2012年4月1日日曜日

Mark Millonのスキル講座 vol.05 Off handの鍛え方: Mirror Drill

Mark Millonの講座の中で、最も感銘を受けたものがこちら。凄く正しい事を言ってることに加え、非常に頭のいい方だなー、と感動した話。Off-hand/weak hand、即ち非利き手の鍛え方。

Weak handの鍛え方(リンク


以下、彼のコメント
  • このインストラクションの最終的なゴールは、聴いてくれている皆を優れたシューターにし、ラクロス選手として更に上手くなってもらうこと。
  • そのために極めて重要なことは、必ず全てのタイプのシュートを打てるようにならなくちゃいけないという事。そして、使えるだけじゃなく、その全てのシュートを、試合で危険な武器として使えるレベルまで徹底して磨き抜くこと。
  • 決して、自分の得意な一つのシュートだけ、左のアウトサイドだけ、や、ゴール前のシュートだけ、とか、ランニングシュートの右だけ、ではダメ。Inside, on the run, time and room (outside)の3つ全てを極め、Over/side/under-hand全てで、あらゆる形で打ち分けられるようになること。
  • そして、必ず、それらのいろんなシュートを、off hand(weak hand)でも同じ様に打てるようにすること。利き手だけじゃダメ。
  • フィールドのどこからでも、どんな形のシュートでも、どちらの手でも、完璧に自信を持って出来るようにならなくちゃだめ。逆に言えば、もしそれが出来れば極めて危険な選手になれるということ。
  • だが、利き手じゃない方で同じようにシュートを打つのは、皆ご存知の様に、easier said than done(言うは易し、行うは難し。)
  • それを解決するドリルが、ミラー(鏡)ドリル
  • やる事は、ボール無しで、ゆっっっくりで構わないので、自分の利き手のシュートの動きをよーーーく見て、どのタイミングでどこをどう使っているのか、スティックや手や体が、どういう向きと角度で、どういう関係で動いているのかを、目と身体の感覚でじっくり感じながら、分析し、理解すること。筋肉の感覚を感じること。
  • そしてそれを20-30回繰り返し、感覚を鋭く研ぎ澄ませる。
  • そしてその後、左右を切り替えて、off handで、exactly sameな動きをする様に、頭と目と身体の感覚で、利き手の動きをなぞること。文字通り鏡の様に。チェックポイントごとに正しい軌道/角度/位置を確認しながら。で、20-30回繰り返し、利き手をトレースする。
  • そして、また利き手に戻して...で、またoff handにそれを流し込んで、を延々繰り返すこと。
  • 最後はビデオで映像を取って、左右のフォームを並べて確認する。
  • なぜこれが重要か。多くの若い選手や指導者が犯しがちな間違いとして、闇雲に「利き手じゃない方も練習しろ」と言って延々と壁打ちやシュート練習をやらせる事がある。しかし、誤った/効率的ではないフォームのまま練習を続けても、悪い癖が強化されるだけで、返って悪影響を及ぼすことになる。必ず正しく効率的なフォームを理解し、きちんと利き手の動きを理解した上で、off handの練習をするべきだ。

