2010年5月24日月曜日

NCAA 2010 Game Review vol. 32 Tournament Quarter Final(準々決勝)第三試合: Cornell-Army

結論から言うと、Cornellの圧勝。去年抜けた大黒柱の穴(Max SeibaldとJohn Glynn)が大きく厳しいと言われていた下馬評を覆し、2年連続のMemorial Weekend(Final Four)出場を決めた。これでコーチTambroniは名将としての地位を不動のものにしたと言えるだろう(ちなみに見た目ちょっとウドさんに似てないすか?目とか鼻とか顎とか。横顔とか特に)。「東大的」境遇のチームの快進撃に勇気付けられると共に思わず応援したくなってしまう。

先日も述べたRecruiting争奪戦のハンデを昔のやり方の延長で引っくり返せずに苦戦してるのがPrincetonだとすると、それを逆手に取ってProactiveにニッチを取る戦い方(ラクロス過疎地やUnprovenだが才能のある選手を見抜く)で成功してるのがCornellのTambroni。

Cornellが序盤から完全にゲームを支配。大舞台の経験という意味で去年のSemi Final、Finalを経験しているCornellに大きな分があるか。それにしても先週のArmyによるSyracuseへの番狂わせはCornellにとってはまたとないチャンスを生むことになった。加えて、準決勝の相手は既にMarylandを倒しているNotre Dame。Marylandよりは明らかにやり易いと感じてるんじゃないだろうか。トーナメントでは組み合わせや運も大きなファクターだが、Cornellはその面で最も恵まれた。Virginia、North Carolina、Dukeが逆の山で、2回戦で当たるはずだったSyracuseが消え、準決勝で当たる筈だったMarylandが既に消えている。出来すぎた筋書き。

試合では1年生の活躍が目立つ。GのFiore、Defenseの柱2枚、ATの#6 Mock。「毎日がTry-out」と呼ばれる、メンバーを固定しないCompetition重視のスタイルの賜物か。

オフェンスは教科書のようにTambroniのDiscipline/戦略がハマる。引き続き外からのシュートプレッシャー、1 on 1プレッシャーを掛けた上で、スペースが生じたクリースで得点という賢い攻めが続く。中西部Minnesota出身の4年AT Ryan Hurleyが爆発。1番強いDがエースAT#3 Pannellに付く事で生じた1 on 1ミスマッチを存分に利用。

また、Cornellは試合を通してATのXからの1 on 1、Inside rollからのシュートが教科書のように参考になる。身体能力と本能に任せて何とでもなるMFの1 on 1と違い、ATのXからの1 on 1、シュートは「技術体系」として頭と体の双方で学ぶ色合いが濃い。且つ恐らくガキの頃から本能でやってる選手を集めてるVirginiaなどと違い、Cornellの選手達はTambroniの指導の下、形式知として頭で理解して意識的に技術として学習した上で実行しているように見える。ATの選手は必見。

Cornell DのMan downでの連携の完成度、パスへのスティックでのプレッシャーが凄い。
1年生でCageを守るGoalie、AJ Fioreは引き続き急成長を続ける。解説者の元JHU All American Goalie, Quint Kessenich曰く、入学当初見たときはいくつか技術的な欠点があったが、たった1年でそのほとんどを潰し込んできてるのが見て取れると。

Cornellは失点する度にゴーリーを中心にD7人全員が集まって、何が悪かったかをその場でフィードバック、共有して、バチッと切り替えて次に挑む姿が印象的。この積み重ねがシーズンを通して「頭を使う」作業を習慣化し、成長に繋がってるんだと思う。

2年エースAT#3 Pannellがインタビューにて、「Tambroniコーチの何が凄い?」という質問に対して、もちろん頭はいいし、指導力は凄いんだけど、何と言っても「Love of the game(ラクロス愛/勝負を楽しむ心)」がでかいと言っていた。彼のラクロスを好きな気持ちが何よりもチーム皆をInspireすると。

Armyは、SyracuseでハマッたZoneがいまいち機能せず。更に元々Set offenseが弱い中Syracuse戦でも得点源だったBroken Situationでの得点がCornellのLoose ball/ポゼッション支配と少ないTurn over、素早いDの戻りとPackにより封じられる(Cornellが相当Syracuse戦のビデオを見て研究してきてると思われる)。Gの3年#4 Paleskyは引き続き好セーブで食い下がるも、限界あり。

4QにArmyのMaisanoが学業成績優秀者として表彰されたという話と彼の一日が紹介されるが、なかなかのハードスケジュール。そんな中ラクロスをやってる姿に素直に敬服する。(自分の学生時代は法学部の授業は1度も出た事が無く、文字通りラクロス100%だったので…)

そんな訳でCornellが再び夢の舞台へ。徹底して相手のことを研究して良さを封じてきた彼らが、同じく相手を「塩漬け」にしてきたNDとどういう戦いを演じるのか。今から週末が楽しみ…

ハイライト

いたる@13期

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