2012年4月3日火曜日

Mark Millonのスキル講座 vol.06 Off ball play

当たり前の基本を言っているだけだが、それでも尚、世界最高峰の選手が敢えてその重要さを強調し、基礎をここまで徹底して頭と身体を使って行っているという事が重要な学びだ。

Off ball play

  • ラクロスプレーヤーは、このオフボールプレーにこそ最も時間を使うべきだ。なぜなら、それが選手としての価値を将来に渡って決めるから。
  • 多くの若い選手が、ボールを持っている時に意識を集中し過ぎ、オフボールの重要さを軽視している。
  • だが、NCAAのトップレベルでプレーしている選手を見れば解るが、ほとんどのプレーは、ボールを持っていない時に起こっている/決着はボールの無いところで着いているケースが多い。
  • コンプリートラクロスプレーヤーになるためには、オフボールを完璧に理解し、使いこなす事が肝。
  • ティップスは、まず、常に脚を動かし続ける事。常に動いてポジションを変え続ける事
  • そして、味方がボールを持って、自分の方向にドライブして来た時は、必ず、毎回、スペースを空けろ。そして、ゴールに向かってカットし、ボールを見て要求しろ。それが最も簡単にオフボールで点を取る方法。

Off ball 2

  • 次のティップスは、常に自分に着いているディフェンダーを見続けること
  • 全てのDefenderは、常にswivle(首振り)をし続けるように教育されている。ボールとマークマンを交互に首を振って見るように教育されている。
  • それをよく見て、隙を付いて相手が自分から視線を切る瞬間にバックドアを取りに行くこと。
  • ダメダメなオフェンス選手はそこで何もせずにボーッとしている。Great playerは、キャリアとアイコンタクトを取りつつ、Dが視線を切ってる瞬間にsneak in behind the defender(こっそりと裏を取る動き)を常にする。
  • 例えそれがATであっても、MFであっても、この辺を理解して常に相手を見て裏を掻く動きをし続ければ、格段に危険な選手になる事が出来、点を取る事が出来る。

Off ball 3

  • クリース前のエリアでどう動くべきかを理解する事が非常に重要。
  • 基本的にはボールキャリアに対して対角線上/点対称な位置にいる事。クリースにいて、トップにボールがある時は、低い位置。Xにある時は高い位置に行ってカットのスペースを作る。
  • カットする時は必ずV-cutすること。一度Dを押し込み、そから数歩飛び出す。
  • Off ballの2 men gameをしっかり学び、極めること。Off ballでのピックを使ってお互いをフリーにし合うこと。
  • ピックでは、しっかり脚に根を張らせ、スティックを身体の近くにキープ。ピックしてもらう側はhip to hip(腰と腰がぶつかるかぶつからないかのギリギリのところ)でピッカーのスレスレを通ること。ビタッと間を埋めて、表から簡単にファイトオーバーさせない事。
  • ピッカーは必ずピックした直後にmove outしてパスを要求しろ。

と、この辺のinstructionを見ていろいろ思う事

バスケのポストでの2 on 2、ピックを使ってポイントゲッターがアウトサイドやミドルレンジでフリーを作る動きに極めて近い。原始的な駆け引き/騙し合い/裏を掻くゲーム。この辺は一度一通りのセオリーを学習したら、後はひたすら実践を繰り返す事で感覚を磨き続け、習得/習慣化する事が一番大事なんだろう。こんなもん突き詰めれば格ゲーと同じで、何通りかの「こうくればこう動く」の引き出しを揃え、それを瞬間的に引き出して組み合わせる順列組み合わせの世界、パターン認識の勝負なので。それを如何に無意識/subconsciouslyに延髄反射で出来るようになるかの勝負なので。ゲームとして楽しみながらひたすら繰り返して極めちゃったもん勝ちの世界。バスケの2 on 2のピックアップゲームのノリで気軽にバンバンやっちゃってもいいし。ボールを持ってのガチンコ1 on 1に比べると圧倒的に気軽に出来るのがいいとこだ。

しかも、On ballと違い、多くの選手や相手から見ると得てして相対的に意識が薄くなる領域。ROI(Return on Investment:費用対効果・投下時間/労力当たりの見返り)が最も高い技術の一つだろう。試合中に相手のDFに「あっれー!?俺絶対こいつより脚速いし、ボール持って1 on 1やっても絶対負けないのに、何で気付いたら5点も盗られてんだ!?」と思わせられたら最高に面白い。ラクロスの事詳しく知らない観客が「ねえねえ、あの子小ちゃくて特に目立ってないし、そもそもほとんどボール持って走ってないのに何であんなに点取ってるの?」となったら痛快だ。

何とかチームの中で抜きん出て試合に出たいと思ってる選手にとっても、判り易く、誰もが一生懸命練習するボールを持っての1 on 1、ロングシュートやランニングシュートと比べると、相対的に手薄になりがちなオフボールは狙いどころということだろう。結局最後は数字が印象を超えるレベルでパフォーマンスを証明するので。派手に抜いてロングシュートぶち込むのも、ひっそりオフボールでフリーになってヒョロッと点を取るのも結局同じ一点なので。「オフボールではうちのチームでは誰にも負けない。」という状況になれば、かなり高い確実で試合に出られるし、そこそこの確率でチームの得点王になれる可能性もで来る。

こういう、要領の良さ/狡猾さで勝つ、素人には解りにくく、形式知化しにくい『art』の世界で相手を圧倒する、ってのも一つのカッコ良さ/美学だろう。何と言っても、先天的に与えられるDNA/身体能力の規定をほとんど受けず、知恵と工夫と努力次第でtop of topになれる(&相手をぐうの音もでない程こてんぱんに出来る)と言うtrainability/controlabilityの高さに底知れぬ魅力を感じる。

そもそもこの領域の重要さやROIの高さに「心から」気付ける力、そこに注力して鍛えて自分の強みに出来るメタ認知力。Off ballのプレーが上手い選手は、高い確率で、仕事の出来る賢いビジネスパーソンになると感じる。「オフボールプレー十傑」みたいなのを選出したら、NCAAでも日本でも、結構どの企業も欲しがる頭脳派/ストリートスマートソルジャーが集まるんじゃないかと。

教科書 となる選手

これはやはりBoston Cannonsの#7 Matt Poskay程の選手はいないでしょ。文字通り世界最高のクリース職人。NCAAではダントツでVirginia #10 AT Chris Bocklet (Sr)。映像あるなら徹底して彼らだけを一試合だけ通してみる、と言うのを10試合もやれば一気にスキーマが出来るはず。

いたる@13期

0 件のコメント:

コメントを投稿