2010年12月31日金曜日

MLLのドラフトが1月に早期化

12月に、MLLから大きな方針転換が発表された。(記事

一つは、チーム数を現行の6チームから、再び縮小前の10チームにまで拡大すること。12年に2チーム、13年に2チーム増やす予定。さらに目標としては2020年までに20チームを目指すというもの。これは我々ファンにとっても朗報。また選手にとっても今の超タイトでコンペティティブな人材需給バランスからすると、プレー出来る受け皿が増えるため、明らかにgood news。

また、もう一つは今年のNCAA, MLLにダイレクトに影響を与える決定。ドラフトのタイミングを去年までの6月から、一気に半年早めて1月にするというもの。

以前の記事でも紹介したが、2010年まではNCAAトーナメントが終わった直後の6月に実施し、既にシーズンが始まり2試合を消化しているMLLチームに大学卒業直後のルーキーがジョインし、残りのシーズンを戦うというスケジュールだった。これを2011年シーズンからは4年生がまだ在学しており、最後のシーズンを開始する前の1月のタイミングでドラフトしてしまうという変更。つまり、あと数週間で4年生のドラフトが行われてしまうのだ。(つい6ヶ月前にClass of 2010の学年のドラフトをやったばかりなのに。)今頃MLL各チームは年末年始休み返上で去年までのNCAAのビデオを見直しまくってドラフトプランを作っているところだと思われる。

ドラフトは何と早くも年明けすぐの1月21日に実施予定。追って注目選手等発表されると思われるので、随時お伝えしようと思う。いきなりの展開の早さにちとビビってしまった。NCAAの4年生もドキッとしたんじゃないだろうか。(まあ、そうは言っても上位指名される選手は既に3年生までにある程度目立っていて、いずれにせよ指名されてただろうから、早いタイミングでどのチームに入るかが解るということに過ぎないが)

以下、記事に紹介されていた変更の理由。

1. 既存の選手のため
  • 今までだと、ギリギリロースターに残れていた崖っぷち選手たちは、シーズン最初の2試合だけチームに所属し、直後にドラフトで優秀な新人がドラフトされた瞬間切り捨てられる(戦力外通告を受けてクビになる)、ということが起こっていた
  • 結果として、「まやかしの合格」が発生してしまっていた。中にはある程度私生活/仕事を犠牲にしてシーズンに臨んだのに、たったの2週間でポイという悲しい状況になる選手が結構な数いたことになる。これは明らかにいいこと無し
  • シーズン開始前から新規加入選手を固めた上でキャンプを始めることにより、そういう無駄を無くせる
2. 新人選手のため
  • 大学4年生にとっても、このメリットは大きい
  • 所属先チームが決まった状態で就職活動に臨める。特に、都市が変わる場合は、場合によってはその都市でのフルタイムの仕事を探せる
  • プロ入りが決まった状態で、より高い目的意識で最後の1年を過ごせる。プロに入ってこういう選手になろう、プロになるまでにこの課題を直そう、という意識がよりシャープに研ぎ澄まされる
  • これまではプレーオフトーナメントに出場出来ずに4月で消えたチーム、トーナメントも予選の早い段階で消えたチームの選手も決勝が終わるまでドキドキしながら待たなくてはいけなかった。が、この決定により、負けた時点でとっとと切り替えてMLLの所属チームの練習に参加出来るようになる。彼らにとっての空転期間が無くなる
  • 逆に、指名されなかった選手からすると、残念だが、ダメならダメと早くわかるので、無駄な希望に掛ける事無く、とっとと切り替えてラクロス以外のキャリアに集中出来る
3. 所属チームのため
  • シーズン開始前から新人込みでチーム作り/戦術作りが出来る
  • 今までのシーズン途中で主力級の選手が数人入るというのは、自チームの立て直し、他チーム対策の立て直し等で全チームがドタバタするだけで、何もいい事が無かった
4. Lacrosse全体のマーケティングのため
  • これにより、NCAAの試合の解説中に、MLLへのつなぎを意識したコミュニケーションが取れる。「来年以降Boston Cannonsで活躍することが予定されるXXによる得点!」とか、「彼はLong Island Lizards入りが決まっていますが、入団までに○○の弱点を克服する必要があるでしょう」などのコメントが可能になる
  • 結果、単純にMLLよりもオーディエンスが多く露出度も高いNCAAの中でMLLについてより多く語ることで、より広いお客さんにMLLに対する興味を喚起出来る
  • 特に年配のファンを中心に、昔ながらの習慣でNCAAは見るが、その後のMLLは余り見ないという未開拓のファンが多く、彼らをMLLに呼び込める
  • 「NCAAで見た素晴らしい選手、プレーをもっと長く見たい。彼らが更に高いレベルで切磋琢磨し成長する姿を見たい」という当初のMLL立ち上げ時のコンセプトがより強化されることになる
要は、今までのやり方だと全ての関係者に無駄な負担が掛かっていたので、そんなもんとっとと変更しちゃいましょう、という話。MLLとしては実は結構前に意思決定していたらしいが、NCAAの承認を得るのに時間が掛かっていたとのこと。

リスクがあるとすると

一方で、若干のリスクがあるのが、5th year eligibilityの問題。新制度だと、正確にはMLLのチームが4年生を指名するが、実際に来るかどうかは選手が決める。仮に4年生が5年目もプレーする事を選んだ場合、チームとしては上位指名権を無駄遣いしてしまったことになる。

また、過去のシーズンを見ても解る通り、4年生のシーズン、場合によっては最後のプレーオフ1ヶ月で大化けし、大ブレークし、一気に株価が上がる選手もいる。チームとしてはその辺の成長ポテンシャル見込みでの目利き力が要求されることになる。

1月に行われるドラフトの見所

再三述べて来た通り、NCAAのClass of 2011は10年に一度の大豊作イヤー。NPBで言うところの松坂世代、サッカー日本代表の黄金世代という感じだろうか。

Bratton兄弟、Billy Bitter, MarylandのAT軍団、昨年ND準優勝の主力メンバー、Iroquois & SyracuseのJeremy Thompson, 同じくSyracuseのLSM Joel WhiteやDF John Lade, GoalieのGalloway、そして極めつけにはGary Gaitの再来Stony BrookのCanadian, Kevin Crowley。彼らがどのチームにドラフトされるのかが、超唐突だがあと数週間で決まる。NCAA開幕前からいきなりテンション上げさせられる。

にしても、これだけプロスポーツのみならずエンターテインメントコンテンツが超コンペティティブになっている今の時代にこれだけ拡大していけるスポーツがいったいどれだけあるだろうか。改めてラクロスの可能性を感じさせてくれるニュースだった。

いたる@13期

2010年12月28日火曜日

Michiganは実際んとこどれだけ強いのか?

さて、冬休みに乗じて以前から書こう書こうと思っていたトピックをガッといくつか書いちゃいます。NCAA Div 1入りが近いと言われる、東大ラクロス部の長きに渡る盟友、我らがMichigan大学Wolverines

 
実際どれだけ強いのか、NCAAのDiv 1に入ったとしたら何位くらいの実力があるのか、という話。結構ラクロスのonline forumや、Michigan大学のコミュニティなどでも議論されているっぽい。また、Inside Lacrosse Podcastのラクロス関係者のインタビュー等でもときどき話題に上ってくることもある。

 
ちなみに現時点では、東大関係者の皆さんもご存知の通り、人間的にも尊敬出来、コーチとしてもリーダーとしても傑出した、本当に素晴らしい(しかもカッコいい)ヘッドコーチであるJPことJohn Paul氏の下、非NCAAとしては最大の大学リーグ、MCLAでほぼ敵無しの三連覇中。準決勝、決勝がFOX college sportsで放映されていたので見る機会があった。

 
それらを踏まえて、いろいろ出てるコメントを総合的に見て、また実際に試合の映像を見てみて、僕なりの超個人的な解釈/意見をまとめると、以下のような感じ。思い入れも応援したい気持ちも一度忘れ、感情のスイッチを一切オフにして冷徹に客観的に見たベース。

 
結論から短くバチッと言うと、
  • 現時点では間違い無くMCLA最強
  • 今すぐNCAAに入れば、丁度真ん中かちょい下の30〜40位の実力?下位校には今すぐ勝てるが、やはり上位校とは厳しい
  • そして、その上位校との差は、恐らく今「見た目」で感じられるよりも実際は大きいはず
  • 但し、加盟後4-5年でリクルーティングが追いついてくれば、以外と簡単にキャッチアップし、恐らく20位前後でプレーオフ争いに絡むレベルにはなってくるはず
  • それでも尚、長期的にトップ校と優勝を争えるようなレベルになるかは未知数
  • そして、NCAA入りに関しては、どちらかというと大学側がかなり慎重にならざるを得ない事情があるはず
という感じだろうか。

 
多分人によって結構意見は割れると思われるが、最大公約数としてはそんなに大きくズレてないかな?とも思う。

 
以下一歩突っ込んで。長いので、興味の無い方はがっつり読み飛ばしちゃって下さい。
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1. そもそもの話として、MCLAのレベルが結構「全う」になってきている

 
大前提としてのMCLA (Men's Collegiate Lacrosse Association)の紹介。要は、NCAA非加入大学リーグ。東海岸以外の中〜大規模大学中心。多くがサークル扱いで手弁当で参加しているはず。

 
●20年前、10年前は、「ラクロス僻地の草ラクロスリーグだろ?」という感覚。悲しいかな東海岸のラクロスコミュニティ、NCAAからはほぼ無視の扱い。Inside Lacrosse等のメディアでもとんと見かけない。今年のLacrosse Year Bookでも、今年初めて掲載された。でも200ページの冊子のうち2ページだけ。Junior College League(短大リーグ)以下の扱い...レベル的にも、それこそ日本の大学の強豪校の方が平均的なMCLAのチームよりも強かったくらいじゃないかと

 
●しかし、ここ10年で、ラクロスの裾野が広がり、高校レベルではほぼ全米にチームが出来つつあることもあり、東海岸以外の大学でも(レベルにばらつきがあるものの)経験者がちらほら集まることになり、一応形になりつつある。で有るが故に少しずつ注目を集め始め、無視出来ない存在になりつつあり、遂にYear Bookにも載るに至った

 

 
2. Michiganは、そんなMCLAの中では間違い無く一番強い

 
●準決勝のArizona State戦、決勝のChapman戦などを見ても解るが、一言で言うと、一番「体育会としてちゃんとしている」

 
●技術、戦術、フィジカル、規律や意識レベル。GBの寄りやクリースでの動き、Dの連携などの基本。特に西海岸の自由人集団Chapmanと比べると顕著

 
●個々人としては他校にも時々突然変異的に「あ、この選手NCAA Div 1でやれるな」というレベルの選手がひょこっといたりするが、全体としての完成度が落ちる。素人に近い選手もいたりする。そんな中Michiganは組織として圧倒的に出来上がっており、訓練されている印象を受ける。選手の実力のバラツキが小さく、穴が少なく、大ちょんぼをやらない。ある意味正に東大的な感じ

 
(●でもそれでも実は去年もシーズン中にColoradoに足下を掬われたりしており、それはそれでMCLAの競合校のレベルが追いついて来ていることを表している)

 

 
3. NCAAのDiv 1に今この瞬間に入ると、恐らく真ん中よりちょい下の30〜40位くらいの力はあるんじゃないか?

 
●そもそもの議論の前提として、NCAAのDiv 1には現時点で61校もの学校が登録されている。必ずしも実力でDiv 1, 2, 3が分けられている訳ではなく、Div 1内での実力の幅は極めて大きく、下位チームは実質的に2部、3部リーグ並みのところも多い。実際には上位30チームだけがプレーオフ争いをしており、優勝争いは実質的に7-8チームだけで行っている状況。なので、そもそも十把一絡げにしてバクッと「Div 1チームに勝てるか?」という議論自体にかなり無理がある。楽勝で勝てるチームもあるし、全く歯が立たないチームもある、ということになるので。従って、Div 1の中をもうちょい細かく分解して見る必要がある

 
●Michiganが今の実力でそのままDiv 1に入った場合、恐らく弱小チーム、下位3分の1くらいのチームには勝てそうな気がする。つまり、Hartford、Air Force、Manhattanとか、その辺の(大変失礼ながらぶっちゃけ)あんまし聴いた事無いようなチーム、40〜50位にいるようなチームには結構しっかり勝てるんじゃないかと

 
●一方で、Penn Stateとか、Dartmouthとか、Rutgersとか、30〜40位のチームとはいい勝負になり、勝ったり負けたりという感じじゃないだろうか

 
●また、20〜30位くらいになると、TowsonやらUMBCやらVillanovaやらといった、結構全うな経験者ばっかりで、本気でコミットしてやっているがっちりしたいいチームになってくる。年によるvolatilityがある中でちょくちょくplay offにも出てくるし、10年に一度くらい結構上位進出してくるようなチーム。要は、ラクロスが「本職」な連中になってくる。うーん、この辺は正直厳しいんじゃないかな?時々うまくハマればひょこっと勝っちゃう事も無くはないかも、くらい?

 

 
4. 「見た目」以上の実際の差

 
●この要素をどう読むかが結構難しいところ。実際NCAA Div 1の30位のチームの試合と、MichiganのMCLAでの試合を横に並べて見た時、正直Michiganの方が強く「見える」。であるが故にラクロスコミュニティでも「あいつらやるぞ!?」と話題になっている面もある。が、実はこの「見た目」がdeceptiveで、気をつけなくちゃいけないという話

 
●Michiganも強い強いと言われているが、やはりそれは周りが弱いMCLAでの話。(NCAA Div 1上位校と比べると相対的に)レベルの低い相手との試合で自由自在にプレーしてゲームを支配し、戦術も面白いようにハマり、物凄く強いチームに「見えている」面も大きい。普段NCAA Div 1のそこそこ拮抗した試合を見慣れているファンは、ここまで大きな実力差のある試合、派手に完封し続ける常勝チームを見る機会が余り無いこともあり、何かとてつもなく凄いチームに見えちゃっている部分もある。つまり、一歩引いて冷静に/客観的に眺めると、正直ちょっと評価がインフレしちゃってるな、バイアス掛かっちゃってるなという気もする

 
●一見同じ大学ラクロスの試合に見えるが、実際にフィールドで肌を合わせることでしか解らない、ちょっとしたスピード感、当りの強さ、技のキレや間合い、細かい騙しや裏をかく動きといった駆け引き、一つ一つのプレーの判断の質や正確さが一段違うはずで、その中に入るとMichiganも今程強くは見えなくなってしまう気がする。(例えば、関東学生リーグの2部で全試合爆勝で優勝してムチャクチャ強く見えるチームが、入れ替え戦で1部で無惨に粉砕された最下位チームと試合すると、全く別のチームのように見え、あっさり負けたりするイメージ)

 

 
5. そして、やはり上位10チームとの差は大きい

 
●じゃあ、例えば今の時点でDukeやVirginiaと同じ土俵で試合が出来るかと言われると、それは明確に、全然厳しい

 
●集まるタレントのレベル(サイズ、身体能力、技術)、及び入ってからのコミットメントのレベル等が数段違うので

 
●Inside Lacrosseに載っていたMichiganの選手の写真を見て、ある読者が「体の線がユニフォームの上から見ても細くて薄い。もしNCAAのDiv 1でやりたいならまずはジム行ってウェイトトレーニングして出直してこいや」という意地悪な書き込みをしていたが、まあ、あながち間違ってないなと思った。もちろんMichiganの選手たちも当然ジムでウェイトをやっているんだろうが、素材のサイズと、トレーニングの到達点とコミットメントが違うという意味で。やはりDiv 1強豪校になると、素材としてのサイズのスクリーニングを通った上、プロのトレーナーの下ボディコンタクトのあるスポーツとしての、プロ並み(場合によってはプロ以上)のトレーニングを積んだ上でフィールドに立ってくるので

 

 
6. 但し、もしNCAAに入ることになった場合、意外と速いスピードでキャッチアップしてくるはず(これはどっちかって言うと僕個人の見立て)

 
●やはり根源的に大事なのは、リクルーティングで高校レベルのトップクラスの選手(全米で学年上位100人みたいな)を取れるかどうか

 
●現時点での致命的なボトルネックは、まんま、単純に、NCAA Div 1じゃないこと。ただそれだけ。なぜなら多くのトップ高校生プレーヤー達が、最高峰/本場であり、スポットライトを浴びられるNCAA Div 1でプレーする事を望んでいるから。厳然たる「格」、「ブランド」、「ネームバリュー」がそこにあるから。逆に、Michiganが今いるMCLAでプレーする事はすなわちラクロス選手としては日陰を歩む事を意味するから

 
●逆に言うと、NCAA Div 1に入った瞬間、その足枷は無くなることになる。そして、大学そのものとしてのブランドの強さ(衰えたとは言え、Michiganは文武両面に於いて全米でもトップクラスの名門校の一つ)、施設や環境の良さ、及びコーチの実力と人格からしても、十分に魅力のあるオプションになるはず。そうすると、結構な数の優秀な選手が集まるはず。特に最近いい選手の土壌になりつつある中西部からの供給を確保出来るはず

 
●つまり、学校としてのポテンシャル自体は本来非常に高く、一度「NCAA Div 1チーム」ということになった瞬間そのポテンシャルが解放され、いい選手がガバッと集まると言う単純な現象が起こるはず

 
●そして、一度素材が集まりさえすれば、それ以外の部分は結構短期間でそれなりのレベルにまで持って行くんじゃないだろうか。結局そのチームがどこまで強くなるかは、どういう環境でどういうレベルの競合とcompeteしているかが決めるので。「環境がチームを作る」から。「何を当然と思ってやるか」/「何を達成したいか」という認知と思考によって行動も習慣も決まるから

 
●従って、アスリートとしての意識レベルも、プレーの質も、フィジカルの水準も、結果としてのチームとしての強さも、一度Div 1の中に入って戦い始めればあっと言うまにキャッチアップすると思われる(それこそ今の東大がNCAA Div 1に無理矢理入ったら、[無茶苦茶苦労しながらも]数年で格段に強くなり、日本にいたら30年掛けても到達しなかったレベルまで到達するはず)。なので、イメージプレーオフ争いに絡むレベルには多分リクルーティングが一巡する4-5年でなってくるんじゃないかと

 

 
7. 一方で、長期的にトップレベルに食い込んで行くにはチャレンジも多い

 
●ただ一方で、20位圏内に入り始めた段階で、さらにその先の、最後の最後で本当にCuseやDukeといったトップレベルのチームに並んで行けるか、競り勝って行けるか、本当のメインストリームになれるかどうかというのは、もう一段上の次元のチャレンジになってくる

 
●一つのconcernは、メインストリームでの経験と歴史の無さ

 
●JPももちろん素晴らしいコーチ。Michiganの大躍進を見ても、USA Westを率いている実績を見ても、hot bed(東海岸)以外のエリアに於いては間違い無く第一人者。が、やはり単純に彼自身もNCAAのDiv 1のトップレベルで経験を積んで来た訳ではない。言うなれば、常に傍流の中でのトップで有り続けた方。才能があり、賢く、絶えず努力も勉強もし続けている方で、間違い無くトップレベルのコーチとして認知されるようになると思う。が、その「メインストリームでの」実績/経験/ネットワーク/知名度の無さがトップレベルでの争いになった時にハンデになる可能性

 
●同じく中西部(Michigan湖を挟んで西側のChicago)のNorthwestern大学の女子ラクロス部は、似たような境遇(僻地からの新規参入)で、天才プレーヤー&コーチ、Kelly Amonte Hillerの下、創部5年で全米制覇、その後怒濤の5連覇という「アメリカ大学スポーツの奇跡」とも言われる快挙を達成しており、一見似たようなケースにも見える(以前別のブログで書いた紹介記事

 
●だが、彼女のケースとMichiganの決定的な違いは、彼女自身が東海岸のど本流出身だという点(ラクロスの源流NY州北部出身、常勝Maryland大学の不動のエース、US代表の中心選手)。最高峰のラクロスを身を以て知り、相手となるトップチームを知り尽くし、東海岸の本場から有望な選手の上澄みを最初から集められるだけの知名度が有った。名門校とも太いネットワークがあり、全てのコーチが彼女のことを知っており、一目置いていた。選手たちも「自分たちは世界最高の選手/コーチの下でやっている」という自信だけはday 1から持てたと想像するし、やっている練習も戦術も、本場の更に一歩先を行くものだった

