2012年4月26日木曜日

NCAA 2012 Game Review vol.25 Duke vs North Carolina

ACC Tournament決勝。Durham-Chapel HillというNorth Carolina州のTriangle Areaの車で10分の距離にある、アメリカの大学スポーツを代表するライバル関係の2校、Duke Blue DevilsとUNC Tar Heelsによる対決。(ちなみに我が家の地元)

結論から言うと、Duke強し。12-9でUNCを倒し、2年振りのACCトーナメント優勝。スコアボード)やはり力の差。地力の差か。

ただ、一つ言えるのは、両チームとも非常に素晴らしかったのと、Dukeは2年生、UNCは1-2年生が明らかにチームの主体。その2チームがVirginia, Marylandを破りNCAAトップクラスの試合を素晴らしい闘いを見せたと言う事、つまり、来年、再来年、(UNCに関しては3年後以降も)恐らくこの2チームがグイグイNCAA Men's Lacrosse Division 1の勢力図を引っ張って行くであろうという点。今後が楽しみすぎる。特にUNCはこの目まぐるしくボールが展開され、6人全員があらゆる形で点を取ってくる「お祭りラクロス」スタイルが今時の若い選手の心を掴み始めている筈。今後5年でどう変化していくのか本当に楽しみ。

いくつか印象に残ったのは、
  • とにかくエキサイティングな試合。つかもう素晴らしい試合がここ数週間で多すぎてお腹いっぱいで既にゲロ吐きそうだが、これも今年のトップクラスに面白い試合。雨でフィールドの状態が良く無いが、そんな中全ての選手が全力を出し切って熱い戦いを繰り広げた。GBの寄り、DFのプレッシャー、トランジッションの全力での激走、全てが素晴らしく、心を打った。熱くていい試合。見る価値有り。気迫がもう。
  • UNCのAT 3枚、#1 Marcus Holman (Jr, Captain), #4 Jimmy Bitter (Fr), #11 Joey Sankey (Fr)の3人が引き続き本当に素晴らしい。見てて目頭が熱くなる。「全力」ってどういう事なのかを教えてくれる。ラクロスに於いて、「ATが全力で走る」って本当はどういう事なのかの認識が、今シーズンのUNCの彼ら3人を見て根底から変えられた。"Ride hard(激しくライドする)"という言葉を彼ら程体現してる連中はいない。中一日の雨の中の今日の試合で、試合を通じて文字通り全力疾走でプレッシャーを掛け続けた。「ライドの姿勢で人を感動させられる」って凄い。加えて、ボールへのミート。ボールを持ってのキープ時の脚の動き方、ダッジのトップスピードっぷりとChange of Direction/Change of Paceの鋭さ、オフボールでの脚の動き方、全てに於ける「全力投球」の姿勢はNCAAでもなかなか見られないレベルで素晴らしい。Bitter & Sankeyのコンビは今後3年間NCAAの中でも強力な2枚看板になっていくはず。全リクルーティングクラス内で2位、7位の評価は伊達じゃない。二人とも感心するのは、一つの技術だけじゃなく、かなり多くの技術にバランス良く優れているという点。走れる、抜ける、ライドも鬼、パスキャッチも上級生張りに安定、ミドルシュートもクソ上手い、フィードも出来る。それで二人とも1年生ってよ...基本的に高校からNCAAには大きなレベルの断絶があり、例え優秀な選手であっても往々にしてブレークするにしても2年生からがほとんど。それが彼らの場合一年生で完全に堂々とスタート張ってる…信じられん。今後3年でどうなっちゃうのよ。
