2010年5月31日月曜日

NCAA 2010 Game Review vol. 35 Tournament Semi-Final第二試合Virginia-Duke

これぞNCAAラクロス。この素晴らしいスポーツに出会えたことに感謝…個人的にはGame of the year/今シーズンのベストゲームだと思う。去年のSyracuse-Cornellの決勝並み、07年のDuke-JHUの決勝並みの手に汗握る名勝負。死闘と呼ぶに相応しい、最後まで勝敗の行方の読めない激戦。そして、最後にドラマが待っていた。家でHigh Definitionで試合を見ながら、絶叫しすぎて声が枯れてもうた…

開始前から事実上の決勝戦とも言われる一戦。今シーズン3度目の対戦。リーグ戦ではDukeがVirginiaに今シーズン唯一の黒星を付け、二度目の対戦となるACCトーナメント決勝では前回の負けを受けて修正して挑んだVirginiaがリベンジを果たす。双方の試合で明確に勝敗を分けたのはGround ballとFace off。得点力の高い2チームの戦いはPossessionが高い確率で得点を意味し、ハイスコアな展開必至。Offenceの回数がダイレクトに勝敗に繋がって来る。今回の試合でも両コーチともに、GBとFOを制したチームが勝つと言い切る。

解説者のQuint Kessenichが言っていたが、大体Bratton兄弟と初めて対戦するLSMは、初めて彼らのDodgeを見たときに想定していた以上の速さにびっくりすると。Virginiaは先週のStony Brook戦でメンタルな脆さを露呈。恐らく殺人事件の影響が出始めている。Virginia fanの中にすらさすがに今回は厳しいと見る者も多い。DukeはQuinzani, Crottyという最強5年生AT 2枚を抱え今まさにパフォーマンスのピークを迎えるも、1年生のGが弱点。

試合の見所

立ち上がり、Duke ATの無駄なOff sideからのExtraでエースAT、UVAのQuarter Back(司令塔)、2年#6 Steele Stanwickからのフィードで手堅くUVAが一点。その後DukeがRideからのBroken situationでチームで繋ぐ一点で同点に。その後暫く、お互い緊張しているのか硬さが目立つ。双方Clearで初歩的なTurn overを繰り返す。

Stanwickが高い期待値に応えるべく均衡を破る2連続ゴール。Duke 2点目、EMOでのTurriのStanding shootが教科書。しっかりヒップのターン、体幹のコイルを使い、Over handで高い打点から低いシュート。Shooting projectの選手たちは100回見たい。

UVA Shamel BrattonがまたSickなシュートを。左で来るのが分かっててLSMが鬼左切りしてるが、それを右に振って転ばして交わして、パスフェイクをサクッと入れてSlideを外して、Long rangeでピンポイントでGの左脇に叩き込んでくる。これマジで一日30回見て、ボール貰ったところからの一連の動きとして完コピしちゃいたい。たとえRestraining line付近であったとしても、マジでほんの一瞬、ほんの一歩分の間合いを与えちゃったらおしまい…

2Q、Duke 3点目、EMOでのMcKee(DのUS代表McKeeの双子)のゴール裏からのトップのスペースへの飛び出しの思い切りの良さ、スピード、動きの大きさ、そして振り返り際のシュートの体の使い方。Duke 4点目、Turriの2点目が印象的。頭と肩のフェイクをスパンッ!と入れることで、たった一歩のステップで相手を置き去りにするSplitから再びOver handのロングシュート。Dukeの1年生G、Wigrizerがやはり緊張しているのか、動きが堅く、失点を許し続ける。UVAのDはDukeのAT 2枚看板を徹底的にFace guardする作戦。前半無得点、無アシスト。この2枚からはほとんどSlideには行かない方針。EMOでもCrottyをFace guardして5 on 4状態。一方でそれが完全に当たり、前半2人の得点を完全に封じることに成功。

後半、5年生AT #8のQuinzaniによる6点目、Fast breakでのチャンスと見るやの爆発的加速っぷり、右手のRunning shootの、「ビシッ!!」っていう振り切りが相変わらず素晴らしい。シュートマジで巧過ぎる。彼のシュートは4年前からいつもそう。必ずしも全体重を乗せる訳ではないが、振り切りが鋭く下半身を安定させて打つため極めて正確。一瞬目を疑ったが、Shamelが3QでBehind the back(背中側を通しての持ち換え)のSplit dodgeを見せる。Stick trick contestではよく見るが、試合でガチでやるんかい!?