 
●その点、JPは、最高峰の中での最も熾烈な戦いを経験していないし、もっとダイレクトには東海岸の高校生にとって、やはりネームバリューの点で数段落ちてしまう。コーチとしての実力に関しては恐らく現時点でも大きな問題は無いし、短期間でキャッチアップしてその辺のDiv 1のコーチを越えてしまう気がするが、後者のブランド/レジュメに関しては如何ともし難い

 
●それを考えると、やはりある程度時間を掛けながら、地道に実績で証明しながら、徐々に徐々にという長期戦にならざるを得ないだろうか。要は、既に一度MCLAでproveしたコーチとしての力量を、再度リセットし、ほぼゼロからNCAAで証明し直さなくてはいけないという。

 
(●そう考えるとゼロベースでいきなりビッグネームのヘッドコーチを連れて来れるMarquetteのようなfrom scratchモデルの強みはここにある。そしてこれは僕の想像でしかないが、もしMichigan大学の首脳陣として意思決定をする場合、このまま人望も実績もある功労者のJPに任せてorganic growthで地道に時間を掛けて登って行くのか、(残酷で生々しい話)思い切った判断として彼以外のDiv 1で成功した有名どころのコーチを一本釣りで引き抜いて短期間で駆け上がるモデルを狙うのか、というオプションの間で頭を悩ませていると想像する。これまで草の根で地道に積み上げて来た功労者、成功体験が有るが故の悩ましさでもある。そうは言っても恐らくMichiganはJP抜きなんて考えられないだろうし、既存の延長線でいく路線を取るだろうから、Marquetteとの対比で今後10年間でどうなっていくのかは組織論としての面白い比較実験でもある)

 
(●急成長したスタートアップ企業が上場して大企業と伍して行こうとする際の、株主としての判断に似ている面もある。カリスマ性と情熱があり、社員にもファンが多い、実績のある、(だが時として大きな組織の舵取りの経験が無い)創業経営者を維持するのか、大企業経営の舵取りに長けた経験者社長を連れて来てしまうのか)

 
●ちなみにちょこっとベンチマークすると、上記の選択肢のうち、外から名コーチをズゴッと引き抜いてきて据えるアプローチを取っている代表格はDenverのBill Tierney(元Princeton)だろう。去年一年での躍進を見るに、今のところそれは大成功している。結果はもちろん、早くもリクルーティングの勢力図が変わりつつ有る。また、チーム自体は新しくはないが、同じく本腰を入れてラクロス部を強化することになってから同じアプローチを取ったのがPenn StateのJeff Tambroni(元Cornell)。こちらも今後数年で確実にトップを狙ってくるはず

 

 
8. Michigan大学自体が抱えるチャレンジ

 
●Michigan大学自体、ここ数年落ち目にある。スポーツでは全米制覇経験もある名門アメフト部とバスケ部が今や完全に中堅校に成り下がってしまった。アメフトでは名門Big 10カンファレンスと言えばOhio StateとMichiganの二強だったのが、OSUは引き続き全米トップの地位を強化している一方、Michiganはもはや一中堅校に成り下がり、IowaやPenn-StateやWisconsinにまで後塵を拝し、バスケでも知将Tom Izzo率いる隣町のライバルMichigan Stateが完全にMichigan州を代表する強豪校のポジションを奪ってしまった。

 
●90年代まではプライドに溢れていたMichigan卒業生達が、ここ数年母校の話になると若干暗い顔になるという時期が続いている。大学スポーツ界では、もはやNotre Dameのアメフトと並んで、Michigan=「昔強かった幻想にすがって生きる痛い学校」/「ゲームのルールの変化にアジャスト出来ず滅び行く恐竜」なイメージが生まれつつある(在学中のハラケン、北見、ごめん。)

 
●その理由の一つとして、昔に比べて新興校の台頭と、スポーツへの特化/文武分担が進み、Michiganのように昔ならではの文武両道モデルでの成功が難しくなりつつあるという事情もある(成績無視で純粋にスポーツの才能のある選手を集めないと勝てなくなりつつある)

 
●また、体育会上層部/General managementに問題があるのか、どうも最高レベルのコーチを雇い、長期的に成功させていくというサイクルがここ数年上手く回っていない(中途半端なコーチを連れて来て、中途半端に短期間で結果が出せなくてクビの悪循環。consistensyとvisionが弱い?)

 
●従って、大学としても、体育会に投資出来る金があるなら、優先順位としてまずはアメフト/バスケをturn aroundしたいというのが本音じゃないだろうか(少なくともOBや出資者のマジョリティはそう思ってるはず)

 
●背景にはMichigan州にあり、Michigan大学OBも多く、資金源/就職先となっているアメリカ自動車産業の凋落も大きく影を落としていると思われる。今やDetroitは失業率が極めて高く、(エリアによっては)全米最悪の犯罪都市/ゴーストタウン化しており、街そのものに元気が無い(逆に言うと緊急警察24時的麻薬捜査官のドキュメンタリー/ドラマの舞台としては最高という皮肉も)。プロスポーツのPistons (NBA), Lions (NFL)も長く低迷し、ボロボロ...

 
●てな事情もあり、大学側もかなりrisk averse(慎重/臆病)になっている面もあると想像する。資金源も細っており、他のスポーツも梃入れする必要がある。やるからには大成功し、ブランド強化と集客(学生集め)/集金(寄付集め)に大きく貢献してもらう必要がある。もし出来なければ大学OB/支援者に説明が付かない...大学経営の舵取りとしてはそういう非常に難しい時期にあるはず。そういう意味では正直大学的には決してタイミングは良くない。(まあ、今後も大学的な「いいタイミング」なんて当分来ないどころか悪化する一方な気もするので、とっととやっちまった方がいいって見方も出来るが...)

 
●ちなみに、恐らく近い環境で上手くやってるのが同じく中西部、Big 10のOhio State大学。昔はMichiganと双璧をなしていたが、凋落したMichiganとは対照的に、アメフトもバスケも全米トップクラス。アメフトのHCは全米アメフト界でも最高のコーチと言う人も少なくない。ラクロス部も最近いい選手も増え、順調に強くなっている。正直OSUのことは詳しくないので、どういうメカニズムが裏に隠されているのか、何がMichiganとの違いなのかはよく理解していないが、個人的に物凄く興味がある

 
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てな感じだろうか。無理矢理まとめようとすると。

 
繰り返しになりますが、あくまで、完全に個人的な意見で、これが正解と申し上げる積もりはゼロです。応援したい「気持ち」や「想い」、こうなって欲しいという「希望」は抜きに、純粋な議論として。今PhDで在学してるハラケン、MBAで在学している北見あたりに現場の感覚を聴いてみたいところ。

 
個人的には、いずれにせよ新しい動きがあることは素晴らしいことだし、こうやってDiv 1とのチームの出入りが生じるのもラクロスにとっても間違い無くプラスになるし、何と言ってもunder dogとして逆境に挑むMichiganを心の底から応援したいと思う。否定的な見方も、凝り固まった東海岸の伝統や先入観も全部引っくり返しちゃって欲しい。そして、Michiganの関係者の皆さん、特にJPが僕たちに対してして与えて下さった支援と愛情には、どんなに感謝してもしきれない。本当に有り難う御座います。

2010年12月26日日曜日

2010 Best Videos

年末年始のオフに向けて。来シーズンの始動に向けて、ラクロスをもっと好きになって、楽しんで、そして上手く、強くなるべく。

ここ数週間でpostされているbest of 2010の動画を紹介。こういうの見てると、本当にこのスポーツに出会えた事に感謝したくなる。スノボやskateboardを始めとしたX-sports的な遊びやstyleやファッションがあり、MMA (Mixed Martial Arts/総合格闘技)のようなsexyさと激しさがあり、アメフトやバスケやチェスのような高度な戦略/戦術の駆け引きがある。そして、ドラマがあり、どのスポーツにも負けないくらい、熱い。

毎朝見てやる気出すのもよし、寝る前に反復して見てイメージ刷り込むもよし。年末年始から試験に掛けてのオフシーズン中に、シーズンを通してのぶれない自分の軸としてのモチベーションを作るもよし。Zone/Flowな精神状態を作るための誘発剤に利用するもよし。

しかし、こうやって動画を見ていると、改めて、このスポーツは本当に凄い可能性を秘めていると思う。アメリカでも世界でも、もっともっとこれからも育つだろうし、面白くなるだろう。そして、NCAA FinalのSudden deathのDukeのCJ Costabileによる決勝点を見ると、未だに何度見ても鳥肌が立ち、涙腺がじーんと痺れてくる。Dukeのこの5年間の道を思うと尚更。今年最高のリアリティショーを見せられた気分だった。

例えばどうでしょ。この辺の動画を新歓のプロモーションツールとして最っ大限にレバレッジし、例えばViral video的にSNS (facebookやtwitter. 日本だとmixi?)やメールを通じてdistributeする、合格発表の時や駒場や本郷での入学手続きや身体測定、サークルオリエンテーションの新入生達の列の前に、50インチのFPD(薄型テレビ)バチッと置いて大音量で延々流し続けるとか。DVD業者に頼んで安い値段で量産コピーしてもらってバラまくとか。

これ見て熱いもの感じなかったり、ラクロスに興味持たない18, 19の大学生なんてそうそういないでしょ?そしたら毎年の3,000人の新入生の本当の上澄み中の上澄みアスリート30人を毎年コンスタントに取る、という境地に近づくんじゃないかと。そして、少しずつ出てきつつある、「東大でラクロスで日本一になりたいから東大に行く」という高校生をもっともっと今よりも増やせるんじゃないかと。

①NCAAのハイライト、Best of College Lacrosse 2010。マジでこんなクソ熱くてかっこいいスポーツ他に見た事無い、と心底思う。


②こっちは、もっとenjoy life!っぷり満載の、LXM Proの2010 Highlight(LXMの紹介はこちら)。
1年目を終えて、ラクロスの歴史に意味のある一つの大きな足跡を残したんじゃないだろうか。真剣勝負のcompetitionだけじゃない、もっとおしゃれでカッコよくてクリエイティブなラクロス。僕はこっちも同じくらい大好き。ギアやグラフィックのデザインやネオンの色使いも大好き。Kidsの笑顔も最高。Flo Ridaの曲を使ってるところなど、どポップスだ。いいっすね!こういう底抜けに明るく楽しい感じ。

③そしておまけでもういっちょ、さっきのNCAA Bestの昨シーズン版。Best of College Lacrosse 2009

10年前に現役だった頃、ただただ上手くなりたい一心で、自分でNCAAの試合の(今は亡き)VHSテープを(同じく今は亡き)テレビデオとビデオカメラを使って自分で気合いで編集して繋ぎ合わせ、CDから音を入れてシュートや1 on 1のハイライトを作っていたのを思い出す。今はこうやってワンクリックでそれよりももっと分厚い映像が見られてしまう。テクノロジーの進化ってホントに便利なもんだ。

いたる@13期

2010年12月24日金曜日

HopkinsからSyracuseに主力ATが移籍

何とも今時のNCAAな話。先日Hopkinsを自主退学したPalasek兄弟の兄、3年生ATのTom Palasekが、2011シーズン以降はSyracuseに転校してプレーする事を発表した。(記事)ここに来てHopkinsから何かとごたごたとした話が漏れて来ている。

NCAAではラクロスに限らず、アスリートの転校が結構頻繁に起こる。スーパールーキーの加入により活躍の場所を失ったり、逆に弱小校で大活躍して強豪校に呼ばれたり。はたまた監督と喧嘩したり、素行不良で放り出された選手をライバル校が拾ったり。「学生」アスリートとは言いながらも、(いいか悪いか、本人が望むか否かは別として)中には体育推薦で、大学スポーツが人生最大の晴れ舞台/頂点で後は下降するだけという選手たちも正直多いため、活躍のために場所を移るという気持ちは個人的には理解出来なくもない。(アメフト、バスケを中心に、4年間プレーだけして卒業しない/出来ない選手の割合は強豪校程多い)

「本人の自由なんだから好きにやらせりゃいいんじゃね?」という意見も多い中、「プロじゃないんだし、大学は本来教育のための場所なんだし、なんだかねえ」という意見もある。まあ、実際には別にアスリートに限らず、在学中に自分の興味の変化に合わせて転籍することは普通の学生にもよく起こることではある。日本と違い、大学はがっちり勉強する必要があり、大学名だけでなく大学の成績が後の人生でずっと付いて回るシステムのアメリカでは授業の内容に対する本人の拘りも高いという背景もあり、比較的学校側も転校に対してフレキシブルで、単位のトランスファー等の仕組みも整っているというのもある。

しかし今回の件、なかなか衝撃的と受け止められているのは以下のような点。

1. 終世のライバル校2チーム間での移籍である点

●言い方は悪いが、表面だけ見た時に、JHUのファンからすると「裏切り感」はどうしても否めない。当の選手たちは別に何とも思ってない気はするが、頭の固い(そして古い)ファンたちは結構力いっぱい悪口言ってそう...

2. AT Wharton程のエース選手ではないにせよ、スターターの主力ATの選手が移っている点

●特に、所謂司令塔AT、Quarter back, point guardとしての機能を持っていた選手の移籍。数字上のパフォーマンスに現れている以上に大きな意味を持つはず
●ただでさえ分て主体で駒不足が指摘されるBlue Jaysにとっては手痛い戦力流出

3. 理由が明らかにされていない点

●退学の発表時に掲示板でファンや一部関係者達が散々コメントをしていた。JHUは学力的なハードルが高く勉強に付いて行けなくなったとか(表向きにはこれだと言われている。が、ホントかね?そんなの本当にラクロスやりたけりゃ歯ぁ食いしばって努力すりゃなんとでもなるだろうし、そもそも入学するだけの学力は有った訳だし。そもそも兄弟二人同時にってのも変な話だ。)、悪さしたんじゃないかとか、JHUの弱さに嫌気がさしたとか(これも、どうですかね?このレベルでプレーする選手であればそんな逆境自分で跳ね返してやると皆思うでしょ...JHUが好きで自分で選んで入った訳だし。)

●ただ、個人的に、「多分そんなところだろうな」と思ったのが、Coach Petroとの確執。試合のDVDを見ると解ると思うが、このコーチ、熱いを通り越して、鬼コーチを通り越して、ちょっとイッちゃってる時がある。サイドラインで結構こっぴどくミスした選手を怒鳴っているシーンがちらほら見受けられる。これに対してはかなり意見が別れていたらしく、「んなもん昔の鬼コーチに比べりゃかわいいもんだ、我慢しろ」という年配の方の根性論寄りの意見から、「イマドキのインターネットキッズ/ゆとり教育世代(アメリカ的に言うと"every one gets a trophy" generation)の選手たちはそれじゃ付いて行かねえよ」というものまで。要は、皆の前で(時として全国ネットのTVで)辱めを受けた二人がやってられなくなって反旗を翻したという話。

●どっちが悪いとも言えないが、そのやり方で結果が出ない時代になってしまった以上、出るようにコーチとしてもアジャストするしかないというのが正しいあり方な気もする。現に最近Hopkinsはネームバリューも落ち始め、有力な選手がCoach Petroのスパルタ式の噂を聞き、それを嫌って、New typeのコーチであるUNCのBreschiやDukeのDanowski、Cornell-Penn stateのTambroniなどの個性を認め、選手を尊重し、よりコミュニケーションと権限委譲をベースにしたスタイルの監督達に流れ始めている。この大きな流れは恐らく今後も強まるだろう。

4. 近年まれに見るJHUの低迷と、Head coachのDave Pietramalaへの批判が高まる中だった点

●上記のように、今後もいい選手が取れず、チームの選手たちが萎縮し、本来の良さが発揮出来ない状態が続き、それで更にPetroもイライラして爆発、という悪循環が続けば、最悪解任というシナリオも頭をよぎってくる

●何人かの卒業生らしき書き込みで指摘されていたのが、JHUのラクロススタイルが時代遅れになり始めている点。規律のDFでしっかり守り、システマティックなセットOFで時間を掛けて点を取る。昔ながらの堅実なスタイル。昔のようにHopkinsだけにタレントが集まり、Hopkinsが戦略をリードしていた時代ならそれで通用したし、時としてNotre Dameの様に突出したGとDFを擁し、上手くハマることもあった。が、今のNCAAラクロスのトップレベルではそれで安定して勝ち続けるのは難しい。DukeやCuseやVirginiaのようにハイペースな展開で短時間で爆発的に点を取れるチームとの「点の取り合い」の戦いになった時に、やはり5点差、6点差付けられた時に引っくり返しようが無くなるという話

●Kyle Harrison, Paul Rabil, Stephen Peyserと言った、セットオフェンスをそれだけで組み立てられるぶっちぎったMFがいた時代には戦略もハマり、05年、07年と2回優勝したが、その後そういう選手が入って来なくなってしまった瞬間、一気に勝てなくなってしまった。(去年はMike Kimmelが唯一そのレベルだったが、彼一人しかおらず、孤軍奮闘状態になり、FOもDFもやり疲弊して、しかもガンガンLSMを付けられてスライドも飛ばされて、完全に機能不全に陥っていた)

5. 既にSyracuseのATがかなり分厚い点

●栄光の#22を継ぐ司令塔のJoJo Marasco, Fantasista Stephen Keogh, Coach Deskoの息子Tim Deskoに加え、強い新人も数人入ってくる。この層をさらに厚くし、競争を生む事で、チーム力を更に底上げすることになるだろう。Syracuseにとっては間違い無くgood news

●しかし、ここでSyracuseを選ぶ点からも、本人が全く逃げてないこと、本気でNCAA制覇を夢見ていたであろうことが偲ばれる。JHUでは卒業までの2年間優勝は出来ないと中にいて感じたんだろうし、かと言って確実に試合に出られる2nd tierの学校に行く気も無い、という。Syracuseでガチでやってレギュラー勝ち取って優勝して見返してやんよという気合いが感じられる。潔い。

個人的な感想

恐らくHopkinsの卒業生だろう。「HopkinsとCuseじゃ教育の質が違う。自分はJHUで得た最大のものは学問だったし、そのおかげでその後の人生も充実している。彼は移るべきではなかった。黙って我慢して受け入れるべきだった。アフォだ」という手厳しい批判コメントがいくつか見られる。若干自分の愛する母校を「捨てた」ことに対して感情的になってるようにも感じる。彼らも本心からそう思っているんだろうし、彼らにとってはそれは事実だったんだろう。

だが、どうだろ。僕が選手本人だったらどう思うだろうか。今は時代が違う。彼だってもう20歳だし、何も判断出来ない子供じゃない。子供の頃からlacrosseが大好きで、NCAAで優勝することが夢だったんだろう。その夢を叶えるために、多少の犠牲を強いてでも、周囲から白い目で見られてでも出来る事は全部やるつもりだったんだろう。「残り2年でJHUじゃあ優勝出来ないことは客観的に見て解っているし、コーチとはchemistryが合わなくて本来の実力を発揮出来ないまま終わりそうだけど、ラクロスの夢は諦めて(自分を騙して)、将来のキャリアと出身大学名獲得のために我慢すっか」と果たして思うだろうか?

「たった一度の人生だし、後悔の無いように、自分が今やるべきことを全力で追求しよう。勉強やキャリアは後からなんとかするし、自分で責任を取る。そのくらいの覚悟で俺はやってる。思い切ってベストな環境に移ろう」と腹を括る選手もいていいと思うし。もしかしたら後者のような選手の方がラクロスも、その後の人生でも花開くかも知れないし。出身大学名でその後の人生が決まる時代でもないし。多様性に溢れた時代の中、キャリアや人生なんて情熱と創造性とやりようによっては何とでも逆転は可能だし。勉強なんてそもそも自分でやるもんだし。(そもそもキャリア/学問最適で学校選んでたらJHUじゃなくてHarvardとかMITとか行ってたかも知れない訳だし。)それ以前に、何を幸せと感じるか、何にやりがいを感じるか、何をしなかったら後悔するかなんて超人それぞれだし。

いずれにせよ、本人にとっても、去られたJHUにとっても、受け入れたSyracuseにとってもハッピーな結果になることを祈ります。(公平性とか抜きに、個人的なpreferenceとしてはSyracuseを応援したいっす...)

