(ウォームアップに向けて入場してきたCornellの面々。ユニフォームがパキッとしててカッコいい。赤と白のコントラストがvivid。番号はラウンドシェイプのフォントでで影を付けている。メットは全員Cascade CPR-Xで統一。VisorがPro-7よりボテッとしてて好きじゃないが、単色だと結構カッコ良くなる。)
全体を見ての感想
試合は、序盤Cornellが突き放し、終止リードを維持するも、最後に力尽き、Virginiaの底力に屈し、結局11-9でVirginiaが手堅く勝利。
が、試合を通して、Cornellが非常にいいチームであることが感じられた。サイズや入学時点の身体能力/技術で劣る部分を、入学後のフィジカルトレーニングと練習により限界まで磨ききり、Virginiaと伍すレベルまで持って来ている。特にDFがVirginiaの強力なAT & Shamel Brattonをほぼ完璧に封じていた。OFも頭を使って効率的に攻めている。
一方のVirginiaは、ATとShamelが珍しく沈黙。CornellのDが良かった。が、改めて、その層の厚さを感じさせる結果に。これまで目立っていなかったRhamel、そして伏兵だった2nd stringsのMF陣が粛々と点を積み重ね、気が付けば逆転。ShamelとLapierre以外にもDiv 1でエースを張れるレベルのMFが5-6人いる感じを受ける。
個人として印象的だったのは何と言ってもCornell #3 Rob Pannell。これまでQuintがベストプレーヤー候補と言っていたが、個人的には「そこまで凄いっすかね?」と思っていた部分もあった。この試合を見て「さーせんっした!!」と土下座せんばかりに間違っていた事に気付いた。いや、ムチャクチャ凄い。巧い。今年のATの中ではベストだと思った。場合によってはここ数年のNCAAのATの中でも結構突出して凄いかもというくらい凄い。試合の映像を見て頂ければ一発で納得行くと思うが。去年から比べても確実に成長している。Xからの1 on 1の技術、そのまま直線的に走りながらfade awayでの振り向きざまのシュートのバラエティーと巧さ(もちろん左右両方)。最大限に視野を取り、危険なところに確実にパスを出して来るフィード力。それらを支える身体の強さやボディバランス。全てを兼ね備えたコンプリートATになって来ている。
Quintも試合中に最近で言うとMikey Powell以来のコンプリートATっぷりと指摘していた。いや、本当にそのくらい凄い。今まで舐めててすいません。ATの選手は見て学ぶ事が相当多い。この活躍を続け、CornellがまたしてもFinal Fourに残って来るような事になれば、マジで3年生でMVPも有り得るなと感じさせる。
にしても、09年に一年生として既にチームの大黒柱として準優勝を経験し、そこから更に相当な成長を感じさせる。この人は極めて高いレベルにありながら、更にその上の高みを目指してイッちゃったレベルの努力を続けられる希有な人なんだろう。これまで何人かの選手を見て来た感じ、実はここから先のステージでの成功に於いて最も大事なのは、大学卒業時点での才能や実力ではなく、この「努力して成長し続けられる力」。Mark MillonもMatt StriebelもPeet PoillonもPaul RabilもBrendan Mundorfも、突き抜けたレベルに到達している選手たち全員に例外無く共通する要素。彼には間違い無くそれがあると感じる。だとすると、特にこの後のキャリア、来年の4年生の1年、プロや(選ばれれば)US代表でのキャリアでも結構凄い選手になる可能性を感じさせる。今年の開幕前はBilly BitterがAT 1位、PannellかStanwickが2位だね、と言われていたのが、今や間違い無くPannellがbest ATになっている。今後に大きなワクワク感を感じさせてくれる選手だ。
(Cornellのアップは軍隊方式で超統制されている。ランニングもビタッと二列で。ストレッチも中学校の運動会の行進を思い出させる隊列をビチッと組んで、全員でしっかり合わせてやる。何か、強そうな感じが漂う。)