この動画を見て、ラクロスの世界でもトップレベルにいるMillonが、ここまで徹底していること、その姿勢と知恵に、敬意の念を感じ、感銘を受け、鳥肌が立った。と同時に、いろんなことを考えさせられた。(こっから先、もはやただの個人的メンタルノートなので、興味無い方は容赦なくスキップしちゃって下さいませ...)
  • 得意技だけではダメで、全部のシュートを出来るようにならなきゃだめ、それも両手でやれなくちゃだめで、しかも出来るだけじゃなく、高いレベルで出来るようにならなくちゃダメだと明確に言い切る点。ともすると、「一芸に秀でる」「尖りを作る」の考え方で、一番通用する技に安住してそれだけ練習したくなってしまうのが人間の性。しかし、当たり前の事だが、それだけでは必ず限界が訪れる。相手に対策を打たれて封じられる。「必殺技」も、全てを高いレベルで出来てこそ(相手がどれをやってくるか読めないから)初めて生きる訳で。
  • また、この論理的で合理的なアプローチ。頭と身体/感覚をフルに使い、利き手の動きをしっかり理解し、意識的にそれをoff handに流し込んで行くという考え方。認知心理学で言う所のメタ認知(Metacognitive Ability)の力。非常に正しいやり方だと思う。
  • 僕が以前教えて頂く機会に与った、日本を代表するインストラクターの一人、Phoenix Golf Academyの鶴見功樹コーチも全く同じことを仰っていた。彼が本場スコットランドでインストラクションを学ぶ中で教わったゴルフコーチとしての非常に有効なトレーニング法として、敢えて利き手じゃない方の自分のスウィングを、自分自身でコーチする、というドリルがあるとのこと。利き手の動きをトレースし、理論とビデオでのフィードバックを通し、正しい身体の動かし方を自分に教え込んでいくプロセス。「ゴルフの練習で最も重要な、最も時間を割くべきドリルは何ですか?」という質問に対し、「闇雲に球を打つな。30cmのクラブを持ち、鏡の前で、超スローで、コマ送りで、正しいスイング軌道とフォームを身体と眼で確認しながらトレースする作業を繰り返せ。アマチュアであっても、トップレベルのプロであっても同じ。」と教えてくれた。
  • 特に、この「正しいフォームをまずきちんと頭と身体で理解するべき」、「闇雲にがむしゃらにやってもダメ。悪い癖が強化されるだけ。(いやむしろ下手に努力した気分になってしまうためマイナスですらある)」の部分は、激しく共感を感じた。
  • 自分自身、ラクロス以外に、スノーボードやゴルフを学んで行く中で、ラクロスをやっていた頃には理解出来ていなかったレベルで非常に強く感じさせられた。多少効率の悪い身体の使い方をしていてもプレー自体は出来たり、身体能力の差やその他の要領の良さで何とかなってしまう事で「誤摩化せ」てしまう(言い方を変えれば、誤ったフォームに対して寛容な)ラクロスやその他のチームスポーツ系の球技と違い、それらのスポーツは相手がおらず、正しいフォームで行うことの意味が極めて重い。正しいフォームを身につける事で、精度が2倍になったり、距離が1.5倍になったり、成功率が3倍になったり、という事が如実に起こり、それがダイレクトにパフォーマンスに繋がるのが解る。
  • (スノーボードでもプロの選手が鏡の前などでワンメイクの、「キッカーに向かって、踏み切って、回しながら...板引きつけて、グラブして、こういう感じでスタイル漂って...ランディングビタッと着地して...」とゆーっくり板無しで確認しているfootageを時々目にする。ゴルフでも正に同じように鏡の前で短いクラブを持ってポイントを確認しながらゆっくりシャドーするのを(少なくともアメリカでは)どのコーチもやるように指導する。キックボクシングのジムでも、鏡の前でゆーっくりゆーっくりパーツパーツの動かし方を指導される。)
  • でも、ポイントは、実はラクロスも他の要素に掻き消されて見えにくくなっている(フォームの間違ってる身体能力の高くて大きい選手の方が、効率的なフォームでやっている小さくて遅い選手よりも活躍出来たりするので)けど、実は同様に正しいフォーム/身体の使い方でプレー出来るかどうかは水面下でパフォーマンスに大きく影響しているということだろう。
  • 一回見ただけで直感と本能でいきなりバチッと出来ちゃうような才能とはからっきし縁の無かった自分は、ラクロス時代から相当この手の「頭から入る」「正しいフォームを考えながらやる」アプローチでやっていたと思うが、それでも尚、彼の指導を見ると、今から考えるともっともっともっと徹底して出来たなと感じる。
  • 本当に何も考えずに、最初から両手で全ての動きを最も正しい形で出来てしまうような人は、恐らくナチュラルにトップ0.0X%の突出した身体能力や所謂「運動神経」、空間感覚を伴ったDNAを産まれ持って与えられた、一部の「選ばれた天才」だけで、且つラクロスをそれこそ幼少の頃から始め、正しいコーチングを受けて来たようなケースだけだろう(アメリカと違い、日本だとそういう選手は多分そもそもラクロスの前にバスケや野球やサッカーに出会ってそこで大成してしまい、ラクロスにはそういう選手はほとんど流れて来ていない気もする...)。(僕も含めた)多くの選手の様に「並み」の遺伝子を授かり、しかも遅くからラクロスを始めたケースだと、こうやって相当意思を込めて頭を使って賢くアプローチするしか無いんだろうなと、改めて感じさせられた。
キャンプでも全く同じこと仰ってますな。
  • 最初はボール無しでひたすら反復
  • で、その後ボールを使い、wall ball(壁打ち)で実践

いたる@13期

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