いたる@13期

2010年12月23日木曜日

Warrior TII Helmet

Warriorから新しいメットが発表された。TII(ティーツーと発音するはず。Trojan 2ということだろう)。やべえ、かなりカッコ良くなった。

記事と写真

ぶっちゃけCascade Pro7にかなり近くなっている。Pro 7が生んだ、Visor(つば)とシェルが一体化した、流線型のシャープな形をもろ踏襲。これまでWarriorは「Venomヴェナム。猛毒という意味)」がflagship商品で、どちらかというとどっしりした、より「兜感」のあるデザインで行っていたが、恐らくCascadeとの「デザイン戦争」/「流行の主導権争い」に敗れたんじゃないだろうか。

今回のは、これまたPro7と同じく、色を自由に組み合わせられる設定。

申し訳ないけど僕も個人的には圧倒的にPro7の方が好きだった。Princeton、US代表がWarrior社長David Morrow(Princeton-US代表)との関係もあってWarrior Venomを使っていたが、あーPro7だったらもっとかっこ良かったのになーと思って見ていた。個人的には首回りからChinに掛けての分厚さ感というか、マフラーのようなというか首の皮が余っちゃってる感が、なんかスッキリしなくて好きじゃなかった。

Pro7はデザインそのものの美しさに加え、ウェブサイトで配色を選べるという、車のマーケティングから着想を得たとも思えるinnovativeな作り込みで大ヒットしている。恐らく今のラクロスのメットのスタンダードは当分このPro7で行くんじゃないだろうか。(逆にデザイン的にも性能的にも結構突き詰められるところまで突き詰められてて、飽和しつつあるのかも知れない。これ以上どういう方向に進化させられるんだ?恐らく今後はマージナルなマイナーチェンジの時代が暫く続くはず)

ちなみに、最近ラクロスの影響を受けてかどうか知らないが、アメフトのメットも(特にQBやReceiverといったskill playerのものは)以前のどしっとした丸い分厚いメットから、ぽつぽつと縦方向の流れを感じさせる、よりシャープなデザインの物を目にするようになって来た。恐らくスポーツ全体のデザインの流れとしてこっちに流れているんだと思う。

ちなみに、記事に出ているデザインの中ではAir Forceのデザインと配色が奇麗で好きかな。あとDenverのもChinが白でシンプルで好き。Visorのラインを直線でギザギザにしている部分や、face maskのラインが斜めになって、曲線ではなく直線を中心に構成している部分にWarriorならではの拘りを感じる。(が、まあ、好み別れるだろうな...)

いたる@13期

2010年12月22日水曜日

NCAA Div 1にMarquetteが新加入

さて、オフにあったNCAA Men's Lacrosseの新しい動き。中西部の北、シカゴのちょい北、ミシガン湖の西側のウィスコンシン州のミルウォーキーにある、Marquette(ーケットと発音)大学が、新たに男女のラクロス部を立ち上げ、2012年からNCAAのDiv 1、Big Eastに参加することを決めた。先日Marylandを辞職したHCのDave Cottleがコンサルタントとして雇われ、急ごしらえで施設/インフラや、選手集め、組織作りを進めて行くとのこと。

本件、NCAAへの新加盟は珍しいことに加え、これまで完全に水面下で勧められており、全くリークが無かったこともあり、USラクロス界というか、ファンの間で結構な話題になっている。いくつか記事やフォーラムで議論になっている点、及び僕自身が思ったことを交えて紹介。

●記事
●IL編集部のコメント
●学校の発表記事

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1. Marquetteが入る事の意味合い

●Marquetteは商学部系が強い、小規模の大学。一方で、バスケが有名で、ランキング20位前後にちらほら顔を出すそこそこの強豪。現Miami HeatでLeBronと双璧を成すDwyane Wadeも出身。スポーツ界での名門校が新たにラクロスに加入する事の意味は大きい

●ちなみに、ユニフォームが非常にユニークで印象的。青と水色と黄色の色を縞で組み合わせてサイドにポイントで入れている。テレビでバスケの試合を見てても一発で認識可能。ラクロスのユニフォームになったらこれはこれで結構個性的でカッコいいんじゃないかと思う

2. ラクロスそのものの成長を象徴

●今回の意思決定の中で印象的なのが、Marquette大学の首脳、特に体育会部門の人たちが、ビジネス(仕事)として大学の体育会の成長戦略を考える上で、合理的に導かれた意思決定であるという点。大学をもっと成功させたい→スポーツも力を入れて、成功させたい→だとするとラクロスは当然今後外せない、というロジックが裏にある。そして、アメフトでも野球でもアイスホッケーでもレスリングでもなく、ラクロスを選んだという点

●高校レベルでラクロスが爆発的に広がりつつある中、NCAA Div 1の男子の受け皿が足りていないという明確な需給ギャップが生じており、そこを突きに行くという意図。ラクロスで成功する事で、より多くの人々のアテンションやお金、そして学生を集められるという読み。それだけアメリカのラクロスが成長しているという事を表している

●ラクロス経験者のスタッフが、ラクロス愛に基づいて、「ラクロス大好きだからやりましょうや!」と想い先攻でボトムアップで成し遂げたケースではないと言うこと。それだけこのスポーツに可能性があるということ表しているとも言える

3. 中西部のラクロスの隆盛を如実に象徴

●ここ数年、シカゴやその北のウィスコンシン、そしてその西のミネソタと言った、所謂Midwest(中西部)の北のエリアでラクロスが草の根レベルで急速に熱くなりつつある。 MLLのChicago Machine(残念ながら今年で解散になってしまったが)やNLLのMinnesota Swarmなどの影響もあり、特にミネソタのインドアを中心に、ジュニア、高校で競技人口/ファン層が広がりつつある。女子の新「帝国」Northwesternもその例の一つ(以前僕がNorthwesternのKellogg Business Schoolに在学していた際のブログでの紹介記事

●また、男子でもNotre DameやOhio State、そして元Cornell HC Jeff Tambroniが今年電撃移籍したPenn Stateなど、五大湖寄りというか、ちょっと内陸の、必ずしもこれまでのラクロスの盛んな東海岸沿い(NY, Boston, Philadelphia, Washington DC, Maryland, Carolina)ではない、もうちょい西側のエリアでのラクロスが育ちつつあるのをいろんなニュースから感じられる。それをもう一段勢いづける出来事

●ちなみに、(住んでみてつくづく痛感させられるが)アメリカの強みは、日本と違ってエリアによってほぼ別の国のように分かれている点。且つそれらの「国」が結構でかいという点。つまり、アメリカという国の中に、5つか6つの大きな独立国家が存在しているようなイメージ。そういう見方をすると、実は伝統的に見えるアメリカのラクロスもほんの東海岸沿いという一つのエリアの話であって、中西部や西海岸、南部やテキサスといったエリアは依然完全なホワイトスペース、成長余地満載の新市場ということになる。ラクロスが未だに育ち続け、それでも尚まだ飽和する事無く成長余地を感じさせるのにはそういった事情が大きい

(●ちなみに完全に余談だが、この点はラクロスやスポーツに限らず、あらゆる企業活動/経済活動として市場を見た時に共通する。同じDevelop"ed" countryでありながら、日本と若干違い、成長のパワーや若い息吹をそうは言ってもそこそこ感じられるのにはこの辺の国としての容れ物のでかさがあると感じる。加えて人口も増えてるし、移民もいっぱい入って来てるし。マクロ経済的にそこまで閉塞していないという。)

4. Big Eastの意味合い

●Syracuse, Notre Dameという強豪2チームが既にいる。ここにMarquetteが新たな強豪として食い込んでくれば、確かにリーグとしてはもっと面白くなるし、レベルも上がってくる可能性がある

5. 2012年スタートというアグレッシブなスケジュール

●ということは、ここから速攻でリクルーティングを開始し、初年度の選手たちをかき集めなくてはならない。Quintは恐らく他校の現1年生をヘッドハントして、トランスファーで引き抜くと言う力技も起こるはずだと指摘

●一方で、有名校が気合いを入れてコミットして、本気で金も突っ込んで第一線で戦いに行くという新しい動き。選手の中には下級生からチームの中心としてDiv 1で試合出来ることを目論み、ヤマっ気のある選手たちが集まってくる可能性もある。そして実際にそうなるとすると、彼らが最上級生になった時にはそれなりに強いチームになっている可能性もある

6. 新しいチームの強み

●100うん十年という歴史があるチームも多い中、新しくゼロからラクロスチームを立ち上げることのメリットは意外と大きいかも知れない。無駄な伝統もうるさいOBも縛りも無い(逆に今これに苦しんでるのがJohns Hopkins?)。昔ならではのステレオタイプな練習やジンクスとも無縁。現代のラクロスの最先端に基づき、ゼロから最適解を設計出来る。施設、組織、選手の選び方、コーチの人選。結果として最もcutting edgeで、最も今のラクロスにフィットしたチームが突然現れる可能性もある。

●特に、Dave Cottleが持っている理想像をMarylandでの学びをベースに体現してくるとなると、しかも学校の戦略的コミットメントと資金の下本気で具体化してくるとなると、結構なものが出来てくる可能性がある

●実際に女子のNorthwesternはそれで全米制覇どころかそのまま5連覇の上、US代表の最大の輩出チームとなった上、女子ラクロスの戦い方のパラダイムそのものを変えてしまった。しかも彼女達の場合、1年生の時にキャンパスで掻き集めたラクロス素人も含めてそれを成し遂げているのがまた偉業

●また、個人的に思い出されたのが、僕が高校時代に福岡でバスケをやっていた頃の話。当時福大大濠や九州産業、福岡商業、東福岡といった強豪校の陰に隠れて、ひっそりと無名の福岡第一高校のバスケ部が立ち上がった。1年目は近くの学区の「そこそこ」上手い子を何人か集めていただけでさして脅威を感じなかったが、既存の高校バスケのセオリーを超越した/無視したアグレッシブなチーム作りで、直後に例の(後に年齢詐称問題が取りざたされた)セネガル人留学生達を掻き集め始め、10年もしない2004年に全国制覇を成し遂げてしまった。「俺たち新興チームで実績も歴史も無いんだから、何かぶっ飛んだ打ち手打たないと勝てっこねえっしょそもそも」、という開き直りは時としてbreakthroughを生み得る

7. Michiganの先を超してしまった

●東大の兄弟チーム、我らがMichiganを一気に追い越しての意思決定/発表という点も興味深い。これまでラクロスコミュニティでも、MCLA(非NCAA)で敵無しの連覇街道を走っていたMichiganのNCAA入りの噂はここ数年絶えず囁かれていた。現にHCのJP始め関係者もそれに向けて長期的に動いていると想像するし。(一部、来年の1月くらいに発表になるんじゃないかとも噂されているっぽい。)「次の加入はMichiganだね、いつだろうね」という空気の中、まさかの伏兵の登場。結構な衝撃

●Michiganとの違いは、イニシアチブの主体がラクロス関係者ではなく、大学のトップ、体育会のトップだったという点。Michiganは逆にJPが大きく伝統的な大学の上層部を説得しなくては行けないというチャレンジがある中、その相手自身が自ら動いているという点

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などなど。
いずれにせよ、Marquetteという、小さいとは言えそれなりに一般的な知名度のある学校がNCAAに新たに加わる事は、ラクロスにとっても、ファンにとっても、高校生やキッズの選手たちにとっても、hopefully学校にとってもいい話であることは間違い無い。長期的に見れば、チーム間、リーグ間の勢力図を変えて行く可能性もある。こうやって新しい流れが生まれ、スポーツが成長して行くのを見るのは非常に嬉しい。

いたる@13期

2010年12月21日火曜日

Notre Dameのメット

すっげーどうでもいい話なのだが、おもろいビデオ。

去年のNotre Dameの躍進の陰で、ちょっと噂になってたのが、NDのビジュアルが、なんか、ださいという話...ユニの色が好きじゃない人が多かったっぽいのと、パンツの丈が短くて、ちょっとレトロな雰囲気だった。そして、極めつけはメット。大学とメーカーの関係だろうか、多くの学校がCascadeを標準的に使っている中、なぜか彼らはRidellのボテッとしたデザインのメット。結構好き嫌いが分かれていた。(逆にGのRodgersを始め、横綱級の強力DF陣を売りにしていたので、どしっと見えて合ってたって話も。)

そんな彼らも今年からは流線型のCascade Pro7に。その様子。

動画のリンク

やっぱりCascade Pro7は圧倒的にカッコいい。ビジュアルから伝わるスピード感が違う。動画の中でNY州の工場で実際にメットをアセンブリーする映像が紹介されていて面白い。ああ、こうやって手作業でメット組み立ててるんだ...って言う。そら高いわけだ。iPodのFoxconじゃないが、中国で安い人件費でバンバン作ればもっと安くなるはず。

2010年12月18日土曜日

今年のESPNでのNCAA放映スケジュール

ESPNの2011年のNCAA Div 1のTV coverageのスケジュールが発表された。

リンク

ESPNの放映スケジュールのリンク

今年も例年と同じ感じ。ちなみにESPN3はinternet放送。TVでは、2/20のDuke-NDの昨年の決勝の再戦を皮切りに、今年も非常に面白いカードが目白押し。ちなみに去年は同じカードでDukeが足下を掬われ、「今年のDukeは噂先攻で結局ダメか?」と言われたのが記憶に新しい。前半は苦しんだが後半一気に成長し、決勝でリベンジを果たした。

その他も、Cuse, Virginia, UNC, Marylandと、涎だらっだらに出る試合がたくさん。再三述べているが、今年は10年に一度のタレント豊作年と言われる4年生のクラスなので尚の事。

マニアックな所では昨年CornellからHCのTambroniが移籍したPenn Stateがどうなるのか、ファンタスティックルーキーでCuseのJeremy Thompsonの弟、IroquoisのMiles Thompsonが入り、一年目から主力としての活躍が予想されるAlbany辺りも注目したい。あとHofstraも今年は強いっぽい。CrowelyのいるStony Brookはplay offまで見られないのが悲しい(最悪play off出られなかったりして...ま、でもどうせ直後からMLLで活躍する姿を見れるだろうからまーいっか...)いよいよっすね。シーズン開幕が待ち遠しい。

ちなみに、記事のコメント欄に指摘があったが、現在ESPNでNCAA Lacrosseを選任で率いているのは、お馴染みQuint Kessenich。「(彼の母校である)JHUの試合が異様に多くねえか?別に強くない今年はファンとしてはそんなに見たくねえよ、つか職権濫用だろ」、というコメントがあって笑った。まあ、Quintの個人的な意向というよりも、言っても伝統的名門校で、ミドル〜年配の層を始めとしてやはり注目したいファンが多いのも事実だろうなとも思った。

一応女子も一試合。名門PennとJHU。個人的には僕自身の第二の母校で今年の(というか今年「も」)優勝候補、Northwesternも見たかった。女子は本当にテレビの露出が少ないのが悲しい...

アメリカで着実に拡大と発展を続けるラクロス。選手、そしてファンの数も確実に増えつつある。スケジュールを見てはっとしたのが、Quarter Final(準々決勝)の会場。去年までは大学のスタジアムでやっていたが、今年はどうやら準々決勝から大型のスタジアムでやるっぽい。片方の山は08年、09年に準決勝/決勝で会場となったBoston近郊のFoxboroのGillette Stadium(NFLのNew England Patriotsのホームスタジアム)。実験的な試みではあるだろうが、準々決勝でも大きな会場である程度客を集められるようになりつつあるということだろうか。

FULL SCHEDULE

Sat, Feb 19
(Noon: Johns Hopkins at Towson, ESPN3.com)

Sun, Feb 20
Noon: Duke vs. Notre Dame (Jacksonville, Fla.), ESPN/ESPN3.com

Sat, Feb 26
(Noon: Loyola (Md.) vs. Towson, ESPN3.com)
1 p.m.: Siena at Johns Hopkins, ESPNU
3 p.m.: Georgetown at Maryland, ESPNU

Sat, Mar 5
1 p.m.: Princeton at Johns Hopkins, ESPNU
(1 p.m.: Maryland at Duke, ESPN3.com)

Wed, Mar 9
7 p.m.: Manhattan at John Hopkins, ESPNU

Fri, Mar 11
7 p.m.: North Carolina at Princeton, ESPNU

Sat, Mar 12
11 a.m.: Konica Minolta Face-Off Classic (Baltimore), Syracuse vs. Georgetown, ESPNU
(Noon: Maryland at Towson, ESPN3.com)
1:30 p.m.: Konica Minolta Face-Off Classic (Baltimore), Cornell vs. Virginia, ESPNU
(4 p.m.: Konica Minolta Face-Off Classic (Baltimore), Johns Hopkins vs. UMBC, ESPN3.com)

Wed, Mar 16
[6 p.m.: Georgetown at Johns Hopkins (women), ESPNU]

Thu, Mar 17
7 p.m.: Duke at North Carolina, ESPNU

Sat, Mar 19
(Noon: UMBC at Maryland, ESPN3.com)
6 p.m.: Johns Hopkins at Syracuse, ESPNU

Tue, Mar 22
7 p.m.: Dartmouth at North Carolina, ESPNU

Wed, Mar 23
[5 p.m.: Penn at Johns Hopkins (women), ESPNU]

Sat, Mar 26
Noon: North Carolina at Maryland, ESPNU
2 p.m.: Virginia at Johns Hopkins, ESPNU

Sat, Apr 2
Noon: Maryland at Virginia, ESPNU
(Noon: Hofstra at Towson, ESPN3.com)

Sun, Apr 3
(1 p.m.: Konica Minolta Big City Classic (East Rutherford, N.J.), Rutgers vs. St. John’s, ESPN3.com)
4 p.m.: Konica Minolta Big City Classic (East Rutherford, N.J.), Johns Hopkins vs. North Carolina, ESPNU
6:30 p.m.: Konica Minolta Big City Classic (East Rutherford, N.J.), Syracuse vs. Duke, ESPNU

Fri, Apr 8
7:30 p.m.: Albany at Johns Hopkins, ESPNU

Sat, Apr 9
Noon: North Carolina at Virginia, ESPN/ESPN3.com
(Noon: Binghamton at UMBC, ESPN3.com)
4 p.m.: Syracuse at Princeton, ESPNU

Sun, Apr 10
Noon: Georgetown at Notre Dame, ESPNU

Sat, Apr 16
5:30 p.m.: Virginia at Duke, ESPNU
8 p.m.: Johns Hopkins at Maryland, ESPNU

Sat, Apr 23
3 p.m.: ESPNU Warrior Classic (East Hartford, Conn.), Massachusetts vs. Hofstra, ESPNU
5:30 p.m.: ESPNU Warrior Classic (East Hartford, Conn.), Rutgers vs. Syracuse, ESPNU
8 p.m.: Navy at Johns Hopkins, ESPNU

Sat, Apr 30
(2 p.m.: Loyola (Md.) at Johns Hopkins, ESPN3.com)
7 p.m.: Notre Dame at Syracuse, ESPNU

Fri, May 6
8 p.m.: Notre Dame at North Carolina, ESPNU

TBD
(Ivy League Semifinal (site of regular-season champion): Game 1, ESPN3.com)

TBD
(Ivy League Semifinal (site of regular-season champion): Game 2, ESPN3.com)

Sun, May 8
Noon: Ivy League Championship , (site of regular-season champ), ESPNU

NCAA CHAMPIONSHIP
Sat, May 14
Noon:First Round (Site TBD): Game 1 ESPN2/ESPN3.com
2:30 p.m.: First Round (Site TBD): Game 2 ESPNU
5 p.m.: First Round (Site TBD): Game 3 ESPNU
7:30 p.m.: First Round (Site TBD): Game 4 ESPNU

Sun, May 15
1 p.m.: First Round (Site TBD): Game 5 ESPN/ESPN3.com
3 p.m.: First Round (Site TBD): Game 6 ESPNU
5:15 p.m.: First Round (Site TBD): Game 7 ESPNU
7:30 p.m.: First Round (Site TBD): Game 8 ESPNU

Sat, May 21
Noon: Quarterfinal (James M. Shuart Stadium, Hempstead, N.Y.): Game 1, ESPN2/ESPN3.com
2:30 p.m.: Quarterfinal (James M. Shuart Stadium, Hempstead, N.Y.): Game 2, ESPN2/ESPN3.com

Sun, May 22
Noon: Quarterfinal (Gillette Stadium, Foxboro, Mass.): Game 3 ESPNU
2:30 p.m.: Quarterfinal (Gillette Stadium, Foxboro, Mass.): Game 4 ESPNU

Sat, May 28

4 p.m.: Semifinal (M&T Bank Stadium, Baltimore): Game 1 ESPN2/ESPN3.com
6:30 p.m.: Semifinal (M&T Bank Stadium, Baltimore): Game 2 ESPN2/ESPN3.com

Mon, May 30

3:30 p.m.: National Championship (M&T Bank Stadium, Baltimore) ESPN/ESPN3.com

2010年12月16日木曜日

Inside Lacrosse Fitness

ここ何日か、Inside Lacrosseに、Inside Lacrosse Fitnessという特集で、フィジカルフィットネスを高めるためのいろんなトレーニングが記事とビデオで紹介されている。

いくつか紹介。

●ラダートレーニング
●ハードルドリル
●スタードリル
●Five cone drill

一瞬私事且つ昔話で恐縮だが、ちょこっとだけ。ホント完全にただの個人的な想い出話だが...丁度僕らが現役だった90年代後半から2000年に掛け、東大のラクロス部は創立から15年を迎え、それまでの同好会、体育会準加盟扱いから、正式に体育会になり、同時に当時のOBの皆さんや現役メンバーの力で、急速に組織を整え、練習やリクルーティングや組織作りを科学的/戦略的にアプローチすることで、より正しく、より効率的に強くなる、(そしてもちろん、そのプロセスを存分に楽しみ尽くす!)という志向を強く打ち出し始めていた。

そんな中、当時、正に同じく13期の牧本次郎氏(現ロンドンビジネススクール)やスタッフの並木さんらが中心となり、辻秀一先生によるメンタルの強化や、プロのフィジカルトレーナーを付ける事によるウェイトトレーニングやステップワーク、栄養管理の強化という、心技体のうち、「技」だけではなく、残りの二つの変数も徹底的に梃入れしていくことで、ROI(Return on investment: 投下エネルギー/時間当りの見返り)を限界まで高めに行く、ということをやろうとしており、その中で次郎氏がSAQ (Speed Agility Quickness)に関する勉強を重ね、元々はアメフトで使われていたドリルである、ラダーを使ったステップワーク強化を毎日の練習に導入してくれた。(なんとかお金をかけずにラダーを作るべく、彼が東急ハンズで素材から買ってせっせと作ってくれた...)ラダートレーニングのビデオを見て、思わず当時の事が思い出されて懐かしかった。てな話。すいません、昔話で...

