2011年5月3日火曜日

NCAA 2011 Game Review vol.28 Princeton @Cornell

Ivy leagueの因縁のライバル。学問的名門校二校の激突。去年もレギュラーシーズン、Ivy Leagueトーナメント決勝で二度対戦し、それぞれOT、1点差の超激戦。

現時点でほぼMVP確実と言われる#3 AT Rob Pannellが引っぱるCornell。本当にいいチームだ。どんどんいいチームになって来ており、現時点で3位。優勝も有り得ると感じる。シーズン前にHCのJeff TambroniをPenn Stateへの移籍で失い、「厳しい」と言っていた自分としては平謝りに彼らに謝らなくてはいけない。ここまで選手達、チームが成長するとは予想出来なかった。ここまで新HCのBen Delucaがリーダーシップを発揮してチームをグッと仕上げて来るとは読めていなかった。特にPannellは本当に敬服せざるを得ない。2年前に1年生でありながら既にチームの柱となり、チームを準優勝に導いた。そこで満足/慢心してもおかしくないのに、そこから信じられないくらい成長し、もはやDecade's Bestとも言えるコンプリートアタックへと成長して来た。しかもまだ3年生。来年はほとんどの主力が残るCornellでガチで優勝を狙って来る事になる...

Cornellを見て学ぶべき事

このブログではもう百回くらい言ってる気がするが、大学入学時点で体育推薦無し/経験者無し、入試えぐくて、授業えぐいというチャレンジに晒され、そこで高い達成動機/努力/工夫を武器に、ウェイトトレーニングやメンタルトレーニングを駆使して心技体を限界まで高めて戦わざるを得ないという東大に超通じていて、個人としても、チームとしても、技術としても、戦術としても、チーム作りや身体作りの全てに於いて、共感出来、学ぶ事が本当に多いと感じるチーム。是非皆で穴があく程見倒して欲しいと思う。(この辺の話は知的にも面白いし、熱くていい話なので、今度また時間のある時にでも別途切り出してがっつり書いてみようと思う。)

Princetonは主力陣の怪我にも苦しみ、ランク外。Play offに出るためには、Ivy Leagueトーナメントで優勝するしかなく、上位4チームが参加出来るIvy Leagueトーナメントに参加するためには、この試合に勝つしかない。

試合での見所

Pannell先生が、もう。溜め息出るっす。本当に素晴らしい。Princetonの#9 DF Chad Weidmaier (Jr)との因縁のライバル対決も3年目。手堅いDFに苦しむが、肝となる要所要所で素晴らしい仕事をしている。
  • 表にしっかり、思いっきり抜いて行く姿勢。打てなくても止まる事なくそのままトップを経由してぐるっと逆サイドまで横断しちゃって、そこでシュート/フィード、と言う所までしっかり動いて行っている。DFはそれにしっかり付いて行かざるを得ない。
  • であるが故に、今日の2得点を生んだInside Rollが非常に効果的に決まる。DFとしては表に抜かれたく無いので、ついついスルッと鋭いロールにやられてしまう。
  • で、更に、それを怖がって、プッシュを弱めにしたり、プレッシャーを控えめにして引き気味に守ると、間合いを利用してコンパクトで鋭いシュートを振り向き様にぶち込んで来る。か、背負いながら/ステップバックしながらひょいっとフィードを放り込んで来る。
  • 結果として、自分も活躍するが、チーム全体が何倍にも攻撃力を増すことになる。得点数同様に物凄い数のアシストでポイントを稼いでいる。
  • 文字通りコンプリートだ...こういう選手になりたいと強く思わされる。
  • 8点目を生んだPannellの背中でDFを背負いながらの背中越しにフワッと出すフィード。これ出来たら恐ろしく強い。

あと、Cornellは#6 Mockや、今年からMFからATにコンバートされた#7 David Lauも明らかに成長している。というか、確実にPannellから教えて貰って、動きをコピりまくっている。んでもってそれが超効いている。Pannellのここ2年の成長を見て感じるのは、決して「何となく」「本能で」やっている訳では絶対にないという事。間違い無くビデオを見倒して、頭で考えて、知恵を駆使して、技術/身体の使い方を形式知として作り込んで来ているという事。右脳だけじゃなく、相当レベルまで左脳を使って上手くなって来ていると言う事。ってことは何を意味しているかと言うと、他人にトランスファー(伝承)出来ると言う事。それが明らかに実際に起こっている。(逆に天才肌の選手だと、「ま、ここでバって来るから、ガッてやるか、スッと引いてサクッと打つ、みたいな?」なので汎用化が難しいし、恐らくそもそもこのレベルまで来られるケースが少ない気がする。超例外としてKevin Leveilleの例があるけど...)

また、Cornellのチーム全員が得点の度にベンチで皆でCheer-upし合って、セルフイメージを相互に高め合っている姿が印象的。本当にいいチームだと感じる。試合に出ていない下級生まで含めて全員が応援というポジティブなエネルギーを周囲に与える事で、自分の実力やパフォーマンスも上げるというスポーツ心理学の教科書のような習慣を組織全体で徹底出来ていると感じる。

Princetonはやはり守護神、one of the best goalies in NCAAの#6 Tyler Fiorito (Jr)が素晴らしいセーブを多数見せている。特に1 on 1でのstick to stickの合わせによるセーブ、アウトレットのコンパクトさと正確性など、Goalieが見てパクりたい点が多い。

Princetonのスーパー1年生、ラクロスサラブレッドの#22 Tom Schreiberが引き続き「マジか!?」と叫ばざるを得ない巧さを見せつけている。シュートやらダッジやらが巧過ぎて鼻血が出る。ピックを使って抜いた後のスライドとのタイミングのずらしとそこからのシュート。Time and room(日本語で言う所のスタンディングシュート)での得点を生んだ、貰い際の一歩中に交わす動き。今後3年でどこまで凄い選手になるんだ?UNCのNicky Galasso、DukeのJordan Wolfなど、この代も結構凄い気がする。

結果は、前半最初にPrincetonが突き放すも、その後エースのChris McBrideが引っ込んだ事もあり、一気に減速。Cornellが逆転し、後半は完全に試合を支配し、手堅く勝利。Ivy Leagueレギュラーシーズン優勝を決めた。この後4チームで争われるIvy LeagueトーナメントでU-Pennらと対決。

来年に向けて

PrincetonもCornellも3年生以下の主力メンバーが多い。来年はこの2チームにJHU、Duke、UNC、Virginia辺りが優勝争いを繰り広げ、ごっそり4年生が抜けるMaryland、Syracuseが一気に落ちるって感じだろうか?あと、Bill TierneyのDenverが今年既に急速に力を付けて来ており、しかも来年も結構主力が残る...結構怖いチームになってくるはず。来年も目が離せん...

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