その後、Duke 7点目、21番HowellのDive shootがカッコよすぎて吹いた…今まで見たDive shootの中でもOne of the best。8点目、Ned Crottyの同点シュートが素晴らしい1 on 1の教科書。XからBest DFのClausenをスピードで抜き、完全にFade awayで後ろ向きにシュート。この技術を身につけられたらATとして相当な破壊力を手出来るはず。ちなみにMVP最終候補はこの二人と言われ始めており、今回の1 on 1でほぼCrotty優勢を印象付けた。9点目、EMOでのCrottyからQuinzaniの鉄板コンビネーションで9-8 で遂にDuke逆転。Crottyのフィールド全体を見る視野、パスの鋭さ、(細かくて見落としがちだが)QuinzaniのDoor step(ゴール前)での貰った瞬間に、よーく見るとそのまま表にターンするんじゃなくて右足を軸足にして後ろ向きにクルンとロールターンしてDをツルンとかわす動きが職人芸。これはATは反復して是非覚えたいmovement。

9-8、Duke一点リードで最終Qに突入。

その後お互い譲らぬ一進一退の攻防が続き、4Q半ばでVirginiaが12-11で再び一点差に詰め寄る。「心が折れる」ことが心配されたUVAだが、気持ちは切れていない。Stony Brook戦でゴリゴリの接戦を乗り越えた経験が心を強くしたか。その後残り5分の重要なPossessionでDuke 3年AT #21 Howellの気合のStanding shootで再び2点差の13-11に突き放す。

残り2分半、プレッシャーDで奪ったボールからのFast breakでBockletが審判を白ユニフォームの見方と間違えてパスするという痛恨のTurn over。万事休すか。が、残り2分のRideからのGround ballからFast breakでStanwickがほとんど気持ちだけで決める。13-12の一点差。更に頼れる4年生キャプテン、#36 Carrollが右手で魂のシュートをねじ込み、残り1分20秒で13-13の同点に。会場のボルテージは最高潮に達する。Virginiaが奇跡の逆転ドラマを描くのか?去年の決勝、Syracuseによる残り6秒での同点劇が脳裡をよぎる。残り1分でDuke PossessionでTime out。

勝利を掛けた最後のオフェンス。エース#22 CrottyがXでボールを持ち、Patientにチャンスを伺い、ベストDのClausenに一騎打ちを挑む。優勝への最後の望みを繋ぐ、1 on 1から、ゴール前にいた、入学以来の親友、チーム得点王の#8 Quinzaniへのフィードが通り、Quinzaniが針の穴を通す正確なシュートを決める!残り12秒で14-13のDukeリード。最後のオフェンスに望みを繋ぎたいVirginia、最後のワンプレー、というところで、何とまさかのOff side。そしてそこで試合終了。愕然とするVirginiaの選手たち、狂喜乱舞のDuke。観客は総立ち。これぞNCAA。マジで皆是非DVD見て!こんな試合そうそう無いので!頑張ったけど1%も伝えられてない。物凄い試合。梅ちゃん、コピー量産/鑑賞会頼む!

いざ決勝へ

さて、月曜日(祝)の決勝戦。どっちが優勝しても初優勝。NCAA Men’s Lacrosse Championshipの歴史上、92年のPrinceton以来の初優勝校ということになる。歴史的な一戦。リーグ戦では、シーズン初期にNotre DameがDukeから金星を挙げている。言うなれば天敵。Dukeの爆発的攻撃力を誇るAT2枚看板のCrottyとQuinzaniを、Notre DameのDとRodgersがどこまで止められるか。

タレントの不足を戦術と気持ちで乗り越える雑草軍団Notre Dameに対する共感も大きいが、一方で、DukeはRape Scandal(06年に選手がパーティーに呼んだStripperをRapeしたとして訴えられる。裁判の末冤罪が証明されるが、その影響で当時のHCは辞任し、1年NCAAを棄権、ラクロス、Dukeのイメージを傷つけるという結果に)を経験した最後の世代。5年生のMax QuinzaniとNed Crottyは、優勝候補といわれ続けた挙句あと一歩のところで毎年潰いえて来た悲願のNCAA Championshipを目指し最後の望みを懸ける。志半ばにして08年に引退した先輩AT、Matt DanowskiとZack Greerの最強ATコンビの意思を継ぐ。DukeはScandalの影響による1年延長制度(5年生でのEligibility)の最後の年となる今年優勝できなければ当分無理だろうとも言われている。07年の決勝、08年での準決勝での悔し涙を見てきた自分としては、Dukeに優勝して欲しいなという気持ちも強い。

どっちが勝っても号泣しちゃうかも…今から楽しみ。

最後まで戦い抜いたVirginia

シーズン最後の事件で、本当に精神的に苦しい3週間だったと思う。HCのDom Starsiaは事件の直後に父を亡くすという不幸にも見舞われた。警察や学校から聞き込みを受けながら、メディアや国民の注目を浴びながら、疲労が色濃く顔に刻まれていた。ここまで戦い抜いたUVAとStarsiaに心から拍手を送りたい。しかし、来年、この修羅場を乗り越え、主力のほとんどが戻ってくるUVAが一体どれだけ無敵になるのか想像も付かない。

試合ハイライト

いたる@13期

0 件のコメント:

コメントを投稿