ビデオを見て感じるのは、大事な事は、こうやっていろいろ目先を変えながら、新鮮さを保ちながら、選手たちに刺激を与えながら、好奇心を満たしながら、楽しみながら、それでいて目的意識を頻繁にリマインドしながら高い費用対効果を目指すことだろうか。と、言っても、今の現役の皆はリソース裂いて散々研究してるし、Michiganの科学的アプローチも見て来てるからそんなに目新しくもないすかね...恐らく。

2010年12月9日木曜日

Custom Nike Huarache Cleats

ILのGear Zoneにまた今年も痺れるようにかっけえクリーツの新作が。NikeのHuarahceのNCAAトップチームのシグニチャー。最近の流れはこの手のソールとアッパーがツルッとつながってて、でかいベルトでガバッと覆われてるデザインっぽい。ソール上部のモノグラムの学校のロゴとかが渋すぎる…

リンク

Syracuseは4-5年前までは往年のオレンジ+青+白のトリコロールだったが、青を排除して以来オサレ度が数段上がった。(と同時に、実際ラクロスとバスケという二大看板スポーツでの成績も安定してきている)

インナーの学校名の文字のフォントが実際の学校のフォントになってるところなどがまたなんとも。

2010年12月7日火曜日

IMLCA: コーチによるカンファレンス

毎年12月の上旬に、全米の大学の男子ラクロスのコーチが集まっていろんな勉強会や情報交換、ネットワーキング(人脈作り)を行う、Intercollegiate Men’s Lacrosse Coaches Association Convention (IMLCA)なるコンベンション/カンファレンスが行われている。

有名どころのコーチが集まり、彼らの実体験を下に戦術やチーム作りについて議論したりプレゼンしたりしているらしい。

参加費用自体は$75とかなりリーズナブルなこともあり、例えばラクロス大好きな選手なりコーチなりを一人サクッと派遣してみるってのも一つのオプションかな?とも思った。Michigan以外の学校のコーチ達から広く情報を集められ、(参加する人の英語力次第では)人脈も多少広がると思われるし。

チーム作りをする側としての最新のラクロスの話題や知識や空気にどっぷり短期間で触れられることの価値は計り知れないと思うので。

直感的に、「形式上アメリカの大学のコーチに限る」などと規定がある気もしなくもないが、男子ラクロスコミュニティのflexibilityとopenさを考えると、ちょっと事情を話せば「いいよいいよ、おいでよ」となるような気もしなくもないので。

ILの記事

ウェブサイト

スケジュールとアジェンダ

前半は結構事務的な会議が多そうだけど、後半はそこそこtips寄りの話っぽいし。すいません。あくまでただの思いつきっす。

2010年12月4日土曜日

2011 Division I Preseason All-Americans

さて、前回に引き続き、Year Bookからの抜粋。Pre-Season All American。60チームあるDivision 1のチームから選抜される、Best Teamの1軍、2軍、3軍。

顔ぶれを見ると、やはり今年の本命チームであるVirginia、Syracuse、UNCの名前が多い。

そして、過去の記事でも再三述べてきた通り、タレント大豊作イヤーと言われるClass of 2011、4年生に如何に優秀な選手が多いかが分かる。ここに出ているメンバーの多くがMLLにドラフトされるだろうし、結構な割合の選手たちがそこで主力になり、更にそこから何人かが2014年、18年のWLCの主力になっていくと思われる。

1st teamはM、LSM、D、GがSyracuse、Notre Dameで占められてるのが印象的。

毎年強い強いと言われながらもなぜか優勝に絡めないMaryland。ATは華々しく、今回もCatallinoとYoungの二人が名を連ねるが、MとD/Gではほとんど名前が挙がらない。この辺のバランスの悪さが、爆発力の割に最後の最後で勝ち残れない原因でもあるんだろう。

Tewaaraton (MVP)は誰が取るんだろうか?Canada代表でWLCを経験し、IndoorからFieldへのアジャストを完了した大本命Kevin Crowley (Stony Brook)か、もしくはFinal 4には確実に絡んでくるであろうUVAのBratton兄、怪我が無ければ華のあるUNCのSweet and fantastic AT Billy Bitter?過去の例から見ても、まあ、DやGは残念ながらないだろな…(DやGの選手からするとなんともアンフェアだが…)

MVPというキャラでは無いが、去年の活躍を見て以来個人的にファンになって応援してるのが、Syracuseのいぶし銀MF、IroquoisのJeremy Thompson。三つ編みの後ろ髪をなびかせながら、全てを淡々と、しかしパワフルに正確にそして狡猾にこなすマルチプレーヤー。見てるだけで痺れさせる何かを持ってます。

ちなみに、「Best 10」という定義の仕方をしておらず、A, M, Dから4人ずつ+G、F/O、LSMの15人を「1st team」と定義しているところが面白い。確かに、これだけ専門化/分業化が進んでおり、試合中もアライブで選手が入れ替わる中、単純にフィールドに同時に立ってるのが10人だからという理由で10人にする方がむしろ気持ち悪い/アンフェアな気もするし。単純にそっちの方がより多くの選手たちに「All American」のチャンスを与えられることになってみんなハッピーだし。

リンク

First Team

A Rob Pannell Jr. Cornell
A Billy Bitter Sr. North Carolina
A Steele Stanwick Jr. Virginia
A Grant Catalino Sr. Maryland
M Kevin Crowley Sr. Stony Brook
M Shamel Bratton Sr. Virginia
M Jeremy Thompson Sr. Syracuse
M Zach Brenneman Sr. Notre Dame
F/O Adam Rand Sr. Stony Brook
LSM Joel White Sr. Syracuse
D Kevin Ridgway Sr. Notre Dame
D Chad Wiedmaier Jr. Princeton
D John Lade Sr. Syracuse
D Ryan Flanagan Sr. North Carolina
G John Galloway Sr. Syracuse

Second Team

A Stephen Keogh Sr. Syracuse
A Jack McBride Sr. Princeton
A Jay Card Sr. Hofstra
A Jamie Lincoln Sr. Hofstra
M Jimmy Dunster Jr. North Carolina
M Jovan Miller Sr. Syracuse
M Mike Chanenchuk* So. Princeton
M Justin Turri Jr. Duke
F/O Tim Fallon Sr. Hartford
LSM Brian Karalunas Sr. Villanova
D Sam Barnes Sr. Notre Dame
D Brett Schmidt Sr. Maryland
D Max Feely Sr. Cornell
D Bill Henderson Sr. Army
G Tyler Fiorito Jr. Princeton

Third Team

A Chris Bocklet Jr. Virginia
A Jeremy Boltus Sr. Army
A Ryan Young Sr. Maryland
A Tom Compitello Sr. Stony Brook
M Charlie Streep Jr. Bucknell
M Steve Serling Sr. Hofstra
M Rhamel Bratton Sr. Virginia
M David Earl Sr. Notre Dame
F/O Jake Clarke Sr. Bucknell
LSM John Cunningham Jr. Princeton
D Peter Fallon Sr. Brown
D Charlie McComas Jr. North Carolina
D Tucker Durkin So. Johns Hopkins
D Michael Hirsch Sr. Navy
G Mark Manos Jr. Drexel

2010年12月1日水曜日

NCAA 2011 Div 1 Pre-Season Ranking

ILのウェブサイトに、Year Bookに先攻する形で2011年のDiv 1のPre season rankingが出ていたので紹介。早速ファン達が「ざっけんな!なんで○○が入ってねえんだよ!」やら「Syracuseは大した事無いよ」などの熱い議論を交わしている。

Pre season rankingは、去年のチームの実績から、卒業した4年生の戦力を差し引き、残ったメンバーをベースに、新しく入った新入生の戦力を加味し、秋学期に行われた練習や試合、トーナメントでのパフォーマンスを視察した上で作られている予想ランキング。細かい順位の入り繰りはあるものの、大体例年これにかなり近い形でシーズンを終えるケースが多い。(実際に去年のプレシーズンの1位はDuke)

記事のリンク。

実際の予想順位は以下。
1. Syracuse
2. Virginia
3. North Carolina
4. Cornell
5. Duke
6. Maryland
7. Notre Dame
8. Stony Brook
9. Hofstra
10. Princeton
11. Johns Hopkins
12. Denver
13. Army
14. Loyola
15. UMass
16. Yale
17. Brown
18. Georgetown
19. Drexel
20. Bucknell

ぱっと見た感じ、極めて的を得た予測。僕個人としても大きな違和感は感じない。

あるとしたら、Dukeの5位?去年17人もの4-5年生が抜けており、抜本的な世代交代が行われている。何人か穴を生める有力な1年生が加入しているが、果たしてここまで高い結果を残せるだろうか?

主力選手たちが丸残りのSyracuse, Virginia, UNCは納得。Cornellは4位なんて高い順位に留まれるだろうか?コーチのTambroniが抜けた新コーチの下、エースATのPanell以外は結構メンバーが入れ替わるはず。あ、でもDとGは去年ほとんど1年生が出てたからそこの伸びしろが凄く大きいか。(そう考えるとそれでFinal 4まで残ったのはやっぱり凄い。)

Marylandは強い4年生の塊がいるが、コーチが変わってチーム作りをやり直さねばならず、若干苦しむと見るのが妥当か?一方で、もし新コーチのチーム作りと戦略がはまり、リーグ戦を通して完成されて行けば、プレーオフで本領発揮で上位進出というのは十分ありえるかも。

曲者なのがNotre DameとStony Brookという、去年のプレーオフを思いっきりかき回してくれた2校。

NDは主力の何人かが抜けるが、MFのBrennemanやDFのRidgeway(だっけ?調べる気力が...)ら、柱の何人かが残り、伝統的に層が厚く堅いDとGは引き続き健在のはず。

SBは、昨年裏MVP(優勝したNed Crottyのように目立った/チームを引っ張った/最終学年で有終の美を飾った、というスポットライト要素を抜きにした純粋な一選手としての実力/活躍見合いで)とも言われたCanadian、Grant Jr.以来の大型スター、Crowleyが4年生で帰ってくる。

昨年若手主体で歴史上まれに見るボロボロシーズンを送ったJHUも、若手の成長で徐々に復活か?と思いきや、それでも11位止まり。

カリスマHC Tierney率いるDenverが就任2年目で着実に名実共に強豪の仲間入り。Denver, Coloradoという街自体にラクロスを大きくバックアップするエネルギーがある。

(個人的に、全く当てにならない予測を掲げるなら、決勝は共に昨年のプレーオフで悔しい思いをしたUVAとSyracuseの頂上対決、そしてDとGに勝るSyracuseが善戦しながらも、最後はやっぱり総合力と選手層の厚さ/爆発力に勝るUVAの勝利じゃないかな?と。Syracuseはやっぱり凸凹がより強くてパフォーマンスがvolatileなのと、Big East Conferenceに入ってしまい、リーグ戦中に強い相手にあまり揉まれないままプレーオフに突入してしまうという環境要因的な弱みを抱えている。(一方のUVAは死のリーグACCでUNC, Duke, Marylandという失禁必至の恐ろしいメンツとプレーオフまで合わせると最悪3回ずつ戦わなくちゃいけない...))

年末から年明けに掛けて、NCAA開幕に向けて少しずつ情報の露出が増えてくるはず。暇を見つけてちょくちょくレポートして行きます。去年何度か書いたが、Class of 2011のNCAA Mens Lacrosseは、10年に一度とも言われるタレント大豊作の年。将来のUS, Canada代表、そしてMLLを背負って立つメンバーがゴロゴロいる。どういう戦いが繰り広げられるのかを想像するだけで今からワクワクしてきた!

いたる@13期

2010年11月16日火曜日

Stick Stringing

Warm upも兼ねて、ちょいネタもガンガン載っけて行きます。

Inside Lacrosseにて、Warriorの看板選手たちによるStick Stringing(スティックのメッシュ編み)の動画が載ってたので紹介。記事などでメッシュの設定について、deep pocketがいいとか、pocketの位置は上の方が好み、とか、shotting stringは2本でVは敢えて入れないのがスタイルだ、とかいう議論は散々インタビューに載っているが、なかなかこうやって実際にトッププレーヤーが編んでる映像は無いので。

Dino (LI)とWesterbelt (Denver)というラクロス界最高峰のAT二人。プレーに強く影響を与える、最もデリケートな部分であるポケットシェイプやシュートストリングなど、相当な熟練と拘りを感じさせる。

リンク

2010年11月11日木曜日

2011 NCAA Face-Off Yearbook発売

夏以降USラクロスがオフシーズンだったため長らく記事を投稿してませんでしたが、久々のアップデート。

年明けのシーズン開始に先駆け、Inside Lacrosseから毎年発刊されている、NCAAイヤーブック、「2011 Face-Off Yearbook」の予約が開始された。僕自身はここ数年毎年購入し、シーズン開幕前にどこが強そうか、誰が注目選手かをチェックするためにちょくちょく読んでいる。シーズン開幕前の予想順位上位25位の発表と、NCAA Div 1とDiv 2, 3上位チーム合計100チームに関し、各チームごとにRosterと強み弱み、ポジションごとの分析をしてくれているので、試合を見る上で非常に参考になる。

申し込み画面を見た感じ、おそらく海外(日本)からでも買えるはず。買えなかったらごめんなちゃい。
2011年も引き続き現役の皆さんにDVDで試合を送る予定なので、もしNCAA大好きで興味がある方がいれば注文してみてもよいかもです。NCAAゴリゴリ見るならROI高しです。英語の勉強にもなるし。


https://shop.insidelacrosse.com/shop/category/31

いたる@13期

2010年8月28日土曜日

LXM PRO

(一瞬、私事で恐縮ですが、一瞬近況報告をさせて頂きます。ちいと仕事の方で動きがあり、今のボスの出世&転勤に引っ張られる形で今月いっぱいで同じく転勤に。同じ事業、同じボスの下で若干守備範囲を変え/広げつつ、西海岸のカリフォルニアから、東海岸のデラウェアにある本社に帰還することに。前回本社勤務だった際は近所のPhiladelphiaの街のど真ん中に住んでいたが、今回は通勤時間をセーブするべく、Delawareに住む予定。気候の素晴らしい南カリフォルニア、しかも「地上の楽園」とも称される風光明媚なSanta Barbaraを離れるのは正直悲しいが、一方で、ラクロスを含めたカレッジスポーツ/プロスポーツとの距離感がぐっと縮まることに加え、NY, DCにもサクッと行ける距離なので、楽しみではある。)

さて、今回は今までとはガラッと違う話題。ラクロス関連の新しい動き/面白い取り組みについての紹介。

LXM PRO

これまでアメリカでは、1987年に始まったインドアのNLL、2001年に始まったフィールドのMLLという二つのプロリーグが存在していた。ここに来て、LXM PROという、全く新しいコンセプトのプロラクロスのmovementが起こりつつある。個人的に、凄く共感する部分があり、その雰囲気やビジュアル、コンテンツとしての美しさが刺さったこともあり、是非もっと盛り上がって欲しいな/応援したいなと思ったこともあり、紹介させて頂こうと思う。

クイックに雰囲気を掴んで頂くためにはウェブサイトや動画を見て貰うと早いかな?と思うのでいくつか紹介。
 ● ウェブサイト
 ● 動画①(この空気。脳幹が痺れさせられる。子供達の笑顔!)
 ● 動画②(熱狂っぷりはこっちのが伝わるかな?)
 ● 動画③(ドラマThe HillsのLo Bosworth)
 ● ギア

所謂通常の「プロスポーツリーグ」とは全く異なるコンセプト。
●特定のホームは無く、各地を廻るツアー形式
●チーム、メンバーも固定ではなく、主要メンバー以外は毎回入れ替え
●シーズンも決まっておらず、年間に何回か行われるイベント形式。各都市での一発勝負
●Lacrosseの試合だけではなく、人気のバンド/ミュージシャンによるライブ、celebrityを呼んでのお披露目パーティー等のイベント盛りだくさん
●毎回ユニフォームやメットやギアのデザインが変わり、色使いやロゴがお洒落でカッコいい
●TwitterやFacebookといったSocial mediaをフルレバレッジして、流行やファッションに敏感なearly adopterたちを取り込み

と言うもの。動画を見てもらうと解ると思うが、毎回テレビで人気の若いCelebrityたちを呼んでプレスをやり、ギラギラした、チャラチャラした(悪い意味じゃなく)、なんかワクワクさせられるような、coolな/sickな/sweetな雰囲気を醸し出している。恐らくラクロスのことを全く知らないオーディエンスが見たとしても、「あれ?何かカッコよくて楽しそうなことしてるぞ?」と気になる/見てみたくなる空間を作り出すことに成功している。(もちろん、ラクロスを知っている僕が見ても、「ああ、このスポーツを知っててよかった…」と思わせられる。)

メンバー

現時点のメンバーを見ると、多くの元NCAAのスタープレーヤー、及び、つい最近までMLLの第一線で戦っていた選手たちの名前も見られる。何人か紹介すると:
 ● Casey Powell (Syracuse 98, MLL, NLL, Team USA)
 ● Kenny Nims (Syracuse 09, MLL)
 ● Kyle Harrison (Hopkins 05, MLL, USA)
 ● Joe Walters (Maryland 06, MLL, NLL, USA)
 ● Steven Brooks (Syracuse 08, MLL)
 ● Matt Ward (Virginia 06, MLL)
などなど。結構錚々たるメンバーが名を連ねつつある。個人的にはMikey Powellなんて凄くハマると思う。

設立の背景とコンセプト

元MarylandでLA在住のXander Ritzが、彼のコンセプトに賛同する仲のいいトッププレーヤー達と楽しみながら立ち上げたイニシアチブ。

立ち上げ時の記事を読む限り、裏には彼なりのいろんな想い、そしてそれに賛同したメンバー達のいろんな想いがあったことが読み取れる。

東海岸をベースにしてきたラクロスもここ10年で爆発的に全米に広がりつつあり、大学レベル、高校レベルでは西海岸にも多くのチームが生まれた。2008年の不況まで、西海岸にはLAとSan Franciscoという二つのMLLチーム、そして2つのNLLチームがあるという状況だった。が、そうは言ってもやはりまだスポーツとしてはマイナー。両リーグ共に安定した集客には苦しみ、結局不況後は解散してしまった。

それらの経験から彼らが感じたのは、
●ニーズは、ある
●見に来る奴も、プレーしてる奴も、いる
●そして、上手くやれば、lacrosseをプレーした事がない、見た事が無い一般のお客さんを取り込む事も出来る。

ラクロスはそれだけのポテンシャルを秘めたエンターテインメント/コンテンツだという事。

そして、

●1ヶ月に何回もある試合を毎回見に行くことはないが、仮に年に一度のお祭りイベントだったら?
●純粋なラクロスだけじゃなく、その前後のライブやパーティー、それらを全部ひっくるめた、一つのイベント/エンターテインメントとして売り出したら?
●もっともっとファッショナブルでsensationalな見せ方、作り込み方をしたら?
●そして、celebrityを巻き込んで、彼らから「お洒落でカッコ良くて新しいもの」というポジションを発信して行ったら?
というもの。

