2012年4月19日木曜日

NCAA 2012 Game Review vol.22 Duke @Virginia

うおおお熱ちいよNCAA...マジで。クソあちい。

Hopkinsに破れながらも再び1位に返り咲いたVirginia。ホームVirginia州CharlottesvilleのKlockner StadiumでDukeを迎え撃つ。

どのスポーツの世界にもある「天敵」関係。日本にも、○○大学はどんなに強い年でも、××大学には何故か勝てない、またはその逆、というパターンがあると思う。VirginiaにとってのDukeが正にそれ。優勝した年も含め、何と、過去12回のDukeとの対戦で、1勝11敗。何故かどんなに強い年もDukeにだけは分が悪い。(もちろん、過去6-7年間のDukeと言えば、Matt Danowski-Zack Greer時代、Ned Crotty-Max Quinzani時代だったので、そもそもDukeがめっさ強かったというのもあるが、にしてもVirginiaが最終的に優勝した去年ですらDukeにだけは負けているのは象徴的。)

そのジンクスを晴らすかに注目の集まった試合。大方の予想は、「そうは言ってもVirginia勝つっしょ」だった。

が、蓋を開けてみて愕然とさせられた。前半から完全にDukeペース。後半に入って8点差に開き、13-5で完勝。無惨なまでにVirginiaを撃破しきった。(スコアボード