  • またしても、UNCの#12 MF Chad Tutton (Fr, U-19 Canada代表)が同じく一年生にして太々しい程のメンタルの強さと確かな技術により3得点の活躍。サイズもある。Indoor出身のCanadianらしく手元のStick Skillは申し分無し。ロングシュートも上手い。しかしそれ以上に何と言っても、この図太いメンタル。一年生でしょと。試合で最も大事な場面で、飄々とえげつない状況でボールを広い、的確なパスを投げ、プレッシャーのある状況で難しいボールをキャッチし、難しいシュートを決めて来る。「際(きわ)」の局面での勝負強さ半端無し。これぞインドア仕込み。今後3年間で間違い無くもう一人のスーパースターになって来るはず。しかし、面白いのは、これだけ優秀な選手であるにも関わらず、実はUnder ArmorのFreshman Class Ranking上位100人には名前が載っていないという点。Canada代表の伝説的DF Brodie Merrillらが率いるCanadaのHill Academy高校出身のため、アメリカ人を対象とした同ランキングではノーマークだったと言う事か。見た感じ本来Top 10の評価を受けててもおかしくない。他のポジションと比べても適応するべき点が多く、MFで1年生が活躍するのは極めて難しいNCAA。そこで、且つトップクラスの試合でこれだけ活躍出来ると言うのは異例。末恐ろしい。
  • あとは、UNCの勝利の方程式、#25 FOGO RG Keenan (So)が勝ちまくる、というのも出来ていた。25本中17本勝っている。マジでギャグみたいな数字だ...Duke #9 LSM CJ Costabileとの一騎打ち。CostabileのFOの怖さは、FOそのものではなく、FOで勝とうが負けようが相手に拾わせない、または拾われてもLong stickで落として、必ずDukeボールにしてしまう所。前半Keenanも苦しむが、途中から攻略法を見つけ、全て後ろにかき出して一瞬で拾ってゴーリーに渡す、というのを繰り返してことごとく勝ち続けた。(所謂格ゲーの「ハメ技」、もしくは必勝コマンド的な、「これやりゃ確実に勝てる」パターンを発見した感じ。)あとピンチアンドポップで想いっきりOFコートのRestraining Lineまで飛ばしたり。
  • UNCの試合を見ていて明確に感じるのは、「とにかく面白え!」という点。OFの「ワクワクが止まらん感」が凄い。6人が6人とも抜けて、ボールがグルングルンに回って、あたかもEMOかのようにフリーを作ってシュートを打って来る。何と言うか、Jazzで言う所の「Jam Session」という言葉が相応しい。皆が一つの共通の意思/決め事のもと、自由に動いて、その場その場でパッとフリーを作ってそこを突いて来る。華々しい。意外性満載。新しい時代の独創的でクリエイティブなネットワークラクロスと言うか。とにかく見てて面白い。「おおっ!」「マジかっ!?」という歓声が頻繁に上がる。特にAT 3人を固定したここ5-6試合で特にその傾向が強くなっている。Chemistry(相性/慣れ/連携)が明らかに生まれている。シーズン前半のTurn Over満載の自爆必至パターンも影を潜めつつある。HC Joe Breschi氏、そしてOF Coachで元MLLのPat Myer氏がやろうとしていた事はこれなのねと。しかもほぼこのメンバーで来年、再来年もやって行く事になる。うおおおマジ今から楽しみ...
  • Dukeはやはり地力。DFも強いし、AT, MFの攻撃力高し。NCAA Tournamentでは明確に優勝候補筆頭。シーズン当初、多くのメディアからプレシーズン1位の評価を受けながらも、前半に3敗し、「?」満載に。が、心配ご無用。それは毎年の事。想定内。明確に4月後半から5月に向けてピークを合わせて来るDanowskiコーチの哲学。シーズン前半は余り勝敗にこだわらず、過度に相手に応じて戦術を変えず、とにかく自分たちの「内側」の課題のあぶり出しと潰し込みに集中する、「基礎固め」に優先順位を置き、そこを徹底的に固めに行く。GB、パスキャッチ、切り替え、シュート、1-on-1、DFのコミュニケーション等々。で、シーズン後半に掛けて、そこで固めた基礎/土台をベースに、勝ちに行く。結果、どのチームよりも強いチームが出来上がると。リーダーシップ/コーチ論として本当に学ぶ事が多い。(逆にシーズン初期に完成されていたが、ここに来ていくつかの土台の弱さが見えつつあるVirginiaとは対象的。)

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