恐らく、ラクロスが成長し成熟する中で、競技としてどんどんレベルが上がり、コンペティティブになり、完成度が上がって行く現状への疑問、そして、より真剣に、そしてより敷居が高くなりつつ有るNCAAやMLLへのアンチテーゼもあるんじゃないかと想像する。

もちろんそれら本流の、最高峰の、競技としてのラクロスは絶対に必要だし、そこがベースだし、それはそれでrespectしながらも、「いやいや、待てよ、lacrosseってそれだけじゃないぜ?もっと肩の力抜いて、純粋に楽しめる、お洒落でカッコいい最高の遊びなんだよ!」という考え方。彼自身、記事の中で、「MLLやNLLとは競合するとは考えていない。自分たちはまた別の形でラクロスを広める使命がある。自分たちはNBAやNFLといったハードコアな競技スポーツではなく、(SkateboardやSnowboardのような、ストリートスポーツ、ファッションやストリートカルチャーと強く結びついた)X-Gameのようなコンテンツを目指したい」と語っている。

そこに丁度彼自身のお気楽でノリノリなpersonality、LAという立地やそこで彼が感じたWest coastならではのラクロスやスポーツや人生そのものの楽しみ方をミックスした形で始まったプロジェクト。

毎回各都市でのイベント毎に、LXM 949 Orange CountyやLXM 610 Philadelphiaのように、その都市のエリアコード(日本で言うところの市外局番。東京03や横浜045、名古屋052みたいな)を冠し、ロゴを作っている。んでまたそのロゴがかっけえ(リンク。下の方)。

丁度今週末の明日、Philadelphiaでのイベントが行われる。引っ越しが間に合えば是非見に行きたかったが、引っ越しは来週なので残念ながらニアミス。

気になる今後

まだ立ち上がったばかりで、果たして今後定期的/継続的に集客し続け、movementとして確立して行くのかはまだ未知数。ただ、個人的には、素晴らしいイベント、取り組みだと思うし、ラクロスの持つ競技としての素晴らしさだけでなくそれを取り巻く空気やファッションをも伝え、それをラクロス関係者だけではなく一般のaudienceに露出/浸透させて行くという意味に於いては最高のチャネルだと思う。是非応援したい。

もちろん、これ「だけ」じゃダメで、ハードコアな競技としての土台は必要。でも一方で、基本経験者の中で閉じてしまうNCAA/MLLだけでもだめで、この二つが両輪として機能する/相互にフィードする関係を築く事が必要なんだと思う。(頭の固い東海岸の古いファンの中には、「こんなチャラチャラしたのlacrosseじゃねえ!スポーツの品格を貶める!」なんて批判をしてる人たちもいるみたいだが、個人的な意見としては...、まあ、いいじゃん、もっと純粋にlaid-backで新しいこと楽しみながら試せばいいんじゃない?とも思う。そういう内向きに閉じたところが自らのクビを締めてる部分も多分にあったと思うし。)

Xander Ritzへのインタビューが今週のInside Lacrosse Podcastでフィーチャーされていた(リンク)。西海岸らしく、laid-backで、人生を楽しむ一環としてLXM PROをやっていることがよく解る。こういった形で、個人の利害やお金を越えたところで、純粋な、楽しみたい、いいものを伝えたい、新しい物を創りたい、伝えたい、そういう想いやvisionや情熱を持った一人の人が動きだし、それに共感した周りの人が巻き込まれ、どんどん人々を共振させ、それが大きな大きなmovementになって行くと言う一つのリーダーシップの形。見ていて凄く感動するし、ポジティブなエネルギー/勇気を貰える。

と、いうLXMの紹介でした。アメリカのラクロスを見る中で、ずっと感じていた、「本当の良さ、素晴らしさは、実は選手やプレーのレベルの高さじゃなくて、こういうカルチャーやファッション、そしてこういう『Enjoy Life!!』な空気の中にこそあるんじゃないかな?」という気持ち。そしてそれを現役の皆さんに少しでも伝えられたらいいな、そしたらきっと皆今よりも更にもっと楽しく強くなるだろうな、という想い。それらを解り易くそこだけ切り取って結晶にしてくれたような気がして、一ファンとして何だか嬉しかった。

いたる@13期

2010年8月23日月曜日

MLL 2010 Game Review vol. 05 Final Chesapeake-Long Island

さて、2010年のラクロスシーズンの集大成。今日行われた決勝、10年間リーグを引っぱり、終世のライバルであり続ける2チーム、Chesapeake Bayhawks vs Long Island Lizards。NY州Long Islandの北のラクロス対Marylandの南のラクロスという、ラクロスでもよく引き合いに出される対照的スタイルによる激突。(先日誰かが[Dinoだったかな?]インタビューでロン毛のジーパンのちょっと繊細で尖った都会っ子 対 短パン+ビーサン+ショートカットの無神経なスポーツ馬鹿、というファッションやキャラの対比を面白おかしく語っていた。ちなみに彼自身は生粋のLong Islandっ子)

以下、試合の見所を紹介。

前半

LI 2点目、Duke/Team CanadaのZack Greerのゴール前で貰っての電光石火のクイックミドルショットで得点。この人の2ポイントエリア内のシュート成功率は半端無い。外す絵が全く浮かばない。フリーで持たれたらほぼ終わり。ミドルシュートでクイックながら、置きに行く事無く、遠慮する事無く必ずかなり速い弾道で恐ろしく正確に空いたスポットに突き刺して来る。小さなゴールと大きいゴーリー相手に針の穴に糸を通すようなaccuracyが求められるCanadian indoor lacrosseの真骨頂。

Chesapeake 1点目、Huntの得点。左手でパスをはたいた直後に右に持ち替え、リターンパスをバックハンドでキャッチしながらすぐに左足のキックで切り返して右に鋭く方向転換、Dをかわしつつ表に角度を作りつつゴールに向かう動き。

LI 3点目、Peyserのrunning shot、classicで基本だが、上手い。LSMが本来ATだがOF MFで出ているBurgerに着く事で生まれるショートスティックD相手のミスマッチを確実に突いてくる。背中に背負ったスティックからオーバーハンドでのシュートでGoalieからリリースが見えずセーブしにくい。

CSPは、先日MarylandのHCをクビになったDave Cottleが”Consultant”なる肩書きでチームに帯同している。試合中もベンチの裏からかなり戦略的な指示を出している。シーズン途中でHCを解任したCSPにとって彼の存在は大きいはず。

しかしまあ改めて、クリアクロック、ショットクロックのあるMLLのスピード感はNCAAに比べて一段、WLCに比べて二段階ほど早い。かなり急いでクリアするし、休む間も無くガンガンゴールに向かって行くし、リスクを取ってシュートを打つ。結果としてめまぐるしくポゼッションが入れ替わりトランジッションが発生するため、見ていて飽きない。個人的にはこっちのルールの方がラクロス普及、経験者以外のAudienceの取り込みという意味に於いては向いている気がする。やはりラクロスのスポーツとしての構造的欠陥は、フライを待って攻めるまでに生じる無の時間、待ち時間なので。このスポーツをエンターテインメントの商品/コンテンツとして見た時に、ここはユーザーフレンドリーではないので。

2Q残り8分、パイプに当り得点にはならなかったが、クリースでのLI Zack Greerのシュート、リバウンド、behind the backが有り得ない動き。

創設者Jake Steinfeldの話とここ10年でのUSラクロスの進化

2Qの途中で挿入される、MLL創設者Jake Steinfieldの話が胸を打つ。ラクロスへの愛、起業家精神。10年でアメリカでどれだけ爆発的にラクロスが育ったか。MLLが子供達に夢と目標を与え続けてる話。「SyracuseやHopkinsでNCAA制覇すること」が多くの選手の夢だった時代から、「MLLの舞台に立ち、Steinfeld cupを掲げる事」が子供達の夢になりつつある。「上がり」「ラクロスキャリアの実質的終着駅」がNCAAではなく、そこから先のMLLになり、NCAAの選手たちがMLLでやることを目標にさらにhumbleに精進を続けるという絵が生まれつつある。

MLLが産声を上げた10年前1,000チームだった高校の男子ラクロスチーム数は、MLLの進化と歩調を合わせる形で10年間で3倍の3,300チームに。信じられない爆発だ。500年の歴史を持つアメリカのラクロスが、たったの25年前に始まった日本のラクロスよりも遥かに速い速度で大きくなっているという衝撃の事実。その大きな大きなプールの中から選りすぐられた上澄みのエリートがNCAA Div 1に進み、さらにその中のたった一握りだけがMLLという夢の舞台でプレーする事が許される。そしてその中のさらにトップ20人がUS代表のユニフォームを着る。それだけの競争を勝ち抜いて来た、精子の様な確率でサバイブしてきた選手たち。そりゃ上手いわな...

再び試合に戻って...

Chesapeake #51 MF、JHUから加入したルーキーMike KimmelがDFにトランジッションにと大活躍している。特にShort stick DFは角度のマネジの仕方をよーく解った素晴らしい教科書。

Chesapeake 4点目、PoillonのBehind the backでの得点を生むまでのOF 6人の動きが非常に参考になる。1 on 1からボールをシェアしてスペースを作り、そこでサクッと得点。Poillonは本当に今シーズンのたったの数ヶ月で2年目にして全くの無名選手からリーグ屈指の大スターになってしまった。

LI GoalieでPenn State出身のDrew Adamsが試合を通じて素晴らしいセーブを見せ続ける。特にロングシュートへの反応は秀逸。

LIのクリース前のオフボール状態でのプレッシャーが凄い。クリース前をタイトにパックし、フィードが出てなくてもガンガン相手のスティックをチェックしており、クリースの選手は相当やりにくそう。

後半

試合を通してFace offでのTeam USAのFace offer、ChesapeakeのAlex Smithの強さが光る。後半の初っ端。彼の必殺技"Pinch and pop"でパチッとボールを前に飛ばしそれを直接拾ってノーマークでゴール。

LI 5点目、EMOにてDuke '08デュオのDino-Greerのホットラインがまたしても炸裂。Dinoのトップからの愛の無い鬼パスを涼しげにキャッチしてサクッと決めるGreer。この人に取れない球はあるのか?QuintもそれがDinoにアグレッシブにリスクを取ってパスを出す余裕を与えていると指摘。

3Q残り9分、LI DF Spallinaがボールデッドの状態でのヒットでファウル。ガラが悪い事で有名なLI DF陣はマジでビジュアルからして怖い...トラッシュトーク(試合中の挑発トーク)も半端なさそう。FxxxやらShxxやらの言葉が乱れ飛んでるのが想像付く。

Chesapeake 6点目、EMOでの裏の2枚からのプレッシャー、クリースでのVirginia CaptainでルーキーのCarrollへのフィード&シュートが教科書。

新星Peet Piollonの凄さ

CSP8点目、またしても全く同じ形でPoillonが電光石火のカットからbehind the backで得点。本物のシンデレラストーリー。テレビで見たNCAAに感銘を受け、ラクロス不毛地帯のPittsburgで父親と一緒にラクロスチームを立ち上げて高校からプレーし始め、中堅校のOhio Stateにスカウトされてチームを躍進させた後、Div 1の名門校UMBCに転校。そこで名将Don Zimmermanの指導を受け土台を築く。

それでもMLLからは見向きもされず、MLL1年目の去年は手弁当で片道5時間掛けてBostonの練習生をボランティアで買って出る。が、結局Bostonでは出場機会が得られず解雇。今年拾われたBayhawksで燻っていた鬱憤を大爆発させるかのように大活躍を見せた。多くのラクロスファン/選手に夢を与える存在。小さいくせに元気があって、パワーとスピードがあって、見てて本当に楽しい。自分がちびっ子ファンだったら絶対大好きになってたと思う。個人的にこういう雑草魂溢れる話は本当に大好きで、勇気とエネルギーを貰える。(Poillonの躍進と、MLL選手を多数輩出するUMBCの記事

再び試合

CSP 9点目、Carrollがクリースから鋭いジャンピングショットを突き刺す。この人の全身を使ったミドルレンジのシュートは本当にパワーがあり、正確。シューターは是非繰り返し見てパクりたい。

LI G Drew Adamsの、一度セーブした直後に再び立ち上がるまでのQuicknessがフィーチャーされていた。リバウンド、またはフェイクからの次のシュートへの反応に於いて非常に重要。恐らくGoalieの個人練習でも、ダイブしてすぐ立ち上がる、split saveで足を出して尻餅をついて一瞬で立ち上がる、という練習を繰り返しているはず。

4Q終盤、4点差を追いかけるLI EMOでのCromwellのLong standing shotの体の使い方。ヒップの使い方、体軸のトルク(捻り)の大きさ。

最後はBayhawksが4点差を守り切り、フランチャイズ3度目の優勝を飾る。

優勝カップのSteinfeld Cupを掲げる選手たち。いつみても優勝のシーンは胸がジーンと熱くなる。初期の栄光の後5年にわたる低迷と、Baltimore-Washington-Chesapeakeと、ホームタウンとオーナーを転々と変えながら苦しんでいた歴史を考えると尚更。

MVPは珍しくDefensive playerから、CSP LSMのKyle Hartzell。先日のRusty Gate Checkの記事でもフィーチャーされていた。準決勝でのPaul Rabilを完封したのに続き、この試合ではLIの得点源Stephen Burgerにほとんど仕事をさせていない。勝利への貢献度の高さを考えると納得の選出。必ずしもHighlightで最もフィーチャーされる訳でもないDの選手が実質的に勝敗を決める程のインパクトを持ち得るという例。

さて、これにて2010年のラクロスシーズンは終了。個人的には今後College Football, NFL, College Basketball, NBAと各種スポーツで順繰りに盛り上がりつつ、再び2月以降のラクロスシーズンに備える予定。Inside Lacrosse等で面白いラクロスネタがあれば都度紹介して行く予定。現役の皆も引き続き最高の夏を過ごして下さいな!応援してるので!

Lax UnitedのHighlight


MLL 2010 Game Review vol. 04 準決勝

昨日の準決勝、双方予想外の結果に。

1試合目: Boston Cannons-Chesapeake Bayhawks

大方の予想を裏切り、13-9でBayhawksが勝利。GoalieのChris Garrityが神懸かったセーブを連発し、前半終了時で10対3のリード。結局後半もそれを守りきり手堅く勝ちきった。LSMのKyle HartzellとP.T. RicciがBostonのPaul Rabilを0点に抑える活躍。Bostonの良さを消し去った。Team USAの大黒柱を複数要したBoston。Paul Rabil, AT Ryan Boyle共に、いまいち本来のパフォーマンスを出し切れてないように見えた。こちらはTVのESPN2で放映されてたので、DVDで梅ちゃんに送ります。

Inside Lacrosseの試合の詳細

2試合目: Denver Outlaws-Long Island Lizards

TVではカバーされず、Online放送のESPN3にて。これまたDenver有利の予想を裏切り、Long Island Lezardsが16-12で危なげなく勝ちきった。

無名大学Washington College出身でMLLに入ってからブレークしたベテランATのStephen Burgerが6得点の大活躍。Denverのリーグ最強ゴーリーの一人、Jesse Schwartzmanを攻略した。こちらも、Denver大黒柱のAT Brendan Mudorf, Drew Westervelt, MFのMax SeibaldなどTeam USA組がいまいち本来の活躍を見せられず。

詳細へのリンク

2試合を見ての感想

そんなに単純な話じゃないし、いろんなその他の要素も作用してるはずなので一概には言えないが、乱暴に言い切ってしまうと、WLC yearの今年、結局、Team USAのメンバーへの依存度が高かった1位と2位のBostonとDenverが準決勝でこけ、逆に代表入りを逃した選手が多かったChesapeakeとLIが決勝に。USAのメンバーは間違いなくWLCに向けてピーキングをしていたはずで、試合を見ても明らかに疲れており、本調子ではなかった。一方のWLC不参加組は順調にコンディションを整え、気持ち的にも戦術的にもこの準決勝に照準を合わせ、正に今週にどピークを持って来れている。何とも皮肉な結果に。

(あまり表立っては声を上げないが、現状のMLLのシーズンのど真ん中でWLCをやるというフォーマットに対しては文句を言いたい選手とファンはかなりいるはず。そもそもMLLが世界のラクロスの頂点であることは間違いなく、決勝のUS-Canadaのメンバーのほぼ全員がMLL。ラクロス全体の利益を考えたとしても今のスケジュールは明らかにタイミング的に無駄/機会損失が大きい。何でMLL終了後にやらないんだろか。)

まあ、そうは言っても、基本的には、実力のバラつきの大きいNCAA LacrosseやNBAなどとは違い、6チーム全ての実力が高いレベルで拮抗した接戦のリーグ。正直6チーム全てに優勝の可能性があり、どこが優勝しても驚きは無い、と言うのがボトムラインだが。今日の決勝はChesapeake-Long Islandという、2001年の第一回大会決勝、02、03、05と過去4回実績のある伝統のカード。10年間に渡りお互い犬猿の仲。これまでは2勝2敗。昨日の2試合を見た限り双方非常にコンディションはいい。好試合に期待。

いたる@13期

2010年8月21日土曜日

MLL 2010 準決勝、決勝 Preview

現役の皆さん初戦勝利おめでとう!引き続きがっつり楽しんじゃって下さい!こっちも引き続きNever graduate精神で楽しく応援してまっす。(先日OBMLでも紹介した、アホで熱いOBファンの例...ESPNのCMより。プレーヤーに会いつつ最前列で応援したいあまり...)

さて、あと数時間で今年のUS Lacrosseシーズンの集大成、MLLのChampionship Weekendが始まる。先駆けて、いくつか今シーズンのリーグ戦のレビューと、Inside Lacrosse PodcastでのQuintによるPreviewの紹介(リンク)。ESPN2では準決勝一試合と決勝が放送されるっぽいので、DVD録画して梅ちゃんに送っときます。

1. リーグ戦振り返り

●WLCイヤーの今年はいろんな動きがあった。2連覇を成し遂げたToronto Nationalsが、NLLの疲れを回復しきれず、チームとしてのバランスを失いシーズン当初から大コケ。ボロボロのシーズンに(3勝9敗)

●多くの主力選手が残り、ドラフトでのピンポイント補強もハマったBoston CannonsとDenver Outlawsがシーズンを通して手堅く勝ち(それぞれ8勝4敗)、1位、2位でプレーオフ進出

●シーズン当初にスタートダッシュを見せ、ドラフト補強も巧く行き、初のプレーオフ進出を決めるかに見えたChicago Machineが終盤失速...(元地元ファンとしては残念)

●比較的豊作だったNCAAからのルーキー組が、早速活躍(Duke-ChicagoのAT Ned Crotty, Duke-BostonのAT Max Quinzaniを筆頭に、JHU-ChesapeakeのMF Kimmel, Notre Dame-TorontoのG Scott Rodgersなど、期待通りの活躍を見せた)

●無名選手だったUMBC-Boston練習要員-ChesapeakeのMF Peet Poillonが大ブレーク(41ポイント)

●Virginia 06-BostonのMatt Poskayがクリースの魔術師として大活躍。45得点で得点王+MVPに

●シーズン後半、Team USA/Canada組が不在&疲れて失速する中、選考から漏れた燃えるAT Long Island LizardsのMatt Danowski (Dino)がMVP級の活躍でチームのプレーオフ進出に貢献

●TorontoのBrodie Merrillが引き続き世界最高DFの名に恥じぬプレーを見せ、5年連続のDefensive Player of the Year受賞

2. 準決勝、決勝プレビュー

準決勝はBoston Canons vs Chesapeake Bayhawks、Denver Outlaws vs Long Island Lizards
いくつか、QuintのPodcastで面白いと思った/印象に残っているコメントを紹介

例年、準決勝の方が決勝よりいい試合が多い

過去3年間の準決勝6試合全てが1点差の名勝負。練習時間が短くほぼ毎回ぶっつけ本番で望むリーグ戦と違い、2週間のコンディショニング+準備期間を掛けて、特定の相手に向けて十分に対策を練って臨む試合。準決勝の次の日にこれまたほぼぶっつけで挑む決勝と比べても非常にレベルの高い試合になる傾向。

(この点、やはり双方のチームがきちんと準備をして、本来の実力を出し切ってがっぷり四つに組み合った場合、やはりどのチームも実力的には伯仲しているということ。「混戦と接戦、試合の最後まで、シーズンの最後まで勝敗が分からないことこそが最高のexcitementを生む」という哲学に基づき、ドラフトで下位チームから指名権を与え、リーグ全体での戦力均衡を目指すという典型的アメリカのプロスポーツのアプローチが成功しているとも言える。まあ、その分決勝が粗くなっちゃってるのが改善の必要な点とも言えるけど...)