なぜそうなったのか?毎年起こっているChronic/Secularな事象と、今年スペシフィックな事象とに分かれるが、いくつか印象に残った点を記させて頂きたい。

Virginia
  • 気持ちがちょっと切れて来たか?失速感がある。Defending Championとして迎えたシーズン前半。バキバキに完成されたラクロスでぶっちぎって走って来た。先週もUNC相手にパンプアップしきった気持ちとラクロスで文句無しの勝利。それが何故か今週、頑張ってはいるが空回り、という印象を受けた。もうちょい分解してみると、
  • 大エースで昨年Tewaaraton (MVP)の#6 AT Steele Stanwick (Sr)が明らかに本調子じゃない。目に見えて怪我と疲労が蓄積して満身創痍になりつつある。先週のUNC戦で汚いlate hitも含めてかなりの傷を負っており、元々やられていた背中に加えて膝にサポーターを付けての登場。明らかに走れていない。にも関わらず複数ゴール&アシストを上げる所はさすがだが。GLEでロールしながら、DFが決め事変更して自分に対してはHotがスライド行かないシステムになっている事に気付き、そのまま背負って涼しい顔して叩き込むなど、引き続き突出したラクロスIQと状況把握力。解説者のQuintが、「全体2位指名でMLLに行くが、若干この点が心配。根本的に身体能力で突き抜けているタイプではない。MLLの厳しく激しい当たりに晒される中で体が持たない可能性がある」との事。Billy Bitterも心配されていたが、彼の場合は天性のスピードが有ったため1シーズン目の去年は上手く交わせていた。Steeleの場合恐らくそれは厳しい。どうなるか?例えば、完成度の高いアスリート&選手が選りすぐられるUS代表に残って来る選手ではない様な気がする。
  • Dukeならではの「NCAAで最も体育大学然とした」でかくて身体能力の高い動けるDFを相手に、抜ける場所が無くなっていた。確かに、ATはStanwick, Bockletを始め、抜けるタイプではない。Briggs, Tucker, EmeryらMFもシュート力は強力だが、いずれも爆発的ダッジ力で勝負するタイプではない。Dukeが毎年天敵になっているのにも頷ける。
  • 例えば今後ACC TournamentやNCAA Tournamentの決勝で再戦した時、果たしてDukeを攻略出来るだろうか?厳しい感じを受ける。Quintも指摘していたが、DukeやMarylandやSyracuseに比べると、明らかに「伸びしろ」が感じられない。今後1ヶ月で力関係が変わって来る恐怖を感じて背筋が若干寒くなった。(ちなみに去年は逆に前半ぎくしゃくして、最後にBratton兄弟が除籍、DF Lovejoyが怪我で抜け、排水の陣とZone DF導入で不死鳥の如く蘇って優勝した。)
Duke
  • 来ましたよ。遂に。Pre season 1位だった理由がここに来て急激に明らかになりつつある。すげえ点が多過ぎてキャプチャー出来るか自信が無いが、忘れないうちにガッと書き殴ろうと思う。
  • まず、このシーズンを通してのピーキング/ピークマネジメント。コンディショニング。この点に関してはただただ脱帽したい。毎年そうだよ。この人達は。HC John Danowski氏の哲学が明確に出ている。(ここは日本のリーグ戦と完全に異なる点だが)レギュラーシーズンは何と14-15試合。トーナメントには16チームが参加出来る。最悪いくつか落としても十分に後から挽回出来る。シーズン前半から飛ばしたってしょうがない。完璧主義に陥って、全ての試合で勝つ事を最優先する必要が必ずしも無い。要は最後にNCAA Tournamentで勝つ事が大事なんだから。リーグ戦前半の2-3月はしっかり後半に向けての土台を作る事に集中する。体を作り、メンタルを作り、GBや個人技を中心とした基礎技術に集中させる。敢えて全員出して競争と成長を促す。負けててもタイムアウトを取らずに突き放して自分たちで窮地を脱する術を見つけさせる。自律と自立を促す。チーム内に自発的動機と自発的リーダーシップを刷り込む。素晴らしいコーチング/リーダーシップ。実際に一昨年はそれでシーズン後半にturn aroundして優勝。去年も前半ボロボロから改善してFinal 4。今年も前半3つ負けておきながら今や優勝候補に躍り出て来ている。ただただ恐ろしい人だ。
  • #4 G Dan Wigrizer (Jr)が明らかに急激に成長しいる。一昨年1年生でcageを守り優勝を成し遂げたが、当時から常に不安定だった。無駄に沈み込む癖で上に決められるケースが多かった。それが、明らかにメンタル、技術、クリアの弾離れと正確さ、全てに於いて一流のパフォーマンスを見せつつある。間違い無く裏にあるのは、去年Sycacuseのベストゴーリーで現Rochester Rattlers G John Gallaway Assistant Coachの手腕。あれだけ達成動機が高く、ロジカルに理詰めで物事を考えられる人。コーチとしてトップレベルにならない訳が無い。先日UNCをスカウティングをしていたGallaway氏とDanowski氏の会話は正に完全なる師弟関係のそれだった。将来D-1のトップチームを率いていてもおかしくない。
  • DFえげつねえ。マジえげつねえ。でかい。機動力高い。堅い。どうやって抜けばいい?チェック痺れるように痛い。スライド&カバーもぬかりない。クリース前をガチッとパックしきっている。でかいから密度感と重層感が凄い。サンドウィッチマン。特にVirginiaのようにATにスピードスターがいない相手だとかなり手堅く守れている。と言う事は、恐らくVirginiaとHopkinsには強いはず。組み合わせ次第では多分準々決勝か準決勝で彼らと当たった場合、決勝進出全然有り得るぞ...
  • VirginiaやSyracuseの十八番であるはずのRun & Gunを完全に奪い取って自分たちの物にしていた。半分以上、いや2/3くらいブレイクの得点じゃないだろうか?アグレッシブにボールをプッシュしてシュートまで持って行っている。特にLong stickの機動力とシュート力が脅威。
  • ATの2年生2枚、#31 AT Jordan Wolf (So, 身長175cm)と#8 AT Josh Dionne (So、身長168cm)の小型AT 2毎看板が強力な攻撃力を発揮しつつある。WolfのXからのダッジは皆知っているが、今回Dionneのクリース前の際立った技術と勝負強さが確認された。も来際に一瞬ズラして貰い、クイックに正確にフェイクして決める技術。
  • あと、何つっても絶対に外せないのが、#9 LSM CJ Costabile (Sr)の存在。2年以上NCAAをフォローしている方には聞き覚えのある名前だろう。一昨年の決勝でOTの末、FOから直接fast breakでシュートに持ち込み、Notre Dameを破って初優勝を決めたあの決勝点を決めた選手。FOでの相手に何が何でも拾わせないチェックと、かき出してかき出して拾いきる力。現時点でDuke躍進の最大の原動力になっており、影のTewaaraton候補とも言われている。
という訳で、今、明らかにDukeが急激に来ている。今日のレベルのパフォーマンスを維持出来るなら、正直優勝しても全くおかしくない。

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