2012年4月24日火曜日

NCAA 2012 Game Review vol.23 Duke vs Maryland

レギュラーシーズンも終盤に近づき、今週辺りから各Conferenceの上位チームによるConference Tournamentが始まっている。そのうち多く(7つ)のConferenceは、トーナメントの優勝校が自動的にNCAAトーナメントに参加出来る16チームの席を獲得出来るという「AQ = Automatic Qualifier」制度を持っており、リーグ戦のランキングでトーナメントに出られないチームに取っては、最後の逆転を狙えるチャンス。

ACC (Atlantic Coast Conference)について一瞬紹介

ここ5年で完全にNCAAラクロス界最高峰のリーグとしての地位を確立したACC (Atlantic Coast Conference)。Virginia, Maryland, Duke, North Carolinaの4校。過去数年の優勝校、準優勝校、ランキング上位校のみ4チームが集まっている、「死のカンファレンス」。去年のFinal 4にはVirginia, Mariland, Dukeの3チームが残りっている。アメフトやバスケ等他のスポーツでは10大学以上が参加しているが、ラクロスでは南部の学校にチームが無いため、4チームのみでカンファレンスが組まれている。(従って、レギュラーシーズン中はほとんどカンファレンス外のチームと試合せざるを得ない)

いずれもAtlantic Coast(東海岸沿い)にあり、北はBoston Collegeから南はFlorida Stateまで。資金力のある有名校。部員全員に体育推薦&奨学金が使え、大型名門校であるが故に強い選手をリクルートするだけのブランド力/学力を備えている。広く充実した施設、(Boston College以外は)温暖な気候、自由でおおらかな文化など、あらゆる面で充実。どのチームも現在のNCAAラクロス界のトップレベルのコーチ陣が教えている。加えて、ここ数年で注目度が高まった事で全国ネットのTVでファンや家族への露出度も高い。

それらの理由により、MarylandやNY州、Philadelphia近郊といったラクロス先進地域、加えて最近では全米やCanadaから、高校時代に実績を残している優秀な選手が集まっている。

日本のイメージで言うと、バスケの日体大や日大、ラグビーの明治や慶応や早稲田や筑波と言ったスポーツ推薦名門校のイメージだろうか。(ラクロスの日体大の場合はラクロスの体育推薦で集めている選手たちではないのでちょっと違うイメージか。)

結果、ACCの選手は総じて、サイズも大きく(180cm以上は当然、190cm以上がゴロゴロ)、身体能力も高く(Quint曰く、アメフト/バスケに次いでラクロスとの事)、技術/戦術的にも強い選手が分厚い選手層を形成しており、毎年激しい闘いを繰り広げている。専門のPhysical Trainer付きでガシガシウェイトレーニングを積み重ね、毎年プロラクロスリーグであるMLL (Major League Lacrosse)に10人以上のエリート選手たちを輩出し続けている。

そんなACC 4チームによるトーナメント。実はAQは無いので(どうせ4チームとも順位で普通にトーナメントに出られる。)、NCAAトーナメントへの影響は無い。にも拘らず、どのチームも妥協無く全力で優勝を狙って毎年激しい闘いが繰り広げられる。やはりACCの全てのスポーツ共通して脈々と流れるACC内の激しいライバル関係、ACC優勝という栄光の欲しさ、そして、5月から始まるNCAAトーナメントに向けての「Momentum(勢い/盛り上がり)」獲得に向けて。

(ちなみにその他のカンファレンスとその構成チームについてはこちら。)

試合

第一試合はACC全勝のDukeと4位のMaryland。共に優勝候補Virginiaを大量得点で破っている。3月の試合ではMDが勝つも、例年通りDukeは敢えてスロースターター。シーズン前半は成長の為の投資期間で、戦力は当てにならず、後半に掛けて一気にチーム力を上げて来る。

今の時点での実力差はどうか?

結果は、6-5でDuke。

共に手堅いDとスローペースで過度にブレークに頼らずポゼッションを大事にしてSet OFとEMOで得点する展開。去年のVirginia-Marylandのような、ロースコアながらも緊迫感溢れる、決して飽きさせない展開。正直どっちが勝ってもおかしくなかったが、よりミスが少なく、勝負所で決めきったDukeが勝利。

印象に残った点は、
  • インドア出身のDuke AT #8 Josh Dionne (So)がまたしても活躍。特に、前半終了間際に混戦で倒れた状態でこっそりGBを拾い、立ち上がりながら振り向き様にいきなりミドルシュートを叩き込んだのには見ていた全員が凍り付いた。MD GのAmatoも一瞬何が起こったのか把握出来ず。シュート決める度に移るアップで、たけしさんばりに首をコキッ...コキッ...と動かしている。完全にZoneに入ってるなこれ。意識的に「思考」しなくても本能のレベルでボールを貰って得点出来る動きが瞬時に思い浮かぶ、揺らがぬFlow状態を感じる。
  • DFが双方素晴らしい。お互いの良さを完全に消しきった。特にDuke #31 AT Jordan Wolf (So)のXから抜いての右手のCome aroundは、ぶっちゃけ右しか無いという点をスカウンティングしきり、MD DFが完全に封じた。
  • 双方Gは強いが、再三述べて来た通り、Duke #4 G Dan Wigrizer (Jr)が明らかに今年に入って一段実力を上げている。影に去年のSyracuse Gで現MLL Rochester Rattlers John Gallawayアシスタントコーチの指導あり。明らかにコースの読みの力、駆け引き、反応、アウトレットパスが目に見えてレベルアップしている。
  • 現NCAA最高峰のLSM対決も見所。Duke #9 LSM CJ Costabile (Sr)のFOでの獅子奮迅の活躍。MD #36 LSM Jesse Bernhardt (Jr)の機動力、脚で着いて行く力、チェックの上手さ、GBの鋭さ。Bernhardtは来年のMLLドラフトの目玉になってくるはず。何なんだこのMarylandの走れて落とせて点取れるLSM輩出っぷりは。去年はBrian Farrellいたし。
来てますよ。Duke。こりゃ優勝相当狙えるはず。

Highlight

0 件のコメント:

コメントを投稿