Boston-Chesapeakeの見所

●Boston AT Matt Poskayが凄い。元々Virginia時代はMFだったが、クリースでの才能を開花させ、ATの得点源として大爆発。昨シーズンは癌と戦い、克服しての復帰。右しか使わないが、カットの上手さと早さ、リバウンドの反応の異様な上手さにより得点を重ねる。またの名を"King of garbage" (Garbage goal、すなわちゴール前のリバウンドやルーズボールをひょこっと押し込むゴールの王様。ゴミゴールの王。一点はどんな形であれ同じ一点なので、名前とは裏腹に最高に価値のある称号。)

●Bostonの看板は何と言ってもPaul Rabil。彼が確実に4-5ポイント取れると大体勝てる。左に抜いて点を取れるかが鍵になってくる

●ChesapeakeはKyle Dixon, Peet Poillon, RookieのKimmelを要するMFは厚くて強い。若干影の薄いATがどこまで頑張れるか

Denver-Long Islandの見所

●Long Island シーズン後半5試合でのDino (Danowski)の凄さ。ブレーク状態での得点力は、ロングシュートも含めて間違いなくリーグ最強

●Long IslandのAT 2毎看板、Dino-Zack GreerのDuke 08コンビが凄い。Dinoの超アグレッシブなフィードはturn overに繋がる可能性のあるhigh-risk high-returnなプレー。ところが、CanadianのZack Greerが冗談抜きで全部キャッチしちゃうのでワークしている

●Denverは、エースBrendan MundorfがWLC以降明らかに疲れて失速している。どこまで持ち直せるか

●DenverはMFの柱、Max Seibaldが活躍するためにも、他のMFがどれだけやれるかが鍵になってくる。Syracuse 09優勝の立役者で元ATのDan Hardy、34歳のベテランで高校教師のBrian Langtry当りがどこまで活躍出来るか

●Long IslandのDFはScuderi, Plancoを要し、強いATを封じるという意味では最強。DenverのAT 2枚看板、Team USAのMundorfとWesterveltを封じる可能性がある

●一方で、LIのDの弱みは、そのアグレッシブさ故のファウルの多さ。諸刃の剣。特にDenverはMLL最高のEMO成功率を誇るため、危険

その他

●ジュニアレベルの試合から、NCAA、MLLとなっても変わらないのは、得点機会が多く、ポゼッションが極めて大事なラクロスというスポーツに於いて、勝負を分けるのは結局Face offとGround ballという点

●金曜の夜は練習が一般公開される。ジュニアの皆は出来れば試合だけじゃなくてこっちも見に行くべし。選手たちとよりオープンに話したりサインを貰ったり出来る上、練習を見る事が非常に勉強になる。時として、試合よりも練習を見る方が勉強になる

いたる@13期

2010年8月16日月曜日

Rusty Gate Check

今月号のInside LacrosseでのSkill講座は、Chesapeake BayhawksのDF Kyle HartzellによるLong stickの超かっけえチェック、Rusty Gate Check。総合格闘技(もしくは立ち技系でも)で言うところのスピニングバックブロー。OFの技術だけじゃなく、こういうDFの技術もフィーチャーしてるところが素晴らしい。そしてこの技術はDFでもハイライトを狙える派手な技。

Youtubeの動画リンク。カッコよすぎて鼻血出そうになった。Team USAのRyan Boyleを一撃で仕留めている。やられたBoyleはMLLのハイライトにカモられた映像が繰り返し流れることをその場で理解し激しく凹んでいる。相手のスティックとボールがスパーンと弾かれ、クルクルと中を舞う様がまた何とも残酷でいい。

LSMFとDFに分けてのHow toが記事に載ってたのでご紹介。なるほどなーと思うのが、決してただの派手な、目立つための技ではなく、純粋に勝つための試合での一つの純粋な技術として見ている点。反復練習とDisciplineでのみ可能になると語っている。そして、一発やって終わりではなく、ちゃんと当たらなかった場合も継続してDFするために足を動かしてポジショニングを維持しながらやること、やる場所を限定する事(ゴール付近ではやらない)など、非常に実践的なことを語っている。(記事のリンク)技そのものは「大技」で相手の意表を付くものだが、同時にリスク/ダウンサイドを最小化する考え方。

脚力、トップスピードを維持しながら体軸を安定させて上半身とスティックを鋭く回転させる体幹の強さ、スナップを効かせながら、スピードと遠心力でかなりの重さになるスティックをボトムで支えるリストの強さなどを考えると、この技を出せる人は限られるか?東大でも身体能力高くてある程度熟練したDFの選手なら練習次第で現実的に試合で出せるレベルはなるはず。特に日本の大学の選手相手であればなかなかこういうプレーには慣れてない/準備出来てないケースも多いはずなので、逆に成功できる可能性は高いかも。しっかり足を動かし、体軸を安定させた上で、コンパクトに、スナッピーにパチッ!と。Running shootと同じように右足でキックして、左手を逆に振り抜く。上半身と顔はほぼ真逆を向くところまで回転。

ちなみに、Rusty gate = 錆びた門。転じて大振りのこと。

2010年8月9日月曜日

Team USA post game interview: Matt Striebel (MF), Max Seibald (MF), Mike Pressler (HC)

まだまだWLC関連記事。これがラストかな?

既に大会が終わって2週間が経ちますが、最後の最後まで味わい尽くす/しゃぶり尽くすべく...Inside Lacrosse Podcastで決勝戦終了直後のUSA 2選手( Matt Striebel (MF), Max Seibald (MF))とHead coachのPresslerへのインタビューがあったので紹介。(リンク

マンチェスターに遠征していた皆にとっては生で見たあの決勝の裏舞台を知って二度おいしく召し上がって頂き、そうじゃないメンバーはDVDを見る上での予習用&感情移入用に。

3人とも優勝直後で感極まっていた部分もあってか、かなりがっつり本音や裏事情を話してくれている。Lacrosse関連のインタビューでここまで裏事情を明かし、感情や想いの部分をかいま見る事が出来るものはあまり見た事が無い。いろんな苦労やドラマがあったことを改めて思い知らされる。聴いていて思わず感情移入して涙腺が緩んでしまった。また、前回優勝を逃したことを受け、アメリカのラクロスが大きくアプローチを変えたことなど、裏事情が紹介されており非常に面白かった。選手としても、コーチとしても、General Managerとしても学べる事の多い内容だと感じた。(もっと言うとラクロスを越えたあらゆる分野や、人生そのもの、というより広い意味でも。)

インタビューは3人別々に行われているが、3人まとめて僕個人が印象に残っていること、感じた事を箇条書きでまとめると、以下。

1. WLCの重要さ、国を代表して戦うことの重要さ

3人とも口を揃えて、World Championshipの重要さ、国を代表し、星条旗を背負って戦う事の誇りと重さを語っていた。高校、大学、プロと全てのレベルで優勝を経験して来たラクロスエリートのStriebelでさえ、このWorld Championshipは特別な意味を持つ、最も重要な試合だと。

そして今回初めてWLCを経験したSeibaldも、試合をしている最中の雰囲気から、NCAAやMLLとは違う特別なものを感じたという。「決勝の前にチーム皆で集まり、一人一人が立ち上がって試合に懸ける想いを皆の前で話した。皆の想いが伝わり、感極まって涙を流すメンバーもいたし、自分自身も話す際に、感情が込み上げて来て言葉に詰まってしまった。これはNCAAの決勝でもMLLの決勝でも経験した事の無いこと」。

2. 今回の大会でCanadaに勝ち、優勝を取り返すことの重要さ

Striebelのコメントが非常に印象的だった。「前回のWLCの決勝でCanadaに負けた後、自分は悔しさの余り貰った銀メダルをそのまま宿舎に置き去りにし、持ち帰らなかった。USのロゴの付いたユニフォームやギアもすぐに友人やファンに上げてしまい、2006年のWLC関連の物は身の回りに一切残さなかった。それだけ悔しかったし、優勝を逃したという事実を受け入れられなかった。しかもその負けは、Canadaが奇策でスルッとまぐれ勝ちしたなどではなく、真っ向勝負でやってボコボコにやられたもの。フィールドラクロスの本家本元であるアメリカにとって、World Championshipは絶対に優勝しなくてはいけないもの。」

3. 如何に批判に晒されて来たか、如何にプレッシャーが大きかったか

Pressler曰く、開始当初からいろんな批判に晒されて来た。メンバー選びや戦術、練習試合でDukeやNCAA選抜に負けた時。今回の大会は正に優勝を取り戻す事が至上命題だったし、もしそれが出来なければ自分たちは否応無しに『史上最悪のUS代表』のレッテルを貼られることになっていた。決勝はESPNでアメリカ本土で全国放送され、多くのファンの注目にさらされていた。もちろん試合中はいちいちそれを口に出す事は無いが、プレッシャーにならなかったと言えば嘘になる。最後の最後は本当に紙一重。今勝者としてインタビューに答えられて本当に良かった。

4. 前回大会から大きくやり方を変えた

Striebel: 「06年に優勝を逃したことは、USラクロスの歴史の中で、後から振り返ると本当に貴重な経験だった。そこから全てを見直し、深く自省し、ベストなやり方は何かを考え、仕組みそのものを大きく変えるいい機会になった。そういう意味で、06年と10年のWLCはTeam USAにとって双子というか、陰と陽の対を成すセットの関係。

前々回(02年)の大会はMLL立ち上げ直後という特殊な状況で大学生/卒業直後の若手中心のチーム。CanadaやAustraliaから「今回のUSは弱いからカモれる」と言われ、見返してやろうと挑戦者としてがむしゃらにプレーし、結果として優勝する事が出来た。

一方、前回(06年)のチームのメンバーは、紙の上では、名前の凄さで言えば、恐らく史上最高。Powell三兄弟に、Kyle Harrison、誰がどう見ても、世界最高のラクロス選手を上から順に集めた文句の付けようの無い豪華メンバー。ところが、結局、最後の最後までチームとして”Gelしなかった(まとまって、有機的に機能しなかった)”。ただ単に有名な選手/強い個を集めればいいって訳じゃないと言う事が身に染みて理解出来た。」

Pressler: 「それを踏まえて、全てをゼロから設計し直した。選手の選考基準、選考プロセス、大会までの準備の仕方、戦術にいたるまで。とにかくチームメンバーとして、 我を捨て、プライベートやプライドを捨て、 USの優勝のために全てを捧げる事が出来るか。がむしゃらに頑張れるか、を基準に厳しい選考を行った。時間を掛け、トライアウトを行い、実際に努力してそれを証明した者だけを取った。

一部の関係者から『何であの有名選手が入ってないんだ?』、『なんでこんな脇役選手入れるの?』と批判されたが、それには耳を貸さなかった。(前回メンバーでスーパースターの)Ryan Powellが自分も代表に加えて欲しい、Canadaに雪辱を果たしたい、と言って来た時、『お前は本当に自分のエゴやプライベートを捨ててやれるのか?』と確認し、彼もそれに同意した」

Striebel: 「今回の選考は、精神的にも肉体的にも本当に追い込まれ、苦しい経験だった」、「今回のアプローチを試し、実際に成功したことはアメリカのラクロスにとって大きな成功体験。今後の代表チームにとっても貴重な財産を残すことができた」

5. 試合のレベルの高さ

Striebel: 「今回のWLCの試合は、過去の歴史上最もレベルの高いものだった。最も熾烈な戦いだった。 ルールがNCAAともMLLとも違い、スローな展開だったが、それでも尚、 Post Collegiate Lacrosseとしては間違いなく世界最高峰のものだった。」

6. 試合中は一つの試合として淡々とただひたすらやるべきことをやった

Pressler: 「試合が終わって初めて、この試合の重さと意味を感じ始めているが、試合中はそんな事は考えなかった。DukeやBryant大学で大きな試合を戦うのと同じ。コーチとして、その時その時に最適な選手をフィールドに送り、最適な戦術/プレーを選択させること。ただそれだけに集中して、あくまで一つの試合として淡々と戦った。」

7. 今回のTeam USの戦い方/スタイル:「軍隊式」

Pressler: 軍隊式で、あたかも大学ラクロスのように強い規律を持って戦った。コーチの自分がこれをやれと言えば問答無用でそれをやり、あれをやれと言えばそれをやる。その点、自由度が高くその場の選手の主体性に任せていた過去のUS代表とは明確に違う。それに従えないメンバーは選ばなかった。一人一人がrole playerとしてやるべきことを自覚と責任を持って、エゴを捨てて遂行してくれた。

Seibald: 今回の優勝は正に24人(控えのKevin Leveilleもメンバーの一人)の選手全員で勝ち取ったもの。そして24人全員が、 シュートを打てと言われれば打つし、キープしろと言われればキープする、 例え誰が何をやることになったとしても、一メンバーとして全く同じ事を遂行する積もりでやっていた。

8. 試合を決めた要因としての、Docの凄さ

「試合を決めたプレーは?」の質問に対し、3人が3人ともDoc (Brian Dougherty)のセーブを挙げていた。大事な場面で驚異的なセーブを連発し、チームを救ってくれたと。

印象的だったのはStriebelのコメント。「自分はDocとはPhiladelphia Barrage時代に何年も一緒にプレーした。自分は自分自身のことを相当Competitiveな(競争心の強い/負けず嫌いな)人間だと思うが、Docは更にその上を行っている。彼ほどCompetitiveな人間は見た事がない。彼と共にプレーする事で自分は選手として大きく影響を受けた」

9. 気持ちの大事さ

Striebel: WLCは、世界最高レベルのフィジカルと技術のぶつかり合い。最後に勝負を分けるのは結局気持ち。02年の若手主体のチームが優勝出来たのも、「嘗められてたまるか、見返してやる」という”Chip on your shoulder”で戦ったこと。前回負けて、今回必ず復讐してやるという気持ちが最大の勝因

10. 二試合続けて勝つ事の難しさ

Striebel: 予選のCanada戦で負けた直後の感想は「よし、これで次回までにやるべきことが全部見えたな」だった。負ける事で、慢心は一切生じず、尚の事勝ちたい気持ちが強くなった。実力が拮抗した戦いに於いて、2回続けて同じ相手に勝つのは難しい。

11. Canadian lacrosse

Striebel: 試合を見た人は解る通り、決勝は世界最高峰の戦いでありながら、Canadian LacrosseとAmerican Lacrosseという二つの全く違うスタイルによる一騎打ち。もちろんEnglandやAustraliaはいいチームだが、LacrosseのWorld Championshipは10カ国以上が実際に優勝の可能性を持ち高いレベルで鎬を削るSoccer等とは違い、いいか悪いかはさておき結局最後はUS対Canada。Canadaは本当にいい、手強いチームだった。決勝もどっちが勝ってもおかしくない試合。今後もこの戦いは続くことになる。NCAAではここ1-2年何度も「Canadian-Field hybrid lacrosse」という言葉を聴いた。Princetonで顕著なように、Canadianの選手たちがNCAAのフィールドに多数雪崩れ込んで来ている。何でそれだけ増えているかと言うと、当然それが機能しているから/効果的だから。この流れは今後も続き、強くなって行くだろう。

12. 個々人の秘めた想い

Seibald: 自分はこれまでのラクロス人生で、(彼ほどの傑出したプレーヤーで各年代のMVPを総嘗めにしてきたにも関わらず)実は一度もチームとしての優勝を経験していない。高校時代も決勝で負け、大学もCornellで決勝のSyracuse戦は最後の最後にOver timeに逆転で負け、Denver Outlawsで戦った昨年のMLL決勝もToronto Nationalsに負けて優勝を逃した。そんな自分に取って初めての優勝経験。前日にトレーナーにその事を話したが「まあ、いつも通りやりなよ。あくまで一つのラクロスの試合。普通に試合に出ていつもと同じお前のプレーをすればいいんだよ」と言われ、気持ちが落ち着いた。今改めて「世界大会覇者」の言葉を聴き、首に金メダルを掛け、これまでの一年を思い出して鳥肌が立った。

Pressler: 06年のアメリカのラクロス界はどん底だった。そして自分の人生もどん底だった。DukeのRape scandal(冤罪)でHCの職を失い、メディアに悪人呼ばわりされた。そこから長い苦しみを経て、一歩ずつ、Bryantのコーチに就き、USのコーチになり、仕事を取り戻し、プライドを取り戻し、そして再びNational spot lightの下に戻ってくる事が出来た。

いたる@13期

2010年8月3日火曜日

Team USA 2014 in Denver

Inside Lacrosseに2014年にDenverで行われる次回のWorld Lacrosse ChampionshipのTeam USAのメンバー予想が出てたので紹介。

アメリカの分析&Debate文化

もちろん基本的にはどの国でもそうだと思うが、特にアメリカで強い傾向として、どのスポーツでも、この手の予想や議論がメディアやファンの間でかなり熱く、盛大に交わされる。Debate文化、stats文化の国民性がもろに出る部分。Vegasを通じてのカレッジスポーツやプロスポーツの勝敗に関するギャンブルや、"Fantasy football"と呼ばれる、シーズンを通して自分が最も活躍すると予測する(または応援する)選手を選んで、そのパフォーマンスで友達とバトるという遊びが異様な盛り上がりを見せる。

ESPNでも、筋金入りのスポーツ馬鹿(でも賢い)のアナリストがゴリゴリに熱い議論を繰り広げる。「このチームにはこの要素とこの要素がある、絶対こっちの方が上だ」「いやまて、でもそのチームにはこういう弱点がある。逆に相手チームにはこういう好条件がある。こういうシナリオになったらわからんぞ」「いやでもXX年のあのチームを覚えてるか?ああいう例もあるからわからんぞ?」などなど。で、またそれがクソ熱くて面白い。一つのシーズンや大会や試合がある度に、何ヶ月も前からガンガン議論を重ねて盛り上がり、試合で盛り上がり、終わったらさらにそれを肴に感想を言い合ったり、分析してあーだこーだと議論して盛り上がる、という、preview-game-reviewの三度味わうスタイル。で、普通のオッサンや兄ちゃんたちはビール飲みながらそれで大盛り上がりするっていう。

(MMA[総合格闘技]では、更にここにPRIDE/Dream煽りV的な、伏線としてのtrash talkや背景/思い/ドラマがflavorとして注入されることで、ファンの感情移入を促し、更に舞台を盛り上げる)

記事のリンク

予測

以下、元JHUのAll American GoalieでMLL経験者、現ESPNの解説者、燃える頭脳派イケメン、Quint Kessenichの予測。

ATTACK
Ned Crotty (Chicago, Duke '10)
Mike Leveille (Chicago, Syracuse '08)
Brendan Mundorf (Denver, UMBC '06)
Steele Stanwick (Virginia '12)
Rob Pannell (Cornell '12)

MIDFIELD
Paul Rabil (Boston, Hopkins '08)
Max Seibald (Denver, Cornell '09)
Kevin Buchanan (Boston, Ohio State '08)
Shamel Bratton (Virginia '11)
Mike Kimmel (Chesapeake, Hopkins '10)
Peet Poillon (CHesapeake, UMBC '09)
Zach Brenneman (Notre Dame '11)
Jovan Miller - def mid (Syracuse '11)
Chris Lapierre - def mid (Virginia '12)
F/O - RG Keenan (North Carolina '14)

DEFENSE
Ryan Flanagan (North Carolina '11)
Kevin Ridgeway (Notre Dame '11)
Chad Weidmaier (Princeton '11)
Joe Cinosky (Chesapeake, Maryland '08)
DJ Driscoll (Chicago, Notre Dame '05)
Joel White - LSM (Syracuse '11)

GOALIE
Scott Rodgers (Toronto, Notre Dame '10)
John Galloway (Syracuse '11)

見て思う事

さすが長年第一線でプレーし、プロとして冷徹にラクロスを見て来た彼だけあり、極めてdown to earthで筋のいい予測をしているように見える。Crotty, Mundorf, Rabil, M Leveille, Seibaldなど、ここ数年のNCAAのMVP級のメンバーで今年のTeam USAの若手だった選手たちが4年後にベテラン大黒柱としてバチッと土台を固める。