Virginia 2点目、2年生MF #44 Chris LaPierreのランニングショットがゴールネットを突き破る。会場でもほとんど音がせず「シャクッ」と抜けて行った感じだったので、audienceも一瞬何が起こったか解らず会場中に「?」マークが渦巻き、その後大画面に映されたリプレーを見てザワザワッザワッとカイジっていた。OFの選手なら、選手として一度はやっておきたい試合でのゴールネット破り。
CornellはとにかくRob Pannellが完全にフィールドを支配している。2点目、再びXからの1 on 1。Finalizerが完璧に決まり、相手のDFが思いっきりゴールネットに捕獲され、バタッと倒れて楽に得点。やられたDFは陵辱された気分。マークマンのDとの力の差があると見るや、徹底的にカモりに行く冷酷さ。近くで見てカーフ(ふくらはぎ)の太さに引いた。見るからにフィット。相当努力してウェイトトレーニングを積んでいるはず。
試合中にQuintがCornellを指して言っていた、「優勝するチームになるためには二つのペースを使い分けられなくてはならない」というコメントが印象的。昨年Run & Gun主体で勝ち上がりながらも、決勝ではNotre Dameのスローペースに真っ向から対応して勝ちきったDukeの記憶が新しい。やはり理想は速い展開、遅い展開を状況に応じて使い分けられること。試合のペースをコントロール出来る事。
試合を通して強く感銘を受けたのが、Pannellのフィードの動きと技術。特にステップワークと視野。スライドが来たりマークマンに詰められても、背中を向けてロールせずに、その場で足踏みしながら、または真っすぐステップバック。その際に胸を張り、これでもかと言うくらい視野を取り、スナップでフワッとフィード。で、それを警戒して距離を詰めに行くとザクッと抜かれる。やらしい間合いでピクッ、ピクッと抜くプレッシャーを掛け続けて来る。これはDFとしては悪夢のように手強い。
今回の試合で一躍全国区になった選手の一人がUVA #34 MF Jr Colin Briggs。小さいストライドでトコトコトコと速い回転で小回りを効かせながら走り回り、コンパクトで速いモーションのシュートでサクッと得点。それだけで3点を稼いでいる。脇役の選手がここまで能力高いというのがVirginiaの本当に恵まれている点。
3Q Cornell 6点目、またしてもRob Pannellの斜め前からの1 on 1、ロール直後のクイックターン&フェーダウェイジャンプショット。毎回この辺の振り向きざま、フェーダウェイ、走り抜けながら、え?それで点取れるの?!という驚きを毎回残す。相っ当、相っっっ当練習を繰り返してるはず。この辺のシュート。恐らく相当意識的にDFやGの意表を付くタイミングでの(且つ強烈な)シュートを練習している。特に、走り抜けながら完全にゴールに背を向けた状態からのシュートの技術はAT、インバートをやる可能性のあるMFの選手であれば何度も何度もスロー拡大再生して夢に出るまで焼き付けておきたい技術。職人技。
もう一人、VirginiaのMFの層の厚さを感じさせたのが、#24 1年生 Emery。3Q 7点目。EMOでのミドルシュート。右上の角にピンポイントでズバッと。鳥肌が立った。NCAA Div 1のトップレベルの1年生ってマジで鼻血出そうなくらい凄い。
今日はShamelがスティックが引っ掛かっているのか、全くもってパッとしない。時々ATとして使われており、その辺の慣れなさもあるんだろうか。長距離キャノン砲がことごとく枠を外している。その分を補っているのが弟Rhamel。4Q 8点目のBehind the backなど芸術品。
UVA 10点目、EMO #10 AT Bockletの右前からのover handのhigh to low。Quintも若い選手は本当にBockletのシュートフォームを見習うべきと指摘。Paul Carcateraも実演して説明しているが、先日のJoe Walterのシュート講座の記事でも書いた、スティックをゴーリーからしっかり隠すこと、大きなtorque(トーク:捻転)を使っている点を指摘。
IL Videoのハイライト(リンク)
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