2012年5月1日火曜日

STX training vol.06 Kyle Harrisonの"Throwback"(逆投げ)

2011年4月7日

一歩応用編に入った、痒い所に手が届く超実用的な技術解説をもう一つ。

これも要領のいい選手は上級生/社会人となるに連れ自然発生的に似たようなことをやり始めているだろうが、一つの技術として明確に切り出し、名前を付ける/ラベルを貼る事で更に技術スキーマとして認知/確立し、伝達可能な形式知にすることで、より高い質で安定して出来るようになったり、まだ知らない/出来ない選手が学ぶ上での学習効率を飛躍的に高められる。

Kyle Harrisonによる、"Throwback(スローバック)"と呼ばれる技術の解説。直訳すると、「逆投げ」とか「投げ返し」とか「後ろ投げ」という感じだろうか。これこそ細かいようで試合で実は瀬戸際の局面で大きな大きな差を生む技術の典型。1-2秒の差が大きな分かれ目になってくる局面で極めて効果的なテクニック。

これを見た上でHopkins等の試合を見ると、実際に頻繁に使われている事が解る。多分チームとして意識的に練習して使っているはず。07年のRabil-Peyserの'10 US代表の黄金MFコンビが正にこれだけで簡単に点を取っていたのが思い出される。(そして2011-12年には#31 John Ranagan - #9 John GreeleyのコンビがRabil-Peyser時代の再来で全く同じ事をやっている。)

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  • HopkinsやSyracuse、Cornell等、上位チームがよく使っているプレー
  • ダッジ力のあるMFにとっては、身に付けておくと便利なプレー。特に早いタイミングでスライドを飛ばして来る相手と対戦する時に非常に効果的な技術。
  • まず、ダッジャーがダッジしてスライドを引きつける
  • 中学/高校で学ぶ基礎としては、ここで"Roll back"、即ちロールして、DFとの距離を確保した上で、逆の手に持ち替えて確実にパスをすることを習う(→裏を返せば、まずはこの"Roll back"を確実に身に付けている事が大前提ということだろう)
  • ところが、大学やプロ等、ある程度高いレベルでの戦いになると問題になるのが、roll backして数秒掛けているうちに、slideのdefenderが「あ、パスするな」と察知し、サッと元のマークマンに戻ってしまい、パスが出せなくなってしまう/出せても崩れてない状態に戻っちゃって意味が無いという点。
  • 自分がHopkinsで教わったのは...Roll backする代わりに、少し横/斜め後ろにステップバックしながら、DFとの距離を保ちつつ、走りながら、持ち替えずに、そのままの手で逆サイド/またはスライドによって空いたプレーヤーにパス。
  • これにより、Slideに来たDFに戻る隙を与えない上、更に離れた位置まで連れて行くことが出来るため、自分はまだ2人のdefenderを十分に引きつけたまま、トップのJoe Walterにパスを出せる。で、Walterはそのままフリーであればシュートに行く、マークがついていてもクリースにスペースがある状態でより有利な1 on 1が掛けられる
  • このThrowbackの技術を練習して身につければ、roll backに比べて遥かに効果的に/簡単に自分以外の選手をオープンに出来る事を実感出来るはず
  • いい練習方法は、トップで二人組になり(チームでやるなら二列作り)、ダッジして外に流れ、ステップバックしてスローバック、で、もう一人もパスを貰ってダッジしてスローバック、をドリルとして繰り返す。(ちなみに、これ、試合会場でアップ中のHopkinsが実際にガンガンやっていた。)
これ、KyleはMFのトップからでやっているが、ATにも共通する、というかむしろATの方が使う頻度が高いかも知れない。現MVP候補筆頭のCornellのAT #3 Rob Pannellを見ていても同じ様に、roll backせずに、ステップバックしながら、または横に流れながら、場合によってはその場でステップを踏みながら、DFを引きつけた状態でフィード、というプレーをよくやっているように見える。

ラインドリルやトライアングルパス(って今も呼んでるか解んないけど)みたいに通常のパスドリルの中に一時的に組み入れてもいいし。チーム全員がある程度試合でcomfortableに使える基本技のレベルにまでこの技術を身につければ、試合中の崩しからの攻撃の幅が圧倒的に広がって来るはず。

Flip side of the coin(逆の視点)で考えると、DFとしては、確かに、roll backならシュートもダッジで抜いてくる事も無いので、スライド止めてとっとと戻っても全く怖くないし、場合によっては振り向きざまを狙ってダブったりも出来てしまう。が、もし正面を向きながらstep backされると、一気に面倒臭くなる…もし戻っちゃってリダッジされたら完全にフリーになっちゃうし、場合によってはそのままシュートも有り得る。かと言ってそのまま着いていくと思いっきり外まで引っ張られちゃって、別の場所に大きなスペース/フリーを作られちゃう。でも中途半端なのが一番最悪…って考えると如何にOFにとって心強い武器になるかが解る。

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