そこに、Stanwick, Bratton, Kimmel, Scott Rodgersなど、今年来年のNCAAの柱の選手たちが加わる形。Poillon, Kevin Buchananなど、Up and comingで既にMLLを引っ張る活躍を見せているが、「長年掛けて積み上げられてきた経験、証明された実績」という意味での実績不足で今回のWLCの選考を漏れた選手も入っている。

Syracuseの新4年、Jovan MillerをDFMD、同じくチームメートのJoel WhiteをLSMとして手堅く入れているところなど、さすがによく見てらっしゃるなー!と唸ってしまう。

また面白いのが、MFのBrenneman, DFのRidgeway, GのRodgersと、今年のNotre Dameの準優勝メンバーが3人も入っている点。そしてそれがさほど違和感無く見える点。3人とも確かに個としてサイズがあり、身体能力も高く、技術も手堅い。正にTeam USA向け。それだけ今年のNDは何だかんだ言っていいチームだったとも言える。

全体的にかなり大きく若返りを図ってくるという予測。しかし、さすがに長年プロの解説者として多くの選手たちの成長と変遷を見て来た彼だけあって、かなりしっかり4年後に各選手がどうなっているかというポテンシャル織り込みで見ている(単純に今凄い選手じゃなくて)。

実際今後4年で誰がどうなって、最終的にどんなチームが選ばれるんだろうか。実際には恐らくこのうちの何人かはMLLでパッとせずに散って行ったり、全く予想もしていなかった選手が急成長して食い込んでくるなど、いろんなX factor(想定外の要素)が入ってくるはず。個人的にはATのStanwick (Virginia)やPannell (Cornell)は、確かに素晴らしい選手だが、サイズや爆発的なスピード/パワーという「素材」よりも、むしろ技術や賢さや老獪さで戦っている選手なので、果たしてtop of topの競り合いになった時に本当に残ってくるかね?という気もする。ちょっとNCAAの活躍に引っ張られてbias掛かってないか?評価インフレしてないか?と。

結局MLLで最後に抜きん出てくる/Team USAに食い込んでくるのは、(素材次第の要素の強い)前者が元々備わっていて、(trainableな)後者を限界まで磨き上げてきた連中なので。例えばNCAA時代の注目度以上にMLLに入ってから大きく花開いた今大会でのTeam USAのWesterbeltなんかが典型。Ryan Powellもスキルが際立つが、実は前者が圧倒的に凄い(あのでかさであのspeed/agilityで動けるATって実はほとんどいない)という前提がある人なので。

やっべ、なんか、考えただけでワクワクして鳥肌立って来た...ね?おもしろいでしょ?こういうの議論したり考えたりするの。特に一度NCAAやMLLのことを少し知ったり、実際に今回のWLCを見たりすると、手触り感が出て来て尚。でまたそれに乗っかってファン達が、「ちょっと待てーーーい!何でXXが入ってないんじゃい!」とか「いやーXXは無いでしょ」と熱い議論を繰り広げている。(建設的で鋭いものから、ただの野次馬コメント、批判的なものまで様々)いやー、こういうのがホントたまらんですよね...といってどんどんハマって行く訳ですな。

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後日追記

ただ名前だけ並べてもよくわからんかってことで、出身校と卒業年、MLL選手の場合は所属チームを併記してみました。僕自身もよく理解してない選手が何人かいたこともあり。しかし、こうやって見ると、10年に一度の豊作年と言われる来年の4年生(Class of 2011)が如何に選手層が厚いかが解る。来シーズンのNCAAは必見のシーズンということが改めて感じられる。また、必ずしもVirginiaやSyracuseなどの超名門校だけでもなく、UMBCやNotre DameのDF/Gなど、「上位5校ではないが毎年そこそこ強い」学校でもいい選手をポツポツと輩出してるということも見て取れる。

いたる@13期

2010年8月1日日曜日

Under Armour High School All America 2010 Review (2)

引き続き Under Armour High School All America 2010。DVDは今週か来週か再来週くらいに梅ちゃんに送るだす。(WLCの決勝とUS-MLLは、すまぬ。先週一週間出張で送ってなかったので、明日くらいに送るっす。)

マニアック度はグッと上がるように聞こえるHigh School All Starだが、恐らくこのメンバーがそのまま3年後、4年後のNCAA All Americaになり、この中の多くがMLLにドラフトされていくことになるはず。Tewaaraton (MVP)もこの中から出るだろうし、8年後には確実に誰かがUS代表になってくるはず。正に将来のエリートの見本市。

以下、試合の見所

試合開始前、最初の注目選手紹介のシーンでの各選手のstick trickがsmoothでかっけえ。今の若い選手たちはPowell兄弟の流行らせたスケボー的なと言うか、剣玉的なと言うか、X-sportsとしてのLacrosseに存分に触れて育った世代。Youtubeで小学生の頃からMikeyのsickな技に酔い、真似しようとしてきた連中。この手のstick trickが本当に上手い。面白いのがLong stickの選手でさえ軽々と滑らかにspin trickを決めている点。選手の紹介での「2歳からLacrosseをプレーしてた」というコメントが印象的。

前半

試合では、Northが黒、Southが白。

South 2点目、#14 Frederick (Ohio State入学予定)のXからの1 on 1、Jump shotが巧い。

1Q残り2分でのSouthのクリア、GoalieのGreg Dutton (Ohio State)のクリアでのダッジ力とstick skillの高さ。ほぼショートスティックの動き。左手にサクッと持ち替えてビシッとパス。short stickのfield playerをある程度若い頃に経験してからGoalieになるとこういう副産物が。

South 6点目、Duke commitの# 9 Jordan Wolfが今年卒業した得点王Max Quinzaniを彷彿させるquicknessとシュートを見せる。jumping over hand shotで高低差のある軌道が効果的。彼は間違いなく主力がごっそり抜けた来年以降のDuke再建の鍵を握ることになるはず。

後半

3Q North 10点目、MF #7でPrinceton commitのThomas Schreiberのトップからのdodgeのスピードとその後のバックハンドショット。でかくて速くて巧い。間違いなく一年目からPrincetonの核になってくるはず。

3Q以降登場したNorth #22のGoalie, Eric Shneiderが66%という高いセーブ率に恥じない好セーブを連発。特にゴール前での1対1で勝負強さを見せる。Goalieの層が薄いJHUでの早くからの活躍が期待される。

South AT #9 Jordan WolfがまたしてもXからのスピードある1 on 1で3得点目。彼のスピードは本物。Dukeでも1年目から活躍の予感。

4Q South 9点目#17-#1 Quint Haley (Maryland committed)の美しいfast break. HaleyのOff ballのDの裏を取る動き、ゴール前での落ち着いた得点など既にベテランの風格。

North 11点目、Syracuse #4 4年MF & Iroquois Nationals代表で、プレー中の姿や動きが優雅でカッコ良くて有名なJeremy Thompsonの弟、Albany commitのMiles Thompsonのリバウンドをゴーリーからサクッと奪っての得点が巧い。このAnticipationと事前のポジション取り。弟の彼もJeremyと同じ三つ編みの後ろ髪を垂らし、やっぱり動きがカッコいい。なんでだろ、滑らかだから?なんか、Styleが出てるんすよね。カッコいい匂いが漏れ漂う。これがX-gameのスノボやスケボーのfree style/slope styleやone-makeだったら彼が優勝する気がする。(ちなみに兄貴のJeremyは今月のInside Lacrosseで、最もカッコいい選手に与えられるSweetewaaraton賞を受賞...やっぱ皆カッコいいと思ってんだな!と思った次第)

更に12点目、またしてもThompsonの1 on 1からのシュート、そのリバウンドを片手で拾ってbehind the backでの得点など、MLLでハイライトになるレベルのプレーを見せる。信じられん。兄貴やIroquoisの先輩のCody JamiesonがいるSyracuseに行くと思われていたが意表を付いてAlbanyに行くという意思決定にラクロス界に衝撃が走ったと言う。結構兄弟って意外とライバル校に行ったりする。なんか気持ち悪かったり、ライバル意識が働いたりするんだろうか。

13点目、MF #5 Mark Cockertonのシュートもスローブレークから意表をつくタイミングでのシュート。スクリーンを使っての速くて正確なシュートをゴール角に突き刺す。本日3点目。彼も頭一つ抜けた印象で目立っている。Canada出身のMF。去年の主力がフルに来年、再来年と残るVirginiaのAT/OFMFの層をさらに厚くする事になるはず。Cockertonは4得点でこの試合のMVPを獲得。

終了間際のNorth 17点目、CathersからThompsonというIroquoisの従兄弟同士によるno look pass & behind the back shot。こりゃもはやプロの世界...彼らのstick skillはやはりこの高校生トップレベルのメンツの中にあっても際立つ。

Inside Lacrosseの10 who impressedの記事。

Casey Ikeda選手を将来の日本代表候補にどうでしょ?

最後にオマケで一点。SouthのDに#5 Casey IkedaというPensylvania出身の選手がおり、Marylandにコミットしている。名字と見た目から判断するにLacrosseでは珍しくJapan backgroundっぽい。試合前から注目選手に挙げられており、今回の試合でもDにクリアにGBにと大車輪の活躍で目立っていた。身体能力も高く、サイズもあり、stick skillに加え、賢い選手だなという印象。ぶっちゃけDFでは最もimpressiveだったんじゃないだろうか?

機動力とstick skillがある一方で、サイズ(体重)とパワーが若干落ちる(もちろんMarylandでがっつりweight trainingを積んでtrainerによる食事管理を受ける中で一回り大きくなると思われるが)ので、直感的にボトムではなくLSMで出るんじゃないかという気もする。

4年後にちょうど卒業することになり、さすがにその時点でUS代表に選ばれる可能性は低いだろうから、もしeligibleなのであれば日本代表に引き込むっていうのはありかな?と思った。(完全に素人の思いつき以外の何者でもないですが...見当違いなこと言ってたらごめんなさい。)EnglandやItalyは実際にその国の国籍はなくても2世、3世のNCAA選手/卒業生を出場させており、即席で実力を底上げすると共に、本場の風を吹き込ませる手段として有効活用している。バスケでは一昔前の高橋マイケル(元いすゞ)の例など。総合格闘技のBrazilian, Lyoto Machidaを日本人とカウントするみたいな。

彼を土台にしてMarylandと日本のパイプを作っていけば将来の日本のラクロスに間違いなくプラスになると思うし。Marylandのコーチは先日7年契約での就任が決まった若き頭脳派HC Tillman。長期的な関係を築くには持ってこいな気もするので。Marylandは元々Australiaから選手を輸入する伝統があり、今年は卒業直後のMF Adam SearがAUS代表で出ていた。そういう意味ではある程度理解もあるはず?

ハーフで3世くらいだと日本語一切話せなかったりして、口頭でのコミュニケーションの重要なDだと難しいかな?LSMやるならまだピンポイント使いし易い?そもそもUSとの差が大きいstick skillの比重が相対的に低いDだとあんましプラスにならないか...

いたる@13期

Under Armour High School All America 2010 Review (1)

さて、今回はESPN Uで先日放送されていた、高校オールスター、Under Armour All AmericaのDVD。これまでHigh Schoolの話はあまり触れてこなかったが、今後も機会があれば少しずつ紹介出来ればなと思ってます。

Under Armour All Americaとは

今年で第5回を迎えるUnder Armour High School All America Lacrosse(公式HP)。 その年に卒業したばかりで、秋に各強豪校に入学する、全米+カナダから選抜された44人の高校3年生が集まり、北軍と南軍に分かれて戦うオールスターゲーム。

バスケのMcDonald All Americaが先駆け。バスケの方は既に完全にNBAへの登竜門としてのポジションを確立し、そこに選ばれることが高校生を始めとしたジュニア選手たちの大きなステイタス/目標となっている。

それと同じコンセプトでUnder Armourをスポンサーとして始まったイベント。第一回から大成功で回を重ねるごとに注目度を増している。次の年以降の大学のスター選手を知る場でもあり、各大学のコーチやファンも注目している。実際に今年上位校で活躍した1年生のほとんどが、そして今年のMLLドラフト上位指名された4年生のほとんどがUAAA出身。今年のFinal Fourに出場した4チームのうち、実に27人がUAAA出身者。それだけに選手たちは自分をアピールしようと必死。

東大の現役選手の皆に取っては、(寄せ集めチームによるshow case eventという性質上)チーム戦術を学ぶ教材としては機能しないが、高い個人技術を学び、自分よりも若くて巧い選手を見て刺激を受ける/「クッソ4年間の間に絶対こいつら超えてやる!」とやる気の炎を燃やすニトロに使うという意味では役に立つかも。(まあ、後はただのLacrosse/NCAAファンとして楽しみつつ、後々の有名選手を理解するために?)

全体を見ての感想

試合を見終わって受けた印象をいくつか。全部で5点。

1. 大学入学前の時点で既にかなり巧い

当然の事ながら、全北米から集められたその学年の上澄み。はっきり言って、上手い。高校生としては信じられないくらい、上手い。感覚で言うと、Div 1のトップクラスで活躍してる選手とさほど大きく変わらないようにも見える。Div 1の中〜下位校の主力選手、上位校の脇役選手よりは間違いなく上という感じ。もちろん体も出来てないし、粗さも目立つ。変なミスもちょくちょくある。ちょっと強引過ぎたり、プレーの選択が未熟だったりもする。ただ、全体を通してのstick skill、そしてLacrosseの理解/経験という意味では非常にレベルが高いと感じる。やはりガキの頃からこのスポーツに触れてきた経験の差、周囲を取り巻くラクロス文化/コミュニティの深さを感じさせる。強豪校に入り、一流のコーチの下バチッと規律と戦術を教えられる事で、一気にNCAAトップレベルの選手になるのも頷ける。それだけ、素材としての土台がしっかりしている。

2. 勝ちパターン/得意技を明確に持ち、使ってくる

全体的に基本がしっかりしているのはもちろん。ただ、見ていると、「Xからの1 on 1では絶対に点を取る」「速攻でのロングシュートは超鉄板」「ground ballからのクリアでは絶対シュートまでfront courtでOFに絡む(long stick)」など、長年の経験から自然淘汰されて残ってきた、「誰にも負けない自分の得意技」「必殺技」「鉄板ギャグ」みたいなものを持っている。そしてそれらの効果的な使いどころをよーく解った上で、実際にそれを使ってくる。これもまた質の高い、competitiveなラクロスを若い頃からやってきたが故のナチュラルな知恵/野生の強さの一つだろう。

3. Gameとしてのラクロスをよく理解してるな

試合終盤のゲームのペースや流れのコントロール、行くべきところと待つべきところの明確で戦略的な使い分け、点差に応じたペース配分など、寄せ集め即席チームであるにも関わらず、チームとして試合巧者である点が非常に際立つ。これもまたやはりガキの頃から接戦を繰り返し、またNCAAやMLLを見る中で当然の事/共通言語として身に付けて来たリテラシーなんだろう。(恐らく他のスポーツを見たりやったりする中でも磨かれて来たものだろうから、一概にラクロスリテラシーが高いというよりも、アメリカ/カナダのスポーツリテラシーが高い、という要素の方がむしろ大きいのかもしれない。そういう意味では日本でガキの頃からサッカーやミニバスのエリートでやって来た子達も似た感覚を持っているはず)

4.「今時」のプレーをするなー

単に上手い、という部分を超えた、プレーの”style(流儀や見た目)”の部分の話。ボールの投げ方やクレイドルの動き一つ取っても感じられる。Swim dodgeやwing dodge, step backしながらのフィード、XでのFinalizerやジグザグの動き。90年代には余り見られなかった、新世代のoff-set & curving head eraの独特の動き方を皆当然のようにやっている。MLLだとまだclassicなプレーの選手がいる中で、彼らは完全にガキの頃から新しいstick technologyとそれに基づいたプレーを見て育って来た選手。今のNCAAでも既にそうだが、それを前提とした新しいゲームに徐々にシフトしていくのを感じる。

5. 鮮明な地域性

サッカーのworld cupでよく見られる国ごとの文化を表したプレースタイルの違い。それに近い、エリア別のlacrosseのスタイルの違いが如実に感じられる。CanadianやIroquoisの選手を多く含むNorthのATのスティックスキル。Behind the back, no lookが極めてナチュラルにバンバン飛び出す。シュートはice hockeyとoverlapするリストを使ったunderhand shotが多い。

対してSouthは伝統的なデカいathleteが目立つ。手堅い保守的なD、機動力のあるrunning back系MF。クリア力。キャノンショット。オーバーハンドでの愚直なバウンドショット(でも効果的)。

大学では各エリアの選手が各大学にドラゴンボールの様にバラバラに散っていくため、この色は相対的に薄れてしまう。(もちろんSyracuseの北とJHUの南などのある程度伝統的な色はあるが、そうは言ってもどのチームも最低限の持ち駒のポートフォリオを揃えてくるので。特にここ数年competitiveさが増す中で、その手の色は更に薄れつつある。)

一方で、高校までは完全に地元のlacrosseのカラーでやってくることに。従ってlacrosseが本来持つこの手の地域性/コミュニティ性が如実に感じられて非常に面白い。

Roster

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大学別の人数

大学別にUAAAの選手を何人取っているのかというのが毎年話題になる。その学校の数年後の強さに直結するため。もちろん無名の選手が大学入学後大化けしたり、逆に鳴り物入りで入学したsensational rookieが怪我やチーム戦術とのフィット等の理由でパッとしないまま噂先攻で終わってしまうケースもあるため一概には言えない。

が、一方で、大学から始める日本と違い、既に5年10年のキャリアを積み、過酷なcompetitionを経る中で多くのメディアや指導者の眼に晒される、実力とポテンシャルを十分に証明した上での人買い市場。基本的には大学で行われるのは最後の上乗せとアジャストの部分。原石を買って磨くと言うよりは、完成品を買って来てシステムに当てはめる作業という意味合いの方が強い。従ってやはり高校での有力選手をどれだけ取れたのかは極めて重要な指標。

(であるが故に、NCAAのHCとしての能力の中でリクルーティング力が大きな比重を占める事になる。また、それを考えると、UAAAをほとんど取れていないにも関わらず毎年結果を出していたTambroniのCornellが如何に凄かったが解る。彼の場合は実際の実力に比べて評判が落ちる選手、ポテンシャルの高い選手、努力する能力と賢さを持った選手を集め、入学後の指導と競争で強豪に仕立て上げるアプローチ。個人的には大好きだし、全面的に応援したい。その雑草魂/underdog spirit。)

試合でも紹介されるが、今年はNorth Carolinaが7人でトップ。続いてMarylandの6、JHU 4, Syracuse 4, Duke, Harvard, Princeton, Virginia, Ohio state 3, Notre Dame 2。やはり強豪校と学問名門校が多い。North Carolinaが新HC Joe Breschiの下、リクルーティングでも力を発揮しつつあるのが解る。恐らく彼には今の若い選手を惹き付ける何か、恐らくカリスマのような物があるんだろう。就任3年目で着実に土台となる選手層を積み重ね、長期的な強豪校への地盤を確実に固めつつある。

次回以降、試合での見所を紹介。

いたる@13期

2010年7月29日木曜日

Canadian Lacrosse

過去の記事でもやり過ぎだろってくらい書いているが()、Canadian Lacrosseについて。WLCでも、優勝は逃したものの、予選では勝ち、決勝でも最後の最後まで接戦を演じ、世界のラクロス関係者に二強体制を強く印象付けた。

ちなみに、実はCanadaの国技はIce HockeyではなくLacrosse。競技としての人気や大きさではHockeyの方が大きいが、夏のスポーツ、伝統あるOfficialなNational Sportsはこっちとのこと。

先日今年NCAAに入学してくる新一年生によるAll star、Under Armor High School All AmericaでもやはりCanadian Finisherが目立っていた。どこのNCAA強豪校にも大体1人か2人、ピンポイントでCanuck finisherを置いている。そしてそのトレンドは年々強まっている。やはりそれだけワークするということなのだろう。(まあ、試合やシーズンを通してのstatsを見れば実際にワークしてるのは一目瞭然...)

