。そして、ここから10年で更に多くの伝説を刻んでくれる筈。

雑誌や新聞の表紙や見出しに載る度に母親が誕生日プレゼントとして切り抜きを額縁に飾って送ってくれていると言う。高校時代から如何に注目されて来たかが分かる。

彼程の偉業を成し遂げ、選手個人としても明らかにtop of topに行き着いているにも関わらず、満足/慢心する事無く、弛まず努力を続ける姿には胸を打たれる。フィジカルのトレーニングや個人練習の映像を見ると、ここまで努力しているMLLの選手は一体どれだけいるんだろうか?という気がして来る。



トレーニングの映像。相当細やかにメニューを作り込んでいる事が分かる。彼程フィジカル強い選手他にいねえだろって話なのに、更にその上、突き抜けたレベルを目指している。

2012年1月1日日曜日

He Got Game(ラストゲーム)(映画)

アメリカを代表する黒人映画監督、Spike Lee氏のバスケ映画で、98年に公開された「He Got Game(邦題はラストゲーム)」。

当時大学1年生でラクロスを始めたばかりだった自分はこの映画に衝撃を受け、同時に大好きになり、渋谷のミニシアターに通って3-4回、その後もVHSをレンタルして2-3回、繰り返し見た記憶がある。

映画を取りまく空気感、カルチャー、音楽、映像、バスケへの愛、貧困や差別や金への執着、人生へのハングリーさ、そういった生々しさにグイッとハートを掴まれた。オープニングの、全米の田舎やダウンタウンのストリートで老若男女がリングにシュートを打つ映像が美し過ぎ。

今North Carolinaにて大学バスケどっぷりの生活に身を置く中で、どうしてももう一度見たくなり、久しぶりにiTunesでレンタルして見た次第。

あらすじは日本語のWikipediaに載っているのでそちらを参照

乱暴にざっくり語ると、殺人の罪で服役中の主人公(デンゼル=ワシントン)の息子Jesus(現Boston CelticsのRay Allen)が全米No. 1の高校生プレーヤーに。彼をState大学に入学させるために特例措置で一週間解放され、説得工作にあたる。そんな中、「金のなる木」Jesusの金や名声目当てで、家族や友人やコーチ達、そして彼女が、彼を裏切ったり、金を求めたり...。そして、潤沢な資金のある私立大学では怒濤の接待漬け、マフィアまがいのエージェントはフェラーリやロレックスをあげるから今すぐNBAに行って自分と契約しろと説得したり、正に現代のUSメジャープロスポーツの資本主義的/materialisticな側面を如実に分かり易く描いてくれている。

一方で、彼や父親の純粋にバスケを愛する気持ち、貧困から脱出するためにバスケに人生を捧げるハングリーさが清々しくもある。

Jesusを絶賛する全米の大学やNBAのコーチや選手たちとして、現UNCで当時Kansas HCのRoy Willliamsや元Indianaの伝説的コーチBob Knight、Indiana PacersのReggie MillerやShaquille O'neal等がCameoで登場。

ご興味有れば是非。


Opening。当時スクリーンでこれを見ただけで鳥肌が立った。アメリカのバスケの懐の深さが伺い知れる。