先日送ったNLL FinalのDVDをご覧になった選手の皆さんは一発でご理解されたと思うが、インドアはアウトドアにとっても恐らく最高の練習環境。状況判断やスピード、スティックスキルに関して、重力10倍ナメック星(古くて失敬)。

アナロジーとして凄く感じるのが、BrazilianのFutsalとFootballの関係。前回の記事でも書いたが、6年くらい前?にやっていた、GINGAの映画のロビーニョの言葉が思い出される。(映像)いいっすよね…こういう、スタイルがバシバシに出てるの。X-sportsっぽいところ。スノボやスケボーやサーフィンに近いような。

今週Delawareの本社で一緒に社内トレーニングを受けている同僚がNY州でラクロスをプレーしていたらしく、当時のCanadian絡みの思い出話をしていた(ちなみに弟さんがGait brothersと一緒にSyracuseでプレーし、3連覇したと。「ぶっちゃけGaitと一緒というタイミングがラッキーだった」とのこと…)。当時高校の地元に交流戦で遊びに来ていたCanadianのチーム。地元のお坊ちゃまアメリカ人達と比べると、なんか、でかくて、態度もでかくて、ちょいワル入った不良軍団。家に泊まった際に自分たちは飲むことを禁じられていたビールを「つか、酒飲むっしょ。当然」と勝手に飲んで騒ぎ、試合の前後に地元の女の子(含む彼のGirl friend)をガンガンhit(ナンパ)し、しかも試合は悲しいくらいにスカ勝ちし、ガハハハッと笑いながらバスで帰っていったのが印象的だったと…北欧からのViking来襲かと。まあ、でも想像付くわ…

てなわけで、どでしょ?東大の下級生の皆の中で、バチッと気合が入った猛者がいるなら。ラクロスの源流を辿るCanada留学ってのは…最悪Working holiday Visaで1年がっつり行くってのは。で、地元に密着してコミュニティに入り込んでインドアの真髄を染み込ませて持ち帰ってくると。恐らく相当特殊な存在になれるはず。スノボでは若い日本人もWhistler/Blackom辺りで山篭りのためによくやってたりするので、英語の勉強と人生勉強も兼ねてがっつり行くってのはどでしょ?(レゲエでは関西の尖った若いDeejay達が危険を顧みずに勢いでKingstonに行ってたりするし…で、実際それで大きく変化して帰ってきてたりするし。)極端な話日本で4年間真っ直ぐ真面目に過ごすよりも遥かに就職時の戦闘力アップにつながるし、もっと言うと確実にその後の人生/キャリアの選択肢と「楽しみのレバー/幸せの引き出し」を増やしてくれることになると思うので。

無責任極まりないことこの上無しで、完全にただの思い付き以外のなんでもなく、ただの自分が楽しむためのネタとして、ブレストがてらいろいろ考えると、実はIndoor LacrosseのWorld Championshipというのがあり、Fieldの次の年に4年に一度開かれている。(動画Wiki)例えばの話、(もし現時点で日本ラクロス協会から代表を出すという話が無いなら)、トレーニングの一環、遠征のひとつと位置づけて、東大のメンバーが中心になってイニシアチブを取って、仲間を募って、チームを立ち上げて、上手い選手を担いで、日本代表として出場するとか?まあ、言いたい放題もここまで来るとひでえなって話ですが…ブレークスルーはこういう馬鹿話から生まれるところもあると思うので…なんか、ちょっと夢無いすか?というか、何よりも、単純に、絶対に最高に楽しいはず!

(2007年にはスコットランドやチェコも出場している。北国ではあるが、別にラクロスの強豪国ではない。一応全うに戦えるんじゃないかなと。加えて、超長期的に見て日本がどこで勝ち易いかを考えると、直感的にその競技特性上fieldよりもindoorの方が日本人のDNAやカルチャーとのフィット上、相対的に勝ち目が高い気がする。サッカーよりもフットサルで日本が強いように。テニスよりもバドミントンや卓球で日本が強いように。コンタクトが相対的に少なく、Agility/quicknessと技術、戦術の比重が高いので。)

ちょっとでも面白そうと思う選手がいたら、僕で何かお役に立てることがあれば英語サポートやチーム探しも含めて喜んで相談に乗らせて頂くのでいつでも気軽に連絡下さいませ!

いたる@13期

2010年7月25日日曜日

WLC 2010 Game Review Final USA-Canada

マンチェスター遠征組の皆からすると一度生で見ちゃってるので新鮮さは落ちるかもですが、敢えてもう一度その興奮を味わいつつ、slow replayやQuint Kessenichの痒いところに手の届く解説でさらにもう一歩深く学ぶ上ではいい素材かと。遠征に行ってないメンバーや下級生は純粋にがっつり味わって下さいませ!

以下、見所紹介。

試合全体としての背景

過去の記事でも散々書いているが、前回はCanadaが優勝し、今大会も予選リーグでの対戦ではCanadaが1点差で勝利。USはField lacrosseの本家本元として威信を掛けて相当気合いを入れて臨む試合。CanadaはHC及びメンバーのほとんどがMLLのToronto Nationalsで数年越しで作られたチームなのに対し、USは確実に大会を通し完成度を上げて来ている。

偉大な2人のGoalie対決

今大会を通し、そしてこの試合でも、二人の大ベテランゴーリーの戦い。CanadaのSandersonは36歳。2008年に脳腫瘍の摘出手術を終え、治療の最中でほとんどラクロスをプレーしていない状態にも関わらず、今大会の為にstep upして戦う。元Hopkins All America GoalieのQuintも1年半のブランクを経てこのレベルの試合でこのレベルの活躍が出来るのは奇跡としか言えないと。

一方のBrian Daughertyも同じく36歳。MLLからは引退し、Pennsylvania大でgoalieコーチを勤める。98年のWLCで優勝するも、その後2大会は怪我やチーム方針の影響で選考から漏れていた。キャリアの最後の花道として世界王者奪還に掛ける。

試合を通してこの二人の経験と技術を感じさせるセーブが凄い。二人とも極めてスポーツIQ/Lacrosse IQが高く、Competitiveな性格。DocはDFの統率力/コミュニケーション力に定評があり、「敢えてズレて構えて空いた所に打たせて捕る」などのあらゆる駆け引きの戦術の持ち主。先日のインタビューで紹介されていたが、父親が体育教師か何かでガキの頃からあらゆるスポーツのキャンプに参加し、あらゆるスポーツの「要はこの競技で勝つ上では何が大事なの?」を学んだ経験が大きく役に立っていると言っていた。

試合の見所

Rabilの2点目のロングシュート。ほぼMLLの2 point shot lineの距離から。コンパクトだが速くて正確。毎日数百本の地道な長年の個人練習の末行き着く境地。

試合全体を見ていて感じるが、ground ballへの執着と激しさがMLLと数段階違う。世界制覇に向けプライドを掛けた戦いの重みを感じさせる。

1Q 全体的にCanadaのshot selectionが良くない。安いシュートを軽々とセーブされることが多く、オフェンス時間が十分に持てておらず、典型的な「悪い時のToronto Nationals」を見てるかの様な錯覚に陥る。

1Q終了前、Canada1点目、Jrがまたしても左横からone handのdive shotをにゅるっと押し込む。こりゃあ真似しようとしても真似できんか...このサイズと身体能力、crazyなstick skillの成せる技。

2Q開始時に映るCanadaのFOer Geoff SniderのFace offのスティックのヘッドが典型的Canadian indoor lacrosseのヘッドで、槍のように細いのが映像的に印象的。FOerとしては少しでも相手のスティックの下を取れるように、そしてindoorでのfield playerとしてはひたすら高いキープ力と正確なパス/シュートを重視し、グラウンドボールの「保険」としての先端の広さを捨てる構造。Gait brothersが好んで使っていた形状。

USのAlex Smithのmotor cycle grip(バイクのハンドルを握るように両手を順手で上から被せるスタイル)も印象に残る。

US 4点目 AT/MF Ned Crotty (今年のDuke MVP)のstep backしながらのfeedと視野、Ryan Powellのクリースでの裏を取る動き。

Canada 3点目のJrの裏からの片手フィードとWilliamsのクイックすぎて見えないtap shotがThe Canadian Lacrosse。

にしても、マンチェスターのカメラクルーが慣れてないからというのもあるが、Canadaのパスワークとフィードが速すぎて、そしてフェイクが巧すぎて、カメラが何度もボールを見失いまくっており、肝心のシュートシーンが見えないケースが何度かある。

US 5点目、AT Mike Leveille、XでのDの連携ミスの隙を付く鋭いpenetrationとそこからのシュート。シュートを打つ前に一瞬Ryan Ppowellを目線を向ける事でslideを一瞬遅らせるという細かいが重要な技術。

6点目、またしても時速180キロ男Rabilのロングシュートがゴールの左横パイプの内側にガツッと突き刺さる。この決勝のこの場面で、これだけの確率でこれだけの精度のシュートが打てる。ひたすら個人練習を繰り返し、厳しい実戦をくぐり抜ける中で磨かれてきた技術。

一瞬、Paul Rabilと「両刀使い」について考える

にしても見てても明らかにDにとってPaul Rabilは本当にやりにくそう。身体能力の高さはもちろんだが、左右どちらにも抜けて、左右どちらからでもかなり危険なシュートを打てることがこの人の危険度を数段階増している。「右は完全に切って封殺する」とか、「こっち来たら一瞬でスライド」という決めごとによる対策が圧倒的に立てにくい。結果、尚の事自由自在に抜き易くなるという好循環を自ら作り出している(且つ過去のインタビューを聴く限り、この人はかなり若い頃からそれをよーーーく解った上で明確に意思を込めてそれを磨いている)。

恐らく、「少なくとも利き手に関しては」Paulくらい速く抜けるし、速くて正確なシュートを打てる、という選手はNCAAにもMLLにも比較的ぱらぱらとはいるはず。だが、それだけだと残念ながら突出した活躍は出来ない。ことMF、特にDodge + running shootのスタイルの選手に関しては、この「両方行ける」という要素がトッププレーヤーとしてのパフォーマンスを何倍にも変え得るという典型的な例。「自分の強みである利き手をより生かす為に、敢えてweak handを鍛える」という一見面倒くさくも見える事をどこまで腹をくくってやりきれるか。

もし、ある程度身体能力は高いし、少なくとも利き手に関しては自信があるのに、リーグ戦では(スカウティング&対策されて)思うように結果が出ない、下級生の頃は活躍出来てたのに上級生になってteam Dが出来てるチーム相手にはいまいち抜けなくなった、というdodgerの選手がいたら、Be like Paul!!で一念発起してweak handを利き手を超えるところまで持っていく(ぐらいの積もりで鍛える)、というアプローチは長い目で見れば間違いなく有効なはず。

僕自身Paulのでかさや身体能力、その動きが発するオーラに圧倒され、何となく「別の生き物だ...」/「こりゃ真似出来ねえな」で思考停止してしまいがちだが、立ち止まって考えると実はこういう戦略的且つtrainableな(訓練することで習得可能な)要素が隠れている事に気付かされる。

更にもう一歩広げて考えてみる…

(そういう意味では正にVirginia新4年生のShamel Brattonもこの分岐点に立っている気がする。Strong handの左は恐らくRabilよりも上。だが、現時点では残念ながら明らかに利き手Heavy。Long stickに左を切られてEarly slideされると途端に静かになるのにはこの辺の理由があるはず。格下相手にならそれでも尚クソ強引に左にぶち抜いてキャノンシュートを決められるが、Semi Final以降やMLLのレベルで爆発的に活躍するためにはここをもう一歩脱皮する必要があるように見える。彼の場合余りにも身体能力と左の技術が突出しすぎており、かなりの所までそれで通用してしまうため、大きな方向転換の必要性を感じにくいという皮肉な難しさがあると想像する…

また、完っ全に横道に逸れた私事で恐縮だが、戦略コンサルタント時代に、定量分析の鋭さやフットワークの軽さで戦っていたアソシエイトから、よりハイレベルで定性的なプロジェクトの方向付け、クライアントマネジメントが求められるシニアコンサルタント、プロジェクトリーダーとロールが上がる際に、下手に昔の強みである「足腰の強さ」に頼りすぎるが故に新しい強みを鍛える/脱皮する妨げになる、risk averseになって手堅く小さくまとめに行ってしまう、という悩ましさを経験していた自分の姿が思い出されて痛かった…

「過去の成功体験による復讐」という簡単には超えられない壁。過去の成功が大きければ大きいほど尚のこと次の進化/成長への妨げになるという。恐らく、人も組織もこの手のジレンマとは一生戦い続ける必要があるんだと思う。過去の成功を捨て、自己否定してリセットを押せるか。失敗してもいいので新しいやり方を試し続けられるか。目の前のシングルヒットを捨てて、三振しまくってでも満塁ホームランを打ちに行けるか。その勇気を持てるか。そしてそのプロセスを楽しめるか。その辺が出来るかどうかが長ーいキャリア/人生を大きく変えて行くんだと思う。と、自戒の念を感じた…)

再び試合

US DF DeerのHuntleyへのリフトチェックが奇麗に決まる。職人技。

7点目、Shortyに付かれてミスマッチのMike LeveilleがまたしてもXから今度は右にfinalizer、ヘッドフェイク、そしてシュート。こんな動きはATやMFの選手は100回見てパクっちゃいたい。

8点目のMundorfのstrong hand左のシュートの正確さ。左上の突き刺さる。シュートの多様性と上手さではこの人が世界最高か?徹底した個人練習とフィジカルトレーニング、それを支えるdiscipline(努力/規律)を感じさせる。

3Q 10分、今年のNCAA Quarter finalで散々Virginiaを苦しめたStony Brooksのエース3年生Kevin Crowleyがダッジを掛けるが、このWLCのメンバーの中で見てもデカイし上手い。これはMVP候補に選ばれたのも頷ける。直後のJrによるリバウンドからのbehind the backはもう溜め息しか出ない。

Canada 6点目のGarrett Billingsの得点、broken situationからのスペースへのポジション取り、ボールを受ける前からシュートまでのイメージが完全に見えてる状態で瞬殺でシュート。解説者Quint Kessenichの「best decision maker of lacrosse、プレーの選択の賢さと速さでは最強」という発言にも説得力がある。

7点目、Crowleyのfast breakからのゴール右前からのシュート、キャッチからスムーズにコンパクトなステップで速く正確なシュートを決める。既に今年のNCAAでも最も目立っていた1人だったが、来年はVirginiaのShamel Brattonと並んでMVP (Tewaaraton trophy)の最有力候補となることを予感させる。

CanadaのDFの狙いを定めてroll dodgeするATをアグレッシブにダブルに行きボールダウンさせる戦術が決まりまくる。特にBrodie Merrillのプレッシャーが効果的。 MLL史上3本の指に入ると言われるLong stick, Merrill。そのDの強さの秘密について聴かれたQuintのコメント、「Rangeの広さ (機動力の高さ、手足の長さ), anticipation(相手への読み), hand/eye coordination(眼や手/スティックの使い方の上手さ)」というコメントが記憶に残る。 またMerrillは世界最高Offensive long stickと呼ばれるが、今大会では予想に反しわずか2得点のみ。clear clock, shot clockが無い現行WLCルールでは速攻でリスクを取ることも少なく、やはりそうならざるを得ないか。

直後にCanadaが 8点目の同点弾!HC Daveの息子、Hopkins ‘08のKevin Huntleyのface dodge、背中を使ってtrail checkを交わすボールキープの技術。

さらにDuke ‘08でMLL Long Island Lizardsを引っ張るZack GreerがDFのスペースの隙を付くdodgeからdive shotで逆転!!この人のここぞという場面での勝負強さは尋常じゃない。

直後のCrowleyとの1 on 1でUS守護神Daughertyのanticipationとquicknessが光るセーブ。

4Q残り12分でMundorfがbroken situationから決めて9-9同点!

ここまでUS DF #27 7 Shawn NadelenのDでの堅さが光る。Jr.に対しサイズで大きく劣るが、粘り強いフットワークと保守的ながら効果的なチェックで仕事をさせない。が、ここに来て遂にJrがゴリゴリに押し込みパスフェイクを一本入れてインサイドロールからねじ込み10-9でカナダ再度リード!

近い将来のスーパースター、Ned Crottyの凄さ

USは本来ATだが今回OFMFで出場しているNed Crottyがスパンッとダッジから鋭いシュートを突き刺し再度同点に!この人は間違いなく近い将来MLLを背負って立つスーパースターになると確信。この場面でチーム最年少で、自ら強い意志でstep upしチームを引っ張るリーダーシップ。この資質は教えられるものじゃない。試合終盤の大事な場面でこの落ち着き。大事な場面で普段の何倍も強い輝きを放つ。この手の活躍を彼はNCAAの準決勝、決勝で見せ続け、1年目のMLLで既に何度も見せている。Michael JordanにあってLeBron Jamesに無い「何か」を彼は持っていると感じさせる。

再び試合

USのオフェンスコートよく見るとAT 4枚に加え、本職はATだがUSではOF MFのCrotty。つまりAT 5枚という布陣。しかも残りのMF 1枚はPaul Rabil。こんな恐ろしい6枚セット見た事無い。USはなり振り構わず全てを掛け点を取りにいく姿勢。

Ned CrottyがShortyのCrowley相手にミスマッチを突いてXから倒れながら決め11-10で一点差リード!Nedは今年VirginiaのベストLong stick DFのKen Clausen相手に何度もこれを決めてきた訳で、いくらCrowleyが身体能力高いとは言えshort stickでは圧倒的に荷が重い。

やはり本来ATで機動力のあるNed Crottyを敢えてMFに入れるというHC Pressleyのチーム設計が大きく奏功している。これだけ実力が拮抗し、相手のlong stickが手強い状況において、この手のoffensive specialistの使い方が如何に試合を決定付け得るかを強く思い知らされた。(逆に言うとCanadaはここでShortyでもがっぷり四つでATを抑えられるだけのDefensive specialistがおらず、本来OFが得意なCrowleyが付かざるを得なかったのが痛かった。もっと言うとUSはそれを理解していてそこを付く布陣を選んだとも。最後の最後で詰め将棋の一手が勝負を分けることになろうとは。)

最後の3分は1点差を守るべくスピードをフルに生かしてUSが超保守的にボールキープ。そのまま試合終了まで守り切り、悲願の王者奪還。

振り返ると、過去の2チーム間の死闘の歴史に恥じない、極めてentertainingで熱い、素晴らしい試合だった。満足。

いたる@13期

2010年7月23日金曜日

準決勝、決勝を前にしたUSへのインタビュー

Inside Lacrosse podcastで木曜夜の準決勝、土曜の決勝を目前に控えたteam USAの主力三人のインタビューが載ってたので転載。(記事とインタビューの音声のリンク

超クイックに覚えてる範囲で紹介すると…

Paul Rabil (MF)
●チーム全体の状態としては、想定通りリーグ戦5試合を通じていい感じで完成度が上がってきている。ほぼフルの状態に近づいてきたと言える。お互いにプレーすることに慣れ、MLLルールからIFLルールへのアジャストも出来てきた
●当初は若干戦術の違いを頭で意識しすぎて、確率の高いシュートを打とうとする余り保守的になりすぎ、本来打つべきところで打たずに譲り合い過ぎてしまった面も。本来15メートルから決められるのに10メートルで打たないみたいな。その辺も少しずつ良くなりつつある
●(予選で1点差で負けた)Canada戦はシンプルにシュートが良くなかった。本来決めるべきシュートを決められなかった。もちろん相手GoalieのSandersonも良かった。ただ、少なくとも入れるべきシュートを打てるところまで持っていけたのは良かった
●HCのPressleyの方針は、ひたすらChemistry(チームとしての相性/親和性)を上げていくこと。食事もシュート練習も全て皆で一緒にやって、とにかく仲良くなる、日常生活から連携を高めるというスタイル

Brendan Mundorf (AT)
●Canada戦は皆超気合入って臨んだが、Paulが言うとおりシュートが良くなかった
●ただまあ、全体的に非常にconsistentにプレーできてるので、いいんじゃないか
●今回のメンバーは過去に比べても相対的に若く、physicalが強い
●まあ、Grant Jr.に3点やられちゃってるのが痛い

Kyle Sweeney (DF)
●Canadaは言うまでもなくfinisherの最強集団。ちょっと油断するとやられる。Dとしては非常に手ごわい。緊張感を持ってしっかりやる必要あり
●でも一方で、やってて非常に面白い
●D全体としては非常に保守的に、patientに、下手にアグレッシブにボールを奪いに行かない、という点を守っており、全体的にconsistentに、良くやってると思う
●前回は9点中fast breakが3点というのは良しとして、set offenseで6点というのは少なすぎる。シュートをもっと決めないと


てな感じでした。

ほとんど準備無しで挑んでいるUSはリーグ戦を通しチームとしての完成度を上げていってる感じが判る。いろいろ良くなってきてるっぽい。決勝のCanada戦はどうなるか。

決勝のUS-Canada戦は土曜に米国でもテレビ(ESPN2)でliveで放映されるっぽいので、DVD録画して梅ちゃんに送っとくわ。

いたる@13期